JP4813227B2 - 段階放水自動弁装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば高速自動車道等のトンネルに設置されて段階的な放水を実現する段階放水自動弁装置に関するものである。
従来の段階放水自動弁装置は、弁ボディの一次側と二次側とを仕切る弁座に対し開閉自在に配置された主弁、主弁を開閉駆動する主ピストンを主シリンダに摺動自在に備えた駆動機構、および主ピストンの移動に伴って主シリンダの閉鎖加圧側に対し流入流出自在な循環経路を形成し、主ピストンが所定の初期開度に達したときに循環経路を遮断して主ピストンを停止させる停止制御機構を備えた自動弁と、主シリンダの開放加圧側に一次側圧力水を供給して起動させる起動弁と、主弁の初期開度への開放後に二次側に発生する所定の放水圧力により動作し、循環経路の遮断部位をバイパスして主ピストンの停止を解除する初期放水圧力制御弁と、シリンダ室に対する二次側圧力水の流入出量の制御によるジスクの移動で所定遅延時間後に所定の低圧設定から所定の規定圧設定に切り換え、主シリンダ室の圧力調節による主弁の駆動により二次側放水圧力を設定された低圧設定又は規定圧設定に制御する圧力制御弁と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−248970号公報
従来の段階放水自動弁装置は、二次側圧力水の圧力変動を利用して低圧放水から規定圧放水に切り換えるものであり、自動弁における主弁の初期開度を規定するステム位置、初期放水圧力制御弁における動作放水圧力を規定する調整ボルト位置、さらには圧力制御弁における遅延時間を規定するストッパ位置やニードル開度などを現場で調整して、低圧放水から規定圧放水への切り換え時間を設定する必要があった。そして、一つの調整項目の調整量を変えると、他の調整項目の調整量が変化してしまい、つまりこれらの調整量は相互干渉してしまい、現場での調整作業時間を要した。さらには、調整を誤ると、初期放水から規定圧放水に切り替わらず、初期放水のままとなってしまうという問題もあった。
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、初期放水の調整と規定圧放水の調整との相互干渉をなくし、現場での煩雑な調整作業をなくし、初期放水から所定時間経過後に規定圧放水に確実に切り替わるようにした段階放水自動弁装置を得ることを目的とする。
この発明による段階放水自動弁装置は、弁ボディの一次側流路と二次側流路とを仕切る弁座に対して接離可能に配設された主弁と、軸心方向を上記主弁の接離方向とするシリンダ、該シリンダ内に摺動自在に配設され、該シリンダ内の開放加圧側に画成される作動室への一次側加圧水の供給により移動して上記主弁を開放させるピストンを有する主弁駆動機構と、上記主弁が所定の初期開度に達したときに上記ピストンの移動を停止させる停止制御機構と、を備えた自動弁と、上記作動室に上記一次側加圧水を供給して起動させる起動弁と、上記起動弁から上記一次側加圧水を供給されて遅延時間の計測を開始し、所定の遅延時間経過後に上記停止制御機構による上記主弁の停止を解除するタイマー弁と、上記二次側流路に発生する二次側加圧水の圧力に応じて上記作動室内の上記一次側加圧水を調整して上記ピストンの位置を調整することにより、二次側加圧水の圧力を所定の規定圧に維持する調圧パイロット弁と、を備えている。
この発明によれば、起動弁の作動により一次側加圧水が作動室およびタイマー弁に供給される。そして、一次側加圧水が作動室に供給されて作動室内の圧力が上昇すると、ピストンが移動し、主弁が開放される。ついで、主弁が所定の初期開度に達すると、停止制御機構によりピストンの移動が停止される。そこで、主弁が所定の初期開度に維持され、一次側加圧水が二次側流路に流入し、初期放水(低圧放水)が簡便に実施される。これにより、初期放水用の調圧機能は不要となり、停止制御機構の調整が調圧パイロット弁の機能に影響を与えない。また、タイマー弁が、一次側加圧水が供給されてから所定の遅延時間経過後に、作動室内からの一次側加圧水の排水を停止し、主弁をさらに開放させる。そこで、一次側流路から二次側流路への一次側加圧水の流入量が増大し、調圧パイロット弁によって規定圧放水(高圧放水)が実施される。さらに、二次側加圧水の圧力が所定圧力に達したときに作動室内の一次側加圧水が排水され、主弁が設定開度に維持され、放水圧が所定圧力に維持される。これにより、初期放水から所定時間経過後に規定圧放水に確実に切り替わる。
また、主弁の初期開度の調整と調圧パイロット弁の作動圧の調整とを相互干渉なく行うことができ、調整作業が簡略化される。
図1はこの発明の一実施例における段階放水自動弁装置を示す構成図、図2はこの発明の一実施例における段階放水自動弁装置に適用されるタイマー弁の構成を示す断面図、図3はこの発明の一実施例における段階放水自動弁装置における自動弁の低圧放水状態を示す断面図、図4はこの発明の一実施例における段階放水自動弁装置における自動弁の規定圧放水状態を示す断面図である。
図1において、段階放水自動弁装置は、主弁6の開度を変化させて、一次側流路2から二次側流路3に流れる一次側加圧水の流量を調整する自動弁100と、一次側加圧水が供給されて、所定の遅延時間経過後に主弁6の開度を初期開度から設定開度に切り換えるタイマー弁200と、自動弁100の主弁6の主弁駆動機構およびタイマー弁200に一次側加圧水を供給して自動弁装置を起動する起動弁300と、二次側加圧水の圧力が所定圧力に達したことを感知して主弁6の開度を設定開度に制御する規定圧放水機構としての調圧パイロット弁400と、を備えている。
まず、自動弁100の構造について説明する。
弁ボディ1は、一次側配管(図示せず)が接続される一次側流路2と、二次側配管(図示せず)が接続される二次側流路3と、一次側流路2と二次側流路3とを連通する連通孔4と、軸心を連通孔4の孔中心に一致させて、かつ、二次側流路3を挟んで連通孔4と相対して、二次側流路3に開口するように形成された円筒状のシリンダ5と、を備えている。
主弁6は、ディスク部7と、ディスク部7の一側の縁部近傍から周方向に等角ピッチで主弁6の軸心方向に延設された4本のガイド部8と、ディスク部7の一側中央部に凹設されたステム嵌合凹部9と、ディスク部7の外周部に嵌着されたOリング10と、を備えている。そして、主弁6は、一次側流路2側からガイド部8を連通孔4に挿入して、摺動自在に装着されている。
ガイドロッド11は、ディスク部7の他側中央部に突設され、蓋体12に穿設されたロッド挿通孔12aに摺動自在に嵌挿されている。そして、Oリング13が、ガイドロッド11とロッド挿通孔12aとの間に介装され、一次側流路2からロッド挿通孔12aを介しての流体の漏れを防止している。また、スプリング14がディスク部7と蓋体12との間に縮設され、ディスク部7を二次側流路3側に押圧している。これにより、Oリング10が連通孔4の外周縁部で構成される弁座4aに密接し、一次側流路2と二次側流路3との間の流路を閉止している。また、後述するピストン16の作動により、ガイドロッド11がロッド挿通孔12aに案内されて図1中左方向に移動し、主弁6が弁座4aから離反し、一次側流路2と二次側流路3との間の流路が開放される。なお、各Oリングは流体の漏出を防止するために配設されるものであり、以下その説明は省略する。
シリンダ蓋体15は、シリンダ5の反二次側流路3側の開口を塞口するように弁ボディ1にOリングを介装させて取り付けられている。そして、ピストン16がシリンダ5内に摺動自在に挿入され、Oリング17がピストン16の外周部に嵌装されて、シリンダ5内が二次側流路3側のピストン室5aとシリンダ蓋体15側の作動室5bとに区画されている。さらに、ストッパ18が、シリンダ5の内壁面の二次側流路3側の開口端部に周方向の全周にわたって径方向に突設され、ピストン16の二次側流路3側への移動量を規制している。また、流出入流路19が、作動室5bと外部とを連通するようにシリンダ蓋体15に形成されている。さらに、ステム20が、一端をピストン16の中心位置に固着され、他端をディスク部7のステム嵌合凹部9に嵌着されて、その軸心がシリンダ5の軸心に一致するように取り付けられている。ここで、シリンダ5、スプリング14、シリンダ蓋体15、ピストン16およびステム20などにより主弁駆動機構が構成されている。
このシリンダ蓋体15には、開口がシリンダ5の軸心と同軸に開けられている。そして、円筒状のケース21が、シリンダ5の軸心と同軸にして、ケース21の一端側に形成されたフランジ部をシリンダ蓋体15の開口部にOリングを介装させて取り付けられている。また、排水ポート22がケース21の内外を連通するように穿設されている。
リフト設定アジャスタ23は、円筒状に作製され、ケース21の他端側内壁面に形成された雌ねじ部に螺合されて進退自在に装着されている。また、貫通孔24がアジャスタ23の内外を連通するように穿設されている。そして、一対のOリング25が軸方向に所定距離離れて、かつ排水ポート22および貫通孔24を挟み込むようにケース21の内周壁面とアジャスタ23の外周壁面との間に介装されている。
また、アジャスタ23の貫通孔24の他端側の位置で、その中心穴27に小径部が形成されている。シャフト26の一端がピストン16に固着され、他端側がアジャスタ23の中心穴27の小径部に挿入されて、シリンダ5の軸心に一致するように配設されている。そして、この小径部がガイドとなり、シャフト26がピストン16の移動に連動して、シリンダ5の軸心方向に移動する。この時、シャフト26の一端側に突設された大径部26aがアジャスタ23の中心穴27の内壁面を摺動移動する。
ここで、ケース21、アジャスタ23、シャフト26などにより停止制御機構が構成されている。また、ケース21およびアジャスタ23がガイド部材に相当し、アジャスタ23の中心穴27がガイド孔に相当する。
なお、アジャスタ23のケース21に対する進退量を変えることで、初期状態から大径部26aがアジャスタ23の中心穴27から抜ける(大径部26aと中心穴27との摺動関係がなくなる)までのピストン16のストローク量が変えられる。つまり、アジャスタ23のケース21に対する進退量を調整することで、主弁6の初期開度が調整される。
つぎに、タイマー弁200の構造について図2を参照しつつ説明する。
それぞれ有底円筒状に形成された一対の第1および第2シリンダ30,31が、開口を相対してセパレータ32を挟持して締着固定されている。そして、有底円筒状に形成された第1ピストン33が、開口をセパレータ32に向けて第1シリンダ30内に摺動可能に配設されている。さらに、有底円筒状に形成された第2ピストン34が、開口をセパレータ32に向けて第1ピストン33内に配設されている。そして、作動スプリング35が、第1ピストン33の内底面と第2ピストン34の開口縁部から径方向外側に突設されたフランジ部34aとの間に配設されている。さらに、復帰スプリング36が、第2ピストン34の内底面とセパレータ32との間に配設されている。
ここで、加圧室37が第1シリンダ30と第1ピストン33とにより構成され、一次側加圧水が第1シリンダ30の底部に形成されたポートP3を介して加圧室37に供給できるようになっている。また、空気穴38が、第1ピストン33により画成された第1シリンダ30内の反加圧室側の空間と外部とを連通するように第1シリンダ30に穿設されている。さらに、第1ピストン位置調整用ボルト39が、第1シリンダ30の底部に螺着されている。
また、作動スプリング35のばね力が復帰スプリング36のばね力よりも大きく設定されている。そして、加圧室37内に一次側加圧水が供給されていない初期状態では、第2ピストン34のフランジ部34aは作動スプリング35の付勢力により第1ピストン33のフランジ部33aに当接している。さらに、初期状態では、第1ピストン33は、復帰スプリング36の付勢力により第1ピストン位置調整用ボルト39の加圧室37内に延出している端部に当接している。
オイル室40は第2シリンダ31とセパレータ32とにより構成された密閉空間であり、シリコーンオイル41が内部に充填されている。そして、シャフト42がオイル室40を貫通して、第2シリンダ31の軸心方向に往復移動可能に配設されている。このシャフト42の一端は第2ピストン34の底部に固着され、他端は後述する開閉弁46側に延出している。また、シャフト42とセパレータ32との間、さらにはシャフト42と第2シリンダ31の底部との間にはそれぞれOリングが介装され、シリコーンオイル41の漏出を防止して摺動移動できるようになっている。
制動用仕切板43がオイル室40を第2シリンダ31の軸方向に第1および第2オイル室40a,40bに分離するようにシャフト42に固着されている。この制動用仕切板43は、シャフト42の移動に連動して、第2シリンダ31の内周壁面に摺動して移動する。また、板オリフィス44が第1および第2オイル室40a,40bを連通するように制動用仕切板43に形成されている。さらに、逆止弁45が制動用仕切板43に形成されている。この逆止弁45は、シャフト42が開閉弁46側に移動する時の第2オイル室40bから第1オイル室40aへのシリコーンオイル41の流入を阻止し、シャフト42が加圧室37側に移動する時の第1オイル室40aから第2オイル室40bへのシリコーンオイル41の流入を許容する。
開閉弁46は、入力ポートP1と、出力ポートP2と、入力ポートP1と出力ポートP2との間を開閉する弁体47と、入力ポートP1と出力ポートP2との間を開放するように弁体47を付勢するばね48と、を備え、常開式である。そして、開閉弁46は、シャフト42を介して弁体47に作用する作動スプリング35のばね力により、入力ポートP1と出力ポートP2との間が閉弁される。
このように構成されたタイマー弁200では、第1ピストン位置調整用ボルト39の進退量を変えることで、即ち加圧室37内への延出量を変えることで、第1ピストン33の初期位置が変えられる。これにより、復帰スプリング36の長さが変えられるので、シャフト42のストローク量が変えられ、一次側加圧水の供給から開閉弁46を閉弁するまでの閉弁時間(遅延時間)が変えられる。
また、制動用仕切板43の下降動作時、第2オイル室40b内のシリコーンオイル41が制動用仕切板43に設けられた板オリフィス44を介して第1オイル室40aに流入する。従って、制動用仕切板43の下降速度は流体の粘度、流体の温度特性の影響を受けなくなり、板オリフィス44の口径で制御される。そこで、制動用仕切板43の下降速度は環境温度に拘わらず安定したものとなる。
ここで、この板オリフィス44が流体の温度特性の影響を受けにくい理由について、例えば、従来例のニードル弁と比較して説明する。ニードル弁の場合、流体が高流速で流れている区間が長く、壁面摩擦損失が大きく発生する。この摩擦損失に、温度による流体粘度の変化が大きく影響する。これに対して、板オリフィス44では、高流速で流れている区間が短く、壁面との摩擦が小さいので、温度による流体粘度の変化が影響しない。
また、一次側加圧水は、第1ピストン33を下限まで下降させるもので、シャフト42を下降させるようには作用しない。つまり、シャフト42は一次側加圧水の供給により第1ピストン33がセパレータ32に当接する下限まで下降した際に作動スプリング35に蓄勢されたばね力により下降する。そこで、一次側加圧水の圧力変動が遅延時間に影響しない。
調圧パイロット弁400は、常閉式であり、規定圧放水機構として、二次側流路3内の二次側加圧水の圧力が所定圧力に達したときに動作し、開弁する。つまり、調圧パイロット弁400の作動圧を調整することで、規定圧放水の圧力が調整される。
ここで、第1配管50は、一端を起動弁300を介して自動弁100の一次側流路2に接続され、他端をタイマー弁200のポートP3に接続されている。そして、分岐配管51が第1配管50の起動弁300の下流側から分岐し、自動弁100の流出入流路19および調圧パイロット弁400の入力ポートに接続されている。また、第2配管52が、一端を自動弁100の二次側流路3に接続され、他端を調圧パイロット弁400の作動室に接続されている。さらに、第3配管53が、一端を自動弁100の排水ポート22に接続され、他端を開閉弁46の入力ポートP1に接続されている。なお、板オリフィス54が第1配管50の分岐配管51との接続部の起動弁300側に配設されている。
つぎに、このように構成された段階放水自動弁装置の動作について説明する。
まず、起動弁300が作動すると、一次側流路2内の一次側加圧水が、第1配管50、分岐配管51および流出入流路19を介して作動室5b内に流入し、充満される。この時、一次側加圧水のアジャスタ23の中心穴27内への流入が大径部26aにより阻止され、作動室5b内の圧力が上昇し、ピストン16が図1中左側に移動する。このピストン16の移動力がステム20を介して主弁6に伝達され、主弁6がスプリング14の付勢力に抗して図1中左側に移動する。そして、大径部26aがアジャスタ23の中心穴27から抜け出ると、作動室5bが貫通孔24および排水ポート22を介して第3配管53と連通される。そこで、流出入流路19から作動室5b内に流入した一次側加圧水は、貫通孔24および排水ポート22を介して第3配管53に流入する。そして、第3配管53内を流通した一次側加圧水は、入力ポートP1から常開式の開閉弁46に流入し、出力ポートP2から排水される。そこで、作動室5b内の圧力が一定に保たれ、ピストン16には、それ以上の移動力が作用せず、主弁6は、図3に示されるように、初期開度に維持される。
そこで、一次側加圧水が、図3中矢印で示されるように、一次側流路2内から二次側流路3内に流入する。そして、一次側加圧水が二次側流路3に充水され、二次側加圧水となって二次側配管(図示せず)を流通し、水噴霧ノズル(図示せず)から放水される。この時、水噴霧ノズルから放水は、低圧放水となる。
一方、起動弁300の作動と同時に、一次側流路2内の一次側加圧水が、第1配管50を流通し、タイマー弁200のポートP3から加圧室37に供給される。一次側加圧水が加圧室37内に充満すると、第1ピストン33が下降する。そして、第1ピストン33の下降力が作動スプリング35を介して第2ピストン34に伝達され、シャフト42を下降させるように作用する。この時、逆止弁45が閉弁し、大きなシリコーンオイル41の抵抗力が発生する。そこで、第2ピストン34が下降する代わりに、作動スプリング35が収縮して、第1ピストン33が下限まで下降する。
ついで、作動スプリング35が、シリコーンオイル41の抵抗力と復帰スプリング36の反力を受けながら、伸長する。この作動スプリング35の伸長動作に連動して、第2オイル室40b内のシリコーンオイル41が板オリフィス44から第1オイル室40aに流入し、シャフト42、即ち第2ピストン34が徐々に下降する。そして、第2ピストン34が下限まで下降すると、シャフト42が弁体47をばね48の付勢力に抗して下げ、入力ポートP1と出力ポートP2との間の流路が閉止される。この時、復帰スプリング36は収縮され、復帰力が蓄勢される。
これにより、出力ポートP2からの一次側加圧水の排水が停止される。そこで、流出入流路19から流入する一次側加圧水により作動室5b内の圧力が再度上昇し、ピストン16が図3中左側に移動する。これにより、主弁6が更に開かれ、一次側流路2内から二次側流路3内に流入する一次側加圧水の流量が増加する。
二次側流路3内の二次側加圧水は、第2配管52を介して調圧パイロット弁400の作動室に供給されている。そして、二次側流路3内の二次側加圧水の圧力が上昇し、所定圧力より高くなると、調圧パイロット弁400が開弁される。これにより、分岐配管51を介して自動弁100の作動室5b内に供給される一次側加圧水は、調圧パイロット弁400の出力ポートから排水される。そこで、作動室5b内の圧力が一定に保たれ、ピストン16には、それ以上の移動力が作用せず、主弁6は、図4に示されるように、設定開度に維持される。
なお、規定圧放水として、主弁6が全開等でよく、所定圧力への調整が不要であれば、調圧パイロット弁400はなくてもよい。
そこで、一次側加圧水が、図4中矢印で示されるように、一次側流路2内から二次側流路3内に流入し、所定圧力となった二次側加圧水が二次側配管を流通し、水噴霧ノズルから放水される。この時、水噴霧ノズルから放水は、規定圧放水となる。
ついで、起動弁300が閉弁されると、分岐配管51を介して自動弁100の作動室5bへの一次側加圧水の供給がなくなり、作動室5b内の一次側加圧水は、調圧パイロット弁400の出力ポートから排水される。そこで、スプリング14の付勢力により、主弁6が閉弁され、ピストン16が初期状態まで移動する。同時に、ポートP3からの一次側加圧水の供給がなくなり、復帰スプリング36の復帰力が放勢され、第2ピストン34およびシャフト42が上昇を開始する。この第2ピストン34の上昇に同期して第1ピストン33が上昇する。この時、逆止弁45が開弁し、シリコーンオイル41が第1オイル室40aから第2オイル室40bに速やかに流入し、初期状態に復帰する。
そして、開閉弁46の弁体47がばね48の付勢力により上昇され、入力ポートP1と出力ポートP2との間の流路が開放され、第3配管53内に一次側加圧水が排水される。
ここで、タイマー弁200は、オイル室40内の流体として、シリコーンオイル41を用いているが、その他の流体、例えば水でもよく、一次側加圧水を導入してもよい。
また、タイマー弁200は、起動弁300の作動により一次側加圧水が供給されて遅延時間の計測を開始し、主弁6を設定開度に開くことができればよく、一次側加圧水を圧力スイッチ等で検出して遅延時間を計測するような電気的なタイマーであってもよい。
この発明によれば、起動弁300の作動により一次側加圧水をタイマー弁200に供給して遅延時間の計測を開始し、遅延時間経過後に、主弁6を初期開度から設定開度に開くようにしているので、初期放水から遅延時間経過後に規定圧放水に確実に移行することができる。
また、タイマー弁200が遅延時間経過後に閉止する常開式の開閉弁46を有しており、排水ポート22が第3配管53を介して開閉弁46の入力ポートP1に接続されている。そこで、開閉弁46が、主弁6を初期開度に維持するために作動室5b内の一次側加圧水を排水する機能と、主弁6を初期開度からさらに開くために作動室5b内の一次側加圧水の排水を停止する機能とを備えるので、部品の兼用化が図られ、部品点数を削減できる。
また、主弁6の初期開度は、ケース21に対するアジャスタ23の進退量を変えることで調整できる。また、規定圧放水の圧力は、調圧パイロット弁400の作動圧力を変えることで調整できる。さらに、遅延時間は、第1ピストン位置調整用ボルト39の進退量を変えることで調整できる。従って、それぞれの調整が互いに干渉せず、現場での調整作業が著しく簡易となる。
また、タイマー弁200が、一次側加圧水を遅延時間の計測開始のトリガーとしてのみ使用し、作動スプリング35により遅延時間を計測しているので、一次側加圧水が急激に変動しても、遅延時間の計測に影響がなく、遅延時間を正確に計測できる。
また、オイル室40にシリコーンオイル41を充填し、制動用仕切板43を移動させつつ、シリコーンオイル41を制動用仕切板43に形成した板オリフィス44を介して第2オイル室40bから第1オイル室40aに移動させるようにしているので、オイルの温度特性による影響がなくなり、遅延時間を正確に計測できる。
なお、上記実施例では、第1配管50から分岐する分岐配管51を流出入流路19と調圧パイロット弁400の入力ポートに接続するものとしているが、新たに排水ポートをシリンダ蓋体15に設け、第1配管50から分岐する分岐配管51を流出入流路19にのみ接続し、新たに設けた排水ポートと調圧パイロット弁400の入力ポートとを他の配管で接続するようにしてもよい。
この発明の一実施例における段階放水自動弁装置を示す構成図である。 この発明の一実施例における段階放水自動弁装置に適用されるタイマー弁の構成を示す断面図である。 この発明の一実施例における段階放水自動弁装置における自動弁の低圧放水状態を示す断面図である。 この発明の一実施例における段階放水自動弁装置における自動弁の規定圧放水状態を示す断面図である。
符号の説明
1 弁ボディ、2 一次側流路、3 二次側流路、4a 弁座、5 シリンダ(主弁駆動機構)、5b 作動室、6 主弁、14 スプリング(主弁駆動機構)、15 シリンダ蓋体(主弁駆動機構)、16 ピストン(主弁駆動機構)、20 ステム(主弁駆動機構)、21 ケース(停止制御機構)、22 排水ポート、23 アジャスタ(停止制御機構)、26 シャフト(停止制御機構)、46 開閉弁、53 第3配管、200 タイマー弁、300 起動弁、400 調圧パイロット弁(規定圧放水機構)。

Claims (4)

  1. 弁ボディの一次側流路と二次側流路とを仕切る弁座に対して接離可能に配設された主弁と、軸心方向を上記主弁の接離方向とするシリンダ、該シリンダ内に摺動自在に配設され、該シリンダ内の開放加圧側に画成される作動室への一次側加圧水の供給により移動して上記主弁を開放させるピストンを有する主弁駆動機構と、上記主弁が所定の初期開度に達したときに上記ピストンの移動を停止させる停止制御機構と、を備えた自動弁と、
    上記作動室に上記一次側加圧水を供給して起動させる起動弁と、
    上記起動弁から上記一次側加圧水を供給されて遅延時間の計測を開始し、所定の遅延時間経過後に上記停止制御機構による上記主弁の停止を解除するタイマー弁と、
    上記二次側流路に発生する二次側加圧水の圧力に応じて上記作動室内の上記一次側加圧水を調整して上記ピストンの位置を調整することにより、二次側加圧水の圧力を所定の規定圧に維持する調圧パイロット弁と、
    を備えたことを特徴とする段階放水自動弁装置。
  2. 上記停止制御機構は、上記作動室内の上記一次側加圧水を排水して上記ピストンの移動を停止させるものであり、
    上記タイマー弁は、所定の遅延時間経過後に上記作動室内からの上記一次側加圧水の排水を停止して上記調圧パイロット弁を作動させることを特徴とする請求項1記載の段階放水自動弁装置。
  3. 上記停止制御機構は、一端を上記ピストンに固着されて、該ピストンの位置に同期して上記シリンダの軸心方向に移動可能に配設されたシャフトと、上記作動室に臨むように配設され、排水ポートおよび該排水ポートと該作動室とを連通するとともに上記シャフトの他端側が挿入されて該シャフトの軸心方向の移動を案内するガイド孔を有するガイド部材と、を備え、上記シャフトは、上記主弁が上記初期開度に達するまでのピストンの移動時には、上記ガイド孔を介しての上記作動室と上記排水ポートとの連通を閉止し、上記主弁が上記初期開度に達した以降の該ピストンの移動時には、上記ガイド孔を介しての上記作動室と上記排水ポートとの連通の閉止を解除するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の段階放水自動弁装置。
  4. タイマー弁は、上記起動弁から上記一次側加圧水を供給された後、所定の遅延時間経過後に閉止する常開式の開閉弁を備え、上記排水ポートが配管を介して上記開閉弁の入力ポートに接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の段階放水自動弁装置。
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