JP3780319B2 - 水切り - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は内装材、外装材として使用する乾式壁材の下端部をカバーすると共に、乾式壁材の凸反りを修復・防止する水切りに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている乾式壁材Bの下端部をカバーする水切りCとしては、図12(a)、(b)に示すような家屋において、図13〜図15に示すように壁下地α(木造下地、鉄骨下地、防水シート等、あるいは既存壁下地、等よりなる)と基礎γ間に固定具βにより施工し、乾式壁材Bの木口端部をカバーするものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、芯材として合成樹脂発泡体を使用した乾式壁材Bは経年変化により図14、図15に示すように乾式壁材B自体が凸状に変形してしまうことが希にあった。このため、上記のような水切りCを使用した壁は、乾式壁材Bが凸状に変形することにより、水切りCの化粧面と乾式壁材Bの化粧面間に凸部a、凹部bが形成され、美感上問題が生じることもあった。その上、水切りCと乾式壁材B間の間隙cが凸部a、凹部bにより拡大し、雨水等が内部へと浸入してしまう欠点があった。さらに、乾式壁材Bを張り直す作業は非常に手間とコストがかかるものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、垂直平面状の固定部と、固定部の下端を外方に屈曲した底面と、底面に一定ピッチで形成した流水孔と、底面の先端を外方に固定部と略平行に屈曲したカバー片と、カバー片の一部を内方に窪ませて形成した固定溝と、カバー片の先端を外方に屈曲した当接面と、当接面の先端を内方に屈曲した水切り片とから形成したことにより、上記欠点を排除した水切りを提供するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて本発明に係る水切りの一実施例について詳細に説明する。すなわち、図1(a)〜(c)は上記水切りAを示す一部切り欠き斜視図、断面図、a−a部端面図、図2は基礎γ部分に水切りAを形成した場合を示す断面図である。
【0006】
水切りAは垂直平面状の固定部1と、固定部1の下端を外方に屈曲した底面2と、底面2に一定ピッチで形成した流水孔3と、底面2の先端を外方に固定部1と略平行に屈曲したカバー片4と、カバー片4の一部を内方に窪ませて形成した固定溝5と、カバー片4の先端を外方に屈曲した当接面6と、当接面6の先端を内方に傾斜して屈曲した水切り片7と、水切り片7の先端を内方にハゼ状に屈曲した舌片8とから形成したものである。
【0007】
固定部1は水切りAを壁下地αに固定具βにより固定する部分である。
【0008】
底面2には流水孔3を一定ピッチで形成し、乾式壁材Bと水切りAの当接面6間より浸入した雨水を外部に排出するものである。また、形成ピッチPは30〜300mm位である。
【0009】
固定溝5は当接面6の先端と同じ位の位置に形成し、乾式壁材Bの下端部を壁下地αに固定する部分であり、この固定により、乾式壁材Bが図14に示すように凸状に変形することを防止するものである。
【0010】
当接面6は乾式壁材Bの化粧面9aに常時接触し、乾式壁材Bと水切りA間に隙間が形成されるのを防止し、美感性、防水性を向上するための部分である。勿論、当接面6の先端は固定溝5の底面と同一位置か、固定溝5の底面よりも突出しているものである。
【0011】
水切り片7は乾式壁材B上を流れてきた雨水等を速やかに流下させるためのものであると共に、乾式壁材Bを固定した固定具βの頭部が外部から見えにくいように形成したものである。
【0012】
その素材としては、金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種を押出成形、ロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0013】
乾式壁材Bは図3(a)、(b)(施工後の経時変化により凸条に変形した乾式壁材B)に示すように表面材9と裏面材10間に芯材11を形成し、両端に雄型連結部12と雌型連結部13を形成したものであり、図4に示すように、固定具βの打設と、雄型連結部12と雌型連結部13を嵌合することにより乾式壁材Bを連結するものである。勿論、水切りAは縦張りの乾式壁材B、横張りの乾式壁材Bの両方に使用できるものである。
【0014】
表面材9、裏面材10は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形等して各種任意形状に形成したものである。
【0015】
芯材11は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム、等の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材9、もしくは裏面材10の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、芯材11中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、防火性を向上させることもできる。
【0016】
さらに詳説すると、芯材11は主に断熱材、防火材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化材、等として機能するものである。勿論、芯材11としてロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機材を使用しても良いものである。
【0017】
また、乾式壁材Bと水切りA間には防水性の強化のためにシーリング材を形成しても良いものである。その素材としては、例えば定型で弾性のあるシーリング材としては、例えば発泡ゴム、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているもの、あるいは硬化型のシーリング材としてはシリコーン系(反応硬化型、湿気硬化型)、変成シリコーン系(反応硬化型)、ポリサルファイド系(反応硬化型)、ポリウレタン系(反応硬化型、湿気硬化型)、SBR系(乾燥硬化型)、アクリル系(乾燥硬化型)等よりなるものであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なものである。勿論、これらの成分中に無機材等の難燃材、あるいは耐火性、防火性を有する例えばポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、フェノール樹脂粒、カーボンブラック、グラファイト(発泡、非発泡)等の難燃材を混入した耐火性のあるシーリング材を使用しても良いものである。
【0018】
次に、本発明に係る水切りAの施工方法について簡単に説明する。まず、図1(a)〜(c)に示すような水切りAを図2に示すように固定部1を固定具βにより打設し、基礎γ部分の壁下地αに連続状で固定する。次に、図3(a)に示すような乾式壁材をBを図4に示すように連結し、下端の木口を固定部1と底面2とカバー片4間の空間に挿入し、縦に施工する。最後に、固定溝5を壁下地αに固定具βを介して打設して施工を完了するものである。
【0019】
【その他の実施例】
以上説明したのは本発明に係る水切りの一実施例にすぎず、水切りAを図5(a)〜(f)、図6(a)〜(f)、図7(a)〜(e)、乾式壁材Bを図8(a)〜(f)に示すように形成することもできる。
【0020】
すなわち、図5(a)〜(f)はカバー片4、水切り片7を各種変形した水切りAである。
【0021】
また、図6(a)〜(f)において、(a)〜(d)図は載置面1aを形成し、乾式壁材Bの木口面が底面2に接触しないように形成し、内部に浸入した雨水が乾式壁材Bの木口面に接触しないように形成したものである。これは、芯材11が合成樹脂発泡体の場合に、乾式壁材Bの木口から合成樹脂発泡体が雨水を吸い上げないように形成したものである。このため、乾式壁材Bの芯材11である合成樹脂発泡体が腐食せず、芯材11の脆性防止、ヌレ雑巾化による断熱性の低下防止、壁下地αの腐食防止、乾式壁材Bの強度低下防止に有効である。また、図6(e)、(f)はアルミ合金、合成樹脂(プラスチック)の押出品により形成した水切りAである。
【0022】
図7(a)〜(e)は流水孔3のその他の実施例を示す平面図である。
【0023】
図9は底面2に載置面1aを形成した水切りAを施工した状態を示す断面図、図10は窓上に本発明に係る水切りAを施工した状態を示す断面図、図11は1階と2階等の中間部に本発明に係る水切りAを施工した状態を示す断面図である。
【0024】
勿論、新築時に固定溝5への固定具βの打設を省略し、万が一に乾式壁材Bが凸反りしてしまった時点で、固定溝5へ固定具βを打設しても良いものである。
【0025】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る水切りによれば、▲1▼水切り片の形成により、乾式壁材を脳天打ちした固定具の釘頭が外装面に露出しない。▲2▼乾式壁材端部の変形、特に合成樹脂発泡体を芯材とするサンドイッチ板では凸条を確実に抑制、固定でき、耐風圧性も向上する。▲3▼流水孔が内部に浸入した雨水を速やかに外部に排出する。▲4▼当接面が常時乾式壁材の化粧面と接触し、美感性が良い。▲5▼底面に段差を形成(載置面を形成)した場合には、乾式壁材の木口が内部に浸入した雨水と接触せず、乾式壁材の芯材が合成樹脂発泡体である場合に、合成樹脂発泡体の腐食防止、脆性防止、ヌレ雑巾化による断熱性の低下防止、壁下地の腐食防止、乾式壁材の強度低下防止、に有効である。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水切りの代表例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る水切りの施工状態を示す説明図である。
【図3】本発明で使用する乾式壁材を示す断面図である。
【図4】本発明で使用する乾式壁材の施工状態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る水切りのその他の実施例を示す説明図である。
【図8】本発明で使用する乾式壁材のその他の実施例を示す断面図である。
【図9】本発明に係る水切りの施工状態を示す説明図である。
【図10】本発明に係る水切りの施工状態を示す説明図である。
【図11】本発明に係る水切りの施工状態を示す説明図である。
【図12】本発明に係る水切りを使用する家屋を示す説明図である。
【図13】従来例を示す説明図である。
【図14】従来例を示す説明図である。
【図15】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 水切り
B 乾式壁材
C 水切り
α 壁下地
β 固定具
γ 基礎
a 凸部
b 凹部
c 間隙
1 固定部
1a 載置面
2 底面
3 流水孔
4 カバー片
5 固定溝
6 当接面
7 水切り片
8 舌片
9 表面材
9a 化粧面
10 裏面材
11 芯材
12 雄型連結部
13 雌型連結部
Claims (1)
- 垂直平面状の固定部と、該固定部の下端を外方に屈曲した底面と、該底面に一定ピッチで形成した流水孔と、底面の先端を外方に固定部と略平行に屈曲したカバー片と、該カバー片の一部を内方に窪ませて形成した固定溝と、カバー片の先端を外方に屈曲した当接面と、該当接面の先端を内方に屈曲した水切り片とから形成したことを特徴とする水切り。
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