JP4811990B2 - 電解質膜及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

電解質膜及び固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン類などを含有する多孔性基材の細孔内に、プロトン伝導性ポリマーを充填してなる電解質膜、並びにそれを用いてなる固体高分子型燃料電池に関する。
地球規模の環境に対する懸念が叫ばれるにつれて、いわゆる温暖化ガスやNOxの排出防止が強く望まれている。これらのガスの総排出量を削減するために、自動車用の燃料電池システムの実用化が非常に有効と考えられている。
また、地球規模の情報ネットワークが非常に重要になってきている昨今、モバイル環境やユビキタス社会の実現に重要なエネルギーの確保のためにも燃料電池システムが待望されている。
固体高分子型燃料電池(PEFC、Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、低温動作、高出力密度、発電反応で水しか生成されないという優れた特徴を有している。純水素によるPEFCは高い出力が得られるため、特に自動車用途に期待されており、水素ステーションなど水素エネルギー環境整備もすすめられつつある。また、メタノール燃料のPEFCは、ガソリンと同様に液体燃料として供給が可能なため、電気自動車用やポータブル機器用電力供給源として有望であると考えられている。
上記固体高分子型燃料電池は、純水素ガスを用いるタイプ以外に、改質器を用いてメタノールを水素主成分のガスに変換する改質型と、改質器を用いずにメタノールを直接使用する直接型(DMFC、Direct Methanol Polymer Fuel Cell)の二つのタイプに区分される。改質型では、改質器が必要となるが、出力が大きく適用機器の範囲が広い。一方、直接型は、改質器が不要であるため、軽量化が可能であり、触媒被毒も問題にならないなどの利点がある。
このようなPEFCには、一般に陽イオン交換膜が使用され、Nafion(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸からなる電解質膜が、その耐久性の高さから従来用いられてきた。しかし、燃料電池運転時の雰囲気である湿潤状態で電解質が膨潤し寸法安定性が損なわれ電解質と電極の界面が破壊される、水素やメタノールが膜を透過してしまうことで起電力が低下してしまう、という問題が指摘されている。また、パーフルオロカーボン膜は一般に非常に高価であるという問題点もある。
このため、固体高分子型燃料電池用隔膜として、重量平均分子量50万以上の高分子量のポリオレフィン系多孔質膜の空孔中に陽イオン交換樹脂を充填してなる陽イオン交換膜が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、イオン交換樹脂として、パーフルオロカーボンスルホン酸を用いているため、水素ガスの透過性や膨潤時の形状維持性に問題があると考えられる。
また、メタノール透過阻止性と出力特性を両立させた膜として、スルホン酸基含有ビニルモノマーと架橋剤との混合物を、架橋ポリオレフィン系の多孔性基材に含浸させた後、これを重合して得られた電解質膜が開示されている(例えば、特許文献2参照)。その際、実施例において、スルホン酸基含有ビニルモノマーとして、主に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が使用されている。
しかしながら、上記のように多孔性基材にプロトン伝導性ポリマーを充填してなる電解質膜では、プロトン伝導性ポリマーの種類や架橋構造、ポリマーの充填方法などによって、分子鎖の充填構造が変化し、これに伴ってプロトン伝導性が変化するため、プロトン伝導性を更に改善する余地があることが判明した。
特開平1−22932号公報 特開2004−146279号公報
そこで、本発明の目的は、プロトン伝導性ポリマーの充填構造を好適化してプロトン伝導性を改善することができる電解質膜及び、それを用いた固体高分子型燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、プロトン伝導性ポリマーの充填構造を解析する方法について鋭意研究したところ、陽電子消滅法により求められる陽電子消滅寿命τ3および相対強度I3の値が所定の範囲内であると、基材および電解質を形成する分子鎖に占有されない自由体積が小さくかつその総体積も小さくなり、これによってプロトン伝導性が良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の電解質膜は、多孔性基材の細孔内にプロトン伝導性ポリマーを充填してなる電解質膜において、陽電子消滅法により求められる陽電子消滅寿命τ3(ns)の値がτ3<2であり、かつ、相対強度I3(%)がI3<9であり、前記プロトン伝導性ポリマーが構成成分としてのビニルスルホン酸又はアリルスルホン酸からなり、かつ該構成成分100重量部に対して3〜30重量部の重合性架橋剤により架橋されていることを特徴とする。本発明における各種物性値は、具体的には実施例に記載の測定方法で測定される値である。
陽電子消滅法により解析される自由体積は、多孔性基材や電解質を形成する分子鎖に占有されない領域を示しており、基材および電解質を形成する分子鎖が変化した際に、その分子鎖近傍に生ずる体積を反映する。具体的には、陽電子を試料に入射してから消滅するまでの時間を測定し、その消滅寿命から原子空孔や自由体積の大きさ、数密度などに関する情報を非破壊的に観察する手法により求めることが可能である。
陽電子は電子の反粒子であり、電子と同じ質量を有するが、反対符号の電荷をもつ素粒子である。高分子のようなアモルファス固体中では、陽電子が電子と対を形成することがあり、ポジトロニウムと呼ばれる。ポジトロニウムが消滅する際に、消滅γ線が二方向に放出される。この消滅γ線強度の時間変化を測定することにより陽電子の寿命が測定される。
ポジトロニウムにはパラポジトロニウムとオルトポジトロニウムがあり、オルトポジトロニウムの平均寿命は140ns程度であるが、物質中の他の電子を奪い取るピックオフ過程を経る場合には1ns〜5nsにまで短縮化する。固体内の自由体積空間内にオルトポジトロニウムが存在する際には、その空間の大きさとオルトポジトロニウムの寿命は正の相関関係にあり、オルトポジトロニウムのピックオフ消滅による寿命を測定することにより、空孔サイズの情報を得ることができる。
自由体積半径の好ましい範囲は、陽電子消滅寿命τ3と相対強度I3から得られ(式B参照)、陽電子消滅寿命τ3(ns)の値が、τ3<2であり、かつ、相対強度I3(%)がI3<9であることが好ましい。陽電子消滅寿命τ3が小さいほど、自由体積のサイズが小さく分子鎖の充填が良好な傾向にあるため、プロトンの伝導が好適に行えると考えられる。また相対強度I3は、その自由体積が占有する総量と考えられるので、自由体積のサイズとの兼ね合いで決まるが、相対強度I3が9以上では自由体積の総量が多くなり、分子鎖の充填が良好な膜構造が得られにくくなる。
上記において、前記プロトン伝導性ポリマーが架橋構造を有することが好ましい。プロトン伝導性ポリマーが架橋構造を有することにより、使用状態(膨潤した状態)においても、良好な分子鎖の充填状態を維持し易くなる。
また、前記プロトン伝導性ポリマーが構成成分としてビニルスルホン酸を含むことが好ましい。ビニルスルホン酸を構成成分とする場合、スルホン基が直鎖状に高密度に配列しやすく、プロトン伝導性を高められ、また、主鎖のパッキングが起こりやすく、より固い重合体となるため、分子鎖間の膨潤変化がより起きにくいものとなる。
更に、前記多孔性基材は、ポリオレフィン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の第1ポリマーと、反応性の官能基を有する第2ポリマーとを含有する樹脂組成物を架橋してなることが好ましい。このような多孔性基材は、機械的強度に優れ耐熱性も良好であり、架橋による構造安定性や基材との一体化が可能なため、これらの性能が良好な電解質膜を得ることができる。
一方、本発明の固体高分子型燃料電池は、上記いずれかに記載の電解質膜を用いてなるものである。このため、本発明の固体高分子型燃料電池は、電解質膜のプロトン伝導性が良好となり、従来より高い最大出力が得られるようになる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明の電解質膜は、多孔性基材の細孔内にプロトン伝導性ポリマーを充填してなるものである。まず、本発明に用いられる多孔性基材について説明する。
多孔性基材としては、プロトン伝導性ポリマーが充填可能なものであればよく、例えばポリオレフィン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PSF(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PPES(ポリフェニルスルホン)、PVA、PTFE、セルロース系樹脂、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリイミドなどが挙げられる。
多孔性基材の製膜方法も特に限定されず、溶剤法、非溶媒誘起型湿式相分離法、熱誘起型湿式相分離法、乾式相分離法、開孔延伸法など何れでもよい。
本発明に用いられる多孔性基材としては、前述した理由から、ポリオレフィン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の第1ポリマーと、反応性の官能基を有する第2ポリマーとを含有する樹脂組成物を架橋してなる多孔質膜が好ましい。
第1のポリマーとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン及び4‐メチルペンテンなどのポリオレフィン類などを挙げることができる。またカルボニル基や酸無水物基などがグラフト重合されたポリオレフィン類などを用いてもよい。
これらのうち、第1のポリマーとして、ポリエチレン類が耐汚染性、耐腐食性、安価などの理由により好ましい。特に、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどが好ましい。高密度ポリエチレン又は超高分子量ポリエチレンは、得られる多孔性基材の強度の点からより好ましい。
これらのなかでも、特に多孔質フィルムの強度を高くできる観点から、重量平均分子量50万以上の超高分子量ポリエチレンを用いることが好ましい。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用してもよい。
反応性官能基を有する第2ポリマーとしては、例えば、二重結合を有するポリマーや酸無水物基などがグラフトされたポリマー、エポキシ基を有するポリマーなどが挙げられる。
ポリマー内に二重結合を有する第2ポリマーとしては、例えば、ポリノルボルネンやエチレン−プロピレン−ターポリマー、ポリブタジエンのうち少なくとも1種の第2ポリマーを有してなるのがよい。
第2ポリマーを用いる場合、第2ポリマーの量は、第1ポリマーと第2ポリマーとの双方を合わせたものを100重量部とすると、1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは1〜35重量部であるのがよい。
また、電極材との熱融着性を改善する目的で、重量平均分子量50万未満のポリオレフィン類、熱可塑性エラストマー、グラフトコポリマーを1種類以上含有していてもよい。これらの樹脂成分は、これと第1ポリマーと第2ポリマーとを併せた全樹脂成分中、2〜25重量%含有されるのが好ましい。これら樹脂成分はスルホン酸基含有または、後でスルホン化することによりプロトン伝導性を向上させて、さらに電極界面との抵抗を下げることもできる。
重量平均分子量が50万未満のポリオレフィン類としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系や、ポリオレフィン系、ポリジエン系、塩化ビニル系、ポリエステル系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
グラフトコポリマーとしては、主鎖にポリオレフィン、側鎖に非相性基を有するビニル系ポリマーを側鎖としたグラフトコポリマーが挙げられるが、ポリアクリル類、ポリメタクリル類、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキシアルキレン類が好ましい。なお、ここで非相溶性基とは、ポリオレフィンに対して非相溶性基を意味する。
なお、前記多孔性基材の樹脂組成物中には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、耐電防止剤、造核剤等の添加物を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明による多孔性基材の製造には、湿式成膜法など公知の方法を利用することができる。たとえば、前記樹脂組成物を溶媒と混合し、混練、加熱溶解しながらシート状に成形した後、圧延し、一軸方向以上に延伸し、溶媒を抽出除去することにより製造することができる。
この製法の過程において、プロトン伝導性を有する第3ポリマーまたはモノマーを、脱溶媒処理後の反応性基を残した状態で、または第2ポリマーの架橋反応を完全にせしめた後、架橋あるいは重合反応せしめることができる。反応性基を残した状態で第3ポリマーまたはモノマーを架橋あるいは重合反応せしめる場合には、多孔性基材と内部充填ポリマーが化学結合により一体化される電解質膜が製造できる。
第1、第2、第3ポリマーは、その一部又はその全てが架橋されている方が、耐熱性、膜強度の面で好ましい。なお、架橋は、第3ポリマーまたはモノマーにも依存するが、熱、紫外線及び電子線よりなる群から選ばれる1種以上を用いることができる。
このようにして得られた多孔性基材の空孔率は、10〜70%、好ましくは15〜65%、より好ましくは15%〜60%であるのがよい。また、基材の厚さは100μm以下、好ましくは1〜80μm、より好ましくは5〜70μmであるのがよい。
本発明の電解質膜は、前記多孔性基材の細孔内に第3ポリマーを充填してなり、陽電子消滅法により求められる陽電子消滅寿命τ3(ns)の値がτ3<2であり、かつ、相対強度I3(%)がI3<9であることを特徴とする。より好ましくはτ3<1.9であり、かつ、相対強度I3(%)がI3<8.5である。
また、本発明の電解質膜は、蒸留水中に浸漬して36時間後に取り出して表面の水を拭き取った膨潤状態において、陽電子消滅法により求められる陽電子消滅寿命τ3(ns)の値がτ3<2であり、かつ、相対強度I3(%)がI3<9であることが好ましく、より好ましくはτ3<1.9であり、かつ、相対強度I3(%)がI3<8.5である。
上記の物性値の範囲は、乾燥状態又は膨潤状態において、自由体積のサイズが小さく、分子鎖の充填が良好な状態を示しており、このような物性値を得るための製法としては、次の点を考慮することが有効である。
例えば、プロトン伝導性ポリマーの種類については、例えば、プロトン伝導性ポリマーの種類については、ビニルスルホン酸やアリルスルホン酸のような、立体規則性が比較的高く、かさが低いポリマーを用いることによって、陽電子消滅寿命τ3と相対強度I3を小さくできる傾向がある。また、架橋構造については、架橋剤の量を多くすることによって架橋密度を向上させ、陽電子消滅寿命τ3と相対強度I3を小さくできる傾向がある。
また、ポリマーの充填方法として、モノマーを含浸後、可視光など温和な条件で重合することにより、あるいは、テンプレート重合のような規則性をもたせて重合するなどによって、陽電子消滅寿命τ3と相対強度I3を小さくできる傾向がある。これらの手法を適宜併用することによって、上記の物性値の範囲を達成することができる。
本発明に用いられる第3ポリマーとしては、イオン交換基を有するものがよい。なお、本明細書において、「イオン交換基」とは、例えば−SOH基由来の−SO など、プロトンを保持し且つ遊離しやすい基のことをいう。これらが第1のポリマーにペンダント状に存在し、かつ該ポリマーが細孔内を満たすことにより、プロトン伝導性が生じる。したがって、第3ポリマーは、イオン交換基を有する第3のモノマー由来であるのがよい。
本発明の第3モノマーとして使用可能なモノマーは、好適にはビニルスルホン酸が用いられる。このビニルスルホン酸を含有する電解質濃度中、ビニルスルホン酸の溶液中濃度は35重量%以上が好ましい。溶液濃度が低すぎると多孔膜への充填が不十分となり電解質膜の均一性に劣る。
ビニルスルホン酸を主鎖とする重合体が好ましい理由は必ずしも明らかではないが、スルホ基が直鏡状に高密度に配列しやすく、プロトン伝導性を高められること。主鏡のパッキングが起こりやすく、そのためプロトン透過可能な自由体積空間もせまくなり、過剰な物質透過が抑制されるものと考えられる。
これらのモノマーを1種のみ用いてホモポリマーを形成してもよいが、架橋構造を有して、燃料電池に用いられる際に浸透される水、メタノールなどに対して不溶性の架橋ポリマーとすることが望ましい。ポリマーに架橋構造を導入する方法としては特に限定されないで、公知の方法を用いることができる。2個以上の二重結合を有する重合性の架橋剤を用いて重合反応を行う方法、また重合時に水素の引き抜きによる自己架橋を行う方法などあるが、2個以上の二重結合を有する重合性の架橋剤を用いて重合反応を行う方がより容易で好ましい。
第3モノマーを架橋反応せしめる架橋剤としては、例えばN,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、オリゴエチレンオキシドジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、トリアリルアミンおよびそれらのスルホン酸基含有モノマーなどがあげられる。また側鎖に官能基を有したナノサイズの無機材料などもあげられる。これらの架橋剤は単独使用することも、必要に応じて2種類以上を併用することもできる。
上記共重合性架橋剤の使用量は、第3モノマーの100重量部に対して1〜40重量部が好ましく、更に好ましくは2〜35重量部、特に好ましくは3〜30重量部である。架橋剤の量は少なすぎると未架橋のポリマーが溶出し易く、多すぎると架橋剤成分が相溶しにくく均一な架橋重合体が得られない。
本発明の電解質膜は、水膨潤時においても自由体積空間サイズが小さく、プロトン伝導性に優れた電解質膜であり、電解質膜を有する燃料電池、特に固体高分子型燃料電池を作製した際、高い出力特性を有する優れた燃料電池を提供することができる。従って、本発明の電解質膜は、直接型メタノール固体高分子燃料電池又は改質型メタノール固体高分子燃料電池を含むメタノール燃料電池や水素ガスを用いた純水素ガス型燃料電池に、好適に使用することができる。
ここで、固体高分子燃料電池の構成を、簡単に説明する。固体高分子燃料電池は、カソード極、アノード極、及び該両極に挟まれた電解質膜を有してなる。燃料電池は、改質器をアノード電極側に有して、改質型メタノール燃料電池としてもよい。
カソード極は、従来より公知の構成とすることができ、例えば電解質側から順に触媒層及び該触媒層を支持する支持体層を有してなることができる。また、アノード電極も、従来より公知の構成とすることができ、例えば電解質側から順に触媒層及び該触媒層を支持する支持体層を有してなることができる。
以下に実施例および比較例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例における試験方法は次の通りである。
(フィルム厚)
1/10000直読ダイヤル式膜厚測定器により測定した。
(空孔率)
1/10000直読ダイヤル式膜厚測定器により測定した厚みを用い、フィルムの単位面積Sあたりの重さW、平均厚みt、密度dから下式Aにより算出した値を使用した。
[空孔率(%)]=(1−(10×W/S/t/d))×100 式A
(陽電子消滅法による消滅寿命と相対強度)
線源を22NaClとして、下記の条件にて陽電子消滅寿命と相対強度を測定した。陽電子線源:22NaCl(強度0.6MBq)、ガンマ線検出器:フッ化バリウムシンチレーターおよび光電子倍増管、装置分解能:250ps、測定温度:25℃、カウント数:1,000,000、試料サイズ:18mm×18mm×1mm×2個(陽電子線源を両側から挟み込んで測定)とした。上記測定条件に沿って陽電子寿命の測定を行い、非線形最小二乗法により3成分解析して、消滅寿命の小さいものから、τ1、τ2、τ3とし、それに応じた強度をI1、I2,I3(I1+I2+I3=100%)とした。最も長寿命のτ3と自由体積変化の関係は下記式Bのようになり、自由体積半径(R3:単位nm)との関係が導かれる。
τ3=(1/2)[1−(R3/(R3+0.166))+(1/2π)sin(2πR3/(R3+0.166))]−1 式B
ここでは解析値のτ3および、それに応じた強度I3を消滅寿命と相対強度のデータとした。
(プロトン伝導率測定)
膜を水(温度:25℃)中で膨潤させ、その後2枚の白金箔電極で膜を挟んでプロトン伝導性測定用試料を作製し、ヒューレット・パッカード社製HP4192Aによりインピーダンス測定を行った。測定周波数範囲は10kHz〜1MHzとした。得られたインピーダンスの実数部分を横軸に、虚数部分を縦軸にしてプロットし、極小値の実数部分の値を膜抵抗R(Ω)とした。膨潤させたときの膜の厚みをd(μm)とすると、プロトン伝導率σ(S/cm)は式Cから求めることができる。
σ=10−4×d/R 式C
[調製例1]
ノルボルネンの開環重合体の粉末(日本ゼオン社製、ノーソレックスNB、重量平均分子量200万以上)3重量%、熱可塑性エラストマー(住友化学社製、TPE824)16重量%、重量平均分子量150万の超高分子量ポリエチレン81重量%からなる重合体組成物16重量部と流動パラフィン84重量部とをスラリー状に均一に混合し、160℃の温度で小型ニーダーを用い約60分溶解混練りした。その後これらの混練物を0℃に冷却されたロールまたは金属板に挟み込みシート状に急冷した。これらの急冷シート状樹脂を、115℃の温度でシート厚が0.5mmになるまでヒートプレスし、115℃の温度で同時に縦横4.5×4.5倍に二軸延伸し、ヘプタンを使用して脱溶媒処理を行った。その後、得られた微多孔フィルムを空気中で85℃・6時間熱処理し、ついで116℃で2時間熱処理して、本発明による多孔性基材A−1を得た。この多孔性基材は17μm、空孔率39%であった。
[実施例1]
ビニルスルホン酸(以下、「VSA」と略記する、旭化成ファインケム社製:純度98%)90mol%と架橋剤:メチレンビスアクリルアミド10mol%との混合モノマーを水で80wt%まで希釈した水溶液を調製し、VSA及びメチレンビスアクリルアミドの合計量100mol%に対して、水溶性アゾ系開始剤V−50(和光純薬工業製)1mo1%を添加した液を用意した。この液に調製例1で得られた膜基材A−1を浸漬し、6分間可視光を照射した後、80℃のオーブン中で1時間加熱した。
その後、膜の表面の余分なポリマーを除去し、蒸留水で十分に洗浄し、50℃のオーブン中で乾燥させ、さらに室温で真空乾燥機にて8時間減圧乾燥して膜B−1を得た。この膜のプロトン伝導率、陽電子消滅法による消滅寿命τ3と相対強度I3を得た。
[実施例2]
実施例1で得られた電解質膜B−1を蒸留水中に浸漬し、36時間後に取り出して表面の水を拭き取った膨潤電解質膜をB−2として陽電子消滅法による消滅寿命τ3と相対強度I3を測定した。
[実施例3]
VSA95mol%と架橋剤:メチレンビスアクリルアミド5mo1%との混合モノマーを水で80wt%まで希釈した水溶液を調製し、VSA及びメチレンビスアクリルアミドの合計量100mol%に対して、水溶性アゾ系開始剤V−50(和光純薬工業製)1mol%を添加した液を用意した。この液に膜基材A−1を浸漬し、6分間可視光を照射した後、80℃のオーブン中で1時間加熱した。
その後、膜の表面の余分なポリマーを除去し、蒸留水で十分に洗浄し、さらに50℃のオーブン中で乾燥させて膜B−3を得た。この膜のプロトン伝導率、陽電子消減法による消滅寿命τ3と相対強度I3を得た。
[実施例4]
実施例3で得られた電解質膜B−3を蒸留水中に浸漬し、36時間後に取り出して表面の水を拭き取った膨潤電解質膜をB−4として陽電子消滅法による消滅寿命τ3と相対強度I3を測定した。
[比較例1]
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下、「ATBS」と略記する)47.5mol%とVSA47.5mol%および架橋剤:メチレンビスアクリルアミド5mol%との混合モノマーを水で50wt%まで希釈した水溶液を調製し、ATBS及びメチレンビスアクリルアミドの合計量100mol%に対して、水溶性アゾ系開始剤V−50(和光純薬工業製)1mol%を添加した液を用意した。この液に膜基材A−1を浸漬し、6分間可視光を照射した後、50℃のオーブン中で18時間加熱した。その後、膜の表面の余分なポリマーを除去し、蒸留水で十分に洗浄し、さらに50℃のオーブン中で乾燥させて膜B−5を得た。この膜のプロトン伝導率、陽電子消滅法による消滅寿命τ3と相対強度I3を得た。
[比較例2]
比較例で得られた電解質膜B−5を蒸留水中に浸漬し、36時間後に取り出して表面の水を拭き取った膨潤電解質膜をB−6として陽電子消滅法による消滅寿命τ3と相対強度I3を測定した。
[比較例3]
Nafion115(デュポン社製)を膜B−7として用いた。この膜のプロトン伝導率、陽電子消滅法による消滅寿命τ3と相対強度I3を得た。
[比較例4]
比較例3で得られた電解質膜B−7を蒸留水中に浸漬し、36時間後に取り出して表面の水を拭き取った膨潤電解質膜をB−8として陽電子消滅法による消滅寿命τ3と相対強度I3を測定した。実施例、比較例で得られた膜特性を表1に示す。
Figure 0004811990
表1の結果が示すように、実施例で得られた電解質膜は、陽電子消滅寿命τ3、及び相対強度I3が小さく、自由体積空間サイズが小さいため、プロトン伝導性に優れた電解質膜であった。これに対して、比較例1〜2で得られた電解質膜は、陽電子消滅寿命τ3、及び相対強度I3が一定値以上であり、自由体積空間サイズが大きいため、プロトン伝導性が不十分であった。また、従来から使用されているパーフルオロカーボンスルホン酸からなる電解質膜では、自由体積空間サイズが大きく、プロトン伝導性が不十分であった。

Claims (3)

  1. 多孔性基材の細孔内にプロトン伝導性ポリマーを充填してなる電解質膜において、陽電子消滅法により求められる陽電子消滅寿命τ3(ns)の値がτ3<2であり、かつ、相対強度I3(%)がI3<9であり、
    前記プロトン伝導性ポリマーが構成成分としてのビニルスルホン酸又はアリルスルホン酸からなり、かつ該構成成分100重量部に対して3〜30重量部の重合性架橋剤により架橋されていることを特徴とする電解質膜。
  2. 前記多孔性基材は、ポリオレフィン類からなる群から選ばれる少なくとも1種の第1ポリマーと、反応性の官能基を有する第2ポリマーとを含有する樹脂組成物を架橋してなる請求項に記載の電解質膜。
  3. 請求項1又は2に記載の電解質膜を用いてなる固体高分子型燃料電池。
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