JP4815133B2 - クイックコネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂チューブとパイプ体とを連結するために用いられる自動車配管用のクイックコネクタに関し、より詳しくは、樹脂チューブが帯電するのを防止することができるクイックコネクタに関する。
自動車の燃料系配管では、比較的薄肉に形成された、軽量で取り扱い性に優れる樹脂チューブが用いられるようになってきている。樹脂チューブは十分な可撓性を有しないので、予め配管個所に合わせて曲げ加工されたり、あるいは蛇腹部の形成により可撓性を付与されたりして複数の燃料系部品を連結するために配置され、クイックコネクタを介してパイプ体と連結される。クイックコネクタは、例えば、チューブ接続部を軸方向一方側に有し、リテーナー手段が軸方向他方側に設けられたコネクタハウジングを備えていて、このようなクイックコネクタを用いて樹脂チューブとパイプ体とを連結するときには、樹脂チューブの接続側端部にチューブ接続部を相対的に圧入することにより、樹脂チューブをチューブ接続部の外周にきつく嵌め付け、かつ、リテーナー手段と係合して抜け止め状態となるように、軸方向他方側から、あるいは軸方向他端開口からコネクタハウジング内にパイプ体の挿入端部を相対的に挿入することとなる。
ところで、樹脂チューブには、内部流体である燃料との摩擦によって静電気が発生する。特に、樹脂チューブが、燃料タンクとエンジンとをつなぐフィード配管に用いられ、かつ、燃料を濾過するフィルタの下流側に配置されるときには、フィルタを通過する際に静電気を帯びた燃料が樹脂チューブ内を流れることとなるので、樹脂チューブの帯電量が多くなり、帯電した静電気によって、配管内のガソリン蒸気に引火してしまう危険性がある。また、帯電した樹脂チューブに放電スパークが飛んで樹脂チューブに穴があき、燃料漏れの障害が発生するおそれもある。そして、燃料タンクと給油口とをつなぐフィラー配管に樹脂チューブが用いられる場合などにも、例えば給油終了時に、樹脂チューブの帯電により、配管内のガソリン蒸気に引火するといった危険性がないわけではない。したがって、自動車の配管構造に対しては、全体的に、樹脂チューブの帯電を防止する帯電防止手段を構成しておくことが好ましい。
配管構造に構成される樹脂チューブの帯電防止手段としては、コネクタハウジングを導電性材料で形成するとともに、このコネクタハウジング内に導電性の接触部材を配置しておき、接触部材を介してコネクタハウジングと、例えば金属製であるパイプ体とを確実に電気接触させ、樹脂チューブが嵌め付けられたコネクタハウジング、接触部材、そしてパイプ体と続く導電路を形成するもの(例えば特許文献1参照)や、コネクタハウジングを導電性材料で形成するととともに、このコネクタハウジングを、リード線やクリップで車体側に電気的に接続してアースするといった技術(例えば特許文献2参照)が知られている。また、導電性のクイックコネクタの外周に取り付けられる取り付け部と、車体側に設けられたアース部材に接続される接続部と、接続部及び取り付け部を連結する長尺の連結部とを一体的に有し、導電性の弾性材料で可撓性を有するように形成された配管用帯電防止具も開発されている(例えば特許文献3参照)。
特開2003−185080号公報 特開平11−13574号公報 特開2004−256080号公報
特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載された技術はいずれも、樹脂チューブが嵌め付けられたコネクタハウジングを導電路又はアース路の一部として利用している。したがって、コネクタハウジングを導電性材料で形成しているが、コネクタハウジング全体を導電性材料で形成すると、クイックコネクタが高価なものとなり、配管構造全体に帯電防止手段を設ける場合には、配管の製造コストが大幅に上昇するおそれがある。
そこで本発明は、安価に構成でき、しかも、樹脂チューブの帯電を効果的に防止できる構造を備えたクイックコネクタの提供を目的とする。
この目的を達成するための本発明のクイックコネクタは、軸方向一方側に樹脂チューブ接続部が設けられ、軸方向他方側からパイプ体の挿入端部が挿入されるように形成されたコネクタハウジングと、前記パイプ体の前記挿入端部にスナップ係合するように前記コネクタハウジングに設けられたリテーナー手段と、前記パイプ体の前記挿入端部の外径に等しいあるいはほぼ等しい内径を有し、前記パイプ体の前記挿入端部を支持するように前記コネクタハウジング内に嵌め付けられたブッシュと、を備え、前記樹脂チューブ接続部の外周に嵌め付けられた樹脂チューブを前記パイプ体に連結するためのクイックコネクタであって、前記ブッシュは、導電性材料から形成され、かつ、前記樹脂チューブ接続部の軸方向一端から外側に突出する突出部を有していて、この突出部は、前記樹脂チューブ接続部の外周に嵌め付けられた前記樹脂チューブ(例えば樹脂チューブの導電性層)と接触あるいは電気的に接触するように形成されているものである。ここでは、樹脂チューブと接触した突出部を有するブッシュ及びこのブッシュに嵌められて接触したパイプ体により、樹脂チューブの帯電を防止するための導電路が形成される。したがって、コネクタハウジングを導電性材料で形成する必要は特にない。パイプ体は金属等の導電性材料により形成される。また、樹脂チューブは、例えば導電性材料から形成される。
ブッシュの突出部は、樹脂チューブ接続部の外周に嵌め付けられた樹脂チューブと係合する係合部分を有していることが好ましい。例えば、突出部の係合部分は、樹脂チューブ接続部の外周に嵌め付けられた樹脂チューブの内面と接触し、樹脂チューブの接触部分を径方向外側に出っ張らせるものとすることができる。このように構成することにより、ブッシュの突出部と樹脂チューブとの確実な電気的接触を確保できる。
本発明のクイックコネクタを用いれば、樹脂チューブの帯電防止手段を安価に構成できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るクイックコネクタが用いられる自動車のフィラー配管の概略構成図である。
フィラー配管1は、自動車の燃料タンク3と給油口とを連絡するためのものであり、給油口に接続して設けられたパイプ体5の挿入端部7に、クイックコネクタ9を介して樹脂チューブ11の一端部を連結し、燃料タンク3から突出するパイプ体13の挿入端部15に、クイックコネクタ17を介して樹脂チューブ11の他端部を連結することにより構成されている。フィラー配管1から燃料タンク3内に供給されたガソリン燃料は、フィードライン19を通ってエンジン側に供給され、タンク内のガソリン燃料蒸気(ベーパ)は、パージライン21を通ってキャニスター側に導かれる。なお、クイックコネクタ9とクイックコネクタ17、パイプ体5の挿入端部7とパイプ体13の挿入端部15はそれぞれ、同一の構成を有している。
図2はクイックコネクタ9の分解斜視図、図3はクイックコネクタ9の組立図、図4はクイックコネクタ9の軸方向に沿った平面方向の断面図、図5はクイックコネクタ9の軸方向に沿った正面方向の断面図、図6はクイックコネクタ9の側面図である。
クイックコネクタ9は、筒状のコネクタハウジング23と、ほぼ環状のリテーナー25(リテーナー手段)と、を備えて構成されている。
コネクタハウジング23はガラス繊維強化ポリアミド(PA12GF30)を素材として形成され、軸方向一方側の円筒状の樹脂チューブ接続部27と、軸方向他方側のほぼ円筒状のリテーナー保持部29とから一体的に構成され、軸方向一端から軸方向他端に貫通する貫通孔31を有している。樹脂チューブ接続部27は、外周面が軸方向他方側に向かって緩やかに拡径する断面直角三角形状の軸方向一方側部33と、軸方向一方側部33の軸方向他方側でほぼ単純な円筒状に延びている外周面に、断面四角形状の抜止環状突出部35及び軸方向他方側に向かって拡径する断面直角三角形状の2本の抜止環状突出部37、37が、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって順次、軸方向に間隔を有して形成された軸方向他方側部39と、から構成され、外周又は外周面に樹脂チューブ11がきつく嵌め付けられて接続される(図7参照)。軸方向他方側部39の軸方向一端外周面41(軸方向一方側部33と抜止環状突出部35との間)は小径にあるいは深い環状溝として形成されていて、この軸方向一端外周面41には、樹脂チューブ11との間を密封するシール用Oリング43が嵌め付けられる(図7参照)。
リテーナー保持部29又はリテーナー保持部29内よりも軸方向一方側のコネクタハウジング23の内周面、あるいは樹脂チューブ接続部27の内周面は、軸方向他端寄りに形成された内向き分割環状突出部45により、軸方向一方側の第1の収容部47と軸方向他方側の第2の収容部49とに分割されていて、第1の収容部47の軸方向他方側には、軸方向一方側の第1のOリング51と軸方向他方側の第2のOリング53とがカラー55を介して、すなわち軸方向に間隔を有して並んで嵌められ、第1の収容部47の軸方向一方側には円筒状の第1の樹脂ブッシュ57が嵌め付けられている。第1の樹脂ブッシュ57は、軸方向一端部に径方向外側に多少広がる環状係合部59を一体的に有し、外周面の軸方向一端寄りに低い環状突出部61を備え、内径が内向き分割環状突出部45の内径と同一あるいはほぼ同一に形成されていて(環状係合部59の内周面は軸方向一方側に向かって拡径するテーパ状に形成されている)、環状突出部61が、第1の収容部47の軸方向一端寄りに形成されている浅い環状凹部63内に嵌り込み、環状係合部59の軸方向他方側の外周面が樹脂チューブ接続部27あるいは軸方向一方側部33の軸方向一端部と係合するように、第1の収容部47内に嵌め付けられている。環状係合部59は、樹脂チューブ接続部27の軸方向一端から軸方向一方側に突出して突出部65を構成していて(図8も参照)、環状係合部59の軸方向一方側の外周面(突出部65の外周面)は、軸方向一方側部33のテーパ状の外周面を軸方向一方側に延長するように、軸方向一方側部33の外周面とほぼ連続して位置しているが(環状係合部59の軸方向一方側の外周面の軸方向他端は、軸方向一方側部33の軸方向一端とほぼ同一の外径を有している)、より詳しく説明すると、環状係合部59の軸方向一方側の外周面(突出部65の外周面)は、径方向外側に若干拡径してから(図8の符号67参照)、軸方向一方側部33のテーパ状の外周面とほぼ同一の角度でテーパ状に縮径する(図8の符号69参照)ように形成され、符号67部分と69部分との間に係合部分71を構成している(図8も参照)。したがって、環状係合部59の軸方向一方側の外周面は、少なくとも係合部分71個所で、樹脂チューブ接続部27あるいは軸方向一方側部33の軸方向一端の外径よりも大径に形成されている。第1のOリング51及び第2のOリング53は、内向き分割環状突出部45と第1の樹脂ブッシュ57とに挟まれて軸方向に位置決めされている。第1の樹脂ブッシュ57は、カーボン粉末又はカーボンファイバあるいはステンレス粉末を混入した樹脂材料、例えばPA12GF30又はポリアセタール(POM)を素材として形成されていて、比較的良好な導電性を有している。
第1のOリング51はFKM(フッ素ゴム)によって形成され、第2のOリング53もFKMによって形成されている。なお、カラー55は、断面形状が径方向外側に向かって幅が狭くなる台形状に形成されていて、第1のOリング51及び第2のOリング53がパイプ体挿入時につぶされて軸方向に膨らんだとき、第1のOリング51及び第2のOリング53が入り込むスペースが確保されている。このように構成することにより、比較的大径で変形しやすい第1のOリング51及び第2のOリング53に、パイプ体挿入に際して無理な変形が生じるのを効果的に防止できる。
第2の収容部49の軸方向一方側には、第3のOリング73が嵌められ、軸方向他方側には環状の第2の樹脂ブッシュ75が嵌め付けられている。第2の樹脂ブッシュ75は、軸方向他方側端部に多少外側に突出するフランジ部77を一体的に有し、外周面の軸方向一方側に径方向外側に多少突出する環状突出部79を備えていて、第2の樹脂ブッシュ75の内周面は、軸方向他方側が軸方向他方側に向かって拡径するテーパ状に形成され、軸方向一方側が内向き分割環状突出部45の内径とほぼ同一の内径の短い円筒状内面に形成されている。第2の収容部49の軸方向他端部は多少大径に形成され、第2の樹脂ブッシュ75の外周面形状に対応する形状を有していて、第2の樹脂ブッシュ75は、軸方向他方側の環状端面81が、リテーナー保持部29の内側の軸方向一端に形成されている、狭い幅を有して径方向内側に広がる環状当接面83と同一平面上に位置するように、第2の収容部49の軸方向他端部に嵌め付けられている。第3のOリング73は、内向き分割環状突出部45と第2の樹脂ブッシュ75とに挟まれて軸方向に位置決めされている。なお、内向き分割環状突出部45の軸方向他端面は、径方向外側に向かって軸方向一方側に傾斜するように形成されていて、第3のOリング73がパイプ体挿入時につぶされて軸方向に膨らんだとき、第3のOリング73が入り込むスペースが確保されている。このように構成することにより、比較的大径で変形しやすい第3のOリング73に、パイプ体挿入に際して無理な変形が生じるのを効果的に防止できる。第2の樹脂ブッシュ75はPA12GF30で形成されている。
第3のOリング73はFKMによって形成されているが、FVMQ(フロロシリコーンゴム)、NBR(アクリロニトリル‐ブタジエンゴム)、NBR/PVC(アクリロニトリル‐ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとのブレンドゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)又はTPO(サーモプラスチックオレフィン)によって形成してもよい。
第1のOリング51と第2のOリング53との間には、カラー55の厚み分の軸方向間隔が確保され、第2のOリング53と第3のOリング73との間には、内向き分割環状突出部45の厚み分の軸方向間隔が確保されているが、カラー55は内向き分割環状突出部45よりも薄く(具体的には内向き分割環状突出部45のほぼ半分の厚み)、したがって、第1のOリング51と第2のOリング53との間に確保される軸方向間隔は、第2のOリング53と第3のOリング73との間に確保される軸方向間隔よりも狭い(具体的には第2のOリング53と第3のOリング73との間に確保される軸方向間隔のほぼ半分)。
樹脂チューブ接続部27よりも大径に形成されたほぼ円筒状のリテーナー保持部29には、径方向対称位置に対向して同一構造の係合窓85、85が形成され、係合窓85、85の間のそれぞれの外周面には、径方向対称位置に同一形状の平面部分87、87が設けられていて、平面部分87はリテーナー保持部29の軸方向全長にわたって形成され、かつ、リテーナー保持部29の外径のほぼ3分の1の幅(周方向の長さ)を有している。それぞれの平面部分87の軸方向一方側には、軸方向に僅かの間隔を設けて2本の同一形状の突条89、89が平行して周方向に延びるように形成されていて、それぞれの突条89は平面部分87の全幅にわたって(周方向一端から他端まで)延びている。この突条89、89間には、例えば、接続確認用のチェッカーが取り付けられる。
それぞれの平面部分87の軸方向他方側には、幅方向中間に互いに同一形状の膨出部91が形成されていて、この膨出部91は、突条89と同一の突出高さを有して、平面部分87の軸方向他端から軸方向他方側の突条89に接続されるまで軸方向に延びている。なお、係合窓85、85の軸方向一端(端面)95、95は、リテーナー保持部29の内側の環状当接面83及び第2の樹脂ブッシュ75の軸方向他方側の環状端面81と同一平面上に設けられていて、係合窓85、85の軸方向一端95、95から第2の樹脂ブッシュ75の軸方向他方側開口縁にかけて段差は生じていない。したがって、水分が溜まりにくい構成となっていて、段差部と、接続された金属製のパイプ体との間に水分が溜まってしまい、その結果、パイプ体に錆が発生し、このパイプ体が腐食するといったことが効果的に防止される。
リテーナー保持部29内にはPA製のリテーナー25が嵌め付けられていて、このリテーナー25は比較的柔軟であり、弾性変形可能なように形成されている。リテーナー25は、例えばPA612を材料として形成することができるが、軸方向他端部の径方向対称位置に、径方向外側に突出した一対の同一形状の係合爪部97、97が形成されている、周方向両端部99、99間に比較的大きな変形用隙間が設けられた断面C形(ほぼ環状形)の本体部101を有し、この本体部101の内面は、変形用隙間と対向する部分を除いて軸方向一方側に向かって縮径する状態に形成されていて、本体部101の軸方向一端部103は、変形用隙間と対向する部分を除いてパイプ体5とほぼ同じ内径状態に形成され、環状係合突部(図7の符合105参照)よりも小さい内径状態に形成されている。本体部101の変形用隙間と対向する部分の内面はほぼ円筒内面状態に形成され、かつ、外面もほぼ円筒外面状態に形成されていて、本体部101の変形用隙間と対向する部分の軸方向一方側には、2つの同一形状の切欠状凹部107、107が、軸方向一方側に延びる細い区分け片109を介して周方向又は幅方向に並んで形成されている。また、本体部101の変形用隙間と対向する部分の外面には、周方向又は幅方向中間に断面台形状(径方向外側に向かって幅広となる台形状)の係合凸部111が一体的に形成されていて、この係合凸部111は軸方向他方側端から軸方向中央手前まで延びている。
リテーナー25の本体部101の軸方向他端部には、係合爪部97、97と対応した位置から軸方向他方側に向かって径方向外側に傾斜して延びる一対の操作アーム113、113が一体的に設けられていて、それぞれの操作アーム113の軸方向他端部には径方向外側に突出した操作端部115が形成されている。本体部101の軸方向一端部103には、周方向に延びる係合スリット117、117が対向して形成されていて、このような構成のリテーナー25は、係合爪部97が、リテーナー保持部29の係合窓85内に入り込んで係合窓85の軸方向他端119と係合状態あるいは係合可能状態となり、操作端部115、115が、リテーナー保持部29の軸方向他端部に係合窓85、85と対応して形成された一対の収容凹部121、121に嵌まり込んで係合状態となるように、軸方向他端開口からリテーナー保持部29内に押し込まれて嵌め付けられている。リテーナー保持部29の軸方向他端部に収容凹部121を形成し、この収容凹部121内に操作アーム113の操作端部115を収めることにより、操作端部115、したがってリテーナー25に外力が加わりにくい構造となっている。操作アーム113、113から係合スリット117、117まで延びる、リテーナー25の対向している断面円弧状の内面123、123はそれぞれ、軸方向一方側に向かって中心又は中心軸方向にテーパ状あるいはほぼテーパ状に傾斜している。リテーナー25のこのテーパ状の内面123、123はそれぞれ、操作アーム113のテーパ状の内面125と本体部101のテーパ状の内面127とから形成され、本体部101の対向しているテーパ状の内面127は操作アーム113のテーパ状の内面125よりも若干緩やかに傾斜していて、パイプ体5を操作アーム113、113の操作端部115、115側からリテーナー25の本体部101内に挿入すると、パイプ体5の環状係合突部105が本体部101の対向しているテーパ状の内面127、127の軸方向他端に当接するように構成されている。すなわち、パイプ体5の環状係合突部105は、リテーナー25のテーパ状の内面123、123と、操作アーム113及び本体部101の境界位置で当接する。
リテーナー保持部29の内周面には、それぞれの膨出部91位置で、この膨出部91に沿って、軸方向他端から膨出部91の軸方向一端まで延びる断面台形状(径方向外側に向かって幅が広くなる台形状)の係合凹部129が形成され、この係合凹部129の断面形状は、例えば、リテーナーの係合凸部111の断面形状と同一あるいはほぼ同一に形成されていて、係合凸部111は、リテーナー25をリテーナー保持部29に嵌め付けるときに、係合凹部129内に挿入されて嵌め込まれ、この係合凹部129と周方向に係合している。また、リテーナー保持部29の内周面の軸方向一端部には、径方向内側に薄く突出する、同一形状の2つの回止突出部131、131が設けられ、この回止突出部131はリテーナー25の切欠状凹部107とほぼ同一の形状に形成されていて、それぞれの回止突出部131は、リテーナー25をリテーナー保持部29に嵌め付けるときに、それぞれの切欠状凹部107に嵌め込まれた状態となり、この切欠状凹部107と周方向に係合している。なお、リテーナー25を図2に示す状態から180度回転させた状態でもリテーナー保持部29内に同様に嵌め付けることができるように、回止突出部131、131は径方向対称位置に形成されている。なお、図示されたものでは、係合凹部(例えば129)の断面形状は、係合凸部(例えば111)と同一に形成されているが、必ずしも同一断面形状とする必要はなく、リテーナー(例えば25)の周方向、あるいは周方向かつ径方向の移動を規制できるようなものであればよい。
図7はクイックコネクタ9に樹脂チューブ11を嵌め付け、パイプ体5を挿入して接続した状態を示す断面図、図8は第1の樹脂ブッシュ57の突出部65個所の拡大図である。
クイックコネクタ9に、リテーナー保持部29の軸方向他端の挿入開口131から挿入されて、より具体的には、操作アーム113、113の操作端部115、115側からリテーナー25の本体部101内に挿入されて嵌め付けられたパイプ体5は金属製であり、軸方向一方側の外周面に環状係合突部105が設けられることにより構成された挿入端部7を有していて、環状係合突部105がリテーナー25の本体部101を押し広げて進行し、係合スリット117、117に嵌り込んでスナップ係合するまでクイックコネクタ9あるいはコネクタハウジング23に押し込まれている。パイプ体5は、環状係合突部105がリテーナー25の本体部101の係合スリット117、117に嵌り込んでスナップ係合することにより、クイックコネクタ9に対して抜け止めされ、また挿入止めされる。すなわち、軸方向に位置決めされる。パイプ体5の軸方向一端は、第3のOリング73、第2のOリング53及び第1のOリング51を通過して、樹脂チューブ接続部27に嵌め付けられた第1の樹脂ブッシュ57内に達していて、パイプ体5(より具体的にはパイプ体5の挿入端部7の環状係合突部105よりも軸方向一方側)とクイックコネクタ9(より具体的には樹脂チューブ接続部27)との間はこの第1乃至第3のOリング51、53、73により密封され、パイプ体5の挿入端部7の環状係合突部105よりも軸方向一方側は、パイプ体5の挿入端部7の外径と同一あるいはほぼ同一の内径を有する第2の樹脂ブッシュ75、内向き分割環状突出部45及び第1の樹脂ブッシュ57内にガタが生じないように挿入され、第1の樹脂ブッシュ57の内周面と電気的に接触している。なお、リテーナー25は多少軸方向にガタが生じる状態でリテーナー保持部29内に嵌め付けられるのが普通であるが、少なくともパイプ体5を押し込んだ時には、本体部101の軸方向一端が環状当接面83及び第2の樹脂ブッシュ75の軸方向他方側の環状端面81に当接したような、あるいは接近した状態となる。また、パイプ体5の円筒状外周面(先細りとなっていない部分)と第1の樹脂ブッシュ57との重なり長さ(軸方向幅)は、0.3mm乃至10mmであるが、特に5.0mm以上であることが好ましい。
パイプ体5は、収容凹部121、121内に収容されている操作アーム113、113の操作端部115、115を外側から押圧して操作アーム113、113の径方向の間隔、したがって係合爪部97、97の径方向の間隔を狭め、係合爪部97、97が係合窓85、85から抜け出た状態として、リテーナー25をコネクタハウジング23から相対的に引き出すと、このリテーナー25とともにクイックコネクタ9又はコネクタハウジング23から抜き出される。
コネクタハウジング23の樹脂チューブ接続部27には、樹脂チューブ11が接続されているが、樹脂チューブ11は、樹脂チューブ接続部27の外周よりも小さな内径を有するように、したがって、第1の樹脂ブッシュ57の環状係合部59の軸方向一方側の外周面よりも小さな内径を有するように形成されていて、樹脂チューブ接続部27が、樹脂チューブ11の嵌め付け側に相対的に圧入されることにより、この樹脂チューブ接続部27にきつく嵌め付けられた状態で接続されている。嵌め付けられた樹脂チューブ11は、図7及び図8から明らかなように、突出部65の係合部分71と係合した状態で、環状係合部59の軸方向一方側の外周面と全体的に密着し、環状係合部59の軸方向一方側の外周面を全体的に締め付けている。樹脂チューブ11は、突出部65の係合部分71位置で径方向外側に出っ張るように変形している。樹脂チューブ11の嵌め付け部分135(樹脂チューブ接続部27の外周に嵌められている部分)の軸方向他端(開口側端)は、樹脂チューブ接続部27の軸方向他端に達して、この樹脂チューブ接続部27の軸方向他端に形成されている、径方向外側に広がる環状端面137に当接するような状態となっている。したがって、樹脂チューブ11の嵌め付け部分135の軸方向他端は、第1のOリング51及び第2のOリング53よりも軸方向他方側に位置している。なお、ここでは、樹脂チューブ11の嵌め付け部分135は、軸方向他端が第3のOリング73と軸方向位置を一致させるように、樹脂チューブ接続部27に嵌め付けられているが、第3のOリング73よりも軸方向一方側に位置するように、樹脂チューブ接続部27に嵌め付けられている場合もある。
樹脂チューブ11は、エチレン‐四フッ化エチレン共重合体樹脂(ETFE)製のガソリン燃料低透過性内層139及びPA12製の耐熱性外層141から構成された積層構造を備え、内層139の内周面側は、カーボン粉末又はカーボンフィラーあるいはステンレス粉末が混入された導電性層143を構成している。したがって、第1の樹脂ブッシュ57の突出部65は、樹脂チューブ11の導電性層143と接触している。このような構成では、樹脂チューブ11の導電性層143から、第1の樹脂ブッシュ57の突出部65及び第1の樹脂ブッシュ57の内周面を通り、パイプ体5に到る導電路が形成されている。
本発明のクイックコネクタは、例えば、自動車のフューエル配管に用いられて、配管内の帯電を効果的に防止する。
本発明に係るクイックコネクタが用いられる自動車のフィラー配管の概略構成図である。 クイックコネクタの分解斜視図である。 クイックコネクタの組立図である。 クイックコネクタの軸方向に沿った平面方向の断面図である。 クイックコネクタの軸方向に沿った正面方向の断面図である。 クイックコネクタの側面図である。 クイックコネクタに樹脂チューブを嵌め付け、パイプ体を挿入して接続した状態を示す断面図である。 第1の樹脂ブッシュの突出部個所の拡大図である。
符号の説明
5 パイプ体
7 挿入端部
9 クイックコネクタ
11 樹脂チューブ
23 コネクタハウジング
25 リテーナー(リテーナー手段)
27 樹脂チューブ接続部
57 第1の樹脂ブッシュ(ブッシュ)
65 突出部

Claims (3)

  1. 軸方向一方側に樹脂チューブ接続部が設けられ、軸方向他方側からパイプ体の挿入端部が挿入されるように形成されたコネクタハウジングと、前記パイプ体の前記挿入端部とスナップ係合するように前記コネクタハウジングに設けられたリテーナー手段と、前記樹脂チューブ接続部の軸方向一端部内に嵌め付けられたブッシュと、を有するクイックコネクタを用い、前記樹脂チューブ接続部の外周に嵌め付けられた樹脂チューブを前記パイプ体に連結する配管接続構造であって、
    前記コネクタハウジングは、ガラス繊維強化ポリアミドを素材として形成され、
    前記ブッシュは、前記樹脂チューブ接続部よりも短い軸方向長さを有して樹脂製であり、前記パイプ体の前記挿入端部の外径にほぼ等しい内径を有して、前記樹脂チューブ接続部に至るまで前記コネクタハウジング内に挿入された前記パイプ体の挿入端を受け入れて支持し、
    前記ブッシュの内周面は、前記パイプ体の前記挿入端の円筒状外周面と、前記チューブ接続部内で、長さ方向に重なって電気的に接触し、
    前記ブッシュはまた、導電性材料から形成され、かつ、前記樹脂チューブ接続部の軸方向一端から外側に突出する突出部を有し、
    前記樹脂チューブは、前記樹脂チューブ接続部の軸方向他端に至るまで、前記樹脂チューブ接続部の外周に嵌め付けられ、前記突出部は、前記樹脂チューブの内面と接触するように形成されていて、
    前記樹脂チューブから前記ブッシュの内周面を通り、前記パイプ体に至る導電路が形成されている、ことを特徴とする配管接続構造。
  2. 前記突出部は、前記樹脂チューブの内面と係合する係合部分を有し、
    前記係合部分は、前記樹脂チューブ接続部の外周に嵌め付けられた前記樹脂チューブの内面に喰い込む断面三角山形部分であり、前記樹脂チューブの接触部分を径方向外側に出っ張らせるように形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の配管接続構造。
  3. 前記ブッシュは、前記パイプ体の挿入端の円筒状外周と0.3mm乃至10mmの長さで重なるように形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の配管接続構造。
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