JP4778861B2 - 車両のヨーモーメント制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、クラッチをアクチュエータで締結することで左右の駆動輪間に駆動力差を設定する駆動力配分装置を備え、車両の旋回運動を規範ヨーレートまたは規範車体スリップ角に追従させるために必要なヨーモーメントを前記駆動力差によって生じさせる車両のヨーモーメント制御装置に関する。
左右輪にそれぞれ異なる駆動力あるいは制動力を作用させてヨーモーメントを発生させることで、車両の実ヨーモーメントを規範ヨーモーメントに一致させるフィードバック制御を行うものが、下記特許文献1により公知である。
特開2003−170822号公報
ところで上記特許文献1には、車両のヨーモーメントを左右輪の駆動力差あるいは制動力差により制御することが記載されているが、左右輪の駆動力差および制動力差をどのような優先順位で使い分けるかについては開示しておらず、その使い分けによって車両挙動に及ぼす影響が変化する可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、左右輪間の駆動力配分および制動力配分を適切に使い分けて車両のヨーモーメントを制御することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、クラッチをアクチュエータで締結することで左右の駆動輪間に駆動力差を設定する駆動力配分装置を備え、車両の旋回運動を規範ヨーレートまたは規範車体スリップ角に追従させるために必要なヨーモーメントを前記駆動力差によって生じさせる車両のヨーモーメント制御装置であって、左右の車輪間に制動力差を設定する制動力配分装置を備え、前記駆動力差によって生じさせることができるヨーモーメントが前記必要なヨーモーメントに対して不足しているときは、この不足分のヨーモーメントを前記制動力差により生じさせ、前記制動力差は規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差、あるいは規範車体スリップ角と実車体スリップ角との偏差に基づいて設定される駆動力差指令値と実駆動力差との偏差に基づいて設定され、前記実駆動力差は前記アクチュエータへの作動入力値に基づいて算出されるとともに、前記左右の駆動輪の一方に対する他方の増速比が駆動力配分装置のギヤ比で得られる増速比の上限に近づいたときには、上限に達する直前の実駆動力差を保持し、前記駆動力差指令値と保持した実駆動力差との偏差に基づいて前記制動力差を設定することを特徴とする車両のヨーモーメント制御装置が提案される。
請求項1の構成によれば、車両の旋回運動を規範ヨーレートまたは規範車体スリップ角に追従させるために必要なヨーモーメントが、先ず駆動力配分装置が設定する左右の駆動輪間の駆動力差によって生じさせられ、その駆動力差で発生するヨーモーメントが前記必要なヨーモーメントに対して不足する場合には、その不足分のヨーモーメントが制動力配分装置が設定する左右の車輪間の制動力差により生じるヨーモーメントで補われる。このように駆動力配分装置を優先的に作動させて制動力配分装置の作動量を最小限に抑えることで、制動力配分装置の作動に伴う車両の減速を最小限に抑えて旋回性能および車両安定性能を向上させることができる。
また規範ヨーレートと実ヨーレートとの偏差、あるいは規範車体スリップ角と実車体スリップ角との偏差に基づいて駆動力差指令値を設定し、この駆動力差指令値と実駆動力差との偏差に基づいて制動力配分装置に発生させる制動力差を設定するので、制動力差を的確に設定してヨーモーメントを過不足なく発生させることができる。
また駆動力配分装置のクラッチのアクチュエータへの作動入力値に基づいて実駆動力差を算出する場合に、左右の駆動輪の一方に対する他方の増速比が駆動力配分装置のギヤ比で得られる増速比の上限に近づいたときには、上限に達する直前の実駆動力差を保持し、駆動力差指令値と保持した実駆動力差との偏差に基づいて制動力差を設定するので、左右の駆動輪の一方が低摩擦係数の路面に乗ってスリップしたことで増速比の上限に近づいたような場合に、本当の実駆動力差よりも前記作動入力値に基づいて算出した見かけの実駆動力差の方が大きくなっても、本当の実駆動力差に応じた適切な制動力差を設定することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図10は本発明の実施の形態を示すもので、図1はヨーモーメント制御装置を備えた車両の全体構成を示す図、図2は駆動力配分装置の構造を示す図、図3は左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図4は右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図5は実駆動力配分値算出部の説明図、図6は実駆動力配分値補正部の説明図、図7はUS,OS判定フラグおよび制動力配分指令値の説明図、図8はUS,OS判定部の説明図、図9は制動力配分許可判定部の説明図、図10は制動力配分指令値算出部の説明図である。
図1に示すように、フロントエンジン・フロントドライブの車両は駆動輪である左右の前輪WFL,WFRと従動輪である左右の後輪WRL,WRRとを備えており、エンジンEの駆動力はトランスミッションTおよび駆動力配分装置Mdを介して左右の前輪WFL,WFRに任意の比率で伝達される。また車両は制動力配分装置Mbを備えており、制動力配分装置Mbはブレーキ液圧を電気的に発生するとともに、各車輪WFL,WFR;WRL,WRRに供給されるブレーキ液圧を任意の比率で制御する。従って、駆動力配分装置Mdで左右の前輪WFL,WFRに伝達される駆動力に差を持たせることでヨーモーメントを発生させることができ、また制動力配分装置Mbで左車輪WFL,WRLおよび右車輪WFR,WFRが発生する制動力に差を持たせることでヨーモーメントを発生させることができる。
車両は駆動力配分装置Mdを制御する駆動力配分制御電子制御ユニットUdと、制動力配分装置Mbを制御する制動力配分制御電子制御ユニットUbと、トランスミッションTを制御するトランスミッション制御電子制御ユニットUtと、燃料噴射装置を制御する燃料噴射制御電子制御ユニットUfとを備えており、駆動力配分制御電子制御ユニットUdに制動力配分制御電子制御ユニットUb、トランスミッション制御電子制御ユニットUtおよび燃料噴射制御電子制御ユニットUfが接続される。
駆動力配分制御電子制御ユニットUdは、トランスミッション制御電子制御ユニットUtからのメインシャフト回転数およびシフト段と、燃料噴射制御電子制御ユニットUfからのエンジン回転数およびエンジントルクと、ヨーレートセンサSyからのヨーレートγと、横加速度センサSgからの横加速度Gと、車輪速センサSwからの車輪速(車体速)Vと、操舵角センサSsからの操舵角δと、駆動力配分装置Mdからのクラッチ油圧とに基づいて、駆動力配分装置Mdに駆動力配分指令値TOBJを出力するとともに、制動力配分制御電子制御ユニットUbに制動力配分指令値TOBJV、OS(オーバーステア)判定フラグおよびUS(アンダーステア)判定フラグを出力する。
制動力配分制御電子制御ユニットUbは、車輪速センサSwからの車輪速(車体速V)と、ヨーレートセンサSyからのヨーレートγと、横加速度センサSgからの横加速度Gと、駆動力配分制御電子制御ユニットUdからの制動力配分指令値TOBJV、OS判定フラグおよびUS判定フラグとに基づいて、制動力配分装置Mbの作動を制御する。
図2に示すように、駆動力配分装置Mdには、トランスミッションTから延びる入力軸1に設けた入力ギヤ2に噛み合う外歯ギヤ3から駆動力が伝達される差動装置Dが一体に設けられる。差動装置Dはダブルピニオン式の遊星歯車機構よりなり、前記外歯ギヤ3と一体に形成されたリングギヤ4と、このリングギヤ4の内部に同軸に配設されたサンギヤ5と、前記リングギヤ4に噛み合うアウタプラネタリギヤ6および前記サンギヤ5に噛み合うインナプラネタリギヤ7を、それらが相互に噛み合う状態で支持するプラネタリキャリヤ8とから構成される。差動装置Dは、そのリングギヤ4が入力要素として機能するとともに、一方の出力要素として機能するサンギヤ5が右出力軸9Rおよび右車軸AFRを介して右前輪WFRに接続され、また他方の出力要素として機能するプラネタリキャリヤ8が左出力軸9Lおよび左車軸AFLを介して左前輪WFLに接続される。
駆動力配分装置Mdは特殊な遊星歯車機構を備えており、そのキャリヤ部材11が右出力軸9Rの外周に回転自在に支持されるとともに、円周方向に90°間隔で配置された4本のピニオン軸12の各々に、第1ピニオン13、第2ピニオン14および第3ピニオン15を一体に形成した3連ピニオン部材16が回転自在に支持される。右出力軸9Rの外周に回転自在に支持されて前記第1ピニオン13に噛み合う第1サンギヤ17は、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8に連結される。また右出力軸9Rの外周に固定された第2サンギヤ18は前記第2ピニオン14に噛み合う。更に、右出力軸9Rの外周に回転自在に支持された第3サンギヤ19は前記第3ピニオン15に噛み合う。
実施の形態における第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数は以下のとおりである。
第1ピニオン13の歯数 Zb=16
第2ピニオン14の歯数 Zd=16
第3ピニオン15の歯数 Zf=32
第1サンギヤ17の歯数 Za=30
第2サンギヤ18の歯数 Zc=26
第3サンギヤ19の歯数 Ze=28
第3サンギヤ19は右出力軸9Rの外周に嵌合するスリーブ21および右クラッチCRを介してトルク配分機構Aのハウジング20に結合可能であり、右クラッチCRの締結によってキャリヤ部材11の回転数が増速される。またキャリヤ部材11は左クラッチCLを介してハウジング20に結合可能であり、左クラッチCLの締結によってキャリヤ部材11の回転数が減速される。
図3に示すように、駆動力配分装置Mdの左クラッチCLを締結すると、キャリヤ部材11がハウジング20に結合されて回転を停止する。このとき、右前輪WFRと一体の右出力軸9Rと、左前輪WFLと一体の左出力軸9L(即ち、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8)とは、第2サンギヤ18、第2ピニオン14、第1ピニオン13および第1サンギヤ17を介して連結されているため、右前輪WFRの回転数NRは左前輪WFLの回転数NLに対して次式の関係で増速される。
NR/NL=(Zd/Zc)×(Za/Zb)
=1.154 …(1)
上述のようにして右前輪WFRの回転数NRが左前輪WFLの回転数NLに対して増速されると、図3に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である左前輪WFLのトルクの一部を旋回外輪である右前輪WFRに伝達し、その結果発生するヨーモーメントで車両の左旋回をアシストして旋回性能を高めることができる。
尚、キャリヤ部材11を左クラッチCLにより停止させる代わりに、左クラッチCLの締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を減速すれば、その減速に応じて右前輪WFRの回転数NRを左前輪WFLの回転数NLに対して増速し、旋回内輪である左前輪WFLから旋回外輪である右前輪WFRに任意のトルクを伝達することができる。
一方、図4に示すように、駆動力配分装置Mdの右クラッチCRを締結すると、スリーブ21がハウジング20に結合されて回転を停止する。その結果、スリーブ21に第3サンギヤ19を介して接続された第3ピニオン15が公転および自転し、右出力軸9Rの回転数に対してキャリヤ部材11の回転数が増速され、左前輪WFLの回転数NLは右前輪WFRの回転数NRに対して次式の関係で増速される。
NL/NR={1−(Ze/Zf)×(Zb/Za)}
÷{1−(Ze/Zf)×(Zd/Zc)}
=1.156 …(2)
上述のようにして左前輪WFLの回転数NLが右前輪WFRの回転数NRに対して増速されると、図4に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である右前輪WFRのトルクの一部を旋回外輪である左前輪WFLに伝達することができる。この場合にも、右クラッチCRの締結力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を増速すれば、その増速に応じて左前輪WFLの回転数NLを右前輪WFRの回転数NRに対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達し、その結果発生するヨーモーメントで車両の右旋回をアシストして旋回性能を高めることができる。
この場合にも、スリーブ21を右クラッチCRにより停止させる代わりに、右クラッチCRの締結力を適宜調整してスリーブ21の回転数を減速すれば、その減速に応じて左前輪WFLの回転数NLを右前輪WFRの回転数NRに対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達することができる。
また左クラッチCLおよび右クラッチCRを上述とは逆に締結すると、旋回外輪から旋回内輪にトルクを伝達して車両の旋回を抑制するヨーモーメントを発生させることができる。
(1)式および(2)式を比較すると明らかなように、第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数を前述の如く設定したことにより、左前輪WFLから右前輪WFRへの増速率(約1.154)と、右前輪WFRから左前輪WFLへの増速率(約1.156)とを略等しくすることができる。
次に、左前輪WFLと右前輪WFRとの間の実際の駆動力差を表す実駆動力配分値TOBJKの算出について説明する。実駆動力配分値TOBJKは、駆動力配分装置Mdの左右の油圧クラッチCL,CRの作動油圧を検出する油圧センサの検出値に基づいて算出される
図5に示すように、右油圧クラッチCRが作動しているときには、右油圧クラッチCRの作動油圧の検出値がそのまま出力され、左油圧クラッチCLが作動しているときには、左油圧クラッチCLの作動油圧の検出値の符号を逆転したもの(負値にしたもの)が出力される。前記左右の油圧クラッチCL,CRの作動油圧の検出値の加算値に、駆動力配分装置Mdのギヤ比(実施の形態では14)と、効率係数(実施の形態では1/1.36)と、変換係数(実施の形態では1/0.0548)とを乗算したものが、補正前の実駆動力配分値TOBJKとして出力される。
前記ギヤ比を乗算する理由は、駆動力配分装置Mdにより発生する左右の前輪WFL,WFRの駆動力差(油圧換算値)が、油圧クラッチCL,CRの作動油圧の前記ギヤ比倍になるからである。前記効率係数は、駆動力配分装置Mdのギヤの伝達効率やオイルの攪拌損失等から設定される。前記変換係数は、油圧から駆動力(トルク)への変換係数、左右の油圧クラッチCL,CRの受圧面積、クラッチディスクやクラッチプレートの枚数や有効半径等から設定される。
左右の油圧クラッチCL,CRのスリップがゼロになっているとき、即ち左右の前輪WFL,WFRの一方に対する他方の増速比が駆動力配分装置Mdのギヤ比で得られる増速比の上限まで達しているときは、低摩擦係数の路面で車輪がスリップしている結果として油圧クラッチCL,CRのスリップがゼロになっている場合があり、このときはクラッチ油圧の検出値から算出した実駆動力配分値TOBJKが実際よりも大きくなっている可能性がある。
従って、図6に示すように、油圧クラッチCL,CRのスリップがゼロに近づいたときは(スリップ回転数<60rpm)、スリップがゼロになる直前(スリップ回転数=60rpm)の実駆動力配分値TOBJKをそのまま保持して出力し、その後にスリップ回転数≧60rpmになったら、そのときのクラッチ油圧の検出値から算出した実駆動力配分値TOBJKをまた出力するようにする。この間、駆動力配分装置Mdへの駆動力配分指令値TOBJの値もそのまま保持する。ただしスリップ回転数≧60rpmになった時点で、そのときのクラッチ油圧の検出値から算出した実駆動力配分値TOBJKをそのまま出力するのではなく、時定数をもって実駆動力配分値TOBJKに徐々に近づけながら出力する。このようにして出力される実駆動力配分値TOBJKが、補正後の実駆動力配分値TOBJKestとなる。
次に、駆動力配分制御電子制御ユニットUdから制動力配分制御電子制御ユニットUbに出力される制動力配分指令値TOBJVおよびUS,OS判定フラグ(図1参照)の算出について説明する。
図7に示すように、US,OS判定部は実ヨーレートおよび規範(目標)ヨーレートに基づいてUS,OS判定フラグをセットする。実ヨーレートYawはヨーレートセンサSyにより検出される。規範ヨーレートYaw refは操舵角センサSsで検出した操舵角δと、車輪速センサSwで検出した車輪速(車体速)Vとから算出される。
図8に示すように、実ヨーレートYawと規範ヨーレートYaw refとの偏差に、規範ヨーレートYaw refの符号sign(Yaw ref)を乗算した判定値が閾値7deg/sよりも大きければ,即ち、
(Yaw−Yaw ref)×sign(Yaw ref)>7(deg/s)
が成立すれば「1」を出力し、これを常時出力される「1」と加算し、加算値が「2」であればUS,OS判定フラグf USOSが「2」(オーバーステア)にセットされ、加算値が「1」であればUS,OS判定フラグf USOSが「1」(アンダーステア)にセットされる。
尚、前記閾値7deg/sはヒステリシスを持ち、判定値が一旦閾値を超えてオーバーステア制御状態であると判定されると、判定値が別の閾値0deg/s以下になるまでオーバーステア制御状態が維持され、前記別の閾値0deg/s以下になったときにアンダーステア制御状態に切り換えられる。またsign(Yaw ref)の正負は、正値が右旋回に対応し、負値が左旋回に対応する。
図7に示すように、制動力配分許可判定部には実ヨーレートYaw、規範ヨーレートYaw ref、駆動力配分指令値TOBJ、実駆動力配分値TOBJKest(補正後)および車輪速センサSwで検出した車体速Vが入力され、これらの入力に基づいて制動力配分装置Mbに制動力の配分を許可するか否かを判定する。
図9に示すように、
(1)実ヨーレートYawおよび規範ヨーレートYaw refの偏差の絶対値を算出し、その絶対値が閾値(ON時2deg/s、OFF時1deg/sのヒステリシス有り)以上であること
(2)駆動力配分指令値TOBJおよび実駆動力配分値TOBJKestの偏差を算出し、その絶対値が閾値(ON時30Nm、OFF時10Nmdeg/sのヒステリシス有り)以上であること
(3)車体速度Vが閾値(ON時15km/h、OFF時10km/hのヒステリシス有り)以上であること
の三つの条件が全て成立すると、制動力配分許可判定部は制動力配分許可信号VSA En(許可のときは「1」、禁止のときは「0」)を出力する。
尚、駆動力配分指令値TOBJは、実ヨーレートYawと規範ヨーレートYaw refとの偏差に基づいて算出される。
図7に示すように、制動力配分指令値算出部には制動力配分許可信号VSA En、車体速V、駆動力配分指令値TOBJ、実駆動力配分値TOBJKest、実ヨーレートYawおよび規範ヨーレートYaw refが入力され,これらの入力に基づいて制動力配分指令値TOBJVを算出する。
図10に示すように、
(1)バッファーに記憶された駆動力配分指令値TOBJと実駆動力配分値TOBJKestとの偏差の絶対値である制動力配分指令基本値
(2)実ヨーレートYawおよび規範ヨーレートYaw refの偏差の絶対値の単位をdeg/sからrad/sに変換したものと、車体速Vの単位をkm/hからm/sに変換したものとを乗算して横加速度を算出し、その横加速度を重力加速度の倍数に変換し、その変換した横加速度をマップに適用して検索したゲインk
(3)制動力配分許可判定部が出力する制動力配分許可信号VSA En(許可のときは「1」、禁止のときは「0」)
の三つの値を乗算することで、制動力配分指令値TOBJVを算出する
以上のように、制動力配分装置Mbに対して駆動力配分装置Mdを優先的に作動させて該制動力配分装置Mbの作動量を最小限に抑えることで、つまり駆動力配分指令値TOBJと実駆動力配分値TOBJKestとの偏差に応じた制動力配分指令値TOBJVを出力することで、制動力配分装置Mbの作動に伴う車両の減速を最小限に抑えることができ、これにより車両の旋回性能および車両安定性能を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態では車両の旋回運動を規範ヨーレートYaw refに追従させているが、それを規範車体スリップ角(車体重心点の横滑り角)に追従させても良い
また駆動力配分装置Mdの構造は実施の形態に限定されず、任意の構造のものを採用することができ、例えば駆動力配分装置Mdにおける油圧クラッチCL,CRは電磁クラッチに置き換えることもできる。
また駆動力配分装置Mdにより発生するヨーモーメントが何らかの理由で必要なヨーモーメントに対して過剰になったときは、この過剰分のヨーモーメントを制動力配分装置Mbにより発生するヨーモーメントで打ち消すことができる。
更に本発明はフロントエンジン・フロントドライブの前輪駆動の車両に限らず、後輪駆動の車両や4輪駆動の車両にも適用することができ、後輪駆動の車両では駆動力配分装置は左右後輪間に駆動力差を設定し、4輪駆動の車両では駆動力配分装置は左右前輪間、左右後輪間の何れか、または両方に駆動力差を設定する。
ヨーモーメント制御装置を備えた車両の全体構成を示す図 駆動力配分装置の構造を示す図 左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図 右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図 実駆動力配分値算出部の説明図 実駆動力配分値補正部の説明図 US,OS判定フラグおよび制動力配分指令値の説明図 US,OS判定部の説明図 制動力配分許可判定部の説明図 制動力配分指令値算出部の説明図
CL 左クラッチ(クラッチ)
CR 右クラッチ(クラッチ)
Md 駆動力配分装置
Mb 制動力配分装置
TOBJ 駆動力配分指令値(駆動力差指令値)
TOBJV 制動力配分指令値(制動力差)
TOBJKest 実駆動力配分値(実駆動力差)
Yaw ヨーレート
Yaw ref 規範ヨーレート

Claims (1)

  1. クラッチ(CL,CR)をアクチュエータで締結することで左右の駆動輪間に駆動力差を設定する駆動力配分装置(Md)を備え、車両の旋回運動を規範ヨーレート(Yaw ref)または規範車体スリップ角に追従させるために必要なヨーモーメントを前記駆動力差によって生じさせる車両のヨーモーメント制御装置であって、
    左右の車輪間に制動力差(TOBJV)を設定する制動力配分装置(Mb)を備え、前記駆動力差によって生じさせることができるヨーモーメントが前記必要なヨーモーメントに対して不足しているときは、この不足分のヨーモーメントを前記制動力差(TOBJV)により生じさせ
    前記制動力差(TOBJV)は規範ヨーレート(Yaw ref)と実ヨーレート(Yaw)との偏差、あるいは規範車体スリップ角と実車体スリップ角との偏差に基づいて設定される駆動力差指令値(TOBJ)と実駆動力差(TOBJKest)との偏差に基づいて設定され、
    前記実駆動力差(TOBJKest)は前記アクチュエータへの作動入力値に基づいて算出されるとともに、前記左右の駆動輪の一方に対する他方の増速比が駆動力配分装置(Md)のギヤ比で得られる増速比の上限に近づいたときには、上限に達する直前の実駆動力差(TOBJKest)を保持し、前記駆動力差指令値(TOBJ)と保持した実駆動力差(TOBJKest)との偏差に基づいて前記制動力差(TOBJV)を設定することを特徴とする車両のヨーモーメント制御装置。
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