本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
本発明は、複数の画素を有する表示装置において、ある画素に制御されている以上の大きい電流(過電流)が流れた場合に、それ以上その画素への電流の供給を選択的に遮断または減少させる構成に関するものである。上記目的を達成するために、本発明では、画素電極に、ある一定値以上の電流が流れた際に画素電極自体の抵抗が高くなる材料を用いる。例えば、一定値以上の大きい電流が流れると抵抗が高くなる性質を有する金属材料を画素電極として用いる。他にも、画素電極を2層またはそれ以上の積層構造で形成し、ある一定以上の大きい電流が流れると、積層した層同士が反応して抵抗が高くなるものを画素電極として用いることができる。また、ある一定以上の大きい電流が流れた場合に、画素電極と画素電極に接続した配線とが反応することによって、結果として画素電極の抵抗が高くなる構成を用いることもできる。
このように、本発明では、画素電極にある一定以上の電流が流れた場合、画素電極の少なくとも一部の抵抗を高くすることにより、画素電極へ流れ込む電流を遮断または減少させる。なお、画素電極へ流れ込む電流の遮断または減少は、画素電極と画素電極に電流を供給する配線とが接続する領域(接続部)において行うことが好ましい。つまり、画素電極へ流れ込む電流を、画素電極の入り口で遮断することにより、電流が発光層へ流れることによる画素の発光を効果的に防ぐことができる。そのため、画素電極に過電流が流れた際に、画素電極と配線の接続部における画素電極の抵抗を選択的に高くすればよい。
本発明においては、画素電極にある一定以上の電流が流れた際に画素電極自体の抵抗を高くする。そのため、画素電極と配線との接続部における画素電極の形状を、当該画素電極の他の部分に比べてその幅を小さくすることが好ましい。その結果、画素電極における幅の小さい領域は、画素電極の他の領域に比べて電流密度が高くなるため、選択的に幅の小さい領域の画素電極の抵抗を高くすることができる。
また、本発明の表示装置の構成は、複数の画素をマトリクス状に配置した表示装置であれば適用可能であり、例えば液晶表示装置や発光素子を用いたEL表示装置等に適用することができる。
以下に、上記構成を有する表示装置の具体的な形態に関して、図面を用いて説明を行う。
(実施の形態1)
本実施の形態では、画素に過電流が流れた際に、当該画素に流れる電流を遮断または減少させる表示装置の一例に関して図面を参照して以下に説明する。
図1(A)は、表示装置の画素における画素電極の上面図を示しており、図1(B)はその断面図を示したものである。図1において、配線14を覆って層間絶縁膜15が形成され、層間絶縁膜15にはコンタクトホール10が形成されている。そのコンタクトホールを介して画素電極11と配線14が電気的に接続されている。本実施の形態では、画素電極11は、一部を除いて金属膜11aと透明導電膜11bが積層した構造になっている。ここで、金属膜11aとしては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、白金(Pt)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、金(Au)、マンガン(Mn)から選ばれた一種の元素、該元素を複数含む合金または当該元素と炭素(C)を含む合金からなる単層または積層構造を用いることができる。本実施の形態では、Alが含まれている金属を用いると好ましく、例えばCとTiを含有したAl合金、Niを含有したAl合金、CとNiを含有したAl合金、CとMnを含有したAl合金等を用いることができる。なお、金属膜11aとして高い反射性を有するAlを用いると、発光層の下面(金属膜11a側)に発せられた光が金属膜に反射されるためより上面(金属膜11aの反対側)に多くの光を取り出すことができる。
また、透明導電膜11bとしては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。他にも、酸化珪素を含む酸化インジウムスズや、酸化珪素を含んだ酸化インジウムにさらに酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。本実施の形態では透明導電膜11bとして酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。
なお、画素電極11と配線14は、金属膜で形成された配線13によって電気的に接続されている。配線13は金属膜11aと同時に形成可能であり、この場合、金属膜11aと同じ材料で形成されている。また、異なる材料で別々に作り分けてもよい。本実施の形態では、画素電極11と配線13の接続は、透明導電膜11bと配線13が接することにより行われる。具体的には、画素電極11と配線13との接続部において画素電極11が狭幅領域を有しており、当該狭幅領域の画素電極11の少なくとも一部は金属膜11aを含まない領域を有している。なお、狭幅領域における画素電極はどのような形状でもよく、本実施の形態では、矩形状となっている。
このように、画素電極11を2層構造とし、矩形状をしている領域17(以下領域17と示す)を形成することによって、画素電極11に過電流が流れ込んだ際、その電流を遮断または減少することができる。その原理について以下に簡単に説明する。
領域17においては、画素電極11の幅が小さいため、画素に電流が流れる際、領域17を流れる電流密度は、領域17以外の画素電極11に流れる電流密度より高くなる。仮に、TFTの破損や陽極と陰極間のショート等により画素に過電流が流れ込んだ場合には、領域17の電流密度は大幅に上昇する。領域17の電流密度が高くなることによって、領域17において酸化珪素を含む酸化インジウムスズからなる透明導電膜11bの酸素(O)と金属膜11aのAlとが反応して、画素電極11中にAl2O3等のAlの酸化物が形成される。その結果、領域17またはその周辺の画素電極11の抵抗が高くなり、絶縁化するため画素電極11へ電流が流れなくなる、あるいは流れる電流が減少する。
従って、画素に過電流が流れ込むのを防止するには、一定値以上の高い電流が画素に流れた場合にのみ画素電極自体の抵抗が高くなり、画素に電流が流れなくなる構成を有する画素電極を設ければよい。これを実現するため、本実施の形態では、画素電極11を金属膜11aと透明導電膜11bの2層からなる構造を設けている。
また、電流密度が高いほど金属膜11aと透明導電膜11bが反応して画素電極の抵抗が高くなる。画素に過電流が流れ込んだ際に画素電極の入り口部分で電流を遮断するため、透明導電膜11bと配線13とが電気的に接続する部分において、流れ込む電流の電流密度が高くなる領域17を設けることが好ましい。その結果、過電流が流れた場合に選択的に領域17の画素電極が高抵抗化し、画素電極の入り口部分で電流を遮断または減少させることができる。さらに、領域17における画素電極の形状を制御することによって、流れる電流値によって画素電極11の抵抗を高くするかを制御することが可能となる。
発光素子を用いた表示装置において、画素への電流または電圧の供給を制御しているTFTが壊れた場合、画素に設けられた発光層に常に大きい電流が流れ続け、その画素は常に光っている状態になる。しかし、本実施の形態を用いることによって、画素に大きい電流が流れた場合に、その画素へ流れる電流を遮断することができる。そのため、その画素は輝点欠陥とはならず自動的に常に発光しない状態の暗輝点欠陥となる。暗輝点欠陥の場合には、映像を表示する場合に輝点欠陥より目立たないため、商品の品質を保つことができる。
また、本実施の形態の構成を用いることによって、陽極と陰極間のショートにより欠陥が発生した場合の問題も防ぐことができる。陽極と陰極がショートした場合には、その部分に大きな電流が集中して流れるため、消費電流の増加や発熱による周辺画素への悪影響が問題となる。しかし、本実施の形態では、陽極と陰極間のショートにより発生した過電流が画素に流れた場合に、その電流を遮断し、周辺画素への影響を最小限に抑えることができる。
なお、本実施の形態では、図1を用いて説明したが、図1の構成や上述した材料に限られない。過電流が流れることによって透明導電膜と反応して高抵抗化する材料を用いればよく、例えば、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)または銅(Cu)等を用いてもよい。また、画素電極を単層で形成してもよい。この場合、一定以上の電流が流れた場合に高抵抗化する金属膜を画素電極として用いればよい。また、過電流が流れた際に十分に透明導電膜11bと配線13に含まれたAlが反応するときには、金属膜11aを設けなくてもよい。この場合、透明導電膜11bのみで画素電極を形成することができる。また、本実施の形態では、領域17における画素電極11を透明導電膜11bのみで形成しているが、領域17も画素電極の他の部分と同様に金属膜11aと透明導電膜11bの2層の積層構造としてもよい。
また、金属膜11aと配線13の端部をテーパー状にしてもよい。金属膜11aと配線13の端部をテーパー状にすることによって、その上に形成される透明導電膜11bの段切れを防止することができる。
なお、本実施の形態では、領域17において画素電極11の形状が矩形状の場合を例に挙げて説明を行ったが、この形状に限られない。画素に電流が流れる際に、画素電極11と配線13が接続する領域が画素電極の他の領域より電流密度が高くなるような形状であれば、どのような形状でもよい。例えば、図6(A)〜(D)に示す形状とすることも可能である。
図6において、画素電極11を領域17、18、19に区切り、それぞれの幅をa、b、cで表している。なお、領域17および領域19は上述した狭幅領域を指し、図6においては画素電極の出っ張った領域(領域17、領域19)に相当する。
図1では、領域17の幅aと領域19の幅cが同じであり、且つ領域18の幅bより小さい(a=c<b)場合を示した。また他の形状として、図6(A)に示すように、画素電極は、領域17の幅aが領域18の幅bおよび領域19の幅cより小さい(b>c>a)くびれた形状としてもよい。
つまり、本実施の形態では、画素電極の狭幅領域(出っ張った領域(領域17、領域19))の形状は、領域18の幅bより狭くなるように形成すればどのような形状でもよく、例えば、領域17の幅aが少なくとも領域18の幅bおよび領域19の幅cより小さい(a<b、c)形状(図6(A)、(C)、(D))または、領域17の幅aと領域19の幅cが同じであり、且つ領域18の幅bより小さい(a=c<b)形状(図1、図6(B))で設けることが可能である。また、領域17の幅aは必ずしも一定に設ける必要はなく、例えば、領域18に近づくにつれて幅が大きくなるように設けてもよいし、領域19に近づくにつれて幅が大きくなるように形成してもよい。
また、本実施の形態では、画素電極11の構成において、金属膜11aの上方に透明導電膜11bが配置した構造となっているが、透明導電膜11bの上方に金属膜11aが配置した構造(図3)を用いてもよい。この場合、透明導電膜11bを形成した後に、金属膜11aおよび配線13を同時に形成する。
また、本実施の形態は、アクティブマトリクス型のTFTを用いた表示装置であれば、適用することが可能であり、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置に適用することができる。
このように、本実施の形態を用いることによって、表示装置において、画素に欠陥が生じ当該画素に過電流が流れた場合であっても、当該画素への電流を遮断または減少することによって、輝点欠陥の発生、消費電力の増加または欠陥箇所の温度上昇に伴う周辺画素への影響を防止し表示装置の商品の品質を保つことが可能となる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる表示装置の一例に関して図2を用いて説明する。
図2において、薄膜トランジスタ21と、薄膜トランジスタ21を覆って形成された層間絶縁膜22と、層間絶縁膜22上に形成された配線23が形成されている。配線23は、層間絶縁膜22に形成されたコンタクトホールを介して薄膜トランジスタ21のソースまたはドレイン領域と接続されている。また、画素電極24が配線23によって、薄膜トランジスタ21のソースまたはドレイン領域と電気的に接続されている。配線23としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、白金(Pt)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、金(Au)、マンガン(Mn)から選ばれた一種の元素、該元素を複数含む合金または当該元素と炭素(C)を含む合金からなる単層または積層構造を用いることができる。本実施の形態では、AlとTiが積層されたTi、Al、Tiの順で積層された金属膜を配線23として用いる。また、層間絶縁膜22上に形成された配線23の端部をテーパー状にする。
画素電極24は実施の形態1と同様に透明導電膜で形成することができ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、酸化珪素を含む酸化インジウムスズまたは酸化珪素を含む酸化インジウムにさらに2〜20%の酸化亜鉛を混合したもの等の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。本実施の形態では、画素電極24に酸化珪素を含む酸化インジウムスズを用いる。画素電極24と配線23とが接続した領域において、画素電極24の形状を他の画素電極の領域と比較して幅が小さい形状にする。このような構造にすることによって、画素に過電流が流れた場合に、上記実施の形態1と同様に領域29における画素電極24の抵抗が高くなり、画素に流れ込む電流を遮断または減少させることができる。
本実施の形態では、画素に過電流が流れた際に、画素電極24と接続している配線23のAlが露出している部分31において、画素電極24に含まれる酸素が配線23のAlと反応する。そして、領域29またはその周辺において画素電極24または配線23中にAl2O3等のAlの酸化物が形成され、画素電極24または配線23の抵抗が高くなる。その結果、実施の形態1と同様に、画素へ流れ込む電流が遮断または減少する。
また、Ti、Al、Tiの順で積層された配線23の端部をテーパー状に形成することにより、配線23の断面の露出する面積が広くなる。そのため、配線23と画素電極24の接続する部分31の面積が広くなるため、画素に過電流が流れた際、領域29において画素電極24の酸素と配線23のAl部分との反応をより起こりやすくすることができる。同時に、端部をテーパー状にすることによって、配線23の上方に形成される画素電極24の段切れ等を防止することができる。
また、図2(B)の他の構成として、図2(C)に示すように、配線23を覆うように第2の層間絶縁膜28を設け、第2の層間絶縁膜28上に画素電極27を形成してもよい。この場合、画素電極27は第2の層間絶縁膜28に形成されたコンタクトホールを介して金属膜26によって、配線25と電気的に接続されている。金属膜26としては、配線25と同じ材料を用いてもよいし、またはAlの単層で形成してもよい。なお、さらに多層な場合であっても同様に適用することが可能である。
本実施の形態の構成を用いることによって、実施の形態1と同様に、TFTが壊れるまたは陽極と陰極間がショートすることによって、画素に欠陥が生じた場合にもその欠陥を最小限に抑えることができる。また、実施の形態1の構成では、画素電極を金属膜と透明導電膜の2層構造としている。そのため、発光素子を用いた表示装置において、光を上方に放出する(トップエミッション型)を適用する場合がほとんどである。しかし、本実施の形態では、画素電極として透明導電膜のみを用いることができるため、トップエミッション型のみならず光を下方に放出する(ボトムエミッション型)構造または光を上方および下方の双方に放出する(デュアルエミッション型)構造を適用することが可能となる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の表示装置のより具体的な構成とその作製方法について、図4、5を用いて説明する。
まず、図4(A)に示すように、TFT及び発光素子を形成する基板100を用意する。具体的に基板100は、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、ステンレスを含む金属基板または半導体基板の表面に絶縁膜を形成したものを用いても良い。プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐え得るのであれば用いることが可能である。基板100の表面を、CMP法などの研磨により平坦化しておいても良い。
次に、基板100上に下地膜101を形成する。下地膜101は、基板100にガラスを用いた場合に、基板に含まれるNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が半導体膜中に拡散し、半導体素子の特性に悪影響をおよぼすのを防ぐことができる。そのため、アルカリ金属やアルカリ土類金属の半導体膜への拡散を押させることができる酸化珪素や、窒化珪素または窒化酸化珪素などの絶縁膜を用いて形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて窒化酸化珪素膜を10〜400nmの膜厚になるように成膜する。なお、プラズマCVD以外にもスパッタ法や減圧CVD法等の公知の方法を用いても形成することができる。また、本実施の形態では下地膜101を単層の構造としているが、2層あるいはそれ以上の複数層で形成してもよい。なお、ガラス基板またはプラスチック基板のように、アルカリ金属やアルカリ土類金属が多少なりとも含まれている基板を用いる場合、不純物の拡散を防ぐという観点から下地膜101を設けることは有効であるが、石英基板など不純物の拡散がさして問題とならない場合は、必ずしも設ける必要はない。
次に、下地膜101上に非晶質半導体膜102を形成する。非晶質半導体膜102はシリコンまたはシリコンを主成分とする材料(例えばSixGe1-x等)で25〜80nmの厚さに形成すればよい。作製方法としては、公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法、またはプラズマCVD法等が使用できる。
続いて、非晶質半導体膜102をレーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法などの公知の結晶化法により結晶化させる(図4(A))。
次に、結晶性半導体膜をエッチングにより島状の半導体膜102a〜102cとする。続いて、島状の半導体膜102a〜102cを覆うようにゲート絶縁膜103を形成する(図4(B))。ゲート絶縁膜103には、例えば酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等を用いて単層または複数の膜を積層させて形成することができる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタ法などを用いることができる。ここでは、スパッタ法を用いて、膜厚を30nm〜200nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。
次に、ゲート絶縁膜103上に第1の導電層104a〜104c(ゲート電極)として窒化タンタル(TaN)とその上に第2の導電層105a〜105cとしてタングステン(W)を形成する(図4(C))。TaN膜、W膜は共にスパッタ法で形成すればよく、TaN膜はTaのターゲットを用いて窒素雰囲気中で、W膜はWのターゲットを用いて成膜すれば良い。
なお、本実施の形態では第1の導電層をTaN、第2の導電層をWとしたが、これに限定されず、第1の導電層と第2の導電層は共にタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジウム(Nd)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、銀とパラジウムと銅の合金(AgPdCu合金)を用いてもよい。さらに、その組み合わせも適宜選択すればよい。膜厚は第1の導電層が20〜100nm、第2の導電層が100〜400nmの範囲で形成すれば良い。また、本実施の形態では、2層の積層構造としたが、1層としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
次に、ゲート電極またはレジストを形成しパターニングしたものをマスクとして用い、半導体膜102a〜102cにn型またはp型の導電性を付与する不純物を選択的に添加し、ソース領域、ドレイン領域、さらにはLDD領域等を形成する。
次いで、レジストからなるマスクを除去して第1のパッシベーション膜106を形成する(図4(D))。この第1のパッシベーション膜106としてはシリコンを含む絶縁膜を100〜200nmの厚さに形成する。成膜法としてはプラズマCVD法や、スパッタ法を用いればよい。本実施の形態では、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を形成した。酸化窒化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化珪素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化珪素膜を形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2である。また、第1のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化珪素膜を適用しても良い。もちろん、第1のパッシベーション膜106は、本実施の形態のような酸化窒化珪素膜の単層構造に限定されるものではなく、他の珪素を含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。
その後、レーザアニール法を行い、半導体膜の結晶性の回復、半導体膜に添加された不純物元素の活性化を行うことが好ましい。また、第1のパッシベーション膜106を形成した後で熱処理を行うことで、活性化処理と同時に半導体膜の水素化も行うことができる。水素化は、第1のパッシベーション膜106に含まれる水素によって、半導体膜のダングリングボンドを終端するものである。ここでは、パッシベーション膜106としてSiNOを用い、窒素雰囲気下、410℃で熱処理を行うとよい。
また、第1のパッシベーション膜106を形成する前に加熱処理を行ってもよい。但し、第1の導電層104a〜104c及び第2の導電層105a〜105cを構成する材料が熱に弱い場合には、本実施の形態のように配線などを保護するため、第1のパッシベーション膜106を形成した後で熱処理を行うことが望ましい。さらに、この場合、第1のパッシベーション膜がないため、当然パッシベーション膜に含まれる水素を利用しての水素化は行うことができない。
この場合は、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)を用いての水素化や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理による水素化を用いれば良い。
次いで、第1のパッシベーション膜106上に、第1の層間絶縁膜107を形成する(図4(E))。第1の層間絶縁膜107としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化シリコン膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化シリコン膜などを用いることができ、有機絶縁膜としてはポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂等の膜を用いることができる。また、アクリル膜と酸化窒化シリコン膜の積層構造を用いても良い。
また、第1の層間絶縁膜としては、シロキサン樹脂等を用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
上記の材料を用いることで、膜厚を薄くしても十分な絶縁性および平坦性を有する層間絶縁膜を得ることができる。また、上記の材料は耐熱性が高いため、多層配線におけるリフロー処理にも耐えうる層間絶縁膜を得ることができる。さらに、吸湿性が低いため、脱水量の少ない層間絶縁膜を形成することができる。
本実施の形態では、シロキサン系のポリマーを第1の層間絶縁膜として形成する。第1の層間絶縁膜107によって、基板上に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化することができる。とくに、第1の層間絶縁膜107は平坦化の意味合いが強いので、平坦化されやすい材質の絶縁膜を用いることが好ましい。また、これ以外にも第1の層間絶縁膜にSiONを用いることができ、この場合は第1のパッシベーション膜を設けなくともよい。
その後、第1の層間絶縁膜107上に窒化酸化シリコン膜等からなる第2のパッシベーション膜を形成してもよい。膜厚は10〜200nm程度で形成すれば良く、第2のパッシベーション膜によって第1の層間絶縁膜107へ水分が出入りすることを抑制することができる。第2のパッシベーション膜には、他にも窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜やカーボンナイトライド(CN)膜も同様に使用できる。
またRFスパッタ法を用いて成膜された膜は緻密性が高く、バリア性に優れている。RFスパッタの条件は、例えば酸化窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、N2、Ar、N2Oをガスの流量比が31:5:4となるように流し、圧力0.4Pa、電力3000Wとして成膜する。また、例えば窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、チャンバー内のN2、Arをガスの流量比が1:1となるように流し、圧力0.8Pa、電力3000W、成膜温度を215℃として成膜するとよい。
次いで、第1の層間絶縁膜107及び第1のパッシベーション膜106をエッチングし、ソースおよびドレイン領域に達するコンタクトホールを形成する。続いて、各ソースおよびドレイン領域とそれぞれ電気的に接続する配線108a〜108fを形成する(図5(A))。配線108a〜108fとしては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、白金(Pt)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、金(Au)、マンガン(Mn)から選ばれた一種の元素、該元素を複数含む合金または当該元素と炭素(C)を含む合金からなる単層または積層構造を用いることができる。ここでは、Alを含んだ金属膜で形成することが好ましい。本実施の形態では、Ti膜とAlとTiを含む合金膜との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、2層構造に限らず、単層構造でも良いし、3層以上の積層構造にしても良い。また、配線材料としては、AlとTiの積層膜に限られない。例えばTaN膜上にAl膜やCu膜を形成し、更にTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成しても良い。
次に、配線108a〜108fを覆うように第2の層間絶縁膜109を形成する。第2の層間絶縁膜としては、前述した第1の層間絶縁膜と同様のものを用いることができる。本実施の形態では、第2の層間絶縁膜109にシロキサン系ポリマーを用いる。シロキサン系ポリマーは耐熱性が高いため、多層配線におけるリフロー処理にも耐えうる層間絶縁膜を得ることができる。
続いて、第2の層間絶縁膜109を選択的にエッチングし、コンタクトホールを形成する。その後、配線108fと接続するための配線111を形成する。また、配線111と同時に画素電極112aを形成する(図5(B))。配線111および画素電極112aは、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、白金(Pt)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、金(Au)、マンガン(Mn)から選ばれた一種の元素、該元素を複数含む合金または当該元素と炭素(C)を含む合金からなる単層または積層構造を用いることができる。本実施の形態では、Al合金を用いればよく、ここでは、NiとCを含むAl合金によって形成する。
次に、第2の層間絶縁膜109、配線111および画素電極112a上に画素電極112bを形成する(図5(C))。画素電極112bは、少なくとも配線111および画素電極112aと重ならない領域119において、画素電極112bの他の領域の形状より幅が小さくなるように形成する。画素電極112bとしては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。他にも、酸化珪素を含む酸化インジウムスズや、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。
次に、画素電極112a、112bの端部を覆うように絶縁膜(バンク)116を形成し、画素電極112bに接するように電界発光層114を形成する。その後、電界発光層114に接するように電極115を積層して形成する(図5(D))。電極115が陰極の場合には、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、これらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li、Mg:Inなど)、およびこれらの化合物(CaF2、CaN)の他、YbやEr等の希土類金属を用いることができる。また電子注入層を設ける場合、Alなどの他の導電膜を用いることも可能である。また陰極側から光を取り出す場合は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料を用いることが可能である。他にも酸化珪素を含む酸化インジウムスズや、酸化珪素を含んだ酸化インジウムに、さらに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したものを用いても良い。透光性酸化物導電材料を用いる場合、後に形成される電界発光層114に電子注入層を設けるのが望ましい。また透光性酸化物導電材料を用いずとも、陰極を光が透過する程度の膜厚(好ましくは、5nm〜30nm程度)で形成することで、陰極側から光を取り出すことができる。この場合、該陰極の上方または下方に接するように透光性酸化物導電材料を用いて透光性を有する導電膜を形成し、陰極のシート抵抗を抑えるようにしても良い。
以上の工程により、図5(D)に示す表示装置を作製することができる。なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態4)
発光素子を用いた表示装置の画素の回路について、図7を用いて説明する。図7(A)は、画素の等価回路図を示したものであり、該画素は、信号線6114、電源線6115、6117、走査線6116の各配線で囲まれた領域に、画素に対するビデオ信号の入力を制御するTFT6110、発光素子6113の両電極間に流れる電流値を制御するTFT6111、該TFT6111のゲート・ソース間電圧を保持する容量素子6112を有する。なお、図7(A)では、容量素子6112を図示したが、TFT6111のゲート容量や他の寄生容量で賄うことが可能な場合には、設けなくてもよい。
図7(B)は、図7(A)に示した画素に、TFT6118と走査線6119を新たに設けた構成の画素回路である。TFT6118の配置により、強制的に発光素子6113に電流が流れない状態を作ることができるため、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時または直後に点灯期間を開始することができる。従って、デューティ比が向上して、動画の表示は特に良好に行うことができる。
図7(C)は、図7(B)に示した画素のTFT6111を削除して、新たにTFT6125、6126と、配線6127を設けた画素回路である。本構成では、TFT6125のゲート電極を一定の電位に保持した配線6127に接続することにより、このゲート電極の電位を固定し、なおかつ飽和領域で動作させる。また、TFT6125と直列に接続させ、線形領域で動作するTFT6126のゲート電極には、TFT6110を介して、画素の点灯または非点灯の情報を伝えるビデオ信号を入力する。線形領域で動作するTFT6126のソース・ドレイン間電圧の値は小さいため、TFT6126のゲート・ソース間電圧のわずかな変動は、発光素子6113に流れる電流値には影響をおよぼさない。従って、発光素子6113に流れる電流値は、飽和領域で動作するTFT6125により決定される。なお、TFT6125のチャネル長L1、チャネル幅W1、TFT6126のチャネル長L2、チャネル幅W2は、L1/W1:L2/W2=5〜6000:1を満たすように設定するとよい。また、両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましい。さらに、TFT6125には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。
また、図7(A)に対応する画素の回路図を図8に示す。図8において、画素電極6150を形成する材料や構成は上記の実施の形態で示したものと同様のものを利用できる。図8に示すように、画素電極6150と配線6151が接続している領域6152において、画素電極6150の形状を画素電極6150の他の部分より幅が小さい形状にする。本実施の形態では、領域6152における画素電極6150をくびれた形状にしている。このような構成にすることによって、画素に大きな電流が流れた際に、領域6152の画素電極6152の抵抗が高くなり、画素に流れる電流が遮断または減少される。なお、画素電極6150の形状はくびれた形状に限られず、上記実施の形態に示した構造を用いてもよい。
また、表示装置に多階調の画素を表示するときの駆動方法として、アナログのビデオ信号を用いるアナログ駆動とデジタルのビデオ信号を用いるデジタル駆動を用いることができる。両方式の違いは、発光素子の発光、非発光のそれぞれの状態において該発光素子を制御する方法にある。前者のアナログ駆動は、発光素子に流れる電流を制御して階調を制御する。また後者のデジタル駆動は、発光素子がオン状態(輝度がほぼ100%である状態)と、オフ状態(輝度がほぼ0%である状態)の2つの状態のみによって階調表現する。デジタル駆動は、オンとオフの2つの状態だけを用いると、2階調しか表示できないため、別の方式と組み合わせて多階調の画像を表示する駆動方法があり、例えば面積階調方式や時間階調方式が挙げられる。
但し、デジタルのビデオ信号を用いる場合、そのビデオ信号が電圧を用いているのか、電流を用いているのかで異なる。つまり、発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがある。ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。
本発明の表示装置は、液晶パネル及び発光素子を用いたパネルを問わず、アナログ駆動またはデジタル駆動のいずれを使用してもよく、また、デジタル駆動において面積階調方式や時間階調方式のいずれを適用してもよい。他にも、本実施の形態で挙げなかった他の駆動方法を適用してもよい。また、定電圧駆動、定電流駆動のどちらを用いてもよい。
なお、本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態は、本発明の表示装置の一形態であるパネルについて、図10を用いて説明する。
基板50上には、発光素子を含む画素を複数有する表示領域51、ゲートドライバ52、53、ソースドライバ54および接続フィルム55が設けられる(図10(A))。接続フィルム55はICチップなどに接続する。
図10(B)はパネルのA−Bにおける断面図を示し、表示領域51に設けられたトランジスタ412、発光素子413および容量素子416、ソースドライバ54に設けられた素子群410を示す。
表示領域51、ゲートドライバ52、53およびソースドライバ54の周囲にはシール材408が設けられ、発光素子413は、該シール材408と対向基板406により封止される。この封止処理は、発光素子413を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。基板50上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型・軽量・薄型が実現される。
なお、表示領域51は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたトランジスタにより構成し、表示領域51を制御する回路はICチップにより構成してもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。また、ICチップは、COG(Chip On Glass)方式により基板50上に貼り合わせたり、基板50に接続する接続フィルム55に貼り合わせたりしてもよい。なお、液滴吐出法とは、導電性や絶縁性等を有する材料を含んだ組成物の液滴(ドットともいう)を選択的に吐出(噴射)して任意の場所に形成する方法であり、その方式によってはインクジェット法とも呼ばれている。
ここで、図11(A)、図11(B)に、チップ状のIC(ICチップ)を、画素を複数有する表示領域が形成された素子基板に実装する様子を示す。図11(A)では、基板50上に表示領域51と、ゲートドライバ52、53とが形成されている。そして、ICチップ58に形成されたソースドライバが、基板50に実装されている。具体的には、ICチップ58に形成されたソースドライバが、基板50に貼り合わされ、表示領域51と電気的に接続されている。また、表示領域51と、ゲートドライバ52、53と、ICチップ58に形成されたソースドライバとに、それぞれ電源電位、各種信号等が、接続フィルム55を介して供給される。
図11(B)では、基板50上に表示領域51と、ゲートドライバ52、53とが形成されている。そして、ICチップ59に形成されたソースドライバが、基板50に実装された接続フィルム55に更に実装されている。表示領域51と、ゲートドライバ52と、ICチップ59に形成されたソースドライバとに、それぞれ電源電位、各種信号等が、接続フィルム55を介して供給される。
ICチップの実装方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。またICチップを実装する位置は、電気的な接続が可能であるならば、図11に示した位置に限定されない。また、図11ではソースドライバのみをICチップで形成した例について示したが、ゲートドライバをICチップで形成しても良いし、またコントローラ、CPU、メモリ等をICチップで形成し、実装するようにしても良い。また、ソースドライバやゲートドライバ全体をICチップで形成するのではなく、各駆動回路を構成している回路の一部だけを、ICチップで形成するようにしても良い。
なお、駆動回路などの集積回路を別途ICチップで形成して実装することで、全ての回路を画素部と同じ基板上に形成する場合に比べて、歩留まりを高めることができ、また各回路の特性に合わせたプロセスの最適化を容易に行うことができる。
なお図11では示していないが、表示領域が形成されている基板上に、保護回路を設けていても良い。保護回路により放電経路を確保することができるので、信号及び電源電圧が有する雑音や、何らかの理由によって絶縁膜にチャージングされた電荷によって、基板に形成された半導体素子が劣化あるいは絶縁破壊されるのを防ぐことができる。具体的に図11(A)の場合、接続フィルム55と表示領域51とを電気的に接続している配線に、保護回路を接続することができる。またさらに、接続フィルム55とソースドライバが形成されたICチップ58とを電気的に接続している配線、接続フィルム55とゲートドライバ52、53とを電気的に接続している配線、ソースドライバが形成されたICチップ58と表示領域51とを電気的に接続している配線(ソース線)、ゲートドライバ52、53と表示領域51とを電気的に接続している配線(ゲート線)に、それぞれ保護回路を接続することができる。
なお、本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態6)
次に図9を用いて、発光素子の構成について説明する。本発明における発光素子を用いた表示装置の素子構成を、図9に模式的に示す。
図9に示す発光素子は、基板500上に形成された第1の電極501と、第1の電極501上に形成された電界発光層502と、電界発光層502上に形成された第2の電極503とを有する。なお実際には、基板500と第1の電極501の間には、各種の層または半導体素子などが設けられている。
本実施の形態では、第1の電極501が陽極、第2の電極が陰極の場合について説明するが、第1の電極501が陰極、第2の電極が陽極であっても良い。
電界発光層502は単数または複数の層で構成されている。複数の層で構成されている場合、これらの層は、キャリア輸送特性の観点から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などに分類することができる。なお各層の境目は必ずしも明確である必要はなく、互いの層を構成している材料が隣接した層に一部混合し、界面が不明瞭になっている場合もある。各層には、有機系の材料、無機系の材料を用いることが可能である。有機系の材料として、高分子系(ポリマーともいう)、中分子系、低分子系のいずれの材料も用いることが可能である。なお中分子系の材料とは、構造単位の繰返しの数(重合度)が2から20程度の低重合体に相当する。
正孔注入層と正孔輸送層との区別は必ずしも厳密なものではなく、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な特性である意味において同じである。便宜上正孔注入層は陽極に接する側の層であり、正孔注入層に接する層を正孔輸送層と呼んで区別する。電子輸送層、電子注入層についても同様であり、陰極に接する層を電子注入層と呼び、電子注入層に接する層を電子輸送層と呼んでいる。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ばれる。図9では、第1の層504〜第5の層508を電界発光層502が有している場合を例示している。第1の層504〜第5の層508は、第1の電極501から第2の電極503に向かって順に積層されている、
第1の層504は、正孔注入層として機能するため、正孔輸送性を有し、なおかつイオン化ポテンシャルが比較的小さく、正孔注入性が高い材料を用いるのが望ましい。大別すると金属酸化物、低分子系有機化合物、および高分子系有機化合物に分けられる。金属酸化物であれば、例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなど用いることができる。低分子系有機化合物あれば、例えば、m−MTDATAに代表されるスターバースト型アミン、銅フタロシアニン(略称:Cu−Pc)に代表される金属フタロシアニン、フタロシアニン(略称:H2−Pc)、2,3−ジオキシエチレンチオフェン誘導体などを用いることができる。低分子系有機化合物と上記金属酸化物とを共蒸着させた膜であっても良い。高分子系有機化合物であれば、例えば、ポリアニリン(略称:PAni)、ポリビニルカルバゾール(略称:PVK)、ポリチオフェン誘導体などの高分子を用いることができる。ポリチオフェン誘導体の一つであるポリエチレンジオキシチオフェン(略称:PEDOT)にポリスチレンスルホン酸(略称:PSS)をドープしたものを用いても良い。また、ベンゾオキサゾール誘導体と、TCQn、FeCl3、C60またはF4TCNQのいずれか一または複数の材料とを併せて用いても良い。
第2の層505は、正孔輸送層として機能するため、正孔輸送性が高く、結晶性の低い公知の材料を用いることが望ましい。具体的には芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物が好適であり、例えば、4,4−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)や、その誘導体である4,4‘−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)などがある。4,4‘,4‘‘−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)や、MTDATAなどのスターバースト型芳香族アミン化合物も用いることができる。また4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)を用いても良い。また高分子材料としては、良好な正孔輸送性を示すポリビニルカルバゾールなどを用いることができる。
第3の層506は発光層として機能するため、イオン化ポテンシャルが大きく、かつバンドギャップの大きな材料を用いるのが望ましい。具体的には、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[η]−キノリナト)ベリリウム(BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−(4−ヒドロキシ−ビフェニリル)−アルミニウム(BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ)2)などの金属錯体を用いることができる。また、各種蛍光色素(クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、ルブレン、4,4−ジシアノメチレン、1−ピロン誘導体、スチルベン誘導体、各種縮合芳香族化合物など)も用いることができる。白金オクタエチルポルフィリン錯体、トリス(フェニルピリジン)イリジウム錯体、トリス(ベンジリデンアセトナート)フェナントレンユーロピウム錯体などの燐光材料も用いることができる。
また、第3の層506に用いるホスト材料としては、上述した例に代表されるホール輸送材料や電子輸送材料を用いることができる。また、4,4’−N,N’−ジカルバゾリルビフェニル(略称:CBP)などのバイポーラ性の材料も用いることができる。
第4の層507は電子輸送層として機能するため、電子輸送性の高い材料を用いることが望ましい。具体的には、Alq3に代表されるような、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体やその混合配位子錯体などを用いることができる。具体的には、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などの金属錯体が挙げられる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7)などのオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(p−EtTAZ)などのトリアゾール誘導体、TPBIのようなイミダゾール誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)、バソキュプロイン(BCP)などのフェナントロリン誘導体を用いることができる。
第5の層508は電子注入層として機能するため、電子注入性の高い材料を用いるのが望ましい。具体的には、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略称:Li(acac)や8−キノリノラト−リチウム(略称:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。また、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)等の金属酸化物またはベンゾオキサゾール誘導体と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属のいずれか一または複数の材料とを含むようにしても良い。また酸化チタンを用いていても良い。
上記構成を有する発光素子において、第1の電極501と第2の電極503の間に電圧を印加し、電界発光層502に順方向バイアスの電流を供給することで、第3の層506から光を発生させ、該光を第1の電極501側から、または第2の電極503側から取り出すことができる。なお、電界発光層502は、必ずしもこれら第1〜第5の層を全て有している必要はない。本発明では、少なくとも発光層として機能する第3の層506を有していれば良い。また必ずしも第3の層506からのみ発光が得られるわけではなく、第1〜第5の層に用いられる材料の組み合わせによっては、第3の層506以外の層から発光が得られる場合もある。また、第3の層506と第4の層507の間に正孔ブロック層を設けても良い。
なお色によっては、燐光材料の方が蛍光材料よりも、駆動電圧を低くすることができ、信頼性も高い場合がある。そこで、三原色の各色に対応する発光素子を用いて、フルカラーの表示を行なう場合は、蛍光材料を用いた発光素子と、燐光材料を用いた発光素子とを組み合わせて、各色の発光素子における劣化の度合いを揃えるようにしても良い。
図9では、第1の電極501が陽極、第2の電極503が陰極である場合について示しているが、第1の電極501が陰極、第2の電極503が陽極である場合、第1の層504〜第5の層508は逆に積層される。具体的には、第1の電極501上に第5の層508、第4の層507、第3の層506、第2の層505、第1の層504が順に積層される。
なお電界発光層502のうち、第2の電極503に最も近い層(本実施の形態では第5の層508)に、エッチングされにくい材料を用いることで、電界発光層502上に第2の電極503をスパッタ法で形成する際に、第2の電極503に最も近い層に与えられるスパッタダメージを軽減させることができる。エッチングされにくい材料とは、例えばモリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)等の金属酸化物、またはベンゾオキサゾール誘導体を用いることができる。これらは蒸着法によって形成されることが好ましい。
例えば、第1の電極が陰極、第2の電極が陽極の場合、前記電界発光層のうち最も陽極に近い、ホール注入性またはホール輸送性を有する層として、上述したエッチングされにくい材料を用いる。具体的に、ベンゾオキサゾール誘導体を用いる場合は、当該ベンゾオキサゾール誘導体と、TCQn、FeCl3、C60またはF4TCNQのいずれか一または複数の材料とを含む層を、最も陽極に近くなるように形成する。
また例えば、第1の電極が陽極、第2の電極が陰極の場合、前記電界発光層のうち最も陰極に近い、電子注入性または電子輸送性を有する層として、上述したエッチングされにくい材料を用いる。具体的に、モリブデン酸化物を用いる場合は、当該モリブデン酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属のいずれか一または複数の材料とを含む層を、最も陰極に近くなるように形成する。またベンゾオキサゾール誘導体を用いる場合は、当該ベンゾオキサゾール誘導体と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属のいずれか一または複数の材料とを含む層を、最も陰極に近くなるように形成する。なお、金属酸化物とベンゾオキサゾール誘導体を共に用いていても良い。
上記構成により、第2の電極として、スパッタ法で形成した透明導電膜、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化珪素を含有した酸化インジウムスズ、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(Indium Zinc Oxide)等を用いても、電界発光層が有する有機物を含む層への、スパッタダメージを抑えることができ、第2の電極を形成するための物質の選択性が広がる。
(実施の形態7)
本発明の構成を用いて形成された表示装置を用いた電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話機、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD(digital versatile disc)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それら電子機器の具体例を図12に示す。
図12(A)はテレビ受像機であり、筐体2001、支持台2002、表示部2003、スピーカー部2004、ビデオ入力端子2005等を含む。上記実施の形態に示した構成を表示部2003などに用いることによって、テレビ受像機を作製することができる。
図12(B)はデジタルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。上記実施の形態に示した構成を表示部2102に用いることによって、デジタルカメラを作製することができる。
図12(C)はコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。上記実施の形態に示した構成を表示部2203に用いることによって、コンピュータを作製することができる。
図12(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。上記実施の形態に示した構成を表示部2302に用いることによって、モバイルコンピュータを作製することができる。
図12(E)は記録媒体(DVD等)を備えた携帯型の画像再生装置(DVD再生装置など)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体読み込み部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示する。上記実施の形態に示した構成を表示部A2403や表示部B2404に用いることによって、画像再生装置を作製することができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置にはゲーム機器なども含まれる。
図12(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。上記実施の形態に示した構成を表示部2502に用いることによって、ゴーグル型ディスプレイを作製することができる。
図12(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。上記実施の形態に示した構成を表示部2602に用いることによって、ビデオカメラを作製することができる。
図12(H)は携帯電話機であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。上記実施の形態に示した構成を表示部2703に用いることによって、携帯電話機を作製することができる。
なお、上述した電子機器の他に、フロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。