JP4818641B2 - ヒューズ素子 - Google Patents
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Description
例えば、タンタルコンデンサにおいては、万一の極性誤装着による過電流を未然に防止するために、コンデンサ素子にヒュ−ズ素子を接続し、これらを樹脂でモ−ルドしている。 また、パワ−トランジスタにヒュ−ズ素子を接続し、これらを樹脂で封止することも知られている。
而して、その電子部品本体やモ−ルド樹脂の炭化・燃焼を防止するために、その発熱温度を所定の発煙温度以下に抑える必要がある。
そこで、電子部品が発煙するまえにヒューズ素子の溶断で通電を遮断するために、ヒューズ素子の溶断温度を、ヒューズ素子が取付けられる電子部品、例えばタンタルコンデンサやパワートランジスタの発煙温度よりも充分に低くすることが要請される。
従来、動作温度300〜400℃の鉛フリーヒューズ素子の一つとして「Alが0.5〜17%、残部がZnの合金を細線に加工したもの」が提案されている(特許文献1)。
図2−2はZn−5AlのDSC(示差走査熱量測定)結果を示し、ほぼ380℃で溶解し始め、ほぼ389℃で溶解を完了して完全に液相化されている(284.8℃のピークは結晶変態によるものであり、溶解に関与していない)。
合金が加熱されて固相線温度を越えると液相化が始まり固相分が減少して固液共存状態になり、液相線温度で固相分が零となって完全な液相状態となる。
通常、ヒューズ素子の溶断は固相線温度と液相線温度との間で生じる。而して、前記特許文献1に記載されたヒューズ素子の溶断温度は、図2−1の状態図によれば380℃〜440℃である。
この380℃〜440℃の溶断温度では、ヒューズ素子が取付けられる電子部品、例えばタンタルコンデンサやパワートランジスタの発煙温度に対し余裕が少なく、溶断温度を下げるためにAu、Ag、Cu、Ni、Pd、Pから選ばれた少なくとも一種を0.1%〜5%添加することが前記特許文献1に開示されている。
これでは、ヒューズ素子が比較的低い温度で溶解し始めても、ヒューズ素子が溶断される温度は、Au等無添加のZn−Alヒユーズ素子に較べてさして低くならない。
(2)260℃〜370℃での溶解熱量H260℃〜370℃と全溶解熱量ΣHとの比H260℃〜370℃/ΣHが0.2以上であり、固相線温度を260℃に向け低減できると共に260℃〜370℃の温度域で液相化を充分に進行させることができてヒューズを370℃以下で溶断させることができる。この温度はタンタルコンデンサ等の発煙温度に対し充分に低いから、タンタルコンデンサ等の発煙防止を確実に行うことができる。
(4)固相線温度が260℃以上であるから、鉛フリーはんだによるはんだ付けでも、ヒューズ素子付き電子部品を回路基板に安全に実装できる。
従って、本発明に係るヒューズ素子によれば、タンタルコンデンサ等の発煙を迅速作動で未然に防止でき、鉛フリーはんだ付けを安全に行い得、電子部品への取付けを容易に行い得る鉛フリーのヒューズ素子を提供できる。
図1は、本発明に係るヒュ−ズ素子を内蔵させたコンデンサの一例を示している。
図1において、1はタンタルコンデンサ素子、2は陽極リ−ド導体である。3は配線板であり、一対の電極31,32を有し、その電極間に本発明に係るヒュ−ズ素子aを接続し、一方の電極31をコンデンサ素子1の陰極に接合し、他方の電極32にリ−ド導体4を接合してある。5は封止樹脂層、例えばエポキシ樹脂層である。
上記ヒュ−ズ素子と電極との接合には、抵抗溶接、超音波溶接、若しくはワイヤボ−ルボンディング、ウェッジボンディング、または熱圧接等を用いることができる。
発煙には、温度以外にヒューズ遮断時間も関与し、ヒューズ遮断時間が長いと低い温度で発煙し、そのヒューズ遮断時間はヒューズ素子の抵抗が低くなるほど長くなるから、発煙にはヒューズ素子の抵抗値も関与する。
而るに、コンデンサ等に付設されるヒューズ素子の比抵抗が5.0〜6.0μΩcmであり、ヒューズ遮断時間が60〜90msecであり、かかるもとで発煙を防止するには、ヒューズ溶断温度を400℃よりも可及的に低くし、かつ鉛フリーはんだによる実装上260℃よりも高くすることが有効である。
上限については、ヒューズ素子の断面積を抑えて遮断時間が長くなり過ぎるのを回避することにあり、下限については、ヒューズ素子を電子部品に内蔵する際のハンドリング、組込の作業性、線引き加工性やコスト低減を保証することにある。
厚み0.01〜0.2mm、幅3〜0.1mmのリボン状では、電極との接触面積を充分に広くして接合性を向上できる有利性もある。
これらの場合、ヒュ−ズ素子が曲げをうけるが、充分な柔軟性を有し、折損なく、スム−ズに、装着、実装またはあと付けできる。
Zn地金には、不純物Pb、Fe、Cd等をJISH2107規定の範囲内で含むものを使用することもできる。
これらの製線中、ボビンへの巻取りを必要とするか、充分な柔軟性のために、折損なく、スム−ズに巻き取ることができる。
この細線の3mm切断片をAgメッキ42アロイ電極間に抵抗溶接し、細線中央の上方0.5mmの位置に熱電温度計を配し3Aを通電してヒュ−ズ遮断温度を測定したところ370℃以下であった(n=10箇の平均値)。
また、細線を42アロイ電極に抵抗溶接し(n=10箇の平均値)、引張り力を加え細線切断したものが100%ものを接合性◎、細線切断したものが50〜90%ものを接合性○、細線切断したものが10〜40%もの、または接合箇所が剥離したものが100%のものを接合性×として接合性を評価したところ、○であった。
また、260℃×10秒加熱して抵抗値変動の有無をチェックしたが、異常は何ら観られなかった。
実施例1に対しGe無添加とした以外、実施例1と同様にして細線を製造した。DSCの結果は図2−2の通りであり、H260℃〜370℃/ΣHは0であった。
また、実施例1と同様にして遮断温度を測定したところ390℃以上であった。接合性は○であった。
この比較例1と実施例1との対比から、Ge添加により無添加の場合に較べヒューズ溶断温度を20℃以上低減できることを確認できた。
表1に示すように実施例1に対し、Al量及びGe量を変えた以外、実施例1と同様にして細線を製造し、H260℃〜370℃/ΣH及びヒューズ溶断温度並びに接合性を求めたところ表1の通りであった。
260℃×10秒加熱して抵抗値変動の有無をチェックしたが、異常は何ら観られなかった。
表2に示すように実施例1に対し、Bi、Au、Ag、Cu、Ni、Pd、P、Sbを添加した以外、実施例1と同様にして細線を製造し、H260〜370℃/ΣH及びヒューズ溶断温度並びに接合性を求めたところ表2の通りであった。
何れの実施例品に対しても、260℃×10秒加熱して抵抗値変動の有無をチェックしたが、異常は何ら観られなかった。
表3に示すように、ZnとAlとMg、Sn、In、Gaの少なくとも1種を含有した組成とした以外、実施例1と同様にして細線を製造し、H260〜370℃/ΣH及びヒューズ溶断温度並びに接合性を求めたところ表3の通りであった。
何れの実施例品に対しても、260℃×10秒加熱して抵抗値変動の有無をチェックしたが、異常は何ら観られなかった。
何れの実施例においても、Bi、Ag、Cu、Ni、Pd、P、Sbの何れかを0.5%添加することにより接合性を◎にできることを確認した。
表3に示すように、ZnとAlとSnまたはInを含有し、AlとSnまたはInとの合計量を5%未満とした以外、実施例1と同様にして細線を製造し、H260℃〜370℃/ΣH及びヒューズ溶断温度並びに接合性を求めたところ表3の通りであった。
表4に示す合金組成とした以外、実施例1と同様にして細線を製造し、固相線温度及び比抵抗を実施例1と同様にして測定したところ、H260℃〜370℃/ΣH及びヒューズ溶断温度並びに接合性を求めたところ表3の通りであった。
260℃×10秒加熱して抵抗値変動の有無をチェックしたが、異常は何ら観られなかった。
何れの実施例においても、Bi、Ag、Cu、Ni、Pd、P、Sbの何れかを0.5%添加することにより接合性を◎にできることを確認した。
1 コンデンサ素子
5 封止樹脂層
Claims (5)
- ZnとAlとGeとを含有し、AlとGeのそれぞれの含有量が0.5〜15質量%、AlとGeとの合計量が5〜20質量%、残部がZnの合金が細線に加工されてなることを特徴とするヒューズ素子。
- ZnとAlとMg、Sn、In、Gaの少なくとも1種とを含有し、AlとMg、Sn、In、Gaの少なくとも1種のそれぞれの含有量が0.5〜15質量%、AlとMg、Sn、In、Gaの少なくとも1種との合計量が5〜20質量%、残部がZnの合金が細線に加工されてなることを特徴とするヒューズ素子。
- Mg、Sn、In、Gaの少なくとも1種(ただし、Mg1種の場合は除く)が3〜20質量%、残部がZnである合金が細線に加工されてなることを特徴とするヒューズ素子。
- 請求項1〜3何れか記載の合金にBi、Au、Ag、Cu、Ni、Pd、P、Sbの少なくとも一種が1質量%以下添加された合金が細線に加工されてなることを特徴とするヒューズ素子。
- 細線断面が線径0.03〜0.6mmφの円形または厚み0.01〜0.2mm、幅3〜0.1mmのリボン状であることを特徴とする請求項1〜4何れか記載のヒューズ素子。
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