JP4809749B2 - フォトマスクブランクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体集積回路などの製造に用いられるフォトマスクブランクに関し、特に、位相シフト膜によって露光光を減衰させるハーフトーン型の位相シフトマスクブランクの製造技術に関する。
IC、LSI、及びVLSI等の半導体集積回路の製造をはじめとして、広範囲な用途に用いられているフォトマスクは、基本的には透光性基板上にクロムを主成分とした遮光膜を有するフォトマスクブランクを加工して得られるもので、紫外線や電子線などを露光光とするフォトリソグラフィ法により、上記遮光膜に所定のパターンを形成したものである。近年では半導体集積回路の高集積化等の市場要求に伴ってパターンの微細化が急速に進み、当該微細化要求に対して露光光の短波長化を図ることにより対応してきた。
しかしながら、露光光の短波長化はパターン解像度を向上させる反面、焦点深度の減少を招き、プロセスの安定性や製品歩留まりの低下をもたらすという問題があった。
このような問題に対処するために有効なパターン転写法のひとつとして位相シフト法が知られており、この手法では、微細パターン転写のためのフォトマスクとして位相シフトマスクが使用される。
位相シフトマスクは露光光の位相を制御するための位相シフタ部を有し、その光透過特性により、完全透過型位相シフトマスクとハーフトーン型位相シフトマスクとに大別される。
完全透過型位相シフトマスクは、光透過率が基板露出部と同等な位相シフタ部を有し、露光光に対して透明なマスクである。また、ハーフトーン型位相シフトマスクは、光透過率が基板露出部の数%〜数十%程度の位相シフタ部を有するマスクである(例えば、特許文献1参照)。
ハーフトーン位相シフト膜は、通常、スパッタリング法により成膜され、一般的には、単一のターゲットが用いられる。このようなターゲットは、成膜後の光学膜が所望の透過率となるように、金属とシリコンの組成が調整され、混合・焼結された金属シリサイドターゲットである。しかし、単一ターゲットを用いて成膜した位相シフト膜の金属とシリコンの組成比率は、用いたターゲット組成により概ね決まってしまう。このような場合、位相シフト膜の透過率を高めるためには、位相シフト膜中の酸素含有量を上げる方法と、シリコン含有量を上げる方法とがある。
位相シフト膜中の酸素含有量を上げる方法によれば、スパッタ成膜中に流す酸素含有ガスの流量を高めることで、膜中酸素含有量を上げることができる。しかし、膜中酸素含有量が増大すると膜表面を洗浄する際に用いる薬液(洗浄液)に対する耐性が低下するという問題がある。また、酸素含有量が増加すると膜の屈折率が低下し、位相シフト量(位相差)を180°にするために必要な膜厚が厚くなるといった問題もある。
位相シフト膜中のシリコン含有量を上げる方法としては、金属シリサイドターゲットのシリコン比率を上げる方法がある。しかし、この方法では、位相シフト膜に求められる透過率の仕様毎に異なる組成のターゲットを準備する必要があるため、金属シリサイドターゲットが極めて高価であることを考慮すると、フォトマスクブランクの製造コストの面からは好ましくない。
本発明者らは既に、上記問題点を解決するために、透過率が異なる位相シフト膜を成膜する際に、ターゲットを別組成のものに変更することなく、簡便に所望の透過率の位相シフト膜を得る手法を考案している。この手法によれば、複数のターゲットを同時放電可能なスパッタ装置を用い、例えば、遷移金属と珪素を含むターゲットと珪素ターゲットとを同時放電させてスパッタ成膜することで、位相シフト膜中の金属とシリコンの組成比を簡便に任意のものとすることができるため、位相シフト膜の透過率の簡便な調整が可能となる。また、この手法で得られた位相シフト膜は、スパッタ時の雰囲気中の酸素導入量を高くして膜の透過率を上げる上記方法で成膜された位相シフト膜に比べ、薬品耐性が向上することが確認されており、高品質で耐薬品性に優れた位相シフトマスクが得られることを見出している。(特許文献2参照)
特開平7−140635号公報 特開2004−301993号公報
しかしながら、本発明者らが検討を進める中で、上述の特許文献2記載の手法で複数のターゲットを同時放電させてスパッタ成膜した場合、成膜回数を重ねていくと、得られた位相シフト膜の欠陥数が比較的短期間で次第に増加するという問題が見出された。この問題は、単一のターゲットを使用して位相シフト膜を成膜した場合には認められない特異な現象であった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、位相シフト膜の透過率調整が簡便で、得られた膜が薬品耐性に優れ、しかも低欠陥の高品質な位相シフト膜を備えたフォトマスクブランクを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明のフォトマスクブランクの製造方法は、複数のターゲットを用いて反応性スパッタリングにより成膜される位相シフト膜を備えるフォトマスクブランクの製造方法であって、前記スパッタ成膜工程は複数バッチ実行され、前記スパッタ成膜工程のバッチ間で実行されるスパッタ処理工程であって、前記複数のターゲット表面から光学膜のスパッタ成膜中に堆積した付着膜を除去する第1のスパッタ処理工程と、前記第1のスパッタ処理工程の後であって前記位相シフト膜成膜工程の前に実行されるスパッタ処理工程であって、前記複数のターゲットの表面にダミーのスパッタ処理を施す第2のスパッタ処理工程を備え、該第2のスパッタ処理が反応性ガスを含有する雰囲気中で実行され、該反応性ガスを含有する雰囲気は前記位相シフト膜の成膜開始時の雰囲気と同一であることを特徴とする。
好ましくは、前記第1のスパッタ処理工程を前記位相シフト膜の成膜工程毎に実行される。また、前記第1のスパッタ処理工程が前記複数のターゲットと実質的に反応しないガスを用いて実行されることが好ましく、さらには、前記第1のスパッタ処理工程のスパッタリング用ガスはアルゴンとすることが好ましい。
好ましくは、前記第1のスパッタ処理工程のスパッタガス圧は前記位相シフト膜成膜時のスパッタガス圧よりも低圧に設定される。
また、好ましくは、前記第1のスパッタ処理工程での前記複数のターゲットへの投入電力は前記位相シフト膜成膜時のターゲット投入電力よりも高く設定される。
好ましくは、前記第2のスパッタ処理に用いられる前記反応性ガスは窒素または酸素の少なくとも一方を含む化合物を含有するガスである。
例えば、前記位相シフト膜は遷移金属と珪素を含有する膜であり、前記複数のターゲットは何れも珪素または遷移金属の少なくとも一方を含有するものである
この場合、好ましくは、前記複数のターゲットは、遷移金属および珪素を含有するターゲットと珪素を含有するターゲット、遷移金属と珪素を含有する複数のターゲット、または、遷移金属からなるターゲットと珪素からなるターゲットの組み合わせの何れかである
本発明では、複数のターゲットを用いて位相シフト膜を反応性スパッタリング法により成膜するに先立ち、これら複数のターゲットの表面を、ターゲットと実質的に反応しないガスを用いてスパッタ処理することとしたので、他のターゲットからスパッタリングされた粒子がターゲット上に飛来して形成された堆積物が除去され、位相シフト膜のスパッタリング成膜時の異常放電が抑制されることとなる。その結果、位相シフト膜の透過率調整が簡便で、得られた膜が薬品耐性に優れ、しかも低欠陥の高品質な位相シフト膜を備えたフォトマスクブランクを提供することが可能になる。
以下に、本発明を実施するための態様について説明する。
本発明者は、特許文献2記載の手法で複数のターゲットを同時放電させてスパッタ成膜した場合、成膜回数を重ねていくと得られた位相シフト膜の欠陥数が次第に増加するという問題について誠意検討を重ね、成膜回数を重ねることにより増大する欠陥の原因を以下のように考えた。
すなわち、複数のターゲット(例えば、ターゲットAとB)を使用して窒素原子や酸素原子を含むガス中で位相シフト膜を反応性スパッタリング法で成膜すると、他のターゲット(ターゲットAに対してB、ターゲットBに対してA)からスパッタリングされた粒子が窒素や酸素と反応した後にターゲット(ターゲットAおよびターゲットB)上に堆積してしまう。そして、このような堆積物の導電性が低い場合には、その堆積量が多くなると次第に異常放電が発生し易い状態となり、この異常放電(アーク発生)によって膜中の欠陥が増大してしまうとの仮説に至った。
そして、膜中の欠陥増大のメカニズムを上述のように考えれば、反応性スパッタによって形成されたーゲット面上の堆積物を除去することで問題解決が可能であると考えた。
一般的に、未使用のターゲットを用いてスパッタリングを行う際、製品を製造するためのスパッタリング成膜を開始する前に、希ガス中でスパッタを行うことで、ターゲット表面に形成された加工歪みや組成変化を起こした表面層を除去する処理は、いわゆる「プレスパッタ処理」として知られる。
通常は、プレスパッタを施した後のターゲットに反応性スパッタリングの条件下でダミーのスパッタリングを施し、状態が安定した段階で実際の成膜を開始するが、プレスパッタ直後は成膜される膜質のばらつきが大きいため、一旦成膜を開始した後は連続して製品取得するのが通常である。
しかし、本発明者らの検討によれば、スパッタリングにより付着膜を除去するプレスパッタ類似の操作を行った直後においても、スパッタ条件を適正に制御すれば、製品レベルでの成膜が可能であることが明らかとなった。そして、複数のターゲットを使用して位相シフト膜を反応性スパッタリング成膜する場合においても、一定サイクルの付着膜除去操作を実行することで位相シフト膜の欠陥発生が抑制可能であり、しかも、膜質の劣化もないことを見出した。
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の手法により作製される位相シフトフォトマスクブランクの構成例を説明するための断面概略図で、石英やCaF2等の露光光が透過する基板(1)上に、位相シフト膜(2)をスパッタ成膜したものである。なお、この図に示した例では、位相シフト膜(2)は2層(2a、2b)の積層膜とされているが、単層膜であってもよい。位相シフト膜(2)は、公知の金属シリサイド酸化物、金属シリサイド窒化物、金属シリサイド酸化窒化物、金属シリサイド酸化炭化物、金属シリサイド窒化炭化物、又は金属シリサイド酸化窒化炭化物、特には金属としてモリブデン、もしくはジルコニウム、又はこれらを混合したシリサイド物にて形成することが好ましい。
図2は、このような位相シフト膜(2)を成膜するためのスパッタリング装置の構成を説明するための図で、このスパッタリング装置は、複数のターゲットを同時放電可能で、かつ、基板(1)を自転させる機構を備えている。図2において、符号101はチャンバ、102aは第1のターゲット、102bは第2のターゲット、103はスパッタガス導入口、104はガス排気口、105は基板回転台であり、106aおよび106bはそれぞれ、第1および第2のターゲットにバイアスを印加するための電源で、6インチの角形石英の基板(1)が基板回転台(105)上に載置されている。
ターゲットには、遷移金属と珪素からなるターゲットと珪素からなるターゲット、遷移金属と珪素からなるターゲットを複数、または、遷移金属からなるターゲットと珪素からなるターゲットなどが用いられる。
このようなターゲットとしては、例えば、金属シリサイド酸化物、金属シリサイド窒化物、金属シリサイド酸化窒化物、金属シリサイド酸化炭化物、金属シリサイド窒化炭化物などが例示され、金属シリサイド酸化窒化炭化物を成膜する場合には、その金属が含まれる金属シリサイドターゲットとシリコンターゲットが用いられる。例えば、上記金属がモリブデンである場合には、モリブデンシリサイド酸化物、モリブデンシリサイド窒化物、モリブデンシリサイド酸化窒化物、モリブデンシリサイド酸化炭化物、モリブデンシリサイド窒化炭化物などが例示され、モリブデンシリサイド酸化窒化炭化物を成膜する場合には、モリブデンシリサイドターゲットとシリコンターゲットが用いられる。
なお、膜組成を一定に保つために、酸素と窒素の何れか、又は酸素および窒素を添加した金属シリサイドをターゲットとして用いてもよい。
このスパッタリング装置では、複数のターゲット(102a、102b)のそれぞれに個別に投入電力が設定可能であり、1枚の基板(1)上に位相シフト膜を成膜する際に、上記2種(あるいは3種以上であってもよい)のターゲット(102a、102b)のスパッタリング量を個別にコントロールし、膜の透過率が所望の値となるように、膜中の金属とシリコンの組成比が制御される。
具体的には、珪素を多く含有するターゲット側の投入電力を上げる(あるいは、遷移金属を多く含有するターゲット側の投入電力を下げる)と、位相シフト膜中の遷移金属に対するシリコンの割合を増やすことができ、膜の透過率を高めることができる。逆に、珪素を多く含有するターゲット側の投入電力を下げる(あるいは、遷移金属を多く含有するターゲット側の投入電力を上げる)と、位相シフト膜中の遷移金属に対するシリコンの割合を減らすことができ、膜の透過率を低くすることができる。
スパッタリングガスの組成は、アルゴン、キセノン等の不活性ガスと窒素ガスや酸素ガス、各種酸化窒素ガス、一酸化炭素ガスや二酸化炭素ガス等を、成膜される位相シフト膜が所望の組成をもつように、適宜に添加される。
この場合、成膜される位相シフト膜の透過率を上げたいときには、膜中に酸素及び窒素が多く取込まれるようにスパッタリングガスに添加する酸素や窒素を含むガスの量を増やす方法、スパッタリングターゲットに予め酸素や窒素や炭素を多く添加した金属シリサイドを用いる方法などにより調整することができる。ただし、酸素を入れすぎると、成膜される位相シフト膜の薬品耐性が低下したり、屈折率が低下して位相を180°シフトさせるための膜厚が厚くなるなどの悪影響が生じるため、酸素導入量は適宜の量のままとし、相対的にシリコンターゲットへの投入電力を増加させることで透過率を上げることが好ましい。
なお、ターゲットの数は適宜選定される。金属シリサイドターゲットとして1個、シリコンターゲットとして1個の計2個などとすることに限定されず、各ターゲットの成膜レートや所望する膜の透過率の値に応じて、何れかのターゲットを複数個とするなど、種々のバリエーションがあり得る。
また、各ターゲットへの投入電力も適宜選定されることは言うまでもない。なお、投入電力値には特別な制限はなく、各ターゲットが安定に放電できる範囲の電力であればよいが、一般には、単位面積当たりの投入電力として0.2〜20W/cm2であることが好ましい。
位相シフト膜は、面内での組成分布が均一になるように基板を自転させて成膜することが好ましく、成膜時の基板自転数は5〜50rpmとすることが好ましい。また、位相シフト膜は、位相差の分布の中心値が180°±10°の範囲内であり、透過率の分布の中心値が数%〜数十%(特に3〜40%であることが好ましい)であることが好ましい。
ここで、光学膜である位相シフト膜の成膜時間の経過とともに、ターゲット表面には他のターゲットから飛来するスパッタ粒子によりターゲット組成とは異なる組成の膜が堆積する。特に、酸化、窒化、あるいは酸窒化の成膜条件下では、導電性の低い酸化膜、窒化膜、あるいは酸窒化膜が堆積してしまう。このような低導電性の膜がターゲット表面に堆積すると、ターゲットに印加される高電圧によりアークが発生し易くなり、このアークが原因で成膜中の位相シフト膜に欠陥を誘起させてしまう。
そこで、本発明では、位相シフト膜の成膜に先立ち、スパッタガスとしてアルゴンなどの希ガス類を主成分とするガスを用いて全てのターゲットを放電させる工程を設ける。このようなガスは、ターゲットの表面と実質的に化学反応を生じないガスである必要がある。このスパッタ処理工程により、ターゲット表面に堆積した上述の低導電性膜が除去され、アークの発生を抑えることができる。なお、このような付着膜除去の態様として、複数のターゲットと実質的に反応しないガスを用いてドライエッチングを行うこととしてもよいが、スパッタ処理の場合には別途ドライエッチングのための装置を追加する必要がないという利点がある。
位相シフト膜を成膜する前の上述のスパッタ処理工程におけるガス条件としては、ターゲットが「メタルモード」となる条件であればよい。ここで、「メタルモード」とは、下記のものを意味する。酸素や窒素などの反応性ガスをチャンバ内に導入する流量を増加させるとターゲット表面が酸化や窒化され、この状態でスパッタリングを行うとスパッタレートが減少する。そして、更に反応性ガス導入量を増してゆくとスパッタレートが不連続に変化して顕著に大減少する点が存在する。この不連続点よりも反応性ガス流量が少ないモードが「メタルモード」である。
一般的な目安としては、酸素のような強反応性ガス比率を大きく下げ、アルゴンなどの希ガス類が全体の導入ガス流量の50%以上の場合に「メタルモード」となるが、メタルモード条件は用いるスパッタリング装置や成膜条件により異なる。しかし、アルゴンなどの希ガス類を主成分とするとの観点からは、最適なガス条件とは、希ガス類が100%となるガス条件である。
また、一般的に、ガス圧力が低いほどスパッタされるターゲット表面領域は広がる傾向があるため、スパッタ処理工程のガス圧力は、位相シフト膜を成膜する際のガス圧力よりも低いことが好ましい。
さらに、一般的に、ターゲットへの投入電力が高いほどスパッタされるターゲット表面領域は広がる傾向があるため、スパッタ処理工程の際のターゲットへの投入電力は、位相シフト膜を成膜する際の投入電力よりも高いことが好ましい。
なお、このようなスパッタ処理工程は、位相シフト膜の成膜のバッチ毎に実行してもよく、数バッチ(例えば2〜3バッチ)の成膜が終了した後に一回実行するようにすることも可能である。
このようなスパッタ処理を実行した直後に位相シフト膜の成膜を行うと、ターゲット表面や成膜室内の反応性ガス状態(酸化や窒化の状態)が急激に変化してしまい膜特性が不安定になり易い。このため、実際に位相シフト膜を成膜する前に、予め位相シフト膜成膜時の反応性ガス条件でダミーのスパッタ(第2のスパッタ処理)を行い、ターゲット表面およびチャンバ内を安定させた後に成膜を開始することが好ましい。
なお、本発明の方法において、上述のスパッタ処理工程以外は、公知の種々の成膜方法の採用が可能であるが、特に反応性スパッタ法が好ましい。また、スパッタリング方法は、直流電源を用いたものでも高周波電源を用いたものでもよく、マグネトロンスパッタリング方式であっても、コンベンショナル方式であってもよい。
当然のことであるが、上述のようにして得られた位相シフト膜上に、Cr系遮光膜を設けたり、Cr系遮光膜からの反射を低減させるCr系反射防止膜をCr系遮光膜上に形成することもできる。更に、基板側から位相シフト膜、第1のCr系反射防止膜、Cr系遮光膜、第2のCr系反射防止膜の順に形成することもできる。この場合、Cr系遮光膜又はCr系反射防止膜としてはクロム酸化物(CrO)、クロム酸化窒化物(CrON)、クロム酸化炭化物(CrOC)又はクロム酸化窒化炭化物(CrONC)若しくはこれらを積層したものを用いることが好ましい。
このようなCr系遮光膜又はCr系反射防止膜は、クロム単体又はクロムに酸素、窒素、炭素のいずれか、又はこれらを組み合わせたものを添加したターゲットを用い、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスに炭素源として炭素が含まれるガスを添加したスパッタガスを用いた反応性スパッタリングにより成膜することができる。
具体的には、CrONC膜を成膜する場合にはスパッタガスとしてはCH4,CO2,CO等の炭素を含むガスと、NO,NO2,N2等の窒素を含むガスと、CO2,NO,O2等の酸素を含むガスをそれぞれ1種以上を導入するか、これらにAr,Ne,Kr等の不活性ガスを混合したガスを用いることもできる。導入方法としては各種スパッタガスを別々にチャンバ内に導入してもよいし、幾つかのガスをまとめて又は全てのガスを混合して導入してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例〕
図2に図示したスパッタ装置を用い、スパッタ用ターゲットとして、モリブデンシリサイド(MoSi)ターゲット(102a)とシリコン(Si)ターゲット(102b)を用いた。なお、基板は6インチ角の石英基板である。
位相シフト膜の成膜に先立ち、その直前にターゲット表面の付着膜を除去するため、下記の第1および第2のスパッタ処理工程を実行した。第1のスパッタ処理は、ターゲットの元素と実質的に反応しないArガスのみをチャンバ内に導入(Ar流量20sccm)してチャンバ内圧力を0.04Paとし、MoSiターゲット(102a)に500W、Siターゲット(102b)に1000Wの電力を印加した条件で、300秒間実行してターゲットの表面をクリーニングした。
この第1のスパッタ処理に続いて、MoSiターゲットに500W、Siターゲットに500Wを印加し、Arガス(流量5sccm)とN2ガス(流量50sccm)をチャンバ内に導入し、300secのダミーのスパッタ(第2のスパッタ処理)を実行した。
これら第1および第2のスパッタ処理の後、実際の位相シフト膜の成膜を実行した。このときの成膜条件は、MoSiターゲットに850〜450W、Siターゲットに150〜550Wを印加し、Arガス(流量5sccm)とN2ガス(流量50sccm)およびO2ガス(流量2〜0.2sccm)をチャンバ内に導入してチャンバ内圧力を0.10Paとする条件とした。
上記の工程を50バッチ繰り返して位相シフトマスクブランク(各バッチ1枚で計50枚)を製作し、位相シフト膜の欠陥を表面検査装置(日立GM1000)にて測定した。
図3は、位相シフト膜の欠陥検査結果を纏めた図で、白丸が本実施例の50枚の試料の測定結果である。この図に示されているように、50枚全てにつき、位相シフト膜の面内欠陥数は0〜3個と極めて低い値であった。
〔比較例〕
上記実施例と同一のスパッタ装置およびスパッタ用ターゲットを用い、位相シフト膜を成膜した。なお、本比較例では、上述のスパッタ処理に類似する付着膜除去のための処理は一切行っていない。位相シフト膜の成膜条件は、MoSiターゲットに900〜100W、Siターゲットに100〜900Wを印加し、Arガス(流量5sccm)とN2ガス(流量50sccm)およびO2ガス(流量2〜0.2sccm)をチャンバ内に導入してチャンバ内圧力を0.10Paとする条件とした。
上記の工程を50バッチ繰り返して位相シフトマスクブランク(各バッチ1枚で計50枚)を製作し、位相シフト膜の欠陥を表面欠陥検査装置(日立GM1000)にて測定した。
図3に示した黒丸が本比較例の50枚の試料の測定結果である。この図に示されているように、1枚目から27枚目までは2〜10個の欠陥数であったが、28枚目以降では欠陥数が急激に増大する傾向(2〜189個)を示し、処理数(バッチ数)が増加するにつれて欠陥数が増加していた。
図3に示した結果から明らかなように、本発明で採用したスパッタ処理工程により、位相シフト膜の欠陥発生が顕著に抑制されていることが理解できる。
以上、実施例により本発明のフォトマスクブランクの製造に関する技術について説明したが、上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。上記実施の態様においては光学膜が位相シフト膜であるとして説明したが、本発明の手法は、位相シフト膜の成膜のみならず、種々の光学膜の成膜においても極めて有効であることは明らかである。これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内にあり、更に本発明の範囲内において他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。例えば、位相シフト膜の成膜前に他の光学膜をスパッタ成膜させたような場合に、位相シフト膜の成膜前に上述のスパッタ処理を施すようにしてもよい。
本発明により、位相シフト膜の透過率調整が簡便で、得られた膜が薬品耐性に優れ、しかも低欠陥の高品質な位相シフト膜を備えたフォトマスクブランクの製造方法が提供される。
本発明の手法により作製される位相シフトフォトマスクブランクの構成例を説明するための断面概略図である。 本発明で用いられるスパッタリング装置の構成を説明するための図である。 位相シフト膜の欠陥検査結果を纏めた図である。
符号の説明
1 基板
2 位相シフト膜
101 チャンバ
102a 第1のターゲット
102b 第2のターゲット
103 スパッタガス導入口
104 ガス排気口
105 基板回転台
106a、106 電源

Claims (8)

  1. 複数のターゲットを用いて反応性スパッタリングにより成膜される位相シフト膜を備えるフォトマスクブランクの製造方法であって、
    前記スパッタ成膜工程は複数バッチ実行され、
    前記スパッタ成膜工程のバッチ間で実行されるスパッタ処理工程であって、前記複数のターゲット表面から光学膜のスパッタ成膜中に堆積した付着膜を除去する第1のスパッタ処理工程と、
    前記第1のスパッタ処理工程の後であって前記位相シフト膜成膜工程の前に実行されるスパッタ処理工程であって、前記複数のターゲットの表面にダミーのスパッタ処理を施す第2のスパッタ処理工程を備え、
    前記第1のスパッタ処理工程が前記複数のターゲットと実質的に反応しないガスを用いて実行され、
    該第2のスパッタ処理が反応性ガスを含有する雰囲気中で実行され、
    該反応性ガスを含有する雰囲気は前記位相シフト膜の成膜開始時の雰囲気と同一であることを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
  2. 前記第1のスパッタ処理工程を前記位相シフト膜の成膜工程毎に実行する請求項1に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  3. 前記第1のスパッタ処理工程のスパッタリング用ガスがアルゴンである請求項1又は2に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  4. 前記第1のスパッタ処理工程のスパッタガス圧が前記位相シフト膜成膜時のスパッタガス圧よりも低圧である請求項1乃至3の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  5. 前記第1のスパッタ処理工程での前記複数のターゲットへの投入電力が前記位相シフト膜成膜時のターゲット投入電力よりも高い請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  6. 前記第2のスパッタ処理に用いられる前記反応性ガスは窒素または酸素の少なくとも一方を含む化合物を含有するガスである請求項1乃至5の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  7. 前記位相シフト膜は遷移金属と珪素を含有する膜であり、前記複数のターゲットは何れも珪素または遷移金属の少なくとも一方を含有するものである請求項1乃至6の何れか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  8. 前記複数のターゲットは、遷移金属および珪素を含有するターゲットと珪素を含有するターゲット、遷移金属と珪素を含有する複数のターゲット、または、遷移金属からなるターゲットと珪素からなるターゲットの組み合わせの何れかである請求項7に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
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