JP4813073B2 - 中心コンタクト、アンカーコネクタ、及びそれらのコネクタ構造 - Google Patents

中心コンタクト、アンカーコネクタ、及びそれらのコネクタ構造 Download PDF

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Description

本発明は、Cu合金からなる中心コンタクト、アンカーコネクタ、及びそれらのコネクタ構造に関し、特に高周波同軸ケーブルを接続する際に用いられる同軸コネクタに用いられるものに関する。
一対の同軸ケーブルを接続する際には、一般に、一対の中心コンタクト及びアンカーコネクタを備えた同軸コネクタを用い、各同軸ケーブルの先端に中心コンタクトを取り付け、それらの中心コンタクト間にアンカーコネクタを介装させる。これにより、同軸ケーブルの内部導体が中心コンタクト及びアンカーコネクタを介して導通する。このように、同軸コネクタの中心コンタクト及びアンカーコネクタは、電気的端子としての機能を果たす。
一方、中心コンタクト及びアンカーコネクタは、互いに強固に且つ恒常的に接続状態を保てるような機能も有さねばならない。このため、一般に、中心コンタクトの接続筒状部及びアンカーコネクタの接続突起部のうち少なくともいずれか一方に長さ方向に延びるスリットが形成され、それによって接続筒状部及び/又は接続突起部の弾性的な拡径又は縮径が可能とされている。そして、中心コンタクトの接続筒状部にアンカーコネクタの接続突起部を挿入すると、その弾性復元力により接続筒状部及び接続突起部が接続された状態が保たれる。従って、中心コンタクト及びアンカーコネクタを形成する材料としては、恒常的に弾性復元力を維持できるだけの弾性及び応力による変形を生じないだけの耐応力緩和特性が必要である。
また、通常、中心コンタクト及びアンカーコネクタは切削により製造されるため、その材料として、削りやすく、且つ、切削面に粗さがほとんどないこと、すなわち、良好な被削性も求められる。一般に、純鉄、軟鋼、銅、アルミニウムなどの柔らかくて延性に富んだ金属の場合、切削抵抗や工具摩耗は少ないが、切削面が粗くなるため被削性が低い。また、硬い鋼鉄や合金鋼などの金属の場合、工具の摩耗が激しいために被削性が低い。そこで、中間硬さの半硬鋼(0.4%炭素鋼程度)や鉛入りの銅合金が良好な被削性を有するとされてきた。そのため、中心コンタクト及びアンカーコネクタを形成する材料として、快削りん青銅(Cu−Sn合金)が用いられている。
非特許文献1には、一般的な快削りん青銅について記載されている。これによると、快削りん青銅は、Pbを3.5〜4.5質量%、Snを3.0〜4.5質量%、Znを1.5〜4.5質量%、Pを0.01〜0.50質量%含有し、かつ、Cu、Sn及びPの合計が99.5質量%以上を占めるものである。これは、Pbを含有することによって、被削性を確保したものである。
ところが、快削りん青銅は、黄銅(Cu−Zn合金)などに比べて価格が高く、さらに、Pbを含有するため環境負荷が高いという問題がある。
そこで、近年、Pbを含有しないで、かつ、被削性に富んだCu合金が開発されている。
例えば、特許文献1には、そのようなCu合金として、Znが20〜45質量%、Biが0.2〜4質量%、Snが0.2〜3質量%、残部がCu及び不純物より成ることを特徴とし、より好ましくは、Znが22〜42質量%、Biが0.5〜2質量%、Snが0.5〜2質量%、残部がCu及び不純物より成る無鉛快削性Cu合金が開示されている。そして、これによれば、被削性が向上し、耐脱亜鉛腐食特性に優れ、且つ鉛による人体や環境への公害を実質的に無くすることができ、さらに、摩耗特性の向上をもはかり、摺動部材としての利用も可能としたCu合金が提供することができる、と記載されている。
特許文献2には、Cu69〜79質量%及びSi2.0〜4.0質量%を含有し、且つ残部がZnからなる合金組成をなす無鉛快削性Cu合金が開示されている。そして、これによれば、Pbを含有することなく、工業的に満足しうる被削性を有する無鉛快削性Cu合金を提供することができる、と記載されている。
特許文献3には、コンタクトを形成する母材として、りん青銅、真鍮、洋白又はCu−Be系合金等を用い、該母材表面のばね弾性伸縮に伴って追随可能となる如く銀メッキ層を形成することが開示されている。そして、これによれば、極めて過酷な高ばね伸縮率を伴う弾性変形にも耐え得る高耐久性コンタクトを提供することができる、と記載されている。
JIS H 3270 C5441B 特開平07-310133号公報 特開2000-119775号公報 特開2002-298966号公報
しかしながら、これまで開発されているPbを含有しないCu合金は、中心コンタクトの接続筒状部やアンカーコネクタの接続突起部の材料としては、Pbを含まないため環境負荷が低いが、弾性及び耐応力緩和特性は非特許文献1に示すような従来の規格Cu合金よりも劣る場合がある。そのような場合は、中心コンタクト及びアンカーコネクタの接続状態が不安定になるという問題がある。従って、Pbを含まず、且つ、弾性及び耐応力緩和特性の良好な中心コンタクト及びアンカーコネクタの開発が望まれているのが実情である。
本発明の目的はかかる点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、環境負荷が小さく、弾性及び耐応力緩和特性が良好であって安定した接続構造を構成する中心コンタクト、アンカーコネクタ、及びそれらのコネクタ構造を提供することである。
請求項1に係る発明は、
SiとZnとを含有する一方Pbを含有しないCu合金で筒状に構成され、軸方向に延びるスリットが形成され該スリットにより軸直方向への弾性が付与された接続筒状部を備えた中心コンタクトであって、
上記接続筒状部を構成するCu合金は、Cuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有し、残部がZnと不可避不純物にて構成されることを特徴とするものである。
上記の構成によれば、接続筒状部を構成する材料がPbを含まないCu合金であるので、環境負荷が小さい。また、接続筒状部を構成するCu合金がCuを69〜79質量%含有すると共にSiを1.7〜4.2質量%含有するので、良好な弾性及び耐応力緩和特性を示し、しかも被削性も高い。
ここで、Cu合金とは、銅に1種類又はそれ以上の他の元素を添加してつくられた金属材料をいい、他元素の原子が固溶体あるいは金属間化合物を形成しているものをいう。
求項に係る発明は、
SiとZnとを含有する一方Pbを含有しないCu合金で突起状に構成され、軸方向に延びるスリットが形成され該スリットにより軸直方向への弾性が付与された接続突起部を備えたアンカーコネクタであって、
上記接続突起部を構成するCu合金は、Cuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有し、残部がZnと不可避不純物にて構成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、接続突起部を構成する材料がPbを含まないCu合金であるので、環境負荷が小さい。また、接続突起部を構成するCu合金がCuを69〜79質量%含有すると共にSiを1.7〜4.2質量%含有するので、良好な弾性及び耐応力緩和特性を有し、しかも、被削性も高い。
求項に係る発明は、
接続筒状部を備えた中心コンタクトと、接続突起部を備えたアンカーコネクタと、を有し、該中心コンタクトの接続筒状部に該アンカーコネクタの接続突起部が内嵌めされたコネクタ構造であって、
上記中心コンタクトの接続筒状部及び上記アンカーコネクタの接続突起部のうち少なくともいずれか一方は、軸方向に延びるスリットが形成され該スリットにより軸直方向への弾性が付与されていると共に、SiとZnとを含有する一方Pbを含有しないCu合金で形成され、且つ、該Cu合金がCuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有し、残部がZnと不可避不純物にて構成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、中心コンタクトの接続筒状部及びアンカーコネクタの接続突起部のうち少なくともいずれか一方が、SiとZnとを含有する一方Pbを含有しないCu合金で形成され、且つ、そのCu合金がCuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有するので、弾性及び耐応力緩和特性が良好で、接続状態の安定した中心コンタクト及びアンカーコネクタのコネクタ構造が得られる。
以上説明したように、本発明の中心コンタクト及びアンカーコネクタによれば、環境負荷が小さく、弾性及び耐応力緩和特性が良好であることから接続状態の安定したコネクタ構造を構成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2を示す。図2は、それらのコネクタ構造3を示す。図3は、一対の高周波同軸ケーブル4の接続構造を示す。
この中心コンタクト及びアンカーコネクタは、高周波同軸コネクタ用のものである。
(中心コンタクトの構成)
この中心コンタクト1は、Cu合金により形成されており、有底筒状の接続筒状部5、円柱状の中心軸14、円盤状のツバ部7及び有底円筒状の内部導体取付部6が同軸一体に設けられた構成となっている。中心軸14は、接続筒状部5よりも小径に形成されており、接続筒状部5の底面側に結合している。ツバ部7は、中心軸14よりも大経に形成されている。内部導体取付部6は、ツバ部7よりも小径であって接続筒状部5とほぼ同径に形成されており、底面側がツバ部7に結合している。つまり、中心コンタクト1は、両側が開口した構成となっている。
次に、中心コンタクト1を構成するCu合金について説明する。
中心コンタクト1を構成するCu合金は、Cuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有する。また、Cu合金は、Znも含有する。Zn含有量は、特に限定されないが、Cu、Si及び不可避不純物以外のすべてであることが好ましい。Zn含有量が多いほどCu合金が良好な熱間加工性及び耐腐蝕性を示すからである。ここで、不可避不純物とは、Cu合金の製造上不可避的に混入する不純物のことであり、例えば、Al、N、P等である。
Znを含有するCu合金では、α相以外のβ相から脱亜鉛腐食が発生する。また、Cu合金は、Cu含有量が多く且つZn含有量が少ない場合よりもCu含有量が少なく且つZn含有量が多い場合の方がβ相の割合が多くなる。従って、Cuの含有量が少ないとβ相が多くなり、Cu合金の耐腐食性が低くなる。そのため、Cuの含有量は69質量%以上である必要がある。
一方、Cuの含有量が多いとα相が多くなって良好な耐腐蝕性を示すものの高温域でβ相が十分に析出せず、Cu合金の引張り強さや硬さが低く、弾性及び耐応力緩和特性も低くなる。そのため、Cuの含有量は79質量%以下である必要がある。
Siは、Cu合金中で優れた固溶強化能を発現し、優れた弾性及び耐応力緩和特性を得るのに有効な元素である。また、Siは、Cu合金中に硬くて脆いγ相を形成するため、材料の被削性を向上させる。Siの含有量が1.7質量%以上であることを要するのは、それ未満であると、そのCu合金を材料とした中心コンタクトの弾性及び耐応力緩和特性が低くなるからである。Siの含有量を4.2質量%以下としているのは、それを超えてもさらなる弾性及び耐応力緩和特性の向上がないからである。
(アンカーコネクタの構成)
このアンカーコネクタ2は、コンタクト8と、絶縁板9とで構成されている。
コンタクト8は、Cu合金により細長円筒状に形成されている。また、コンタクト8は、両先端のそれぞれから同じ長さだけ軸方向へ離れた位置に、周方向に連続するように形成された段差部10を備えている。さらに、コンタクト8は、その両先端部のそれぞれが段差部10から先端に向かうにつれて縮径するように形成された接続突起部13を備えている。また、コンタクト8は、その外周を周方向に4等分するように間隔をおいて4つのスリット11が形成されている。これらの4つのスリット11のそれぞれは、コンタクト8の接続突起部13両先端のそれぞれから段差部10の絶縁板9付近まで軸方向に延びるように形成されている。なお、スリット11の数は4つでなくてもよい。
コンタクト8を構成するCu合金は、中心コンタクト1を構成するCu合金と同様、Cuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有し、また、Znも含有する。
絶縁板9は、高分子絶縁材料等により所定の厚みをもった円盤状に形成されている。また、絶縁板9は、その円盤中央部に、コンタクト8中央部断面と略同形状の貫通孔12が形成されており、その貫通孔12にコンタクト8が着脱不能に嵌め込まれている。
(中心コンタクト及びアンカーコネクタの製造方法)
次に、中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2の製造方法について説明する。
まず、無酸素Cuを原料として、所定の化学成分を有するCu合金を溶鉱炉で溶製する。
次いで、溶製したCu合金を丸棒形状等に熱間鍛造する。
そして、熱間鍛造後、Cu合金を連続熱処理炉等により不活性ガス雰囲気下又は真空雰囲気下において、加熱温度400〜600℃で且つ加熱時間0.5〜500時間の加熱処理(加熱状態を保持)を施す。
続いて、470℃まで3℃/分以下の冷却速度で除冷し、470℃以降は空冷により常温まで冷却させてCu合金を得る。なお、加熱処理は、Cu合金の鍛造後、一度空冷により常温まで冷却させてから行ってもよいし、Cu合金の鍛造直後に行ってもよい。また、Cu合金の強度や導電性を向上させるため、加熱処理後に、冷却圧延及び時効処理を行ってもよい。
そして、以上のようにして準備したCu合金を、旋盤等の切削工具を用いて切削加工することにより、中心コンタクト及びアンカーコネクタを製造する。
ここで、上記加熱処理において、不活性ガス雰囲気下又は真空雰囲気下で加熱処理を行うのは、Cu合金が空気中の酸素と反応して酸化物を形成し、Cu合金の被削性、弾性、及び、耐応力緩和特性が低くなることを防ぐためである。
また、加熱温度が低いと不可避不純物を十分に固溶させることができない。すると、加熱処理で析出する不可避不純物の粗大化が生じる。このようなCu合金を材料とする中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2は、弾性及び耐応力緩和特性が低くなる。一方、加熱温度が高いと不可避不純物の固溶は進むが結晶粒の粗大化が起こる。このようなCu合金を材料とする中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2についても、弾性及び耐応力緩和特性が低くなる。
そのため、加熱温度400〜600℃及び加熱時間0.5〜500時間とすることにより、不可避不純物を十分固溶させながら、粗大結晶粒の発生を抑えている。これにより、このCu合金を材料とする中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2は、弾性及び耐応力緩和特性が良好となる。
(中心コンタクト及びアンカーコネクタのコネクタ構造の構成)
中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2によるコネクタ構造3は、図2に示すように、中心コンタクト1の接続筒状部5にアンカーコネクタ2の接続突起部13を内嵌めすることにより構成される。
このコネクタ構造3では、アンカーコネクタ2のコンタクト8に設けられた段差部10に、中心コンタクト1の接続筒状部5の先端が当たる位置まで嵌め込まれている。また、コネクタ構造3は、挿入される接続突起部13の外径と接続筒状部5の内径が略同一であり、アンカーコネクタ2の接続突起部13のスリット11による軸直方向への弾性力によって強固な結合構造に形成されている。すなわち、中心コンタクト1の接続筒状部5の内部に、スリットを形成させたアンカーコネクタ2の接続突起部13を挿入すると、接続突起部13はスリット幅の縮閉によってほぼ縮径方向に弾性変形するため、その弾性力によって、外部を覆う中心コンタクト1の接続筒状部5を押圧する。これにより中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2の接続状態が強固に維持されている。
以上のようなコネクタ構造3によれば、アンカーコネクタ2の接続突起部13を構成するCu合金がSiとZnとを含有する一方Pbを含有せず、且つ、Cuを69〜79質量%及びSiを1,7〜4.2質量%それぞれ含有するので、弾性及び対応力緩和特性が良好で、安定した接続状態を得ることができる。
なお、このコネクタ構造3は、一対の高周波同軸ケーブル4の接続に用いられるとき、図3のように構成される。すなわち、中心コンタクト1の内部導体取付部6は、接続しようとする一対の高周波同軸ケーブル4の内部導体20のそれぞれの先端に取り付けられる。それらの中心コンタクト1は、その接続筒状部5に、アンカーコネクタ2の両端に形成されている2つの接続突起部13がそれぞれ内嵌めされ、これにより、一対の高周波同軸ケーブルの内部導体20が中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2を介して導通する。ここで、このコネクタ構造3では、その接続状態が安定しているため、それらにより接続された一対の高周波同軸ケーブル4の接続状態も安定する。また、一対の高周波同軸ケーブルの外部導体21は、アンカーコネクタ2の絶縁板9がそれらの障壁となることにより不導通となる。
また、本実施形態では、アンカーコネクタ2の接続突起部13にスリットを形成させたが、図4に示すように、中心コンタクト1の接続筒状部5にスリット15を形成させてもよい。スリット15は、接続筒状部5の外周を周方向に4等分するように間隔をおいて4つ形成されている。さらに、スリット15は、接続筒状部5の開口端から軸方向に延びるように形成されている。なお、スリット15の数は4つでなくてもよい。また、この場合、図5に示すように、スリット15を形成させた中心コンタクト1の接続筒状部5の内部に、アンカーコネクタ2の接続突起部13を挿入すると、接続筒状部5はスリット幅の拡開によってほぼ拡径方向に弾性変形するため、その弾性力によって、内部に内嵌めされたアンカーコネクタ2の接続突起部13を押圧する。これにより中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2の接続状態が強固に維持されている。
以上のようなコネクタ構造16によっても、アンカーコネクタ2の接続突起部13を構成するCu合金がSiとZnとを含有する一方Pbを含有せず、且つ、Cuを69〜79質量%及びSiを1,7〜4.2質量%それぞれ含有するので、弾性及び対応力緩和特性が良好で、安定した接続状態を得ることができる。
また、アンカーコネクタ2の接続突起部13及び中心コンタクト1の接続筒状部5の両方にスリットを形成させてもよい。
(試験評価)
中心コンタクト及びアンカーコネクタが、実際に高周波同軸ケーブル等の接続に使用されて高熱を加えられた場合に、それらを構成するCu合金が変質することにより、Cu合金の応力緩和が生じることがある。そうすると、中心コンタクト及びアンカーコネクタが弾性復元力を減少するため、その接続状態を維持できなくなる。
従って、以下の発明例1〜4及び比較例1,2について、耐応力緩和特性試験を行った。そして、それらの評価をすることにより、中心コンタクト及びアンカーコネクタの応力の変化について、すなわちそれらの接続状態の安定性について検討した。
(試験評価サンプル)
中心コンタクト及びアンカーコネクタの試験評価サンプルを以下に示す通り作製した。それらを構成するCu合金の化学成分については、表1に示す。
Figure 0004813073
−発明例1〜4−
表1に示す化学成分でそれぞれ構成されるCu合金(三宝伸銅工業社製)を旋盤等を用いて切削加工することにより、接続筒状部を有する中心コンタクト及び接続突起部を有するアンカーコネクタを作製した。さらに、その中心コンタクトの接続筒状部にアンカーコネクタの接続突起部を嵌め込んでなるコネクタ構造を作製して発明例1〜4とした。
ここで、表1に示すSiの質量%は、JIS H 1061に規定される「銅及び銅合金中のSi定量方法」により、Cu合金中のSiの含有量を定量して求めたものである。
−比較例1−
Pbを含んだCu合金として従来より用いられる、JIS H 3270 C5441Bに規定の快削りん青銅を、旋盤等で切削加工することにより、接続筒状部を有する中心コンタクト及び接続突起部を有するアンカーコネクタを作製した。さらに、その中心コンタクトの接続筒状部にアンカーコネクタの接続突起部を嵌め込んでなるコネクタ構造を作製して比較例1とした。
−比較例2−
Pbを含まないCu合金として従来より用いられる、日本伸銅協会技術標準(JCBA T024)に規定のBi系鉛レス快削性黄銅(合金番号C6801)を、旋盤等で切削加工することにより、接続筒状部を有する中心コンタクト及び接続突起部を有するアンカーコネクタを作製した。さらに、その中心コンタクトの接続筒状部にアンカーコネクタの接続突起部を嵌め込んでなるコネクタ構造を作製して比較例2とした。
〈試験評価方法〉
−耐応力緩和特性試験−
中心コンタクト及びアンカーコネクタのコネクタ構造について、以下のように引張試験機を用いて試験評価を行い、これにより中心コンタクト及びアンカーコネクタのコネクタ構造の耐応力緩和特性を調べた。
まず、発明例1〜4及び比較例1,2のコネクタ構造を、それぞれ複数体用意した。さらに、これらのコネクタ構造のうち、数体を100℃のオーブンに入れ、それぞれについて25時間、75時間、及び、200時間の加熱処理を施した。その後、これらのコネクタ構造を、室温になるまで放冷した。
次に、エー・アンド・デイ社製の引張試験機(RTCー1250A)を用いて、これらのコネクタ構造のうち、アンカーコネクタを固定し、さらに中心コンタクトを引張った。そして、それぞれのコネクタ構造について、中心コネクタがアンカーコネクタから完全に引き抜かれるまでの引張荷重(N)を計測した。
この引張試験機は、試験開始(引張り開始)から、中心コンタクトがアンカーコネクタから完全に引き抜かれるまでの間に推移する荷重をすべて計測する。そして、計測結果のうち、最大の荷重(N)を、その引抜力とした。
さらに、この引抜力から、以下の式により、引抜力減少率を求めた。
引抜力減少率(%)=100−加熱処理後の引抜力÷加熱処理前の引抜力×100
(例えば、コネクタ構造の引張荷重が、加熱処理前は100Nで、加熱処理後は80Nであったとすると、このときの引抜力減少率は、100−80÷100×100=20(%)となる。)
〈試験評価結果〉
試験評価結果について、数値を表2に、また、グラフを図6に示す。
Figure 0004813073
表2及び図6によれば、25時間、75時間、及び、200時間の加熱処理後の引抜力減少率が、いずれの発明例についても、比較例1及び2に比べて低いことがわかる。ここで、引抜力減少率は、コネクタ構造を構成するCu合金が加熱処理により応力緩和を生じたときの、コネクタ構造の接続力が低下した割合を表すものである。従って、引抜力減少率が小さいということは、耐応力緩和特性に優れ、安定な接続状態を有するということである。すなわち、発明例1〜4のコネクタ構造は、従来技術である、Pbを含んだCu合金からなる比較例1及びPbを含まないCu合金からなる比較例2のコネクタ構造よりも、安定な接続状態を有することがわかる。
また、発明例1〜4を比較すると、Cu合金中のSの含有量が減少するに従って引抜力減少率が増大していくのがわかる。さらに、Siが1.7質量%である発明例1のコネクタ構造は、200時間の加熱処理後で引抜力減少率は40%となり、これ以上引抜力減少率が増大すると、接続構造の接続状態の安定性が悪くなる。従って、中心コンタクト及びアンカーコネクタを構成するCu合金中のSiは1.7質量%以上でなければならないことがわかる。
さらに、Siが3.0質量%である発明例3及びSiが4.2質量%である発明例4を比較すると、25〜200時間の加熱処理後の引抜力減少率の差は0〜2%と小さい。これは、Siの含有量をこれ以上増加させても、それに見合う程のさらなる効果が得られないことを示している。従って、中心コンタクト及びアンカーコネクタを構成するCu合金中のSiは4.2質量%以下でなければならないことがわかる。
また、Siが1.7質量%である発明例1のコネクタ構造は、その引抜力減少率が200時間の加熱処理後で40%であるのに対し、Siが2.5質量%である発明例2のコネクタ構造は、その引抜力減少率が25%であり、より良好な値となっている。また、Siが3.0質量%である発明例3のコネクタ構造は、その引抜力減少率が200時間の加熱処理後で11%であるのに対し、Siが4.2質量%である発明例4のコネクタ構造は、その引抜力減少率が9%である。すると、Siを4.2質量%まで増加させればコネクタ構造の引抜力減少率が2%だけ低下するが、この2%の低下という効果よりも経済性を重視すれば、Siが3.0%までのCu合金を使用するほうがより好ましい。従って、Cu合金中のSiは、1.7〜4.2質量%の範囲内でも特に2.5〜3.0質量%であるのが好ましいことがわかる。
以上説明したように、本発明は、Cu合金からなる中心コンタクト、アンカーコネクタ、及びそれらのコネクタ構造に関し、特に高周波同軸ケーブルを接続する際に用いられる同軸コネクタに用いられるものについて有用である。
本発明の実施形態に係る中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2の斜視図である。 本発明の実施形態に係る中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2のコネクタ構造3の斜視図である。 本発明の実施形態に係る中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2によって接続される一対の高周波同軸ケーブル4の概略図である。 接続筒状部5にスリット15のある中心コンタクト1及び接続突起部13にスリットのないアンカーコネクタ2の斜視図である。 接続筒状部5にスリット15のある中心コンタクト1及び接続突起部13にスリットのないアンカーコネクタ2のコネクタ構造16の斜視図である。 中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2のコネクタ構造3の耐応力緩和特性試験の評価結果である。
1 中心コンタクト
2 アンカーコネクタ
3,16 中心コンタクト1及びアンカーコネクタ2のコネクタ構造
4 高周波同軸ケーブル
5 接続筒状部
6 内部導体取付部
7 ツバ部
8 コンタクト
9 絶縁板
10 段差部
11,15 スリット
12 貫通孔
13 接続突起部
14 中心軸
20 内部導体
21 外部導体

Claims (3)

  1. SiとZnとを含有する一方Pbを含有しないCu合金で筒状に構成され、軸方向に延びるスリットが形成され該スリットにより軸直方向への弾性が付与された接続筒状部を備えた中心コンタクトであって、
    上記接続筒状部を構成するCu合金は、Cuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有し、残部がZnと不可避不純物にて構成されることを特徴とする中心コンタクト。
  2. SiとZnとを含有する一方Pbを含有しないCu合金で突起状に構成され、軸方向に延びるスリットが形成され該スリットにより軸直方向への弾性が付与された接続突起部を備えたアンカーコネクタであって、
    上記接続突起部を構成するCu合金は、Cuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有し、残部がZnと不可避不純物にて構成されることを特徴とするアンカーコネクタ。
  3. 接続筒状部を備えた中心コンタクトと、接続突起部を備えたアンカーコネクタと、を有し、該中心コンタクトの接続筒状部に該アンカーコネクタの接続突起部が内嵌めされたコネクタ構造であって、
    上記中心コンタクトの接続筒状部及び上記アンカーコネクタの接続突起部のうち少なくともいずれか一方は、軸方向に延びるスリットが形成され該スリットにより軸直方向への弾性が付与されていると共に、SiとZnとを含有する一方Pbを含有しないCu合金で形成され、且つ、該Cu合金がCuを69〜79質量%及びSiを1.7〜4.2質量%それぞれ含有し、残部がZnと不可避不純物にて構成されることを特徴とするコネクタ構造。
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