JP3778465B2 - 水切り - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は内装材、外装材として使用する乾式壁材の下端部をカバーすると共に、乾式壁材の凸反りを修復・防止する水切りに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている乾式壁材Dの下端部をカバーする水切りEとしては、図17(a)、(b)に示すような家屋において、図18〜図20に示すように壁下地α(木造下地、鉄骨下地、防水シート等、あるいは既存壁、等よりなる)と基礎γ間に固定具βにより施工し、乾式壁材Dの木口端部をカバーするものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、芯材として合成樹脂発泡体を使用した乾式壁材Dは経年変化により図19、図20に示すように乾式壁材D自体が凸状に変形してしまうことが希にあった。このため、上記のような水切りEを使用した壁は、乾式壁材Dが凸状に変形することにより、水切りEの化粧面と乾式壁材Dの化粧面11a間に凸部a、凹部bが形成され、美感上問題が生じることもあった。その上、水切りEと乾式壁材D間の間隙cが凸部a、凹部bにより拡大し、雨水等が内部へと浸入してしまう欠点があった。さらに、乾式壁材Dを張り直す作業は非常に手間とコストがかかるものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、垂直平面状の固定部と、固定部の下端を外方に屈曲した底面と、底面に一定ピッチで形成した流水孔と、底面の先端を外方に固定部と略平行に屈曲したカバー片と、カバー片の先端を外方に突出した側面カバー片と、側面カバー片の先端を内方に固定部と略平行に屈曲した固定面と、固定面の先端を内方に略水平に突出した係合片とからなる敷目板と、固定面の長さとほぼ等しい被覆面と、被覆面の一端を略90度で屈曲した2本の係止片と、係止片により形成された断面略コ字状の係止溝とからなる被覆材とからなり、敷目板の係合片に被覆材の係止溝を係合して一体化したことにより、上記欠点を排除した水切りを提供するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて本発明に係る水切りの一実施例について詳細に説明する。すなわち、水切りAは敷目板Bと被覆材Cとからなるものであり、図1(a)〜(c)は上記敷目板Bを示す一部切り欠き斜視図、断面図、a−a部端面図、図2(a)、(b)は被覆材Cを示す斜視図と断面図、図3は基礎γ部分に水切りAを形成した場合を示す断面図である。
【0006】
敷目板Bは図1(a)〜(c)に示すように垂直平面状の固定部1と、固定部1の下端を外方に屈曲した底面2と、底面2に一定ピッチで形成した流水孔3と、底面2の先端を外方に固定部1と略平行に屈曲したカバー片4と、カバー片4の先端を外方に突出した側面カバー片5と、側面カバー片5の先端を内方に固定部1と略平行に屈曲した固定面6と、固定面6の先端を内方に略水平に突出した係合片7とから形成したものである。
【0007】
固定部1は敷目板Bを壁下地αに固定具βにより固定する部分である。
【0008】
底面2には流水孔3を一定ピッチで形成し、乾式壁材Dと敷目板Bの当接面6間より浸入した雨水を外部に排出するものである。また、形成ピッチPは30〜300mm位である。
【0009】
カバー片4は乾式壁材Dの下端部を被覆する部分である。また、側面カバー片5は、傾斜して形成することにより固定面6が常時乾式壁材Dの化粧面11aと接触するように形成したものである。
【0010】
固定面6は乾式壁材Dの化粧面11aに常時接触し、乾式壁材Dと敷目板B間に隙間が形成されるのを防止し、美感性、防水性を向上するための部分である。また、固定面6は図3に示すように固定具βにより、乾式壁材Dの下端部の木口面を壁下地αに固定する部分であり、この固定により、乾式壁材Dが図19に示すように凸状に変形することを防止するものである。
【0011】
係合片7は、後記する被覆材Cの係止溝10を係合し、一体化する部分である。勿論、一体化を確実にするために、接着剤等を介在して一体化することもできる。
【0012】
その素材としては、金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種を押出成形、ロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0013】
被覆材Cは図2(a)、(b)に示すように固定面6の長さとほぼ等しい被覆面8と、被覆面8の一端を略90度で屈曲した2本の係止片9と、係止片9により形成された断面略コ字状の係止溝10とからなるものである。
【0014】
被覆面8は図3に示すように、乾式壁材Dの下端部を打設した固定具βの頭部β1 を被覆し、固定具βの頭部β1 が外部に露出するのを防止して美感性、防錆性を向上するものである。
【0015】
係止溝10は敷目板Bの係合片7と一体化する部分である。
【0016】
その素材としては、例えば合成樹脂材の押出品(プラスチック材)であり、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチロール樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、繊維強化プラスチック(FRP)、等の一種である。なお、ポリ塩化ビニル(PVC)の押出品が生産性、値段、性能(耐候性)の面において良好である。勿論、金属板材、金属の押出材(アルミニウム等)により形成しても良いものである。
【0017】
乾式壁材Dは図4(a)、(b)(施工後の経時変化により凸条に変形した乾式壁材D)に示すように表面材11と裏面材12間に芯材13を形成し、両端に雄型連結部14と雌型連結部15を形成したものであり、図4に示すように、固定具βの打設と、雄型連結部14と雌型連結部15を嵌合することにより乾式壁材Dを連結するものである。勿論、敷目板Bは縦張りの乾式壁材D、横張りの乾式壁材Dの両方に使用できるものである。
【0018】
表面材11、裏面材12は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形、乾燥−焼成等して各種任意形状に形成したものである。
【0019】
芯材13は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム、等の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材11、もしくは裏面材12の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、芯材13中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、防火性を向上させることもできる。
【0020】
さらに詳説すると、芯材13は主に断熱材、防火材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化材、等として機能するものである。勿論、芯材13としてロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機材を使用しても良いものである。
【0021】
また、乾式壁材Dと敷目板B間には防水性の強化のためにシーリング材を形成しても良いものである。その素材としては、例えば定型で弾性のあるシーリング材としては、例えば発泡ゴム、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているもの、あるいは硬化型のシーリング材としてはシリコーン系(反応硬化型、湿気硬化型)、変成シリコーン系(反応硬化型)、ポリサルファイド系(反応硬化型)、ポリウレタン系(反応硬化型、湿気硬化型)、SBR系(乾燥硬化型)、アクリル系(乾燥硬化型)等よりなるものであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なものである。勿論、これらの成分中に無機材等の難燃材、あるいは耐火性、防火性を有する例えばポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、フェノール樹脂粒、カーボンブラック、グラファイト(発泡、非発泡)等の難燃材を混入した耐火性のあるシーリング材を使用しても良いものである。
【0022】
次に、本発明に係る水切りの施工方法について簡単に説明する。まず、図1(a)〜(c)に示すような敷目板Bを図3に示すように固定部1を固定具βにより打設し、基礎γ部分の壁下地αに連続状で固定する。次に、図4(a)に示すような乾式壁材をBを図5に示すように連結し、下端の木口を固定部1と底面2とカバー片4間の空間に挿入し、縦に施工する。次に、固定面6を壁下地αに固定具βを介して打設して乾式壁材Dの下端部を固定する。最後に、図3に示すように図2(a)、(b)に示すような被覆材Cを、敷目板Bの係合片7に被覆材Cの係止溝10を係合して一体化し施工を完了するものである。
【0023】
【その他の実施例】
以上説明したのは本発明に係る水切りの一実施例にすぎず、敷目板Bを図6(a)〜(f)、図7(a)〜(f)、図8(a)〜(e)、図9(a)〜(g)、被覆材Cを図10(a)〜(i)、乾式壁材Dを図11(a)〜(g)に示すように形成することもできる。
【0024】
すなわち、図6(a)〜(f)はカバー片4、側面カバー片5、固定面6、係合片7を各種変形した敷目板Bである。
【0025】
また、図6(f)、図7(a)〜(d)は載置面1aを形成し、乾式壁材Dの木口面が底面2に接触しないように形成し、内部に浸入した雨水が乾式壁材Dの木口面に接触しないように形成したものである。これは、芯材13が合成樹脂発泡体の場合に、乾式壁材Dの木口から合成樹脂発泡体が雨水を吸い上げないように形成したものである。このため、乾式壁材Dの芯材13である合成樹脂発泡体が腐食せず、ヌレ雑巾化による断熱性の低下防止、壁下地αの腐食防止、乾式壁材Dの強度低下防止に有効である。また、図7(e)、(f)はアルミ合金、合成樹脂(プラスチック)の押出品により形成した敷目板Bである。
【0026】
図8(a)〜(e)((d)図のb−b部端面図)において、(a)〜(c)図は水切り片16を形成し、乾式壁材D上を流れてきた雨水等を速やかに流下させるように形成した敷目板Bである。また、(d)図は係合片7に一定ピッチ(30mm〜300mm位)で形成した係合爪17を形成し、被覆材Cとの係合力、施工性を強化した敷目板Bである。
【0027】
図9(a)〜(g)は流水孔3のその他の実施例を示す平面図である。
【0028】
図10(a)〜(i)は被覆材Cのその他の実施例を示す断面図であり、(a)図は被覆面8を傾斜して形成した被覆材C、(b)図は被覆面8を中央部分に形成した被覆材C、(c)図は被覆面8をL字状に形成した被覆材C、(d)〜(f)図は被覆面8の先端に軟質の合成樹脂(プラスチック)からなる防水片8aを形成した被覆材C、(g)〜(i)図は係止溝10を壺状に形成し、図6(a)等に示すような敷目板Bに係合できるように形成し、一体化を強化した被覆材Cである。
【0029】
図12は底面2に載置面1aを形成した敷目板Bを施工した状態を示す断面図である。
【0030】
図13は窓上に本発明に係る水切りを施工した状態を示す断面図、図14は1階と2階等の中間部に本発明に係る水切りを施工した状態を示す断面図、図15は水切りEを形成した上に、本発明に係る水切りを施工した状態を示す断面図である。
【0031】
勿論、図16に示すように新築時に固定面6への固定具βの打設を省略し、万が一に乾式壁材Dが凸反りしてしまった時点で、図15に示すように固定面6へ固定具βを打設しても良いものである。
【0032】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る水切りによれば、▲1▼乾式壁材端部の変形、特に合成樹脂発泡体を芯材とするサンドイッチ板では凸条を確実に抑制、固定でき、耐風圧性も向上する。▲2▼流水孔が内部に浸入した雨水を速やかに外部に排出する。▲3▼固定面が常時乾式壁材の化粧面と接触し、美感性が良い。▲4▼固定面を固定するために、乾式壁材の固定力が強化される。▲5▼被覆材を形成するために、乾式壁材の下端部を固定した固定具の頭部が外部に露出せず、美感性、固定具の錆防止に有効である。▲6▼底面に段差を形成(載置面を形成)した場合には、乾式壁材の木口が内部に浸入した雨水と接触せず、乾式壁材の芯材が合成樹脂発泡体である場合に、合成樹脂発泡体が腐食防止、ヌレ雑巾化による断熱性の低下防止、壁下地の腐食防止、乾式壁材の強度低下防止に有効である。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水切りの部材である敷目板の代表例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る水切りの部材である被覆材の代表例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る水切りの施工状態を示す説明図である。
【図4】本発明で使用する乾式壁材を示す断面図である。
【図5】本発明で使用する乾式壁材の施工状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る水切りの部材である敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る水切りの部材である敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る水切りの部材である敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る水切りの部材である敷目板のその他の実施例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る水切りの部材である被覆材のその他の実施例を示す説明図である。
【図11】本発明で使用する乾式壁材のその他の実施例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る水切りのその他の施工状態を示す説明図である。
【図13】本発明に係る水切りのその他の施工状態を示す説明図である。
【図14】本発明に係る水切りのその他の施工状態を示す説明図である。
【図15】本発明に係る水切りのその他の施工状態を示す説明図である。
【図16】本発明に係る水切りのその他の施工状態を示す説明図である。
【図17】本発明に係る水切りを使用する家屋を示す説明図である。
【図18】従来例を示す説明図である。
【図19】従来例を示す説明図である。
【図20】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 水切り
B 敷目板
C 被覆材
D 乾式壁材
E 水切り
α 壁下地
β 固定具
β1 頭部
γ 基礎
a 凸部
b 凹部
c 間隙
1 固定部
1a 載置面
2 底面
3 流水孔
4 カバー片
5 側面カバー片
6 固定面
7 係合片
8 被覆面
8a 防水片
9 係止片
10 係止溝
11 表面材
11a 化粧面
12 裏面材
13 芯材
14 雄型連結部
15 雌型連結部
16 水切り片
17 係合爪
Claims (1)
- 垂直平面状の固定部と、該固定部の下端を外方に屈曲した底面と、該底面に一定ピッチで形成した流水孔と、底面の先端を外方に固定部と略平行に屈曲したカバー片と、該カバー片の先端を外方に突出した側面カバー片と、該側面カバー片の先端を内方に固定部と略平行に屈曲した固定面と、該固定面の先端を内方に略水平に突出した係合片とからなる敷目板と、固定面の長さとほぼ等しい被覆面と、該被覆面の一端を略90度で屈曲した2本の係止片と、該係止片により形成された断面略コ字状の係止溝とからなる被覆材とからなり、敷目板の係合片に被覆材の係止溝を係合して一体化したことを特徴とする水切り。
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- 1997-05-09 JP JP11893497A patent/JP3778465B2/ja not_active Expired - Fee Related
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