JP2007051718A - 流体軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】流体軸受装置の信頼性や耐久性を向上させる。
【解決手段】流体軸受装置1は、電鋳加工で形成された電鋳部4および電鋳部4を樹脂でモールドした樹脂部5からなる軸受部材3と、当該軸受部材3の内周に挿入された軸部材2とで形成される。軸受部材3(電鋳部4)の内周面は、マスター表面への析出によって形成された第一内周面3aと、マスター軸8の表面を被覆する導電性被膜10上への析出によって形成され、第一内周面3aよりも大径の第二内周面3bとを備える。導電性被膜10は、バインダ中に導電性粒子12を分散したもので形成されているため、電鋳部10の外周面は凹凸面状に形成され、これによって電鋳部4を被覆する樹脂部5との間にはアンカー効果が発現される。
【選択図】図1

Description

本発明は、流体軸受装置に関するものである。
流体軸受装置は、軸部材と軸受部材との間の軸受隙間に形成された油膜で軸部材を回転自在に支持する軸受装置である。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を有するものであり、近年ではその特徴を活かして、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等に搭載するスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)などに搭載するポリゴンスキャナモータ用、パーソナルコンピュータ(PC)などに搭載するファンモータ用、あるいは軸流ファンなどの電気機器に搭載する小型モータ用の軸受として広く用いられている。
この種の流体軸受装置では、軸部材の外周面および軸受部材の内周面のうち、軸受隙間と対向する領域の面精度が軸受性能を大きく左右する。特に上記HDD等の情報機器用のモータに用いられる流体軸受装置では、軸受に求められる精度が極めて高く、従って、軸受隙間を形成する二面の面精度もそれに応じて高いレベルのものが求められる。
かかる要請に応えるべく、特開2003−56552号公報(特許文献1)では、電鋳部をインサート部品として一体に型成形した軸受部材が提案されている。この軸受部材は、電鋳部の成形母体となるマスター軸のマスキング部以外の領域に電鋳殻である円筒状の電鋳部を析出形成し、この電鋳部をインサート部品として樹脂部を射出成形した後、電鋳部をマスター軸から分離することで、分離面となる電鋳部の内周面をそのまま軸受面として使用可能としたものである。この場合、電鋳部すなわち軸受部材の内周面の面精度は、電鋳加工の特性上、非常に高精度に形成される。
特開2003−56552号公報
上記特許文献1に記載の発明では、軸受部材の内周面全面を軸受面としているため、ロストルクや摺動摩擦が増加し、あるいはモーメント荷重に対する負荷能力が不足する点が問題となる。かかる問題の解決手段の一例として、軸受面を軸方向に離隔した複数箇所に設ける構成が考えられるが、この場合には電鋳部の内周面が大径内周面の軸方向両側を小径内周面で挟んだ形状となるため、これを電鋳加工で形成するには、中間部分を太くした異径マスターを使用しなければならない。異径マスターでは、マスターを電鋳部から引抜く際にマスターの段部が電鋳部と干渉して無理抜きとなり、電鋳部内周面の精度悪化や変形を招くおそれがある。
また、電鋳加工で形成された電鋳部の外周面は一般に平滑面となるから、軸受装置の使用条件等によっては、電鋳部とこれを被覆する部材(樹脂等)との間の固着力不足により電鋳部が剥離し、最悪の場合には電鋳部が脱落するおそれがある。
本発明は、以上に述べた課題を解決するものである。
上記課題を解決するため、本発明にかかる流体軸受装置は、軸部材と、電鋳加工で形成された円筒状の電鋳部をインサートして射出成形され、内周に軸部材を挿入した軸受部材とを備えるものであって、電鋳部の内周面に、マスター表面への析出によって形成された第一内周面と、マスター表面を被覆する導電性被膜上への析出によって形成された第二内周面とを設け、電鋳部の外周面に導電性被膜中に分散した導電性粒子によって凹凸を形成したことを特徴とするものである。
上記構成によれば、電鋳部の内周面のうち、第二内周面は、導電性被膜の厚み分だけ、マスター表面への析出によって形成される第一内周面よりも大径に形成することができる。従って、内径差を有する軸受部材が容易に製作可能となる。この場合、第二内周面の軸方向両側に第一内周面を配置し、第一内周面を軸受面として利用すれば、軸方向に離隔した軸受面を形成することが可能となるので、ロストルクや摺動摩擦を低減化することができ、かつモーメント荷重に対する負荷能力を向上させることが可能となる。
第二内周面の形成後は、導電性被膜が溶剤等を用いて除去される。導電性被膜の除去は、マスターの分離後に行うことが効率的である。
導電性被膜は、一般にバインダ中に導電性粒子を分散させた構成を有する。電解質溶液中では、導電性被膜のうち、導電性粒子の露出部分で金属の析出速度が高くなり、バインダ部分で析出速度が低くなる。最終的には、析出金属は導電性被膜全体を被覆し、析出速度も徐々に各所で平均化されるが、その場合でも析出金属の外周面には、当初の析出速度の相違に由来する凹凸が残る。この場合、凹凸のうちの凸部は、被膜中での導電性粒子の存在部分に形成され、凹部はバインダ部分に形成されるので、凹凸のサイズや分布状態は、被膜表面に露出した導電性粒子のサイズや分布状態に依存する。
このように電鋳部の外周面に導電性粒子で凹凸を形成することにより、電鋳加工後、電鋳部をインサートして射出成形すれば、射出成形材料が電鋳部の外周面の凹部に入り込んでアンカー効果を発揮する。従って、電鋳部とこれを被覆する部分との間で高い固着力を得ることができる。
本発明者らの検証によれば、導電性被膜中の導電性粒子の粒径が大き過ぎる場合、例えば導電性被膜の厚み(t)に対する導電性粒子の粒径(d)の比A(d/t)が0.5よりも大きい場合(A>0.5)には、電鋳部外径の凹凸量が大きくなり、射出成形時の樹脂の流れを阻害し、ひいては電鋳内径面の真円度を劣化させる傾向にある。
一方、導電性粒子の粒径が小さ過ぎる場合、例えば上記比Aが0.2よりも小さい場合(A<0.2)、電鋳部の外周面の凹凸が十分に成長せず、アンカー効果による固着力の向上が十分に図れないことが判明した。したがって、導電性被膜の厚みに対する導電性粒子の粒径の比Aは0.2≦A≦0.5に設定するのが望ましい。
以上の構成を有する流体軸受装置は、ステータコイルと、ステータコイルとの間で電磁力を発生させるロータマグネットとを有するモータ、例えばHDD等のディスク装置用のスピンドルモータに好ましく使用することができる。
以上のように、本発明によれば、内径差を有する軸受部材が容易に製作可能となり、軸受設計の多様化を図ることができる。また、電鋳部の剥離や脱落を確実に防止することが可能となり、流体軸受装置の信頼性や耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体軸受装置1を概念的に示すものである。この流体軸受装置1は、軸部材2と、軸部材2を内周に挿入可能な軸受部材3とを備える。このうち、軸受部材3は、後述する電鋳加工で形成される電鋳部4と、当該電鋳部4を樹脂でモールドした樹脂部5とを備える。
軸受部材3の内周面には、電鋳加工によりマスター軸8の外周面に析出形成された電鋳部4からなる第一内周面3aが軸方向の二箇所に離隔形成される。この第一内周面3aは、軸部材2の外周面2aとの間でラジアル軸受隙間を形成するラジアル軸受面となる。第一内周面3a、3a間には、電鋳加工前にマスター軸8の外周面に形成された導電性被膜10を除去して形成され、第一内周面3aよりも大径の第二内周面3bが形成される。そのため、この第二内周面3bと軸部材2の外周面2aとの間の隙間幅はラジアル軸受隙間の幅よりも広くなり、これがいわゆる逃げ部6として機能する。なお、図1では、理解の容易化のため、逃げ部6の半径方向寸法を、軸部材2等の半径方向寸法に比べて誇張して描いている。
上記のように、流体軸受装置1を構成する軸受部材3の内周面に、第一内周面3aを軸方向に離隔して二箇所形成し、かつ隣接する第一内周面3a間に、第一内周面3aよりも大径の逃げ部6を第二内周面3bで形成することにより、軸部材2の相対回転時、軸部材2をなるべく軸方向に離隔した位置で支持しつつも、その軸受面積を必要以上に増加させずに済む。そのため、ロストルクや摺動摩擦の増加を避けつつ、モーメント耐力に優れた流体軸受装置1を提供することができる。
次に、上記流体軸受装置1の製造工程を、軸受部材3の製造工程を中心に説明する。
図1に示す軸受部材3は、図2に示す電鋳加工で使用するマスター軸8の所要箇所に絶縁性材料でマスキング部9を形成すると共に、導電性材料で被膜10を形成する工程(マスター軸製作工程)、被膜10を形成したマスター軸8に電鋳加工を行って電鋳部4を形成する工程(電鋳工程)、電鋳部4が形成されたマスター軸8をインサート部品として軸受部材3を型成形する工程(インサート成形工程)、電鋳部4とマスター軸8とを分離する工程(分離工程)、および軸受部材3から被膜10を除去する工程(被膜除去工程)を順に経て製作される。
マスター軸製作工程では、電鋳部4の成形母体となるマスター軸8が、導電性の金属材料、例えば焼入処理を施したステンレス鋼で軸方向同一径、かつ断面真円状に形成される。マスター軸8の形成材料は、例えばニッケル合金やクロム合金等、ステンレス鋼以外の金属材料、あるいは導電処理を施したセラミック等の非金属材料等、電鋳部4の成形性や耐薬品性に優れるものであれば任意に選択可能である。マスター軸8は、むく軸(中実軸)の他、中空軸あるいは中空部に樹脂を充填した中実軸であってもよい。マスター軸8の外周面精度は、軸受面となる軸受部材3の第一内周面3aの成形精度(面精度や真円度等)を直接左右するので、なるべく高精度に仕上げておくことが望ましい。
マスター軸8の外周面には、図2に示すように、電鋳部4の形成予定領域を除き、マスキングが施され、マスキング部9が形成される。マスキング部9用の被覆材としては、非導電性、および電解質溶液に対する耐食性を有する材料が選択使用される。
マスター軸8の外周面のうち、電鋳部4の形成予定領域の一部領域には、導電性被膜10が形成される。本実施形態では、図2に示すように、マスキング部9間の外周面が露出した領域の軸方向中央部に、スプレー塗布等適宜の手段により、導電性被膜10が全周に亘って帯状に形成される。導電性被膜10の厚みは、この導電性被膜10を除去して形成される逃げ部6としての機能を満足する厚み、例えば5μm〜50μmの厚みに形成される。
導電性被膜10を形成する材料としては、導電性を有し、かつ溶剤等を用いて容易に除去可能なものであれば特に限定されないが、バインダを含む溶媒中に、カーボンやニッケル、あるいは銅等の導電性粒子が分散し、当該導電性粒子上に電鋳部4を析出形成可能なもの(いわゆる、導電性コーティング材)が特に望ましい。導電性コーティング材の一例として、日本黒鉛工業(株)社製のU.C.Cを挙げることができる。
電鋳部4の形成予定領域のうち、導電性被膜10が形成されない領域は、ラジアル軸受面成形部7となる。本実施形態において、ラジアル軸受面成形部7は、図1に示す軸受部材3の第一内周面3a形状に合わせて平滑な円筒面に形成されている。
電鋳工程では、NiやCu等の金属イオンを含んだ電解質溶液にマスター軸8を浸漬した後電解質溶液に通電して、マスター軸8の表面のうち、マスキング部9を除く領域に目的の金属を電解析出させることにより、電鋳部4が形成される。電解質溶液には、カーボンなどの摺動材、あるいはサッカリン等の応力緩和材を必要に応じて含有させてもよい。析出金属の種類は、軸受部材3の軸受面に求められる硬度、疲れ強さ等の物理的性質や、潤滑油に対する耐性(耐油性)等の化学的性質などに応じて適宜選択使用される。
以上の工程を経ることにより、図3に示すように、マスター軸8の外周面のうち、マスキング部9以外の領域に電鋳部4を析出形成した電鋳軸11が製作される。この段階で、電鋳軸11は、マスター軸8の外周面の一部領域に導電性被膜10を形成し、さらに導電性被膜10の外周面に電鋳部4(4b)を形成した複層構造をなす。
電鋳部4は、マスター軸8の軸受面成形部7に析出形成された第一電鋳部4aと、被膜10の外周面10aに析出形成され、被膜10の厚み分だけ外径側に張り出した第二電鋳部4bとからなる。第一電鋳部4aと第二電鋳部4bは一体構造をなす。なお、電鋳部4の厚みは、厚すぎるとマスター軸8からの剥離性が低下し、薄すぎると電鋳部4全体としての耐久性低下等につながるので、求められる軸受性能や軸受サイズ、あるいはその用途等に応じた最適な厚み、例えば10μm〜100μmの厚みに設定される。
本実施形態において、導電性被膜10は、上述したコーティング材で形成される。このとき、導電性被膜10の外周面10aは、図4に示すように、導電性被膜10の表面付近に存在する導電性粒子12の一部領域が突出して電鋳加工時に電鋳金属が析出する凸部と、電鋳金属が析出せずピットになる凹部とで凹凸面状に形成される。電鋳加工の開始直後は、外周面10aから突出した導電性粒子12上で電鋳金属が析出する一方で、ピットではほとんど析出しないが、電鋳加工の進展に伴い、導電性粒子12上に析出した電鋳金属が成長し、やがてこれらが相互に結合することで導電性被膜10の全体が第二電鋳部4bで被覆される。このとき、第二電鋳部4bの外周面4b1は、電鋳加工当初の電鋳金属の析出速度差によって凹凸面状に形成され、マスター軸8の外周面(軸受面成形部7)に析出形成された第一電鋳部4aの外周面よりも粗い凹凸面状に形成される。
次に、上記工程を経て製作された電鋳軸11はインサート成形工程に移送され、電鋳軸11をインサート部品として、軸受部材3をインサート成形する成形型内に供給される。
図5は、軸受部材3のインサート成形工程の一例を概念的に示すものであり、電鋳軸11は、その軸方向を型締め方向(図面上下方向)と平行にして、上型13、および下型14からなる金型内部に供給される。本実施形態において、上型13には、ランナ15およびゲート16が設けられ、また、下型14にはキャビティ17が設けられる。ゲート16形状は、点ゲート(多点ゲート)、フィルムゲート、あるいは環状ゲート等が選択可能で、ゲート面積、および充填する樹脂材料の粘度や成形品の形状に合わせた適切なものが選択使用される。
上記構成の金型において、電鋳軸11を位置決め配置した状態で、上型13を下型14に接近させて型締めを行う。型締め完了後、図示しないスプール、ランナ15、およびゲート16を介してキャビティ17に溶融状態の樹脂材料Pを射出・充填し、樹脂部5を電鋳軸11と一体に成形する。樹脂材料Pは主に熱可塑性樹脂であり、例えば、非晶性樹脂として、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等、結晶性樹脂として、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いることができる。もちろんこれらは一例にすぎず、軸受の用途や使用環境に適したその他の樹脂材料も使用可能である。上記の樹脂材料には、必要に応じて強化材(繊維状、粉末状等の形態は問わない)や潤滑剤、導電剤等の各種充填材を加えることもできる。
なお、射出する材料としては上記樹脂材料の他、金属材料、例えば、マグネシウム合金やアルミニウム合金等の低融点金属材料も使用可能である。この場合、樹脂材料を使用する場合に比べて、強度や耐熱性、および導電性等を一層向上させることができる。この他、金属粉とバインダの混合物で射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるMIM成形、セラミックとバインダの混合物で射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるCIM成形を採用することもできる。
型開き後、マスター軸8、被膜10、電鋳部4、および樹脂部5が一体となった成形品を上型13、下型14から脱型する。この成形品は、その後分離工程に移送され、電鋳部4、樹脂部5、および被膜10が一体となった軸受部材3と、マスター軸8とに分離される。
分離工程では、例えば電鋳軸11あるいは軸受部材3に衝撃を与え、電鋳部4の内周面を半径方向に拡径させてマスター軸8の外周面8aとの間に微小隙間(半径寸法で1μm〜数μm程度)を形成し、図6に示すようにマスター軸8を電鋳部4の内周から引抜く。この他、電鋳部4とマスター軸8との熱膨張量差を利用してマスター軸8を分離することもできる。
電鋳部4をマスター軸8から分離した後、電鋳部4(第二電鋳部4b)の内周に形成された導電性被膜10を溶剤等で溶解・除去することにより、軸受部材3の内周に第二内周面3bが現れ、この第二内周面3bの軸方向両側に第二内周面3bよりも小径の第一内周面3a、3aが離隔形成した軸受部材3が得られる。
本実施形態において、電鋳部4のうち、導電性被膜10上に析出形成された第二電鋳部4bは、導電性被膜10の厚み分だけ第一電鋳部4aよりも大径に形成される。そのため、第1電鋳部4aと第2電鋳部4bとの間には段差が形成されるので、電鋳部4をモールド部5と一体成形した際には、当該段差が抜け止めとして機能する。また、第二電鋳部4bの外周面4b1は、上述したとおり、通常の電鋳加工で形成される外周面(第一電鋳部4aの外周面)よりも粗い凹凸面となるので、第二電鋳部4bと樹脂部5との間の固着力は、第一電鋳部4aと樹脂部5の間の固着力よりもアンカー効果によって強固なものとなる。したがって、従来構造のものよりも、抜け止め、回り止めが確実になされ、耐久性に富む高強度の軸受部材3を提供することが可能となる。
上記の作用効果を得るに際し、導電性被膜10の厚みtに対して導電性粒子12の粒径dが大きすぎると、第二電鋳部4bの外径側凹凸量が大きくなることにより、インサート成形時の樹脂の流れを阻害し、ひいては電鋳内径面の真円度を劣化させるおそれがある。その一方で、粒径dが小さすぎると、第二電鋳部4bの外周面が十分に粗面化されず、樹脂部5と電鋳部4との間で十分な固着力を得ることができない。本発明者らの検証によれば、導電性被膜10の厚みtに対する導電性粒子12の粒径dの比A(A=d/t)が0.5より大きい場合(A>0.5)、および比Aが、0.2よりも小さくなる場合(A<0.2)にそれぞれ上記不具合が顕在化することが判明した。従って、上記の比Aは、0.2≦A≦0.5に設定するのが好ましい。例えば、被膜の厚みを30μmとする場合、粒径が6μm〜15μmの導電性粒子を含有した導電性コーティング材を使用することができる。
以上のようにして形成された軸受部材3の内周に、軸部材2を挿入することにより、図1に示す流体軸受装置1が完成する。このとき、軸部材2の外周面2aと軸受部材3の第二内周面3bとの間の半径方向隙間幅は、軸部材2の外周面2aと軸受部材3の第一内周面3aとの間の半径方向隙間(ラジアル軸受隙間)幅と比べて、導電性被膜10の厚み分だけ大きい逃げ部6を形成する。なお、挿入する軸部材2としては、別途製作した軸状の部材を使用する他、分離したマスター軸8をそのまま使用することもできる。
このように、導電性被膜10をマスター軸8の外周面に形成した状態で電鋳部4を形成し、その後導電性被膜10を除去することで、軸受部材3の内周面に、軸受面となる第一内周面3aと、第一内周面3aよりも大径の第二内周面3bとをそれぞれ形成することができる。これによれば、マスター軸8自体に逃げ部6に対応した大径部を設ける必要がなく、軸方向に均一径のマスター軸8を用いて逃げ部6を形成することができる。したがって、マスター軸8を分離する際も無理抜きにならず、電鋳加工で得られる軸受面(第一内周面3a)の高い面精度や真円度を保持しつつ、モーメント荷重に対する負荷能力に優れた軸受部材3を形成することができる。
以上の説明では、ラジアル軸受面となる第一内周面3aが凹凸のない真円状の真円軸受を構成する場合を例示しているが、第一内周面3aに動圧発生部としてヘリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝を形成して動圧軸受を構成することもできる。この動圧溝は、例えば予めマスター軸8の外周面に凹凸を反転した動圧溝パターンを形成し、このマスター軸8を用いて電鋳加工を行うことで形成することができる。この他、導電性被膜10と同種のコーティング材でマスター軸8の外周面に上記動圧溝パターンを形成した上で電鋳加工を行い、その後、コーティング材を溶剤で溶解しても動圧溝を形成することができる。このような手法によらずとも、軸部材2の外周面に転造や鍛造、インクジェット印刷等の手法で動圧溝を形成すれば、上記の手順で製作した真円状の内周面を有する軸受部材3と組み合わせることで、動圧軸受を構成することができる。
なお、以上の説明では、軸受部材3に設けられた第一内周面3aを軸方向の二箇所に離隔して形成する形態を例示したが、第一内周面3aを軸方向の三箇所、または四箇所以上に形成することもできる。
以上で説明した流体軸受装置1は、例えば情報機器用のモータに組み込んで使用可能である。以下、流体軸受装置1をモータ用の軸受に適用した構成例を、図7に基づいて説明する。
図7は、流体軸受装置1を組込んだモータ30の一構成例を概念的に示している。このモータ30は、例えばHDD等のディスク駆動装置用のスピンドルモータとして使用されるものであって、軸部材32を回転自在に支持する流体軸受装置1と、流体軸受装置1の軸部材32に取り付けられたディスクハブ34と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル35およびロータマグネット36と、流体軸受装置1をモータに固定するためのブラケット37とを備えている。ステータコイル35はブラケット37の外周に取り付けられ、ロータマグネット36は、ディスクハブ34の内周に取り付けられている。ディスクハブ34は、その外周に磁気ディスク等のディスクDを一枚または複数枚保持する。ブラケット37の内周に流体軸受装置1の軸受部材3が装着されている。ステータコイル35に通電すると、ステータコイル35とロータマグネット36との間に発生する電磁力でロータマグネット36が回転し、それに伴ってディスクハブ34およびディスクハブ34に保持されたディスクDが軸部材32と一体に回転する。
この実施形態における流体軸受装置1は、ラジアル軸受部とスラスト軸受部の双方を動圧軸受で構成したものであり、軸受部材3と、軸受部材3の内周に挿入される軸部材32と、軸受部材3の一端開口を封口する蓋部材33とを備えている。軸部材32は、軸部32aと、軸部32aと一体または別体に設けられたフランジ部32bとで構成され、軸部32aの外周面には、ラジアル軸受部のラジアル軸受面となる上下二つの領域が形成されている。各ラジアル軸受面には動圧発生部として、例えばヘリングボーン形状に配列された動圧溝が形成されている。また、図示は省略するが、フランジ部32bの両端面にはスラスト軸受部のスラスト軸受面となる環状領域が形成され、各スラスト軸受面にはそれぞれ、動圧発生部として、例えばスパイラル形状に配列された動圧溝が形成されている。なお、本実施形態における軸受部材3は、図2〜図6に示す各工程を経て形成されたものが用いられている。
以上の構成において、軸部材32が回転すると、軸部32aの外周面に形成された動圧溝によって、軸受部材3の第一内周面3a、3aと軸部材32の外周面との間のラジアル軸受隙間に形成される潤滑油膜の油膜剛性が高められ、軸部材32をラジアル方向に回転自在に支持するラジアル軸受部R1、R2とが軸方向に離隔して二箇所形成される。また、これと同時に、フランジ部32bの両端面に形成された動圧溝によって、フランジ部32bの上側端面と軸受部材3の下側端面との間、およびフランジ部32bの下側端面と蓋部材33の上側端面との間の両スラスト軸受隙間に形成される潤滑油膜の油膜剛性が高められ、これによって軸部材32を両スラスト方向に回転自在に支持するスラスト軸受部T、Tが形成される。
なお、以上の実施形態では、流体軸受装置の内部に充満する潤滑流体として、潤滑油を例示したが、潤滑油の他、例えば磁性流体や空気等の気体を使用することもできる。
本発明の構成を有する流体軸受装置の一実施形態を示す断面図である。 マスター軸の斜視図である。 電鋳軸の斜視図である。 第二電鋳部の拡大断面図である。 軸受部材のインサート成形工程を概念的に示す断面図である。 マスター軸の分離工程を概念的に示す断面図である。 流体軸受装置を備えたモータの一構成例を示す断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
3、3’ 軸受部材
3a 第一内周面
3b 第二内周面
4 電鋳部
4a 第一電鋳部
4b 第二電鋳部
5 樹脂部
6 逃げ部
7 ラジアル軸受面成形部
8 マスター軸
9 マスキング部
10 導電性被膜
11 電鋳軸
12 導電性粒子
35 ステータコイル
36 ロータマグネット
A 導電性被膜の厚みに対する導電性粒子の粒径の比
R1、R2 ラジアル軸受部
T スラスト軸受部
d 導電性粒子の粒径
t 導電性被膜の厚み

Claims (2)

  1. 軸部材と、電鋳加工で形成された円筒状の電鋳部をインサートして射出成形され、内周に軸部材を挿入した軸受部材とを備える流体軸受装置であって、
    電鋳部の内周面に、マスター表面への析出によって形成された第一内周面と、マスター表面を被覆する導電性被膜上への析出によって形成された第二内周面とを設け、電鋳部の外周面に導電性被膜中に分散した導電性粒子によって凹凸を形成したことを特徴とする流体軸受装置。
  2. 前記導電性被膜に含まれる導電性粒子の、導電性被膜の厚みtに対する粒径dの比A(=d/t)が、0.2≦A≦0.5である請求項1記載の流体軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015098921A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 Ntn株式会社 流体動圧軸受装置及びその製造方法

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