JP5198027B2 - 滑り軸受及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内周に挿入した軸部材を支持する滑り軸受、及びその製造方法に関する。
滑り軸受(以下、単に「軸受」と称する)は、軸部材や球状部材等との間の相対的な回転、摺動、摺動回転、あるいは揺動を支持する用途に広く用いられている。
例えば特許文献1には、電鋳加工による電鋳部と、電鋳部をインサートして型成形した樹脂成形部とからなる軸受が提案されている。電鋳部は、マスター軸を目的金属を含む溶液中に浸漬し、例えば電解めっきによりマスター軸の外周に目的金属を析出させることにより形成される。こうして形成された電鋳部の内周面は、マスター軸の外周面精度に倣うため、マスター軸の外周面を高精度に加工することにより、電鋳部の内周面精度を高めることができる。この電鋳部の内周面に軸受面を形成することで、軸受の内周に挿入される軸部材等との間に形成される軸受隙間を高い精度で設定することができるため、優れた軸受性能が得られる。
特開2003−56552号公報
しかしながら、一般に、樹脂材料と金属材料との固着力は高くないため、上記の軸受のように電鋳部の外周面と樹脂成形部の内周面とが共に円筒面状であると、電鋳部と樹脂成形部との固定力が不足し、マスター軸を電鋳部から分離する際に両者が剥離する恐れがある。
本発明の課題は、電鋳部と樹脂成形部とが強固に固定された軸受を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、内面に軸受面が形成された電鋳部と、電鋳部をインサート部品として射出成形した樹脂成形部とを備えた滑り軸受であって、電鋳部に微粒子を分散保持させ、電鋳部の外周面から露出した微粒子に樹脂成形部の射出材料を接触させてこの微粒子を溶融させることにより、樹脂成形部と一体化され、且つ、微粒子痕に完全に満たされた微小突起を形成したことを特徴とする。
このように、本発明の軸受は、電鋳部に保持され、樹脂成形部と接触する面から露出した微粒子を溶融させて樹脂成形部と一体化している。これにより、電鋳部の外表面のうち、微粒子があった場所に凹部(微粒子痕)が形成され、この微粒子痕が樹脂成形部と一体化した微粒子(微小突部)で満たされる。この電鋳部の微粒子痕に入り込んだ樹脂成形部の微小突部がアンカー効果を発揮することにより、樹脂成形部と電鋳部との固定力を高めることができる。
このとき、微粒子と樹脂成形部を同種の樹脂材料で形成すれば、樹脂成形部の射出成形時に射出材料を電鋳部の表面から露出した微粒子と接触させることにより、微粒子を溶融することができる。その後、溶融した材料が冷却固化することにより、別途の工程を要することなく微粒子を樹脂成形部と一体化することができる。尚、同種の樹脂材料とは、ベース樹脂、充填材、及びこれらの配合割合のうち、少なくともベース樹脂の種類が一致しているものを言う。
上記のような軸受は、以下のようにして製造することができる。まず、電鋳部に微粒子を分散保持させ、この微粒子の一部を電鋳部の表面に露出させる。例えば、微粒子を分散させた溶液中で電鋳部を析出させることにより、電鋳部に微粒子を分散保持させることができる。この電鋳部を金型のキャビティ内に配置し、このキャビティに樹脂成形部の材料を射出すると、電鋳部の外周面から露出した微粒子に、樹脂成形部の射出材料を接触させることにより、この微粒子が射出材料で溶融する。その後、溶融した微粒子が冷却固化して樹脂成形部と一体化し、且つ、微粒子痕に完全に満たされた微小突起が形成されると共に、電鋳部と樹脂成形部とが一体成形される。
以上のように、本発明によると、電鋳部と樹脂成形部とが強固に固定された軸受を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る軸受3を備えた軸受装置1を組み込んだモータの一例を概念的に示すものである。このモータは、パーソナルコンピュータ等に組み込まれ、発熱源の冷却に用いられるファンモータであり、軸部材2を回転自在に支持する軸受装置1と、軸部材2に一体または別体に設けられ、ファン35を一体に有するロータ31と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル32およびロータマグネット33と、ブラケット34とを備えている。ステータコイル32はブラケット34の外周に取り付けられ、ロータマグネット33はロータ31の内周に取り付けられている。ステータコイル32に通電すると、ステータコイル32とロータマグネット33との間の電磁力でロータマグネット33が回転し、これにより、ロータ31およびファン35が軸部材2と一体に回転して気流を発生させ、発熱源の冷却を行う。
図2は、軸受装置1を概念的に示している。この軸受装置1は、軸部材2と、内周に軸部材2を挿入した本発明に係る軸受3とを主要な構成部材として備えている。
軸受3は、電鋳加工によりマスター表面にニッケルや銅等の金属イオンを析出させて形成した電鋳部4と、これをインサートして射出成形された樹脂成形部5とで有底筒状に形成されている。
電鋳部4は、例えばニッケル等の金属材料を析出させて形成され、側部4aと底部4bとからなる有底筒状に形成される。電鋳部4の側部4aの内周面4a1には、軸方向に離隔した2箇所にヘリングボーン形状に配列した動圧溝4a11、4a12が形成される。電鋳部4の底部4bの上側端面4b1は凹凸のない平坦面に形成されている。また、電鋳部4は、図2に拡大して示すように、内部に微粒子6を分散保持すると共に、外周面4a2及び底部4bの下側端面4b2、すなわち樹脂成形部5と接触する面に微粒子痕4cを有する。
樹脂成形部5は、電鋳部4を外周及び下方から保持するベース部50と、電鋳部4側へ突出した無数の微小突部60とを一体に備える。樹脂成形部5の微小突部60は電鋳部4の微粒子痕4cに入り込み、これにより微粒子痕4cの内部が微小突部60で満たされる。
軸部材2は、金属材料で径一定に形成され、その下端には球面状凸部2bが形成されている。軸部材2が回転すると、軸部材2の外周面2aと電鋳部4の内周面4a1との間にラジアル軸受隙間が形成され、動圧溝4a11及び4a12がこのラジアル軸受隙間の潤滑流体(例えば潤滑油)に動圧作用を発生させることにより、軸部材2をラジアル方向に支持するラジアル軸受部R1、R2が形成される。また、軸部材2の下端の球面状凸部2bの先端部と、電鋳部4の底部4bの上側端面4b1とが接触することによりピボット軸受が構成され、これにより、軸部材2をスラスト方向に支持するスラスト軸受部Tが形成される。
以下、上記軸受3の製造工程の一例を図面に基づいて説明する。
軸受3は、マスター軸20の外表面に電鋳殻である電鋳部4を析出形成する工程(電鋳加工工程)、電鋳部4およびマスター軸20をインサート部品として樹脂成形部5の型成形を行う工程(インサート成形工程)、および電鋳部4とマスター軸20とを分離する工程(分離工程)を順に経て製造される。
図3は、電鋳加工工程の一例を概念的に示すもので、浴槽10内を満たした電解質溶液11中に、電鋳加工を施すべきマスター軸20(陰極)および陽極12が配設される。マスター軸20および陽極12は、電線等を介して電力供給部13に対して電気的に接続され、この電力供給部13により、双方の電極20、12間に所定電圧が印加される。
電鋳部4の成形母体となるマスター軸20は、例えば焼入処理をしたステンレス鋼で形成される。この実施形態では、マスター軸20の外周面20aは円筒面状に形成され、この外周面20aのうち、電鋳部4の内周面4a1に形成される動圧溝4a11、4a12の丘部に対応する領域には、凹部20a1、20a2が形成される(図4参照)。マスター軸20の材料としては、ステンレス鋼以外にも、例えばクロム系合金やニッケル系合金など、マスキング性、導電性、耐薬品性を有するものであれば金属、非金属を問わず任意に選択可能である。
マスター軸20の外周面精度は、軸受3のラジアル軸受面となる電鋳部4の内周面4a1の面精度を直接左右するので、なるべく高精度に仕上げておくことが望ましい。
マスター軸20の外周面20aのうち、電鋳部4の形成予定領域を除く箇所には、図3に示すように、予め非導電性のマスキング部14が形成される。マスキング部14の形成材料には、非導電性、及び電解質溶液に対する耐食性を有する材料が選択使用される。
電解質溶液11には、電鋳部4の析出材料となる金属(例えばニッケルイオン)を含んだものが用いられる。上記析出金属の種類は、ラジアル軸受面となる電鋳部4の内周面4a1に求められる硬度、あるいは耐油性など、要求される特性に応じて適宜選択される。また、電解質溶液11には、軸受3の樹脂成形部5の材料と同種の樹脂材料からなる微粒子6が分散される(図3の拡大図参照)。また、電解質溶液11には、カーボンなどの摺動材、あるいはサッカリン等の応力緩和材を必要に応じて含有させてもよい。
陽極12は、例えばマスター軸20の外周面20aに対向する面を外周面20aに倣った形状(横断面円弧形状)とした板状部材で、陰極となるマスター軸20の周囲に複数かつ等間隔(例えば90°間隔で4枚)に配設される。この状態で、電力供給部13により、マスター軸(陰極)20および陽極12に直流電圧を印加し、双方の電極20、12間の電解質溶液11に通電する。これにより、イオン化した金属がマスター軸20の外周面20aのうちマスキング部14を除く領域に析出し、図4に示すような電鋳部4とマスター軸20との一体品が形成される。このとき、マスター軸20の外周面20aに形成された凹部20a1、20a2に倣って電鋳部4が析出することにより、電鋳部4の内周面4a1には、動圧溝4a11、4a12が形成される。
また、溶液11中に微粒子6を分散させたことにより、電鋳部4の析出と共に電鋳部4の内部に微粒子6が分散保持される。詳しくは、微粒子6のうち、一部は電鋳部4の内部に完全に取り込まれ(図4拡大図に6(A)で示す)、その他は電鋳部4の外表面(外周面4a2及び底部4bの下側端面4b2)から露出している(図4拡大図に6(B)で示す)。尚、微粒子6が大き過ぎると、電鋳部4の析出と共に電鋳部4に保持させることが困難となるため、微粒子6の粒径は、電鋳部4で保持可能な範囲内でなるべく小さいことが好ましい。
上記工程を経て製作された、電鋳部4を外周に設けたマスター軸20(以下、電鋳軸15という。)は、樹脂成形部5を射出成形する金型内にインサート部品として供給配置される。
図5は、樹脂成形部5のインサート成形工程を概念的に示している。この成形工程に使用する金型は、可動型16及び固定型17からなる。固定型17には、スプルー、ランナ(共に図示は省略)およびゲート18が設けられる。可動型16に電鋳軸15を固定した状態で、可動型16を固定型17に接近させ、双方の金型16、17を型締めすると、双方の金型16、17内部にキャビティ19が形成される。また、双方の金型16、17のうち、型開き時にインサート成形品が残る側(この実施形態では、可動型16)には、成形品を押し出して型外に排出するためのイジェクト機構が設けられる。本実施形態では、イジェクト機構として、可動型16に対して軸方向に相対移動できるよう構成された複数の押し出しピン21が設けられる。なお、ゲート18は、この実施形態では点状ゲートであり、例えば固定型17のうち、樹脂成形部5の底部中央に対応する位置に形成される。ゲート18のゲート面積は、充填する溶融樹脂の粘度や、成形品の形状に合わせて適切な値に設定される。
樹脂成形部5の樹脂材料、すなわち、キャビティ19内に射出される樹脂材料としては、例えば非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等をベース樹脂として用いることができる。もちろんこれらは一例にすぎず、軸受の用途や使用環境に適合すれば、任意の樹脂材料が選択可能である。必要に応じて、上記あるいは上記以外の樹脂を複数混合したものを使用することもできる。また、これらの樹脂材料に、強化材(繊維状、粉末状等の形態は問わない)や潤滑剤、導電化剤等の各種充填材を加えることで、特性の改善を図ることもできる。
上記構成の金型において、電鋳軸15を所定位置にインサートした状態で可動型16を固定型17に接近させて型締めする。次に、型締めした状態で、スプルー、ランナ、およびゲート18を介してキャビティ19内に溶融樹脂を射出、充填し、樹脂成形部5を電鋳軸15と一体に成形する。これにより、電鋳部4の外表面を覆う樹脂成形部5が形成される。
このとき、電鋳部4の表面から露出した微粒子6(B)は樹脂成形部5の射出材料と同種の材料で形成されているため、溶融した射出材料と接触することにより微粒子6(B)の一部又は全部が溶融する。その後、溶融樹脂が冷却固化すると、微粒子6(B)が樹脂成形部5と一体化し、図2の拡大図で示すように、樹脂成形部5のベース部50から電鋳部4側へ突出した無数の微小突部60が形成される。この微小突部60は、電鋳部4の外表面に形成された微粒子痕4cに入り込んでアンカー効果を発揮し、電鋳部4と樹脂成形部5との固定力を向上させる。特に、電鋳部4の表面に露出した微粒子6(B)のうち、半分以上を電鋳部4に保持されたもの(図4の拡大図に6(B)1で示す)が樹脂成形部5と一体化してできた微小突部60(図2の拡大図に60(C)で示す)は、優れたアンカー効果を発揮し、電鋳部4と樹脂成形部5との固着力の向上に大きく貢献する。
成形後、型開きを行い、マスター軸20、電鋳部4、および樹脂成形部5が一体となった成形品を可動型16から離型する。詳細には、型開き後、一方の金型(ここでは可動型16)に設けられたイジェクト機構の押し出しピン21をキャビティ19内へ向けて押し出すことで、成形品を可動型16から排出する。
こうして離型された成形品は、その後の分離工程において電鋳部4および樹脂成形部5からなる軸受3(図2を参照)と、マスター軸20とに分離される。この分離工程では、例えばマスター軸20や電鋳部4、あるいは樹脂成形部5に衝撃を加えることで、電鋳部4の内周面4a1をマスター軸20の外周面20aから剥離させる。これにより、マスター軸20が電鋳部4および樹脂成形部5から引抜かれ、完成品としての軸受3が得られる。
本発明では、上記のように、樹脂成形部5と一体化した微粒子6(微小突部60)が電鋳部4との間でアンカー効果を発揮することにより両者が強固に固定されるため、マスター軸20を軸受3とを分離する際に電鋳部4と樹脂成形部5とが剥離する恐れを回避できる。特に、本実施形態のように、マスター軸20の外周面20aに形成した凹部20a1、20a2により、電鋳部4の内周面4a1に動圧溝4a11、4a12を形成する場合、上記の分離工程において、凹部20a1、20a2と動圧溝4a11、4a12の丘部とが軸方向で係合し、電鋳部4と樹脂成形部5との固定面を剥離しようとする大きな荷重が加わる恐れがある。このような場合は、本発明により電鋳部と樹脂成形部5との固定力を高めることが特に有効となる。
電鋳部4の分離手段としては、上記手段に限らず、例えば電鋳部4とマスター軸20とを加熱又は冷却し、両者間に熱膨張量差を生じさせることによる方法、あるいはこれらの手段を併用する手段等も使用可能である。また、分離工程は、イジェクタ機構による成形品の離型と同時に行うことも可能である。
上述の如く形成された軸受3の内周に、例えばロータ31を設けた軸部材2を挿入し、軸部材2の外周面2aと電鋳部4の内周面4a1との間の半径方向隙間を含めた軸受内部空間に、その大気開放側(一端開口側)から潤滑油を注油する。これにより、軸受内部空間を潤滑油で充満した軸受装置(流体軸受装置)1が完成する。
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、上記の実施形態と同一の構成、機能を有する部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
上記の実施形態では、微粒子6を樹脂成形部5と同種の材料で形成しているが、これに限らず、これらを異種材料で形成してもよい。例えば、微粒子6を樹脂成形部5の材料よりも低融点の材料で形成すれば、樹脂成形部5の射出材料との接触により確実に微粒子6を溶融させることができる。
また、上記の実施形態では、電鋳部4の形成方法として、電解質溶液11に通電するいわゆる電解めっきによるものが示されているが、これに限られない。例えば、目的金属を含む溶液中にマスター軸を浸漬し、溶液中の物質の化学反応により電鋳部4を析出させる、いわゆる無電解めっきによる方法を採用することもできる。
また、上記の実施形態では、電鋳部4が一層で構成されているが、これに限らず、例えば電鋳部4を複数層で構成してもよい。図6に示す例では、電鋳部4が内側の電鋳層41と外側の電鋳層42の2層からなる。この場合、電鋳部4のうち、少なくとも樹脂成形部5と接触する外側の電鋳層42に微粒子6が分散保持されていればよい。この微粒子6が外側の電鋳層42の外表面から露出し、樹脂成形部5と一体化することで、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、電鋳部4を複数層で構成し、樹脂成形部5と接触する電鋳層(図6では外側の電鋳層42)のみに微粒子6を分散保持させることにより、電鋳部4の外表面に露出して樹脂成形部5との固定力向上に寄与する微粒子6の密度を維持しながら微粒子6の使用量を減じることができるので、材料コストの低減が図られる。
また、図6に示すように電鋳部4を複数層で形成する場合、各電鋳層を同じ方法で形成してもよいが、それぞれ異なる方法、例えば電解めっき法と無電解めっき法とで形成してもよい。一般に、電鋳部を電解めっき法で形成すると、形成速度は早いが電鋳部の硬度はそれ程高くない。一方、電鋳部を無電解めっき法で形成すると、形成速度は遅いが高硬度の電鋳部が得られる。従って、軸部材2と接触する内側の電鋳層41は高硬度が要求されるため無電解めっき法で形成し、それ程高硬度が要求されない外側の電鋳層42を電解めっきで形成すれば、高硬度の軸受面を有する電鋳部を効率よく製造することができる。
また、図6に示す実施形態では、外側の電鋳層42のみに微粒子6が分散保持されているが、これに限らず、内側の電鋳層41にも微粒子を分散保持させてもよい(図示省略)。これによると、内側の電鋳層の外表面から露出した微粒子が外側の電鋳層の内表面に食いつき、内外の電鋳層間で微粒子がアンカー効果を発揮するため、これらの間の固定力を高めることができる。
また、上記の実施形態では、軸受3が有底筒状をなしているが、これに限らず、例えば図7に示すように軸方向両側に開口した軸受3を用いることもできる。この場合、電鋳部4を形成するためのマスター軸を軸部材2として使用することができる。この場合、電鋳部4をマスター軸としての軸部材2から剥離する時に形成される隙間を軸受隙間とすることができるため、軸受隙間を高精度に設定することが可能となる。一方、上記の実施形態と同様にマスター軸と軸部材2とをそれぞれ別個に形成すると、同じマスター軸を繰り返し使用することができるため、マスター軸を高精度に加工することにより、製品ごとの品質を均一にすることができる。
また、上記の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2の軸受隙間の潤滑流体に動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部として、ヘリングボーン形状の動圧溝4a11、4a12が形成されているが、これに限らず、例えばスパイラル形状の動圧溝やステップ軸受、あるいは多円弧軸受を採用してもよい。あるいは、動圧発生部を設けず、軸部材2の外周面2a及び電鋳部4の内周面4a1を共に円筒面としたいわゆる真円軸受を構成してもよい。特に、ステップ軸受や多円弧軸受、あるいは真円軸受のように、軸部材2の外周面2a及び電鋳部4の内周面4a1の横断面形状が軸方向で一定であれば、マスター軸と軸受とを分離する際、マスター軸の外周面と電鋳部4の内周面4a1が係合することがないため、電鋳部4と樹脂成形部5との剥離をより確実に回避することができる。
また、上記では、スラスト軸受部Tをピボット軸受で構成しているが、これに限らず、例えば、電鋳部4の内底面4b1に、スラスト動圧発生部としてスパイラル形状やヘリングボーン形状の動圧溝、ステップ軸受、あるいは波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等を形成することもできる。このスラスト動圧発生部が、電鋳部4の内底面4b1と軸部材2の端面との間のスラスト軸受隙間の潤滑流体に動圧作用を発生させることにより、スラスト軸受部が形成される(図示省略)。
また、上記では、動圧発生部が電鋳部4の内周面4a1、あるいは内底面4b1に形成されているが、それぞれと軸受隙間を介して対向する面、すなわち軸部材2の外周面2a、あるいは下端面に動圧発生部を設けてもよい。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2が軸方向で離隔して設けられているが、これらを軸方向で連続的に設けてもよい。あるいは、これらの何れか一方のみを設けてもよい。
また、以上の実施形態では、軸受装置1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間や、スラスト軸受隙間に動圧作用を生じる流体として、潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧作用を発生可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
また、上記の実施形態では、本発明の軸受がファンモータの回転軸支持用に使用されているが、これに限られない。例えば、HDD等の磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ、光ディスクや光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ、あるいはレーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等、高回転精度が要求される情報機器用の小型モータにおける回転軸支持用として使用することができる。また、本発明の軸受は、軸との間の直線的な相対摺動を支持する摺動用の軸受や、相対摺動と相対回転の双方を支持する摺動回転用の軸受、あるいは軸の三次元方向の運動を支持する揺動用の軸受の何れにも適用することができる。
本発明の軸受を組み込んだファンモータの断面図である。 軸受装置の断面図である。 電鋳加工工程を示す断面図である。 電鋳軸を示す断面図である。 射出成形工程を示す断面図である。 他の実施形態に係る軸受装置の断面図である。 他の実施形態に係る軸受装置の断面図である。
符号の説明
1 軸受装置
2 軸部材
3 軸受
4 電鋳部
4c 微粒子痕
5 樹脂成形部
50 ベース部
60 微小突部
6 微粒子
R1、R2 ラジアル軸受部
T スラスト軸受部

Claims (4)

  1. 内面に軸受面が形成された電鋳部と、電鋳部をインサート部品として射出成形した樹脂成形部とを備えた滑り軸受であって、
    電鋳部に微粒子を分散保持させ、電鋳部の外周面から露出した微粒子に樹脂成形部の射出材料を接触させてこの微粒子を溶融させることにより、樹脂成形部と一体化され、且つ、微粒子痕に完全に満たされた微小突起を形成したことを特徴とする滑り軸受。
  2. 前記微粒子及び樹脂成形部が同種の樹脂材料からなる請求項記載の滑り軸受。
  3. 電鋳部を複数の電鋳層で構成し、最外層の電鋳層に前記微粒子を分散させた請求項1又は2に記載の滑り軸受。
  4. 内面に軸受面が形成された電鋳部と、電鋳部をインサート部品として射出成形した樹脂成形部とを備えた滑り軸受を製造するに際し、
    微粒子を分散させた溶液中で析出させることにより微粒子を分散保持した電鋳部を形成し、この電鋳部を配置したキャビティに樹脂材料を射出することにより、電鋳部の外周面に露出した微粒子に、射出した樹脂材料を接触させてこの微粒子を溶融することにより、樹脂成形部と一体化され、且つ、微粒子痕に完全に満たされた微小突起を形成することを特徴とする滑り軸受の製造方法。
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