JP4808876B2 - 硬質屋根材の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は軽量で、耐候性がよく、メンテナンスフリーの硬質屋根材の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、板状の硬質屋根材としては、瓦屋根材、スレート平板屋根材、セメント系平板屋根材、等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このら屋根材は、瓦屋根材は重く作業性が悪く、スレート平板屋根材、セメント系平板屋根材は耐候性が悪く数年毎の塗装が必要であった。また、防水性が無く、アスファルトルーフィング等の防水シートで防水性を保つ構造であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、略方形板状の硬質屋根材の水下側から水上側に沿って複数個の中空孔が形成され、水上側表面に中空孔まで通じるように防水溝が形成されている硬質屋根材と、硬質屋根材間の左右連結部裏面に、平面状の敷目部と敷目部の左右端部を上方に突出した防水片と敷目部の水上端を上方に突出した防水面を有する防水敷目板が形成されている硬質屋根材の取付構造を提供するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて、本発明に係る硬質屋根材の取付構造について詳細に説明する。図1〜図9は本発明に係る硬質屋根材の取付構造の一実施例を示す説明図であり、硬質屋根材A、防水敷目板B、パッキング材P、屋根下地α、固定具βとからなるものである。なお、屋根下地αは桟木、防水シート、野地板、垂木等からなるものである。勿論、屋根下地αとして鉄骨下地からなるものを使用しても良いものである。
【0006】
なお、図1(a)、(b)、図2、図3、図4は本発明に係る硬質屋根材の施工状態を示す説明図、図5(a)〜(c)は防水敷目板図Bを示す説明図、6(a)〜(c)は硬質屋根材Aを示す説明図、図7は斜視図、図8は縦断面斜視図、図9は横断面斜視図である。
【0007】
硬質屋根材Aは図1〜図9に示すように化粧面1を略方形板状に形成したものであり、水下側に下連結部2、水上側に上連結部3を形成し、左右端部に相决り状の右連結部4、左連結部5を形成したものである。
【0008】
その素材としてはセラミック板、セメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、炭酸マグネシウム板、スレート板等、あるいはこれらにガラス繊維、ウィスカー、アラミド繊維、スチール繊維、炭素繊維、各種鉱物繊維、各種骨材等を混入したものを押出成形よって成形したもの、もしくは各種繊維をクロス状、三次元状に織り、これにセメント、粘土等を含浸してパネル状に成形したものを蒸気養生、あるいは焼成したもの、粘土を押出−乾燥−焼成して形成したセラミック板、等からなるものである。また、上記素材にFRP樹脂、合成樹脂、耐火シート、等のシート材を裏面等に貼着して強度、耐火性、安全性(壊れても飛散しない)を向上させたりすることも出来るものである。勿論、セラミック(磁気質)を素材として利用した場合には、セメント系建材で心配される中性化による劣化、褪色がなく、また、吸水率も極めて低い数値であり、凍結融解の恐れもなく、メンテナンスフリーで半永久的に使える硬質屋根材Aとなる。
【0009】
化粧面1は意匠性を向上する部分であると共に、上段の硬質屋根材Aから流れてきた雨水等が上連結部3から浸入しないように形成した防水下地としても機能するものである。
【0010】
下連結部2と上連結部3は上下方向において重なりあって防水性を強化する部分であると共に、屋根に段差を形成する部分でもある。
【0011】
下連結部2と上連結部3は図1(a)、(b)に示すように固定具βにより屋根下地αに固定されるものである。
【0012】
右連結部4と左連結部5は図1(b)に示すように連結され、縦目地部において防水性の強化、気密性の強化、施工性の強化(少々ずれても間隙が生じない)、等のために形成したものである。勿論、右連結部4と左連結部5の形状は図の反対でも良いものである。
【0013】
なお、硬質屋根材A自体は固定孔1bを介して固定具βにより屋根下地αに打設して固定したり、図示しないが取付金具(後記する支持具C、あるいは防水敷目板B)を利用して固定しても良いものである。
【0014】
2aはカバー片であり、水下側の下連結部2の中空孔Hの上部の化粧面1を、裏面1a側に図では湾曲して垂下させて形成したものであり、雨水が屋根下地α内へ浸入するもを防止するものである。
【0015】
3aは支持片であり、水上側の上連結部3の中空孔Hの下部の裏面1aを図では湾曲して垂下させて形成したものであり、桟木上に硬質屋根材Aを固定する際の位置決めのために形成したものである。なお、支持片3aが裏面1a側に突出して形成される場合には、縦目地部裏面に形成される防水敷目板Bが存在する部分の支持片3aは施工上邪魔になるので、防水敷目板Bの幅の1/2よりも大きく切り欠いて形成されているものである。
【0016】
防水溝3bは硬質屋根材Aの水上側表面に中空孔まで通じるように形成され、万が一に内部に浸入した雨水を中空孔Hを介して下段の硬質屋根材Aに流下させ、外部に排水するものである。勿論、夏期等に硬質屋根材A内部の温度を低下させるための、排気路としても機能するものである。
【0017】
Hは中空孔であり、水下側から水上側へ貫通した空間であり、押出成型時に形成するものである。この中空孔Hは夏期の屋根面の温度上昇を抑え、家屋内の温度上昇を防止すると共に、万が一の雨水の浸入をこの中空孔Hより下段の硬質屋根材Aの化粧面1上に排水し、防水性を強化するものである。
【0018】
パッキング材Pは横目地部分あるいは縦目地部分、もしくは固定具βの頭部分から雨水が浸入しないように形成したものであり、定型で弾性のあるパッキング材Pとしては、例えば発泡ゴム、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているものであり、主に耐候性、耐酸性、耐水性、防水性、気密性、等の機能として有用なものである。また、これらの成分の中に、耐火性、防火性を有する例えばポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、フェノール樹脂粒、カーボンブラック、グラファイト(発泡、非発泡)等の難燃材を混入することも出来る。
【0019】
防水敷目板Bは例えば図5(a)〜(c)に示すように、平面状の敷目部6と敷目部6の左右両端部を上方に突出した防水片7と敷目部6の上端を上方に突出した防水面8とから断面凹状に形成したものである。
【0020】
敷目部6は縦目地部の裏面に図1(b)、図2、図3に示すように形成されるものであり、上部の硬質屋根材Aの裏面に図2、図3に示すように配置されて上下の硬質屋根材A間に挟持されるものである。なお、図6(b)に示すように硬質屋根材Aの長さをL、図5(a)に示すように防水敷目板Bの長さをlとすると、L=lの関係が望ましいものである。勿論、硬質屋根材Aの重なり寸法により、L>l、L<lの関係でも良いものである。
【0021】
防水片7と防水面8は共に、縦目地部から浸入した雨水等が防水敷目板Bを乗り越えて屋根下地αまで浸入しないように形成し、雨漏り防止、屋根下地αの腐食防止のために形成したものである。
【0022】
その素材としては、アルミニウム、ステンレス、スチール、銅等の各種鋼板、あるいはプラスチック樹脂、FRP樹脂等をプレス成形、押出成形等して形成したものである。
【0023】
以上説明したのは、本発明に係る硬質屋根材の取付構造の一実施例であり、図10(a)〜(l)〜図22(a)〜(d)に示すように形成することも出来るものである。
【0024】
図10(a)〜(l)〜図15は硬質屋根材Aのその他の実施例を示す説明図であり、特に図10(d)〜(f)は支持片3aを上方に形成し、防水片3cとして防水性を強化した硬質屋根材A、図10(i)は上部の硬質屋根材Aの施工位置を示す施工目印3dを形成した硬質屋根材Aである。
【0025】
図11(a)、(b)、図12(a)、(b)は防水片3cを形成した硬質屋根材Aの施工状態を示す断面図と、密実体の硬質屋根材Aの施工状態を示す断面図である。
【0026】
図13(a)〜(m)〜図14(a)〜(m)は硬質屋根材Aの横断面図のその他の実施例を示す断面図である。また、図15は硬質屋根材A間にパッキング材Pを形成しない場合の構造を示す断面図である。
【0027】
勿論、新生瓦のように、硬質屋根材Aの上下方向の重なりを硬質屋根材Aの幅の1/2以上として防水性を強化することも出来るものである。
【0028】
図16(a)〜(c)〜図19(a)〜(d)は防水敷目板Bのその他の実施例を示す説明図である。なお、図17(a)〜(d)〜図19(a)〜(d)において、(b)図は(a)図の断面図、(d)図は(c)図の断面図である。また、8aは固定片であり、防水敷目板Bを屋根下地αに固定する部分である。
【0029】
図20(a)、(b)は硬質屋根材Aを図21に示すように固定するための支持具Cを示すものであり、平面状の固定面9と、固定面9に形成した固定孔10と、固定面9の一端もしくは途中を垂直に屈曲した立ち上がり片11と、立ち上がり片11の先端を固定面9と平行に屈曲した左右両方の押さえ片12と、押さえ片12の先端をL字状に形成した嵌合片13と、嵌合片13と押さえ片12とからなる断面略コ字状の嵌合溝14とから形成したものである。また、その素材や成形方法は前記した防水敷目板Bと同様なものである。
【0030】
固定面9は21に示すように、屋根下地αに固定具βを介して支持具Cを固定することにより硬質屋根材Aを固定する部分であり、立ち上がり部11をガイドとして下段の硬質屋根材Aの上連結部3を押さえ片12でバタつかないように支持・固定するものである。
【0031】
嵌合片13と嵌合溝14は硬質屋根材Aの下連結部2の中空孔Hに挿入されて一体化し、上段の硬質屋根材Aの下端部を固定するための部分である。
【0032】
勿論、固定具βによる硬質屋根材Aのへの直接の打設と、支持具Cによる固定の両方で施工したり、または、支持具Cのみで硬質屋根材Aを施工することにより、硬質屋根材Aを直接打設しなくとも固定することが出来るものである。
【0033】
【発明の効果】
上述したように、本発明に係る硬質屋根材の取付構造によれば、硬質屋根材に中空孔を形成したために、▲1▼防水性が向上する。▲2▼夏期の屋根面の温度上昇を抑制出来る。▲3▼軽量化が図れる。▲4▼セラミック板では耐光性が良い。カバー片を形成したために、▲5▼防水性が向上する。▲6▼中空孔が外部から見えない。さらに、防水敷目板を形成したために、縦目地部の防水性が向上する。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬質屋根材の取付構造の施工状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る硬質屋根材の取付構造の施工状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る硬質屋根材の取付構造の施工状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る硬質屋根材の取付構造の施工状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る硬質屋根材の取付構造に使用する防水敷目板の代表的な一例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る硬質屋根材の取付構造に使用する硬質屋根材の代表的な一例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る硬質屋根材の取付構造に使用する硬質屋根材の代表的な一例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る硬質屋根材の取付構造に使用する硬質屋根材の代表的な一例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る硬質屋根材の取付構造に使用する硬質屋根材の代表的な一例を示す説明図である。
【図10】硬質屋根材のその他の実施例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る硬質屋根材の取付構造のその他の実施例を示す説明図である。
【図12】本発明に係る硬質屋根材の取付構造のその他の実施例を示す説明図である。
【図13】硬質屋根材のその他の実施例を示す説明図である。
【図14】硬質屋根材のその他の実施例を示す説明図である。
【図15】本発明に係る硬質屋根材の取付構造のその他の実施例を示す説明図である。
【図16】防水敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図17】防水敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図18】防水敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図19】防水敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図20】支持具のその他の実施例を示す説明図である。
【図21】本発明に係る硬質屋根材の取付構造のその他の実施例を示す説明図である。
【図22】支持具のその他の実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 硬質屋根材
B 防水敷目板
C 支持具
H 中空孔
P パッキング材
α 屋根下地
β 固定具
1 化粧面
1a 裏面
1b 固定孔
2 下連結部
2a カバー片
3 上連結部
3a 支持片
3b 防水溝
3c 防水片
3d 施工目印
4 右連結部
5 左連結部
6 敷目部
7 防水片
8 防水面
8a 固定片
9 固定面
10 固定孔
11 立ち上がり片
12 押さえ片
13 嵌合片
14 嵌合溝

Claims (1)

  1. 略方形板状の硬質屋根材の水下側から水上側に沿って複数個の中空孔が形成され、水上側表面に中空孔まで通じるように防水溝が形成されている硬質屋根材と、硬質屋根材間の左右連結部裏面に、平面状の敷目部と敷目部の左右端部を上方に突出した防水片と敷目部の水上端を上方に突出した防水面を有する防水敷目板が形成されていることを特徴とする硬質屋根材の取付構造。
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