以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここでは図1乃至図17により本実施形態に係る半導体装置の製造工程の概略を説明し、その後、図18乃至図69により要部の詳細な製造工程と本実施形態に係る半導体装置の製造方法で用いる粘着性テープの剥離機構、粘着性テープの剥離装置、粘着性テープの剥離方法、半導体チップのピックアップ装置、半導体チップのピックアップ方法及び半導体装置の製造装置等について詳しく説明する。
まず、周知の製造工程により、半導体ウェーハ100の主表面に種々の半導体素子200を集積形成する。
次に、図1(a),(b)に示すように、上記半導体ウェーハ100の主表面(素子形成面)に、ダイヤモンドブレード110等により溝120−1,120−2,120−3,…を形成する(ハーフカットダイシング)。これらの溝120−1,120−2,120−3,…はダイシングラインまたはチップ分割ラインに沿って形成し、その深さは最終チップ厚より所定の深さ、例えば5μmだけ深く形成する。溝120−1,120−2,120−3,…の形成には、上述したダイヤモンドブレード110のような機械的な方法に代えて、エッチングのような化学的な方法やレーザーのような光学的な方法を用いることもできる。
引き続き、図2(a),(b)に示すように、上記半導体ウェーハ100の主表面に粘着性テープ(BSGテープ)24を貼り付け、裏面を機械研削、すなわち研削用砥石130等で研削して所望の厚さに仕上げる。研削面が溝120−1,120−2,120−3,…の底部に達すると、半導体ウェーハ100が個片化されて半導体チップ1,1,…が形成される。個片化後も更に研削を続けることで(5μm程度)、ダイシング時にチップ1,1,…の切断面の裏面側に発生したチッピングや細かなクラック等の傷を除去する。この裏面研削工程は、上述した機械研削にエッチングを組み合わせることもできる。
次に、図3(a),(b)に示すように、研削面をプラズマエッチング、ウエットエッチング、ドライポリッシュ、ガスエッチング、CMPあるいはバフがけ等によって鏡面加工する。図3(a),(b)では、ポリッシングホイール140を用いたポリッシング工程を代表的に示した。この工程は必須ではないが、半導体チップ1の完成時の厚さが100μmより薄い場合や、チップの曲げ強度を向上させたい場合には施すのが好ましい。これによって、個片化された半導体ウェーハ100(半導体チップ1,1,…)は最終チップ厚となり、図4(a),(b)に示すように主表面側が粘着性テープ24に貼り付けられた状態となる。
その後、上記個片化された半導体ウェーハ100の鏡面加工した面(Si面)に接着剤150を塗布する。この接着剤150を塗布する方式としては、ジェットディスペンス方式、インクジェット方式、スプレー方式、霧状の塗布方式、スキージ方式、転写方式及び塗布方式等がある。特に薄く接着剤150を塗布する場合は、図5(a),(b)に示すようにノズル160を用いて接着剤を塗布するジェットディスペンス方式やインクジェット方式が望ましい。
接着剤150の塗布は、図6に示すように半導体チップ1,1,…の鏡面加工した裏面のみに施しても良いし、図7に示すように半導体チップ1,1,…の裏面とダイシングした切断面に形成しても良い。また、図8に示すように半導体チップ1,1,…間に空洞170を形成するように接着剤層を形成しても良く、図9に示すように半導体チップ1,1,…間を接着剤150で埋め込んでも良い。更に、図10に示す例では、溝を起点にして半導体ウェーハ100を劈開して半導体チップ1,1,…を形成し、主表面側に溝の一部が残っている場合に半導体チップ1,1,…間を接着剤150で埋め込んでいる。
上記接着剤150は選択的に塗布することが可能であり、良品チップのみに塗布し、不良品には塗らないようにしたり、ウェーハの周辺部のチップとして機能しない部分を除いたりすることで無駄を省くことができる。また、チップの中央部を厚めにして周辺部は薄くすることで、チップ1,1,…の反りに合わせて接着剤150を塗布することもできる。更に、チップ1,1,…の側面にも塗ることで水分の侵入を防ぐことができ、パッケージの材料に近い樹脂系の材料を用いることで密着性と耐湿性を上げることもできる。
次に、半導体チップ1,1,…間が膜状に固化した接着剤150で繋がっている場合(図8参照)や半導体チップ1,1,…間の隙間を接着剤150で埋め込んだ場合(図9、図10参照)は、図11乃至図14に示すように接着剤150を切断または溶断して半導体チップ1,1,…毎に切り離す。この切り離しには、半導体チップ1,1,…間に空隙がある場合には図11(a),(b)に示すように接着剤150のみをブレード180等で機械的に切断する方法と、図12(a),(b)に示すようにレーザー照射装置190からレーザーを照射して接着剤150のみを溶断する方法がある。
一方、半導体チップ1,1,…間の隙間が接着剤150で埋め込まれている場合には、図13(a),(b)に示すように接着剤150を粘着性テープ24に達する深さまで機械的に切断する方法と、図14(a),(b)に示すように接着剤150にレーザーを照射して粘着性テープ24に達する深さまで溶断する方法がある。
次に、図15(a),(b)に示すように、上記半導体ウェーハ100の粘着性テープ24側を上にして真空で吸引して保持テーブル3に吸着固定し、粘着性テープ24を図示矢印方向に剥がす。上記保持テーブル3のウェーハ吸着部は後述するように2つ以上の吸着エリアに分割された多孔質材で形成されており、2系統以上の吸引経路を用いて吸着固定を行う。そして、粘着性テープ24の剥離状態に応じて各多孔質エリアの配管系統を切り替えて吸着を行いつつ粘着性テープ24を剥離する。
その後、図16(a),(b)に示すように吸着コレット10を用いて半導体チップ1,1,…をピックアップし、図17(a),(b)に示すように保持テーブル3から剥離した半導体チップ1,1,…を、個別に実装基板(配線基板)やリードフレーム等にマウントする。図17(a),(b)では、複数の半導体チップを実装基板16に積層するスタック型を例にとっており、実装基板16上にマウントされたチップ1上に別のチップ1を積層してマウントし、樹脂等のパッケージに封止する。
次に、上述したこの発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法で用いる粘着性テープの剥離機構、粘着性テープの剥離装置、粘着性テープの剥離方法、半導体チップのピックアップ装置、半導体チップのピックアップ方法及び半導体装置の製造装置についてダイボンダーを例にとって説明する。
図18はダイボンダーの概略構成を示す斜視図、図19は剥離機構及びピックアップ機構で用いられるウェーハ吸着部の構成について説明するための図、図20はウェーハ吸着部と個片化された半導体ウェーハの配置について説明するための図、図21は上記ダイボンダーにおける粘着性テープの剥離機構について説明するための図、図22は補助プレートの構成例について説明するための図、図23及び図24はそれぞれ上記ダイボンダーにおける半導体チップのピックアップ機構について説明するための図、図25はピックアップした半導体チップの実装工程について説明するための概略図、図26は上記ダイボンダーにおけるダイボンディング工程のフローチャートである。
図18に示すダイボンダーは、粘着性テープを剥離するための剥離機構、半導体チップをピックアップするピックアップ機構、ピックアップした半導体チップをリードフレーム上に移送する移送機構、及びリードフレームを搬送する搬送機構等から構成されている。上記剥離機構は、保持テーブル3、TVカメラ4、剥離爪21、補助プレート22及び吸引装置20等から構成されている。上記ピックアップ機構は、上記保持テーブル3、上記TVカメラ4、吸着コレット10及び上記吸引装置20等から構成され、剥離機構とピックアップ機構とで上記保持テーブル3、上記TVカメラ4及び上記吸引装置20が共用される。
上記保持テーブル3は、粘着性テープ24の剥離方向に対して、少なくとも2つの吸着エリアに分離された(部屋分けされた)多孔質材、例えばフィルム状のセラミック材/ガラスエポキシ基盤からなるウェーハ吸着部2を備えている。本例では、図19(a),(b)に示すように、ウェーハ吸着部2が7つの吸着エリア2−1〜2−7を備えている。各々の吸着エリア2−1〜2−7の下部には、真空配管を接続するための接続孔23−1〜23−7が設けられている。このウェーハ吸着部2には、素子形成が終了し、個片化された半導体チップ1を粘着性テープ24に貼り付けた半導体ウェーハのウェーハ側が吸着されて固定される。
この際、図20(a),(b)に示すように、剥離方向に対して各半導体チップ1の辺が直交するように配置すれば、ピックアップの際の各半導体チップ1の位置認識が容易になる。図20(a),(c)に示すように、剥離方向に対して各半導体チップ1の対角線が平行な方向(半導体チップが正方形の場合には45度の傾きを持つ)に配置すれば、粘着性テープ24の剥離が半導体チップ1のコーナー部から始まるため、容易に剥離できる。どちらの配置を選択するかは、半導体チップ1のサイズや厚さ、粘着性テープ24の粘着力等を考慮して決定すれば良い。
上記保持テーブル3は、半導体ウェーハ100をXY方向に移動させることにより、吸引装置20上に個々の半導体チップ1を移動させるようになっている。上記TVカメラ4は、上記半導体チップ1の表面をモニタするためのものである。上記吸引装置20は、上記保持テーブル3の下側に設置されており、ウェーハ吸着部2の各々の吸着エリア2−1〜2−7に対応して設けられた少なくとも2系統の真空(吸引)配管とそれぞれに対応する2つの真空(吸引)ポンプ、上記真空配管を切り換える切換弁、この切換弁を制御する制御装置等を有している。
また、上記半導体チップ1をリードフレーム上に移送する移送機構は、ボンディングツール8、吸着コレット10、位置修正ステージ11、及びボンディングヘッド12等から構成されている。上記吸着コレット10は、上記ピックアップ時にも用いられるもので、粘着性テープ24から剥離された半導体チップ1を吸着して上記位置修正ステージ11上に移送する。この位置修正ステージ11上で、半導体チップ1の位置が修正される。位置が修正された半導体チップ1は、ボンディングヘッド8によりリードフレーム上に移送される。
更に、リードフレームを搬送する搬送機構は、リードフレーム供給部5、リードフレーム搬送装置6、ペースト供給装置7、及びリードフレーム収納部9等から構成されている。上記リードフレーム供給部5には、ダイボンディング前のリードフレームが収容されており、リードフレームをリードフレーム搬送装置6に順次送り出すようになっている。上記ペースト供給装置7は、リードフレーム搬送装置6を搬送されたリードフレームのベッド部に、導電性ペーストを塗布するものである。また、上記リードフレーム収納部9は、ダイボンディングが終了したリードフレームを収容する。
上記のような構成のダイボンダーの全体の概略的な動作は次の通りである。まず、素子形成の終了したウェーハに素子形成面側からダイシングライン(またはチップ分割ライン)に沿った切り溝を形成し、この素子形成面側に粘着性テープ24を貼り付けた後、ウェーハの裏面を少なくとも上記切り溝に達するまで研削することによって個片化し(先ダイシング)、複数の半導体チップ1を形成したものを、上記保持テーブル3に装着する。次に、吸引装置20で半導体チップ1を直接的に吸着固定し、剥離爪21と補助プレート22を用いて上記粘着性テープ24を剥離する。引き続き、保持テーブル3をXY方向に移動させ、TVカメラ14を用いて半導体チップ1の表面をモニタし、このモニタで得た画像データを二値化もしくは多値化して半導体チップ1の位置検出、及び良品/不良品を判別するためのマーク検出等を行う。そして、上記吸引装置20によるバキュームで吸引しつつ(半導体チップ1のサイズや厚さによっては、必ずしもバキュームで吸引する必要はない)、半導体チップ1を吸着コレット10で吸着してピックアップして上記位置修正ステージ11上に移送し、半導体チップ1の位置や必要に応じて表裏を修正した後、ボンディングヘッド8によりリードフレーム上に移送する。
上記ピックアップの終了後、次にピックアップする半導体チップ1の位置へ保持テーブル3を移動し、上述した動作を繰り返す。
一方、上記リードフレーム供給部5は、リードフレームをリードフレーム搬送装置6に順次送り出し、リードフレーム搬送装置6を搬送されるリードフレームのベッド部には、上記ペースト供給装置7から導電性ペーストが塗布される。そして、上記ボンディングヘッド8で移送された半導体チップ1が、上記リードフレームのベッド部上にマウント(ダイボンディング)される。ダイボンディングが終了したリードフレームは、リードフレーム収納部9に収容され、このような動作を順次繰り返す。
次に、上述したようなダイボンダーにおける粘着性テープの剥離機構と半導体チップのピックアップ機構並びにこれらを用いた剥離方法及びピックアップ方法について図21乃至図26により詳しく説明する。
まず、半導体素子形成面に粘着性テープ24が貼り付けられた、個片化された半導体ウェーハ(半導体チップ1)を用意し(STEP1)、保持テーブル3にセットする(STEP2)。保持テーブル3には、図21に示すように2系統の真空配管25−1,25−2、配管の切換弁26−1〜26−7、及び2つのバキュームポンプ27−1,27−2が設けられており、これらを用いて粘着性テープ24の剥離が行われる。そして、第1の系統の真空配管25−1と第1のバキュームポンプ27−1を用いて粘着性テープ24に接着された半導体ウェーハをバキューム吸引して吸着固定し(STEP3)、この状態で粘着性テープ24の剥離を開始する。
剥離に際しては、粘着性テープ24の一端側を剥離爪21で保持し、粘着性テープ24の上部に剥離を補助する補助プレート22をセットし、この補助プレート22で粘着性テープ24の上面を抑えて粘着性テープ24を曲げつつ、剥離爪21で粘着性テープ24の一端を図示矢印方向に0.1mm〜50mm/secの速度、より好ましくは0.1mm〜10mm/secの速度で引く(STEP4)。この時、剥離爪21を引く強度に強弱を付けても良いし、剥離爪21と補助プレート22を一定の速度で移動させて剥離しても良い。また、剥離爪21で一定の距離引いた後、補助プレート22で粘着性テープ24の上面を抑える動作を繰り返しても良い。そして、ウェーハ吸着部2の隣接する吸着エリア2−1〜2−7近傍の粘着性テープ24の一部が剥離されたときに、切換弁26−1〜26−7により第2系統の真空配管25−2に切り換え第2のバキュームポンプ27−2を用いて剥離された吸着エリアの半導体チップ1を吸着して固定する(STEP5)。図21では、剥離が吸着エリア2−1と吸着エリア2−2の境界領域まで進み、切換弁26−1が切り換えられた状態を示している。
以下同様に、粘着性テープ24の剥離にしたがって切換弁26−2〜26−7を順次切り換えて行く。そして、粘着性テープ24が完全に剥離された状態では、各半導体チップ1は粘着性テープ24からウェーハ吸着部2に転写され、第2のバキュームポンプ27−2により第2系統の真空配管25−2を介して各半導体チップが吸着されて固定される(STEP6)。
なお、上記補助プレート22は、図22(a)に示すように先端にアールが付いているものや図22(b)に示すように先端が鋭角なものを用いることができる。先端部の形状は、粘着性テープ24の厚さや粘着力、柔軟性等によって決定すれば良い。
次に、半導体チップ1の位置検出及び良品検出を行った後(STEP7)、上記ウェーハ吸着部2から個々の半導体チップ1のピックアップを開始する。ピックアップの開始直後は、各半導体チップ1は第2のバキュームポンプ27−1により第2系統の真空配管25−2で吸着されて固定されており、この状態で吸着コレット10を用いて吸着力のみでピックアップする(STEP8)。そして、ピックアップが進行して吸着エリアの境界近傍まで進んだ時点で、切換弁を切り換えて第1系統の真空配管25−1に切り換え、第1のバキュームポンプ27−1を用いてピックアップされた吸着エリアを吸引する(STEP9−1)。図23ではピックアップが吸着エリア2−1までほぼ終了し、吸着エリア2−1に対応する切換弁26−1が閉じた状態を示している。
これによって、半導体チップ1をピックアップしてウェーハ吸着部2の一部が露出されることによって、第2のバキュームポンプ27−2の吸引力が低下するのを防止するとともに、露出されたウェーハ吸着部2に残存されている不良チップや製品にならないウェーハの周辺部の素子を吸着して固定できる。
なお、ピックアップが進行して吸着エリア内の半導体チップをピックアップした時点で、図24に示すように切換弁を閉じて吸着を停止しても良い(STEP9−2)。図24ではピックアップが吸着エリア2−4まで進み、吸着エリア2−1〜2−3に対応する切換弁26−1〜26−3が閉じた状態を示している。
その後、図25(a),(b),(c)に示すようにリードフレームにダイボンディングする(STEP10)。図25(a)は粘着性テープ24の剥離工程、図25(b)はピックアップ工程、図25(c)は半導体チップ1をリードフレーム13へ導電性ペースト14等でマウントする工程をそれぞれ概略的に示している。
そして、不良品及びウェーハ外周部の製品とならない素子を破棄する(STEP11)。
上述したように、半導体ウェーハの裏面に接着剤150を塗布することにより、BSG面(研削面)の保持力を高くできる。なぜなら、個片化された半導体ウェーハ100の裏面側を2分割以上された保持テーブル3で真空吸着し、主表面側の粘着性テープ24を剥離する際に、チップ間の隙間のリークで保持力が低下してしまう。特に、チップサイズが小さいと、吸着面積が小さくなるだけでなくチップ間の隙間の数が多くなるためリーク面積が多く不利である。しかし、上記接着剤150によってBSG面(研削面)の保持力を高くできる。
一般的なダイシングテープの粘着力を測定する方法と同じ方法で、チップ裏面に塗布した接着剤150の粘着力(タック力)を測定し、『粘着力+真空吸着された状態でのチップの保持力』を測定した。その結果、チップ裏面に6mN/25mmの粘着力(タック力)がある場合では、チップ裏面がBSG面(研削面)である時の保持力を1とすると、単位面積あたりBSG面の約1.08倍となり、単位面積あたりBSG面の約4.6倍程度の保持力となることが分かった。
実験結果では、同じ保持力を確保しようとすると、BSG面ではチップサイズが約10mm/□程度のものと、チップ裏面側が110mN/25mmのタック力を有する場合にはチップサイズが4.7mm/□程度のものと同等の保持力を示す。
また、チップが極薄となっているものでは、薄くなるほど素子の剛性がなくなり(曲がり易くなる)、主表面側の粘着性テープを剥離する際にチップが剥がれ難くなる。そこで、チップの裏面側に粘着性(タック力)を与えることで、真空吸引しているテーブル3の保持力を向上でき、薄いチップでも比較的容易に粘着性テープを剥がすことができる。
更に、チップ1の裏面に塗布する接着剤150のタック力を制御することで、粘着性テープ剥離時のチップのテーブル保持力を向上できるとともに、その後のチップのピックアップ工程において真空吸引力を変えることで容易にピックアップが可能となる。
従って、上記のような構成並びに方法によれば、個片化された半導体ウェーハを粘着性テープの剥離位置や半導体チップのピックアップ状態に応じた最適な吸引力で効果的に吸着固定できるので、半導体チップの薄型化によって問題となる、粘着性テープの剥離時やピックアップ時における半導体チップのクラックやチッピングを防止できる。また、吸着のみでピックアップを行うので、従来の突き上げピンによるピックアップで問題となっていた突き上げピン接触部での半導体チップへのダメージも防止できる。
従来の技術では半導体チップの厚さが50μm以下になると、半導体チップのピックアップ時にクラックが多発していたが(100pcs/100pcs)、本実施形態を適用することにより半導体チップの厚さが50μm以下であってもクラックの発生をほとんど無視できる(0/100pcs)までに低減できた。
なお、ダイボンダーを例にとって説明したが、図27(a),(b),(c)に示すように粘着性テープ24を剥離した後、個々の半導体チップ1をピックアップしてトレイ15に詰めるピッカー、図28(a),(b),(c)に示すように粘着性テープ24を剥離した後、個々の半導体チップ1をピックアップして実装基板16上にフリップチップ接続で実装するフリップチップボンダー、図29(a),(b),(c)に示すように粘着性テープ24を剥離した後、個々の半導体チップ1をピックアップして熱可塑性のフィルム基板17上にマウントするフィルム接着ボンダー、図30(a),(b),(c)に示すように粘着性テープ24を剥離した後、個々の半導体チップ1をピックアップして、加熱ツール19a,19bを用いてTABテープ18にマウントするインナーリードボンダー等、粘着性テープの剥離機構や半導体チップのピックアップ装置が必要となる他の半導体製造装置にも適用できるのは勿論である。
また、上記粘着性テープ24には、剥離の際にテープのベース層24−1と粘着層24−2とが分離されるものを用いることもできる。この場合には、図31に示すように、粘着性テープを剥離する際に、テープのベース層24−1のみが剥離され、粘着層24−2は半導体チップ1に粘着された状態で残存する。そして、半導体チップ1をピックアップする際には、図32に示すように、吸着コレット10にてチップ1を粘着層24−2に粘着された状態のまま吸着し、粘着層24−2を引きちぎってピックアップする。粘着層24−2の強度が高い場合には、チップ1間の領域にレーザーを照射し、粘着層24−2を溶断してからピックアップしても良い。あるいは、鋭利な刃物で粘着層24−2を切断しても良いし、溶剤を用いて少なくともチップ1間の領域の粘着層24−2を除去してからピックアップしても良い。
図33は、上述した剥離機構で用いられるウェーハ吸着部2の別の構成例を示している。この剥離機構では、粘着性テープ24の剥離量に応じて切換弁26−1〜26−7を切り換える制御装置31を設けている。図33において図4と同一構成部には同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
本例では、粘着性テープ24の剥離量を剥離爪21の位置(例えばLa〜Lf)、補助プレート22の位置、及びバキュームポンプ27−1,27−2の吸引力の変化等に応じて隣接する吸着エリア2−1〜2−7間の移動を検知し、この検知結果に応じて切換弁26−1〜26−7を切り換えるようにしている。
なお、上記剥離爪21(または補助プレート22)の位置La〜Lfの検出誤差Δ1は±0.5〜10mm、より好ましくは±0.5〜5mmの範囲内、補助プレート22の高さΔ2は粘着性テープ24の表面から0〜10mm、より好ましくは0〜5mmの範囲内にあることが好ましい。
このような構成によれば、より高精度化でき、粘着性テープ24の剥離をする際に、薄い半導体チップであってもクラックやチッピング等を防止できる。
前記制御装置31による切換弁26−1〜26−7の制御は、半導体チップのピックアップにも適用できるのは勿論である。
図34乃至図38はそれぞれ更に他の例について説明するためのもので、粘着性テープの剥離工程と半導体チップのピックアップ工程を順次示している。本例は、半導体チップのサイズが小さい(例えば、3mm□以下)場合、粘着性テープと半導体チップの表面に形成された膜(例えば表面保護膜)の密着性が非常に高い場合、あるいは表面にバンプが形成されている製品等のように半導体チップの表面に大きな凹凸がある場合等に好適なものである。
図34(a),(b)は、研削工程が終了した状態を示しており、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図の15B−15B’線に沿った断面図である。粘着性テープ24はウェーハリング32に貼り付けられており、個片化された半導体ウェーハ100(半導体チップ1)は上記粘着性テープ24に貼り付けられている。上記ウェーハリング32と粘着性テープ24は、半導体ウェーハ100の裏面研削工程で用いられたものである。ここで、上記粘着性テープ24は、上記個片化された半導体ウェーハ100の外周部から突出するサイズ(例えば、2mm以上大きい)が好ましい。
上記半導体ウェーハ100から粘着性テープ24を剥離する際には、図35(a),(b)に示すように、ウェーハリング32に貼り付けられている粘着性テープ24の外周部に剥離用テープ33を接着し、この剥離用テープ33を剥離爪21で掴み、半導体チップ100の吸着面と平行な方向に引いて剥離する。もしくは粘着性テープ24の端部を剥離爪21で直接掴み、半導体チップ1の吸着面と平行な方向に引いて剥離する。そして、まずウェーハリング32から粘着性テープ24を剥離する。
粘着性テープ24の剥離が進んで、ウェーハ吸着部(吸着ステージ)に固定されている半導体ウェーハ100(半導体チップ)の外周部に達した時には、図38(a)に示すように、粘着性テープ24は既にある一定以上の長さ(ΔL)剥離されている。よって、半導体ウェーハ100の外周部に到達したときの剥離角度は、図38(b)に示すように、半導体チップ1の表面を基準として鈍角ΔX(90度以上)となる。
これによって、半導体チップ1から粘着性テープ24を剥離するのに必要な力を非常に小さくできるので、半導体チップ1のサイズが小さい場合、半導体チップ1の表面保護膜と粘着性テープ24との密着性が非常に高い場合、及び半導体チップ1の表面に大きな凹凸がある場合等であっても比較的容易に剥離できる。従って、剥離不良となって外周部の半導体チップ1が粘着性テープ24に接着されたまま残存することはない。
以降の工程は、上述した例と同様であり、図36(a),(b)に示すように、粘着性テープ24の剥離が個片化された半導体ウェーハの外周部に位置する部分を過ぎたら、粘着性テープ24の剥離量(移動量)に合わせて、ウェーハ吸着部2の部屋分けされた吸着エリアの切換弁26−1〜26−7を順次切り換えてバキューム吸引することにより吸着固定しつつ、粘着性テープ24を剥離する。
その後、粘着性テープ24からウェーハ吸着部2に転写(吸着固定)された半導体チップ1の素子検出を行い、図37(a),(b)に示すように、良品素子のみ吸着コレット10にて吸着し、順次ピックアップする。
そして、上記ピックアップした半導体チップ1に対して、ダイボンディング工程やトレイ詰め工程等を行う。
本例によれば、半導体チップのサイズが小さく、真空吸着によって保持する力が弱い場合、粘着性テープと半導体チップの表面に形成された膜の密着性が非常に高い場合、あるいは半導体チップの表面に大きな凹凸がある場合等にも、粘着性テープの良好な剥離が行え、且つ半導体チップを確実にピックアップできる。
なお、ウェーハリング32を用いる場合を例にとって説明したが、ウェーハリングを用いなくても良い。この場合には、粘着性テープ24のサイズを半導体ウェーハの外周部よりも大きく(例えば2mm以上)して、外周部から突出させることにより、剥離開始時に粘着性テープ24を剥がし易くできる。また、ウェーハの外周部に配置されている半導体チップ1から粘着性テープ24を剥がし始めるときの角度を、半導体チップ1の表面を基準として鈍角にすることにより、半導体チップ1が粘着性テープ24に残って剥離不良となるのを防止できる。
図39は、本発明の別の例について説明するためのもので概略構成を示している。本例では、チャンバー27に粘着性テープ24の剥離機構を収容(保持テーブルの上面側を気密封止)し、剥離する粘着性テープ24側を加圧するようにしている。この際、ウェーハ吸着部2は裏面側から真空吸引する。これによって、チャンバー27の内部と半導体チップ1固定部の圧力差が大きくなり、半導体チップ1を強い吸着力で固定して粘着性テープ24を半導体チップ1から剥離できる。
このような構成によれば、個片化された半導体ウェーハの吸着力を高めることができるので、粘着力の強い粘着性テープであっても比較的容易に剥離することができる。
勿論、粘着性テープの剥離機構だけでなく、ピックアップ装置をチャンバーに収容しても良い。また、このような粘着性テープの剥離機構やピックアップ装置を他の半導体装置の製造装置に適用することもできる。
図40乃至図58はそれぞれ、上述した例において適用されるウェーハ吸着部の種々の構成例を示している。図40(a),(b)はウェーハ吸着部の多孔質材を粘着性テープの剥離方向に対して2つの吸着エリアに分離したものである。図41(a),(b)はウェーハ吸着部の多孔質材を粘着性テープの剥離方向に対して5つの吸着エリアに分離したものである。図42(a),(b)はウェーハ吸着部の多孔質材を粘着性テープの剥離方向に対して9つの吸着エリアに分離したものである。
図43(a),(b)乃至図46(a),(b)はそれぞれ、ウェーハ吸着部の多孔質材を粘着性テープの剥離方向に対して複数に分割するだけでなく、剥離方向と直交する方向にも2分割することにより、それぞれ吸着エリアを4、10、14、18個設けたものである。
図47乃至図52はそれぞれ、ウェーハ吸着部の多孔質材上に多数の透孔を有するプレート28を設け、このプレート28を介在して個片化された半導体ウェーハ100を吸着するものである。図47(a),(b)では多孔質材が粘着性テープの剥離方向に対して2つの吸着エリアに分離され、図48(a),(b)では5つのエリアに分離され、図49(a),(b)では7つのエリアに分離されている。また、図50(a),(b)では多孔質材が粘着性テープの剥離方向及びこの方向と直交する方向に対してそれぞれ2分割されて4つの吸着エリアに分離され、図51(a),(b)では10の吸着エリアに分離され、図52(a),(b)では14の吸着エリアに分離されている。
図53乃至図58はそれぞれ、ウェーハ吸着部の多孔質材上に、各半導体チップに対応する透孔を有するプレート30を設け、このプレート30を介在して個々の半導体チップを吸着するものである。図53(a),(b)では多孔質材が粘着性テープの剥離方向に対して2つの吸着エリアに分離され、図54(a),(b)では5つのエリアに分離され、図55(a),(b)では7つのエリアに分離されている。また、図56(a),(b)では多孔質材が粘着性テープの剥離方向及びこの方向と直交する方向に対してそれぞれ2分割されて4つの吸着エリアに分離され、図57(a),(b)では10の吸着エリアに分離され、図58(a),(b)では14の吸着エリアに分離されている。
このような構成であっても基本的には図19(a),(b)に示したウェーハ吸着部と同様であり、半導体チップ1のサイズや厚さ、粘着性テープ24の粘着力、厚さ、柔軟性等を考慮して最適な構造を選択すれば良い。
図59(a),(b)はそれぞれ、上述した例において適用されるウェーハ吸着部の別の構成例について説明するためのもので、多孔質粘着性テープとその支持部材を用いて、個片化された半導体ウェーハを吸着するものである。図59(a)は多孔質粘着性テープの断面図、図59(b)は支持部材の断面図である。
多孔質粘着性テープ40は、上記粘着性テープ24が貼り付けられた半導体チップ1を転写するために用いられる。上記多孔質粘着性テープ40には、多孔質材41の両面に、一方の面と他方の面との間で空気が貫通する多数の孔を塞がないように、通気性を有した状態で粘着剤42−1,42−2が塗布されている。上記多孔質材41には、多孔質であればセラミックや樹脂等のいかなる材料も用いることができる。また、上記粘着剤42−1,42−2の粘着力は通常の粘着性テープよりも弱く設定されている。上記多孔質粘着性テープ40は、半導体ウェーハの外形に適合するように円形形状を有し、その側面には空気が抜けないように空気抜け防止用具43が設けられている。この空気抜け防止用具43は、例えば粘着性樹脂や粘着性テープ等により形成できる。
一方、支持部材45には、一方の面と他方の面とを貫通する真空吸着用の透孔44−1〜44−7が開孔されている。これらの透孔44−1〜44−7はそれぞれ、例えば図21における2系統の真空配管25−1,25−2の切換弁26−1〜26−7に対応して設けられる。
そして、図60に示すように、上記多孔質粘着性テープ40における半導体チップの吸着(転写)面と反対側の面を支持部材45に貼り付けて用いる。
次に、上記図59(a),(b)及び図60に示した多孔質粘着性テープ40を用いる場合の粘着性テープ24の剥離工程について図61(a),(b),(c)により説明する。
まず、図61(a)に示すように、支持部材45の下面に支持部材45の真空吸着用の透孔44−1〜44−7に対応し、真空配管を接続するための接続孔を有する固定治具46を配置し、支持部材45の真空吸着用の透孔と固定治具46の接続孔、及び多孔質粘着性テープ40に存在する多数の孔を介して、バキュームポンプ27−1を用いてバキューム吸引する。これによって、バキュームポンプ27−1による真空吸着力と粘着剤42−1による接着力とで個片化された半導体ウェーハ(半導体チップ1)が多孔質粘着性テープ40に固定される。この結果、真空吸着力で多孔質粘着性テープ40の粘着力が弱いのを補うことができる。
支持部材45を介して半導体チップ1を真空吸着させた状態で、半導体チップ1に貼り付けられていた粘着性テープ24を矢印方向に引っ張って剥離する。剥離に際しては、粘着テープ24の一端側を剥離爪21で保持し、粘着性テープ24の上部に剥離を補助する補助プレート22をセットし、この補助プレート22で粘着性テープ24の上面を抑えて粘着性テープ24を曲げつつ、剥離爪21で粘着性テープ24の一端を図示矢印方向に引っ張って剥離する。この際、ウェーハ吸着部の隣接する吸着用の透孔に対応する粘着性テープ24の一部が剥離されたときに、切換弁により第2系統の真空配管25−2に切り換え、バキュームポンプ27−2による吸着力と粘着剤42−1による接着力を用いて剥離された半導体チップ1を固定する。ここでは、多孔質粘着性テープ40の多孔質材41は部屋分けされていないが、多孔質材41は距離が大きくなるにしたがって吸引抵抗が大きくなるので、主に真空吸着用の透孔から近距離に位置する半導体チップ1に吸引力を及ぼし、透孔の近傍が吸着エリアとなる。部屋分けされていないことによる吸着力の低下は、粘着剤42−1による接着力で補うことができる。よって、複数に部屋分けしたのと同様である。
粘着性テープ24の剥離が終了し、バキュームポンプ27−2による吸引を停止すると、図61(b)に示された状態となる。この状態では、各半導体チップ1は、粘着剤42−1による接着力で固定されている。そして、支持部材45から固定治具46を取り外すと、図61(c)に示すように支持部材45上に貼り付けられた多孔質粘着性テープ40に半導体チップ1が転写された状態となる。この状態で、次のピックアップ工程に向けて搬送する。
ピックアップ工程は、図62(a)に示すようにして行う。すなわち、多孔質粘着性テープ40に転写された半導体チップ1のうち、良品を選択して吸着コレット10の真空吸着力により吸着し、矢印方向(上方)にピックアップする。この際、各半導体チップ1は粘着剤42−1による接着力で固定されており、この状態で吸着コレット10を用いて吸着力のみでピックアップする。これによって、露出されたウェーハ吸着部に残存されている不良半導体チップ1’や製品にならないウェーハの周辺部の素子を固定できる。
なお、半導体チップ1のサイズや厚さ、多孔質粘着性テープ40の粘着力等、必要に応じて真空吸引を行って、半導体チップ1を真空吸着力と多孔質粘着性テープ40の粘着力の両方で固定しても良い。
図62(b)に、良品の半導体チップ1のピックアップが終了し、不良半導体チップ1’が多孔質粘着性テープ40上に残った状態を示す。
その後、図62(c)に示すように、不良半導体チップ1’と製品にならないウェーハの周辺部の素子が残っている多孔質粘着性テープ40から支持部材45を取り外す。
上記支持部材45は、以降の半導体チップのピックアップ工程で繰り返し使用することができる。一方、多孔質粘着性テープ40は、不良半導体チップ1’や製品にならないウェーハの周辺部の素子が貼り付けられた状態のまま破棄する。
上記のような構成のウェーハ吸着部は、吸着コレット10を用いて、半導体チップ1をピックアップする際に、多孔質粘着性テープ40の粘着力が低いため、薄厚化された半導体チップ1であっても容易に多孔質粘着性テープ40から剥がすことができる。従って、ピックアップの際に発生する半導体チップ1の破損を防止することができ、製造歩留まりの向上に寄与することができる。
なお、上述した説明では、多孔質粘着性テープ40の両面に粘着剤42−1,42−2を塗布したが、多孔質粘着性テープ40の半導体チップ1の接着面側のみに粘着剤42−1を塗布しても良い。この場合には、支持部材45の表面上に粘着剤を塗布しておく。
また、上記の例では、多孔質粘着性テープ40から支持部材45を取り外し、支持部材45の再利用を行い、不良半導体チップ1’と製品にならないウェーハの周辺部の素子が残存している多孔質粘着性テープ40を破棄した。しかし、図63(a)に示すように、不良半導体チップ1’(あるいは製品にならないウェーハの周辺部の素子)の表面に粘着性テープ47を貼り付け、図63(b)に示すように不良半導体チップ1を多孔質粘着性テープ40から剥離して粘着性テープ47と不良半導体チップ1’を破棄するようにしても良い。ここで、上記粘着性テープ47の粘着力は、粘着剤42−1の粘着力よりも強い必要がある。
この後、支持部材45と多孔質粘着性テープ40とを、次のピックアップ工程で再度利用する。このようにして、多孔質粘着性テープ40を例えば2〜10回程度再利用することにより、よりコストの低減を図ることができる。
次に、上記支持部材45のより具体的な構成について、幾つかの例を用いて説明する。図64乃至図69に、それぞれの支持部材の平面図及び断面図を示す。
図64(a),(b)に示した支持部材45aは、金属、セラミックあるいは樹脂等から成る円形の平板に、透孔48が複数箇所開孔された構成を有する。これらの透孔48は、真空吸着用の透孔(真空配管を接続するための接続孔)に対応して設けられている。
図65(a),(b)に示した支持部材45bは、樹脂やセラミック等から成り、多くの空気が貫通する孔を有する多孔質材で形成された円形の平板49の側面に空気抜け防止具50が設けられて形成されている。
図66(a),(b)に示した支持部材45cは、金属、セラミック、樹脂等から成る平板の中央部に、透孔51が一箇所設けられて形成されている。
これら図64(a),(b)乃至図66(a),(b)にそれぞれ示した支持部材45a,45b,45cは、いずれも表面に粘着剤が塗布されていない。従って、このような支持部材45a,45b,45cを用いる場合には、多孔質粘着性テープ40における支持部材45a,45b,45cとの貼り付け面に接着剤42−2が塗布されている必要がある。
これに対し、図67(a),(b)乃至図69(a),(b)にそれぞれ示した支持部材45d,45e,45fは、一方の面に接着剤52,53,54が塗布されている。ここで、接着剤52,53,54は、それぞれ真空吸引用の孔を塞ぐことがないように塗布されている。すなわち、図67(a),(b)に示した支持部材45dでは、複数の透孔48が存在しない領域の表面上に接着剤52が塗布されている。図68(a),(b)に示した支持部材45eでは、側面に空気抜け防止具50が設けられた多孔質材49における多数の孔を塞ぐことがないようにその表面上に接着剤53が塗布されている。また、図69(a),(b)に示された支持部材45fでは、一箇所の透孔51が存在しない領域の表面上に粘着剤54が塗布されている。
これら図67(a),(b)乃至図69(a),(b)にそれぞれ示した支持部材45d,45e,45fは、多孔質粘着性テープ40における支持部材との貼り付け面に接着剤が塗布されている場合、あるいは塗布されていない場合の両方において用いることができる。
上記支持部材45a〜45fのいずれを用いる場合においても、真空吸着用の孔が設けられているので、多孔質粘着性テープ40をこの支持部材45a〜45fに貼り付けた状態で支持部材45a〜45f側から真空吸引を行い、半導体チップを多孔質粘着性テープに真空吸着することができる。
上記のような多孔質材粘着性テープ40を用いたウェーハ吸着部の構成によれば、真空吸引と粘着剤による粘着力とを併用するので、多孔質材粘着性テープ40の粘着力を通常の粘着性テープのものより小さく抑えることができる。故に、粘着性テープ24を剥離する際には真空吸引と粘着剤の粘着力とで個片化された半導体ウェーハを強力に吸着し、半導体チップ1を多孔質粘着性テープ40からピックアップする際には真空吸引を停止または弱めることにより容易に剥がすことができる。これによって、半導体チップ1の破損を防止し、製造歩留まりを向上できる。
上記のような製造方法によれば、個片化された半導体ウェーハを粘着性テープの剥離位置や半導体チップのピックアップ状態に応じた最適な吸引力で効果的に吸着固定できるので、半導体チップの薄型化によって特に問題となる、粘着性テープの剥離時やピックアップ時における半導体チップのクラックやチッピング等の不良を低減して高品質の半導体装置を製造できるとともに、製造歩留まりの低下も抑制できる。
従って、この発明の一つの側面によれば、ダイシング不良と半導体チップの薄厚化による問題を抑制でき、低コストで高品質な半導体装置を製造できる半導体装置の製造方法が提供できる。
以上実施形態を用いてこの発明の説明を行ったが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…半導体チップ、2…ウェーハ吸着部、2−1〜2−7…吸着エリア、3…保持テーブル、4…TVカメラ、5…リードフレーム供給部、6…リードフレーム搬送装置、7…ペースト供給装置、8…ボンディングツール、9…リードフレーム収納部、10…吸着コレット、11…位置修正ステージ、12…ボンディングヘッド、13…リードフレーム、14…導電性ペースト、15…トレイ、16…実装基板、17…フィルム基板、18…TABテープ、19a,19b…加熱ツール、20…吸引装置、21…剥離爪、22…補助プレート、23−1〜23−7…接続孔、24…粘着性テープ、24−1…テープのベース層、24−2…粘着層、25−1,25−2…バキュームポンプ、26−1〜26−7…切換弁、27…チャンバー、28,30…プレート、31…制御装置、32…ウェーハリング、33…剥離用テープ、100…半導体ウェーハ、110…ダイヤモンドブレード、120−1,120−2,120−3…溝、130…研削用砥石、140…ポリッシングホイール、150…接着剤、160…ノズル、170…空洞、180…ブレード、190…レーザー照射装置、200…半導体素子。