JP3827107B2 - 水切り構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内装材、外装材として使用する乾式壁材の下端部をカバーすると共に、乾式壁材の凸反りを修復・防止する水切り構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている乾式壁材Dの下端部をカバーする水切りEとしては、図20(a)、(b)に示すような家屋において、図21〜図23に示すように壁下地α(木造下地、鉄骨下地、防水シート等、あるいは既存壁、等よりなる)と基礎γ間に固定具βにより施工し、乾式壁材Dの木口端部をカバーするものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、芯材として合成樹脂発泡体を使用した乾式壁材Dは経年変化により図22、図23に示すように乾式壁材D自体が凸状に変形してしまうことが希にあった。このため、上記のような水切りEを使用した壁は、乾式壁材Dが凸状に変形することにより、水切りEの化粧面と乾式壁材Dの化粧面12a間に凸部a、凹部bが形成され、美感上問題が生じることもあった。その上、水切りEと乾式壁材D間の間隙cが凸部a、凹部bにより拡大し、雨水等が内部へと浸入してしまう欠点があった。さらに、乾式壁材Dを張り直す作業は非常に手間とコストがかかるものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような欠点を除去するため、長尺状で垂直平面状の固定部と、固定部の下端を方に屈曲した載置面と、該載置面の先端を下方に垂下し先端を外方に屈曲した底面と、底面に一定ピッチで形成した流水孔と、底面の先端を方に固定部と略平行に屈曲したカバー片と、カバー片の先端を内方に屈曲した固定面と、カバー片の下端を方に屈曲して突出した水切り片とから形成した端部材と、長尺状で垂直平面状の係合片と、係合片の下端近傍を外方に突出した係合爪と、係合片の上端をさらに上方に突出した被覆面とから形成したカバー材とからなり、端部材の固定面と乾式壁材の化粧面間にカバー材の係合爪を係合して一体化したことにより、上記欠点を排除した水切り構造を提供するものである。
【0005】
【実施例】
以下に図面を用いて本発明に係る水切り構造の一実施例について詳細に説明する。すなわち、水切りAは端部材Bとカバー材Cの2部材からなるものであり、図1は本発明に係る水切り構造を示す断面図、図2〜図4は本発明に係る水切り構造の施工順序を示す断面図、図5(a)、(b)は上記端部材Bを示す一部切り欠き斜視図とa−a部端面図、図6(a)、(b)はカバー材Cを示す一部切り欠き斜視図とb−b部断面図、図7(a)、(b)は乾式壁材Dを示す断面図、図8は乾式壁材Dの施工状態を示す断面図である。
【0006】
端部材Bは図5(a)、(b)に示すように垂直平面状の固定部1と、固定部1の下端を内方にL字状に屈曲した載置面2と、載置面2の下端を内方に屈曲した底面3と、底面3に一定ピッチで形成した流水孔4と、底面3の先端を内方に固定部1と略平行に屈曲したカバー片5と、カバー片5の先端を内方に屈曲した固定面6と、カバー片5の下端を内方に傾斜して突出した水切り片7とから形成したものである。
【0007】
固定部1は端部材Bを壁下地αに固定具βにより固定する部分である。
【0008】
載置面2は、図1に示すように底面3に段差を形成することにより、乾式壁材Dを縦張りで施工した際に、乾式壁材Dの木口端部が底面3に接触せず、内部に浸入した雨水を乾式壁材Dが吸水しないように形成したものである。
【0009】
底面3には流水孔4を一定ピッチで形成し、乾式壁材Dと端部材Bの固定面6間より浸入した雨水を外部に排出するものである。また、形成ピッチPは30〜300mm位である。
【0010】
カバー片5は乾式壁材Dの下端部を被覆する部分である。また、固定面6は、傾斜して形成することにより固定面6が常時乾式壁材Dの化粧面12aと接触するように形成したものである。
【0011】
固定面6は乾式壁材Dの化粧面12aに常時接触し、乾式壁材Dと端部材B間に隙間が形成されるのを防止し、美感性、防水性を向上するための部分である。また、固定面6は図1に示すように後記するカバー材Cの係合爪9を係合し、カバー材Cを端部材Bと乾式壁材D間に固定するための部分である。
【0012】
その素材としては、金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種を押出成形、ロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0013】
カバー材Cは図6(a)、(b)に示すように、垂直平面状の係合片8と、係合片8の下端近傍を外方に突出して形成した複数個の係合爪9と、係合片8の上端を突出し空間11を有する被覆面10とからなるものである。また、係合爪9の形成ピッチP1 は30〜500mm位である。
【0014】
係合片8は端部材Bの固定面6と乾式壁材Dの化粧面12a間に挿入され、係合爪9が固定面6に係合して、端部材Bとカバー材Cを一体化する部分である。
【0015】
被覆面10は図1に示すように、乾式壁材Dの下端部を打設した固定具βの頭部β1 を被覆し、固定具βの頭部β1 が外部に露出するのを防止して美感性、防錆性を向上するものである。
【0016】
その素材としては、金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種を押出成形、ロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0017】
乾式壁材Dは図7(a)、(b)(施工後の経時変化により凸条に変形した乾式壁材D)に示すように表面材12と裏面材13間に芯材14を形成し、両端に雄型連結部15と雌型連結部16を形成したものであり、図8に示すように、固定具βの打設と、雄型連結部15と雌型連結部16を嵌合することにより乾式壁材Dを連結するものである。勿論、端部材Bは縦張りの乾式壁材D、横張りの乾式壁材Dの両方に使用できるものである。
【0018】
表面材12、裏面材13は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形、乾燥−焼成等して各種任意形状に形成したものである。
【0019】
芯材14は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム、等の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材12、もしくは裏面材13の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、芯材14中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、防火性を向上させることもできる。
【0020】
さらに詳説すると、芯材14は主に断熱材、防火材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化材、等として機能するものである。勿論、芯材14としてロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機材を使用しても良いものである。
【0021】
また、乾式壁材D、端部材B、カバー材C間には防水性の強化のためにシーリング材を形成しても良いものである。その素材としては、例えば定型で弾性のあるシーリング材としては、例えば発泡ゴム、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含浸ポリウレタン系、EPM、EPDM等の一般的に市販されているもの、あるいは硬化型のシーリング材としてはシリコーン系(反応硬化型、湿気硬化型)、変成シリコーン系(反応硬化型)、ポリサルファイド系(反応硬化型)、ポリウレタン系(反応硬化型、湿気硬化型)、SBR系(乾燥硬化型)、アクリル系(乾燥硬化型)等よりなるものであり、主に防水材、気密材等の機能として有用なものである。勿論、これらの成分中に無機材等の難燃材、あるいは耐火性、防火性を有する例えばポリリン酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、フェノール樹脂粒、カーボンブラック、グラファイト(発泡、非発泡)等の難燃材を混入した耐火性のあるシーリング材を使用しても良いものである。
【0022】
次に、本発明に係る水切り構造の施工方法について簡単に説明する。そこで、図3に示すような乾式壁材Dが凸状に変形してしまった壁を改修するとする。まず、図4に示すように壁下地αに固定具βを介して乾式壁材Dの下端部を固定し、乾式壁材Dを平面状にする。次に、図1に示すように図6(a)、(b)に示すようなカバー材Cの係合片8を、端部材Bの固定面6と乾式壁材Dの化粧面12a間に挿入して固定面6に係合爪9を係合して一体化し施工を完了するものである。勿論、図2に示すように新築時点で端部材Bが形成されているものである。
【0023】
【その他の実施例】
以上説明したのは本発明に係る水切り構造の一実施例にすぎず、端部材Bを図9(a)〜(d)、図10(a)〜(d)、図11(a)〜(d)、図12(a)〜(d)、図13(a)〜(g)、カバー材Cを図14(a)〜(j)、乾式壁材Dを図15(a)〜(g)に示すように形成することもできる。
【0024】
特に、図12(b)は2部材で形成した端部材B、図12(c)、(d)は合成樹脂、アルミ合金の押出材により形成した端部材Bである。
【0025】
勿論、図9(a)〜(d)〜図12(a)〜(d)においては、図5(b)に示すような流水孔4が底面3に形成されているものである。
【0026】
図13(a)〜(g)は流水孔4のその他の実施例を示す平面図と斜視図である。
【0027】
図14(a)〜(j)はカバー材Cのその他の実施例を示す断面図であり、(a)〜(e)図は係合爪9を連続で形成したカバー材C、(e)図は被覆面10を傾斜し、被覆面10を係合片8よりも外方に突出して形成したカバー材C、(f)図は被覆面10を係合片8よりも外方に突出して形成したカバー材C、(g)図は被覆面10を変形して形成したカバー材C、(h)図は係合片8を長く形成したカバー材C、(i)図は合成樹脂(プラスチック)、アルミ合金により形成したカバー材C、(j)図は係合片8の先端を間隔を有して屈曲して係合爪9を形成したカバー材Cである。
【0028】
図16は窓上に本発明に係る水切り構造を施工した状態を示す断面図、図17は1階と2階等の中間部に本発明に係る水切り構造を施工した状態を示す断面図、図18は水切りEを形成した上に、本発明に係る水切り構造を施工した状態を示す断面図である。
【0029】
勿論、図19に示すように新築時に乾式壁材Dの下端部への固定具βの打設を省略し、万が一に乾式壁材Dが凸反りしてしまった時点で、図1に示すように固定具βを打設しても良いものである。この場合には、カバー材Cを取り外した後に固定具βを打設し、その後カバー材Cを元のように施工するものである。
【0030】
【発明の効果】
上述したように本発明に係る水切り構造によれば、(1)乾式壁材端部の変形、特に合成樹脂発泡体を芯材とするサンドイッチ板では凸条を確実に抑制、固定でき、耐風圧性も向上する。(2)流水孔が内部に浸入した雨水を速やかに外部に排出する。(3)固定面が常時乾式壁材の化粧面と接触し、美感性が良い。(4)乾式壁材の下端部を固定するために、乾式壁材の固定力が強化される。(5)カバー材を形成するために、乾式壁材の下端部を固定した固定具の頭部が外部に露出せず、美感性、固定具の錆防止に有効である。(6)水切り片を形成したために、降水時の水切れが良い。(7)底面に段差を形成(載置面を形成)したために、乾式壁材の木口が内部に浸入した雨水と接触せず、乾式壁材の芯材が合成樹脂発泡体である場合に、合成樹脂発泡体の腐食防止、ヌレ雑巾化による断熱性の低下防止、壁下地の腐食防止、乾式壁材の強度低下防止に有効である。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水切り構造の施工状態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る水切り構造の施工状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る水切り構造の施工状態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る水切り構造の施工状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る水切り構造の部材である端部材の代表例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る水切り構造の部材であるカバー材の代表例を示す説明図である。
【図7】本発明で使用する乾式壁材を示す断面図である。
【図8】本発明で使用する乾式壁材の施工状態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る水切り構造の部材である端部材のその他の実施例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る水切り構造の部材である端部材のその他の実施例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る水切り構造の部材である端部材のその他の実施例を示す説明図である。
【図12】本発明に係る水切り構造の部材である端部材のその他の実施例を示す説明図である。
【図13】本発明に係る水切り構造の部材である端部材のその他の実施例を示す説明図である。
【図14】本発明に係る水切り構造の部材であるカバー材のその他の実施例を示す説明図である。
【図15】本発明で使用する乾式壁材のその他の実施例を示す断面図である。
【図16】本発明に係る水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図17】本発明に係る水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図18】本発明に係る水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図19】本発明に係る水切り構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【図20】本発明に係る水切り構造を使用する家屋を示す説明図である。
【図21】従来例を示す説明図である。
【図22】従来例を示す説明図である。
【図23】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
A 水切り
B 端部材
C カバー材
D 乾式壁材
E 水切り
α 壁下地
β 固定具
β1 頭部
γ 基礎
a 凸部
b 凹部
c 間隙
1 固定部
2 載置面
3 底面
4 流水孔
5 カバー片
6 固定面
7 水切り片
8 係合片
9 係合爪
10 被覆面
11 空間
12 表面材
12a 化粧面
13 裏面材
14 芯材
15 雄型連結部
16 雌型連結部

Claims (1)

  1. 長尺状で垂直平面状の固定部と、該固定部の下端を方に屈曲した載置面と、該載置面の先端を下方に垂下し先端を外方に屈曲した底面と、該底面に一定ピッチで形成した流水孔と、底面の先端を方に固定部と略平行に屈曲したカバー片と、該カバー片の先端を内方に屈曲した固定面と、カバー片の下端を方に屈曲して突出した水切り片とから形成した端部材と、長尺状で垂直平面状の係合片と、該係合片の下端近傍を外方に突出した係合爪と、係合片の上端をさらに上方に突出した被覆面とから形成したカバー材とからなり、端部材の固定面と乾式壁材の化粧面間にカバー材の係合爪を係合して一体化したことを特徴とする水切り構造。
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