JP4890066B2 - 動圧軸受装置及びこれを有するファンモータ - Google Patents

動圧軸受装置及びこれを有するファンモータ Download PDF

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Description

本発明は、動圧軸受装置に関するものである。
動圧軸受装置は、その優れた回転精度、高速回転性、静粛性等を活かして、例えば、HDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイールモータ、あるいはファンモータなどの小型モータ用として使用されている。
このような動圧軸受装置として、特許文献1の動圧軸受装置は、軸受部材の内周面に、動圧発生部となるヘリングボーン形状の動圧溝が、軸方向に離隔した上下2つの領域に形成されている。この動圧発生部が、軸受部材の内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる流体に動圧作用を発生させ、軸部材をラジアル方向に非接触支持している。
軸受部材の内周面に動圧溝等の動圧発生部を形成する方法として、例えば特許文献2のように、焼結金属のサイジング時にコアロッドの外周面に形成された動圧溝形状の成形型をスリーブの内周面に転写するものがある。この場合、動圧溝の成形後は、スリーブのスプリングバックを利用してコアロッドとスリーブとが離型される。
また、他の方法として、例えば特許文献3のように、軸受の内径よりも小径なコアロッドを軸受の内周に挿入し、コアロッドの外周に形成した凸条を軸受部材の内周面に押し付けることにより、軸受部材の内周面に動圧溝を形成する方法も提案されている。
特開2005−321089号公報 特開平10−306827号公報 特開2002−155304号公報
しかし、上記のような動圧溝成形は、軸受サイズ等によっては問題を生じる可能性がある。例えば、超小型ファンモータに使用される軸受装置のような、軸径が1mm以下の軸受装置に使用する軸受部材に、特許文献2に記載された方法で動圧溝を形成する場合、軸受部材のスプリングバック量(拡径量)が小さいため、成形型と動圧溝形成部とが互いに干渉して離型困難となるおそれがある。また、動圧溝形状は一般に複雑であるため、極細のコアロッドに、動圧溝形状に対応する成形型を形成することも難しくなる。
また、このような極小の軸受部材に、特許文献3の方法で動圧溝を形成する場合、コアロッドが1mm以下の極細形状となるため、軸受部材の内周に押し付ける際の圧力でコアロッドが湾曲し、軸受の内周面に動圧溝がうまく形成されないおそれがあり、最悪の場合、コアロッドが折れる危険性がある。
本発明の課題は、軸径が1mm以下の軸受を有する極小の動圧軸受装置を低コスト且つ効率よく提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は、軸部材と、マスター軸の外周面に析出形成された電鋳部、及び、電鋳部をインサート部品として樹脂で射出成形された保持部を有し、内周に軸部材が挿入された軸受部材と、電鋳部の内周面に設けられ、軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間の潤滑流体に動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部とを備えた動圧軸受装置において、マスター軸の外周面に電鋳部を析出形成することにより、電鋳部の内周面にマスター軸の外周面形状に倣ったラジアル動圧発生部が形成され、ラジアル動圧発生部が形成された電鋳部の内周面がマスター軸の外周面から剥離された面であり、軸受部材の内径が1mm以下であり、マスター軸及びラジアル動圧発生部の径方向断面が非真円形状であり、且つ、軸方向で一定形状をなすことを特徴とする。
このように、本発明の動圧軸受装置は、ラジアル動圧発生部の径方向断面が軸方向で一定形状をなす。これにより、型成形後、軸受部材の内周から内型を離型するときに、内型と動圧発生部とが干渉するおそれがないため、軸受部材のスプリングバックの有無にかかわらず、ラジアル動圧発生部を型成形により形成することができる。よって、上記のような内径が1mm以下の極小の軸受にも、比較的容易に動圧発生部を形成することができるため、動圧軸受装置の製造コストの低減および生産効率の向上が図られる。
このような動圧軸受装置の軸受部材に電鋳部を設け、この電鋳部にラジアル動圧発生部を形成することもできる。
上記のような動圧軸受装置と、軸部材に取り付けられたファンと、軸部材の回転力を励起するステータコイルおよびロータマグネットと、これらを収容するケーシングとを有するファンモータは、小型化が可能であるとともに、低コストかつ効率良く製造することができる。また、軸受部材とケーシングとを一体に成形すると、部材数および組立工程の削減が可能となり、ファンモータのさらなる低コスト化、生産効率の向上が図られる。
以上のように、本発明によると、内径が1mm以下の極小の軸受を有する動圧軸受装置が、低コスト且つ効率良く得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る動圧軸受装置1を組み込んだファンモータを概念的に示す断面図である。このファンモータは、軸受の内径が1mm以下、例えば0.8mmに設定され、軸部材2を回転自在に非接触支持する動圧軸受装置1と、軸部材2に装着されたロータ3と、ロータ3の外径端に取付けられたファン4と、例えば半径方向(ラジアル方向)のギャップを介して対向させたステータコイル6aおよびロータマグネット6bと、これらを収容し、上端面および側面の一部が開口したケーシング5とを備えるものであり、一般的にはラジアルギャップ型ファンモータと称される。ステータコイル6aは、動圧軸受装置1の外周に取付けられ、ロータマグネット6bはロータ3に取付けられている。なお、ファンモータの形態として、ステータコイル6aとロータマグネット6bとを軸方向(アキシャル方向)のギャップを介して対向させる、いわゆるアキシャルギャップ型ファンモータとすることもできる(図示省略)。
ステータコイル6aに通電すると、ステータコイル6aとロータマグネット6bとの間の電磁力でロータマグネット6bが回転し、それによって、ロータ3及びファン4が軸部材2と一体に回転する。ファン4が回転すると、ケーシング5の上端開口部5aから図1中の矢印Y方向に外気が引き込まれると共に、ケーシング内の空気が側面開口部5bから矢印X方向へ排出される。このようなファンモータは、側面開口部5bから排出される気流によって他の装置等を冷却したり、あるいは、下端面を他の装置(図1中に一点鎖線で示す)と面するように設置し、他の装置の熱がファンモータに伝わり、上記の気流によってファンモータに伝わった熱が外部へ放熱されることにより、装置を冷却したりすることができる。
図2は、動圧軸受装置1を示している。この動圧軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2を支持する軸受部材9とを主要な部品として構成される。軸受部材9は、電鋳部8と、電鋳部8を内周に保持する保持部7とで構成される。軸受部材9の内周面9aには動圧発生部Aが形成される。動圧発生部Aの径方向断面は、軸方向に一定形状をなす。本実施形態では、動圧発生部Aがいわゆるステップ軸受で構成される場合を示す(図2(b)を参照)。また、軸部材2は下端に凸球面部2bを有し、この凸球面部2bの先端と軸受部材9の内底面9bとで、スラスト軸受部Tがいわゆるピボット軸受で構成される。
以下、軸受部材9の製造工程を説明する。軸受部材9は、マスター軸10の外周面に電鋳部8を析出形成する工程(電鋳加工工程)、電鋳部8およびマスター軸10をインサート部品として保持部7を型成形する工程(インサート成形工程)、および電鋳部8とマスター軸10とを分離する工程(分離工程)を経て製作される。
マスター軸10は、例えば焼入れ処理をしたステンレス鋼で略円筒状に形成される。マスター軸10の材料は上記に限らず、マスキング性、導電性、耐薬品性を有するものであれば任意に選択可能であり、例えばクロム系合金やニッケル系合金などの金属材料のほか、セラミック等の非導電性材料も導電性の樹脂等をコーティングすることにより使用可能となる。また、マスター軸10は、中実軸の他、中空軸あるいは中空部に他材料(樹脂など)を充填した中実軸であってもよい。
マスター軸10は、径方向断面形状が軸方向で一定形状をなし、外周面が軸受部材9の内周面9aに形成される動圧発生部Aに対応した形状に加工される。本実施形態では、図3に示すように、径方向断面がステップ形状に形成されている。マスター軸10の外周面精度は、軸受部材9の動圧発生部Aの面精度を直接左右するので、なるべく高精度に仕上げておくことが望ましい。
マスター軸10の外表面のうち、電鋳部8の形成予定領域を除く箇所には、予め非導電性のマスキングが施される。マスキング部11形成用の被覆剤としては、非導電性および電解質溶液に対する耐食性を有する材料が選択使用される。
電鋳加工工程は、上記処理を施したマスター軸10を電解質溶液に浸漬し、電解質溶液に通電して目的の金属をマスター軸10の表面に析出させることにより行われる。電解質溶液には、電鋳部8の析出材料となる金属(例えばNiやCu等)を含んだものが用いられる。上記析出金属の種類は、軸受面に求められる硬度、あるいは潤滑油に対する耐性(耐油性)など、要求される特性に応じて適宜選択される。また、電解質溶液には、カーボンなどの摺動材、あるいはサッカリン等の応力緩和材を必要に応じて含有させることもできる。こうして、図4および図5に示すように、マスター軸10の外周面にステップ形状の電鋳部8が析出形成される。なお、この電鋳加工工程は、上記のように溶液に通電する、いわゆる電解メッキによるものに限らず、通電を伴わない、いわゆる無電解メッキで行うこともできる。
上記工程を経て製作された電鋳部8およびマスター軸10(以下、電鋳軸12と称す)は、保持部7をインサート成形する成形型内にインサート部材として供給される。
図6は、軸受部材9のインサート成形工程を概念的に示すもので、固定型13および可動型14からなる金型には、ランナ15およびゲート16と、キャビティ17とが設けられる。本実施形態において、ゲート16は点状ゲートであり、成形金型(固定型13)の成形面に、円周方向等間隔の複数箇所(例えば3箇所)に形成される。各ゲート16のゲート面積は、充填する溶融樹脂の粘度や、成形品の形状に合わせて適切な値に設定される。
上記構成の金型において、電鋳軸12を所定位置に位置決めした状態で可動型14を固定型13に接近させて型締めする。その状態で、スプルー(図示省略)、ランナ15、及びゲート16を介して、キャビティ17内に溶融樹脂Pを射出、充填し、保持部7を電鋳軸12と一体に成形する。
溶融樹脂Pとしては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂の中から適宜に選択して用いることができる。熱可塑性樹脂の場合、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。また、上記の樹脂に、充填材として、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカー状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボンファイバー、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、金属粉末等の繊維状又は粉末状の導電性充填材を単独で、あるいは、二種以上を混合して配合しても良い。
なお、射出される材料としては金属材料も使用可能である。例えば、マグネシウム合金やアルミニウム合金等の低融点金属材料が使用可能である。この場合、樹脂材料を使用する場合に比べて、強度、耐熱性、または導電性等をより向上させることができる。この他、金属紛とバインダーの混合物で射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるMIM成形を採用することもできる。
型開き後、マスター軸10、電鋳部8、および保持部7が一体となった成形品を、金型13、14から脱型する。この成形品は、その後の分離工程において、電鋳部8および保持部7からなる軸受部材9(図2を参照)と、マスター軸10とに分離される。
この分離工程では、電鋳部8に蓄積された内部応力を解放することにより、電鋳部8の内周面を拡径させ、マスター軸10の外周面から剥離させる。内部応力の解放は、マスター軸10又は軸受部材9に衝撃を与えることにより、あるいは電鋳部8の内周面とマスター軸10の外周面との間に軸方向の加圧力を付与することにより行われる。内部応力の解放により、電鋳部8の内周面を半径方向に拡径させて、電鋳部8の内周面とマスター軸10の外周面との間に適当な大きさの隙間を形成することにより、電鋳部8の内周面からマスター軸10を軸方向にスムーズに引き抜くことができる。衝撃の付与だけでは電鋳部8の内周を十分に拡径さえることができない場合、電鋳部8とマスター軸10とを加熱又は冷却し、両者間に熱膨張量差を生じさせることによって、マスター軸10と軸受部材9とを分離することもできる。
例えば、軸受部材9に動圧発生部としてヘリングボーン形状の動圧溝が形成される場合、マスター軸10を軸受部材9の内周から引き抜く際、軸受部材9の内周面9aに形成された動圧溝とマスター軸10の外周面に形成された成形型とが干渉し、動圧発生部を損傷する恐れがある。特に、軸径が1mm以下であるような極小の軸受の場合、上記の電鋳部8の拡径量は極僅かであるため、電鋳部8の内周面とマスター軸10の外周面との間に十分な幅の隙間が形成されず、動圧発生部を損傷する恐れが高まる。本発明のように、動圧発生部Aの径方向断面を軸方向で一定形状とすることにより、電鋳部8の拡径量が小さくても、動圧発生部を損傷することなく、スムーズにマスター軸10を軸受部材9から引き抜くことができる。
このように本発明では、マスター軸10をインサート部材とした射出成形により、軸受部材9の内周面9aに動圧発生部Aを形成することができる。例えば、図10に示すように、焼結金属製の軸受部材9’の内周面にサイジングピンで動圧発生部を形成する場合、成形後にサイジングピン100を金型101から引き抜く必要があるため、サイジングピン100は型締め時において金型101の外部に突出させる必要がある。一方、本発明では、マスター軸10をインサート成形するため、マスター軸10を金型13、14の外部へ突出させる必要がない。従って、マスター軸10は、図10のサイジングピン100よりも短く設定することができるため、成形後に引き抜く必要のあるサイジングピン100と比べ、型締め時や脱型時などに折れたり曲がったりするおそれが低い。特に、軸径が1mm以下の軸受部材の内径に動圧発生部を形成する際には、マスター軸が極細となるため、軸長を短くすることが有効となる。
こうして得られた軸受部材9に、軸部材2を挿入し、内部に潤滑流体、例えば潤滑油を充満し、軸受隙間に流体膜を形成することにより、軸部材2を回転自在に支持する動圧軸受装置1が完成する。潤滑油以外の潤滑流体として、例えば空気等の気体や、磁性流体等の流動性を有する潤滑剤、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
なお、マスター軸10は一度製作すれば、これを繰返し転用することができるため、マスター軸10の製作コストを抑え、動圧軸受装置1のさらなる低コスト化を図ることが可能となる。
軸部材2が回転すると、軸受部材9の内周面9aと軸部材2の外周面2aとがラジアル軸受隙間を介して対向する。このとき、軸受部材9の内周面9aに動圧発生部A(本実施形態ではステップ軸受)が形成されていることにより、ラジアル軸受隙間に広幅部R1と狭幅部R2とが円周方向で交互に形成される(図2(b)を参照)。軸部材2の回転に伴って、広幅部R1にある潤滑油が狭幅部R2に押し込まれることにより、ラジアル軸受隙間に充填された潤滑流体に動圧作用が発生し、軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。また、軸部材2の凸球面部2bと軸受部材9の内底面9bとが接触摺動することにより、スラスト軸受部Tがいわゆるピボット軸受で構成され、軸部材2がラジアル方向に支持される。
このとき、動圧発生部Aは電鋳部8で形成されるため、マスター軸10の外周表面精度を高めることにより、高精度に仕上げることができる。よって、ラジアル軸受隙間、特に狭幅部R2の隙間幅が高精度に設定され、効率の良い動圧効果を得ることができるため、軸受性能の向上を図ることができる。
本発明は上記実施形態に限られない。例えば、マスター軸10の外周面形状を変えることにより、ステップ軸受以外で動圧発生部Aを構成することもできる。図7に多円弧軸受で構成される動圧発生部Aを有する動圧軸受装置1を示す。この例では、軸受部材9の内周面9aが3つの円弧面9a1、9a2、9a3で構成されている(いわゆる3円弧軸受)。3つの円弧面9a1、9a2、9a3の曲率中心O’は、それぞれ、軸受部材9(軸部材2)の軸中心Oから等距離オフセットされている。3つの円弧面9a1、9a2、9a3で区画される各領域において、ラジアル軸受隙間は、円周方向の両方向に対して、それぞれ楔状に漸次縮小した形状を有している。そのため、軸部材2が回転すると、その回転の方向に応じて、ラジアル軸受隙間内の潤滑油が楔状に縮小した最小隙間側(狭幅部R2側)に押し込まれて、その圧力が上昇する。このような潤滑油の動圧作用によって、軸部材2が回転自在に非接触支持される。尚、3つの円弧面9a1、9a2、9a3の相互間の境界部に、分離溝と称される、一段深い軸方向溝を形成しても良い。
図8は、動圧発生部Aが他の多円弧軸受で構成される例を示している。この例においても、軸受部材9の内周面9aが、3つの円弧面9a1、9a2、9a3で構成されているが(いわゆる3円弧軸受)、3つの円弧面9a1、9a2、9a3で区画される各領域において、ラジアル軸受隙間は、円周方向の一方向に対して、それぞれ楔状に漸次縮小した形状を有している。このような構成の多円弧軸受は、テーパ軸受と称されることもある。また、3つの円弧面9a1、9a2、9a3の相互間の境界部に、分離溝と称される、一段深い軸方向溝18が形成されている。そのため、軸部材2が所定方向に相対回転すると、ラジアル軸受隙間内の潤滑油が楔状に縮小した最小隙間側(狭幅部R2側)に押し込まれて、その圧力が上昇する。このような潤滑油の動圧作用によって、軸部材2が回転自在に非接触支持される。
図9は、動圧発生部Aが他の多円弧軸受で構成される例を示している。この例では、図8に示す構成において、3つの円弧面9a1、9a2、9a3の狭幅部R2側の所定領域θが、それぞれ、軸受部材9(軸部材2)の軸中心Oを曲率中心とする同心の円弧で構成されている。従って、各所定領域θにおいて、ラジアル軸受隙間(最小隙間)は一定になる。このような構成の多円弧軸受は、テーパ・フラット軸受と称されることもある。
以上の各例における多円弧軸受は、いわゆる3円弧軸受であるが、これに限らず、いわゆる4円弧軸受、5円弧軸受、さらに6円弧以上の数の円弧面で構成された多円弧軸受を採用しても良い。
また、上記の実施形態では、ラジアル動圧発生部Aを軸受部材8側に設ける場合を示したが、これに限らず、例えば軸受部材8の内周面8aを円筒状とし、これと対向する軸部材2の外周面2aにラジアル動圧発生部Aを設けてもよい。
また、上記の実施形態では、スラスト軸受部がピボット軸受により構成される場合を例示したが、スラスト軸受部はこれに限らない。例えば、軸部材2が下端面を有し、その下端面あるいは軸受部材9の内底面9bに動圧溝を形成することもできる。この場合、軸部材2の回転に伴い、軸部材2の下端面と軸受部材9の内底面9bとの間のスラスト軸受隙間の潤滑油に動圧作用が発生し、軸部材2をスラスト方向に非接触支持するスラスト軸受部が形成される。動圧発生部の形状としては、例えばヘリングボーン形状、スパイラル形状、ステップ形状、あるいは波型形状等が考えられる。
また、以上の説明では、動圧発生部Aを電鋳加工により形成する場合を例示したが、これに限らず、例えば焼結金属材や樹脂材料を材料とした型成形で形成することもできる。
また、本発明の軸受装置は上記のように径方向の気流を発生させるファンモータに限らず、例えば軸方向に気流を発生させるいわゆる軸流ファンなど、他のファンモータにも適用できる。また、ファンモータに限らず、光ディスクの光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ等、高速回転下で使用される情報機器用の小型モータ、あるいはレーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等における回転軸支持用としても好適に使用することができる。
本発明に係る動圧軸受装置1を組み込んだファンモータを示す断面図である。 動圧軸受装置1の(a)縦断面図、および(b)横断面図である。 マスター軸10の上面図である。 電鋳軸12の正面図である。 電鋳軸12の横断面図である。 電鋳軸12を金型内に配置した状態を示す断面図である。 動圧軸受装置1の他の実施形態(多円弧軸受)を示す横断面図である。 動圧軸受装置1の他の実施形態(多円弧軸受(テーパ軸受))を示す横断面図である。 動圧軸受装置1の他の実施形態(多円弧軸受(テーパ・フラット軸受))を示す横断面図である。 従来の動圧発生部の形成方法(サイジングピンを用いた方法)を示す断面図である。
符号の説明
1 動圧軸受装置
2 軸部材
4 ファン
5 ケーシング
6a ステータコイル
6b ロータマグネット
7 保持部
8 電鋳部
9 軸受部材
10 マスター軸
12 電鋳軸
100 サイジングピン
101 金型
A ラジアル動圧発生部
R1 ラジアル軸受隙間(広幅部)
R2 ラジアル軸受隙間(狭幅部)

Claims (3)

  1. 軸部材と、マスター軸の外周面に析出形成された電鋳部、及び、前記電鋳部をインサート部品として樹脂で射出成形された保持部を有し、内周に前記軸部材が挿入された軸受部材と、前記電鋳部の内周面に設けられ、前記軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間の潤滑流体に動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部とを備えた動圧軸受装置において、
    前記マスター軸の外周面に前記電鋳部を析出形成することにより、前記電鋳部の内周面に前記マスター軸の外周面形状に倣った前記ラジアル動圧発生部が形成され、
    前記ラジアル動圧発生部が形成された前記電鋳部の内周面が前記マスター軸の外周面から剥離された面であり、
    前記軸受部材の内径が1mm以下であり、前記マスター軸及び前記ラジアル動圧発生部の径方向断面が非真円形状であり、且つ、軸方向で一定形状をなすことを特徴とする動圧軸受装置。
  2. 請求項1に記載の動圧軸受装置と、ファンと、ステータコイルと、ロータマグネットと、ケーシングとを有するファンモータ。
  3. 前記軸受部材が、ケーシングを一体に有する請求項2記載のファンモータ。
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