JP4815371B2 - 車両のヨーモーメント制御装置 - Google Patents

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本発明は、左右の車輪に駆動力を配分可能な駆動力配分装置と、左右の車輪に制動力を配分可能な制動力配分装置とを協調するように制御する車両のヨーモーメント制御装置に関する。
左右輪にそれぞれ異なる駆動力あるいは制動力を作用させてヨーモーメントを発生させることで、車両の実ヨーモーメントを規範ヨーモーメントに一致させるフィードバック制御を行うものが、下記特許文献1により公知である。
特開2003−170822号公報
ところで上記特許文献1には、車両のヨーモーメントを左右輪の駆動力差あるいは制動力差により制御することが記載されているが、左右輪の駆動力差および制動力差をどのような優先順位で使い分けるかについては開示しておらず、その使い分けによって車両挙動に及ぼす影響が変化する可能性がある。
そこで本出願人は、特願2006−223467号により、駆動力配分装置および制動力配分装置を備えた車両のヨーモーメント制御装置において、先ず駆動力配分装置を作動させてヨーモーメントを発生させ、そのヨーモーメントだけでは不足する場合に、制動力配分装置を作動させて不足分のヨーモーメントを発生させることにより、制動力配分装置の作動に伴う減速を最小源に抑えるものを提案した。
しかしながら上記特願2006−223467号で提案したものは、制動力配分装置で発生させる制動力配分量を駆動力配分装置制御電子制御ユニットで算出して制動力配分制御電子制御ユニットに出力し、この制動力配分量に基づいて制動力配分制御電子制御ユニットが制動力配分装置の作動を制御するので、操舵角、車速、ヨーレートから独自に制動力配分量を算出する既存の制動力配分制御電子制御ユニットに大幅な改修を施さなければ使用できず、これがコストアップの要因となる問題があった。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、制動力配分制御手段に大幅な改修を施すことなく、駆動力配分制御手段との協調制御を可能にして車両のヨーモーメント制御装置のコストダウンを図ることを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、左右の車輪に駆動力を配分可能な駆動力配分装置と、少なくとも操舵角、車速およびヨーレートに基づいて目標駆動力配分量を算出し、前記駆動力配分装置の実駆動力配分量が前記目標駆動力配分量に一致するように制御する駆動力配分制御手段と、左右の車輪に制動力を配分可能な制動力配分装置と、少なくとも入力操舵角、車速およびヨーレートに基づいて前記制動力配分装置による制動力配分量を制御する制動力配分制御手段とを備える車両のヨーモーメント制御装置であって,前記制動力配分制御手段に入力される入力操舵角は前記駆動力配分制御手段を介して入力されるようになっており、前記駆動力配分制御手段は、車速およびヨーレートから仮想操舵角を算出する仮想操舵角算出手段と、前記目標駆動力配分量に対する前記実駆動力配分量の偏差が小さい領域では、前記入力操舵角を前記仮想操舵角算出手段で算出された仮想操舵角に近づけ、前記偏差が大きい領域では、前記入力操舵角を実際の操舵角に近づける入力操舵角選択手段とを備えることを特徴とする車両のヨーモーメント制御装置が提案される。
尚、実施の形態の駆動力配分制御電子制御ユニットUdは本発明の駆動力配分制御手段に対応し、実施の形態の制動力配分制御電子制御ユニットUbは本発明の制動力配分制御手段に対応し、実施の形態のVSA規範車両逆モデルM7は本発明の仮想操舵角算出手段に対応し、実施の形態の入力操舵角確定部M9は本発明の入力操舵角選択手段に対応する。
請求項1の構成によれば、駆動力配分制御手段は、操舵角、車速およびヨーレートに基づいて目標駆動力配分量を算出し、駆動力配分装置の実駆動力配分量が目標駆動力配分量に一致するように制御し、制動力配分制御手段は、入力操舵角、車速およびヨーレートに基づいて制動力配分装置の制動力配分量を制御する。駆動力配分制御手段の仮想操舵角算出手段が車速およびヨーレートから仮想操舵角を算出すると、入力操舵角選択手段が、目標駆動力配分量に対する実駆動力配分量の偏差が小さい領域では、駆動力配分制御手段から制動力配分制御手段に入力する入力操舵角を仮想操舵角に近づけ、前記偏差が大きい領域では、前記入力操舵角を実際の操舵角に近づけるので、必要なヨーモーメントが先ず駆動力配分装置により生じさせられ、駆動力配分装置によって生じるヨーモーメントが前記必要なヨーモーメントに対して不足する場合には、その不足分のヨーモーメントが制動力配分装置により生じるヨーモーメントで補われる。このように、駆動力配分装置を優先的に作動させて制動力配分装置の作動量を最小限に抑えることで、制動力配分装置の作動に伴う車両の減速を最小限に抑えて旋回性能および車両安定性能を向上させることができる。このとき、制動力配分制御手段は、実際の操舵角の代わりに駆動力配分制御手段から入力される仮想操舵角に基づいて制動力配分装置の作動を制御するだけなので、既存の制動力配分制御手段を設計変更することなくそのまま使用することができ、コストダウンに寄与することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図8は本発明の実施の形態を示すもので、図1はヨーモーメント制御装置を備えた車両の全体構成を示す図、図2は駆動力配分装置の構造を示す図、図3は左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図4は右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図5は駆動力配分制御電子制御ユニットおよび制動力配分制御電子制御ユニットのブロック図、図6はVSAの介入度合いを決めるブロック図、図7はVSA目標操舵角確定部のブロック図、図8はVSA規範車両モデルおよびVSA規範車両逆モデルの説明図である。
図1に示すように、フロントエンジン・フロントドライブの車両は駆動輪である左右の前輪WFL,WFRと従動輪である左右の後輪WRL,WRRとを備えており、エンジンEの駆動力はトランスミッションTおよび駆動力配分装置Mdを介して左右の前輪WFL,WFRに任意の比率で伝達される。また車両は制動力配分装置Mb(VSA:ビークル・スタビリティ・アシスト装置)を備えており、制動力配分装置Mbはブレーキ液圧を電気的に発生するとともに、各車輪WFL,WFR;WRL,WRRに供給されるブレーキ液圧を任意の比率で制御する。従って、駆動力配分装置Mdで左右の前輪WFL,WFRに伝達される駆動力に差を持たせることでヨーモーメントを発生させることができ、また制動力配分装置Mbで左車輪WFL,WRLおよび右車輪WFR,WFRが発生する制動力に差を持たせることでヨーモーメントを発生させることができる。
車両は駆動力配分装置Mdを制御する駆動力配分制御電子制御ユニットUdと、制動力配分装置Mbを制御する制動力配分制御電子制御ユニットUbとを備えており、駆動力配分制御電子制御ユニットUdに制動力配分制御電子制御ユニットUbがCANを介して接続される。
駆動力配分制御電子制御ユニットUdは、ヨーレートセンサSyからのヨーレートγと、車輪速センサSwからの車輪速(車速)Vと、操舵角センサSsからの操舵角δとに基づいて、駆動力配分装置Mdに目標駆動力配分量TOBJを出力する。
制動力配分制御電子制御ユニットUbは、車輪速センサSwからの車輪速(車速V)と、ヨーレートセンサSyからのヨーレートγと、駆動力配分制御電子制御ユニットUdを経由して入力される入力操舵角δ* とに基づいて、制動力配分装置Mbに目標制動力配分量TOBJVを出力する。
図2に示すように、駆動力配分装置Mdには、トランスミッションTから延びる入力軸1に設けた入力ギヤ2に噛み合う外歯ギヤ3から駆動力が伝達される差動装置Dが一体に設けられる。差動装置Dはダブルピニオン式の遊星歯車機構よりなり、前記外歯ギヤ3と一体に形成されたリングギヤ4と、このリングギヤ4の内部に同軸に配設されたサンギヤ5と、前記リングギヤ4に噛み合うアウタプラネタリギヤ6および前記サンギヤ5に噛み合うインナプラネタリギヤ7を、それらが相互に噛み合う状態で支持するプラネタリキャリヤ8とから構成される。差動装置Dは、そのリングギヤ4が入力要素として機能するとともに、一方の出力要素として機能するサンギヤ5が右出力軸9Rおよび右車軸AFRを介して右前輪WFRに接続され、また他方の出力要素として機能するプラネタリキャリヤ8が左出力軸9Lおよび左車軸AFLを介して左前輪WFLに接続される。
駆動力配分装置Mdは特殊な遊星歯車機構を備えており、そのキャリヤ部材11が右出力軸9Rの外周に回転自在に支持されるとともに、円周方向に90°間隔で配置された4本のピニオン軸12の各々に、第1ピニオン13、第2ピニオン14および第3ピニオン15を一体に形成した3連ピニオン部材16が回転自在に支持される。右出力軸9Rの外周に回転自在に支持されて前記第1ピニオン13に噛み合う第1サンギヤ17は、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8に連結される。また右出力軸9Rの外周に固定された第2サンギヤ18は前記第2ピニオン14に噛み合う。更に、右出力軸9Rの外周に回転自在に支持された第3サンギヤ19は前記第3ピニオン15に噛み合う。
実施の形態における第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数は以下のとおりである。
第1ピニオン13の歯数 Zb=16
第2ピニオン14の歯数 Zd=16
第3ピニオン15の歯数 Zf=32
第1サンギヤ17の歯数 Za=30
第2サンギヤ18の歯数 Zc=26
第3サンギヤ19の歯数 Ze=28
第3サンギヤ19は右出力軸9Rの外周に嵌合するスリーブ21および右クラッチCRを介してトルク配分機構Aのハウジング20に結合可能であり、右クラッチCRの締結によってキャリヤ部材11の回転数が増速される。またキャリヤ部材11は左クラッチCLを介してハウジング20に結合可能であり、左クラッチCLの締結によってキャリヤ部材11の回転数が減速される。
図3に示すように、駆動力配分装置Mdの左クラッチCLを締結すると、キャリヤ部材11がハウジング20に結合されて回転を停止する。このとき、右前輪WFRと一体の右出力軸9Rと、左前輪WFLと一体の左出力軸9L(即ち、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8)とは、第2サンギヤ18、第2ピニオン14、第1ピニオン13および第1サンギヤ17を介して連結されているため、右前輪WFRの回転数NRは左前輪WFLの回転数NLに対して次式の関係で増速される。
NR/NL=(Zd/Zc)×(Za/Zb)
=1.154 …(1)
上述のようにして右前輪WFRの回転数NRが左前輪WFLの回転数NLに対して増速されると、図3に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である左前輪WFLのトルクの一部を旋回外輪である右前輪WFRに伝達し、その結果発生するヨーモーメントで車両の左旋回をアシストして旋回性能を高めることができる。
尚、キャリヤ部材11を左クラッチCLにより停止させる代わりに、左クラッチCLの締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を減速すれば、その減速に応じて右前輪WFRの回転数NRを左前輪WFLの回転数NLに対して増速し、旋回内輪である左前輪WFLから旋回外輪である右前輪WFRに任意のトルクを伝達することができる。
一方、図4に示すように、駆動力配分装置Mdの右クラッチCRを締結すると、スリーブ21がハウジング20に結合されて回転を停止する。その結果、スリーブ21に第3サンギヤ19を介して接続された第3ピニオン15が公転および自転し、右出力軸9Rの回転数に対してキャリヤ部材11の回転数が増速され、左前輪WFLの回転数NLは右前輪WFRの回転数NRに対して次式の関係で増速される。
NL/NR={1−(Ze/Zf)×(Zb/Za)}
÷{1−(Ze/Zf)×(Zd/Zc)}
=1.156 …(2)
上述のようにして左前輪WFLの回転数NLが右前輪WFRの回転数NRに対して増速されると、図4に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である右前輪WFRのトルクの一部を旋回外輪である左前輪WFLに伝達することができる。この場合にも、右クラッチCRの締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を増速すれば、その増速に応じて左前輪WFLの回転数NLを右前輪WFRの回転数NRに対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達し、その結果発生するヨーモーメントで車両の右旋回をアシストして旋回性能を高めることができる。
この場合にも、スリーブ21を右クラッチCRにより停止させる代わりに、右クラッチCRの締結力を適宜調整してスリーブ21の回転数を減速すれば、その減速に応じて左前輪WFLの回転数NLを右前輪WFRの回転数NRに対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達することができる。
また左クラッチCLおよび右クラッチCRを上述とは逆に締結すると、旋回外輪から旋回内輪にトルクを伝達して車両の旋回を抑制するヨーモーメントを発生させることができる。
(1)式および(2)式を比較すると明らかなように、第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数を前述の如く設定したことにより、左前輪WFLから右前輪WFRへの増速率(
約1.154)と、右前輪WFRから左前輪WFLへの増速率(約1.156)とを略等しくすることができる。
図5に示すように、駆動力配分制御電子制御ユニットUdは、規範車両モデルM1と、ヨーレートフィードバック手段M2と、駆動力配分装置コントローラM3とを備える。
規範車両モデルM1は、操舵角センサSsで検出した操舵角δと、車輪速センサSwで検出した車速Vとから目標となるヨーレートである規範ヨーレートγrefを算出する。規範ヨーレートγrefとヨーレートセンサSyで検出したヨーレートγとの偏差が入力されるヨーレートフィードバック手段M2は、駆動力配分装置Mdにより発生させるべきヨーモーメントを算出し、それにゲインを乗算した目標駆動力配分量TOBJを算出する。そして駆動力配分装置コントローラM3は、車両に規範ヨーレートγrefを発生させるべく目標駆動力配分量TOBJに基づいて駆動力配分装置Mdの作動を制御する。駆動力配分制御電子制御ユニットUdの上記構成および作用は、従来公知のものと同じである。
制動力配分制御電子制御ユニットUbは、VSA規範車両モデルM4と、ヨーレートフィードバック手段M5と、制動力配分装置コントローラM6とを備える。
VSA規範車両モデルM4は、駆動力配分制御電子制御ユニットUdから入力される入力操舵角δ* と、車輪速センサSwで検出した車速Vとから目標となるヨーレートである規範ヨーレートγrefを算出する。規範ヨーレートγrefと実ヨーレートγとの偏差が入力されるヨーレートフィードバック手段M5は、制動力配分装置Mbにより発生させるべきヨーモーメントを算出し、それにゲインを乗算した目標制動力配分量TOBJVを算出する。そして制動力配分コントローラM6は、車両に規範ヨーレートを発生させるべく目標制動力配分量TOBJVに基づいて制動力配分装置Mbの作動を制御する。制動力配分制御電子制御ユニットUbの上記構成は従来公知のものと同じであるが、但し、それに入力される入力操舵角δ* が操舵角センサSsで検出したものではなく、駆動力配分制御電子制御ユニットUdから入力されるものである点で異なっている。
駆動力配分制御電子制御ユニットUdは、更にVSA規範車両逆モデルM7と、VSA介入判定部M8と、入力操舵角確定部M9とを備える。
図8に示すように、前記VSA規範車両モデルM4は、入力操舵角δ* および車速Vから規範ヨーレートγrefを算出する関数であるが、前記VSA規範車両逆モデルM7は前記関数の逆関数であって、ヨーレートγおよび車速Vから仮想操舵角δ′を算出するものである。
図5に戻り、VSA介入判定部M8には、ヨーレートフィードバック手段M2で算出した前記目標駆動力配分量TOBJと、駆動力配分装置Mdが実際に発生している実駆動力配分量TOBJKestとが入力される。実駆動力配分量TOBJKestは、左右の油圧クラッチCL,CRの作動油圧をベースにし、それに駆動力配分装置Mdのギヤ比や効率係数を考慮して推定される。
図6に示すように、VSA介入判定部M8は介入度合いマップを備える。介入度合いマップは、目標駆動力配分量TOBJに対する実駆動力配分量TOBJKestの偏差errをパラメータとして介入度合いαを検索するもので、介入度合いαは、偏差errが0以上で第1の所定値a以下の領域では0であり、偏差errが第2の所定値b以上の領域では1であり、偏差errが第1の所定値aから第2の所定値bまでの領域では0から1へと増加するように設定される。
駆動力配分装置Mdの目標駆動力配分量TOBJに対する実駆動力配分量TOBJKestの偏差errが極めて小さいとき、つまり駆動力配分装置Mdが充分な量の駆動力の配分を行っており、制動力配分装置Mbが介入する必要がないときには、介入度合いαは0になる。逆に駆動力配分装置Mdの目標駆動力配分量TOBJに対する実駆動力配分量TOBJKestの偏差errが大きくなり、駆動力配分装置Mdが配分する駆動力では不足して制動力配分装置Mbの介入により前記駆動力の不足分を制動力で補う必要があるときには、介入度合いαは1に向かって増加する。
図7に示すように、入力操舵角確定部M9は入力操舵角マップを備える。この入力操舵角マップは介入度合いαをパラメータとして、制動力配分制御電子制御ユニットUbに入力する入力操舵角δ* を検索するためのもので、介入度合いαが0のときに入力操舵角δ* はVSA規範車両逆モデルM7で算出した仮想操舵角δ′であり、介入度合いαが1のときに入力操舵角δ* は操舵角センサSsで検出した操舵角δであり、その間をリニアに変化するように設定される。
しかして、駆動力配分制御電子制御ユニットUdの入力操舵角確定部M9が出力する入力操舵角* は、制動力配分制御電子制御ユニットUbのVSA規範車両モデルM4に入力され、目標制動力配分量TOBJVの算出に使用される。
このように、目標駆動力配分量TOBJに対する実駆動力配分量TOBJKestの偏差errが小さい領域では、つまり駆動力配分装置Mdが配分する駆動力で必要なヨーモーメントを発生させられる状態では、駆動力配分制御電子制御ユニットUdから制動力配分制御電子制御ユニットUbに入力する入力操舵角δ* が仮想操舵角δ′に近づくので、制動力配分制御電子制御ユニットUbのVSA規範車両モデルM4が出力する規範ヨーレートγrefの値は実ヨーレートγの値に近づき、制動力配分制御電子制御ユニットUbが出力する目標制動力配分量TOBJVは殆ど0になって制動力配分装置Mbは制動力を発生しない。
逆に、目標駆動力配分量TOBJに対する実駆動力配分量TOBJKestの偏差errが大きい領域では、つまり駆動力配分装置Mdが配分する駆動力では必要なヨーモーメントを発生させられない状態では、駆動力配分制御電子制御ユニットUdから制動力配分制御電子制御ユニットUbに入力する入力操舵角δ* が実操舵角δに近づくので、制動力配分制御電子制御ユニットUbのVSA規範車両モデルM4が出力する規範ヨーレートγrefの値は実ヨーレートγの値に一致しなくなり、制動力配分制御電子制御ユニットUbが所定の大きさの目標制動力配分量TOBJVを出力して制動力配分装置Mbは制動力を発生する。
このように、駆動力配分装置Mdを優先的に作動させて制動力配分装置Mbの作動量を最小限に抑えることで、制動力配分装置Mbの作動に伴う車両の減速を最小限に抑えて旋回性能および車両安定性能を向上させることができる。しかも制動力配分制御電子制御ユニットUbは、実際の操舵角δの代わりに駆動力配分制御電子制御ユニットUdから入力される入力操舵角δ* に基づいて制動力配分装置Mbの作動を制御するだけなので、既存の制動力配分制御電子制御ユニットUbを設計変更することなくそのまま使用することができ、コストダウンに寄与することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、駆動力配分装置Mdの構造は実施の形態に限定されず、任意の構造のものを採用することができる。
また本発明はフロントエンジン・フロントドライブの前輪駆動の車両に限らず、後輪駆動の車両や4輪駆動の車両にも適用することができ、後輪駆動の車両では駆動力配分装置は左右後輪間に駆動力差を設定し、4輪駆動の車両では駆動力配分装置は左右前輪間、左右後輪間の何れか、または両方に駆動力差を設定する。
ヨーモーメント制御装置を備えた車両の全体構成を示す図 駆動力配分装置の構造を示す図 左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図 右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図 駆動力配分制御電子制御ユニットおよび制動力配分制御電子制御ユニットのブロック図 VSAの介入度合いを決めるブロック図 VSA目標操舵角確定部のブロック図 VSA規範車両モデルおよびVSA規範車両逆モデルの説明図
符号の説明
Md 駆動力配分装置
Mb 制動力配分装置
M7 VSA規範車両逆モデル(仮想操舵角算出手段)
M9 入力操舵角確定部(入力操舵角選択手段)
TOBJ 目標駆動力配分量
TOBJKest 実駆動力配分量
Ud 駆動力配分制御電子制御ユニット(駆動力配分制御手段)
Ub 制動力配分制御電子制御ユニット(制動力配分制御手段)
V 車速
err 偏差
δ 操舵角
δ′ 仮想操舵角
δ* 入力操舵角
γ ヨーレート

Claims (1)

  1. 左右の車輪に駆動力を配分可能な駆動力配分装置(Md)と、
    少なくとも操舵角(δ)、車速(V)およびヨーレート(γ)に基づいて目標駆動力配分量(TOBJ)を算出し、前記駆動力配分装置(Md)の実駆動力配分量(TOBJKest)が前記目標駆動力配分量(TOBJ)に一致するように制御する駆動力配分制御手段(Ud)と、
    左右の車輪に制動力を配分可能な制動力配分装置(Mb)と、
    少なくとも入力操舵角(δ* )、車速(V)およびヨーレート(γ)に基づいて前記制動力配分装置(Mb)による制動力配分量を制御する制動力配分制御手段(Ub)と、
    を備える車両のヨーモーメント制御装置であって,
    前記制動力配分制御手段(Ub)に入力される入力操舵角(δ* )は前記駆動力配分制御手段(Ud)を介して入力されるようになっており、
    前記駆動力配分制御手段(Ud)は、
    車速(V)およびヨーレート(γ)から仮想操舵角(δ′)を算出する仮想操舵角算出手段(M7)と、
    前記目標駆動力配分量(TOBJ)に対する前記実駆動力配分量(TOBJKest)の偏差(err)が小さい領域では、前記入力操舵角(δ* )を前記仮想操舵角算出手段(M7)で算出された仮想操舵角(δ′)に近づけ、前記偏差(err)が大きい領域では、前記入力操舵角(δ* )を実際の操舵角(δ)に近づける入力操舵角選択手段(M9)と、
    を備えることを特徴とする車両のヨーモーメント制御装置。
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