以下、本発明の好適な実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の課題の解決に必須のものとは限らない。
(第1の実施形態)
図1及び図2は、本発明の撮像装置の第1の実施形態であるデジタル一眼レフカメラの外観を示す斜視図である。具体的には、図1はカメラ前面側より見た斜視図であって、撮影レンズユニットを外した状態を示し、図2はカメラ背面側より見た斜視図である。
図1において、1はカメラ本体であり、撮影時に使用者がカメラを安定して握り易いように前方に突出したグリップ部1aが設けられている。2はマウント部であり、着脱可能な撮影レンズユニット200a(図3参照)をカメラ本体1に固定させる。マウント接点21は、カメラ本体1と撮影レンズユニット200aとの間で制御信号、状態信号、データ信号などをやり取りすると共に、撮影レンズユニット側に電力を供給する機能を有する。また、マウント接点21は電気通信のみならず、光通信、音声通信等を可能な構成であってもよい。なお、撮影レンズユニット200aは、被写体の光学像を後述する撮像素子123上に結像させる撮像光学系である。
4は撮影レンズユニット200aを取り外す際に押し込むレンズロック解除釦である。5はカメラ筐体内に配置されたミラーボックスで、撮影レンズを通過した撮影光束はここへ導かれる。ミラーボックス5の内部には、クイックリターンミラー6が配設されている。クイックリターンミラー6は、第1の位置と第2の位置を取ることができる。第1の位置とは、撮影光束を後述するペンタプリズム22(図3参照)の方向へ導くために撮影光軸に対して45°の角度に保持される位置である。第2の位置とは、撮影光束を後述する撮像素子123(図3参照)の方向へ導くために撮影光束から退避した位置である。
カメラ本体1の上部のグリップ側には、撮影開始の起動スイッチとしてのシャッタボタン7と、撮影時の動作モードに応じてシャッタスピードやレンズ絞り値を設定するためのメイン操作ダイヤル8が配置されている。また、撮影系の動作モードを設定するための動作モード設定ボタン10が配置されている。これら操作部材の操作結果の一部は、LCD表示パネル9に表示される。
シャッタボタン7は、第1ストローク(半押し)でスイッチSW1(図3の7a)がオンし、第2ストローク(全押し)にてスイッチSW2(図3の7b)がオンする構成となっている。
また、動作モード設定ボタン10は、シャッタボタン7の1回の押込みで連写になるか1コマのみの撮影となるかの設定や、セルフ撮影モードの設定などを行うものであり、LCD表示パネル9にその設定状況が表示される。
カメラ本体1の上部中央には、カメラ本体1に対してポップアップするストロボユニット11とフラッシュ取付け用のシュー溝12とフラッシュ接点13が配置されており、カメラ上部の右寄り(図1)には、撮影モード設定ダイヤル14が配置されている。
グリップ側とは反対側の側面には、開閉可能な外部端子蓋15が設けられており、この外部端子蓋15を開けた内部には、外部インタフェースとしてビデオ信号出力用ジャック16とUSB出力用コネクタ17が納められている。
図2において、カメラ背面側には上方にファインダ接眼窓18が設けられ、更に背面中央付近には画像表示可能な背面モニタ19が設けられている。
背面モニタ19は、一般的なカラー画像表示用液晶パネルにより構成されており、次のような表示を行う。即ち、メニューボタン24の押下によって撮影画像に関する各種設定項目を表示する。また、Infoボタン25の押下によって撮影画像に関する各種設定項目の状態の一覧表示を行う。さらに、ディスプレイボタン26を押下することで記録メディアに記録されている画像の表示や、撮影直後の画像表示を行なう。
20はサブ操作ダイヤルであり、サブ操作ダイヤル20は、時計方向、反時計方向へ回転させることで次のような動作を行う。即ち、撮影情報である調光量補正値の設定変更、ISO感度の設定変更、WBモードの設定変更を行なうと共に、メニューボタン24により表示される撮影画像に関する各種設定項目の選択や撮影画像の画像送り動作を行なう。
22はSETボタンであり、メニューボタン24により表示され、サブ操作ダイヤル20により選択された撮影画像に関する各種設定項目の決定を行なうように構成されている。
23はカメラの動作を起動もしくは停止するための電源スイッチであるメインスイッチである。
24はメニューボタンであり、背面モニタ19へ撮影画像に関する各種設定項目を表示させるように構成されている。
25は、InfoボタンでありInfoボタン25を押下することで、背面モニタ19へ表示された撮影画像に関する各種設定項目の状態を一覧表示するように構成されている。
26はディスプレイボタンであり、ディスプレイボタン26を押下することで、記録メディアに記録されている画像を表示させることが出来る。
27は画像消去ボタンであり、消去ボタン27を押下することで背面モニタ19に表示されている画像を消去処理するように構成されている。
本実施形態におけるクリーニングモードは、メニューボタンの押下により各種設定項目の1つとして背面モニタ19に表示される。なお、このクリーニングモードについては、後に詳細に説明する。
図3は、本実施形態のデジタル一眼レフカメラの主要な電気的構成を示すブロック図である。なお、図1及び図2と共通する部分は同じ記号で示している。
100はカメラ本体に内蔵されたマイクロコンピュータからなる中央処理装置(以下、MPUという)である。MPU100は、カメラの動作制御を司るものであり、各要素に対して様々な処理や指示を実行する。100aはMPU100に内蔵されたEEPROMであり、時刻計測回路109の計時情報やその他の情報を記憶可能である。
MPU100には、ミラー駆動部101、焦点検出回路102、シャッタチャージ駆動部103、シャッタ制御部104、映像信号処理回路105、スイッチセンス回路106、測光回路107が接続されている。また、液晶表示駆動回路108、バッテリチェック回路109、時刻計測回路110、電源供給回路111、圧電素子駆動回路112も接続されている。
また、MPU100は、撮影レンズユニット200a内に配置されたレンズ制御回路201と、マウント接点21を介して通信を行う。マウント接点21は撮影レンズユニット200aが接続されるとMPU100へ信号を送信する機能も備えている。これにより、レンズ制御回路201は、MPU100との間で通信を行い、撮影レンズユニット200a内の撮影レンズ200及び絞り204の駆動を、AF駆動部202及び絞り駆動部203を介して行うことが可能となる。なお、本実施形態では撮影レンズ200は便宜上1枚のレンズで示しているが、実際は多数のレンズ群により構成されている。
AF駆動部202は、例えばステッピングモータによって構成され、レンズ制御回路201の制御によって撮影レンズ200内のフォーカスレンズ位置を変化させることにより、撮像素子123に撮影光束の焦点を合わせるように調整する。絞り駆動部203は、例えばオートアイリスなどによって構成され、レンズ制御回路201によって絞り204を変化させ、光学的な絞り値を得るように構成されている。
クイックリターンミラー6は、撮影レンズ200を通過する撮影光束をペンタプリズム22へ導くとともに、その一部を透過させてサブミラー30に導く。サブミラー30は、透過した撮影光束を焦点検出用センサユニット120へ導く。
ミラー駆動部101は、クイックリターンミラー6を、ファインダにより被写体像を観察可能とする位置と、撮影光束から待避する位置とへ駆動するものである。又この動作と同時に、サブミラー30を、焦点検出用センサユニット120へ撮影光束を導く位置と、撮影光束から待避する位置とへ駆動する。具体的には、例えばDCモータとギヤトレインなどから構成される。
焦点検出用センサユニット120は、不図示の結像面近傍に配置されたフィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ、絞り、複数のCCDから成るラインセンサ等から構成されている周知の位相差検出方式の焦点検出センサユニットである。焦点検出センサユニット120から出力された信号は、焦点検出回路102へ供給され、被写体像信号に換算された後、MPU100へ送信される。MPU100は、この被写体像信号に基づいて、位相差検出法による焦点検出演算を行う。そして、デフォーカス量及びデフォーカス方向を求め、これに基づき、レンズ制御回路201及びAF駆動部202を介して、撮影レンズ200内のフォーカスレンズを合焦位置まで駆動する。
ペンタプリズム22は、クイックリターンミラー6によって反射された撮影光束を正立正像に変換反射する光学部材である。使用者は、ファインダ光学系を介して、ファインダ接眼窓18から被写体像を観察することができる。また、ペンタプリズム22は、撮影光束の一部を測光センサ121にも導く。測光回路107は、測光センサ121の出力を得て、観察面上の各エリアの輝度信号に変換し、MPU100に出力する。MPU100は、このようにして得られる輝度信号から露出値を算出する。
122は機械式のフォーカルプレーンシャッタであり、ユーザがファインダにより被写体像を観察している時には撮影光束を遮る。フォーカルプレーンシャッタ122は、後述する赤外線カットフィルタ127と僅かな隙間をあけた位置に配置されている。また、撮像時にはレリーズ信号に応じて、後述する先羽根群と後羽根群の走行する時間差により所望の露光時間を得るように構成されている。フォーカルプレーンシャッタ122は、MPU100の指令を受けたシャッタ制御部104によって制御されるとともに、シャッタチャージ部104により、後述する先羽根群と後羽根群を走行後にシャッタチャージ駆動する。
123は撮像素子で、例えば撮像デバイスであるCMOSが用いられる。この撮像デバイスには、CCD型、CMOS型およびCID型など様々な形態があり、何れの形態の撮像デバイスを採用してもよい。撮像素子123の撮像視野の領域で受光した光が撮像される。撮像視野の中心は撮影レンズ200のレンズ光軸と一致させることが一般的であるが、撮像素子123の一部の画素のみを使用して撮像するクロップ撮影などでは、一致しないこともある。
124はクランプ/CDS(相関二重サンプリング)回路であり、A/D変換する前の基本的なアナログ処理を行うとともに、クランプレベルの変更も可能である。125はAGC(自動利得調整回路)であり、A/D変換する前の基本的なアナログ処理を行うとともに、AGC基本レベルの変更も可能である。126はA/D変換器であり、撮像素子123のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
127は略矩形の形状を有する赤外線カットフィルタで、撮像素子123に入射される光束の不要な赤外光をカットする。また、異物の付着を防止するために、表面は導電性物質で覆われている。
128は略矩形の形状を有する光学ローパスフィルタで、水晶等からなる複屈折板及び位相板を複数枚貼り合わせて積層されている。光学ローパスフィルタ128は、撮像素子123に入射される光束を複数に分離し、偽解像信号や偽色信号の発生を効果的に低減させる。
129は赤外線カットフィルタ127に振動を与える加振部材で、本実施形態では圧電素子を用いている。MPU100から指令を受けた圧電素子駆動回路112により加振され、赤外線カットフィルタ127と一体的に振動するように構成されている。150は、赤外線カットフィルタ127、圧電素子129、撮像素子123、及び後述する他の部品がユニット化された撮像ユニットであり、詳細な構成については後述する。
映像信号処理回路105は、デジタル化された画像データに対してガンマ/ニー処理、フィルタ処理、モニタ表示用の情報合成処理など、ハードウエアによる画像処理全般を実行する。映像信号処理回路105からのモニタ表示用の画像データは、モニタ駆動回路131を介して背面モニタ19に表示される。また、映像信号処理回路105は、MPU100からの指示により、メモリコントローラ132を通じて、バッファメモリ133に画像データを保存することも可能である。更に、映像信号処理回路105は、JPEGなどの画像データ圧縮処理を行う機能も有している。連写撮影など連続して撮影が行われる場合は、一旦、バッファメモリ133に画像データを格納し、メモリコントローラ132を通して未処理の画像データを順次読み出すことも可能である。これにより映像信号処理回路105は、A/D変換器126から入力されてくる画像データの速度に関わらず、画像処理や圧縮処理を順次行うことが可能となる。
メモリコントローラ132は、外部インタフェース135(図1におけるビデオ信号出力用ジャック16及びUSB出力用コネクタ17に対応する)から入力される画像データをメモリ134に記憶する機能を有する。また、メモリ134に記憶されている画像データを外部インタフェース135から出力する機能も有する。尚、メモリ134は、カメラ本体1に対して着脱可能なフラッシュメモリなどである。
スイッチセンス回路106は、各スイッチの操作状態に応じて入力信号をMPU100に送信する。7aは、シャッタボタン7の第1ストローク(半押し)によりオンするスイッチSW1である。7bは、シャッタボタン7の第2ストローク(全押し)によりオンするスイッチSW2である。スイッチSW2がオンされると、撮影開始がMPU100に指示される。また、メイン操作ダイヤル8、サブ操作ダイヤル20、セットボタン22、撮影モード設定ダイヤル14、メインスイッチ23、メニューボタン24、Infoボタン25、ディスプレイボタン26、消去ボタン27が接続されている。
液晶表示駆動回路108は、MPU100の指示に従って、LCD表示パネル9やファインダ内液晶表示器136を駆動する。
109はバッテリチェック回路であり、MPU100からの信号に従って、所定時間バッテリチェックを行い、その検出結果をMPU100へ送る。137は電源であり、カメラ本体1の各要素に対して、必要な電力を供給する。
時刻計測回路110は、メインスイッチ23がオフされて次にオンされるまでの時間や日付を計測し、MPU100からの指令により、その計測結果をMPU100へ送信することができる。
次に、撮像ユニット150の詳細な構成について、図4乃至図10を用いて説明する。
図4は、撮像ユニット150の周辺の保持構造について説明するための、カメラ本体1の内部の概略構成を示す分解斜視図である。
カメラ本体1の骨格となる本体シャーシ160の被写体側には、被写体側から順に、ミラーボックス5、フォーカルプレーンシャッタ122が配設されている。また、本体シャーシ160の撮影者側には撮像ユニット150が配設されている。特に撮像ユニット150は、撮影レンズユニット200aが取り付けられる基準となるマウント部2の取付け面に対して、撮像素子123の撮像面が所定の距離を空けて、かつ平行になるように調整されて固定される。
図5は、撮像ユニット150の構成を示す斜視図である。
撮像ユニット150は、振動ユニット170と、撮像素子ユニット180と、弾性部材190とを備えて構成されている。振動ユニット170は、弾性部材190を挟み込んで撮像素子ユニット180に固定されるが、詳細な構成については後述する。
撮像素子ユニット180は、少なくとも撮像素子123と固定部材181により構成されている。また、振動ユニット170は、赤外線カットフィルタ127、圧電素子129(図3参照)、付勢部材171等により構成されている。
回路基板182には、撮像系の電気回路が実装されている。シールドケース183は導電性を有する金属などによって形成されている。回路基板182とシールドケース183は、ビス等により、固定部材181に係止される。シールドケース183は電気回路を静電気などから保護するため回路上の接地電位に接続される。遮光部材184は、撮像素子123の光電変換面の有効領域に対応した開口が形成され、被写体側と撮影者側とに両面テープが接着されている。光学ローパスフィルタ保持部材185は、遮光部材184の両面テープにより撮像素子123のカバーガラスに接着される。光学ローパスフィルタ128は光学ローパスフィルタ保持部材185の開口箇所にて位置決めされ、遮光部材184に両面テープで固定保持される。
図6は、撮像ユニット150の一部で、図4のA−A線に沿う断面図である。遮光部材184の被写体側の面は光学ローパスフィルタ128と当接し、撮影者側の面は撮像素子123のカバーガラスと当接する。遮光部材184の被写体側と撮影者側には両面テープが固着されており、光学ローパスフィルタ128は遮光部材184の両面テープにより撮像素子123のカバーガラスに固定保持されている。これにより、光学ローパスフィルタ128と撮像素子123のカバーガラスとの間は遮光部材184によって封止され、塵埃等の異物の侵入を防ぐ密閉空間が形成されている。また、弾性部材190の被写体側の面は、赤外線カットフィルタ127と当接し、撮影者側の面は光学ローパスフィルタ128と当接する。振動ユニット170は、付勢部材171のバネ性によって撮像ユニット150側へと付勢されているので、弾性部材190と赤外線カットフィルタ127は隙間無く密着し、弾性部材190と光学ローパスフィルタ128も同様に隙間無く密着している。これにより、赤外線カットフィルタ127と光学ローパスフィルタ128との間は弾性部材190によって封止され、塵埃等の異物の侵入を防ぐ密閉空間が形成されている。
図7は、振動ユニット170の詳細な構成を示す斜視図である。図7において、129a,129bは圧電素子で、赤外線カットフィルタ127の端部に接着剤などによって固着される。本実施形態においては、赤外線カットフィルタ127の両端に合計2枚の同一形状の圧電素子129a,129bを固着している。
図8は圧電素子129a,129bの詳細図である。図8に示すように、圧電素子129a,129bのB面には銀などの電極が印刷などの方法によって施されており、この電極は赤外線カットフィルタ127に屈曲振動を励起するための+相と、G相とに分割されている。また圧電素子129a,129bのC面には、略全面に電極が施されており、このC面の電極は不図示の導電材などによってB面のG相と電気的に接続され、それぞれ同電位に保たれている。B面には不図示のフレキシブルプリント基板などの導電性連結部材が接着などの方法によって固着され、+相、G相とに、それぞれ所定の電圧を独立して印加できるようになっている。圧電素子129a,129bのC面は、接着などの方法によって、赤外線カットフィルタ127に固着され、圧電素子129a,129bと赤外線カットフィルタ127が一体的に運動するように構成されている。
次に、赤外線カットフィルタ127が振動する仕組みと、その振動形状について、図9及び図10を用いて説明する。
図9は、赤外線カットフィルタ127が20の節を持つモードで振動するときの振動形状を示すカメラ上面から見たときの側面図である。また、図10は、赤外線カットフィルタ127が19の節を持つモードで振動するときの振動形状を示すカメラ上面から見たときの側面図である。
まず、不図示の導電性連結部材を通じて圧電素子129aと圧電素子129bのそれぞれの+相に正の電圧を印加し、それぞれのG相をグランド(0V)としたときの圧電素子129a,129bと赤外カットフィルタ127の変形について説明する。
上述の電圧が印加されると、圧電素子の+相は、面と垂直方向に縮み、面内方向に伸びる。そのため、赤外線カットフィルタ127の圧電素子129a,129bとの接合面は、接合面を面内方向に拡大する力を圧電素子129a,129bから受け、圧電素子との接合面側が凸になるような変形をする。よって、圧電素子129a,129bのそれぞれの+相に上述の電圧が印加されると、赤外線カットフィルタ127には図9の実線で示すような屈曲変形が生じる。同様に+相に印加する電圧を負とすれば、圧電素子は上述と伸縮逆向きの変形を生じ、赤外線カットフィルタ127は、図9の二点鎖線に示すような屈曲変形を生じる。この時、圧電素子129a,129bの+相には同じ電圧が印加されるため、圧電素子129a,129bは同位相駆動されることとなる。
次に、導電性連結部材を通じて圧電素子129aの+相に正の電圧、129bの+相に負の電圧を印加し、それぞれのG相をグランド(0V)としたときの圧電素子の変形について説明する。
上述の電圧が印加されると、上述と同様の仕組みによって、圧電素子129aと赤外線カットフィルタ127との接合面は凸になるような変形をし、圧電素子129bと赤外線カットフィルタ127との接合面は凹になるような変形をする。よって、圧電素子129a,129bのそれぞれの+相に上述の電圧が印加されると、赤外線カットフィルタ127には図10の実線で示すような屈曲変形が生じる。同様に圧電素子129aの+相に負の電圧、圧電素子129bの+相に正の電圧を印加すれば、圧電素子は上述と伸縮逆向きの変形を生じ、赤外線カットフィルタ127は、図10の二点鎖線に示すような屈曲変形を生じる。この時、圧電素子129aと圧電素子129bの+相には±逆の電圧が印加されるため、圧電素子129a,129bは逆位相駆動されることとなる。
つまり、G相電極の電位をグランドに保ったまま、圧電素子129a,129bのそれぞれの+相に印加する電圧を周期的に正負に切り替えると、赤外線カットフィルタ127の凸凹が周期的に切り替わるような屈曲振動が生じる。屈曲振動では図9及び図10に示すように、振動の振幅が実質的に零となる、振動の節部(例えばd1、d2、D1、D2)が出現する。圧電素子129a,129bのそれぞれの+相に印加する周期電圧を同位相(同位相駆動)とすれば、図9に示すような振動の節の数が偶数個出現する形状の屈曲振動をする。また、それぞれの+相に印加する周期電圧を半波長ずらした、逆位相(逆位相駆動)とすれば、図10に示すような振動の節の数が奇数個出現する形状の屈曲振動をする。
この周期的な電圧の周波数は、赤外線カットフィルタ127の固有モードの共振周波数近傍とすることで、より小さい電圧で大きな振幅を得ることができる。赤外線カットフィルタ127の固有モードの共振周波数は、赤外線カットフィルタ127の形状、板厚、材質などによって異なるが、不快な音を発生しないように、共振周波数が可聴域外となるような固有モードを選ぶことが好ましい。
本実施形態においては、20の節が出現するモードと19の節が出現するモードを例に挙げて説明したが、これに限らず、これ以外の振動を発生させるようにしても良いし、3種類以上の振動モードを用いても良い。
また本実施形態においては、赤外線カットフィルタ127に屈曲振動を励起する構成とした。しかし、複屈折板、位相板、及び赤外線カットフィルタの貼り合わせによって構成される光学ローパスフィルタ128や、複屈折板もしくは位相板単体に屈曲振動を励起させる構成にしても良い。
次に、図11乃至図20を参照して、本実施形態におけるフォーカルプレーンシャッタ122の構成について説明する。
図11及び図12はフォーカルプレーンシャッタ122の正面図であり、図11は走行準備完了状態、図12は走行完了状態をそれぞれ示す。
図13は、フォーカルプレーンシャッタ122のチャージ完了状態を示す駆動機構要部平面図である。図14は第1の遮光部材としてのシャッタ羽根である先羽根ユニット320および第2の遮光部材としてのシャッタ羽根である後羽根ユニット330が露光終了している状態(チャージ開始前の状態)を示す機構要部平面図である。図15乃至図17は、チャージ途中の状態を示す機構要部平面図である。図18はチャージを完了しオーバーチャージ状態を示す機構要部平面図である。図19はチャージ完了状態のシャッタ装置の駆動部を中心にした上面図である。図20はシャッタ装置全体の構成を示す斜視図である。図19および図20に示すように各部材はシャッタ地板301上に設置されている。
図11及び図12において、301はシャッタ開口を有する基板(以下、シャッタ地板と記す)、301aはシャッタ開口である。301bは図13等に示す後述の先駆動レバー(先羽根にばね力等による走行エネルギーを与えるレバー)413の先羽根駆動ピン416の走行軌跡を逃げるための長孔である。301cは図13等に示す後述の後駆動レバー(後羽根にばね力等による走行エネルギーを与えるレバー)426の後羽根駆動ピン429の走行軌跡を逃げるための長孔である。
302は先羽根スリット形成羽根であり、先羽根スリット形成端302aを有する。303〜305は先羽根覆い羽根であり、順に、第1先羽根303、第2先羽根304、第3先羽根305と記す。306は先羽根用の第1のアームであり、シャッタ地板301に設けられた軸301dの周りに回転自在に枢着され、第1のアーム306の先端側に設けられたカシメダボ308aで先羽根スリット形成羽根302を第1のアーム306に対して回転自在に支持する。306aは後述の先駆動レバー413の先羽根駆動ピン416を嵌入させる穴であり、この穴306aを介して軸301dと同軸に後述の回転軸414を設けられた先駆動レバー413から動力を伝えられる。307は先羽根用の第2のアームであり、シャッタ地板301に設けられた軸301eの周りに回転自在に枢着され、第2のアーム307の先端側に設けられたカシメダボ309aで先羽根スリット形成羽根302を第2のアーム307に対して回転自在に支持する。このようにして先羽根スリット形成羽根302と先羽根用の第1のアーム306と第2のアーム307とにより平行リンクを形成する。同様に、第1先羽根303、第2先羽根304、第3先羽根305は、先羽根用の第1のアーム306と第2のアーム307の中間部にそれぞれのカシメダボ308bと309b,308cと309c,308dと309dで回転自在に支持される。そして、平行リンクを形成する。以上、302〜309の各部材により第1の遮光部材である先羽根ユニット320が構成される。
後羽根は先羽根と同様の構成であり、図12等において、310は後羽根スリット形成羽根、310aは後羽根スリット形成端、311〜313は後羽根覆い羽根であり、順に、第1後羽根311、第2後羽根312、第3後羽根313と記す。314は後羽根用の第1のアームであり、シャッタ地板301に設けられた軸301fの周りに回転自在に枢着され、第1のアーム314の先端側に設けられたカシメダボ316aで後羽根スリット形成羽根310を第1のアーム314に対して回転自在に支持する。また、314aは後駆動レバー426の後羽根駆動ピン429を嵌入させる穴であり、この穴314aを介して軸301fと同軸に後述の回転軸427を設けられた後駆動レバー426から動力を伝えられる。315は後羽根用の第2のアームであり、シャッタ地板301に設けられた軸301gの周りに回転自在に枢着され、第2のアーム315の先端側に設けられたカシメダボ317aで後羽根スリット形成羽根310を第2のアーム315に対して回転自在に支持する。このようにして後羽根スリット形成羽根310と後羽根用の第1のアーム314と第2のアーム315とにより平行リンクを形成する。同様に、第1後羽根311、第2後羽根312、第3羽根313は、第1のアーム314と第2のアーム315の中間部にそれぞれのカシメダボ316bと317b,316cと317c,316dと317dで回転自在に支持され、平行リンクを形成する。以上、310〜317の部材により第2の遮光部材である後羽根ユニット330が構成される。
図13乃至図20において401は、カメラ本体1の動力伝達部材460によって駆動される動力伝達部材としてのチャージレバーで、軸402を中心に回動自在に保持されているとともにバネ403によって反時計回り方向の付勢力を与えられている。そして、不図示のストッパによって図13に示す位置と図18に示す位置との間で回動するように設置されている。又後述する先サブチャージレバー408と一体的に回動するための連結穴401aを有している。
404はチャージレバー401とチャージカムレバー405に対して、回動自在に軸支された連結レバーで、チャージレバー401の回動に連動してチャージカムレバー405を回動させる。405は軸406に回動自在に保持された第1のチャージ部材としてのチャージカムレバーで、先駆動レバー413をチャージする際に、先駆動レバー413のローラー417と当接して先羽根駆動バネ415をチャージするカム部405aを有する。また、後駆動レバー426をチャージする際に、後駆動レバー426のローラー430と当接する後羽根駆動バネ428をチャージするカム部405bも有する。そして、後サブチャージレバー409と当接する連結ローラー407が回動自在に軸支されている。
408は先サブチャージレバーで、チャージレバー401と同じ軸402を中心に回動し、先羽根補助バネ419をチャージするための後述の先羽根サブレバー418をチャージするカム部408aを有する。また、チャージレバー401と一体的に回動するための連結部408bが設けられ、チャージレバー401の連結穴401aと結合している。
409は第2のチャージ部材としての後サブチャージレバーで、軸410に回動自在に保持されるとともにバネ411によって時計回り方向の付勢力が与えられ常に連結ローラー407に当接する。また、後サブレバー431に当接可能な第3のローラーとしての後サブチャージレバーローラー412が軸支されている。後サブチャージレバーローラー412が後サブレバー431に当接して、後サブレバー431を移動させることで後述の後羽根補助バネ432はチャージされる。413は第1の駆動部材としての先駆動レバーで、軸414を中心に回動自在に保持されているとともにチャージカムレバー405のカム部405aと当接可能な第1のローラーとしての先駆動レバーローラー417が設けられている。そして、先緊定レバー423に係止される被係止部413aが形成されており、第1のバネとしての先羽根駆動バネ415によって時計回り方向の付勢力が与えられている。図13では、先駆動レバー413は先緊定レバー423に係止された状態で、先羽根ユニット320がシャッタのアパチャー枠を覆った状態を表している。
418は第4の駆動部材である先サブレバーで、先駆動レバー413と同軸上に回動自在に支持され第4のバネとしての先羽根補助バネ419によって時計回り方向の付勢力が与えられている。そして、図13では、先駆動レバー413の当接部413cと先サブレバー418の当接部418aとが当接しているため、先駆動レバー413にも先羽根補助バネ419のバネ力が加わっている。418bは、先駆動レバー413の回動とともに一体的に回動する先サブレバー418に設けられたストッパ部で、先ストッパ軸420に設けられたゴム又は軟質プラスチック等を成形した弾性部材で作られた先ストッパ421に当接する。そして、先サブレバー418の時計回り方向の回転を止める。
422は先サブレバー418に軸支された先サブレバーローラーで、先サブチャージレバー408のカム部408aに当接して先サブレバー418に力を伝える。
423は軸424を中心に回動自在に支持された先緊定レバーで、バネ425によって反時計回り方向の付勢力が与えられているとともに、図13の状態では不図示のストッパによって、これ以上反時計回り方向に回転できないようになっている。423aは、先駆動レバー413の被係止部413aと当接し先駆動レバー413を時計回り方向に回転しないように係止する係止部である。
426は第2の駆動部材としての後駆動レバーで、軸427を中心に回動自在に支持されているとともにチャージカムレバー405のカム部405bと当接する第2のローラーとしての後駆動レバーローラー430を有する。そして、後緊定レバー435に係止される被係止部426aが形成されており、第2のバネとしての後羽根駆動バネ428によって時計回り方向の付勢力が与えられている。図13では、後駆動レバー426は後緊定レバー435に係止された状態で、後羽根ユニット330がシャッタのアパチャー枠を開放した状態を表している。
431は第3の駆動部材としての後サブレバーで、後駆動レバー426と同軸上に回動自在に支持され、第3のバネとしての後羽根補助バネ432によって時計回り方向の付勢力が与えられている。そして、図13では、後駆動レバー426に植設された後羽根駆動ピン429と後サブレバー431の当接部431aとが当接しているので、後駆動レバー426にも後羽根補助バネ432のバネ力が加わっている。431bは、後駆動レバー426の回動とともに一体的に回動する後サブレバー431に設けられたストッパ部で、後ストッパ軸433に設けられたゴム又は軟質プラスチック等を成形した弾性部材で作られた後ストッパ434に当接する。431cは、後サブレバー431に設けられた第3のカム部としてのチャージカム部で、後サブチャージレバー409に軸支されている第3のローラーとしての後サブチャージレバーローラー412に当接する。そして、後サブチャージレバー409の反時計回り方向の回転運動によって後サブレバー431がチャージされる。
435は軸436を中心に回動自在に支持された後緊定レバーで、バネ437によって反時計回り方向の付勢力が与えられているとともに、図13の状態では不図示のストッパによって、これ以上反時計回り方向に回転できないようになっている。435aは、後駆動レバー426の被係止部426aと当接し後駆動レバー426を時計回り方向に回転しないように係止する係止部である。441は回転軸に先緊定レバー423と当接する先羽根用ハンマー446が取り付けられている着磁された先羽根用ロータ、442はベース部材444に配設された先羽根用ステータ、443はステータ442の一部に巻回される先羽根用コイルである。
447は先羽根用ロータ441および先羽根用ハンマー446を所定方向に付勢する戻しバネである。
以上説明した電磁駆動装置は先羽根ユニット320の走行を開始させるものであるが、不図示の後羽根用ロータ、後羽根用ステータ448、後羽根用コイル449、戻しバネ451および後緊定レバー435と当接する後羽根用ハンマー450も同様に作用する。そして後羽根ユニット330の走行を開始させる。452は先羽根用コイル443および後羽根用コイル449が接続され、カメラ本体1からそれぞれのコイルに通電するためのプリント基板である。
撮影者が撮影のためにシャッタボタン7を押下することで、スイッチSW2がオンされると、撮影開始がMPU100に指示される。MPU100は、シャッタ制御部104により、フォーカルプレーンシャッタ122の駆動制御を開始する。
シャッタ制御部104からの指示に基き、先羽根用コイル443に通電されると、先羽根用ステータ442に磁界が発生し、先羽根用ロータ441は戻しバネ447の付勢力に抗して回転する。先羽根用ロータ441の回転によって、先羽根用ハンマー446が先緊定レバー423と当接し、移動させるので、先駆動レバー413は緊定をはずさる。そして、先羽根ユニット320は先羽根駆動バネ415および先羽根補助バネ419のバネ力によって走行を開始する。
また、シャッタ制御部104からの指示に基き、先羽根用コイル443への通電が断たれると、先羽根用ロータ441および先羽根用ハンマー446は戻しバネ447の付勢力によって所定位置に戻される。
先羽根ユニット320の走行開始から所定時間経過後に、後羽根用コイル449に通電すると、不図示の後羽根用ロータが回転して、後羽根用ハンマー450が後緊定レバー435と当接し、移動させるので、後駆動レバー426は緊定をはずさる。そして、後羽根ユニット330は後羽根駆動バネ428および後羽根補助バネ432のバネ力によって走行を開始する。
このように複数の電磁駆動装置によって、シャッタ装置のレリーズ動作は先羽根ユニット320と後羽根ユニット330で独立に行われる。
上述した構成において、図13に示すような撮影可能な待機状態において、上述のそれぞれの電磁装置のコイル443、449にそれぞれ適正なタイミングでシャッタ制御部104からの指示に基き、通電する。そして、それぞれのハンマー446、450を回転させ、先緊定レバー423と後緊定レバー435を時計回り方向に回転駆動させ、先駆動レバー413及び後駆動レバー426の係止を順次解除する。すると、先ず先駆動レバー413と先サブレバー418とが一体的に先羽根駆動バネ415及び先羽根補助バネ419の付勢力によって、先羽根駆動ピン416を介して先羽根ユニット320を閉鎖位置から開放位置に移行させる。その途中で、先サブレバー418のストッパ部418bは先ストッパ421に当接し、消音されるとともに衝撃をやわらげられ最終的に先ストッパ軸420に当接して正確に先羽根補助バネ419の作動範囲を決定する。そして、先駆動レバー413に対して作用する先羽根補助バネ419の付勢力を無くし、先駆動レバー413は第1のバネ415のみで開放位置を決定する不図示のストッパまで駆動される。
続いて後駆動レバー426が後サブレバー431と一体的に後羽根駆動バネ428及び後羽根補助バネ432の付勢力によって後羽根駆動ピン429を介して不図示の後羽根を開放位置から閉鎖位置に移行させる。その途中で後サブレバー431のストッパ部431bは後ストッパ434に当接し、消音されるとともに衝撃をやわらげられ最終的に後ストッパ軸433に当接して正確に後羽根補助バネ432の作動範囲を決定する。そして、後駆動レバー426に対して作用する後羽根補助バネ432の付勢力を無くし、後駆動レバー426は後羽根駆動バネ428のみで閉鎖位置を決定する不図示のストッパまで駆動され、露光動作(撮影動作)が終了して図14の状態になる。
図14(撮影終了直後)の状態から撮影可能状態にするために、チャージレバー401を時計回り方向に回転させるとこれに伴って連結レバー404を介してチャージカムレバー405も時計回り方向に回転する。このチャージカムレバー405の時計回り方向の回転によって、カム部405aは、先駆動レバーローラー417に当接し、先駆動レバー413を反時計回り方向に回転させる。これにより、第1のバネ415はチャージを開始し、先羽根ユニット320は閉鎖位置への移動を開始する(図15の状態)。
図15の状態からわずかにチャージレバー401を回動させると、チャージレバー401と一体的に結合された先サブチャージレバー408が時計回り方向に回転して、カム部408aが先サブレバーローラー422に当接する。そして、先サブレバー418を反時計回り方向に回転させる。この先サブレバー418の反時計回り方向の回転によって、先羽根補助バネ419はチャージを開始する。
また、それとほぼ同時に連結ローラー407に当接している後サブチャージレバー409を反時計回り方向に回転させる。後サブチャージレバー409に設けられた後サブチャージレバーローラー412はチャージカム431cに当接して、後サブチャージレバー431は反時計回り方向の回転を始めるので、後羽根補助バネ432はチャージを開始する。
すなわち、先羽根駆動バネ415、先羽根補助バネ419、および後羽根補助バネ432はほぼ同時にチャージを開始する(図16の状態)。
さらに、チャージレバー401を回動させると、チャージカムレバー405のカム部405bが、後駆動レバー426に設けられた後駆動レバーローラー430に当接し、後駆動レバー426を反時計方向に回転させる。この後駆動レバー426の回転によって、後羽根駆動バネ428はチャージを開始する(図17の状態)。
なお、本実施形態ではチャージ動作中の不正露光を防ぐために、先羽根ユニット320と後羽根ユニット330が常に重り合う部分を持ちながら先羽根ユニット320、後羽根ユニット330を撮影準備位置に復帰させる構成である。そのため、先駆動レバー413の回転開始に対して、後駆動レバー426は遅れて回転を開始する構成になっている。その結果、後羽根駆動バネ428のチャージは先羽根駆動バネ415、先羽根補助バネ419、および後羽根補助バネ432のチャージ開始よりも遅れてチャージを開始する。
図18は、チャージレバー401が不図示のストッパーに当接して最も時計回り方向に回転したオーバーチャージの状態で、図17から図18に至る過程で、先駆動レバー413の被係止部413aが先緊定レバー423の係止部423aを乗り越える。この時、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330においても図13のチャージ完了状態よりも僅かにチャージされた位置まで駆動される。その後に、先羽根駆動バネ415、先羽根補助バネ419、及び、後羽根駆動バネ428、後羽根補助バネ432のバネ力により、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330露光駆動時と同等の速度で瞬時にチャージ完了状態へ戻される。
一方、後駆動レバー426の被係止部426aも後緊定レバー435の係止部435aを乗り越える。そのため、チャージレバー401の時計回り方向の回転を解除しても、それぞれ先駆動レバー413と後駆動レバー426は時計回り方向に回転を係止できる状態となる。
この後、チャージレバー401の時計回り方向の回転を解除すれば、チャージレバー401は連結レバー404を介してチャージカムレバー405及び先サブチャージレバー408とともに、バネ403の力によって反時計回り方向に回転する。また後サブチャージレバー409をバネ411が時計回り方向に回転させてチャージ完了状態である図13の状態に戻る。
このとき、先駆動レバー413が先緊定レバー423に係止されると、先サブレバー418は先羽根補助バネ419の付勢力により当接部418aと413cが当接するので、先サブレバー418は先駆動レバー413に係止される。
一方、後駆動レバー426が後緊定レバー435に係止されると、後サブレバー431は後羽根補助バネ432の付勢力により当接部431aと後駆動レバー426の後羽根駆動ピン429が当接する。そのため、後サブレバー431は後駆動レバー426に係止される。
ここで、図13におけるチャージ完了状態において、前記チャージレバー401をカメラ本体1のシャッタチャージ駆動部103の一部である動力伝達部材460によって、さらにチャージする(以下、空チャージ動作)。すると、前述した撮影終了後のチャージ動作とは異なり、各種バネ、レバー類はチャージされて係止状態にあるため、図18に示すオーバーチャージ動作のみを行うことになる。図18のオーバーチャージ動作においては、前述したように先羽根ユニット320、後羽根ユニット330においても図13のチャージ完了状態よりも僅かにチャージされた位置まで駆動される。その後に、先羽根駆動バネ415、先羽根補助バネ419、及び、後羽根駆動バネ428、後羽根補助バネ432のバネ力により、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330は露光駆動時と同等の速度で瞬時にチャージ完了状態へ戻される。これにより、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330に衝撃力が加わることになる。したがって、上記空チャージ動作を高速で複数回行うことで、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330は僅かな駆動を繰り返す。これにより、空チャージ動作によって、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330には衝撃力が加わると共に加振されるため、振動動作することとなる。
以上のように本実施形態では、先羽根ユニット320を先羽根駆動バネ415と、先羽根補助バネ419で駆動し、後羽根ユニット330を後羽根駆動バネ428と、後羽根補助バネ432で駆動する構成としている。そして、先羽根補助バネ419と、後羽根補助バネ432の付勢力をそれぞれの羽根の駆動初期だけ作用するように構成している。そのため、羽根のスタート時に強いバネ力(先羽根駆動バネ415+先羽根補助バネ419、後羽根駆動バネ428+後羽根補助バネ432)を使って羽根を短時間で所望の幕速に到達させることができる。それと共に、所定の幕速になった後は慣性力も働くので大きな加速力は必要としないので、比較的弱いバネ力(先羽根駆動バネ415、後羽根駆動バネ428)でも幕速を維持することができる。
これは幕速を一定の速度に保つ意味でも好ましく、さらに先、後幕各1本のバネで駆動させる場合と比べて、少ない力で減速、停止させることができる。
さらに、先羽根駆動バネ415のバネ力よりも大きいバネ力を持つ先羽根補助バネ419、および後羽根駆動バネ428のバネ力よりも大きいバネ力を持つ後羽根補助バネ432を露光動作時の作用領域よりも大きい領域を使ってチャージする。これによってエネルギーを分散でき、チャージに必要な力のピークを下げることができる。
また、先羽根補助バネ419、および後羽根補助バネ432を先羽根駆動バネ415のチャージ領域のほぼ全域を使ってチャージする。これにより、すべてのバネをチャージするのに必要な総チャージ力のピークを下げることができ、チャージ領域内の総チャージ力を均一にすることができる。
なお、先サブレバー418(先羽根補助バネ419)及び後サブレバー431(後羽根補助バネ432)の作動角はそれぞれの緊定係止位置から15°〜45°位の範囲で付勢力を作用させないように設定する。このようにすると良好な加速性能を得ることができるが、先羽根補助バネ419、後羽根補助バネ432を、シャッタ作動領域全域において付勢力を与えてもよい。
また、本実施形態では、連結レバー404を介してチャージレバー401がチャージカムレバー405を時計回り方向に回転してチャージを行っている。しかし、ミラーユニット等の駆動をチャージする部材で、直接チャージカムレバー405を時計回り方向に回転することもできる。
なお、本実施形態では、便宜上、先羽根駆動バネ415のチャージ開始が先羽根補助バネ419のチャージ開始よりわずかに先になっている例を用いて説明している。しかし、これは本発明を限定するものではなく、同時に第1のバネ415と先羽根補助バネ419のチャージを開始すればチャージトルクがチャージ領域内でより均等分散されるので、さらにチャージ効率が向上するものである。
一方、先羽根補助バネ419のチャージが第1のバネ415のチャージに先立って開始されたとしても、先羽根補助バネ419のチャージ領域が第1のバネ415のチャージ領域とほぼ同じであるならば十分な効果を得ることができる。
さらに、先サブチャージレバー408、もしくは後サブチャージレバー409を廃止して、先駆動レバー413、もしくは後駆動レバー426を介して先羽根補助バネ419、もしくは後羽根補助バネ432をチャージしてもよい。
次に、本実施形態において、赤外線カットフィルタ127の表面に付着した塵埃などの異物を除去する動作(クリーニングモードの動作)について説明する。
図21は、メニューボタン24の押下により、カメラ本体1をクリーニングモードの状態に移行させたときの背面モニタ19の表示を示した図である。図22〜図23はクリーニングモードにおけるセンサークリーニング処理のフローを示す図である。また、図25はセンサークリーニング処理時の圧電素子129及びシャッタの駆動シーケンスを示している。図26はセンサークリーニング処理における塵埃除去時の概念図を示している。
カメラ本体1をクリーニングモードの状態に移行させると背面モニタ19には、センサークリーニング表示(図21(a))が表示される。本実施形態のクリーニングモードにおいては、センサークリーニング500の画面においては、「自動クリーニング」501と、「今すぐクリーニング」502が選択可能となっている。「自動クリーニング」501とは、後述する第1の加振モードのみよるセンサークリーニング処理である。「今すぐクリーニング」502とは、後述する第1の加振モードと後述する第2の加振モードを併用するセンサークリーニング処理である。
本実施形態においては、「自動クリーニング」501が選択されるとサブメニューにより、「する」501aと「しない」501bが選択可能となる。図21(b)においては、自動クリーニングを「する」が選択されているため、「しない」501bがグレーアウト表示されている。「自動クリーニング」501において「する」501aが設定されていると、本実施形態のカメラでは、電源スイッチであるメインスイッチ23のON→OFF、及びOFF→ONの動作に連動して、センサークリーニング処理が開始される。
図22、図23はメインスイッチ23のON→OFF、及びOFF→ONの動作に連動して、センサークリーニング処理を実施する時のフローチャートである。
図22において、ステップS600にて撮影者がカメラ本体1のメインスイッチ23をOFF→ONへ操作してカメラ起動処理を行う場合、ステップS601にてメインスイッチ23がONされたか否かの判別を行う。メインスイッチ23がONされたときにはステップS602にてカメラ本体1は電源供給を開始してカメラの起動処理を行う。ステップS602にてカメラ本体1が起動され、ステップS603にて「自動クリーニング」501が「する」501aに設定されているか否かの判定を行う。ステップS603にて「自動クリーニング」501が「する」501aに設定されていない場合には、ステップS605へ進み撮影前準備動作であるスタンバイ状態となる。テップS603にて「自動クリーニング」501が「する」501aに設定されている場合には、ステップS604へ進み後述するセンサークリーニング動作を行い、ステップS605へ進み撮影前準備動作であるスタンバイ状態となる。
また、図23において、ステップS610にて撮影者がカメラ本体1のメインスイッチ23をON→OFFへ操作してカメラシャットダウン処理を行う場合、ステップS611にてメインスイッチ23がOFFされたか否かの判別を行う。メインスイッチ23がOFFされたときにはステップS612にて、「自動クリーニング」501が「する」501aに設定されているか否かの判定を行う。ステップS612にて「自動クリーニング」501が「する」501aに設定されていない場合には、ステップS614へ進みカメラシャッタダウン処理を行い、ステップS615のスタンバイ状態となる。テップS612にて「自動クリーニング」501が「する」501aに設定されている場合には、ステップS613へ進み後述するセンサークリーニング動作を行う。そして、ステップS614へ進みカメラシャッタダウン処理を行い、ステップS615のスタンバイ状態となる。
本実施形態におけるセンサークリーニング動作(S604、S613)について説明する。
自動クリーニングにおけるセンサークリーニング動作(S604、S613)は、光学素子である赤外線カットフィルタ127を圧電素子129a,129bにより加振する第1の加振モードのセンサークリーニングのみを行う動作である。
センサークリーニング動作(S604、S613)において、電源供給回路111は、センサークリーニング動作に必要な電力を、カメラ本体1の各部へ必要に応じて供給する。また、これに並行して電源137の電池残量を検出して、その結果をMPU100へ送信する。MPU100は、センサークリーニング動作開始の信号を受け取ると、圧電素子駆動回路112に前述した同位相駆動、逆位相駆動の駆動信号を交互に送る。圧電素子駆動回路112は、MPU100より駆動信号を受け取ると、赤外線カットフィルタ127の屈曲振動を励起する周期電圧を生成し、圧電素子129a,129bに対して、同位相印加、逆位相印加を交互に繰り返す。これにより圧電素子129a,129bは、その同位相印加、逆位相印加される電圧に応じて伸縮し、赤外線カットフィルタ127は2種類の屈曲振動をする。
赤外線カットフィルタ127が先述の屈曲振動をすると、赤外線カットフィルタ127上に付着した異物は、赤外線カットフィルタ127の振動により面と垂直な方向に発生する加速度によって赤外線カットフィルタ127から引き剥がされ、前方へと飛散する。
次に本実施形態において、「今すぐクリーニング」502が選択されると背面モニタ19の表示画面が「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))へ遷移する。「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))には、説明文502bと「OK」504、「キャンセル」505が表示される。「今すぐクリーニング」502の表示の初期設定画面においては、「OK」504が選択可能に設定されている。この表示状態にて、前述のセットボタン22を押下すると、センサークリーニング動作を開始する。また、「今すぐクリーニング」502を中止したい場合には、「キャンセル」505を前述のサブ操作ダイヤル20にて選択後、前述のセットボタン22を押下する。すると、「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))から、センサークリーニングの表示画面(図21(a))へ遷移する。
図24、図25、図26により、本実施形態のセンサークリーニング処理である「今すぐクリーニング」502の動作について説明する。
図24において、ステップS620にて撮影者が「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))を表示させ、センサークリーニング処理の開始を行う場合、次のような動作となる。即ち、ステップS621にて「今すぐクリーニング」502の表示画面の「OK」504が選択されたか否かの判別を行う。「OK」504が選択されずに「キャンセル」505が選択された場合には、センサークリーニングの表示画面(図21(a))へ遷移し、ステップS625のスタンバイ状態となる。「OK」504が選択された場合には、ステップS622へ進みセンサークリーニング動作を開始する。
ステップS622のセンサークリーニング動作では、第1の加振モードである前述した「自動クリーニング」501におけるセンサークリーニング動作(S604、S613)と同一の動作を行う。即ち、図25に示す様に、圧電素子129a,129bを所定時間同位相駆動した後、所定時間逆位相駆動を行う。この時、図26(a)に示す様に光学素子である赤外線カットフィルタ127の表面に異物700が付着していた場合には、次のようになる。即ち、図26(b)に示す様に赤外線カットフィルタ127上に付着した異物700は、赤外線カットフィルタ127の振動により面と垂直な方向に発生する加速度によって赤外線カットフィルタ127から引き剥がされ、前方へと飛散する。
その際、振幅が大きい箇所に付着していた異物は、与えられる加速度が大きく、赤外線カットフィルタ127から遠くへと飛散し、赤外線カットフィルタ127の近傍で重力によって落下する。赤外線カットフィルタ127から異物が自由落下すると、異物の形状の非対称性に起因する落下のゆらぎや、赤外線カットフィルタ127近傍での微小な対流、撮像装置の姿勢などの影響を受ける。そして、異物700が落下中に赤外線カットフィルタ127に触れてしまうことで、赤外線カットフィルタ127に再付着する場合がある。また、赤外線カットフィルタ127から遠くへと飛散することで、赤外線カットフィルタ127の前面近傍に配置されたフォーカルプレーンシャッタ122のシャッタ羽根である先羽根ユニット320の羽根表面へ付着してしまう場合もある。
ステップS622にて所定時間センサークリーニング動作を行った後、ステップS623にてフォーカルプレーンシャッタ122のシャッタ空チャージ動作を3回繰り返す(図25)。本実施形態においては、フォーカルプレーンシャッタ122の空チャージ動作を3回繰り返しているが、特に回数規定を設けるものではない。フォーカルプレーンシャッタ122の空チャージ動作を高速で複数回行うことで、前述したように、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330は僅かな駆動を繰り返す。即ち、この空チャージ動作により衝撃力が加わるので、加振されて振動することとなる。この時、赤外線カットフィルタ127から飛散して先羽根ユニット320の羽根表面へ付着した異物は、先羽根ユニット320の羽根表面より引き剥がされて図26(c)に示すように下方向へ飛散する。その際、ほとんどの異物は、赤外線カットフィルタ127とフォーカルプレーンシャッタ122の隙間へ落下してしまうが、場合によっては異物が落下中に赤外線カットフィルタ127に触れてしまい再付着する場合もある。
なお、「今すぐクリーニング」におけるシャッタ空チャージ動作(S623)は、遮光部材である先羽根ユニット320、後羽根ユニット330を空チャージ作動により加振する第2の加振モードによるクリーニング動作である。
ステップS623にて所定回数シャッタ空チャージ動作を行った後、ステップS624にて、再度、センサークリーニング動作(ステップS622と同一動作、図25)を行う。これにより、前述したように僅かに赤外線カットフィルタ127に触れてしまい再付着した異物を確実に除去する。ステップS624にて所定時間センサークリーニング動作を行った後、センサークリーニングの表示画面(図21(a))へ遷移し、ステップS625のスタンバイ状態となる。
以上説明したように、撮影者が意思を持って「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))を表示させ、センサークリーニング処理を実行した場合には、次のような動作となる。即ち、赤外線カットフィルタ127を圧電素子129a,129bで振動させる第1の加振モードによる動作と、シャッタ空チャージ動作による先羽根ユニット320、後羽根ユニット330の振動の第2の加振モードによる動作を行う。
したがって、撮影者は、メインスイッチ23のON⇔OFF操作だけで、意識せずに自動でセンサークリーニング(第1の加振モードによるクリーニング)を行う「自動クリーニング」モードを行うことができる。また、意思を持ってセンサークリーニング(第1の加振モードと第2の加振モードの併用によるクリーニング)を行う場合には、「今すぐクリーニング」モードを簡単な操作で選択できる。そのため、光学素子である赤外線カットフィルタ127表面に付着した異物を確実に除去することが可能となる。
(第2の実施形態)
図27は、本発明の第2の実施形態に係わる「今すぐクリーニング」モードにおけるセンサークリーニング処理のフローチャートである。また、図28は、第2の実施形態に係わる「今すぐクリーニング」モードにおけるセンサークリーニング処理時の圧電素子129a,129b及びシャッタの駆動シーケンスを示している。図29は第2の実施形態に係わる「今すぐクリーニング」モードであるところのセンサークリーニング処理におけるの異物除去の概念図である。第1の実施形態と同様の構成に関しては、同符号を付してその説明を省略する。
図27において、ステップS630にて撮影者が「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))を表示させセンサークリーニング処理の開始を行う場合、次のような動作となる。即ち、ステップS631にて「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))の「OK」504が選択されたか否かの判別を行う。「OK」504が選択されずに「キャンセル」505が選択された場合には、センサークリーニング表示画面(図21(a))へ遷移し、ステップS634のスタンバイ状態となる。「OK」504が選択された場合には、ステップS632へ進みセンサークリーニング動作を開始すると同時に、ステップS633にてフォーカルプレーンシャッタ122のシャッタ空チャージ動作を同時に繰り返す。
ステップS632のセンサークリーニング動作は、第1の加振モードである前述した「自動クリーニング」501のセンサークリーニング動作(S604、S613)と同一の動作である。即ち、図28に示す様に、圧電素子129a,129bを所定時間同位相駆動した後、所定時間逆位相駆動を行う。この時、図26(a)に示す様に光学素子である赤外線カットフィルタ127の表面に異物700が付着していた場合には、次のようになる。即ち、図29に示す様に赤外線カットフィルタ127上に付着した異物は、赤外線カットフィルタ127の振動により面と垂直な方向に発生する加速度によって赤外線カットフィルタ127から引き剥がされ、前方へと飛散する。また、同時にステップS633にてフォーカルプレーンシャッタ122のシャッタ空チャージ動作を繰り返す。これにより、先羽根ユニット320の羽根表面に付着した異物も飛散させることが出来る。
このように構成することで、赤外線カットフィルタ127表面に付着した異物を飛散させることが出来る。それと共に、先羽根ユニット320の羽根表面に付着した異物も飛散させることが出来る。
ステップS632において所定時間センサークリーニング動作すると同時にステップS633にて所定回数シャッタ空チャージ動作を行った後、センサークリーニング表示画面(図21(a))へ遷移し、ステップS634のスタンバイ状態となる。
(第3の実施形態)
図30は、本発明の第3の実施形態に係わる「今すぐクリーニング」モードにおけるセンサークリーニング処理のフローチャートである。また、図31は第2の実施形態に係わる「今すぐクリーニング」モードにおけるセンサークリーニング処理時の圧電素子129a,129b及びシャッタの駆動シーケンスを示している。第1の実施形態と同様の構成に関しては、同符号を付してその説明を省略する。
図30において、ステップS640にて撮影者が「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))を表示させセンサークリーニング処理の開始を行う場合、次のような動作となる。即ち、ステップS641にて「今すぐクリーニング」502の表示画面(図21(c))の「OK」504が選択されたか否かの判別を行う。「OK」504が選択されずに「キャンセル」505が選択された場合には、センサークリーニング表示画面(図21(a))へ遷移し、ステップS645のスタンバイ状態となる。「OK」504が選択された場合には、ステップS642へ進みセンサークリーニング動作を開始する。
ステップS642のセンサークリーニング動作は、第1の加振モードである前述した「自動クリーニング」501のセンサークリーニング動作(S604、S613)と同一の動作である。即ち、図31に示す様に、圧電素子129a,129bを所定時間同位相駆動した後、所定時間逆位相駆動を行う。この時、図26(a)に示す様に光学素子である赤外線カットフィルタ127の表面に異物700が付着していた場合には、次のようになる。即ち、図26(b)に示す様に赤外線カットフィルタ127上に付着した異物は、赤外線カットフィルタ127の振動により面と垂直な方向に発生する加速度によって赤外線カットフィルタ127から引き剥がされ、前方へと飛散する。
その際、振幅が大きい箇所に付着していた異物は、与えられる加速度が大きく、赤外線カットフィルタ127から遠くへと飛散し、赤外線カットフィルタ127近傍で重力によって落下する。赤外線カットフィルタ127から異物が自由落下すると、異物の形状の非対称性に起因する落下のゆらぎや、赤外線カットフィルタ127近傍での微小な対流、撮像装置の姿勢などの影響を受ける。そのため、異物が落下中に赤外線カットフィルタ127に触れてしまうことで、赤外線カットフィルタ127に再付着する場合がある。また、赤外線カットフィルタ127から遠くへと飛散することで、赤外線カットフィルタ127の前面近傍に配置されたフォーカルプレーンシャッタ122のシャッタ羽根である先羽根ユニット320の羽根表面へ付着してしまう場合もある。
ステップS642にて所定時間センサークリーニング動作を行った後、ステップS643にてフォーカルプレーンシャッタ122の羽根駆動動作を行う。図31に示す様に、通常の露光動作とは異なり、第1の実施形態にて説明した駆動機構により、フォーカルプレーンシャッタ122の後羽根ユニット330を走行させた後に先羽根ユニット320を走行させる。これにより、先羽根ユニット320、後羽根ユニット330による開口形成を行わないように駆動(幕閉じ動作)させる。先羽根ユニット320、後羽根ユニット330の走行後、再度、撮影可能状態への先羽根ユニット320、後羽根ユニット330の復帰動作であるシャッタチャージ動作を行う。
この時、赤外線カットフィルタ127から飛散して先羽根ユニット320の羽根表面へ付着した異物は、先羽根ユニット320の走行時の衝撃により、羽根表面より引き剥がされて下方向へ飛散する。その際、ほとんどの異物は、赤外線カットフィルタ127とフォーカルプレーンシャッタ122の隙間へ落下してしまうが、場合によっては異物が落下中に赤外線カットフィルタ127に触れてしまい再付着する場合もある。
ステップS643にてフォーカルプレーンシャッタ122の羽根駆動動作を行った後、ステップS644にて、再度、センサークリーニング動作(ステップS642と同一動作、図31)を行う。これにより、前述したように僅かに赤外線カットフィルタ127に触れてしまい再付着した異物を確実に除去する。ステップS644にて所定時間センサークリーニング動作を行った後、センサークリーニング表示画面(図21(a))へ遷移し、ステップS645のスタンバイ状態となる。
このように構成する事で、赤外線カットフィルタ127表面に付着した異物を飛散させることが出来る。それと共に、赤外線カットフィルタ127の前面近傍に配置されたフォーカルプレーンシャッタ122の遮光部材のシャッタ羽根である先羽根ユニット320の羽根表面へ異物が付着することを防止できる。