以下、本発明の最良な実施の形態について、図面に示す実施例を基に説明する。なお、各図において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色毎に配設されているものについては、符号の後に「Y」、「M」、「C」、「K」の英字が付されているものがある。
まず、本発明に係る画像形成装置10の概要について説明する。図1、図2で示すように、画像形成装置10は、像担持体(感光体)20及び現像ユニット16を着脱可能に収容する本体フレーム12と、その像担持体20及び現像ユニット16さらに後述する定着装置38を開放・閉塞するカバー体14と、を有しており、そのカバー体14に、記録用紙Pを吸着搬送可能な搬送ベルト34等を備えた搬送ユニット18が着脱可能に取り付けられている。このカバー体14は、装置前面を開放・閉塞する前面カバー部14Aと、装置上面を開放・閉塞する上面カバー部14Bとで構成され、側面視でL字状をしている。
現像ユニット16には、ローラー状の像担持体20の表面を一様に帯電する帯電ローラー22と、画像データに基づいて像担持体20に画像光を照射し、静電電位の差による潜像を形成する光学箱24と、潜像にトナーを選択的に転移して可視化する現像ローラー26と、トナー像が転写された後の像担持体20に摺接し、その像担持体20に残留するトナーをクリーニングするクリーニング部材28と、が備えられている。
像担持体20は、表面(周面)に感光体層を有し、帯電ローラー22によって、その表面(周面)を一様に帯電された後、光学箱24から照射されるレーザー光(画像光)によって、その表面(周面)を露光され、その露光された部分の電位が減衰することにより静電潜像(画像)を形成される。なお、帯電ローラー22は、像担持体20に当接し、これらの間に電圧が印加され、当接部付近の微少間隙内で放電が生じることにより、像担持体20の表面(周面)を略一様に帯電する。
光学箱24は、点滅するレーザー光を像担持体20の表面(周面)に走査させ、画像データに基づいた静電潜像を像担持体20の表面(周面)上に形成する。なお、光学箱24としては、LED等の発光素子を配列し、これらを画像データに基づいて点滅させるものなどが考えられる。
現像ローラー26は、像担持体20と近接して対向するように配置され、この現像ローラー26と像担持体20との間に現像バイアス電圧が印加されるようになっている。これにより、現像ローラー26と像担持体20との間には現像バイアス電界が形成され、電荷を有するトナーが像担持体20上の露光された部分に転移して可視像を形成する。
一方、搬送ユニット18は、少なくとも駆動ローラー30と従動ローラー32に張架された搬送ベルト34を備えており、その搬送ベルト34の内面側で、駆動ローラー30と従動ローラー32の間の所定位置には、転写ローラー36が所定間隔を隔てて複数(後述する各色に対応して4個)配設されている。
この転写ローラー36は、カバー体14が閉じられたとき(カバー体14を本体フレーム12側に回動して像担持体20等を閉塞したとき)、搬送ベルト34を挟んで像担持体20と対向するようになっており、像担持体20との間に転写電界を形成することによって、搬送ベルト34に吸着されて通過する記録用紙P上に、像担持体20表面のトナー像(未定着像)を転写させるようになっている。
また、搬送ユニット18は、記録用紙Pの搬送経路を間に置いて従動ローラ32と対向した帯電ローラー35を備えている。この帯電ローラー35は、記録用紙P、搬送ベルト28を従動ローラー32と狭持すると共に、記録用紙Pを帯電して搬送ベルト28の吸着搬送面に静電吸着させる。
また、搬送ユニット18は、搬送ベルト34をクリーニングするクリーニング部84を備えている。このクリーニング部84は、搬送ベルト34とカバー体14との間に設けられた回収ボックス86と、回収ボックス86に支持され、先端部を搬送ベルト34に当接させたブレード88とを備えている。クリーニング部84は、ブレード88によって搬送ベルト34に付着したトナーや紙粉等を掻き取り、ブレード88によって掻き取ったトナーや紙粉等を回収ボックス86に集積させる。
また、搬送ユニット18は、表面にプリントが行われた記録用紙Pを表裏反転させて搬送ベルト34の吸着搬送面へ搬送する両面搬送部90を備えている。この両面搬送部90は、搬送ベルト34とカバー体14との間で鉛直方向に配列された複数の搬送ローラー対92と、搬送ローラー対92によって搬送される記録用紙Pをガイドするガイド板53D、55Cとを備えている。
ここで、現像ユニット16は、フルカラーの印刷が可能なように、例えば、下からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に鉛直方向に配設されており、これら現像ユニット16Y〜16Kよりも記録用紙Pの搬送方向下流側(本体フレーム12の上部)には、定着装置38が配設されている。
定着装置38は、互いの周面が対向して所定の圧力で圧接(ニップ)される加熱ローラー40と加圧ローラー42とを備えており、これら加熱ローラー40及び加圧ローラー42で記録用紙P上に転写された未定着のトナー像を加熱・加圧することにより、その記録用紙Pにトナー像を定着するようになっている。
なお、定着装置38(加熱ローラー40及び加圧ローラー42)によって加熱・加圧されてトナー像が定着された記録用紙Pは、排紙トレイ44上へ排出される。そして、記録用紙Pへトナー像を転写終了後、像担持体20の表面(周面)は、クリーニング部材28によってクリーニング処理され、次回の作像処理に備えるようになっている。
また、本体フレーム12の下部には、着脱自在な給紙カセット46が備えられている。この給紙カセット46は、記録用紙Pが送り出される方向と逆方向に引き抜き可能となっており、適宜記録用紙Pを給紙できるようになっている。
そして、給紙カセット46の先端部近傍には、給紙カセット46内から記録用紙Pを1枚ずつ送り出す給紙ローラー対48が設けられており、給紙ローラー対48から送り出された記録用紙Pは、レジストローラー対45によって、所定のタイミングで搬送ベルト34の吸着搬送面へ送り出され、各色のトナー像の転写位置へ搬送される。
また、本体フレーム12の上部には、画像読取装置200が備えられている。図3で示すように、画像読取装置200は、平面視すると略四角形状をしており、本体フレーム12の左右の端部に立設する第一支柱部300と第二支柱部302の上に取り付けられている。
また、画像読取装置200は、画像読取装置200の上部に回動可能に取付けられた押さえ板202と、押さえ板202の下に設けられ、上面に原稿を載置するプラテンガラス等からなる透明な原稿台204と、押さえ板202の上部に設けられた自動原稿送り装置206と、原稿台204の下方に設けられ、原稿台204に載置された原稿を読み取るCCD等からなる読取バー208と、画像読取装置200の手前側に設けられた操作部210とを備えている。読取バー208は、正面側から奥側に細長い。また、読取バー208は、走査駆動機構212によって、矢印W方向に走査され、原稿台204に載置された原稿の画像を読み取る。また、操作部210の上面には操作キーが設けられており、この操作キーが操作されることによって、画像読取装置200による原稿の読取の開始、停止が実行される。
以上のような構成の画像形成装置10において、次にカバー体14に着脱可能に取り付けられる搬送ユニット18について、更に詳細に説明する。図4乃至図6で示すように、搬送ユニット18は、略矩形箱状とされた筐体50を有し、その筐体50の一端部(上端部)に駆動ローラー30が回転可能に軸支され、他端部(下端部)に従動ローラー32が回転可能に軸支されている。そして、その駆動ローラー30と従動ローラー32に、記録用紙Pを静電吸着可能な搬送ベルト34が巻回・張架されている。
また、搬送ベルト34の内面側で、駆動ローラー30と従動ローラー32の間には、各色毎に所定間隔を隔てて転写ローラー36Y〜36Kが配設されており、各転写ローラー36Y〜36Kも筐体50に回転可能に軸支されている。図1で示すように、各転写ローラー36Y〜36Kは、カバー体14が閉じられたときに、搬送ベルト34を挟んで、各像担持体20Y〜20Kに所定の圧力で圧接するようになっており、搬送ベルト34の走行に追従して回転するようになっている。
また、図4乃至図6で示すように、筐体50よりも外側へ突出している駆動ローラー30の回転軸30Aの一端部には、駆動ローラー30に回転動力を伝達するためのギア52が固着されており、そのギア52よりも内側で、筐体50よりも外側の回転軸30Aには、環状部材54が遊嵌されている。そして、同様に、筐体50よりも外側へ突出している他端部側の回転軸30Aには、環状部材56が遊嵌されている。
一方、図2、図7で示すように、本体フレーム12の上部側の所定位置には、各環状部材54、56が当接する側面視略「U」字状の凹部60(第1規制部)が左右一対として形成されている。また、図4、図6で示すように、筐体50の外面側(カバー体14側)には、複数(図示のものは4個)の付勢機構58が設けられており、カバー体14が閉じられたときに、搬送ユニット18を本体フレーム12側へ所定の圧力で押圧するようになっている。
したがって、図8で示すように、各環状部材54、56は凹部60にそれぞれ確実に当接し、これによって、駆動ローラー30の径方向(軸方向と直交する方向)の移動が規制され、本体フレーム12に対する搬送ユニット18の位置、即ち像担持体20に対する転写ローラー36(搬送ベルト34)の位置が適切な位置に規制される。なお、凹部60の形状は図示の略「U」字状に限定されるものではなく、例えば略「V」字状等であってもよい。
また、図4、図5で示すように、環状部材56が取り付けられている側(ギア52が設けられていない他端部側)の筐体50の辺縁部で、少なくとも転写ローラー36Yと転写ローラー36Mとの間、及び転写ローラー36Cと転写ローラー36Kとの間は厚肉に成形され、その厚肉とされた係合面50Aに、平板状の突起部62(係合部)が、駆動ローラー30や従動ローラー32の径方向(軸方向と直交する方向)へ向かって所定高さ突設されている。
ここで、搬送ユニット18を本体フレーム12に対して好適に位置規制するためには、その上下両端部分で位置規制することが望ましい。したがって、この場合は、凹部60にて上記径方向(軸方向と直交する方向)に位置規制をするため、突起部62の少なくとも1つは、凹部60からなるべく離隔した位置に設けることが望ましい。よって、図示するように、突起部62の1つは、例えば駆動ローラー30(凹部60)から最も遠い転写ローラー36Yと2番目に遠い転写ローラー36Mとの間に突設されている。
一方、これに対応して、各現像ユニット16Y〜16Kを上記軸方向の両端下部から支持して収容可能とする本体フレーム12の支持部66のうち、現像ユニット16Yと現像ユニット16Mとの間、及び現像ユニット16Mと現像ユニット16Cとの間の支持部66には、図7で示すように、突起部62が遊挿可能とされるスリット部64(第2規制部)が形成されている。
図10で示すように、このスリット部64の深さDは、突起部62の突出高さHよりも大(D>H)とされており、カバー体14を閉じたときに、突起部62が突設されている筐体50の厚肉とされた部分の係合面50Aに、スリット部64が形成されている支持部66の先端面66Aが当接するようになっている。
また、図11で示すように、環状部材54が取り付けられている側(ギア52が取り付けられている一端部側)の筐体50の辺縁部で、少なくとも転写ローラー36Yと転写ローラー36Mとの間は厚肉に形成され、その厚肉とされた部分の係合面50Bに、支持部66の先端面66Aが当接するようになっている。
これにより、搬送ユニット18の駆動ローラー30の径方向(軸方向と直交する方向)の移動が更に規制され、本体フレーム12に対する搬送ユニット18の位置、即ち像担持体20に対する転写ローラー36(搬送ベルト34)の位置が、より適切な位置に規制される構成である。
また、図7で示すように、支持部66の上部(又は下部でもよいが)には、板バネ68が配設されており、その基部68Aが本体フレーム12に固着されている。そして、図8乃至図10で示すように、スリット部64に突起部62が遊挿される際、その突起部62の外側面(又は内側面でもよいが)が、板バネ68の作用部68Bによって駆動ローラー30(従動ローラー32)の軸方向へ押圧されるようになっている。
これにより、搬送ユニット18が、駆動ローラー30(従動ローラー32)の軸方向一端部側(又は幅方向他端部側)へ所定の圧力で押圧されることになるので、搬送ユニット18(搬送ベルト34)の駆動ローラー30(従動ローラー32)の軸方向への移動が規制され、印刷中において、例えば、ユーザーが誤ってカバー体14を押さえたり、カバー体14に物が衝突した場合でも、カバー体14に設けられた搬送ユニット18(搬送ベルト34)の位置ずれが生じない構成である。
なお、図示の板バネ68に変えて、トーションバネ(図示省略)等を用いてもよい。また、本体フレーム12側に突起部62と同等のものを形成し、筐体50側にスリット部64と同等のものを形成する構成としても、同様な効果が得られることは言うまでもない。
また、図12で示すように(図12では環状部材54、56が省略されている)、搬送ベルト34の幅方向一端部側(ギア52が取り付けられている側)の内面(裏面)には、リブ状突起70が搬送ベルト34の走行方向に沿って1列に突設されており、そのリブ状突起70が駆動ローラー30及び従動ローラー32の一端部側(ギア52が取り付けられている側)に形成された凹溝72に係合(遊挿)するようになっている。したがって、搬送ベルト34は駆動ローラー30及び従動ローラー32の軸方向に蛇行し難い構成である。
また、これにより、駆動ローラー30及び従動ローラー32に搬送ベルト34を張架させるときには、リブ状突起70が邪魔になるため、その凹溝72が形成されている側から搬送ベルト34を各ローラー30、32に巻回する。このため、突起部62は、その凹溝72が形成されていない他端部側(ギア52が取り付けられていない側)に突設することが好ましく、これによって、各ローラー30、32に対する搬送ベルト34の組立性(巻回・張架)が損なわれないようにできる(突起部62が邪魔にならないで組み込める)。
また、図4乃至図6で示すように、搬送ユニット18は、駆動ローラー30、従動ローラー32、転写ローラー36、帯電ローラー35等を備える第1ユニット18Aと、後述する駆動ローラー92B等を備える第2ユニット18Bとで構成されている。また、筐体50は、駆動ローラー30、従動ローラー32、転写ローラー36及び帯電ローラ35を支持する矩形状の枠体である第1筐体部51と、第1筐体部51がネジ止めされた矩形状の箱体である第2筐体部53と、第2筐体部53のカバー体14側の面を境に第2筐体部53から分割された矩形状の板材である第3筐体部55とで構成されている。
第1筐体部51は、駆動ローラー30、従動ローラー32、転写ローラー36及び帯電ローラー35の軸方向両端部を軸受(図示省略)を介して支持する一対の側板51A、51Bと、この一対の側板51A、51Bを支持する支持板51Cとで構成されている。側板51Aには上述した係合面50Bが形成され、側板51Bには上述した係合面50A、突起62、64が形成されている。また、支持板51Cは、搬送ベルト34の内周側に収容されている。また、側板51A、51Bにはそれぞれ2箇所ずつ、第1筐体部51を第2筐体部53にネジ止めするためのネジ締結部57が設けられている。
また、第2筐体部53は、ネジ締結部57と対向するネジ締結部59がそれぞれ2箇所ずつ設けられた一対の側板53A、53Bと、第1筐体部51の支持板51Cと対向する平板53Cと、平板53Cの第3筐体部55側に設けられ緩やかに湾曲したガイド板53Dとで構成されている。
ガイド板53Dには、搬送ローラー対92による記録用紙Pの搬送方向(以下、反転搬送方向という)と直交する方向へ並列され、反転搬送方向に沿って延びる複数本のリブ53Eが形成されている。また、ガイド板53Dの反転搬送方向上流側及び下流側にはそれぞれ1本ずつ、従動ローラー92Aが回転可能に支持されている。
また、側板53A、53Bの反転搬送方向下流側(下側)にはそれぞれ、ボス49が立設されている。これに対して、図2で示すように、カバー体14の前面カバー部14Aの下側には、ボス49を回転可能に支持する支持部47が立設されている。図13(A)、(B)で示すように、この支持部47は、ボス49が回転可能に挿入される長孔47Aと、長孔47Aよりも幅が狭く、長孔47Aから非支持側の端部へ延びるスリット47Bが形成された板材である。
ここで、ボス49の断面形状は、軸心に対して対称な一対の円弧状の部分と、軸心に対して対称な一対の直線状の部分とからなる細長い形状となっている。このボス49の一対の円弧状の部分の半径は、支持部47の長孔47Aの円弧状の部分の半径より若干量だけ小さくなっており、ボス49が、長孔47Aの円弧状の部分に当接した状態で径方向へ若干量だけ変位可能となっている。また、ボス49の厚みは、支持部47のスリット47Bの間隔よりも狭くなっており、ボス49を縦方向に長くなる向き(縦向き)にすると、ボス49がスリット47Bを通過可能で、ボス49を横方向に長くなる向き(横向き)にすると、ボス49がスリット47Bを通過不能となる。
また、ボス49の一対の円弧状の部分が、側板53Aの長手方向へ並び、ボス49の一対の直線状の部分が、側板53Aの短手方向へ並ぶように、ボス49の周方向の位置が定められており、カバー体14を開放し、第2筐体部53を縦向きにした状態で、ボス49を支持部47にセットできるようになっている。
また、図4乃至図6で示すように、側板53A、53Bにはそれぞれ、第3筐体部55側に開口したU字状の位置決め部材63、65が設けられている。
また、第3筐体部55は、位置決め部材63が係合するピン67が形成された側板55Aと、位置決め部材65が係合するピン69が形成された側板55Bと、ガイド板53Dと対向し緩やかに湾曲したガイド板55Cとで構成されている。ガイド板55Cには、反転搬送方向と直交する方向へ配列され、反転搬送方向に沿って延びる複数本のリブ55Dが形成されている。また、側板55A、55Bは、反転搬送方向へ配列された2本の駆動ローラー92Bを軸受(図示省略)を介して回転可能に支持している。この2本の駆動ローラー92Bは、それぞれ従動ローラー92Aと対向しており、従動ローラー92Aと共に搬送ローラー対92を構成している。また、側板55Aには、駆動ローラー92Bを駆動するためのモータやギア列を含む駆動部73が取り付けられている。
また、図6、図14に示すように、ガイド板55Cの反転搬送方向の上流端部及び下流端部にはそれぞれ、係合部75、77が設けられている。これに対して、カバー体14には、それぞれ被係合部75、77が係合する被係合部79、81が設けられている。係合部75、被係合部79がそれぞれ、ガイド板55Cの上側、カバー体14の前面カバー部14Aの上側に設けられ、係合部77、被係合部81がそれぞれ、ガイド板55Cの下側、カバー体14の前面カバー部14Aの下側に設けられている。
係合部77は、ガイド板55Cの反転搬送方向下流端部(下端部)から反転搬送方向下流側(下側)へ延びる板状部材である。また、被係合部81は、カバー体14の前面カバー部14Aの下側に立設され、係合部77が挿入されるスリット81Aが形成された板材である。また、係合部75は、ガイド板55Cの反転搬送方向上流端部(上端部)に形成された板状部材で、被係合部79は、カバー体14の前面カバー部14Aの上側に立設された爪部材である。
また、ガイド板55Cのリブ55Dが形成されたガイド面の裏面には、4個の付勢機構58が取り付けられている。各付勢機構58は、圧縮コイルバネ85と、圧縮コイルバネ85をガイド板55Cの裏面に支持する支持部87と、圧縮コイルバネ85の非支持側の端部に取り付けられた当接部材89とで構成され、ガイド板55Cの裏面の上下左右に所定間隔で配設されている。
ここで、第3筐体部55は、係合部75と被係合部79、係合部77と被係合部81が係合した状態で、反転搬送方向下流側(下側)へスライド可能となっており、第3筐体部55を下側へスライドさせることで、係合部75と被係合部79との係合が解除される。すると、第3筐体部55が、付勢機構58の付勢力によって、係合部77を支点として上側へ回動される。この状態で、係合部77を被係合部81のスリット81Aから引き抜くことができ、第2ユニット18Bをカバー体14から取り外すことができる。また、第2ユニット18Bをカバー体14に装着する際は、まず、係合部77を被係合部81のスリット81Aの奥側まで挿入し、第2ユニット18Bを、係合部77を支点として下側へ回動させる。すると、付勢機構58がカバー体14に当接するので、第2ユニット18Bを、付勢機構58の付勢力に抗して下側へ回動させる。そして、第2ユニット18Bをカバー体14の上側へスライドさせることで、係合部75と被係合部79とが係合し、第2ユニット18Bが、カバー体14上で停止する。この際、第2ユニット18Bは、カバー体14に固定されておらず、全方向へ若干量だけ移動可能となっている。
また、図13(A)で示すように、第1ユニット18Aを縦向きにした状態で、第2筐体部53の下側に設けられたボス49を支持部47に装着でき、ボス49が支持部47内で回転可能となる。そして、第1ユニット18Aを、ボス49を支点として下側へ回動させると、一対のロック機構100(図15参照)が作動して、第1ユニット18Aがカバー体14上で停止する。
以下、このロック機構100について説明する。なお、一対のロック機構100は、左右対称な構成になっており、ここでは、第2筐体53の側板53A側に設けられたロック機構100について説明する。
図15乃至図17で示すように、ロック機構100は、側板53Aの反転搬送方向上流側(駆動ローラー30の近傍)に、反転搬送方向と直交する方向(以下、幅方向という)へスライド可能に設けられたロック軸102と、カバー体14の前面カバー部14Aの上側に設けられロック軸102と係合可能な被係合部104と、ロック軸102を幅方向の外側へ付勢する圧縮コイルバネ106と、ロック軸102と被係合部104との係合を解除させるロック解除機構108とを備えている。
ロック軸102は、矩形柱状の軸体で、軸方向の一端部に円筒状のロック部102Aが形成されている。このロック部102Aが幅方向の外側に位置するように、ロック軸102が配設されている。また、側板53Aには、ロック軸102を幅方向へスライド可能に支持するレール110が形成されている。レール110は、平板53C側のコ字状の第1レール部110Aとガイド板53D側のコ字状の第2レール部110Bとに分割されている。
また、ロック軸102の軸方向の他端部には、第1レール部110A、第2レール部110Bと係合可能な一対のロック爪102Bが形成されている。ここで、ロック軸102は、圧縮コイルバネ106によって幅方向の外側へ付勢されており、一対のロック爪102が第1レール部110A、第2レール部110Bに係合することで、ロック軸102の幅方向外側へのスライド動作が停止される。また、ロック部102Aのガイド部53D側はテーパ状に傾斜したカム部102Dとなっている。
これに対して、被係合部104は、ロック部102Aを挿入可能な長孔104Aが形成された板材で、カバー体14の前面カバー部14Aから第2筐体部53の幅方向の外側へ立設されている。第1ユニット18Aを、ボス49を支点として下側の所定位置まで回動させると、カム部102Dが、被係合部104に当接することによって、ロック軸102が圧縮コイルバネ106の付勢力に抗して幅方向の内側へ押込まれ、さらに、第1ユニット18Aを下側の所定位置まで回動させると、ロック部102Aが、長孔104Aと対向し、圧縮コイルバネ106の付勢力で幅方向の外側へスライドして長孔106Aに挿入するようになっている。
図18で示すように、この状態で、第2ユニット18Bが付勢機構58によって第1ユニット18A側へ付勢され、側板53Aに設けられたU字状の位置決め部材63が、第3筐体部55の側板55Aに設けられたピン67と係合し、側板53Bに設けられたU字状の位置決め部材65が、第3筐体部55の側板55Bに設けられたピン69と係合する。これによって、第2ユニット18Bが第1ユニット18Aに対して位置決めされる。
なお、ロック部102Aの直径は、長孔104Aの円弧状の部分の直径よりも若干量だけ狭くなっており、ロック部102Aは、長孔104Aの円弧状の部分に当接した状態で、全方向へ若干量だけ変位可能となっている。
また、図15乃至図17で示すように、ロック解除機構108は、側板53Aに回動可能に取り付けられた操作レバー112と、操作レバー112とロック軸102とを連結するリンク機構114とを備えている。操作レバー112は、矩形板状の把手部112Aと、把手部112Aの短手方向の一端部に設けられ把手部112Aの長手方向へ延びる回転軸112Bとを備えている。
また、側板53Aの第1レール部110Aと平板53Cとの間には、回転軸112Bが回転可能に取り付けられる取付け部116が設けられている。この取付け部116は、回転軸112Bの軸方向が、転写ベルト34の吸着搬送面と略平行になるように、回転軸112Bを保持している。このため、把手部112Aは、搬送ベルト34の吸着搬送面の法線方向へ移動可能である。
また、リンク機構114は、それぞれ回転軸112Bの軸方向の一端部及び他端部と一体で形成された一対の第1リンク部材112Cと、各第1リンク部材112Cと一体で形成された一対の軸112Dと、ロック軸102に形成された一対の軸102Cと、各軸112Dと各軸102Cとを連結する一対の第2リンク部材118とを備えている。
第1リンク部材112Cは、細長い板材で、長手方向一端部に回転軸112Bが一体で形成され、長手方向他端部に軸112Dが一体で形成されている。軸112Dは、回転軸112Bが設けられた面の裏面に設けられている。
また、ロック軸102の反転搬送方向に対向する一対の壁面には、それぞれ軸102Cが一体で形成されている。この軸102Cは、第1レール部110Aと第2レール部110Bとの隙間に面して設けられている。
また、第2リンク部材118は、細長い板材で、長手方向中央部に円孔118Cが形成され、長手方向一端部及び他端部にそれぞれ、U字状の切欠き部118A、118Bが形成されている。円孔118Cは、第1レール部110Aの反転搬送方向に対向する一対の壁面に設けられた回転軸110Cに回転可能に取付けられ、切欠き部118Aには軸112Dがスライド可能に取り付けられ、切欠き部118Bには軸102Cがスライド可能に取り付けられている。回転軸112B、軸112D、軸102C、第1リンク部材112Cの法線方向、及び、第2リンク部材118の法線方向は、略平行になっており、操作レバー112の回動動作が、ロック軸102のスライド動作に変換される。図15で示すように、操作レバー112を搬送ベルト34側へ回動させると、ロック軸102が、圧縮コイルバネ106の付勢力に抗して側板53Aの内側へ押込まれ、ロック部102Aが長孔104Aから抜け出す。そして、図17で示すように、把手部112Aから手を離すと、圧縮コイルバネ106の付勢力によって、操作レバー112がカバー体14側へ回動されると共に、ロック軸102が側板53Aの外側へ押し出されてロック部102Aが長孔104Aに挿入される。
次に、以上のような構成の画像形成装置10の作用について説明する。まず、給紙ローラー対48により、給紙カセット46内から1枚ずつ記録用紙Pが取り出され、レジストローラー対45によって所定のタイミングで搬送ベルト34上に送られる。搬送ベルト34上に送られた記録用紙Pは、その搬送ベルト34によって静電吸着され、各色の像担持体20Y〜20Kへ搬送される。
一方、現像ユニット16では、まず、帯電ローラー22によって像担持体20の表面(周面)が一様に帯電される。そして、光学箱24からレーザー光(画像光)が像担持体20の表面(周面)に走査され、画像データに基づいた静電潜像が像担持体20の表面(周面)上に形成される。その後、現像ローラー26によってトナーが像担持体20上に転移され、その像担持体20の表面(周面)に可視像が形成される。
こうして、像担持体20の表面(周面)に可視像が形成されたら、搬送ベルト34に吸着搬送されて通過する記録用紙P上に、像担持体20表面のトナー像(未定着像)が、像担持体20と転写ローラー36によって転写される。これをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に行い、記録用紙P上にフルカラーのトナー像(未定着像)が転写されたら、記録用紙Pは、搬送ベルト34によって定着装置38へ搬送される。
定着装置38に搬送された記録用紙Pは、加熱ローラー40及び加圧ローラー42によって、それに転写されている未定着のトナー像が加熱・加圧されて定着される。そして、定着装置38によってトナー像が定着された記録用紙Pは、排紙トレイ44上へ排出される。なお、記録用紙Pへのトナー像の転写終了後、像担持体20の表面(周面)は、クリーニング部材28によってクリーニング処理され、次の作像処理に備える。
ここで、記録用紙Pの紙詰まりや現像ユニット16のメンテナンス(トナーの補給)時には、図18で示すように、カバー体14を本体フレーム12から離隔させる方向へ回動して、現像ユニット16(像担持体20)を開放する。そして、所定の作業後、図19で示すように、カバー体14を本体フレーム12側へ回動させて、現像ユニット16(像担持体20)を閉塞する。
このとき、図8で示すように、筐体50から外方側へ突出している駆動ローラー30の回転軸30Aの両端に遊嵌されている環状部材54、56が、筐体50の外面側(カバー体14側)に当接しているコイルバネ58の付勢力により、本体フレーム12に形成されている凹部60に所定の圧力で当接する。
また、図8乃至図10で示すように、筐体50の一方の辺縁部に突設されている突起部62が、本体フレーム12に形成されているスリット部64に遊挿されるとともに、スリット部64が形成されている支持部66の先端面66Aが筐体50の係合面50Aに当接する。また、図11で示すように、支持部66の先端面66Aが筐体50の係合面50Bに当接する。これにより、搬送ベルト34(転写ローラー36)と像担持体20との位置が適切な位置に規制される。
また、本体フレーム12に取り付けられている板バネ68が、突起部62の外側面を押圧する。これにより、搬送ユニット18は、搬送ベルト34の幅方向一端部側(駆動ローラー30や従動ローラー32の軸方向一端部側)へ付勢される。つまり、搬送ユニット18は、駆動ローラー30の径方向(軸方向と直交する方向)だけではなく、駆動ローラー30や従動ローラー32の軸方向への移動も規制される。
したがって、印刷中において、例えば、カバー体14に物が衝突するなどして、カバー体14が押されても、カバー体14に設けられた搬送ユニット18の搬送ベルト34が、現像ユニット16(像担持体20)に対して主走査方向(上記軸方向)へ位置ずれすることを有効に抑制することができる。よって、フルカラーの印刷時において、主走査方向(上記軸方向)におけるカラーレジストレーションの改善を図ることができる。これは、記録用紙Pが厚紙類のときに特に有効となる。
また、図15、図18で示すように、第1ユニット18Aをカバー体14から取外す際には、まず、操作レバー112を上方(第2筐体部53を取外す方向)へ持ち上げ、ロック部102Aを長孔104Aから抜出す。次に、図13(B)で示すように、第1ユニット18Aを、ボス49を支点として上方(カバー体14から離れる方向)へ回動させ、図13(A)で示すように、第1ユニット18Aを縦向きにして、ボス49を長孔47Aから抜出す。これによって、第1ユニット18Aをカバー体14から取外す操作が完了する。
ここで、図15で示すように、操作レバー102が、第1ユニット18Aがカバー体14に着脱される方向へ変位可能となっており、操作レバー102の操作即ちロック部102Aと長孔104Aとの係合を解除する操作と第1ユニット18Aをカバー体14から持ち上げる操作との方向が同一なので、第1ユニット18Aをカバー体14から取外す操作の操作性が良い。
また、図15、図17で示すように、側板53A、側板53Bには、把手部119が一体で形成されている。なお、側板53A側のみ図示している。この把手部119は、操作レバー112の把手部112Aと並べて設けられた板材である。
ここで、ユーザーが把手部119を掴む際、把手部112Aを一緒に掴むことが可能となっており、ロック部102Aと長孔104Aとの係合を解除する操作と第1ユニット18Aを上側に回動させる操作とを一緒に行うことができるので、第1ユニット18Aをカバー体14から取外す操作の操作性が良い。
なお、把手部119を掴む操作と、ロック部102Aと長孔104Aとの係合を解除する操作とを一緒に実行可能とするための構成としては、図20で示すように、操作レバー112の把持部112Aを、側板53Aの凹部121に設け、この凹部121の上側を把手部119とし、把手部119を掴む際、凹部121に指が入り、把手部112Aが押されるような構成等の他の構成も適用可能である。
また、第1ユニット18Aをカバー体14に装着する際には、まず、図13(A)で示すように、第1ユニット18Aを縦向きにしてボス49を長孔47Aに挿入する。次に、図13(B)で示すように、第1ユニット18Aを、ボス49を支点として、下方(カバー体14に近付く方向)へ回動させ、図18で示すように、第1ユニット18Aを横向きに倒してロック部102Aを長孔104Aに係合させ、第1ユニット18Aをカバー体14上で停止させる。この操作は、第1ユニット18Aをカバー体14に対して直線的に移動させて装着する場合と比較して操作性が良い。
ここで、第1ユニット18Aの一端側と他端側との2箇所に係合部を設けたことによって、第1ユニット18Aのカバー体14上での姿勢が安定する。また、カム部53の作用によって、ロック部102Aと長孔104Aとの係合が自動的に行われるので、操作性が良い。
また、第1ユニット18Aを、ボス49を支点として回動させる際、付勢機構58の付勢力が第1ユニット18Aに作用してダンパー効果を発揮する。これによって、ロック部102Aのカム部102Dと係合部47との当接の際の衝撃を緩和でき、第1ユニット18Aをカバー体14に装着する操作の安全性が向上する。
また、ロック軸102を、付勢機構58が第1ユニット18Aを付勢する方向に対して直交する方向へ直線移動可能としたことで、第1ユニット18Aが停止位置まで押込まれた時点でロック部102Aを長孔104Aに係合させることができる。従って、オーバーハングが必要であった従来技術と比較して、第1ユニット18Aをカバー体14へ装着する操作に要する力量を低減でき、第1ユニット18Aをカバー体14へ装着する操作の操作性を向上できる。
また、ロック軸102を直線移動可能としたことで、圧縮コイルバネ106の付勢力によって、ロック部102Aが長孔104Aの孔壁に押し付けられることが無いようになっている。また、ロック部102A、ボス49がそれぞれ長孔104A内、長孔47A内で全方向へ若干量だけ変位可能とされている。このため、第1ユニット18Aが、カバー体14に対する相対位置を、所定の範囲内で自由に変化させることが可能である。従って、図19で示すように、第1ユニット18Aを本体フレーム12に対して位置決めする際に、第1ユニット18Aを所望の位置へ正確に配置できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、説明は省略する。
図21、図22で示すように、本実施形態の画像形成装置120では、本体フレーム12を開放・閉塞するカバー体14に、搬送ベルト34の他に中間転写ベルト122を備える搬送ユニット124が着脱可能に設けられている。この搬送ユニット124は、搬送ベルト34等を備える第1ユニット124A、駆動ローラー92B等を備える第2ユニット124B、中間転写ベルト122等を備える第3ユニット124Bで構成されている。
また、搬送ユニット122の筐体126は、中間転写ベルト124を張架する駆動ローラー130、複数本の従動ローラー132、及び転写ローラー134Y、134M、134C、134Kを軸受(図示省略)を介して回転可能に支持する第4筐体部136と、第1筐体部51と第2筐体部53と第3筐体部55とで構成されている。第4筐体部136は、ロック機構100と同じ構成のロック機構138によって第2筐体部53にロックされる。また、第4筐体部136には、突起62、係合面50A、50B(図4参照)が設けられており、第4筐体部136は、カバー体14を閉じた状態で、本体フレーム12に位置決めされる。
ここで、本実施形態においても、上記と同様に、第3ユニット124Cが停止位置まで押込まれた時点でロック機構138を作動させることができるので、オーバーハングが必要であった従来技術と比較して、第3ユニット124Cをカバー体14へ装着する操作に要する力量を低減でき、第3ユニット124Cをカバー体14へ装着する操作の操作性を向上できる。
また、第3ユニット124Cが、カバー体14に対する相対位置を、所定の範囲内で自由に変化させることが可能となっているので、第3ユニット124Cを本体フレーム12に対して位置決めする際に、第3ユニット124Cを所望の位置へ正確に配置できる。
なお、第1、第2実施形態では、カバー体に装着されるユニットを、搬送ベルト34や両面搬送部90や中間転写ベルト122等を備えるユニットとしたが、現像ユニット等の他のユニットがカバー体に装着される構成にも、本発明を適用可能である。
また、第1、第2実施形態では、付勢機構58による第1ユニット18Aを付勢する方向を、閉じた状態で本体フレーム12側となる方向としたが、第1ユニット18Aをカバー体から取外す方向であれば良く、装置の上側等の他の方向であっても良い。また、付勢機構58は、第2ユニット18Bではなく、カバー体14に設けても良い。
また、第1、第2実施形態では、ロック軸102、ボス49を第1ユニット18Aに、被係合部104、支持部47をカバー体14に設けたが、ロック軸102、ボス49をカバー体14に設け、被係合部104、支持部47を第1ユニット18Aに設けても良い。