JP4818613B2 - 両面平面研磨装置 - Google Patents

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Description

本発明は、両面平面研磨装置、特に、被研磨体を挟む上下両側に各別に配備された各砥石ユニットのうちの上側砥石ユニットを研磨工程終了後に浮き上がらせるときに、被研磨体がその上側砥石ユニットに貼り付いたまま持ち上げられてしまうという事態を防ぐ対策を講じた両面平面研磨装置に関する。
固形砥石をラッピング定盤に保持させてなる砥石ユニットを被研磨体を挟む上下両側に各別に配備させることにより、被研磨体の上面と下面とに各砥石ユニットの固形砥石の表面を接触させて水などの研磨液を給送しながらそれらを相対回転させることによって研削又は研磨を行う両面平面研磨装置は従来より知られており、そのような両面平面研磨装置に用いられる砥石ユニットを図4に平面図で示してある。
図4の砥石ユニットは、円形又は環形のラッピング定盤1に円形又は環形の固形砥石2を保持させてなり、その固形砥石2は、等角度おきの複数箇所に形成された放射方向に延びる第1溝部31によって同一形状の複数の砥石セグメント21…に分割されている。さらに具体的には、図5に斜視図で示したように、各砥石セグメント21がそれと略同一形状を有する取付板22に接着剤などを用いて装着保持されていて、その取付板22が上記ラッピング定盤1に重ね合わされてボルト止めされている。図4及び図5において、23は、取付板22をラッピング定盤1に締結するためのボルトが挿入される孔を示している。
図4を参照して説明した砥石ユニットを用いて両面平面研磨工程を行うときには、アルミメモリーディスク用のサブストレート、シリコンウェハー、ガラスウェハーといった高度の表面平坦度や表裏両面に高度の平行度が要求される所要数の被研磨体Wを図6に示したキャリア9の複数箇所に保持させて上向きに設置した下側砥石ユニット(不図示)の上に載せると共に、その被研磨体Wの上に下向きに設置した上側砥石ユニットを載せる。キャリア9は、太陽歯車91と、キャリア9に具備された遊星歯車92と、内歯歯車93などを備えた回転駆動機構90の作用によって回転駆動されるようになっている。そして、上記のようにして被研磨体Wを挟む上下両側に砥石ユニットを各別に配備した後、上下の各砥石ユニットにおける固形砥石2の表面を被研磨体Wの上面と下面とにそれぞれ接触させて研磨液を給送しながらそれらを相対回転させることにより被研磨体Wの上下両面を研磨する。
この両面平面研磨装置では、同一構成及び同一サイズの2基の砥石ユニットが被研磨体Wの上下両側に配備されている。また、図例の砥石ユニットでは、相隣接する砥石セグメント21,21の相互間に第1溝部31が形成されているほか、図4又は図6に示したように、それぞれの砥石セグメント21にはそれを斜めに横切る溝部32が同一パターンで形成されていて、これらの第1溝部31及び溝部32が、研磨工程で発生する研磨屑などを含む廃液の排出路として作用するようになっている。
この両面平面研磨装置を用いた研磨工程終了時には、上側砥石ユニットを浮き上がらせて被研磨体Wを当該研磨装置から取り出すという工程が行われるけれども、そのときに、被研磨体Wが研磨液の影響によって上側砥石ユニットの砥石セグメント21の表面に貼り付いたまま持ち上げられてしまうことがある。そのように事態が起こった場合には、被研磨体Wを第1溝部31や砥石セグメント21の外周部分に来るように滑らせてずらせた後、被研磨体Wを砥石セグメント21の表面から剥がして回収するという煩わしい作業を余儀なくされるだけでなく、その際に被研磨体Wが傷付くおそれがある。また、被研磨体Wが貼り付いたことに気付かず、そのまま次の作業に入って思わぬ故障を発生させることもある。さらに、上側砥石ユニットの砥石セグメント21の表面に貼り付いた被研磨体Wが、上側砥石ユニットを浮き上がらせる途中で落下して、落下した被研磨体Wが破損してしまったり、下側砥石ユニットに乗っている被研磨体Wに当たって傷つけたり破損させたりするというおそれもある。
そこで、従来より、当該研磨装置から被研磨体Wを取り出す工程で、上側砥石ユニットを浮き上がらせたときに、被研磨体Wが上側砥石ユニットの砥石セグメント21の表面に貼り付いたままにならないようにするための研究がなされている(たとえば特許文献1参照)。
特許文献1に記載されているものは、上側砥石ユニットの砥石セグメント21に、その砥石セグメント21の表面と側面とで開口する貫通孔を穿孔しておくというものであり、それによると、上側砥石ユニットを浮き上がらせるときに、その貫通孔から自然に空気が送通してきて、被研磨体Wが砥石セグメント21に貼り付かずにその砥石セグメント21から容易に剥がれるので、上記したような被研磨体の傷付きや破損などが防止されるようになる。また、この特許文献1には、上記貫通孔を利用して圧搾空気や加圧水などを送り込み、それらの加圧作用によって被研磨体Wを砥石セグメント21の表面から確実に剥がすという技術についても言及されていて、そのようにすることによって、貫通孔の開口の直径を小さく抑えることができるとされている。
実用新案登録第2558864号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている技術によると、研磨工程終了時に被研磨体Wの上面が貫通孔の開口箇所に位置するように上記回転駆動機構90(図6参照)の制御を行うことが要求されるために、回転駆動機構90をそのように制御するための大がかりな制御機構が別途必要になって装置全体が高価になるという問題があった。加えて、貫通孔を利用して圧搾空気や加圧水などを送り込むときには、そのための大がかりな機構が別途必要になり、そのことによっても装置全体が高価になるという問題があった。
本願発明者は以上の状況の下で鋭意研究を行った結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、高価で大がかりな装置を別途用いることなく、被研磨体が研磨液の影響によって上側砥石ユニットの砥石セグメントの表面に貼り付いたまま持ち上げられてしまうという事態の起こることを減少させて被研磨体回収の作業性を大幅に向上させることができると共に、被研磨体の落下に伴う品質不良の発生を低減することのできる両面平面研磨装置を提供することを目的とする。
本発明に係る両面平面研磨装置は、円形又は環形の固形砥石を円形又は環形のラッピング定盤に保持させてなる砥石ユニットが被研磨体を挟む上下両側に各別に配備され、上下の上記固形砥石が、等角度おきの複数箇所に形成された放射方向に延びる第1溝部によって同一形状の複数の砥石セグメントに分割され、それらの各砥石セグメントがその砥石セグメントと略同一形状を有して上記ラッピング定盤にボルト止めされた取付板に重なり状に保持され、上下の各砥石ユニットにおける固形砥石の表面を上記被研磨体の上面と下面とにそれぞれ接触させて研磨液を給送しながらそれらを相対回転させることによって被研磨体の上下両面を研磨する両面平面研磨装置において、上側の固形砥石を形成している各砥石セグメントは、その表面に、当該砥石セグメントを斜めに横切る方向に延びる溝部と当該砥石セグメントを内外方向に縦通する1本だけの溝部とを含む第2溝部が形成されているのに対し、下側の固形砥石を形成している各砥石セグメントは、その表面に、溝部を有しないか、又は、当該砥石セグメントを斜めに横切る方向に延びる溝部を有し、上側の固形砥石を形成している各砥石セグメントの上記第2溝部の総本数をm、下側の固形砥石を形成している各砥石セグメントの上記溝部の総本数をnとしたときの本数比率(m+1)/(n+1)の値が、「1.5」、「2」、「2.5」、「6.0」のうちから択一的に選択された値に定められていることによって、研磨工程終了時での上側砥石ユニットの固形砥石の表面と被研磨体の上面との密着力が、同終了時での下側砥石ユニットの固形砥石の表面と被研磨体の下面との密着力よりも小さくなるようにしてあり、上記第1溝部及び上記第2溝部が、研磨屑などを含む廃液の排出路として形成されている。
この構成であると、上側の固形砥石の砥石セグメントに備わっている第2溝部の本数と下側の固形砥石の砥石セグメントに備わっている溝部の本数との相違によって、上側砥石ユニットの各砥石セグメントの表面積が、下側砥石ユニットの各砥石セグメントの表面積よりも小さくなる。そのため、研磨工程終了時には、上側砥石ユニットの固形砥石の表面と被研磨体の上面との密着力が、同終了時での下側砥石ユニットの固形砥石の表面と被研磨体の下面との密着力よりも小さくなるので、上側砥石ユニットを浮き上がらせたときに被研磨体が下側砥石ユニットの固形砥石の表面側に残るようになり、上側砥石ユニットの固形砥石の表面に貼り付いて持ち上がるという事態がおこりにくくなる。そのため、上側砥石ユニットの固形砥石の表面から研磨体を剥がして回収するという煩わしい作業を行う必要が少なくなって被研磨体が傷付くことを未然に防止しやすくなる。また、被研磨体Wが貼り付いたことに気付かず、そのまま次の作業に入って思わぬ故障を発生させたりすることも起こりにくくなる。さらに、上側砥石ユニットの固形砥石の表面に貼り付いた被研磨体が落下してその被研磨体が破損したり、下側砥石ユニットに乗っている被研磨体に当たって傷つけたり破損させたりするという事態も起こりにくくなる。
本発明では、上記第1溝部及び第2溝部が、研磨屑などを含む廃液の排出路として形成されているので、被研磨体が上側砥石ユニットの砥石セグメントに貼り付くことを抑制するための第1溝部や第2溝部が、研磨工程で発生した研磨屑などを含む廃液が速やかに上下の各砥石ユニットの外部へ排出されるようになり、そのことが研磨工程を円滑に行い、研磨精度を高めることに役立つようになるという優れた作用が奏される。
また、砥石セグメントが、その砥石セグメントと略同一形状を有して上記ラッピング定盤にボルト止めされた取付板に重なり状に保持されているという構成を採用しているので、砥石セグメントの取替え交換が容易になる。
本発明では、上側の固形砥石を形成している各砥石セグメントの上記第2溝部の総本数をm、下側の固形砥石を形成している各砥石セグメントの上記溝部の総本数をnとしたときの本数比率(m+1)/(n+1)の値が、「1.5」、「2」、「2.5」、「6.0」のうちから択一的に選択された値に定めてある。そのため、上側砥石ユニットの砥石セグメントに対する比研磨体の貼り付きを防ぐことができ、しかも、比研磨体の上面と下面との仕上がり精度に差が起こりにくい。
以上のように、本発明に係る両面平面研磨装置によれば、従来の一部の両面平面研磨装置に代表される大がかりな制御機構や剥離機構を必要とせずに、コストを費やさずに上側砥石ユニットの固形砥石(砥石セグメント)の表面に対する被研磨体の貼付きを防ぎやすくなる。そのため、上側砥石ユニットの固形砥石の表面から研磨体を剥がして回収するという煩わしい作業を行う必要が生じにくくなって被研磨体が傷付くことを未然に防止しやすくなるだけでなく、被研磨体が貼り付いたことに気付かず、そのまま次の作業に入って思わぬ故障を発生させたり、さらに、上側砥石ユニットの固形砥石の表面に貼り付いた被研磨体が落下してその被研磨体が破損したり、下側砥石ユニットに乗っている被研磨体に当たって傷つけたり破損させたりするという事態も起こりにくくなる。これらのことから、本発明に係る両面平面研磨装置によれば、アルミメモリーディスク用のサブストレート、シリコンウェハー、ガラスウェハーといった高度の表面平坦度や表裏両面に高度の平行度が要求される被研磨体を大がかりな装置を用いずに安価に製造することが可能になる。
図1は参考例としての両面平面研磨装置の上側砥石ユニット100及び下側砥石ユニット200の位置関係を示した概略外観図、図2(a)は参考例としての下側砥石ユニット200の砥石セグメント(A)及び上側砥石ユニット100の砥石セグメント(B)の表面形状を例示した説明図、図2(b)〜(e)は実施形態に相当する下側砥石ユニット200の砥石セグメント(A)及び上側砥石ユニット100の砥石セグメント(B)の表面形状を例示した説明図、図2(f)は他の参考例としての下側砥石ユニット200の砥石セグメント(A)及び上側砥石ユニット100の砥石セグメント(B)の表面形状を例示した説明図である。図1及び図2(a)は上下の砥石セグメント21,21の被研磨体に対する密着力を相違させる手段を説明的に示した参考例であり、本発明の実施形態には含まれない。また、図2(f)は基板上側の表面粗さ比が図2(b)〜(e)のものに対して顕著に大きくなる事例を示した参考例であり、本発明の実施形態には含まれない。本発明の実施形態は図2(b)〜(e)に示されている。図3(a)(b)は変形例による砥石セグメントの表面形状を例示した説明図である。
参考例を示した図1の下側砥石ユニット200は、図4を参照して説明した砥石ユニットと同じ構造を備えている。すなわち、円形又は環形のラッピング定盤1に円形又は環形の固形砥石2を保持させてなり、その固形砥石2が、等角度おきの複数箇所に形成された放射方向に延びて外周端面で開口する第1溝部31によって同一形状の複数の砥石セグメント21…(以下「下側砥石セグメント21という)に分割されている。そして、各下側砥石セグメント21がそれと略同一形状を有する取付板22に接着剤などを用いて装着保持されていて、その取付板22が上記ラッピング定盤1に重ね合わされてボルト止めされている。さらに、それぞれの下側砥石セグメント21にはそれを斜めに横切って両側端面で開口する溝部32が同一パターンで形成されていて、これらの第1溝部31及び溝部32が、研磨工程で発生する研磨屑などを含む廃液の排出路として作用するようになっている。なお、図1では、砥石セグメント21に備わっているボルト挿入孔を図示省略してある。
図1に示した上側砥石ユニット100は、その基本的構成やサイズが上記下側砥石ユニット200と同様であるけれども、下側砥石ユニット200と異なっている点は、各砥石セグメント21(以下「上側砥石セグメント」という)にそれを斜めに横切る溝部32aを1本ずつ追加してある点である。したがって、上側砥石ユニット100及び下側砥石ユニット200において、同一部分に同一符号を付すことによって説明の重複を回避することにする。
図1に示した上下の砥石ユニット100,200を用いて両面平面研磨工程を行うときには、図6を参照して説明したところから明らかなように、アルミメモリーディスク用のサブストレート、シリコンウェハー、ガラスウェハーといった高度の表面平坦度や表裏両面に高度の平行度が要求される所要数の被研磨体Wをキャリア9の複数箇所に保持させて上向きに設置した下側砥石ユニット200の上に載せ、その被研磨体Wの上に下向きに設置した上側砥石ユニット100を載せることによって、被研磨体Wを挟む上下両側に砥石ユニット100,200を各別に配備した後、上下の各砥石ユニット100,200における固形砥石2,2の表面を被研磨体Wの上面と下面とにそれぞれ接触させて研磨液を給送しながらそれらを相対回転させることにより被研磨体Wの上下両面を研磨する。その際、上下の各砥石セグメント21の第1溝部31や溝部32が、研磨工程で発生する研磨屑などを含む廃液の排出路として作用するほか、上側砥石セグメント21に追加されている溝部32aも同様に研磨工程で発生する研磨屑などを含む廃液の排出路として作用する。したがって、廃液や研磨屑が上下の各固形砥石2の周囲などに滞留して研磨精度や研磨性能を損なうという事態が防止される。
図1及び図2(a)に示した参考例において、上側砥石セグメント21には、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる溝部32aが追加して形成されているので、その上側砥石セグメント21に形成されている溝部32,32aの総本数は、下側砥石セグメント21に形成されている溝部32の総本数よりも多くなっている。そのため、上側砥石セグメント21の集合でなる上側の固形砥石2の表面積は、下側砥石セグメント21の集合でなる下側の固形砥石2の表面積に比べて小さくなっている。そのため、研磨工程終了時での上下の固形砥石2,2の表面と被研磨体との密着力を比べると、表面積の小さな上側の固形砥石2の表面と被研磨体との密着力が、表面積の大きな下側の固形砥石2の表面と被研磨体との密着力よりも小さく抑えられる。さらに具体的には、上側砥石セグメント21の表面と被研磨体との密着力が、下側砥石セグメント21の表面と被研磨体との密着力よりも小さく抑えられる。言い換えると、研磨工程終了時での下側の固形砥石2の表面と被研磨体の下面との接触部分に給送されている研磨液の表面張力よりも、上側の固形砥石2の表面と被研磨体の上面との接触部分に給送されている研磨液の表面張力が小さくなっている。
このことにより、研磨工程終了時に、上側砥石ユニット100を浮き上がらせたときには、被研磨体が下側の固形砥石2の表面に貼り付いてその下側の固形砥石2の上に乗ったまま残り、上側の固形砥石2の表面に貼り付いて上側砥石ユニット100によって持ち上げられるという事態が起こりにくい。その結果、当該研磨装置から研磨後の被研磨体を取り出す作業は、下側砥石ユニット200に対してだけ行えばよいので、上側の固形砥石2の表面から研磨体を剥がして回収するという煩わしい作業を行う必要が少なくなるか、あるいは、必要なくなるだけでなく、上側の固形砥石2に被研磨体Wが貼り付いたまま次の作業に移るという事態も起こりにくくなる。さらに、上側の固形砥石2の表面に貼り付いた被研磨体が落下してその被研磨体が破損したり、下側砥石ユニット200に乗っている被研磨体に当たって傷つけたり破損させたりするという事態も起こりにくくなる。
図1及び図2(a)に示した参考例では、下側の固形砥石2と上側の固形砥石2とに同一パターンで第1溝部31を具備させ、下側砥石セグメント21と上側砥石セグメント21とに同一パターンで溝部32を具備させてあることに加えて、上側砥石セグメント21に溝部32aを追加することにより、上側砥石セグメント21の溝部32,32aの総本数を、下側砥石セグメント21の溝部32の総本数よりも多くすることによって上下の上記各砥石ユニット100,200の固形砥石2,2の表面形状を相違させてある。この構成によって被研磨体の上面に対する研磨精度とその下面に対する研磨精度との適切なバランスが保たれやすくなる。
上側砥石セグメント21の表面に溝部を具備させることによって、上側の固形砥石2と下側の固形砥石2との表面形状を相違させる場合の幾つかの実施形態としての具体例を図2(b)〜(e)に示してある。
同図では、(A)列の(b)〜(e)に実施形態に係る下側砥石セグメント21の表面形状を例示し、それらの下側砥石セグメント21に組み合わされる上側砥石セグメント21の表面形状を(B)列の(b)〜(e)に示してある。なお、上側の砥石セグメント21の表面には、当該セグメント21を斜めに横切る方向に延びる溝部32が具備されていることに加えて、1本又は複数本の溝部が追加して形成されている。そこで、それらの溝部32,32aの全体を「第2溝部」と定義する。
また、図2の(C)列には、下側砥石セグメント21の溝部32の総本数に対する上側砥石セグメント21の第2溝部32,32aの本数比率を示してある。本数比率は、上側砥石セグメント21に対する比研磨体の貼り付きの難易や比研磨体の上面と下面との仕上がり精度に影響を及ぼす。
なお、図2(C)列の数式の左辺の表記は、上側砥石セグメント21の第2溝部32,32aの総本数をmとし、下側砥石セグメント21の第2溝部32の総本数をnとして(m+1)/(n+1)として記述してある。これは、図2の(e)(f)に示した下側砥石セグメント21のように第2溝部32の総本数が0である場合を考慮して右辺の比率が無限大になることを回避したためである。
実施形態を示した図2(b)の例では、上側砥石セグメント21の表面に、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる1本の溝部32と当該砥石セグメント21を内外方向に縦通する1本だけの溝部32aとを含む第2溝部32,32aが形成されているのに対し、下側の砥石セグメントの表面は、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる1本だけの溝部32を有している。この例の第2溝部32,32aの総本数mは2であり、本数比率は1.5である。
他の実施形態を示した図2(c)の例では、上側砥石セグメント21の表面に、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる2本の溝部32,32aと当該砥石セグメント21を内外方向に縦通する1本だけの溝部32aとを含む第2溝部32,32a…が形成されているのに対し、下側の砥石セグメントの表面は、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる1本だけの溝部32を有している。この例の第2溝部32,32a…の総本数mは3であり、本数比率は2である。
さらに他の実施形態を示した図2(d)の例では、上側砥石セグメント21の表面に、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる3本の溝部32,32a…と当該砥石セグメント21を内外方向に縦通する1本だけの溝部32aとを含む第2溝部32,32a…が形成されているのに対し、下側の砥石セグメントの表面は、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる1本だけの溝部32を有している。この例の第2溝部32,32a,32aの総本数mは4であり、本数比率は2・5である。
さらに他の実施形態を示した図2(e)の例では、上側砥石セグメント21の表面に、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる4本の溝部32a…と当該砥石セグメント21を内外方向に縦通する1本だけの溝部32aとを含む第2溝部32a…が形成されているのに対し、下側の砥石セグメントの表面は、当該砥石セグメント21の表面には溝部が形成されていない。この例の第2溝部32,32a…の総本数mは5であり、本数比率は6.0である。
他の参考例を示した図2(f)の例では、上側砥石セグメント21の表面に、当該砥石セグメント21を斜めに横切る方向に延びる5本の溝部32a…と当該砥石セグメント21を内外方向に縦通する1本だけの溝部32aとを含む第2溝部32a…が形成されているのに対し、下側の砥石セグメントの表面は、当該砥石セグメント21の表面には溝部が形成されていない。この例の第2溝部32,32a…の総本数mは6であり、本数比率は7.00である。
以上説明した上側砥石セグメント21では、その第2溝部32,32aが長手方向の両端で当該上側砥石セグメント21の側面や内外の端面で開口している事例を説明したけれども、この点は、たとえば図3(a)(b)に示したように、その第2溝部32,32aの長手方向の一端だけを当該上側砥石セグメント21の側面や内外の端面で開口させておいてもよい。こうしておけば、上側砥石セグメント21の表面が被研磨体に密着しているときに、第2溝部32,32aから空気が排出されてしまって吸盤作用で当該上側砥石セグメント21が被研磨体に強固に吸着して貼り付いてしまうという事態が起こらない。
砥粒として炭化珪素GC4000番を使い、ポリビニルホルマール樹脂とフェノール樹脂を結合材とした弾性砥石で、本発明の実施形態として図2の(b)(c)(d)(e)及び上下の表面形状が同じ比較例に相当する砥石ユニット、図2(a)(f)の参考例に相当する砥石ユニットを作製し、スピードファム(株)社製研磨装置16B−4SSG−4に取り付け、研磨試験を実施した。3.5インチのアルミ基板32枚づつを加工圧力7.84kPa、加工回転数60rpm、加工時間180秒で研磨した。これをそれぞれ6回行い、合計192枚づつの基板の内、上側砥石ユニットに貼り付いた基板数と研磨したアルミ基板の表面粗さを比較した。
表1に示したように、本発明例では、比較例に対して上側砥石ユニットに貼り付いた基板は1/4以下に低減した。表面粗さは溝が増えるに従い粗くなった。
(表1)
┌───────┬───────────┬──────────┬─────┐
│ │ 本数比率 │ 上側砥石への │基板上側の│
│ │(m+1)/(n+1)│ 貼り付き数(率) │表面粗さ比│
│ │ │ │(Ra) │
├───────┼───────────┼──────────┼─────│
│比較例 │ 1.0 │58枚(30.2%)│ 100 │
├───────┼───────────┼──────────┼─────│
参考例(a)│ 1.5 │14枚( 7.3%)│ 102 │
├───────┼───────────┼──────────┼─────│
│本発明例(b)│ 1.5 │13枚( 6.8%)│ 98 │
├───────┼───────────┼──────────┼─────│
│本発明例(c)│ 2.0 │ 8枚( 4.2%)│ 104 │
├───────┼───────────┼──────────┼─────│
│本発明例(d)│ 2.5 │ 6枚( 3.1%)│ 106 │
├───────┼───────────┼──────────┼─────│
│本発明例(e)│ 6.0 │ 2枚( 1.0%)│ 110 │
├───────┼───────────┼──────────┼─────│
参考例(f)│ 7.0 │ 2枚( 1.0%)│ 131 │
└───────┴───────────┴──────────┴─────┘
表1中の表面粗さ比は、比較例のRaを100とした場合の本発明例の各Raの比を示す。
本発明に係る両面平面研磨装置の上下の各砥石の位置関係を示した概略外観図である。 (a)〜(f)は上下の各砥石セグメントの表面形状を例示した説明図である。 (a)(b)は変形例による砥石セグメントの表面形状を例示した説明図である。 従来の両面平面研磨装置に用いられる砥石ユニットの平面図である。 砥石セグメントの斜視図である。 キャリアに保持させた被研磨体の上に上側砥石ユニットを載せた状態の底面図である。
1 ラッピング定盤
2 固形砥石
21 砥石セグメント
22 取付板
31 第1溝部
32,32a 第2溝部
100,200 砥石ユニット
W 被研磨体

Claims (1)

  1. 円形又は環形の固形砥石を円形又は環形のラッピング定盤に保持させてなる砥石ユニットが被研磨体を挟む上下両側に各別に配備され、上下の上記固形砥石が、等角度おきの複数箇所に形成された放射方向に延びる第1溝部によって同一形状の複数の砥石セグメントに分割され、それらの各砥石セグメントがその砥石セグメントと略同一形状を有して上記ラッピング定盤にボルト止めされた取付板に重なり状に保持され、
    上下の各砥石ユニットにおける固形砥石の表面を上記被研磨体の上面と下面とにそれぞれ接触させて研磨液を給送しながらそれらを相対回転させることによって被研磨体の上下両面を研磨する両面平面研磨装置において、
    上側の固形砥石を形成している各砥石セグメントは、その表面に、当該砥石セグメントを斜めに横切る方向に延びる溝部と当該砥石セグメントを内外方向に縦通する1本だけの溝部とを含む第2溝部が形成されているのに対し、下側の固形砥石を形成している各砥石セグメントは、その表面に、溝部を有しないか、又は、当該砥石セグメントを斜めに横切る方向に延びる溝部を有し、
    上側の固形砥石を形成している各砥石セグメントの上記第2溝部の総本数をm、下側の固形砥石を形成している各砥石セグメントの上記溝部の総本数をnとしたときの本数比率(m+1)/(n+1)の値が、「1.5」、「2」、「2.5」、「6.0」のうちから択一的に選択された値に定められていることによって、研磨工程終了時での上側砥石ユニットの固形砥石の表面と被研磨体の上面との密着力が、同終了時での下側砥石ユニットの固形砥石の表面と被研磨体の下面との密着力よりも小さくなるようにしてあり、
    上記第1溝部及び上記第2溝部が、研磨屑などを含む廃液の排出路として形成されていることを特徴とする両面平面研磨装置。
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