以下、本発明を具体化した電話機能一体型電子キーの一実施形態を図1〜図5
に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、実際に車両キーを操作しなくてもドアロック施解錠やエンジン始動停止等の車両動作を行うことが可能なキー操作フリーシステム2が搭載されている。本例のキー操作フリーシステム2は、キー固有のIDコード(キーコード)を無線通信で発信可能な電子キー機能が携帯電話に組み込まれた携帯電話一体型携帯機3が車両キーとして使用されている。キー操作フリーシステム2は、車両1からIDコード返信要求としてリクエスト信号Srqを発信させ、このリクエスト信号Srqを携帯機3が受信すると、それに応答する形で携帯機3が自身のIDコードを乗せたID信号Sidを狭域通信により車両1に返信し、携帯機3のIDコードが車両1のIDコードと一致すると、ドアロック施解錠やエンジン始動停止が許可又は実行されるシステムである。なお、車両1が通信先に相当し、キー操作フリーシステム2が電子キーシステムに相当し、携帯機3が電話機能一体型電子キーに相当する。
キー操作フリーシステム2には、ドアロック施解錠操作の際に実際の車両キー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステム4がある。このスマートエントリーシステム4を以下に説明すると、車両1には、携帯機3との間で狭域通信を行う際にID照合を行う照合ECU5が設けられている。照合ECU5には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF対の信号を発信可能な車外LF発信機6と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の信号を発信可能な車内LF発信機7と、車内バックミラー等に埋設されてRF帯の信号を受信可能なRF受信機8とが接続されている。これらLF発信機6,7は、リクエスト信号Srqを周囲に発信可能であって、車外LF発信機6が車両周囲にリクエスト信号Srqの通信エリア(車外通信エリア)を形成し、車内LF発信機7が車内全域にリクエスト信号Srqの通信エリア(車内通信エリア)を形成する。
照合ECU5には、例えば車外ドアハンドルノブ9に埋設されたタッチセンサ10が接続されている。タッチセンサ10は、操作者が施錠状態のドアロックを解除する時に車外ドアハンドルノブ9をタッチする操作を検出する。照合ECU5には、例えば車外ドアハンドルノブ9に設けられたロックボタン11が接続されている。ロックボタン11は、操作者が解錠状態のドアロックを施錠する時に押し操作される。照合ECU5には、ドアロックの施解錠を制御するドアECU12が車内LAN13を介して接続されている。ドアECU12は、照合ECU5から指令を基にドアロックモータ14を駆動制御することでドアロックを施錠状態又は解錠状態にする。
また、携帯電話一体型携帯機3には、持ち運びが可能で広域無線通信の通信環境下で少なくとも通話を行うことが可能な携帯電話15と、固有のキーコードを狭域無線通信で発信可能な電子キーとして機能する携帯機16とが設けられている。携帯電話15は、通話の他に広域通信によりメールの送受信等も行うことが可能であって、携帯機16が一体に組み付けられている。また、携帯機16は、キー操作フリーシステム2の電子キーとして機能し、車両キーのキーコードとして固有のIDコードが自身のメモリ17に登録されている。なお、携帯電話15が電話機能部品に相当し、携帯機16が電子キー機能部品に相当する。
車両1が駐車状態(エンジン停止及びドアロック施錠状態)の際、照合ECU5は、車外LF発信機6からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両周辺に車外通信エリアを形成する。携帯機3がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号Srqを受信すると、携帯機3はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身のメモリ17に登録されたIDコードを載せたID信号SidをRF帯の信号で返信する。照合ECU5は、RF受信機8でID信号Sidを受信してスマート通信が確立すると、自身のメモリ18に登録されたIDコードと携帯機3のIDコードとを照らし合わせてID照合(車外照合)を行う。照合ECU5は、車外照合が成立した事を認識すると、メモリ18に車外照合フラグを一定時間の間において立てて、待機状態のタッチセンサ10をその期間の間において起動させる。ドアECU12は、車外ドアハンドルノブがタッチ操作された事を起動中のタッチセンサ10が検出すると、ドアロックモータ14を一方側に回転させて、施錠状態のドアロックを解錠する。
一方、車両1が停止状態(エンジン停止及びドアロック解錠状態)の際、照合ECU5は、ロックボタン11が押されたことを検出すると、車外LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信させる。照合ECU5は、このリクエスト信号Srqを受けて携帯機3が返信してきたID信号Sidにおいて車外照合が成立した事を認識すると、ドアECU12にドアロック施錠要求を出力する。ドアロック施錠要求を受け付けたドアECU12は、ドアロックモータ14を他方側に回転させて、解錠状態のドアロックを施錠する。
また、キー操作フリーシステム2には、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステム19がある。このワンプッシュエンジンスタートシステム19を以下に説明すると、車両1の運転席には、車両1の電源状態(電源ポジション)を切り換える際の操作系としてエンジンスイッチ20が設けられている。エンジンスイッチ20は、操作箇所であるスイッチ操作部20aを押し込み操作可能な押圧操作式であって、スイッチ操作部20aが操作される度に電源状態が切り換わる。エンジンスイッチ20には、エンジン21を始動状態又停止状態に切り換えるエンジン始動停止操作機能と、電源状態をオフ状態からACCオン状態やIGオン状態に切り換える電源遷移操作機能とが設けられている。
また、車両1には、エンジン21の点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンECU22と、セレクトレバーの操作を基に自動変速機を制御するシフトECU23と、車載電装品の電源管理を行う電源ECU24とが設けられている。これらECU22〜24は、車内LAN13を通じて照合ECU5等の各種ECUに接続されている。電源ECU24には、前述のエンジンスイッチ20の他に、車両1の速度を検出する車速センサ25と、ブレーキペダル(図示略)の操作量を検出するブレーキセンサ26とが接続されている。また、電源ECU24には、各種車載アクセサリに繋がるACCリレー27と、エンジンECU22に繋がるIGリレー28と、エンジン21のスタータモータに繋がるスタータリレー29とが接続されている。
照合ECU5は、車外照合が成立してドアロックが解錠された後、例えばカーテシスイッチ30でドアが開けられて運転者が乗車した事を認識すると、車内LF発信機7からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ECU5は、携帯機3がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたID信号SidをRF受信機8で受信してスマート通信が確立すると、自身に登録されたIDコードと携帯機3のIDコードとを照らし合わせてID照合(車内照合)を行う。照合ECU5は、この車内照合が成立すると、メモリ18に車内照合成立フラグを立てて車内照合成立を認識する。
電源ECU24は、ブレーキペダルが踏み込み操作された状態でエンジンスイッチ20が押圧操作されたことを検出すると、車内照合成立を条件として、停止状態のエンジン21を始動すべく3つのリレー27〜29をオンしつつ、エンジンECU22に起動信号を出力する。起動信号を受け付けたエンジンECU22は、車内照合結果の確認と、照合ECU5が自身とペアを成すものかを確認するペアリングとを暗号化通信により行う。これら両条件の確認を済ませたエンジンECU22は、点火制御及び燃料噴射制御を開始してエンジン21を始動する。一方、電源ECU24は、エンジン21が稼働中の際にエンジンスイッチ20が押圧操作された事を検出すると、車両1が停止(車速「0」)していることを条件に3つのリレー27〜29を全てオフ状態にして、エンジン21を停止状態にする。
また、電源ECU24は、ブレーキペダルが踏み込み操作されずにエンジンスイッチ20のみが押圧操作されたことを検出すると、車内照合が成立していることとシフトレバーがPレンジ位置にあることを条件として、エンジンスイッチ20が操作される度に、操作一回りの間において電源状態をオフ状態→ACCオン状態→IGオン状態の順に切り換える。例えば、電源状態がオフ状態の際にエンジンスイッチ20のみが押圧操作されると、電源状態がACCオン状態となり、この状態から更にエンジンスイッチ20が押圧操作されると電源状態がIGオン状態となり、エンジンスイッチ20がもう一度押圧操作されると電源状態がオフ状態に戻る。
図2に示すように、携帯電話一体型携帯機3は、携帯機16が携帯電話15に対して着脱式をとることにより、携帯電話15と携帯機16とが一体状態(図2参照)又は分離状態(図3参照)に着脱可能となっている。携帯電話15は、2つの筐体31,32がヒンジ機構33を介して開閉可能な折り畳み型である。携帯電話15には、ディスプレイ等の表示系部品が取り付けられた表示側筐体31と、テンキー等の操作系部品が取り付けられた操作側筐体32とが設けられている。携帯電話15は、これら筐体31,32を外側に回動させると開き状態となり、筐体31,32を内側に回動して折り畳むと閉じ状態となる。
また、着脱式携帯機16には、この携帯機16のケースとしてキー本体部34が設けられている。キー本体部34は、着脱式携帯機16が携帯電話15に取り付けられた際に、操作側筐体32の端部を形成すべく、取付時においてこの端部と一体形状をなすような形状に形成されている。キー本体部34の内部には、図3に示すように、キー照合に準じた狭域無線通信を行う無線通信機構35が収納されている。無線通信機構35には、この無線通信機構35の各種電気部品の実装先となる基板36が収納されている。また、キー本体部34には、着脱式携帯機16の電源として電池37が収納されている。本例の電池37は、例えばボタン電池等からなり、収納時においては基板36と電気的に接続された状態をとる。
図2に示すように、携帯電話15の操作側筐体32の先端端部(ヒンジ機構33に対して反対側の端部)には、着脱式携帯機16の取り付け先として電話側コネクタ38が形成されている。この電話側コネクタ38は、着脱式携帯機16を携帯電話15に取着した際、着脱式携帯機16を携帯電話15に電気的に接続する。本例の電話側コネクタ38は、コネクタ接続において挿す側となるオス型コネクタからなり、操作側筐体32の先端端面の中央部に配置されている。また、図3に示すように、着脱式携帯機16には、電話側コネクタ38と接続可能なキー側コネクタ39が形成されている。本例のキー側コネクタ39は、コネクタ接続において挿される側となるメス型コネクタからなり、キー本体部34の側面において電話側コネクタ38と向き合う位置に配置されている。
また、着脱式携帯機16には、車両1のメカニカルキーのキー板としてキープレート40が取り付けられている。よって、本例の着脱式携帯機16は、キー操作フリーシステム2の電子キーとして機能する他に、車両1のメカニカルキー41としても機能する。このメカニカルキー41(キープレート40)は、車両1のドアロック施解錠やエンジン始動停止を機械式キー操作で行う機械操作式キーシステムに使用する車両キーであって、キー操作フリーシステム2がトラブル(故障、電池切れ等)に陥って無線通信機構35でID照合が行えない状況になった際に用いるエマージェンシーキーとして使用される。着脱式携帯機16をメカニカルキー41として使用する場合、キー本体部34がキー操作時に把持するノブ部となる。
図2に示すように、携帯電話15の操作側筐体32の先端端面には、着脱式携帯機16のキープレート40を挿し込むことが可能な挿込穴42が形成されている。この挿込穴42は、電話側コネクタ38の隣位置に配置されるとともに、収納時において縦向きをとるキープレート40が収納可能となるように開口部位が操作側筐体32の厚さ方向に延びた向きをとっている。着脱式携帯機16を携帯電話15に取り付けるに際しては、着脱式携帯機16のキープレート40を携帯電話15の挿込穴42に挿し込んだ状態で、携帯電話15の電話側コネクタ38を着脱式携帯機16のキー側コネクタ39に挿込接続することによって行う。
図4に示すように、車両1には、車両1側において各種システム2や各種車載機器43を制御するとともに、この車両1側において電話通信を制御する車両側制御部44が設けられている。車両側制御部44には、前述したキー操作フリーシステム2が接続されるとともに、電話通信に準じた各種信号の送受信を行う通信部45が接続されている。車両側制御部44は、この通信部45を介して携帯電話一体型携帯機3の携帯電話15と電話通信が可能であって、電話通信の通信形式で携帯電話15から発信された各種信号を通信部45で受信してこれを解読したり、種々の情報を電話通信の通信形式で通信部45から携帯電話15に向けて発信したりする。なお、車載機器43が機器に相当する。
また、車両1には、盗難者による盗難行為の有無を検出する車両盗難防止システム46が搭載されている。この種の車両盗難防止システム46としては、例えば車両1の揺れを揺動センサで検出する揺動検出式や、カメラで取得した画像から盗難者の有無を検出するカメラ式や、車両1の窓ガラスの破壊音から盗難有無を検出するマイク式等があり、車両側制御部44に接続されている。車両盗難防止システム46は、盗難者による盗難行為の有無を逐次監視するとともに、その監視結果を車両側制御部44に通知する。車両側制御部44は、車両盗難防止システム46から盗難行為有りの通知を受けると、その旨を通知する通知信号として盗難検知信号Spsを通信部45から発信させる。この盗難検知信号Spsには、盗難行為があったことを通知する通知メッセージと、車両1のその時に位置している駐車位置として位置情報とが含まれている。盗難検知信号Sps内の位置情報は、例えば車載機器43の一機器であるカーナビゲーション装置のGPS(Global Positioning System:図示略)から算出される。なお、車両盗難防止システム46が盗難防止システムに相当する。
携帯電話15には、携帯電話15の通話やメール送受信を統括制御する電話制御部47と、電話制御部47が各種処理を行う時に実行する制御プログラム等の各種データを記憶したメモリ48と、各種画面を表示する表示部49と、テンキーや各種ボタンからなる入力部50とが設けられている。また、携帯電話15には、ユーザが通話を行う際の発生音を集音するマイク51と、通話相手の声を出力するスピーカ52と、電話通信に準じた各種信号の送受信を行う通信部53と、携帯電話15の電源として電池54とが設けられている。図4の48〜54の各部材は、基板のパターン配線や各種ケーブル等を介して電話制御部47に接続されている。また、電話側コネクタ38も、例えば基板のパターン配線やケーブル等からなる配線55を介して電話制御部47に接続されている。なお、メモリ48が記憶手段に相当する。
電話制御部47は、入力部50で電話番号が入力されたことを検出すると通話動作を開始し、マイク51で集音した集音内容を通信部53を介した広域通信によって通話先に送るとともに、通話先から広域通信を介して通信部53により得た通話相手の音声内容をスピーカで複製してユーザに伝達する。また、電話制御部47は、入力部50でメール入力及びその発信操作が行われたことを検出すると、通信部53を介した広域通信によってそのメール内容を通信先に発信する。
携帯電話15には、携帯電話15のその時々の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)56が、電話制御部47に接続された状態で設けられている。このGPS56は、人工衛星から得た電波信号を利用して三角測量の原理を用い自身の現在位置を特定する機器であって、人工衛星からの電波信号の受信タイミングで現在位置を演算するとともに、演算したその位置情報を電話制御部47に出力可能である。電話制御部47は、GPS56から取得した位置情報を基に、携帯電話15(携帯電話一体型携帯機3)の現在位置を把握する。なお、GPS56が位置検出手段に相当する。
また、着脱式携帯機16(通信制御機構35)には、携帯機16を統括制御するキー制御部57と、スマート通信に準じた各種信号の送受信を行う通信部58とが設けられている。キー制御部57は、例えば制御IC、メモリ、コイル、コンデンサ等の素子群からなるとともに、通信部58の他に電池37が接続されつつ、配線59を介してキー側コネクタ39にも接続されている。また、このキー制御部57は、車両1(照合ECU5)との間でスマート通信を行う時にこの無線通信処理を実行する。即ち、キー制御部57は、車両1から発信されたリクエスト信号Srqを通信部58で受信すると、これに応答する形で自身のメモリ17に登録されたIDコードを乗せたID信号Sidを、通信部58から車両1に向けて返信して、車両1にキー照合を実行させる。
携帯電話15と携帯機16とには、これら携帯電話15と携帯機16とが互いに相手側と連動して動く連動機能が各々設けられている。この連動機能は、携帯電話15と携帯機16とが互いに相手側から各種情報を取得し、この取得情報を用いて動作する機能のことである。この連動機能を以下に説明すると、携帯電話15の電話制御部47には、携帯電話15に着脱式携帯機16が取り付けられているか否かを監視する着脱監視部60と、携帯電話15に携帯機16が取り付いているか又は分離しているかの各々で携帯電話15の動作状態を切換設定する動作設定部61とが設けられている。なお、着脱監視部60及び動作設定部61はCPUが制御プログラムを実行する際に機能的に生成されるものであって、本例においてはこれをブロック図で表現する。
着脱監視部60は、電話側コネクタ38にキー側コネクタ39が接続されているか否かを見ることにより、携帯電話15に携帯機16が接続されているか否かを監視し、この監視結果を動作設定部61に通知する。この監視方式としては、電話側コネクタ38にキー側コネクタ39を接続した際には、これらコネクタ38,39のコネクタピン(配線)が通電状態となるので、その通電有無を見ることで着脱監視を行う配線監視式がある。また、これ以外の監視方式としては、携帯電話15において着脱式携帯機16が取り付けられる箇所にスイッチを設け、このスイッチがオンオフの何れにあるのかを見ることで着脱監視を行うスイッチ式もある。
動作設定部61は、着脱監視部60から取得した監視結果を基に、携帯電話15に着脱式携帯機16が組み付いた一体状態にあるか若しくはこれらが別々に分かれた分離状態にあるかの各々の状態に応じて動作状態を設定する。例えば、携帯電話15に着脱式携帯機16が取り付いている場合、動作設定部61は携帯電話15の動作状態を、携帯電話15が持つ機能の全ての使用を許可する全機能使用許可状態とする。この全機能使用許可状態には、携帯電話15の入力部(入力テンキー)50が車両操作時に使用する操作ボタン(即ち、エンジン始動停止用ボタン)として機能する操作ボタン割付機能と、携帯電話15の無条件使用の他に、車両1から盗難検知信号Spsを受け付けた際、携帯電話15が車両1から離れた位置に存在していれば、携帯電話15でその旨をユーザに通知する盗難検出通知機能とが含まれる。
また、携帯電話15に着脱式携帯機16が取り付いていない場合、動作設定部61は携帯電話15の動作状態を、使用できる機能を制限する使用機能制限状態とする。この使用機能制限状態には、例えばテンキー入力による電話操作のみを許可し、電話帳の閲覧、電話発信履歴、電話受信履歴、メールの使用、アプリケーション等については使用を禁止する機能が含まれる。
また、着脱式携帯機16にも、携帯電話15のものと同様の着脱監視部62及び動作設定部63が設けられている。着脱監視部62は、着脱式携帯機16に携帯電話15が取り付けられているか否かを監視し、携帯電話15の着脱監視部60と同様の監視方式でその着脱を監視する。また、動作設定部63は、着脱監視部62から取得した監視結果を基に、着脱式携帯機16に携帯電話15が組み付いた一体状態にあるか若しくはこれらが別々に分かれた分離状態にあるのかの各々の状態に応じて動作状態を設定する。例えば、着脱式携帯機16に携帯電話15が取り付けられている場合、動作設定部63は着脱式携帯機16の動作状態を、この携帯機16が持つ全ての機能の使用を許可する全機能使用許可状態とする。この全機能使用許可状態には、着脱式携帯機16の無条件使用の他に、車両1との間でスマート通信(車外通信及び車内通信のどちらでも可)を行う際において、携帯電話15のメモリ48内に登録されているユーザの個人データであるカスタマイズ情報DcsをIDコードとともに車両1に発信し、カスタマイズ情報Dcsに合わせて車両1の状態を変更するカスタマイズ情報転送機能(個人情報転送機能)も含まれる。このカスタマイズ情報Dcsは、ユーザの好みや特性が書き込まれた項目情報の他に、例えばユーザが気に入って登録した音楽データや映像データ等の生データも含むものとする。なお、カスタマイズ情報Dcsが個人情報に相当する。
また、着脱式携帯機16に携帯電話15が取り付いていない場合、動作設定部63は着脱式携帯機16の動作状態を、使用できる機能を制限する使用機能制限状態とする。この使用機能制限状態には、着脱式携帯機16が車両1とスマート通信を行う際において、車両1の各種機器や機能の使用を制限する旨の要求として使用制限要求RstをIDコードとともに車両1に発信し、車両1で使用できる機器や機能を制限する車両動作制限の機能も含まれる。なお、この時に使用が制限される機器や機能の例としては、例えばカーナビゲーション装置、オーディオ装置、ラッゲージドア等々がある。なお、コネクタ38,39、配線55,59、着脱監視部60,62が連動動作手段(着脱検出手段)を構成する。また、動作設定部61が連動動作手段(動作制御手段、電話側制御手段)を構成し、動作設定部63が連動動作手段(動作制御手段、キー側制御手段)を構成する。
次に、本例の携帯電話一体型携帯機3の動作を説明する。
携帯電話15と携帯機16とは、これらが組み付けられた一体状態(図4に示す状態)にある際、携帯電話15及び携帯機16の両者とも使用機能が制限されることなく動作する。よって、正規のユーザが携帯電話一体型携帯機3を使用する場合は、携帯電話15と着脱式携帯機16とを一体に組み付けた状態で使用する。携帯電話15の着脱監視部60は、携帯電話15に着脱式携帯機16が一体状態にあるのか若しくは分離状態にあるのかを逐次監視し、携帯電話15に着脱式携帯機16が一体に組み付いている場合には、その旨を通知する組付状態通知Sa1を動作設定部61に出力する。
動作設定部61は、着脱監視部60から組付状態通知Sa1を入力すると、携帯電話15に着脱式携帯機16が一体に組み付いていると認識し、携帯電話15の動作状態を全機能使用許可状態とする。携帯電話15の動作状態が全機能使用許可状態の際、電話制御部47は携帯電話15が持つ全機能を使用可能な状態とし、例えば通話、電話受信履歴の確認、電話発信履歴、メール閲覧、メール送受信、アプリケーション使用等の全ての機能の使用を許可し、これら機能を実行する要求操作が入力部50で行われた際には、携帯電話15をその要求操作に沿って動作させる。
携帯電話15の動作状態が全機能使用可能状態の際、携帯電話15はこれら電話機能に関する機能が全て使用可能となる以外に、操作ボタン割付機能も実行可能となる。この機能動作としては、例えば入力部50を操作して、操作ボタン割付アプリケーションを起動させ、このアプリケーション実行中において入力部50がドアロック施解錠の操作ボタンとして割り付けられる。この具体例としては、例えばテンキーの「0」がドアロックボタンとして割り付けられ、テンキーの「1」がドアアンロックボタンとして割り付けられる。なお、操作ボタンの割付機能は、ドアロック施解錠のみに限らず、エンジン始動停止用のボタンを割り付けてもよい。
携帯電話15の動作状態が全機能使用許可状態の際、携帯電話15はこれら電話機能に関する機能が全て使用可能となる以外に、盗難検出通知機能も実行可能となる。ところで、例えば仮に車両盗難防止システム46が盗難行為を検出した際には、その旨の通知として盗難検知信号Spsを電話通信により発信する状態をとる。なお、盗難検知信号Spsを電話通信で発信するのは、車両1が盗難行為にあっている時は、携帯電話15を持つユーザは車両1から離れた場所にいることから、広域通信でしかその旨の通知を携帯電話15に伝達できないからである。
電話制御部47は、通信部53を介して盗難検知信号Spsを受信した際、自身の動作状態が全機能使用許可状態にあれば、盗難検知信号Spsに含まれる位置情報から車両1の駐車位置を把握し、更にはGPS56から取得する位置情報を用いて携帯電話15(携帯電話一体型携帯機3)の現在位置を把握し、携帯電話15と車両1との位置関係を確認する。電話制御部47は、この位置関係の確認を行った際、携帯電話15が車両1から離れた場所に位置していれば、盗難行為が有った旨を携帯電話15を介してユーザに報知する。この報知方式としては、例えば携帯電話15の表示部49にその旨を文字や絵柄で表示したり、スピーカ52で警報音を鳴らしてユーザに音声報知したりする方式がある。
また、携帯電話15の着脱監視部60と同様に着脱式携帯機16の着脱監視部62も、携帯機16に携帯電話15が一体状態に組み付いているか否かを逐次監視し、携帯機16に携帯電話15が一体状態に組み付いていれば、その旨を通知する組付状態通知Sa2を動作設定部63に出力する。動作設定部63は、着脱監視部62から組付状態通知Sa2を入力すると、着脱式携帯機16に携帯電話15が一体に組み付いていると認識し、着脱式携帯機16の動作状態を全機能使用許可状態とする。携帯機16が全機能使用許可状態の際、キー制御部57は車両1とスマート通信を行う時、制限を加えることなく車載機器43の使用を可能とすべく通常通りにIDコードの発信が可能な状態となる。
これにより、携帯電話15と携帯機16とが一体状態、即ち携帯機16が全機能使用許可状態の際、携帯電話一体型携帯機3を所持したユーザが車両1に接近してスマート通信が行われた時、車両1と携帯機16との間でID照合が成立すると、照合ECU5は車載機器43の使用を制限することなく許可する。このため、正規のユーザであれば携帯電話15と携帯機16とが一体状態の携帯電話一体型携帯機3を所持することから、着脱式携帯機16が全機能使用許可状態となるので、車載機器43の自由な使用が許可される。
携帯機16の動作状態が全機能使用許可状態の際、キー制御部57は車載機器の使用を無条件に使用可能とする他に、車載機器をユーザに合わせた動作状態に設定するカスタマイズ情報転送機能を実行することも可能となる。即ち、キー制御部57は、車両1とID照合を行う際に、電話制御部47のメモリ48に登録されたカスタマイズ情報Dcsを読み出し、IDコードにこのカスタマイズ情報Dcsを付加したデータ群をID信号Sidとして通信部53から車両1に向けて発信する。照合ECU5は、スマート通信でID信号Sidを受信すると、ID信号Sidに含まれるIDコードを用いてID照合を行うが、この時にID信号Sidにカスタマイズ情報Dcsが含まれていれば、このカスタマイズ情報Dcsを車両側制御部44に出力する。車両側制御部44は、カスタマイズ情報Dcsを入力すると、このカスタマイズ情報Dcsに合わせて車載機器43の動作状態を変更する。例えば、カスタマイズ情報Dcsの中にユーザがラジオを好んで聞くデータ群が含まれていれば、車両側制御部44は車両1の電源状態がACCオン状態やIGオン状態になった際、オーディオ装置を音楽再生状態ではなくラジオ再生状態で動作させる。
また、携帯電話15及び携帯機16は、これらを分離状態(図5に示す状態)にすると、それぞれで使用できる機能が制限状態となる。よって、携帯電話一体型携帯機3の携帯電話15や携帯機16を他人に貸し出す場合は、携帯電話15と携帯機16とを分離状態にして、必要な側のみを貸し出すことになる。携帯電話15の着脱監視部60は、携帯電話15から着脱式携帯機16が取り外されて、携帯電話15と携帯機16と分離状態となったことを検出すると、その旨を通知する非組付通知信号Sb1を動作設定部61に出力する。
動作設定部61は、着脱監視部60から非組付通知信号Sb1を入力すると、携帯電話15と携帯機16とが分離状態にあると認識し、携帯電話15の動作状態を使用機能制限状態とする。携帯電話15が使用機能制限状態の際、電話制御部47は携帯電話15で使用できる機能を制限し、例えば入力テンキーでの通話動作のみを許可する。これにより、携帯電話15を第三者に貸し出すに際しては、携帯電話15と携帯機16とを分離して携帯電話15のみ第三者に貸し出すようにすれば、携帯電話15は使用できる機能が制限されているので、携帯電話15を第三者に自由に使用させずに済み、プライベート性の高い機能が勝手に第三者に使用されてしまう状況が生じ難くなる。なお、電話制御部47は動作状態が使用機能制限状態にある際には、操作ボタン割付機能や盗難検出通知機能は働かない。
また、着脱式携帯機16の着脱監視部62は、携帯電話15と携帯機16とが分離状態であることを検出すると、その旨を通知する非組付状態通知Sb2を動作設定部63に出力する。動作設定部63は、着脱監視部62から非組付状態通知Sb2を入力すると、携帯電話15から着脱式携帯機16が取り外されていると認識し、着脱式携帯機16の動作状態を使用機能制限状態とする。携帯機16の動作状態が使用機能制限状態の際、キー制御部57は車両1とスマート通信を行う際、車載機器43の使用を制限する要求である使用制限要求RstをIDコードに付加したデータ群をID信号Sidとして車両1に向けて発信する。
照合ECU5は、スマート通信において携帯機16からID信号Sidを受信すると、このID信号Sidに含まれるIDコードを用いてID照合を行うが、この時にID信号Sidに使用制限要求Rstが含まれていれば、この使用制限要求Rstを車両側制御部44に出力する。車両側制御部44は、照合ECU5から使用制限要求Rstを受け付けると、使用制限要求Rstにより動作が禁止された車載機器43の動作を禁止し、複数の車載機器43の中から使用禁止を受けていない車載機器43のみ使用を許可する。これにより、携帯機16は携帯電話15から分離されて独立状態にある際、この時はスマート通信が成立しても、照合ECU5は所定の車載機器43の動作のみを許可する。このため、携帯機16を第三者に貸し出すに際しては、携帯電話15と携帯機16とを分離して携帯機16のみ第三者に貸し出すようにすれば、この時にスマート通信が成立して車載機器43の使用が許可されたとしても、全ての車載機器43を第三者に自由に使用させずに済み、プライベート性の高い車載機器43が勝手に第三者に使用されてしまう状況が生じ難くなる。
従って、本例においては、携帯電話15と携帯機16とが一体状態にある時又は分離状態にある時とで、携帯電話15と携帯機16とで実行可能となる機能を切り換えることにより、携帯電話15と携帯機16とが連動動作するようにした。このため、携帯電話15で動作可能な機能として、携帯機16が関係する機能を持たせられることになるので、携帯電話15の機能が自身の中で集約される機能だけに限定されることがなくなり、その分だけ携帯電話15の機能性を高くすることが可能となる。また、これは着脱式携帯機16でも同様に言え、携帯機16の機能性の向上にも寄与する。
また、携帯電話15は着脱式携帯機16が自身から取り外された分離状態の際、使用できる電話機能が制限されるので、例えば第三者に携帯電話15を貸し出すに際しては、携帯電話15と携帯機16とを分離状態にして携帯電話15のみ貸し出すようにすれば、携帯電話15でプライベート性の高い機能を第三者に勝手に使用させずに済む。更に、携帯機16は携帯電話15が自身から取り外された分離状態の際、使用できる通信機能が制限されるので、例えば第三者に車両1を貸し出す際に携帯機16を渡す場合は、携帯電話15と携帯機16とを分離状態にして携帯機16のみ貸し出すようにすれば、車両1を貸し出した第三者に車載機器43を勝手に使用させずに済ませられる。
本実施形態の構成によれば、以下の記載の効果を得ることができる。
(1)携帯電話15と携帯機16とが一体に組み付いた携帯電話一体型携帯機3において、これら携帯電話15と携帯機16とが一体状態にある時と分離状態にある時とで実行できる機能を切り換えることにより、携帯電話15と携帯機16とを連動動作可能とした。このため、携帯電話15や携帯機16の各々が持つ機能に、相手と関連させたものも含ませることが可能となるので、携帯電話15や携帯機16の各々が持つ機能バリエーションが増え、各々が持つ機能を機能性の高いものとすることができる。
(2)本例の連動動作は、携帯電話一体型携帯機3の携帯電話15と携帯機16とを着脱可能とし、携帯電話15と携帯機16とが一体状態にあるのか或いは分離状態にあるのかの接続状態を監視し、その接続状態の監視結果を基に携帯電話15と携帯機16とを連動させる動作である。即ち、本例の連動動作は、携帯電話15と携帯機16とが一体状態にあるのか或いは分離状態にあるのかを接続状態を動作切り換えの条件としている。このため、携帯電話15及び携帯機16が一体状態にある時と分離状態にある時とで、これら携帯電話15や携帯機16の各々に持たせられる機能を切り換えることができる。
(3)携帯電話15に着脱式携帯機16が組み付いた一体状態の際、携帯電話15では操作ボタン割付機能が働いて、携帯電話15の入力部50(入力テンキー)がドアロックを施解錠する時の操作ボタンとして機能する。このため、携帯電話15の入力部50が車両キー用の操作ボタンとして使用可能となるので、携帯機16にこの種のボタン群を設ける必要がなくなり、携帯機16のサイズを小型化することができる。
(4)携帯電話15に着脱式携帯機16が組み付いた一体状態の際、携帯電話15では盗難検出通知機能が働くので、車両1に搭載した車両盗難防止システム46が盗難行為を検出した際には、携帯電話15でその旨がユーザに通知可能となる。よって、車両1が盗難行為にあったとしても、ユーザはその盗難行為に対する対処を行うことが可能となるので、車両盗難を発生し難くすることができる。
(5)携帯電話15に着脱式携帯機16が組み付いた一体状態の際、携帯機16ではカスタマイズ情報転送機能が働くので、携帯機16が車両1に近づいてスマート通信が行われる際には、携帯電話15のメモリ48内に登録されたカスタマイズ情報Dcsが読み出され、このカスタマイズ情報DcsがIDコードとともに車両に発信されて、車載機器43がこのカスタマイズ情報Dcsに基づく動作状態で作動する。このため、車載機器43の作動状態をユーザの好みに応じた状態に設定することが可能となるので、車載機器43をユーザ自らが設定し直す操作が不要となり、利便性を向上することができる。また、カスタマイズ情報Dcsは携帯電話15のメモリ48に登録されたものを使用するので、例えば携帯機16にカスタマイズ情報Dcsを登録するためのメモリ群を搭載する必要がなくなり、その分だけ携帯機16のサイズ小型化や部品コスト低減化に効果が高い。また、携帯電話15に搭載するメモリ48は一般的にメモリ容量の大きなものが搭載されるので、これにカスタマイズ情報Dcsを登録するにしても、メモリ容量的な問題は生じ難く、この点からも効果は高い。
(6)携帯電話15から着脱式携帯機16が取り外された分離状態の際、携帯電話15の電話機能は使用できる機能が制限される。このため、携帯電話15を第三者に貸し出すに際しては、携帯電話15と携帯機16とを分離状態にして、携帯電話15のみ第三者に貸し出すようにすれば、携帯電話15のプライベート性の高い機能が第三者に勝手に使用されてしまわずに済む。
(7)携帯電話15から着脱式携帯機16が取り外された分離状態の際、スマート通信において携帯機16から車両1に発信されるID信号Sidには、車載機器43の使用機能を制限する使用制限要求Rstが含まれる。このため、車両1を第三者に貸し出すに際しては、携帯電話15と携帯機16とを分離状態にして、携帯機16のみを第三者に渡すようにすれば、この携帯機16でスマート通信が成立しても、この時は車載機器43の使用が制限された状態となるので、車載機器43においてプライベート性の高い機器を第三者に勝手に使用させずに済む。
(8)携帯電話15と着脱式携帯機16とを着脱可能にするに際して、これらの接続はコネクタ38,39を用いた有線結線となっている。このため、携帯電話15と携帯機16とが一体状態にあるのか或いは分離状態にあるのかを、より確実な方式で検出することができる。
(9)携帯電話一体型携帯機3が一体状態で使用すれば、携帯電話15と携帯機16とを別々に持ち歩く必要がないので、携帯性を高いものとすることができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 連動動作は、携帯電話15と携帯機16とが一体状態にあるのか或いは分離状態にあるのかを動作実行の条件とすることに限定されない。例えば連動動作と言うのは、携帯電話一体型携帯機3を携帯電話15と携帯機16とが分離できない一体型とし、互いが相手側から得る情報群を用いて動作する内容を含ませてもよい。この場合、携帯電話15が携帯機16に連動動作する一例としては、例えば携帯機16でスマート通信が成立した際に、携帯電話15の入力部50が自動的にドアロック施解錠用のキーに割り付けられる例が挙げられる。また、携帯機16が携帯電話15に連動動作する一例としては、携帯電話15内のメモリ48にIDコードを登録しておき、携帯機16がスマート通信を行う際には携帯電話15のメモリ48からIDコードを読み出してスマート通信を行う例が挙げられる。
・ 盗難防止機能は、携帯電話15に着脱式携帯機16を取り付けた時にのみ動作することに限定されず、例えば盗難防止機能を動作させるボタン操作を予め携帯電話15で行えば、この盗難防止機能が働くようにしてもよい。ところで、海外等では「Valet Parking(ホテルマンに車両キーを預けて車両を駐車してもらう際にホテルマンが車両をそのまま持ち逃げする盗難行為)」が問題となっている。しかし、ここで述べた盗難防止機能を採用すれば、携帯電話15から着脱式携帯機16を取り外して着脱式携帯機16のみをホテルマンに預ける際に、盗難防止機能を働かせるボタン操作を携帯電話15で行っておけば、ホテルマンが車両盗難行為を働いて車両1を持ち逃げした場合であっても、その旨が車両オーナーの携帯電話15に通知される。よって、車両オーナーはこの通知を受けて例えば警察や警備会社等に連絡を入れることになるので、このように車両盗難時に適切な対応がとられれば、車両1がそのまま持ち逃げされる状況を生じ難くすることが可能となる。
・ 携帯電話15の入力部50に割り付けられる操作ボタンは、必ずしもエンジン始動停止用ボタンに限定されず、例えば車両の電動スライドドアを開状態とする際に操作する電動スライドドアオープンスイッチや、トランクを開状態とする際に操作するトランクオープナーでもよい。
・ 携帯電話15と携帯機16とが一体状態の際、携帯電話15と携帯機16とは各々が全機能使用許可状態となって全ての機能が使用できる状態となるが、この時は携帯電話15や携帯機16が元来持つ機能の他に、付加機能(操作ボタン割付機能、盗難検出通知機能、カスタマイズ情報転送機能)も使用となる状態をとることに限定されない。即ち、これら付加機能を必ずしも備える必要はない。また、一方で付加機能として種々の機能を採用できることは言うまでもない。
・ 盗難検出通知機能は、携帯電話15のGPS56から取得する位置情報を基に車両1側で携帯電話15の位置を逐次把握し、車両盗難防止システム46が盗難行為を検出した際、携帯電話15の位置が車両1の近傍であれば、盗難検知信号Spsの発信動作を行わないシステム形態でもよい。
・ 携帯電話15と携帯機16とを分離状態とした場合、携帯機16でスマート通信が成立しても、この時に使用できる車載機器43は所定のものに制限される動作状態をとるが、これはオーディオ装置等の車載機器43の使用を制限することに限定されない。例えば、分離した携帯機16でスマート通信が成立した際には、走行動作に制限を持たせてもよい。この走行系制限の例としては、例えば走行距離が制限されたり、或いは最高速度に制限が発生したりする例が挙げられる。
・ 携帯電話15と携帯機16とを一体状態に組み付ける場合、これらをデータ通信可能に接続する接続形式は、必ずしもコネクタ38,39を用いた有線式に限定されない。例えば、携帯電話15と携帯機16とはスナップフィット等で部品としては一体となるものの、データ通信は無線通信により行う無線式を採用してもよい。
・ 連動機能は、必ずしも携帯電話15と携帯機16との両方に設ける必要はなく、これら両者のうち片方に設けられていればよい。
・ スマートエントリーシステム4は、ドアロックの施解錠を行うに際して操作系の操作を必要とすることに限らず、例えば車外照合の成立を条件にドアロックが自動で施解錠されるものでもよい。
・ ワンプッシュエンジンスタートシステム19は、エンジン21の始動操作時や停止操作時にエンジンスイッチ20のスイッチ操作部20aを押し込み操作する押圧操作式に限定されず、例えばスイッチ操作部20aを回転操作する回転操作式でもよい。また、リレー27〜29は電源ECU24がオンオフ制御する電気式に限らず、例えばスイッチ操作部20aの操作力によってオンオフ状態が機械的に切り換わる機械式でもよい。
・ キー操作フリーシステム2は、必ずしもスマートエントリーシステム4及びワンプッシュエンジンスタートシステム19の両方を備える必要はなく、これら両機能のうちどちらかを持っていればよい。
・ キー操作フリーシステム2は、携帯機16に内蔵した通信タグ部品を用いて無線ID照合を行うイモビライザーシステムを備えていてもよい。イモビライザーシステムは、携帯機16を車内のトランスポンダキーコイルに近づけることにより、このコイルから発信される駆動電波によって携帯機16内のトランスポンダを起動させ、起動したトランスポンダが返信してきたトランスポンダコード信号内のコード番号を車両1側で照らし合わせてID照合(イモビライザー照合)を行うシステムである。エンジンスイッチ20を押圧操作してエンジン21を始動する際、エンジン始動の前段階の認証動作として車内照合成立有無を確認するが、これはキー操作フリーシステム2に準じたID照合成立(車内照合)を条件とすることに限らずキー操作フリーシステム2とイモビライザーシステムとのどちらかのID照合が成立していればよい。
・ キー操作フリーシステム2は、必ずしも車両1に採用されることに限定されず、例えば住宅の扉のドアロック施解錠など、種々の機器や装置等に採用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(1)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記電話機能部品と前記電子キー機能部品とは、一体状態又は分離状態に着脱可能であって、前記連動動作手段は、前記電話機能部品と前記電子キー機能部品とが一体状態又は分離状態のどちらにあるのかを検出する着脱検出手段と、前記着脱検出手段の検出結果に基づき、前記電話機能部品と前記電子キー機能部品とが一体状態にある際には当該電話機能部品や当該電子キー機能部品の各種動作に制限を加えず、前記電話機能部品と前記電子キー機能部品とが分離状態にある際には、当該電話機能部品や当該電子キー機能部品の各種動作に制限を加える動作制御手段とを備えた。この構成によれば、電話機能部品や電子キー機能部品を第三者に貸し出すに際しては、これら機能部品を分離して必要な側を貸し出すようにすれば、その貸出先を第三者に自由に使用させずに済む。
(2)前記技術的思想(1)において、前記電話機能部品と前記電子キー機能部品とが一体状態の際、前記電話機能部品は、通常の電話機能の他に付加機能として第1動作モードが実行可能となりつつ、前記電子キー機能部品は、通常の前記キーコードの発信動作の他に付加機能として第2動作モードが実行可能となる。この構成によれば、電話機能部品と電子キー機能部品とが一体状態であれば、例えば通信先に設けた盗難防止システムが盗難を検出した際にその旨を電話機能部品でユーザに通知する盗難検出通知モードを電話機能部品に実行させたり、或いは電子キー機能部品が通信先とキー照合を行う際に、電話機能部品の記憶手段に登録した個人情報をキーコードとともに通信先に発信して、その個人情報に合わせ通信先の状態を変更する個人情報通知モードを電子キー機能部品に実行させたりすることが可能となる。
1…通信先としの車両、2…電子キーシステムとしてのキー操作フリーシステム、3…電話機能一体型電子キーとして携帯電話一体型携帯機、15…電話機能部品としての携帯電話、16…電子キー機能部品(キー)としての着脱式携帯機、38…連動動作手段(着脱検出手段)を構成するコネクタ、39…連動動作手段(着脱検出手段)を構成するコネクタ、43…機器としての車載機器、46…盗難防止システムとしての車両盗難防止システム、48…記憶手段としてのメモリ、55…連動動作手段(着脱検出手段)を構成する配線、56…位置検出手段としてのGPS、59…連動動作手段(着脱検出手段)を構成する配線、60…連動動作手段(着脱検出手段)を構成する着脱監視部、61…連動動作手段(動作制御手段、電話側制御手段)を構成する動作設定部、62…連動動作手段(着脱検出手段)を構成する着脱監視部、63…連動動作手段(動作制御手段、キー側制御手段)を構成する動作設定部、Dcs…個人情報としてのカスタマイズ情報、Rst…使用制限要求。