JP4812296B2 - プリント配線板およびプリント配線板の製造方法 - Google Patents

プリント配線板およびプリント配線板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体素子が搭載される半導体搭載用のプリント配線板及びプリント配線板の製造方法に関するものである。
一般的にプリント配線板の最外層は、導体回路を保護するために、ソルダーレジスト層を施されている。半田バンプを形成する際には、導体回路との接続のためにソルダーレジスト層の一部を開口し露出させた半田パッド形成する。半田パッドとなる部分にニッケル層、金層を施した上に半田ペーストを印刷して、リフローを行うことで半田バンプを形成している。それらの従来技術として、特開平10−154876号等が提案されている。
特開平10−154876号公報
しかしながら、半田パッドの開口径が小さく(例えば、半田パッドの開口径が200μm以下)なるにつれて、半田パッドと半田バンプとの接触面積が小さくなるために密着性が低下してしまう。そのために、半田バンプの剥がれ等を引き起こしやすくなるのである。
また、従来の半田パッド構造(ニッケル−金)よりも、熱応力を緩衝することが求められている。そもそも熱を起因とする材料の伸縮に伴う熱応力が発生した際には、半田バンプにも熱応力が掛かってしまうのである。半田パッドの開口径が小さくなるにつれて、熱応力は半田バンプに集中しやすくなる。そのため半田バンプ、半田パッド部で熱応力を緩衝されない場合には、半田バンプ(もしくは半田層)の破損や亀裂するなど不具合が発生してしまう。その結果として、プリント配線板としての電気接続性や信頼性を低下してしまうのである。特に、ヒートサイクル条件下や高温高湿下での信頼性試験においては、長期間のプリント配線板としての信頼性を確保することを困難にさせていた。
さらに、半田バンプに鉛レスの半田を用いると、鉛半田よりも靱性が低いと共に、応力を内部で吸収しないため、その不具合の傾向が顕著になる傾向になった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、強度、密着性に優れる半田パッド構造にすることによって密着性、電気接続性、信頼性に優れるプリント配線板及びプリント配線板の製造方法を提案することにある。
発明者が鋭意研究した結果、ソルダーレジスト層の一部が開口された半田パッドが形成され、該半田パッドから露出した導体回路の表層には複合層が施され、複合層上には外部接続用の半田バンプあるいは半田層が形成されるプリント配線板であって、
前記複合層は、Ni層(ニッケル層)、Pd層(パラジウム層)からなることを技術的特徴とする。
また、ソルダーレジスト層の一部が開口された半田パッドが形成され、該半田パッドから露出した導体回路の表層には複合層が施され、複合層上には外部接続用の半田バンプあるいは半田層が形成されるプリント配線板であって、
前記複合層は、Ni層、Pd層からなり、
前記半田バンプあるいは半田層は、鉛が含有されていない半田からなることを技術的特徴とする。
本願発明における複合層とは、導体回路側から順にNi層、Pd層で積層させているのである。つまり、半田パッドからの導体回路上に、Ni層、Pd層からなる複合層を積層して、その上に半田パッドもしくは半田層を形成させているのである。
Pd層(パラジウム層)が半田をハジク現象などを低下させることができるのである。そのために、結果として半田との密着性は、従来からの半田パッド構造と比べると向上させることができるのである。
その理由として、めっきにより形成されたパラジウムは、未析出などの不具合が形成され難いし、パラジウム層の表層は、酸化皮膜の形成の割合がAu層(金層)に比べて、小さい。そのために、半田を実装させても、半田をハジクなどの不都合を発生することが少ない。また、半田パッド内には、所望の大きさの半田バンプもしくは半田層を形成することができるのである。そのために、所望の大きさとなるために、結果として半田バンプもしくは半田層と導体回路との密着性が低下しにくくなっているからである。
また、パラジウム層を用いることにより、熱応力を緩衝させやすくなり、その結果として、半田バンプもしくは半田層への不具合を低減させることができるので、電気接続性や信頼性を向上させることができるのである。
その理由として、パラジウム層は、金と比較して剛性に優れている。そのために、熱応力がPd層内で吸収されて、緩衝されるのである。そのために、熱応力により半田バンプもしくは半田層への応力を伝達させることを低減させる。故に、半田バンプもしくは半田層の損傷などを引き起こしにくくなるのである。そのために、半田バンプもしくは半田層を起因とする電気的な接続に不具合を起こし難いし、信頼性試験を行っても長期間における信頼性が確保されるのである。
この複合層の構成にすることにより、従来の半田パッド構造(ニッケル層−金層)と比べて、電気接続性や信頼性を向上させることができるのである。
さらに、半田バンプもしくは半田層に鉛が含まれない(鉛フリー)半田を用いた場合には、その効果が顕著になる。鉛フリーの半田は、鉛含有半田と比較して、熱応力を緩衝することに対して劣っている。そもそも鉛含有半田(例えば、Sn/Pd=6:4)は、発生した熱応力に対して、半田内での応力が緩衝されるのである。含有された鉛が応力を吸収するからである。しかしながら、鉛フリー半田は、鉛含有半田と比較して、応力を緩衝する力が乏しい。そのために、半田パッドにNi層、Pd層からなる複合層を設けることにより、半田パッド構造全体で応力を緩衝させるのである。そのために、従来の半田パッド構造(Ni層−Au層)を比べて、半田自体の密着性がよいし、熱応力に対する応力を緩衝されやすくなり、形成された半田バンプもしくは半田層の破損や亀裂などの不具合を抑えることができるのである。そのために、従来の半田パッド構造に鉛フリー半田を実装したものよりも、電気接続性や信頼性を確保することができるのである。
また、Ni層、Pd層からなる複合層が半田パッド上の導体回路上に設けられて、該複合層上に、リフローなどを経て、半田バンプもしくは半田層が形成される。その際、半田パッドである導体回路上には、Ni層−(Ni−Sn)合金層−半田層もしくは半田バンプという構造となる。ここで、Ni−Sn合金層が、半田層との密着性を向上させることができるのである。つまり、Ni−Sn合金層が剛性を高めるため、引っ張りに対する耐性が高められるのである。その結果として、ピール強度を向上させることができるのである。
このNi−Sn合金層は、その大きさに関わりなく、引っ張りに対する耐性が高められるのである。つまり、この場合には、半田パッドの大きさに関わりなく、Ni合金層は、ピール強度を向上させることができるのである。
複合層として、Ni層、Pd層、貴金属層を形成させてもよい。例えば、その一例として、ニッケル層(Ni層)−パラジウム層(Pd層)−金層(Au層)、ニッケル層(Ni層)−パラジウム層(Pd層)−、銀層(Ag層)などがある。
これらの複合層を設け、該複合層上に、リフローして半田バンプを設けると、Pd層及び貴金属層の大半は、半田側に拡散してしまう。そのため、ニッケル層と半田バンプとの界面に、Niと半田組成金属からなるNi−Sn合金層が形成されるのである。
ここで、Ni−Sn合金層が、半田層との密着性を向上させることができるのである。つまり、Ni−Sn合金層が剛性を高めるため、引っ張りに対する耐性が高められるのである。その結果として、ピール強度を向上させることができるのである。
このNi−Sn合金層は、その大きさに関わりなく、引っ張りに対する耐性が高められるのである。つまり、この場合には、半田パッドの大きさに関わりなく、Ni−Sn合金層は、ピール強度を向上させることができるのである。
Ni−Sn合金層としては、例えば、Ni−Sn−Cu、Ni−Sn−Bi等が含有されている合金層等である。これらのNi−Sn合金層により、剛性を向上させることができるのである。
Ni−Sn合金層の厚みを調整することで、ニッケル層と半田バンプとの接合強度がより高められ、引っ張り強度を、より向上させることができる。
Ni−Sn合金層の平均厚みは、1.0〜2.5μmであることがより望ましい。この範囲内にすることにより、Ni−Sn合金層の剛性が高められ、その結果、引っ張り強度を向上させることができるからである。また、Ni、Sn以外の金属の組み合わせに関係なく、引っ張り強度を向上させることができるのである。
ここで、平均厚みを1.0μm未満にする。あるいは、平均厚みが2.5μmを越えると、Ni−Sn合金層として剛性は確保されるが、上記のNi−Sn合金層の厚みの範囲内にあるものと比べて、剛性が劣るため、引っ張り強度も劣ってしまうのである。
また、Ni−Sn合金層の平均厚みを1.0〜2.5μmにするためには、複合層である中間層の厚みを調整することにより行えることが実験から分かった。つまり、半田バンプ形成の際、複合層がNi層、Pd層もしくはNi層、Pd層、貴金属層であると、Pd層もしくはPd層、貴金属層が拡散して、Ni−Sn合金層が形成されるのであるが、このときに、Pd層に厚みによりNi−Sn合金層の厚みが調整されるのである。そのために、Pd層の厚みを調整することが、Ni−Sn合金層の厚みを変えて、その結果として、Ni−Sn合金層の剛性が変わり、引っ張り強度も変化させるのである。
Ni−Sn合金層は、この粒子の形状が板状体、柱状体、粒状体から選ばれるいずれかで構成されているのである。これらの単独での構成であってもよいし(例えば、板状体だけが積み重ねられた積層体)、それぞれ複合された構成であってもよい(例えば、板状体と柱状体とが混在する積層体)。これらの中で、主として板状体で構成される合金層であることが望ましい。板状体は、それぞれの板状体間での隙間が形成され難く、積層しやすい。そのために主として板状体で構成された合金層は、剛性が確保されやすい。半田との引っ張り強度に対しても、強度が確保されやすい。板状体だけで構成される合金層であることが特に望ましい。
また、Ni−Sn合金層は、(例えばNi、Sn、Cu)三成分系からなる合金層であることが望ましい。これらの三成分系からなる合金層は、均一に混ざりやすくなり、形状が均一になりやすい。そのため合金層内で剥離などを引き起こしにくく、剛性を確保しやすい。また、この合金層は、粒子の形状が板状体になりやすく、剛性が高められやすい。
また、三成分系からなる合金層は、Sn:Cu:Ni=30〜90:10〜50:1〜30の範囲内であれば、剛性が低下し難いのである。特に、半田バンプもしくは半田層に鉛が含有されない(鉛フリー)半田を用いた場合には、熱応力により発生した応力が緩衝されやすいのである。そのために、鉛フリー半田内での損傷や亀裂を引き起こしにくくなり、電気接続性や信頼性が向上されるのである。特に、Snが40〜70wt%であるNi−Cu−Sn合金層において、もっとも剛性を高めらやすいのである。
Pd層の厚みを0.01〜1.0μmにすれば、Ni−Sn合金層の平均厚みを1.0〜2.5μmにしやすいのである。
ここで、Pd層は、Ni拡散を抑制しNi−Sn合金層の形成を阻害する働きを持つ。
このため、Pd層の厚みが0.01μm未満では、Ni拡散を十分に抑制し得ず、Ni−Sn合金層の厚みを厚くしやすいのである。この場合、Ni合金層の平均厚みが2.5μmを越えてしまいやすく、そのために、Ni−Sn合金層の剛性が向上されにくくなるのである。
反対に、Pd層厚みが1.0μmを越えると、Ni拡散を抑制されるので、Ni−Sn合金層の形成が阻害されるため、Ni合金層の厚みを薄くしやすいのである。この場合、Ni−Sn合金層の平均厚みが0.01μm未満になりやすく、そのために、Ni−Sn合金層の剛性が向上されにくくなるのである。
特に、Pd層の厚みは、0.03〜0.2μmであることがより望ましい。この範囲内にすることにより、局所的な厚みのばらつきになったとしても、Pd層の厚みが、0.01〜1.0μmの範囲内となるからである。そのために、形成されたNi−Sn合金層が上述の所望の範囲内にしやすく、そのために、Ni−Sn合金層としての剛性を高めるのである。
Pd層内のリン(P)の含有量により、Ni合金層の厚みを制御することもできるし、Pd層の剛性を高めることができるのである。
Pd層内のPの含有量がPの含有量を2〜7wt%にすることが望ましい。これにより、形成されたPd層は、ポーラスとなりにくいし、皮膜が均一になりやすいし、表層の酸化皮膜を形成されにくくなる。さらに、形成されたPd層は剛性が確保されやすくなる。さらに形成されたNi−Sn合金層が形成されやすくなるので、Ni−Sn合金層の剛性を確保しやすいからである。
ここで、Pd層のPの含有量が2%未満あるいは、Pd層のPの含有量が7%を越えると、Pd層を均一にNi層に被覆できず、Pd層にポーラスが残る。Pd層の表層には酸化皮膜が形成されやすくなり、半田を形成したとしても密着性が低下しやすくなる。また、Pd層自体の剛性を低下してしまうことがあり、熱応力を緩衝しにくくなる。そのために、半田バンプもしくは半田層へ応力が集中してしまうことがあり、半田への破損や亀裂などの不具合を引き起こしやすくなる。また、信頼性試験を行うと長期間の信頼性を確保することが困難となることがある。
また、半田をリフローさせた後に形成されるNi−Sn合金層が厚くなりやすくなり、その結果として形成されたNi―Sn合金層は、その機能を果たすことができるが、剛性を向上させにくくなるのである。その端的な例として、Ni−Sn合金層の平均厚みが2.5μmを越えてしまうことがある。
更に、Pd層のPの含有量が4〜6wt%にすることが特に望ましい。P含有量を範囲内にすることにより、局所的なバラつきが発生したとしても、Pの含有量を2〜7wt%から大きく逸脱することがない。形成されたPd層の表層には、酸化皮膜が形成されにくくなり、半田を形成するときもハジクなどの不都合が起こり難くなり、密着性が確保されるのである。さらに、Pd層自体の剛性も確保されることとなり、熱応力に対する応力緩衝させやすくなるからである。そのために、Pd層上に形成された半田への破損や亀裂などの不具合が引き起こされにくくなり、電気接続性や信頼性を低下させることがない。ヒートサイクル条件下や高温高湿条件下などの熱に関する信頼性試験を行っても、機能の劣化がゆっくりと発生し、長期間に渡り、信頼性を確保しやすくなるのである。
また、半田のリフローを経て形成されたNi―Sn合金層の厚みが所望の範囲に収まる。その結果として、Ni−Sn合金層の剛性をより向上させやすくなるのである。
ここで、Pd層に適量のPを含有するとポーラスの無いPd膜が形成できる理由について、図15を参照して説明する。
図15(A)は、適量のPを含有する場合を示している。ここでは、Pd膜の形成には、無電解めっき処理により行われ、そのめっき液には還元剤として次亜リン酸系の薬液を用いる。その一例として、次亜リン酸ナトリウム(NaHPO)を用いる。まず、次亜リン酸イオン(HPO )63がニッケル層上に吸着される(図15(A)中(1))。次に、Niが触媒となり、次亜リン酸イオンに脱水素分解(HPO−+2H→Pd+2H)を起こさせる。この脱水素分解により発生した水素原子65は、Ni表面に吸着され活性化される(図15(A)中(2))。めっき浴中のPdイオン(Pd2+)がNi表面の水素から電子をもらいPd金属に還元(Pd2++2H→Pd+2H)される(図15(A)中(3))。析出したPd金属が触媒になって、Ni表面に同じメカニズムでPdが析出していく(図15(A)中(4))。ここで、Pd−PのPは還元剤である次亜リン酸が共析出したものである。次亜リン酸がNiを触媒活性する働きがあるためNi表層上で選択性なくめっき、即ち、緻密なPd層を形成することができる。さらに、このとき、次亜リン酸の濃度を調整することにより、Pd層である皮膜内に、Pの含有量を調整することができるのである。
図15(B)は、Pを含有しない純Pdの場合を示している。ここでは、Pd膜の形成には、無電解めっき処理により行われ、そのめっき液には還元剤としてPを含まないギ酸(HCOOH)を用いる。まず、Ni表面にはNiめっき反応中に発生する水素原子65が吸着される(図15(B)中(1))。次に、めっき浴中のPdイオンがNi表面の水素と触れるとPdイオンが金属に還元される(図15(B)中(2))。Pd析出反応の影響でギ酸がHとCOとの分解される(図15(B)中(3))。Pdイオンはギ酸の分解で発生した水素から電子を貰い金属に還元される(図15(B)中(4))。このときに形成されたPd層は、還元剤としてギ酸を使用している。しかしながら、初期析出時にはギ酸は還元剤として働けないためNi表層の水素が還元剤となる。しかし、Ni表層には多くの水素が存在する訳ではないので、選択性のあるめっき皮膜となる、即ち、ポーラスな形状となるPdめっき層を形成することになる。
なお、前述の各金属の定量は、エネルギー分散法(EDS)にて行った。その方法では、SEM(走査電子顕微鏡)、また、TEM(透過電子顕微鏡)の励起源である電子線を資料の表面に照射することで、種々の信号を発生させる。その中で、主に特性X線をSi(Li)半導体検出器で検出し、そのエネルギーに比例した数の電子・正孔対を半導体中に作り、電気信号を発生させ、増幅、アナログ、デジタル変換後、マルチチャンネルアナライザを用いて識別することにより、X線スペクトルを得て、そのピークエネルギーから元素の同定をそのピークの量から定量分析する。その測定、定量には、エネルギー分散形X線分析装置(日本電子(株)製形式JED−2140)を用いた。形成した金属層を直接照射させて行い、金属の定量測定を行った。
複合層のPd上には、耐食層を設けることもできる。耐食層を設けることで、中間層に上述したNi層上にNi−Sn合金層の形成を助長する働きを行わせるからである。
ここで、耐食層は、Au、Ag、Pt等の貴金属、又は、Snの中から少なくとも1種類以上で形成されるのがよい。これらの金属を用いるとNi合金層の形成が助長されるからである。
また、同一金属で置換めっき、無電解めっきあるいは置換めっき、無電解めっきによって2段階を経て耐食層を形成してもよい。それにより、下層のNi層の影響を受けることのない金属膜を形成できて、耐食性が向上され、半田バンプの形状、機能の低下などの影響を抑えることができるのである。
耐食層は、特にAuで形成されたものでは、比率によって形成される半田パッドが異なり、それによっても半田パッドの耐食性、密着性や半田バンプの形状、機能を向上させることも分かった。
Pd層の厚みは0.01〜1.0μmの範囲で形成するのがよい。特に0.03〜0.7μmの範囲で形成するのがよい。Pd層の厚みが0.01μm未満では、Ni−Sn合金層を形成することが助長されない。そのために、局所的にでもNi−Sn合金層を形成されないところがあり、そのために、Ni−Sn合金層の剛性が向上させにくくなり、その結果として、Ni−Sn合金層のピール強度も向上にくくなるからである。逆に、Pd層の厚みが1μmを越えると、その厚みにより、Ni−Sn合金層の形成の助長が阻害されてしまうことがある。そのために、局所的にでもNi−Sn合金層を形成されないところがあり、そのために、Ni−Sn合金層の剛性が向上させにくくなり、その結果として、Ni−Sn合金層のピール強度も向上にくくなるからである。
本願発明における複合層を構成するNi層は、Ni−Cu、Ni−P、Ni−Cu−P等が含有した合金金属で形成するのがよい。
特に、Ni−P、Ni−Cu−Pの合金金属で形成するのがよい。つまり、いかえると、Ni層にはP(リン)が含有されていることが望ましい。その理由としては、導体回路表面に凹凸が形成されていても、その凹凸を相殺し、表層を平坦にした皮膜を形成することができる。また、めっきで形成された場合には、形成されたNi層では、未析出、反応停止などによる金属層の未形成、形成異常を起こし難いからである。また、Ni層上に形成されるPd層の形成を助長させることができ、Pd層の未形成や形成異常を起こしにくくなる。そのために、形成したPd層は所望のものとなり、複合層としても剛性を確保させることができるのである。
Ni層の厚みは、2〜10μmの範囲で形成されることが望ましい。Ni層の厚みが2μm未満、もしくは、Ni層の厚みが10μmを越えると、Ni層上に形成されるPd層の未形成や形成異常等の不具合を引き起こすことがある。
Ni層中のP(リン)の含有量が0.5〜5.0wt%にすることが特に望ましい。Pの含有量が0.5wt%未満もしくは5.0wt%を越えると、Ni層の形成を阻害しやすくなる。また、Ni層上のPd層の形成を助長されにくくなることがあり、結果として形成されたPd層の未形成や形成異常等の不具合を引き起こしたりするし、Pd層の剛性を確保されないことがある。そのために、電気接続性や信頼性を確保されないということがある。
また、Ni層中のP(リン)の含有量は、Pd層中のP(リン)の含有量よりも低くすることがより望ましい。それにより、Pd層がNi層を被覆させていることとなり、Pd層とNi層との界面での剥離を引き起こしにくくなる。その結果として、該半田パッドの界面での不具合を起因とする電気接続性や信頼性を低下することがない。
本願発明に用いられる半田としては、二成分系半田、三成分系半田、あるいは四成分以上多成分系半田を用いることができる。これらの組成に含有される金属としては、Sn、Ag、Cu、Pb、Sb、Bi、Zn、In等を用いることができるのである。
二成分系半田としては、Sn/Pb、Sn/Sb、Sn/Ag、Sn/Cu、Sn/Znなどである。また、三成分系半田としては、Sn/Ag/Cu、Sn/Ag/Sb、Sn/Cu/Pb、Sn/Sb/Cu、Sn/Ag/In、Sn/Sb/In、Sn/Ag/Bi、Sn/Sb/Bi等を用いることができるのである。これら三成分系半田としては、三成分が10wt%以上となるものでもよいし、主となる2つ成分で95wt%以上を占めて、残が1成分からなる半田であってもよい。(例えば、Sn、Agの合計が97.5wt%、残がCuとなる三成分系半田)
鉛含有されてない(鉛フリー)半田としては、Sn/Ag系半田、Sn/Bi系半田、Sn/Zn系半田、Sn/Cu系半田等がある。これらの半田は、Sn/Pbに比べると、熱応力に対しての半田内での応力緩衝することが劣っている。そのために、半田内に応力が残留しやすいのである。
また、これ以外にも四成分以上からなる多成分系半田を用いてもよい。多成分系半田としては、例えば、Sn/Ag/Cu/Sb、Sn/Ag/Cu/Bi等がある。α線量を調整した半田を用いてもよい。
半田の成分とNi層の界面でNi−Sn合金層を形成し得るものであれば用いることができる。このNi−Sn合金層により、剛性が高められ、その結果として、半田のピール強度を向上させることができるのである。
その中でもNi−Sn−CuからなるNi−Sn合金層であることが望ましい。この合金にすることで剛性が高められるのである。また、該合金層にはNi、Sn、Cuの三種類以外にもAg、Sb、Bi、Znなどが含有されていてもよい。これらが含有されていたとしてもNi−Sn−Cu合金層自体の剛性を劣化させるものではない。ただし、Sn、Ni、Cuのいずれかの金属よりも含有量が増えると剛性が劣化することがある。
また、これらの半田の融点としては、150〜350℃の間であることが望ましい。半田の融点が150℃未満であっても、逆に、半田の融点が350℃以上であっても、Ni−Sn合金層の形成し難い場合がある。つまり、温度が低くてもNi−Sn合金が形成され難いし、温度が高いとNiが分離してしまうので、Ni−Sn合金となりにくくなるからである。それ故に、上記の温度のものであれば、Ni−Sn合金が形成されやすいのである。
本発明のプリント配線板においては、導体回路を施したプリント配線板の表層の導体回路に粗化層を形成することもできる。その平均粗度(Ra)は、0.02〜7μmが望ましい。その粗化層によって導体回路とソルダーレジスト層との密着性を向上させている。特に、望ましい範囲の平均粗度は、1〜5μmである。その範囲であれば、ソルダーレジスト層の組成、厚み等に関係なく所望の密着性が得られる。
粗化層の形成方法としては、Cu−Ni−Pからなる合金層などの無電解めっき形成する方法、第二銅錯体と有機酸塩によってエッチングによって形成する方法や酸化還元によって形成する方法がある。場合によっては粗化層をSn、Znなどによって被覆してもよい。
最外層の導体回路は、ソルダーレジスト層で被覆保護されている。
ソルダーレジスト層としては、種々の樹脂を使用でき、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の一部に(メタ)アクリル化した樹脂、これらの2種類以上用いた樹脂複合体であってもよい。樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、オレフィン樹脂などである。
ソルダーレジスト層の形成には、予め粘度を調整してワニス上にしたものを塗布する。あるいは半硬化状態(Bステージ)にしたフィルム状にしたものを貼り付ける。もしくは、塗布した後に、フィルムを貼り付ける方法などによって行われてもよい。また、異なる2種類以上の樹脂により、複数層で形成してもよい。
また、ソルダーレジスト層には、その一部を開口して半田パッドを設ける。このとき、開口方法には、開口パッドが描画されたマスクをソルダーレジスト層上に載置して、露光・現像を経て形成される方法(フォトレジスト法)、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザなどのレーザにより開口する方法のいずれかを用いることができる。また、直接描画法により半田パッドの開口を形成する方法でもよい。
露光・現像を経て形成するソルダーレジストでは、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアクリレート、ノボラック型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートをアミン系硬化剤やイミダゾール硬化剤などで硬化させた樹脂を使用できる。
特に、ソルダーレジスト層に開口を設けて半田バンプを形成する場合には、「ノボラック型エポキシ樹脂もしくはノボラック型エポキシ樹脂のアクリレート」からなり、「イミダゾール硬化剤」を硬化剤として含むものが好ましい。
次いで、当該導体回路上にソルダ−レジスト層を形成する。本願発明におけるソルダーレジスト層の厚さは、5〜40μmがよい。薄すぎるとソルダーダムとして機能せず、厚すぎると開口しにくくなる上、半田体と接触し半田体に生じるクラックの原因となるからである。
このような構成のソルダーレジスト層は、鉛のマイグレーション(鉛イオンがソルダーレジスト層内を拡散する現象)が少ないという利点を持つ。しかも、このソルダーレジスト層は、ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートをイミダゾール硬化剤で硬化した樹脂層であり、耐熱性、耐アルカリ性に優れ、半田が溶融する温度(200 ℃前後)でも劣化しないし、ニッケルめっき、パラジウムめっき、金めっきのような強塩基性のめっき液で分解することもない。
しかしながら、このようなソルダーレジスト層は、剛直骨格を持つ樹脂で構成されるので剥離が生じやすい。粗化層は、このような剥離を防止するために有効である。
上記ノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとしては、フェノールノボラックやクレゾールノボラックのグリシジルエーテルを、アクリル酸やメタクリル酸などと反応させたエポキシ樹脂などを用いることができる。
上記イミダゾール硬化剤は、25℃で液状であることが望ましい。液状であれば均一混合できるからである。
このような液状イミダゾール硬化剤としては、1-ベンジル−2-メチルイミダゾール(品名:1B2MZ )、1-シアノエチル−2-エチル−4-メチルイミダゾール(品名:2E4MZ-CN)、4-メチル−2-エチルイミダゾール(品名:2E4MZ )を用いることができる。
このイミダゾール硬化剤の添加量は、上記ソルダーレジスト組成物の総固形分に対して1〜10重量%とすることが望ましい。この理由は、添加量がこの範囲内にあれば均一に混合しやすいからである。
上記ソルダーレジストの硬化前組成物は、溶媒としてグリコールエーテル系の溶剤を使用することが望ましい。
このような組成物を用いたソルダーレジスト層は、遊離酸素が発生せず、銅パッド表面を酸化させない。また、人体に対する有害性も少ない。
このようなグリコールエーテル系溶媒としては、下記構造式のもの、特に望ましくは、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(DMTG)から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いる。これらの溶剤は、30〜50℃程度の加温により反応開始剤であるベンゾフェノンやミヒラーケトンを完全に溶解させることができるからである。
CHO-(CHCHO) n −CH (n=1〜5)
このグリコールエーテル系の溶媒は、ソルダーレジスト組成物の全重量に対して10〜40wt%がよい。
以上説明したようなソルダーレジスト組成物には、その他に、各種消泡剤やレベリング剤、耐熱性や耐塩基性の改善と可撓性付与のために熱硬化性樹脂、解像度改善のために感光性モノマーなどを添加することができる。
例えば、レベリング剤としてはアクリル酸エステルの重合体からなるものがよい。また、開始剤としては、チバガイギー製のイルガキュアI907、光増感剤としては日本化薬製のDETX−Sがよい。
さらに、ソルダーレジスト組成物には、色素や顔料を添加してもよい。配線パターンを隠蔽できるからである。この色素としてはフタロシアニングリーンを用いることが望ましい。
添加成分としての上記熱硬化性樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることができる。このビスフェノール型エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂があり、耐塩基性を重視する場合には前者が、低粘度化が要求される場合(塗布性を重視する場合)には後者がよい。
添加成分としての上記感光性モノマーとしては、多価アクリル系モノマーを用いることができる。多価アクリル系モノマーは、解像度を向上させることができるからである。例えば、日本化薬製のDPE−6A又は、共栄社化学製のR−604のような多価アクリル系モノマーが望ましい。
また、これらのソルダーレジスト組成物は、25℃で0.5〜10Pa・s、より望ましくは1〜10Pa・sがよい。ロールコータで塗布しやすい粘度だからである。ソルダ−レジスト形成後、開口部を形成する。その開口は、露光、現像処理により形成する。
ソルダ−レジスト層形成後、ソルダーレジスト層の開口部にNi層−Pd層からなる複合層を形成させる。
その一例として、半田パッドから露出した導体回路上に無電解めっきにてNiを含有した金属層を形成させる。めっき液の組成の例として硫酸ニッケル4.5g/l、次亜リン酸ナトリウム25g/l、クエン酸ナトリウム40g/l、ホウ酸12g/l、チオ尿素0.1g/l(PH=11)がある。脱脂液により、ソルダ−レジスト層開口部、表面を洗浄し、パラジウムなどの触媒を開口部に露出した導体部分に付与し、活性化させた後、めっき液に浸漬し、ニッケルめっき層を形成させた。
ニッケル層形成後、Pd層をNi層上に形成させる。
必要に応じて、Pd層上にAu、Ag、Pt、Snの中から選ばれる金属で耐食層を形成させる。特に金で形成させるのがよい。場合によっては同一金属で置換めっき、無電解めっきを経て2層で形成してもよい。厚みは、0.01〜2μmであるのが望ましい。
開口部に耐食層を施し半田パッドとした後、開口部内に二成分系半田、三成分系半田もしくは多成分系半田である半田ペーストを印刷により充填する。その後、温度250〜350℃にした窒素リフローを通し、半田バンプを開口部内の半田パッドに固定させる。鉛を含有しない(鉛フリー)半田を用いてもよい。
[実施例1]
A.層間樹脂絶縁層の樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
B.樹脂充填材の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で44〜49Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
C.多層プリント配線板の製造
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板30の両面に18μmの銅箔32がラミネートされている銅張積層板30Aを出発材料とした(図2(A))。まず、この銅張積層板30Aをドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板の両面に下層導体回路34とスルーホール36を形成した(図2(B))。
(2)スルーホールおよび下層導体回路を形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、そのスルーホール36を含む下層導体回路34の全表面に粗化面36α、34αを形成した(図2(C))。
(3)上記Bに記載した樹脂充填材を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール36内、および、基板の片面の下層導体回路非形成部と下層導体回路の外縁部とに樹脂充填材40の層を形成した。即ち、スルーホール36および下層導体回路34の非形成部に相当する部分が開口した版を有する樹脂充填用マスクを基板上に載置し、スキージを用いてスルーホール内、凹部となっている下層導体回路非形成部、および、下層導体回路の外縁部に樹脂充填材40を充填し、100℃/20分の条件で乾燥させた(図2(D))。
(4)上記(3)の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、下層導体回路34の外縁部やスルーホール36のランドの外縁部に樹脂充填材40が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くため、下層導体回路の全表面(スルーホールのランド表面を含む)にバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。次いで、100℃で1時間、150℃で1時間の加熱処理を行って樹脂充填材40を硬化した(図3(A))。
このようにして、スルーホール36や下層導体回路非形成部に形成された樹脂充填材40の表層部および下層導体回路34の表面を平坦化し、樹脂充填材と下層導体回路の側面とが粗化面を介して強固に密着し、またスルーホール36の内壁面と樹脂充填材40とが粗化面を介して強固に密着した基板を得た。即ち、この工程により、樹脂充填材の表面と下層導体回路の表面とが略同一平面となる。
(5)上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路34の表面とスルーホール36のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、下層導体回路34の全表面に粗化面36βを形成した(図3(B))。エッチング液としては、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
(6)基板の両面に、Aで作製した基板より少し大きめの層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に載置し、圧力0.4MPa、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネーター装置を用いて貼り付けることにより層間樹脂絶縁層50を形成した(図3(C))。すなわち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度67Pa、圧力0.4MPa、温度80℃、圧着時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
(7)次に、層間樹脂絶縁層上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で層間樹脂絶縁層50に、直径80μmのバイアホール用開口50aを形成した(図3(D))。
(8)バイアホール用開口50aを形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層50の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口50aの内壁を含む層間樹脂絶縁層50の表面を粗面とした(図3(E))。
(9)次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶縁層2の表面およびバイアホール用開口の内壁面に触媒核を付着させた(図示せず)。すなわち、上記基板を塩化パラジウム(PbCl2 )と塩化第一スズ(SnCl2 )とを含む触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析出させることにより触媒を付与した。
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に、触媒を付与した基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜を形成し、バイアホール用開口50aの内壁を含む層間樹脂絶縁層50の表面に無電解銅めっき膜52が形成された基板を得た(図4(A))。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 100 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
34℃の液温度で40分
(11)無電解銅めっき膜52が形成された基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ20μmのめっきレジスト54を設けた(図4(B))。
(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解めっきを施した。
〔電解めっき液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドGL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
めっきレジスト54の非形成部に、厚さ20μmの電解銅めっき膜56を形成した(図4(C))。
(13)さらに、めっきレジスト3を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト54下の無電解銅めっき膜52を硫酸と過酸化水素との混合液でエッチング処理して溶解除去し、独立の上層導体回路58(バイアホール60を含む)とした(図4(D))。
(14)ついで、上記(5)と同様の処理を行い、バイアホール60、上層導体回路58の表面に粗化面60α、58αを形成した(図5(A))。
(15)上記(6)〜(14)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路158、バイアホール160を有する層間絶縁層150を形成し、多層配線板を得た(図5(B))。
(16)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部を加えることにより、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60min-1の場合はローターNo.4、6min-1の場合はローターNo.3によった。
(17)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物70を30μmの厚さで塗布し(図5(C))、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて800mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、150μmの直径の開口部71を形成した(図6(A))。
そして、さらに、100℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジスト層14を形成した。上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
(18)次に、ソルダーレジスト層14を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部71にニッケルめっき層72を形成した(図6(B))。実施例1では、ニッケルめっき層72の厚みを2〜10μmになるように設定し、Pを0.5〜5wt%含有させた。
(19) 次に、その基板を塩化パラジウム1.0×10−2mol/l、エチレンジアミン8.0×10−2mol/l、次亜リン酸ナトリウム6.0×10−2mol/l、チオジグリコール酸30mg/lでPH=8、温度55℃の無電解パラジウムめっき液に5分間浸積して、ニッケルめっき層72上に厚さ0.08μmのパラジウム層73を形成した(図7(A))。実施例1では、パラジウム層73の厚みを0.01〜1.0μmになるように設定し、Pを2〜7wt%含有させた。
(20)そして、ソルダーレジスト層70の開口部71中の半田パッド77U、77Dに、半田ペースト76αを印刷した(図7(B))。図8(A)に、図7(B)中の円Aで囲んだ半田パッド77Uを拡大して示す。半田パッド77Uは、導体回路158上に順次形成されるニッケルめっき層72−パラジウム層73の2層の複合層から成る。
(21) 次に、窒素雰囲気中に250℃でリフローすることにより、半田バンプ76U、76Dを形成した(図1)。図8(B)に、図1中の円Bで囲んだ半田パッド77Uを拡大して示す。このリフローの際に、パラジウム層73は、半田バンプ76U、76D側に大半が拡散され、図1及び図8(B)に示すようにニッケルめっき層72と半田バンプ76U、76Dとの界面に、Ni層合金層であるCu−Ni−Sn合金層75が出来る。ここで、実施例1では、ニッケルめっき層72の厚みを2〜10μmになるように設定し、Pをパラジュウム層のP濃度よりも低い0.5〜5wt%含有させ、パラジウム層73を、0.01μm〜1.0μmになるように設定し、Pを2〜7wt%含有させることで、Cu−Ni−Sn合金層75の平均厚みを1.0〜2.5μmの範囲内に調整した。
[実施例1−1−1]
実施例1−1−1では、半田バンプを構成する半田として、Cu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み 5μm、P含有量 1.2wt%に設定し、Pd層を厚み0.5μm、P含有量 5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。実施例1−1−1のニッケル層、Cu−Ni−Sn合金層、半田の電子顕微鏡写真を図16〜図19に示す。図16中の左側の電子顕微鏡写真(×20K)が実施例1−1−1である。図17中の左側、図18中の左側の電子顕微鏡写真では倍率(×100K)を更に拡大している。ここで、図16、図17、図18中の右側は、後述するPを含有しないPd層の比較例1−1−1の電子顕微鏡写真である。ここで、下側がニッケル層で、上側が半田、ニッケル層と半田層の界面に介在しているのがCu−Ni−Sn合金層である。図16の左側の電子顕微鏡写真から、実施例1では、Cu−Ni−Sn合金層が連続的、即ち、起伏が小さくNi層の表面に形成されていることが分かる。更に、倍率を上げた図17、図18の左側の電子顕微鏡写真から、Cu−Ni−Sn合金層の表面に、Snのスキン層を介してAg粒子が均一に並んでいることが分かる。図19左側は実施例1−1−1の透過型の電子顕微鏡写真である。この電子顕微鏡写真から、Cu−Ni−Sn合金層が板状、即ち、ニッケル層に沿って平行に形成されていることが分かる。
[実施例1−1−2]
実施例1−1−2では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例1−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例1−1−3]
実施例1−1−3では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例1−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例1−1−4]
実施例1−1−4では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例1−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例1−1−5]
実施例1−1−3では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例1−1−6]
実施例1−1−6では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.7μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例3−2−1]
実施例1−1−1〜実施例1−1−6では、半田バンプを構成する半田として鉛レスのCu/Ag/Sn半田を用いた。これに対して、参考例3−2−1〜参考例3−2−6では、半田バンプを構成する半田として、Sn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.5μm、P含有量5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例3−2−2]
参考例3−2−2では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例1−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例3−2−3]
参考例3−2−3では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例1−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例3−2−4]
参考例3−2−4では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例1−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例3−2−5]
参考例3−2−5では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例3−2−6]
参考例3−2−6では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10μm、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.7μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例1−3−1]
実施例1−3−1〜実施例1−3−6では、実施例1−1−1〜実施例1−1−6と同様に半田バンプを構成する半田として、Cu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例1−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量8wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:45:13に、厚みを2.5μmに調整した。実施例1−3−1では、後述する参考例1−1−1と同様に、図19右側の電子顕微鏡写真に示されるようCu−Ni−Sn合金層が柱状、即ち、ニッケル層に沿って垂直に柱状合金結晶が形成されている。
[実施例1−3−2]
実施例1−3−2では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例1−3−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.008μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:45:13に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、実施例1−3−1と同様に柱状に形成した。
[実施例1−3−3]
実施例1−3−3では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例1−3−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量1wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:45:13に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、実施例1−3−1と同様に柱状に形成した。
[実施例1−3−4]
実施例1−3−4では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例1−3−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=66:29:5に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[実施例1−3−5]
実施例1−3−5では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=66:29:5に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体(粒状の結晶)となってニッケル層の界面に形成された。
[実施例1−3−6]
実施例1−3−6では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=66:29:5に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例3−4−1]
参考例3−4−1〜実施例1−4−6では、参考例3−2−1〜参考例3−2−6と同様に半田バンプを構成する半田としてSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、参考例3−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量8wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、実施例1−3−1と同様に柱状に形成した。
[参考例3−4−2]
参考例3−4−2では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例1−4−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.008μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、実施例1−4−1と同様に柱状に形成した。
[参考例3−4−3]
参考例3−4−3では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例1−4−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量1wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、実施例1−4−1と同様に柱状に形成した。
[参考例3−4−4]
参考例3−4−4では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例1−4−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例3−4−5]
参考例3−4−5では、半田バンプを構成する半田として、参考例3−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例3−4−6]
参考例3−4−6では、半田バンプを構成する半田として、実施例1−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10μm、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例3−5−1]
参考例3−5−1では、半田バンプを構成する半田として、Sn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.03μm、P含有量5wt%に設定した(このPd層の顕微鏡写真を図20に示す。写真から分かるように、Pbが部分的に析出し、ポーラスで下地のNi層が見えている)。ここで、半田をリフローする際に、銅入りのフラックスを用いた。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例3−5−2]
参考例3−5−2では、半田バンプを構成する半田として、Sn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.07μm、P含有量5wt%に設定した(このPd層の顕微鏡写真を図21に示す。写真から分かるようにPb層が均一に形成できている)。ここで、半田をリフローする際に、銅入りのフラックスを用いた。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、図19左側の電子顕微鏡写真を参照した実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例2]
図1〜図7を参照して上述した実施例1では、ビルドアップ多層配線板を対象としたが、実施例2では、積層式の多層プリント配線板を対象とする。
実施例2のプリント配線板の製造工程について、図9〜図13を参照して説明する。
図9は実施例2のプリント配線板30の断面図を示している。多層プリント配線板30は、ICチップ80を搭載する半導体搭載用のプリント配線板である。多層プリント配線板30は、複数の基板31を積層してなり、各基板31には、スルーホール36、バイアホール38及び導体回路34が設けられている。多層プリント配線板30の上面側には、導体回路34Uが設けられ、下面側には、導体回路34Dが設けられている。上面側の導体回路34Uの表面側にはソルダーレジスト層70が設けられ、ソルダーレジスト層70の開口71により導体回路34Uの一部が露出され、ボンディングパッド42を構成している。一方、下面側の導体回路34Dの表面側にはソルダーレジスト層70が設けられ、ソルダーレジスト層70の開口71により導体回路34Dの一部が露出され、半田パッド44を構成している。半田パッド44上には、外部のプリント配線板への接続用の半田層46が形成されている。多層プリント配線板の上面には、接着剤84を介してICチップ80が配置され、ICチップ80の端子86と、多層プリント配線板側のボンディングパッド42とはワイヤ82によりボンディング接続されている。
次に図14を参照して半田パッドについて説明する。図14(B)は図9中の多層プリント配線板30の円Bで囲んだ部分を拡大して示している。導体回路34D上にはニッケルめっき層72が設けられ、ニッケルめっき層72上のNi−Sn合金層75を介して半田層46が接続されている。ここで、実施例2では、半田(半田層)を構成する半田として、Cu1wt%、Ag2wt%、Sn97wt%の鉛レス半田を用いている。Ni−Sn合金層75は、Cu−Ni−Snから成る。実施例2では、Cu−Ni−Sn合金層75の平均厚みを調整することで、ニッケルめっき層72と半田層46との界面において破断が生じ難くしてある。これにより、半田層46の強度、密着性が向上される。
引き続き、上記多層プリント配線板30の製造方法について図10〜図13を参照して説明する。
回路パターン34及びバイアホール38の形成されたプリント配線板31を用意する(図10(A))。プリント配線板31を接着剤33を介して接着する(図10(B))。プリント配線板31を積層してなる多層プリント配線板に通孔を穿設してスルーホール36を形成する(図10(C))。その後、開口71を有するソルダーレジスト層70を形成する(図11(A))。
図11(A)に示すように多層プリント配線板30は、上面側に導体回路34Uが設けられ、ソルダーレジスト層70の開口71により導体回路34Uの一部が露出されている。同様に、下面側には、導体回路34Dが設けられている。ソルダーレジスト層70の開口71により導体回路34Dの一部が露出されている。導体回路34U及び導体回路34Dの表面には好適には粗化層が設けられ、ソルダーレジスト層70との密着性を高めてある。
(1) 先ず、塩化ニッケル2.3 ×10−1mol/l、次亜リン酸ナトリウム2.8 ×10−1mol/l、クエン酸ナトリウム1.6 ×10−1mol/l、からなるpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に、20分間浸漬して、開口71に厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成した(図11(B))。これにより、導体回路34U、導体回路34Dに粗化層が施されたものであってもその凹凸部分を完全に被覆し、ニッケルめっき層72の表面状態を均一にすることができる。
(2) 次に、その基板を塩化パラジウム1.0×10−2mol/l、エチレンジアミン8.0×10−2mol/l、次亜リン酸ナトリウム6.0×10−2mol/l、チオジグリコール酸30mg/lでPH=8、温度55℃の無電解パラジウムめっき液に5分間浸積して、ニッケルめっき層72上に厚さ0.01〜1.0μmのパラジウム層73を形成した(図12(A))。これにより、上面の導体回路34U側にボンディングパッド42を、下面の導体回路34D側に半田パッド44を形成した。ここで、耐食層として更にAu層を形成することもできる。実施例2では、パラジウム層73の厚みを0.01〜1.0μmになるように設定し、Pを2〜7wt%含有させた。
(3) そして、ソルダーレジスト層70の開口71中の半田パッド44に、半田ペースト46αを印刷した(図12(B))。図14(A)に、図12(B)中の半田パッド44を拡大して示す。半田パッド44は、導体回路34D上に順次形成されるニッケルめっき層72−パラジウム層73の2層の複合層から成る。
(4) 次に、窒素雰囲気中に250℃でリフローすることにより、半田層46を形成した(図13(A))。このリフローの際に、パラジウム層73及びAu層64は、半田層46側に大半が拡散し、図9及び図14(B)を参照して上述したようにニッケルめっき層72と半田層46との界面に、Ni層と半田組成金属とのCu−Ni−Sn合金層75が出来る。ここで、実施例2では、パラジウム層73を、0.01μm〜1.0μmになるように設定し、Pを2〜7wt%含有させることで、Cu−Ni−Sn合金層75の平均厚みを調整した。これにより、上述したようにニッケルめっき層72と半田層46との界面において破断が生じ難くしてある。
(5) 完成した多層プリント配線板30の上面に接着剤84を介してICチップ80を搭載した(図13(B))。その後、ICチップ80の端子86と多層プリント配線板30側のボンディングパッド42との間にボンディングワイヤ82をボンディングした(図9参照)。
[実施例2−1−1]
実施例2−1−1では、半田(半田層)を構成する半田として、Cu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み 5μm、P含有量 1.2wt%に設定し、Pd層を厚み0.5μm、P含有量5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。実施例2−1−1では、図19左側の電子顕微鏡写真を参照して上述した実施例1−1−1と同様にCu−Ni−Sn合金層が板状、即ち、ニッケル層に沿って平行に形成されている。
[実施例2−1−2]
実施例2−1−2では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例2−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例2−1−3]
実施例2−1−3では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例2−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例2−1−4]
実施例2−1−4では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例2−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例2−1−5]
実施例2−1−3では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例2−1−6]
実施例2−1−6では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−1−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.7μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例4−2−1]
実施例2−1−1〜実施例2−1−6では、半田(半田層)を構成する半田として鉛レスのCu/Ag/Sn半田を用いた。これに対して、参考例4−2−1〜参考例4−2−6では、半田(半田層)を構成する半田として、Sn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.5μm、P含有量5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例4−2−2]
参考例4−2−2では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例2−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例4−2−3]
参考例4−2−3では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例2−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.8μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例4−2−4]
参考例4−2−4では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例2−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例4−2−5]
参考例4−2−5では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例4−2−6]
参考例4−2−6では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−2−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10m、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.01μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.7μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−1−1と同様に板状に形成した。
[実施例2−3−1]
実施例2−3−1〜実施例2−3−6では、実施例2−1−1〜実施例2−1−6と同様に半田(半田層)を構成する半田として、Cu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例2−1−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量8wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:45:13に、厚みを2.5μmに調整した。実施例2−3−1では、実施例1−3−1−と同様に、Cu−Ni−Sn合金層が柱状、即ち、ニッケル層に沿って垂直に柱状合金結晶が形成されている。
[実施例2−3−2]
実施例2−3−2では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例2−3−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.008μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:45:13に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−3−1と同様に柱状に形成した。
[実施例2−3−3]
実施例2−3−3では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例2−3−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量1wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:45:13に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−3−1と同様に柱状に形成した。
[実施例2−3−4]
実施例2−3−4では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を、実施例2−3−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=66:29:5に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[実施例2−3−5]
実施例2−3−5では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=66:29:5に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体(粒状の結晶)となってニッケル層の界面に形成された。
[実施例2−3−6]
実施例2−3−6では、半田(半田層)を構成する半田として、実施例2−3−1と同様にCu:0.5wt%、Ag:3.5wt%、Sn:95wt%合金を用いた。そして、Ni層を厚み10μm、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=66:29:5に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例4−4−1]
参考例4−4−1〜参考例4−4−6では、参考例4−2−1〜参考例4−2−6と同様に半田(半田層)を構成する半田としてSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、参考例4−2−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量8wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例2−3−1と同様に柱状に形成した。
[参考例4−4−2]
参考例4−4−2では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例2−4−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.008μm、P含有量7wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は参考例4−4−1と同様に柱状に形成した。
[参考例4−4−3]
参考例4−4−3では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例2−4−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.009μm、P含有量1wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを2.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は参考例4−4−1と同様に柱状に形成した。
[参考例4−4−4]
参考例4−4−4では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、実施例2−4−1と同じ厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例4−4−5]
参考例4−4−5では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10μm、P含有量0.5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量5wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.3μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例4−4−6]
参考例4−4−6では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例4−4−1と同様にSn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み10μm、P含有量5wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み2.0μm、P含有量9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Ni=67:33に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は、粒状体となってニッケル層の界面に形成された。
[参考例4−5−1]
参考例4−5−1では、半田(半田層)を構成する半田として、Sn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.03μm、P含有量5wt%に設定した。ここで、半田をリフローする際に、銅入りのフラックスを用いた。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例4−5−2]
参考例4−5−2では、半田(半田層)を構成する半田として、Sn:Pb=63:37(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.07μm、P含有量5wt%に設定した。ここで、半田をリフローする際に、銅入りのフラックスを用いた。これにより、Ni−Sn合金層の組成をSn:Cu:Ni=42:37:21に、厚みを1.5μmに調整した。Ni−Sn合金層は実施例1−1−1と同様に板状に形成した。
[参考例1−1−1]
参考例1−1−1〜参考例1−1−3、参考例1−2−1〜参考例1−2−3では、図1〜図8を参照して上述した実施例1と同様にビルドアップ多層配線板を形成し、半田バンプを形成した。
そして、半田バンプを構成する半田として、Cu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。Ni層は、厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。但し、Pd層は、厚み0.5μmでP含有しないよう(P含有量=ほぼ0%)に形成した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.8μmに調整した。参考例1−1−1のニッケル層、Cu−Ni−Sn合金層、半田の電子顕微鏡写真を図16〜図19に示す。図16中の右側の電子顕微鏡写真(×20K)が参考例1−1−1である。図17中の右側、図18中の右側の電子顕微鏡写真では倍率(×100K)を更に拡大している。ここで、下側がニッケル層で、上側が半田、ニッケル層と半田層の界面に介在しているのがCu−Ni−Sn合金層である。図16の右側の電子顕微鏡写真から、参考例1−1−1では、Cu−Ni−Sn合金層が非連続的、即ち、起伏が大きくNi層の表面に形成されていることが分かる。更に、倍率を上げた図17、図18の右側の電子顕微鏡写真から、Cu−Ni−Sn合金層の表面に、Snのスキン層を介してAg粒子が不均一に点在でいることが分かる。参考例1−1−1では、図19右側の電子顕微鏡写真に示されるようCu−Ni−Sn合金層が柱状、即ち、ニッケル層に沿って垂直に柱状合金結晶が形成されている。
[参考例1−1−2]
参考例1−1−2では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量 4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量をNi層よりも少ない2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.9μmに調整した。
[参考例1−1−3]
参考例1−1−3では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.7μmに調整した。
[参考例1−1−4]
参考例1−1−4では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、一方、Pd層は、厚み1.5μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.9μmに調整した。
[参考例1−2−1]
参考例1−1−1〜参考例1−1−3では、半田バンプを構成する半田として鉛レスのCu/Ag/Sn半田を用いた。これに対して、参考例1−2−1〜参考例1−2−3では、半田バンプを構成する半田として、Sn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.5μmでPを含有しないよう(P含有率=ほぼ0%)に形成した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.9μmに調整した。
[参考例1−2−2]
参考例1−2−2では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量をNi層よりも少ない2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.9μmに調整した。
[参考例1−2−3]
参考例1−2−3では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.6μmに調整した。
[参考例1−2−4]
参考例1−2−4では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.5μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.7μmに調整した。
[参考例2−1−1]
参考例2−1−1〜参考例2−1−3、参考例2−2−1〜参考例2−2−3では、図9〜図14を参照して上述した実施例2と同様に積層プリント配線板を形成し、半田層を形成した。そして、半田(半田層)を構成する半田として、Cu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。Ni層は、厚み5μm、P含有量 1.2wt%に設定した。但し、Pd層は、厚み0.5μmでP含有しないように形成した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.9μmに調整した。
[参考例2−1−2]
参考例2−1−2では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量をNi層よりも少ない2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.9μmに調整した。
[参考例2−1−3]
参考例2−1−3では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.6μmに調整した。
[参考例2−1−4]
参考例2−1−4では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.5μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.7μmに調整した。
[参考例2−2−1]
参考例2−1−1〜参考例2−1−3では、半田(半田層)を構成する半田として鉛レスのCu/Ag/Sn半田を用いた。これに対して、参考例2−2−1〜参考例2−2−3では、半田(半田層)を構成する半田として、Sn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み0.5μmでPを含有しないように形成した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.8μmに調整した。
[参考例2−2−2]
参考例2−2−2では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量をNi層よりも少ない2wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを0.9μmに調整した。
[参考例2−2−3]
参考例2−2−3では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.0μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.7μmに調整した。
[参考例2−2−4]
参考例2−2−4では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量4wt%に設定した。一方、Pd層は、厚み1.5μmでP含有量を9wt%に設定した。これにより、Ni−Sn合金層の厚みを2.7μmに調整した。
比較例として、半田パッド部分における導体層に従来技術におけるニッケル(Ni層)−金(Au層)を形成させた。
[比較例1−1−1]
比較例1−1−1では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Ni層の上にはPd層の代わりに、厚み0.03μmでAu層を設けた。リフロー後には、Ni−Sn合金層が形成されなかった。
[比較例1−2−1]
比較例1−2−1では、半田バンプを構成する半田として、参考例1−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Ni層の上にはPd層の代わりに、厚み0.03μmでAu層を設けた。リフロー後には、Ni−Sn合金層が形成されなかった。
[比較例2−1−1]
比較例2−1−1では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−1−1と同様にCu:2wt%、Ag:1wt%、Sn:97wt%合金を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Ni層の上にはPd層の代わりに、厚み0.03μmでAu層を設けた。リフロー後には、Ni−Sn合金層が形成されなかった。
[比較例2−2−1]
比較例2−2−1では、半田(半田層)を構成する半田として、参考例2−2−1と同様にSn:Pb=64:36(wt%)の鉛半田を用いた。そして、Ni層を、厚み5μm、P含有量1.2wt%に設定した。一方、Ni層の上にはPd層の代わりに、厚み0.03μmでAu層を設けた。リフロー後には、Ni−Sn合金層が形成されなかった。
(評価項目)
該基板は、ピース毎に個片加工したものを10ピース用いて行った。実施例1の評価結果を図22中に、実施例2の評価結果を図23中に、参考例、比較例の評価結果を図24中に示す。
1.半田剥離試験
半田ペースト実装後に、半田ペーストの剥離試験を行った。ここで、引っ張り強度で4.0Kg/pin(半田バンプもしくは半田層)を上回る数値が得られた場合を◎で、引っ張り強度で2.0〜4.0Kg/pinの数値が得られた場合を○で、1.0〜2.0Kg/pinの数値が得られた場合を△で、1.0Kg/pin未満の数値が得られた場合を×で表した。
2.信頼性試験
実施例1群:ICチップ実装後に抵抗測定を実施
実施例2群:マザーボードに実装後に抵抗測定を実施
ヒートサイクル条件下(135℃/3min.⇔−55℃/3min.を1サイクルとして、2500サイクルから500サイクル毎に、5000サイクルまで信頼性試験を行った。
このとき、信頼性試験機からの装置から出して、二時間放置した後に、該基板の導通の有無、抵抗値を測定した。ここで、導通の有り、抵抗値の変化が2%未満のものを◎で、導通が有り、抵抗値の変化が2%を越え5%未満のものを○で、抵抗値の変化が5%を越えるものを△で、導通が無くなったものを×で表す。
3.信頼性試験後のチップ/マザーボードとの剥離試験
4.実装完了後と信頼性試験で5000サイクルを完了した基板を引っ張り強度測定を行った。ここで、引っ張り強度で1.0〜2.0Kg/pin(半田バンプもしくは半田層)の数値が得られた場合を○で、1.0Kg/pin未満の数値が得られた場合を×で表した。
以上の試験結果から、Au層よりもPd層の方が信頼性が高いことが明確になった。そして、Pd層の厚みは0.01〜1.0μmの範囲で形成するのがよく、特に0.03〜0.7μmの範囲で形成するのが特によいことが分かった。Pd層のPの含有量が、2〜7wt%から大きく逸脱しないように4〜6wt%にすることが望ましいことも分かった。Ni層の厚みは、2〜10μmの範囲で形成されることが望ましく、Ni層中のP(リン)の含有量が0.5〜5.0wt%で、Pd層中のP含有量よりも低くすることがより望ましいことが明らかになった。
本発明の実施例1に係る多層プリント配線板の断面図である。 本発明の実施例1に係る多層プリント配線板の製造工程図である。 本発明の実施例1に係る多層プリント配線板の製造工程図である。 本発明の実施例1に係る多層プリント配線板の製造工程図である。 本発明の実施例1に係る多層プリント配線板の製造工程図である。 本発明の実施例1に係る多層プリント配線板の製造工程図である。 本発明の実施例1に係る多層プリント配線板の製造工程図である。 図8(A)は、図7(B)中の円A部を拡大して示す模式図であり、図8(B)は、図1中の円B部を拡大して示す模式図である。 本発明の実施例2に係る多層プリント配線板の断面図である。 実施例2に係るプリント配線板の製造工程図である。 実施例2に係るプリント配線板の製造工程図である。 実施例2に係るプリント配線板の製造工程図である。 実施例2に係るプリント配線板の製造工程図である。 図14(A)は、図12(B)中の円A部を拡大して示す模式図であり、図14(B)は、図9中の円B部を拡大して示す模式図である。 図15(A)、図15(B)は、Pd膜形成を説明するための模式図であり、図15(A)はPを有する場合を、図15(B)はPを有しない場合を示している。 ニッケル層、Cu−Ni−Sn合金層、半田の電子顕微鏡写真である。 Cu−Ni−Sn合金層の電子顕微鏡写真である。 Cu−Ni−Sn合金層の電子顕微鏡写真である。 Cu−Ni−Sn合金層の透過式電子顕微鏡写真である。 厚さ0.7μmのPd層の電子顕微鏡写真である。 厚さ0.3μmのPd層の電子顕微鏡写真である。 実施例1の試験結果を示す図表である。 実施例2の試験結果を示す図表である。 参考例、比較例の試験結果を示す図表である。
符号の説明
30 多層プリント配線板
70 ソルダーレジスト層
70a 開口
72 ニッケル層
73 パラジウム層
75 Ni−Sn合金層
76U、76D 半田バンプ

Claims (7)

  1. 層間樹脂絶縁層と、該層間樹脂絶縁層上の半田パッドと、前記層間樹脂絶縁層上に形成された半田パッドの少なくとも一部を露出させる開口を備えるソルダーレジスト層と、前記半田パッドのうち前記開口から露出される箇所に設けられている複合層と、該複合層上に形成されている外部接続用の半田バンプあるいは半田層が形成されるプリント配線板の製造方法であって、
    前記半田パッドの表面を粗化する工程と、
    前記半田パッドのうち前記開口から露出される箇所に、Ni層及びPd層を形成することで前記複合層を形成する工程と、
    前記開口内の複合層上に鉛が含有されていない半田からなるバンプを設ける工程と、
    を備えるプリント配線板の製造方法。
  2. 前記Pd層には、2〜7wt%のPが含有されている請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 前記Pd層の厚みは、0.01〜1.0μmである請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 前記Ni層には、Pd層中のPの含有量よりも少ない0.5〜5.0wt%のPが含有される請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 前記鉛が含有されていない半田は、Sn−Ag系半田、Sn−Sb系半田、Sn−Cu系半田、Sn−Ag−Cu系半田から選ばれるものである請求項に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 前記複合層は、前記半田パッド上にNiめっきした後、Pdめっきすることで形成する請求項1のプリント配線板の製造方法。
  7. 層間樹脂絶縁層と、該層間樹脂絶縁層上の半田パッドと、前記層間樹脂絶縁層上に形成された半田パッドの少なくとも一部を露出させる開口を備えるソルダーレジスト層と、前記半田パッドのうち前記開口から露出される箇所に設けられている複合層と、該複合層上に形成されている外部接続用の半田バンプあるいは半田層が形成されるプリント配線板であって、
    前記半田パッドの表面が粗化され、
    前記半田パッドのうち前記開口から露出される箇所に、Ni層及びPd層を形成することで前記複合層が形成され
    前記開口内の複合層上に鉛が含有されていない半田からなる半田バンプが形成されているプリント配線板。
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