JP4813211B2 - 滑り軸受、これを備えたモータ、及び、滑り軸受の製造方法 - Google Patents

滑り軸受、これを備えたモータ、及び、滑り軸受の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、内周に挿入された軸部材を、相対的に回転、摺動又は摺動回転できるように支持する滑り軸受(以下、軸受と称する)に係るものであって、特に高精密な回転、摺動又は摺動回転を必要とする軸受に関するものである。
このような軸受として、例えば特許文献1では、電鋳加工による電鋳部をインサートして型成形した軸受が提案されている。この軸受によると、軸受面が電鋳部の内周面に形成されるため、電鋳加工の特性から、真円度及び内径寸法精度が高くて摺動性も良好な軸受面が得られる。このため、電鋳部の内周面に装着させて使用する軸部材に対するクリアランスを極小にして高精密な回転、摺動又は摺動回転が可能となる。
このような軸受は、マスター軸の外周面に電鋳部を形成する工程、そのマスター軸および電鋳部をインサート部材として樹脂材料などで型成形する工程、電鋳部および保持部からなる軸受とマスター軸とを分離する工程を経て製造される。
特開2003−56552号公報
しかし、上記のような軸受では、電鋳部の外周面および保持部の内周面は何れも円筒状に形成されており、軸方向の結合力がそれほど強くない。このため、電鋳部あるいは保持部に軸方向の力が加わることにより、電鋳部と保持部とが剥離するおそれがある。例えば、インサート成形後、電鋳部の内周からマスター軸を引き抜く際にはこのような不具合が生じやすく、特に、マスター軸にヘリングボーン形状等の成形型を形成して、電鋳部の内周面に動圧溝形状を転写する場合は、マスター軸を引き抜く際にマスター軸の成形型と電鋳部の動圧溝とが係合することで軸方向に大きな力が加わるため、上記のような不具合が生じるおそれが強い。
本発明の課題は、軸方向の力が加わっても電鋳部と保持部とが剥離することなく、耐久性に優れた軸受を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明の軸受は、内周面に軸受面を有し、軸受面がマスター軸の外周面への析出開始面である電鋳部と、電鋳部の軸方向端部と当接すると共に、外径端が電鋳部の外周面よりも外径側に突出した抜け止め部材と、電鋳部及び抜け止め部材をインサート部品として樹脂で射出成形することにより形成され、電鋳部を内周に保持すると共に、抜け止め部材のうち、電鋳部の外周面よりも外径側に突出した部分を軸方向両側から保持する保持部とを有するものである
このように、保持部に、電鋳部の少なくとも一端と軸方向で当接する抜け止め部材を固定することにより、電鋳部に軸方向の力が加わった際、電鋳部と保持部とが剥離することを防止できる。
また、電鋳部に軸受面が形成される軸受では、電鋳加工の特性から、軸受面と軸部材との間の軸受隙間のクリアランスを精度良く、且つ極小に設定することができる。これにより、優れた軸受性能が得られる反面、軸受隙間に保持される潤滑油は極僅かである。よって、潤滑油が飛散や蒸発により減少することで、油不足による潤滑不良を生じるおそれがある。
この点に鑑み、上記の軸受において、抜け止め部材を補油部材で形成すると、補油量を増加させることができるため、油不足による不具合を回避できる。
また、上記の軸受において、抜け止め部材を軸受の外周面に露出させても良い。これにより、例えば抜け止め部材を導電性材料で形成すると、軸受内部に帯電した静電気を外部へ放電する効果が得られ、抜け止め部材を熱伝導性の高い材料で形成すると、軸受内部の熱を外部へ放熱する効果が得られる。
また、上記の軸受において、電鋳部の内周面に、電鋳部の内周面と滑り軸受の内周に挿入される軸部材の外周面との間の潤滑油に動圧作用を発生させる動圧発生部を形成しても良い。
上記のような軸受と、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータは、優れた耐久性を有する。
以上のように、本発明によると、軸方向の力が加わっても電鋳部と保持部とが剥離することなく、耐久性に優れた軸受を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る軸受3を備えた軸受装置1の断面図である。軸受装置1は、軸受3と、軸受3の内周に挿入された軸部材2と、抜け止め部材6とで構成される。軸受3は、電鋳加工で形成される電鋳部4と、電鋳部4を内周に保持する保持部5とを備える。
以下、軸受3の製造工程を説明する。軸受3は、マスター軸7の所要個所にマスキングした上、非マスク部に電鋳加工等を行って電鋳軸9を形成する工程(図2〜4参照)、電鋳軸9をインサートして樹脂で射出成形する工程(図5参照)、及び電鋳部4をマスター軸7から剥離し、軸受3とマスター軸7とを分離する工程を経て製作される。
なお、以下の説明において、「回転用の軸受」とは、軸部材との間の相対回転を支持する軸受を意味し、軸受が回転側となるか固定側となるかを問わない。「摺動用の軸受」とは、軸との間の相対的な直線運動を支持する軸受を意味し、同様に軸受が移動側となるか固定側となるかを問わない。「回転摺動用の軸受」とは、前記二つの軸受の機能を併せ持つもので、軸との間の回転運動及び直線運動の双方を支持する軸受を意味する。
マスター軸7は、導電性材料、例えば焼入処理をしたステンレス鋼で、ストレートな横断面円形の軸として製作される。この材料はステンレス鋼に限定されるものでなく、剛性などの機械的強度、摺動性、耐熱性、耐薬品性、電鋳部4の加工性及び剥離性など、軸受の機能上あるいは軸受製作の都合上求められる特性に適合した材料、さらには熱処理方法が選択される。セラミック等の非金属材料でも、導電処理を施すことにより(例えば表面に導電性の金属皮膜を形成することにより)使用可能となる。なお、マスター軸7の表面には、後述する電鋳部4との分離工程において、電鋳部4から引き抜く際の摩擦低減のため、あるいは、マスター軸7を軸部材として使用する際の軸受3との摩擦低減のため、例えばフッ素系の樹脂コーティングを施すのが望ましい。
マスター軸7は、中実軸の他、中空軸や中空部に樹脂を充填した中実軸であっても良い。また、本実施形態のような回転用の軸受では、マスター軸の横断面は基本的に円形に形成されるが、摺動用の軸受の場合は横断面を任意形状にすることができ、円形のほかに多角形状や非真円形状とすることもできる。また、摺動用の軸受では、基本的にマスター軸7の横断面形状は軸方向で一定であるが、回転用の軸受や回転摺動用の軸受では、軸の全長にわたって一定の横断面形状ではない形態をとることもある。
マスター軸7の外周面精度は、電鋳部4の内周面4aの面精度、ひいては軸受隙間の精度を直接左右するので、真円度、円筒度、表面粗さ等の軸受機能上重要となる表面精度を、予め高精度に仕上げておく必要がある。例えば回転用の軸受では、軸部材との接触回避の観点から真円度が重視されるので、マスター軸7の外周面はできるだけ真円度を高める必要がある。例えば、後述する軸受隙間の平均幅(半径寸法)の5割以下、望ましくは3割以下にまで仕上げておくのが望ましい。従って、例えば軸受隙間の平均幅を2μmに設定する場合、マスター軸外周面は1μm以下、望ましくは0.6μm以下の真円度に仕上げるのが望ましい。
マスター軸7の外周面のうち、電鋳部4の形成予定部となる領域には、図2に示すように、後述する電鋳部4の内周面4aに形成される動圧発生部の形状に対応した凹凸形状を有する成形型Nが形成される。この成形型Nと動圧発生部の凹凸態様は正反対であり、動圧発生部の凸部となる部分が、成形型Nでは凹部7a1、7a2となる。図示例では、成形型Nを凹部7a1、7a2からなるヘリングボーン形状とした場合を例示しているが、その他の動圧溝パターン、例えばスパイラル形状や、多円弧形状、ステップ形状などに形成することもできる。
成形型Nは、例えば切削加工やプレス加工等による機械加工の他、エッチング等の表面処理加工を用いて形成される。この成形型Nの加工精度は、動圧発生部の成形精度、ひいては動圧軸受の軸受性能を直接左右するので、真円度、円筒度、表面粗さ等の機能上重要となる精度を予め高精度に仕上げておく必要がある。
マスター軸7の外周面には、電鋳部4の形成予定部を除き、マスキングが施される(図2に散点で示す)。マスキング用の被覆材8としては、非導電性、及び電解質溶液に対する耐食性を有する既存品が選択使用される。
電鋳加工は、NiやCu等の金属イオンを含んだ電解質溶液にマスター軸7を浸漬し、電解質溶液に通電して目的の金属をマスター軸7の表面に析出させることにより行われる。電解質溶液には、カーボンなどの摺動材、あるいはサッカリン等の応力緩和材を必要に応じて含有させてもよい。電着金属の種類は、軸受の軸受面に求められる硬度や耐摩耗性、疲れ強さ等の物理的性質、化学的性質に応じて適宜選択される。電鋳部4の厚みは、これが厚すぎるとマスター軸7からの剥離性が低下し、薄すぎると軸受面の耐久性低下等につながるので、求められる軸受性能や軸受サイズ、さらには用途等に応じて最適な厚みに設定される。例えば軸径1mm〜6mmの回転用の軸受では、10μm〜200μmの厚さとするのが好ましい。
なお、電鋳加工は必ずしも上記のように電解メッキで行う必要はなく、溶液に通電せずに金属を析出させる無電解メッキで行ってもよい。電鋳部4を電解メッキで形成すると、無電解メッキで行うよりも形成速度が早いため、製造時間を短縮できるという利点が得られ、無電解メッキで形成すると、電解メッキで形成されたものよりも高い硬度を有し、接触摺動に対し優れた耐久性を有するという利点が得られる。なお、無電解メッキで電鋳加工を行う場合、マスキング用の被覆剤8には目的金属が析出しない材料を適宜選択する必要がある。
以上の工程を経ることにより、図3に示すように、マスター軸7の外周に円筒状の電鋳部4が形成される。このとき、電鋳部4の内周面4aには、マスター軸7の外周面に形成された成形型Nの凹凸形状が転写され、これにより複数の動圧溝からなる動圧発生部が形成される(図示省略)。
その後、図4に示すように、マスター軸7の外周面に抜け止め部材6を、電鋳部4の端部4cと当接させて配置する。本実施形態では、抜け止め部材6の形状は断面矩形のリング状である。抜け止め部材6の材料は、金属材料、樹脂材料など、適宜の材料が使用できるが、以下のような条件を満たす必要がある。(1)電鋳部4の抜け止めとして作用できる程度の剛性を有する。(2)後述の射出成形時の温度に耐え得る耐熱性を有する。
以上の条件に加えて、抜け止め部材6の材料が補油機能を有すると、軸受隙間に油を供給する機能を果たすことができるため、より好ましい。このような材料として、例えば、焼結金属等の多孔質金属に潤滑油を含浸させた含油金属が使用できる。この他、多孔質樹脂に潤滑油を含浸させた含油樹脂、潤滑成分を樹脂中に分散保持した含油樹脂、含油した多孔質粒子を配合した含油樹脂などが使用できる。
抜け止め部材6の形状は上記に限られない。例えば、抜け止め部材6の断面形状を、半円状や台形状などの形状に形成することができる。
以上により、マスター軸7の外周面に電鋳部4と抜け止め部材6が設置された電鋳軸9が形成される。電鋳軸9は、図5に示す射出成形工程に移送され、電鋳軸9をインサート部品とするインサート成形が行われる。
図5は、保持部5のインサート成形工程を概念的に示すもので、固定型10、および可動型11からなる金型には、ランナ12およびゲート13と、キャビティ14とが設けられる。ゲート13は、この実施形態では点状ゲートであり、固定型10の底面中央部に形成される。ゲート13のゲート面積は、充填する溶融樹脂の粘度や、成形品の形状に合わせて適切な値に設定される。
上記構成の金型において、電鋳軸9を所定位置に位置決めした状態、本実施形態では可動型11に電鋳軸9を固定した状態で、可動型11を固定型10に接近させて型締めする。次に、型締めした状態で、スプルー(図示は省略)、ランナ12、およびゲート13を介してキャビティ14内に溶融樹脂Pを射出、充填し、保持部5を電鋳軸9と一体に成形する。
溶融樹脂Pは熱可塑性樹脂であり、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。また、上記の樹脂に充填する充填材の種類も特に限定されないが、例えば、充填材として、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の導電性充填材を用いることができる。これらの充填材は、単独で用い、あるいは、二種以上を混合して使用しても良い。
なお、射出される材料としては金属材料も使用可能である。例えば、マグネシウム合金やアルミニウム合金等の低融点金属材料が使用可能である。この場合、樹脂材料を使用する場合に比べて、強度、耐熱性、または導電性等をより向上させることができる。この他、金属紛とバインダーの混合物で射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるMIM成形を採用することもできる。
型開き後、マスター軸7、電鋳部4、抜け止め部材6、および保持部5が一体となった成形品を金型から脱型する。この成形品は、その後の分離工程において電鋳部4、保持部5、及び抜け止め部材6からなる軸受3(図1を参照)と、マスター軸7とに分離される。
この分離工程では、電鋳部4に蓄積された内部応力を解放することにより、電鋳部4の内周面4aを拡径させ、マスター軸7の外周面から剥離させる。内部応力の解放は、マスター軸7又は軸受3に衝撃を与えることにより、あるいは電鋳部4の内周面4aとマスター軸7の外周面との間に軸方向の加圧力を付与することにより行われる。内部応力の解放により、電鋳部4の内周面を半径方向に拡径させて、電鋳部4の内周面4aとマスター軸7の外周面との間に適当な大きさの隙間を形成することにより、電鋳部4の内周面4aからマスター軸7を軸方向にスムーズに引き抜くことができ、これにより成形品を、電鋳部4、保持部5、及び抜け止め部材6からなる軸受3と、マスター軸7とに分離される。なお、電鋳部4の拡径量は、例えば電鋳部4の肉厚や電解質溶液の組成、電鋳条件を変えることによって制御できる。
衝撃の付与だけでは電鋳部4の内周を十分に拡径さえることができない場合、電鋳部4とマスター軸7とを加熱又は冷却し、両者間に熱膨張量差を生じさせることによって、マスター軸7と軸受3とを分離することもできる。
上記の分離工程において、マスター軸7を軸受3の内周から引き抜く際に、マスター軸7に形成された成形型Nと軸受3の内周面に形成された動圧発生部とが係合し、電鋳部4に軸方向の力が加わることがある。電鋳部4と保持部5とは円筒面同士で結合されており、軸方向の結合力はそれほど強くないため、このような加圧力により電鋳部4と保持部5とが剥離する恐れがある。本発明では、図1に示すように、保持部5に固定された抜け止め部材6の下端面6aが、電鋳部4の一端部4cと当接するように配置されているため、電鋳部4に軸方向の力が加わっても、この抜け止め部材6が電鋳部4の保持部5からの抜け止めとして作用し、上記のような不具合を回避することができる。
分離工程後、軸受3に軸部材2を挿入し、軸受3の内周面と軸部材2の外周面との間の軸受隙間に潤滑油を充填することで、図1に示す軸受装置1が完成する。軸部材2の回転時には、電鋳部4の内周面4aに形成された動圧発生部が、電鋳部4の内周面4aと軸部材2の外周面2aとの間の軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させることにより、軸部材2がラジアル方向に支持される。また、軸部材2の球面状凸部2bの下端部と電鋳部4の内底面4bとが接触し、軸部材2がスラスト方向に支持される。
上記ようにマスター軸7と同程度の精度で別途製作した軸部材と置き換えて軸受を構成する場合、一度マスター軸7を製作すれば、これを繰返し転用することができるので、マスター軸7の製作コストを抑え、軸受装置1の低コスト化を図ることが可能となる。
本発明は、上記実施形態に限られない。図6に示す本発明の第2の実施形態では、抜け止め部材6の円周方向の一部が外径方向に延在し、その外径端6bが軸受3の外周面に露出している点で第1の実施形態と異なる。この構成によると、例えば抜け止め部材を導電性材料で形成すると、軸受内部に帯電した静電気を外部へ放電する効果を得ることができる。また、抜け止め部材を熱伝導性の高い材料で形成すると、軸受内部の熱を外部へ放熱する効果を得ることができる。例えば、銅を主成分とする焼結金属は、第1の実施形態で述べた抜け止め部材6の材料の条件(剛性、耐熱性、および補油機能)に加え、導電性、熱伝導性にも優れているため、好ましい材料である。
図7に示す本発明の第3の実施形態では、抜け止め部材6の内周面6cと軸部材2の外周面2aとの間にシール空間が形成される。図7に示すように、シール空間の隙間幅を軸受隙間側ほど徐々に縮径させたテーパシールとすれば、より有効な潤滑油の流出防止が可能となる。また、軸受装置の作動時の熱により、軸受隙間に介在する油が膨張しても、前記シール空間がバッファ機能を果たすことにより、油が外部へ漏れ出すことを防止できる。
また、上記の実施形態では、軸受3が有底円筒状に形成される場合を例示したが、軸受3の形状はこれに限らず、例えば図8に示すように両端開口させても良い。このような軸受において、図8では電鋳部4の一端に抜け止め部材6を配置した場合を示しているが、電鋳部4の両端に抜け止め部材6を配置してもよい。
なお、図8に示すように、保持部5の内周面の一部が軸受隙間に臨み、且つ保持部5を樹脂で形成する場合、保持部5の小径内周面5aが成形収縮により拡径するよう樹脂材料の組成や成形条件等を配慮することにより、マスター軸7の外周面との間に微小隙間を形成することができる。これにより、保持部5とマスター軸7とを容易に分離することが可能となる。微小隙間の幅が適切であれば、図1に示す軸受装置1において、保持部5の小径内周面5aと軸部材2の外周面2aとの間の微小隙間を毛細管シールとして機能させることができ、軸受隙間からの潤滑油の流出防止に有効となる。この他、マスター軸7の分離後、機械加工等で小径内周面5aを加工することにより微小隙間を形成しても良い。
このように毛細管シールは、保持部5の小径内周面5aを拡径させる他、小径内周面5aに対向する軸部材2の外周面2aに小径外周面(図示省略)を形成することで構成することもできる。また、毛細管シールを、軸受隙間側ほど隙間幅を徐々に縮径させたテーパシールとすれば、より有効な潤滑油の流出防止が可能となる。
以上の実施形態では、電鋳部4の内周面4aに動圧発生部が形成される場合を例示したが、これとは逆に、電鋳部4の内周面4aは円筒面とし、軸部材2の外周面2aに、ヘリングボーン形状等に形成した動圧溝、多円弧面、あるいはステップ面等の動圧発生部を形成することもできる。あるいは、電鋳部4の内周面4aおよび軸部材2の外周面2aの何れも円筒面とした、いわゆる真円軸受とすることもできる。これらの場合、マスター軸7に成形型Nを形成する必要がないため、上述のように軸受3とマスター軸7との分離工程の際に、マスター軸7の成形型Nと軸受3の動圧発生部とが係合することはない。しかし、マスター軸7から電鋳部4を剥離する際に加える衝撃や軸方向の加圧力によって、電鋳部4と保持部5とが分離することを防ぐ抜け止めとして、あるいは、軸受の使用時、特に摺動用の軸受として使用する際、軸部材2と軸受3との接触摺動により電鋳部4と保持部5とが分離することを防ぐ抜け止めとして、抜け止め部材6が機能する。
このように、電鋳部4の内周面4aおよび軸部材2の外周面2aを円筒状に形成する場合、マスター軸7の外周面も円筒状に形成されるため、このマスター軸7をそのまま軸部材2として使用することもできる。このとき、電鋳加工の特性から、マスター軸7の外周面と電鋳部4の内周面4aとの間には高精度の隙間幅を有する軸受隙間が形成されるため、この軸受装置は優れた軸受性能が得られる。
また、以上の実施形態では、スラスト方向の支持として、いわゆるピボット軸受を採用しているが、この代わりに動圧軸受を採用することができる。この場合、下端面を有する軸部材2を使用し、例えば軸部材2の下端面にスパイラル形状に形成した動圧溝やステップ面等の動圧発生部を形成し、この動圧発生部を軸部材2の下端面と対向する面、例えば電鋳部4の内底面4bと対向させることでスラスト軸受部を構成することができる。これとは逆に、電鋳部4の内底面4bに動圧発生部を形成することもできる。
以上説明した軸受装置は、各種モータに組み込んで使用可能である。以下、軸受装置1をファンモータ用の回転軸支持装置として使用した例を、図9に基づいて説明する。
図9に示すように、このファンモータ20は、軸部材2を回転自在に非接触支持する軸受装置1と、軸部材2に装着されたロータ21と、ロータ21の外径側にロータ21と一体に成形された羽根22と、軸受装置1の保持部5と一体成形されたケーシング23と、例えば半径方向(ラジアル方向)のギャップを介して対向させたステータコイル24およびロータマグネット25とを備えるものであり、一般的にはラジアルギャップ型ファンモータと称される。ステータコイル24は、軸受装置1の外周に取付けられ、ロータマグネット25はロータ21に取付けられている。ステータコイル24に通電すると、ステータコイル24とロータマグネット25との間の電磁力でロータマグネット25が回転し、それによって、ロータ21及び羽根22が軸部材2と一体に回転する。なお、ファンモータの形態として、ステータコイル24とロータマグネット25とを軸方向(アキシャル方向)のギャップを介して対向させる、いわゆるアキシャルギャップ型ファンモータとすることもできる(図示省略)。
本発明の軸受装置は、ファンモータに限らず、光ディスクの光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ等、高速回転下で使用される情報機器用の小型モータ、あるいはレーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等における回転軸支持用としても好適に使用することができる。
また、以上の説明では、軸受3を回転用の軸受に使用する場合を例示しているが、この他にも軸受3は、摺動用の軸受や、回転摺動用の軸受にも適用することができる。
本発明の第1の実施形態を示す軸受装置1の断面図である。 マスター軸7に成形型Nを形成した状態を示す斜視図である。 マスター軸7に電鋳部4を形成した状態を示す斜視図である。 電鋳軸9の斜視図である。 射出成形金型に電鋳軸9を取付けた状態(型締め時)を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す軸受装置1の断面図である。 本発明の第3の実施形態を示す軸受装置1の断面図である。 本発明の第4の実施形態を示す軸受装置1の断面図である。 本発明を適用したファンモータ20を示す断面図である。
符号の説明
1 軸受装置
2 軸部材
3 軸受
4 電鋳部
5 保持部
6 抜け止め部材
7 マスター軸
8 被覆材
9 電鋳軸

Claims (6)

  1. 内周面に軸受面を有し、軸受面がマスター軸の外周面への析出開始面である電鋳部と、電鋳部の軸方向端部と当接すると共に、外径端が電鋳部の外周面よりも外径側に突出した抜け止め部材と、電鋳部及び抜け止め部材をインサート部品として樹脂で射出成形することにより形成され、電鋳部を内周に保持すると共に、抜け止め部材のうち、電鋳部の外周面よりも外径側に突出した部分を軸方向両側から保持する保持部とを有する滑り軸受。
  2. 前記抜け止め部材が補油部材で形成される請求項1記載の滑り軸受。
  3. 前記抜け止め部材が軸受の外周面に露出している請求項1記載の滑り軸受。
  4. 滑り軸受の内周面と滑り軸受の内周に挿入される軸部材の外周面との間の流体に動圧作用を発生させる動圧発生部を有する請求項1記載の滑り軸受。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の滑り軸受と、軸受の内周に挿入される軸部材と、ステータコイルと、ロータマグネットとを有するモータ。
  6. 内周面に軸受面を有する電鋳部と、電鋳部の軸方向端部と当接すると共に、外径端が電鋳部の外周面よりも外径側に突出した抜け止め部材と、電鋳部を内周に保持すると共に、抜け止め部材のうち、電鋳部の外周面よりも外径側に突出した部分を軸方向両側から保持する保持部とを有する滑り軸受を製造するための方法であって、
    マスター軸の外周面に電鋳部を析出形成する工程と、マスター軸の外周面に析出形成した電鋳部の軸方向一方の端部に抜け止め部材を当接させて配置する工程と、マスター軸、電鋳部、及び抜け止め部材からなる電鋳軸をインサート部品として樹脂で射出成形することにより保持部を形成する工程と、電鋳部の内周面とマスター軸の外周面とを剥離すると共に、電鋳部の内周からマスター軸を軸方向一方に引き抜くことにより、滑り軸受とマスター軸とを分離する工程とを経て行われる滑り軸受の製造方法。
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