以下、本発明の実施形態に係るシフトレバー装置について図面を参照して説明する。
(実施形態の構成)
図1〜図3には本発明の実施形態に係るシフトレバー装置の構成が示されている。本実施形態に係るシフトレバー装置10は、所謂、手動での自動変速機に対するシフトチェンジ操作が可能な手動変速モード付きのシフトレバー装置として構成されており、変速モードとして手動変速モード及び自動変速モードの一方が選択可能とされている。なお、図中、符号Wは装置の幅方向、FRは装置の前後方向をそれぞれ示しており、装置の幅方向及び前後方向は、説明を簡単にするため、シフトレバー装置10が取付けられる車両の幅方向及び前後方向と一致するものとする。また図6に示される矢印DF及びDRは車両の前後方向に沿った前端側及び後端側をそれぞれ示すものとする。
図1の分解斜視図に示されるように、シフトレバー装置10は、複数個のスペーサ12を介して車体フレームにボルト等により締結固定される筐体状のハウジングケース14と、このハウジングケース14内に下端側が挿入されるシフトレバー16とを備えている。シフトレバー16は、全体として丸棒状に形成されたレバーロッド18と、このレバーロッド18の下端側を被覆して、これをハウジングケース14側に連結するための支持部材20と、レバーロッド18の上端部に固定されたシフトノブ22(図2参照)とを備えている。
支持部材20には、下端側にブロック状の本体ブロック部24が設けられると共に、この本体ブロック部24の上端面から上方へ突出する円筒状のスリーブ部26が一体的に形成されている。本体ブロック部24の下端部には、前後方向(矢印FR方向)に沿った中央付近に装置の幅方向(矢印W方向)へ貫通すると共に、下端側へ向って開口した切欠部28が形成されている。切欠部28内には、軸心が幅方向と平行に延在する円柱状の第1支軸30が挿通している。支持部材20の下端部には前後方向に貫通する軸孔34が穿設され、また第1支軸30の軸方向中間部にも前後方向に貫通する軸孔36が穿設されている。これらの軸孔34、36には、ピン状の第2支軸32が相対的に回動可能に挿通している。これにより、シフトレバー16の支持部材20は、第1支軸30の軸方向中間部に回動可能に連結される。
図2に示されるように、第1支軸30は、ハウジングケース14における一対の側壁38、40にそれぞれ同軸的に形成された貫通孔42(図1には、紙面右側の側壁38の貫通孔42のみが示されている。)に挿入されており、軸方向両端部(一端部及び他端側)がそれぞれハウジングケース14の側壁38、40から外側に突出している。
第1支軸30の他端部には、一端側に対して外径が拡大された鍔部31が一体的に形成されており、この鍔部31は側壁40の外側面に当接し、ハウジングケース14に対する第1支軸30の一端側への移動を拘束している。また第1支軸30の他端部には、他端側に対して外径が縮小されたねじ部44が一体的に形成されており、このねじ部44には、リング状のブッシュ46及びワッシャ48が嵌挿されると共に、ブッシュ46及びワッシャ48の外側からナット50が捻じ込まれている。これにより、第1支軸30は、ハウジングケース14に対する軸方向に沿った移動が拘束されると共に、ハウジングケース14により回動可能に支持される。
シフトレバー装置10では、支持部材20が第1支軸30及び第2支軸32を介してハウジングケース14に連結されることにより、シフトレバー16が第1支軸30を中心としてシフト方向(第1の操作方向)へ揺動可能とされると共に、第2支軸32を中心としてシフト方向に直交するセレクト方向(第2の操作方向)へ揺動可能とされる。
図1に示されるように、シフトレバー16のレバーロッド18は、丸棒状のスライド軸52と、スライド軸52の先端部に嵌挿固定されるキャップ54とを備えており、スライド軸52は、その下端側が支持部材20のスリーブ部26内を貫通するスライド孔27内に摺動可能に挿入されている。スライド孔27は、スリーブ部26内から本体ブロック部24の下端側まで伸びており、本体ブロック部24には、スライド孔27を介して幅方向へ貫通するガイドスロット56が形成されている。ガイドスロット56はシフトレバー16の軸方向へ細長く形成されている。
シフトレバー16には、スライド軸52の下端部とスライド孔27の底部との間に圧縮状態の第1コイルスプリング58が介装されており、この第1コイルスプリング58はスライド軸52を常に上方へ付勢している。またスライド軸52の下端部には幅方向へ貫通する連結孔53が穿設されており、この連結孔53内には、棒状のグルーブドピン60が嵌挿固定されている。グルーブドピン60は、その両端側を、スライド孔27を通してスライド軸52からそれぞれ突出させている。このグルーブドピン60は、第1コイルスプリング58によりスライド軸52と共に常に上方へ付勢される。ここで、グルーブドピン60は、ガイドスロット56により移動範囲が制限されており、ガイドスロット56の上端及び下端にそれぞれ対応するロック位置及びアンロック位置との間で移動可能とされている。
図2に示されるように、シフトノブ22はスリーブ部26の上端部に固定されており、その上端部にシフトボタン62が軸方向に沿って移動可能に配置されている。シフトボタン62は、下端側をキャップ54(図1参照)の先端部に圧接させている。これにより、車両の運転者がシフトボタン62を押下すると、スライド軸52及びグルーブドピン60が第1コイルスプリング58に抗してロック位置からアンロック位置まで移動し、シフトボタン62への押下を止めると、第1コイルスプリング58の付勢力によりアンロック位置からロック位置へ復帰する。
図1に示されるように、ハウジングケース14には、その頂板部66にシフトレバー16の操作方向に沿って細長い開口部68が形成されており、この開口部68を通ってシフトレバー16は、ハウジングケース14内から上方(車室内)へ突出している。シフトレバー装置10には、ハウジングケース14の開口部68を閉止するガイドプレート70が設けられている。
ガイドプレート70には、図6に示されるように、幅方向(セレクト方向)に沿って側壁38側にシフト方向及びセレクト方向に沿ってクランク状に延在する第1ガイド溝72が形成されると共に、この第1ガイド溝72の後端側(矢印RR側)の端部からセレクト方向に沿って側壁40側へ屈曲した第2ガイド溝74が形成されている。
ここで、第1ガイド溝72の内側は、自動変速エリアとして構成されており、この自動変速エリアには、シフト位置としてオートドライブ位置(A位置)、ニュートラル位置(N位置)、リバース位置(R位置)、リバースセレクト位置(RS位置)及びパーキング位置(P位置)がそれぞれ設定されると共に、R位置とP位置との間にリバースセレクト位置(RS位置)が設定されている。また第2ガイド溝74の内側は、マニュアルドライブエリアとされており、ここにマニュアルドライブ位置(M位置)が設定されている。
また第1ガイド溝72は、側壁40側にシフト方向に延在する主直線路76が形成されると共に、この主直線路76の前端部からセレクト方向に沿って側壁38側に屈曲した屈曲路78を介し、シフト方向に沿って前側へ延出する副直線路80が形成されている。ここで、主直線路76にはA位置、N位置及びR位置が含まれ、副直線路80にはRS位置及びP位置が含まれている。具体的には、シフトレバー装置10では、主直線路76の後端部及び前端部に対応する部位がそれぞれA位置及びR位置として設定され、このA位置とR位置との中間に中間シフト位置であるN位置が設定され、また副直線路80の前端部に対応する部位がP位置として設定されている。
図1及び図5に示されるように、シフトレバー16の本体ブロック部24には、その後端側に円筒状のホルダ部82が斜め上方に向けて突設されている。ホルダ部82内には、円柱状のディテントピン84がホルダ部82の軸方向に沿って移動可能に挿入されており、ディテントピン84は、ホルダ部82内におけるディテントピン84の基端側に配置された第2コイルスプリング86により常に上方へ付勢されている。
ディテントピン84は、シフト方向及びセレクト方向へはシフトレバー16と一体となって移動するようにホルダ部82により支持されており、その先端部をハウジングケース14における頂板部66(図1参照)の裏面側に設けられたディテントガイド面(図示省略)へ圧接させている。このとき、ディテントピン84は、第2コイルスプリング86を介してディテントガイド面から受けた反力をシフトレバー16に伝達する。この反力は、シフトレバー16が自動変速エリア及び手動変速エリアにおける所定のシフト位置(A、N、R、P及びM位置)の何れかに達したときに、このシフトレバー16を所定のシフト位置に安定的に保持するための保持力として作用する。またディテントピン84からの反力は、シフトレバー16が自動変速エリアにおける隣接するシフト位置間を移動する際に、シフトレバー16の操作者へ操作上の節度感を与えるための付勢力(抵抗力又は推進力)としても作用する。
またディテントピン84からの反力は、シフトレバー16が手動変速エリアにおけるM位置にあるときには、シフトレバー16をM位置に安定的に保持するための保持力として作用すると共に、シフトレバー16がM位置からシフトチェンジ位置(+位置又は−位置)に移動操作された後に、このシフトレバー16をM位置に復帰させるための付勢力(復帰力)として作用する。
なお、シフトレバー装置10では、シフトレバー16が第1ガイド溝72にある状態では、このシフトレバー16がディテントピン84からの反力によりセレクト方向に沿って常に主直線路76側へ付勢されるように、ディテントガイド面が構成されている。
シフトレバー装置10では、シフトレバー16がRS位置からP位置へ操作される際に、グルーブドピン60がロックソレノイド88に設けられたU字状のロックプレート89に嵌入し、シフトレバー16がP位置に達すると、グルーブドピン60がグルーブドガイドに沿って上方へ移動することに伴い、ロックプレート89も上方へ移動する。これに連動し、P位置検出スイッチ(図示省略)がオン状態となり、このP位置検出スイッチからの検出信号によりロックソレノイド88がシフトロック状態となり、ロックプレート89をロックする。これにより、シフトボタン62が操作(押下)できなくなる。
シフトロック状態を解除する際には、運転者がフットブレーキを踏み込むことにより、ロックソレノイド88がロック解除状態となり、ロックプレート89が下方へ移動可能になるので、この状態で、シフトボタン62を押下すれば、シフトレバー16がP位置からRS位置側へ移動可能になる。
ハウジングケース14における側壁40の外側には、シフトレバー16のシフト方向に沿った位置を検出するためのポジションセンサ90が配置されている。ポジションセンサ90には、外殻部としてセンサハウジング92が設けられている。センサハウジング92は、全体として幅方向を厚さ方向とする肉厚プレート状に形成されており、その周壁部にそれぞれ外周側へ延出する複数のステー部94が形成されている。センサハウジング92は、複数のステー部94をそれぞれ貫通するビス96により側壁40に締結固定されている。
図2に示されるように、センサハウジング92における軸方向内側の外側面には、下端側に円筒状のスペーサ部98が側壁40側へ突出するように形成されており、このスペーサ部98は、その先端部をハウジングケース14の側壁40に当接させ、スペーサ部98内には第1支軸30の鍔部31が同軸的に配置される。センサハウジング92内には、アーム状のセンサリンク100及びセンサ基板102が配置されている。ここで、センサハウジング92は、図4に示されるように、幅方向外側に配置されるアウタハウジング部104と、このアウタハウジング部104の内側に配置されるインナハウジング部106とを備えており、これらハウジング部104、106は、ビス96(図1参照)により側壁40へ共締めされることにより、センサハウジング92を構成している。
インナハウジング部106には、図2に示されるように、スペーサ部98の幅方向外側にセンサハウジング92内へ突出する支軸部108が一体的に形成されている。この支軸部108は、スペーサ部98と同軸的に配置されており、その先端側に軸心に沿って穿設された嵌挿孔110を備えている。一方、アウタハウジング部104には、嵌挿孔110に対応する嵌挿突起112が一体的に形成されており、嵌挿突起112は嵌挿孔110内に嵌挿している。
図4に示されるように、センサリンク100には、その基端部に装置の幅方向を軸方向とする円筒状の軸受部114が一体的に形成されており、この軸受部114は支軸部108の外周側に回動可能に嵌挿されている。これにより、センサリンク100は、第1支軸30の軸心S1を中心として支軸部108により揺動可能に支持される。また軸受部114の外周側には捩りコイルスプリング116が配置されており、この捩りコイルスプリング116は、一端部によりセンサリンク100に係止すると共に、他端部によりインナハウジング部106を係止している。これにより、センサリンク100は、捩りコイルスプリング116の復元力によりシフト方向に沿って常に一方向(図3では、S1を中心とする反時計方向)へ付勢される。
センサリンク100は、後述する同期リンク130と連結された状態では、シフト方向に沿ってシフトレバー16のP位置に対応するPD位置と、A位置(=M位置)に対応するAD位置とを含むシフト検出領域Ds(図7参照)内で移動可能とされている。すなわち、センサリンク100は、シフトレバー16に対して所定の位相差を有する状態で、シフトレバー16と実質的に同一の角度範囲で揺動可能とされている。インナハウジング部106には、幅方向に沿ってセンサリンク100に対向するようにセンサ基板102が固定されている。センサ基板102は、軸心S1を中心とする周方向へ延在する形状(略扇状)に形成され、周方向に沿ってPD位置からAD位置よりも若干広い範囲をカバーするように配置されている。
センサ基板102には、センサリンク100に対向するセンサ実装面118(図2参照)に複数個の磁気センサ(図示省略)が配置されている。複数個の磁気センサは、例えば、ホール素子等により構成されており、それぞれシフトレバー16のP位置、R位置、N位置及びA位置にそれぞれ対応するPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置にそれぞれ対応して配置されている。
但し、複数個の磁気センサは、それぞれ軸心S1を中心とする周方向に沿って所定の範囲で延在しており、周方向に沿って隣接する磁気センサは、後述するマグネット120に対する検出範囲の一部が互いに重なり合っている。これにより、シフトレバー装置10は、センサリンク100がシフト検出領域Ds内にあれば、所定のシフト検出位置に位置していなくても、少なくとも1個の磁気センサがセンサリンク100を検出し、検出信号を出力するようになっている。
上記のように、センサリンク100がPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置における互い隣接する2位置間(中間位置)にあっても、少なくとも1個の磁気センサによりセンサリンク100を検出し、検出信号を車両の制御部へ出力することにより、車両の制御部は、ポジションセンサ90における検出動作の正誤を判断し、検出動作に誤りがあると判断した場合には、所定のエラー処理を行うことが可能になる。
一方、センサリンク100には、センサ基板102に対向する径方向中間部にプレート状のマグネット120(図4参照)が固定されている。これにより、ポジションセンサ90では、センサリンク100がPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置の何れかに位置すると、センサリンク100のシフト検出位置に対応する複数個(例えば、2個)の磁気センサがセンサリンク100のマグネット120を検出し、検出状態にある複数個の磁気センサからそれぞれ出力される検出信号を、シフト制御信号として車両側の制御部(図示省略)へ出力する。
シフトレバー装置10では、センサリンク100と同期リンク130との連結が解除されると、センサリンク100がシフト方向に沿ってシフト検出領域Dsの外側の領域まで揺動可能になる。但し、図7に示されるように、センサ基板102上には制御回路、入出力端子等の電子部品を収納したコネクタボックス200が固定されており、このコネクタボックス200は、捩りコイルスプリング116によるセンサリンク100の付勢方向とは反対の方向(反付勢方向)に沿ってシフト検出領域Dsの外側に配置されている。これにより、センサリンク100自体は、同期リンク130との連結が解除されても、捩りコイルスプリング116の反付勢方向へはコネクタボックス200によりシフト検出領域Dsの外側へ移動することが阻止される。
またセンサリンク100は、同期リンク130と連結が解除されると、図7(B)に示されるように、捩りコイルスプリング116の付勢方向に沿って、その付勢力によりシフト検出領域Dsの外側の領域であるシフト非検出領域Osまで揺動する。これにより、センサ基板102上に配置された何れの磁気センサも、センサリンク100(マグネット120)を検出不能になる。
図4に示されるように、センサリンク100には、その先端面中央部に軸心S1を中心とする径方向に沿って外周側へ突出する連結突起122が一体的に形成されている。連結突起122には、その基端側に円柱状のブラケット部124が形成されると共に、ブラケット部124に対して先端側に略球状の押圧球部126が一体的に形成されている。
連結突起122では、ブラケット部124の直径が押圧球部126の直径よりも細径とされており、このブラケット部124は、シフト方向に沿った荷重に対する破断強度が低い優先破断部として構成されている。これにより、連結突起122にシフト方向に沿って過大な荷重が入力した場合には、図7(B)に示されるように、連結突起122は、その中間部が優先的に破断して、押圧球部126を含む連結突起122の先端側をセンサリンク100から離脱させる。
図4に示されるように、インナハウジング部106には、センサリンク100の連結突起122に面して開口する挿通開口128が形成されている。挿通開口128は、軸心S1を中心とする周方向に沿って延在しており、その両端部がそれぞれ周方向に沿ってセンサリンク100の可動範囲(PD位置からAD位置までの範囲)よりも外側まで延びている。
図4に示されるように、シフトレバー装置10には、幅方向に沿ってシフトレバー16とポジションセンサ90との間にレバー状の同期リンク130が配置されている。同期リンク130は、基端部に軸心S1を軸方向とする円筒状のリテーナ部132が設けられており、このリテーナ部132は、図2に示されるように、第1支軸30の外周側に回動可能に嵌挿されている。これにより、同期リンク130は第1支軸30を中心としてシフト方向に沿って揺動可能に支持される。リテーナ部132は、その先端側が支持部材20の切欠部28内へ挿入されている。
リテーナ部132には、図4に示されるように、切欠部28に対応する前後方向に沿った両端部に開口部134(図4では、前端側の開口部134のみが示されている。)が形成されており、第2支軸32は、一対の開口部134内を通ってリテーナ部132及び第1支軸30を貫通している。ここで、開口部134は、軸心S1を中心とする周方向を長手方向とする略長方形に形成されており、シフトレバー16のシフト方向への移動時に、第2支軸32がリテーナ部132と接触しないように周長が設定されている。
同期リンク130には、リテーナ部132から外周側へ延出するリンク本体部136が一体的に形成されている。リンク本体部136はリテーナ部132を中心とする略扇状に形成されており、その外周面にディテント部138が周方向に延在するように形成されている。ディテント部138には、図5に示されるように、山形のディテント突起140が周方向に沿って連続的に形成されており、これらのディテント突起140間に形成されるV字状のディテント溝142は、それぞれセンサリンク100のPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置に対応している。シフトレバー装置10には、ディテント部138に対応するディテントスプリング144が設けられている。ディテントスプリング144は、ディテント部138の接線方向に沿って細長く延在する板ばねにより構成されており、その基端部がビス146によりハウジングケース14側に固定されている。
ディテントスプリング144には、先端部にコ字状に屈曲したガイド部148が形成されており、このガイド部148は、その両端部によりディテント部138を幅方向に沿って挟持している。またガイド部148には、ディテント溝142に対応する断面山形のスライド部材(図示省略)が固着されており、ディテントスプリング144は、撓み方向に沿ってスライド部材をディテント部138(ディテント突起140及びディテント溝142)側へ常に付勢している。これにより、同期リンク130がセンサリンク100のPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置の何れかに位置するときには、ディテントスプリング144のスライド部材が対応するディテント溝142内へ嵌まり込んだ状態となり、ディテント部138及びディテントスプリング144は、同期リンク130をPD位置、RD位置、ND位置及びAD位置の何れかに保持するための保持力を発生する。
また同期リンク130がセンサリンク100のPD位置、RD位置、ND位置、AD位置の間を通過する際には、ディテントスプリング144のスライド部材がディテント部138と摺動しつつ、対応するディテント突起140を乗り越えることにより、ディテント部138及びディテントスプリング144が同期リンク130に対して節度感(抵抗力又は推進力)を伝達する。
図4に示されるように、同期リンク130のリンク本体部136には、シフトレバー16側の一方の側面部にセレクト方向に沿って突出する連結片150が一体的に形成されている。連結片150は、シフト方向に沿った断面形状が上下方向へ細長い略長方形とされており、セレクト方向に沿った寸法(突出長さ)がシフトレバー16のシフト方向に沿った可動範囲(P位置〜M位置間の可動範囲)に対応するものになっている。一方、シフトレバー16の本体ブロック部24には、連結片150に面して連結孔152が形成されており、この連結孔152はセレクト方向に沿って本体ブロック部24を貫通しており、そのシフト方向に沿った開口幅が連結片150の幅よりも僅かに広くなっている。ここで、連結片150及び連結孔152は、本発明におけるクラッチ手段を構成している。
同期リンク130は、図5に示されるように、連結片150をシフトレバー16の連結孔152内へ嵌挿している。ここで、連結片150及び連結孔152の双方はセレクト方向に沿って延在していることから、連結片150は、セレクト方向へは連結孔152に対して相対的に移動可能になるが、シフト方向へは常に連結孔152と一体となって移動する。従って、シフトレバー装置10では、シフトレバー16が同期リンク130に対してセレクト方向へは相対的に移動(揺動)可能になるが、シフト方向へは同期リンク130と一体となって移動(揺動)する。
なお、連結片150と連結孔152との間には、設計上、シフト方向に沿って所定幅のクリアランス(ガタ)が存在するが、シフトレバー16の所定位置(P位置、R位置、N位置及びA位置)への移動した際には、同期リンク130自体がディテント部138及びディテントスプリング144の保持力により対応する所定位置(PD位置、RD位置、ND位置及びAD位置)に精度良く、確実に停止する。
図4に示されるように、同期リンク130のリンク本体部136には、ポジションセンサ90側の他方の側面部にセレクト方向に沿って突出するプレート状の連結レバー154が一体的に形成されている。連結レバー154は、図3に示されるように、シフト方向に沿った断面形状が上方へ向って凸となるようにコ字状に屈曲されており、その下面側おけるシフト方向に沿った中央部には、セレクト方向に沿って延在する連結溝156が形成されている。
連結レバー154は、その先端側が挿通開口128を通ってセンサハウジング92内へ挿入されており、連結溝156内には、図3に示されるように、センサリンク100における連結突起122の押圧球部126が嵌挿されている。押圧球部126の直径は、連結溝156のシフト方向に沿った幅と等しいか、僅かに小さくなっている。
具体的には、押圧球部126の直径は、連結溝156のシフト方向に沿った幅に対して0mm〜0.1mm程度小さくなっている。これにより、押圧球部126と連結溝156の内壁部との間には、0mm〜0.1mm程度の隙間(ガタ)が形成されることになるが、センサリンク100が捩りコイルスプリング116によって常に一方向へ付勢されていることから、押圧球部126は、常に連結溝156における一方の内壁部へ圧接した状態となり、ガタの影響によりセンサリンク100自体が変位(振動)することが防止される。
ここで、押圧球部126が球状に形成されており、連結溝156がセレクト方向に沿って延在していることから、押圧球部126は、セレクト方向へは連結溝156に対して相対的に移動可能になるが、シフト方向へは実質的に連結溝156と一体となって移動する。従って、シフトレバー装置10では、同期リンク130がセンサリンク100に対してセレクト方向へは相対的に移動可能になるが、シフト方向へは実質的にセンサリンク100と一体となって移動(揺動)する。
シフトレバー装置10では、例えば、連結レバー154を介し、同期リンク130から連結突起122にシフト方向に沿って過大な荷重が作用し、この荷重によりセンサリンク100における連結突起122のブラケット部124が破断すると、図7(B)に示されるように、押圧球部126が同期リンク130の連結溝156内から抜け落ちる。これにより、センサリンク100と同期リンク130との連結が解除されるので、センサリンク100は、捩りコイルスプリング116の付勢力によりシフト方向に沿ってシフト検出領域Dsからシフト非検出領域Osまで揺動する。このとき、同期リンク130は、シフトレバー16のシフト位置に対応するシフト検出位置に保持されたままになる。
図1に示されるように、シフトレバー装置10には、同期リンク130とは反対側におけるシフトレバー16の幅方向外側にコントロールレバー158が配置されている。コントロールレバー158は、基端部に軸心S1を軸方向とする円筒状のリテーナ部160が設けられており、このリテーナ部160は、一対のブッシュ162を介して第1支軸30の外周側に回動可能に嵌挿されている。これにより、コントロールレバー158は第1支軸30を中心としてシフト方向に沿って揺動可能に支持される。
コントロールレバー158には、リテーナ部160の軸方向内側の端部から外周側へ延出する矩形状の連結プレート164が設けられると共に、リテーナ部160の軸方向中間部から外周側へ延出する径方向へ細長いリンクプレート166が設けられている。リンクプレート166は、その上端側が幅方向外側へクランク状に屈曲しており、リンクプレート166の上端部には連結孔168が穿設されている。またリンクプレート166の連結孔168の下側には、ディテントプレート170が2本のビス172により締結固定されている。ディテントプレート170は、その上端面に3個のディテント突起174が形成されており、これらのディテント突起174間には、それぞれV字状のディテント溝176が形成される。
ここで、一対のディテント溝176は、それぞれシフトレバー16のリバースセレクト位置(RS位置、図6参照)とP位置にそれぞれ対応している。なお、RS位置は、シフト方向に沿ってシフトレバー16のR位置と一致している。またシフトレバー装置10には、ディテントプレート170に対応するディテントスプリング178が設けられている。ディテントスプリング178は、ディテントプレート170上端面の接線方向に沿って細長く延在する板ばねにより構成されており、その基端部がビス180によりハウジングケース14側に固定されている。
ディテントスプリング178には、その先端部がV字状に屈曲されており、先端部をディテントプレート170の上端面(ディテント突起174及びディテント溝176)に圧接させている。これにより、コントロールレバー158がシフト方向に沿ってRS位置及びP位置の一方に位置するときには、ディテントスプリング178の先端部が対応するディテント溝176内へ嵌まり込んだ状態となり、ディテントプレート170及びディテントスプリング178は、コントロールレバー158をRS位置及びP位置の一方に保持するための保持力を発生する。
図1に示されるように、シフトレバー16の本体ブロック部24には、コントロールレバー158側の一方の側面部にセレクト方向に沿って突出する連結凸部182が一体的に形成されている。一方、コントロールレバー158の連結プレート164には、連結凸部182に対応して幅方向へ貫通する矩形状の連結開口184が形成されている。ここで、連結凸部182のシフト方向に沿った断面形状は、連結開口184と略相似した矩形状とされており、連結凸部182は、セレクト方向に沿って連結開口184に挿脱可能とされている。
シフトレバー装置10では、セレクト方向に沿ってシフトレバー16がR位置からRS位置へ移動すると、連結凸部182が連結開口184内に嵌挿される。これにより、シフトレバー16がコントロールレバー158に連結され、シフト方向へはコントロールレバー158と一体となって移動する状態となり、シフトレバー16がRS位置とP位置との間で移動すると、コントロールレバー158もシフトレバー16と一体となってRS位置とP位置との間で移動する。これとは逆に、シフトレバー16がセレクト方向に沿ってRS位置からR位置へ移動すると、連結凸部182が連結開口184から離脱する。これにより、シフトレバー16とコントロールレバー158との連結状態が解除され、コントロールレバー158をRS位置に保持しつつ、シフトレバー16のみが単体でシフト方向へ移動可能になる。
シフトレバー装置10は、シフトレバー16がP位置にあることを検出するためのP位置検出センサ(図示省略)と、このP位置検出センサをリンクプレート166に連結するためのリンク部材(図示省略)を備えている。リンク部材は、その一端部がリンクプレート166の連結孔168に連結されると共に、他端部がP位置検出センサに連結されている。これにより、コントロールレバー158がシフトレバー16と一体となってRS位置及びP位置の一方から他方へ移動すると、この動きがP位置検出センサに伝達される。このとき、P位置検出センサは、コントロールレバー158がRS位置からP位置へ移動すると、オン状態となって車両の制御部へP位置検出信号を出力し、またコントロールレバー158がP位置からRS位置に復帰すると、オフ状態となってP位置検出信号の出力を停止する。
図1に示されるように、シフトレバー装置10は、シフトレバー16のM位置に対応してハウジングケース14内に配置されるA/M切替スイッチ188を備えている。このA/M切替スイッチ188は、シフトレバー16がA位置からM位置へ操作されると、これを検出して車両の制御部(図示省略)へ手動変速モードと自動変速モードとの切替信号を出力する。この切替信号を受けた車両の制御部は、車両における変速モードを手動変速モード及び自動変速モードの一方から他方へ交互に切り替える。
手動変速モードでは、運手者がステアリングハンドルの裏側(車両前側)に配置されたパドルを操作することにより、手動での自動変速機に対するシフトチェンジ操作が可能になる。このとき、M位置に操作されたシフトレバー16は、ディテントピン84からの付勢力によりA位置に自動復帰する。またハウジングケース14にはシフトロック解除ボタン186が配置されている。
図8に示されるように、ハウジングケース14における他方の側壁40には、その内側にグルーブドガイド64が形成されている。このグルーブドガイド64には、第2支軸32の軸心S2を中心とする径方向に沿ってグルーブドピン60の他端部が対向している。グルーブドガイド64は、図10に示されるように、全体として、第1支軸30の軸心S1を中心とする周方向に沿って延在する凹状の曲面として形成されている。グルーブドガイド64には、シフトレバー16のN位置〜P位置の範囲に対応する領域に軸心S1からの曲率半径が縮小したストッパ部200が部分的に形成されている。さらにグルーブドガイド64には、シフト方向に沿ってストッパ部200の両側にそれぞれストッパ部200よりも曲率半径が大きい逃げ部202、204が形成されている。
ストッパ部200に対してA位置側(図10では、右側)に配置された逃げ部202は、シフト方向に沿ってシフトレバー16のA位置〜N位置の範囲に対応する領域に延在しており、ストッパ部200と反対側の端部に軸心S1側へ延出するストッパ壁206が形成されている。またストッパ部200に対してP位置側(図10では、左側)に配置された逃げ部202は、シフト方向に沿ってシフトレバー16のP位置に対応する部位に配置されており、ストッパ部200と反対側の端部に軸心S1側へ延出するストッパ壁208が形成されている。
シフトレバー装置10では、軸心S1からストッパ部200までの曲率半径と逃げ部202、204までの曲率半径との差がグルーブドピン60のロック位置からアンロック位置までのストロークよりも所定長だけ長くなっている。一方、グルーブドピン60は、アンロック位置にあると、図10の破線で示されるように、ストッパ部200の内周側の面(後述する外側摺動面212又は内側摺動面214)と一致するか、この面に対して内周側に僅かに離間した位置に保持される。これにより、グルーブドピン60は、ロック位置にあると、逃げ部202、204における外周側の底面部に対して内周側に離間した位置に保持される。
従って、シフトレバー装置10では、シフト方向に沿ってシフトレバー16を中間シフト位置であるN位置とA位置との間で移動させる場合には、グルーブドガイド64のストッパ部200がグルーブドピン60に干渉しないので、グルーブドピン60をロック位置に保持したまま、すなわちシフトボタン62を押下することなく、シフトレバー16をN位置及びA位置の一方から他方へ移動させることができる。
またシフトレバー装置10では、シフト方向に沿ってシフトレバー16を中間シフト位置であるN位置からR位置側へ移動させる場合及び、P位置からR位置側へ移動させる場合には、グルーブドガイド64のストッパ部200がロック位置にあるグルーブドピン60に干渉し、シフトレバー16のR位置側への移動を阻止するので、グルーブドピン60をロック位置からアンロック位置へ移動させなければ、すなわち操作者がシフトボタン62を押下しなければ、シフトレバー16をN位置又はP位置からR位置側へ移動開始させることができない。
図9に示されるように、グルーブドガイド64のストッパ部200には、その下端面における幅方向に沿った中間部にシフト方向(図10参照)に沿って湾曲すると共に、セレクト方向に沿って湾曲に沿って湾曲したセレクトガイド面210が形成されている。またストッパ部200の下端面には、幅方向に沿ってセレクトガイド面210の外側に外側摺動面212が形成されると共に、セレクトガイド面210の内側に、シフトガイド面として内側摺動面214が形成されている。
またグルーブドピン60は、長手直角方向に沿った断面形状がシフトレバー16の軸方向を長径方向とする長円状に形成されており、長手方向他端側(グルーブドガイド64側)の先端面が略球面状に形成された摺動端部216とされている。
ストッパ部200の外側摺動面212は、シフトレバー16がシフト方向に沿ってN位置とR位置との間を移動する際に、アンロック位置にあるグルーブドピン60の摺動端部216に上方から相対的に摺動可能に当接する。従って、グルーブドピン60がロック位置からアンロック位置へ押下されて、シフトレバー16がN位置からR位置側へ移動開始すると、シフトレバー16は、グルーブドピン60の摺動端部216を外側摺動面212に摺動させつつ、R位置まで移動する。このとき、グルーブドピン60が、外側摺動面212により第1コイルスプリング58の付勢力に抗してアンロック位置に保持されることから、操作者は、シフトレバー16をN位置からR位置側へ移動開始した後には、シフトボタン62の押下を継続する必要はない。
またシフトレバー16は、R位置からN位置側へ移動開始すると、グルーブドピン60の摺動端部216を外側摺動面212に摺動させつつN位置まで移動し、N位置に達すると、グルーブドピン60を外側摺動面212から離脱させる。これにより、第1コイルスプリング58の付勢力によりグルーブドピン60が逃げ部202内へ挿入されると共に、アンロック位置からロック位置に復帰する。
一方、内側摺動面214は、シフトレバー16がシフト方向に沿ってP位置とRS位置との間を移動する際に、アンロック位置にあるグルーブドピン60の摺動端部216に上方から相対的に摺動可能に当接する。従って、グルーブドピン60がロック位置からアンロック位置へ押下されて、シフトレバー16がP位置からRS位置側へ移動開始すると、シフトレバー16は、グルーブドピン60の摺動端部216を内側摺動面214に摺動させつつ、RS位置まで移動する。このとき、グルーブドピン60が、内側摺動面214により第1コイルスプリング58の付勢力に抗してアンロック位置に保持されることから、操作者は、シフトレバー16をP位置からRS位置側へ移動開始した後には、シフトボタン62の押下を継続する必要はない。
またシフトレバー16は、RS位置からP位置側へ移動開始すると、グルーブドピン60の摺動端部216を内側摺動面214に摺動させつつP位置まで移動し、P位置に達すると、グルーブドピン60を外側摺動面212から離脱させる。これにより、第1コイルスプリング58の付勢力によりグルーブドピン60が逃げ部204内へ挿入されると共に、アンロック位置からロック位置に復帰する。
なお、グルーブドピン60は、その摺動端部216が球面状に形成されていることから、摺動端部216を実質的に点接触状態で外側摺動面212及び内側摺動面214に当接させつつ、外側摺動面212及び内側摺動面214上をシフト方向に沿って移動させる。これにより、グルーブドピン60と外側摺動面212及び内側摺動面214との摩擦抵抗が面接触する場合と比較して小さいものになるので、シフトレバー16をN位置〜R位置間及びP位置〜RS位置間で移動させる際の操作力の増加が抑制されている。
図9に示されるように、セレクトガイド面210は、軸心S2を中心として所定の曲率半径Rで湾曲した湾曲面により形成されている。このセレクトガイド面210は、シフトレバー16がセレクト方向に沿ってR位置とRS位置との間を移動する際には、アンロック位置にあるグルーブドピン60の摺動端部216に上方から相対的に摺動可能に当接する。
一方、シフトレバー装置10では、シフトレバー16をセレクト方向に沿ってR位置〜RS位置間を移動させる際に、ロック位置にあるグルーブドピン60の摺動端部216が軸心S2を中心として曲率半径Rの軌跡(円弧)上を移動する。これにより、シフトレバー16がセレクト方向に沿ってR位置とRS位置との間を移動する際には、セレクトガイド面210によりグルーブドピン60が確実にアンロック位置に保持されることになる。
具体的には、図10に示されるように、シフトレバー16は、セレクト方向に沿ってR位置からRS位置へ移動する際には、アンロック位置にあるグルーブドピン60の摺動端部216を外側摺動面212からセレクトガイド面210上に移動させ、この摺動端部216を点接触状態でセレクトガイド面210に当接させつつ、セレクト方向に沿ってRS位置側へ摺動させる。この後、シフトレバー16がRS位置に達すると、摺動端部216はセレクトガイド面210から離脱し、内側摺動面214上へ移動する。
またシフトレバー16は、RS位置からR位置へ移動する際には、アンロック位置にあるグルーブドピン60の摺動端部216を内側摺動面214からセレクトガイド面210上に移動させ、この摺動端部216を点接触状態でセレクトガイド面210に当接させつつ、セレクト方向に沿ってR位置側へ摺動させる。この後、シフトレバー16がR位置に達すると、摺動端部216はセレクトガイド面210から離脱し、外側摺動面212上へ移動する。
なお、シフトレバー16は、RS位置〜R位置間を移動する際には、第1ガイド溝72における屈曲路78内に保持される。またグルーブドピン60は、その摺動端部216が球面状に形成されていることから、摺動端部216を実質的に点接触状態でセレクトガイド面210に当接させつつ、セレクトガイド面210上をセレクト方向に沿って移動させる。これにより、グルーブドピン60とセレクトガイド面210との摩擦抵抗が面接触する場合と比較して小さいものになるので、シフトレバー16をR位置〜RS位置間で移動させる際の操作力の増加が抑制されている。
またシフトレバー装置10では、図10に示されるように、シフトレバー16がA位置にあるときには、シフトレバー16の本体ブロック部24に配置されたディテントピン84からの反力によりグルーブドピン60がグルーブドガイド64のストッパ壁206に圧接し、またシフトレバー16がN位置にあるときには、ディテントピン84からの反力によりグルーブドピン60がストッパ部200の一方の側壁218に圧接し、またシフトレバー16がP位置にあるときには、ディテントピン84からの反力によりグルーブドピン60がストッパ部200の他方の側壁220に圧接する。これにより、シフトレバー16が他のシフト位置からA位置、N位置及びP位置の何れかに移動した際に、精度良くA位置、N位置又はP位置に位置決めされる。
以上説明したように、シフトレバー装置10には、ガイドプレート70における第1ガイド溝72内(自動変速エリア)でシフトレバー16のシフト位置(R位置、N位置、A位置及びP位置)をそれぞれ設定するシフト位置設定手段が設けられており、このシフト位置設定手段は、グルーブドピン60と、グルーブドガイド64と、ディテントピン84、第2コイルスプリング86及びディテントピン84が圧接するディテントガイド面からなるディテント機構と、を備えている。
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された本発明の実施形態に係るシフトレバー装置10の作用を説明する。
シフトレバー装置10では、上記のシフト位置設定手段が、第1ガイド溝72内におけるシフト方向に沿って延在する主直線路76の前端部、後端部及び中間部にそれぞれ対応する部位をシフトレバー16のR位置、A位置及びN位置として設定すると共に、副直線路80の前端部に対応する部位をシフトレバー16のP位置として設定することにより、主直線路76内に保持されたシフトレバー16をシフト方向に沿って所定量、移動させれば、シフトレバー16をR位置、A位置及びN位置から選択される任意のシフト位置へ移動させることができ、またシフトレバー16をR位置及びP位置の一方から他方へ移動させる場合には、シフトレバー16をシフト方向及びセレクト方向に沿って交互に移動させれば、シフトレバー16を、RS位置を経由させてR位置及びP位置の一方から他方へ移動させることができる。
従って、シフトレバー装置10によれば、シフト位置として少なくともR位置、A位置、N位置及びP位置がそれぞれ設定された従来のゲート式のシフトレバー装置と比較し、シフトレバー16をR位置及びP位置の一方から他方へ移動させる場合にのみ、シフトレバー16をセレクト方向へ移動させればよく、またシフトレバー16をR位置、A位置及びN位置から選択される任意のシフト位置へ移動させる場合には、シフトレバー16をシフト方向へのみ移動させれば良く、セレクト方向へ移動させる必要がなくなるので、車両の運転時に、シフトレバー16をセレクト方向に沿って操作する頻度(操作頻度)を低減できる。
またシフトレバー装置10によれば、N位置が主直線路76におけるシフト方向に沿った中間部に配置されることから、従来のゲート式のシフトレバー装置のようにN位置に対応させて1個の屈曲路をガイド溝(自動変速エリアに対応する第1ガイド溝)に設ける必要がなく、第1ガイド溝72全体としてのセレクト方向に沿った寸法を短くできるので、セレクト方向に沿った装置寸法も効率的に短縮できる。
なお、本実施形態に係るシフトレバー装置10では、中間シフト位置としてN位置のみが設定されていたが、N位置に加えて、1速、2速、オーバドライブ等のシフト位置を中間シフト位置として主直線路76の中間部に設定しても良く、このように複数の中間シフト位置が主直線路76に設定される場合でも、本発明に係るシフトレバー装置によれば、セレクト方向に沿った装置寸法の増加を効果的に防止できる。
またシフトレバー装置10では、グルーブドガイド64が、シフトレバー16がN位置からR位置へ移動し、又はP位置からR位置へ移動する際に、グルーブドピン60がロック位置にあると、このグルーブドピン60にストッパ部200干渉(当接)させて、シフトレバー16のR位置への移動を阻止するが、グルーブドピン60がアンロック位置にあると、シフトレバー16をN位置及びPグ位置からR位置へ移動可能とすることにより、シフトレバー16をN位置及びP位置の一方からからR位置へ移動させる際には、シフトボタン62によりグルーブドピン60をロック位置からアンロック位置へ押下させなければ、グルーブドガイド64によりシフトレバー16のN位置からR位置への移動及びP位置からR位置へ移動が阻止されるので、例えば、シフトレバー16をA位置からN位置へ移動させる際に、シフトレバー16を誤ってR位置まで移動させてしまう誤動作を効果的に防止できると共に、P位置に保持されたシフトレバー16を誤ってR位置等の他のシフト位置へ移動させてしまう誤動作を効果的に防止できる。
またシフトレバー装置10では、シフトレバー16がセレクト方向に沿って屈曲路78内を移動する際に、グルーブドガイド64のセレクトガイド面210がグルーブドピン60の摺動端部216とセレクト方向に沿って相対的に摺動しつつ、グルーブドピン60をアンロック位置に保持することにより、屈曲路78内に保持されたシフトレバー16をセレクト方向に沿って移動させる際に、シフトボタン62によりグルーブドピン60に操作力(押圧力)を伝達することなく、グルーブドピン60をセレクトガイド面210によりアンロック位置に保持できるので、シフトレバー16をセレクト方向に沿って円滑に移動に移動させることができ、シフトレバー16をセレクト方向へ移動させる際の操作性を向上できる。
またシフトレバー装置10では、セレクトガイド面210が第2支軸32の軸心S2を中心として湾曲する湾曲面により形成されていることにより、グルーブドピン60のセレクトガイド面210との摺動抵抗の変動及び、グルーブドピン60を介してシフトレバー16に伝達されるピン付勢手段である第1コイルスプリング58の反力の変動をそれぞれ効果的に抑制できるので、シフトレバー16をセレクト方向に沿って略一定の操作力で移動させることができる。
なお、シフトレバー装置10では、シフトレバー16と一体となってセレクト方向へ移動する際のグルーブドピン60における摺動端部216の移動軌跡の曲率半径R(図9参照)が十分に大きい場合には、セレクトガイド面を、摺動端部216の移動軌跡におけるR位置とRS位置との中心点付近の接線方向に沿った傾斜平面により形成しても良い。
すなわち、第2支軸S2を中心とする摺動端部216の移動軌跡の曲率半径Rが十分に大きい場合には、セレクトガイド面を移動軌跡の接線方向に沿った傾斜平面によりセレクトガイド面を形成しても、セレクトガイド面210を、第2支軸S2を中心として湾曲する湾曲面により形成する場合と実質的に同じ作用及び効果が得られることになる。
またシフトレバー装置10では、グルーブドピン60におけるセレクトガイド面210に接する摺動端部216を略球面状に形成し、この摺動端部216をセレクトガイド面210に実質的に点接触状態で接触させたことにより、グルーブドピン60のセレクトガイド面210との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減できるので、シフトレバー16をセレクト方向に沿って移動させる際の操作力を効果的に低減できる。