図1は、本発明の第1実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20を組み込んだ携帯型音楽再生装置10の主要な内部構成を示している。携帯型音楽再生装置10は、本来の音楽再生機能に加えて無線LAN通信機能を備えたことが特徴であり、音楽再生機能に対応するメインモジュール11に、無線LAN通信機能に対応した無線LANモジュール20を接続している。携帯型音楽再生装置10は、無線LAN通信を介して様々な音楽データを容易に取得できると共に、取得した音楽データをメインモジュール11で再生出力可能にしている。また、携帯型音楽再生装置10が備える無線LANモジュール20は、無線通信の際に間欠的なキャリアセンスを行い、複数のキャリアセンス間の個々のインターバル時間(間欠時間に相当)を無線通信環境に応じて随時変更することが特徴になっている。以下、携帯型音楽再生装置10を、メインモジュール11、無線LANモジュール20の順に説明する。
メインモジュール11は、RAM12、ROM13、記憶部14、音声出力処理部15、メイン制御部(プロセッサ)17、表示パネル18、操作部19を内部バス11a、11b等で接続した構成にしている。RAM12は、メイン制御部17の処理に伴うデータ及びファイル等を一時的に記憶し、ROM13は音楽再生用の制御処理等を規定した再生プログラム13a、選曲等を行う再生メニューデータ13b等を予め記憶している。記憶部14は、無線LAN通信を介して取得した音楽データDを記憶するものである。音声出力処理部15は、音楽データの再生処理、増幅等を行ってスピーカ16から音声を出力する処理を行う。
メイン制御部17は、表示パネル18及び操作部19を接続している。表示パネル18は、メイン制御部17の制御により、各種メニューデータに基づくメニュー画面等を表示する(図4(a)(b)参照)。また、操作部19は、上下左右キー及び決定キー等の複数のキーで構成されており、メニュー画面中の選択項目等に対するユーザの選択指示を受け付けて、受け付けた指示内容をメイン制御部17へ伝える。メイン制御部17は、ROM13に記憶された再生プログラム13aの規定に従って音楽データ(例えば、MP3ファイルの音楽データ)の再生処理に係る制御を行うと共に、各種設定用の処理等を行い、設定に関しては無線LANモジュール20との連係処理により、無線LANの設定に関する処理も行う。
一方、無線LANモジュール20は、米国電気電子技術者協会が規格を定める無線LAN通信(IEEE802.11、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11k等)を行うものであり、チップ化された無線LAN用のRF(高周波)回路部21、及びMAC処理部25を有する。
RF回路部21はOSI参照モデルにおける物理層に相当し、各種信号を送受する無線LAN用のアンテナ24が接続されて無線通信のアクセス制御における周波数変換、I/Q変換、及び受信信号の増幅等の各種処理を行う。また、RF回路部21は、キャリアセンス時に搬送波(キャリア)の電力強度に係る値を検知する手段に相当する強度検知回路22、及びキャリア中の雑音成分に係る値としてキャリアのC/N比(搬送波電力/雑音電力)を検知する手段に相当するC/N検知回路23を含んでいる。RF回路部21は、MAC処理部25に含まれるCPU27により、作動に対する制御が行われており、間欠的なキャリアセンス処理に伴い作動を開始する。また、強度検知回路22は約−80dBmから−10dBmの範囲でキャリアの電力強度を検知する。
C/N検知回路23の検知対象であるC/N比について少し説明する。無線LAN通信の伝播路が多重波伝播路になっている場合、例えば、無線LANの通信電波が建物の反射、周辺に存在するアクセスポイントから出る通信電波による干渉などが起こっている場合、受信波のレベルに変動(フェージング現象)が生じる。また、無線LAN通信を行う送受信機、及び反射物が移動することにより、搬送波の周波数偏移が生じる。上述したフェージング現象及び周波数偏移により、本来のC/N比が受信側で確保できなくなる。
IEEE802.11bでは、一次変調(DBPSK,DQPSK等)された搬送波をスペクトラム拡散するエネルギー分散、及びエラー訂正処理により干渉波に対する耐性を確保しているが、耐性を確保できるレベルを超えると、上述したフェージング現象により、周波数軸上では受信信号の各サブキャリアのレベルが送信時に比べて低下する(図3(a)参照)。また、レベル低下の程度が受信側での誤り訂正処理が可能なレベル(復調限度レベル)を下回るようなフェージング現象が生じると、再送が入り、著しく伝送効率が低下してデータ誤りが生じる(図3(a)の右側のグラフにおける右から2番目のサブキャリアを参照)。
このような現象を、図3(b)に示すように時間軸上で見ると、受信側で波形歪みが増大することになる。即ち、送信側の送信波形が反射、散乱、アクセスポイントから出る通信電波との干渉の影響を受けることで、時間軸上では受信波形に歪みが生じる。よって、周波数上では各サブキャリアのレベル低下を測定すると共に、時間軸上では搬送波の波形歪みを測定することによりキャリアレベルでのC/N比の検知を行える。なお、検知されたC/N比の値が大きい状態は、搬送波に比べて雑音成分が小さいので受信する電波の品質が良い状態(無線LAN環境が良好な状態)を意味し、検知されたC/N比の値が小さい状態は、雑音成分が大きいので受信する電波の品質が悪い状態(無線LAN環境が悪い状態)を意味する。
また、MAC処理部25は図1に示すように、メモリ26、CPU27、メインモジュール11との接続を行う接続インタフェース28、RF回路部21との接続を行うRF用接続インタフェース29等を内部バス25aで接続した構成になっており、無線LAN通信においてデジタル変換/復調、及びアクセスコントロール等の処理を行う。なお、CPU27はクロック機能を内蔵し、計時する時間に合わせて後述する各種制御を行う。
メモリ26は、CPU27が行う無線LAN通信に係る制御処理の各種内容を規定したプログラムP、メニューデータ33、検知されるC/N比との比較用の基準値データ34、C/N比に基づく無線通信(無線LAN)環境を表すレベルのそれぞれに時間数値を対応付けた時間テーブル40等を記憶している。
メモリ26に記憶される基準値データ34は、検知されたC/N比を複数のレベルに分けるため、閾値に相当する計3個の基準値(第1基準値34a、第2基準値34b、第3基準値34c)を含んでおり各基準値34a〜34cの値の大きさは、第1基準値34aが最大であり、第2基準値34bが2番目に大きく、第3基準値34cが最小になっている(第1基準値34a>第2基準値34b>第3基準値34c)。
これら各基準値34a〜34cは、メモリ26に記憶されたプログラムPの規定により、キャリアセンス時に検知されたC/N比(検知結果)と比較されて、検知されたC/N比に基づく現在の無線LAN環境を複数レベル中の一つに決定する処理が行われる。本実施形態では、検知結果であるC/N比が第1基準値34aを超える場合、無線LAN環境は「良」に相当する第1レベルに決定される。また、C/N比が第1基準値34a以下であるが第2基準値34b(請求項6の基準値に相当)を上回る場合、無線LAN環境は「中(普通程度)」に相当する第2レベルに決定される。さらに、C/N比が第2基準値34b以下であり且つ第3基準値34cを上回る場合、無線LAN環境は「悪」に相当する第3レベルに決定される。さらにまた、C/N比が第3基準値34c以下である場合、無線LAN環境は「接続不可」に相当する第4レベルに決定される。
図5は、メモリ26に記憶されている時間テーブル40の中身を示している。時間テーブル40は、上述した第1レベルから第4レベルのそれぞれにインターバル時間用の数値を対応付けたものになっている。本実施形態の時間テーブル40は、デフォルトでの設定時間として第1レベルに10秒、第2レベルに5秒(請求項6の第1数値に相当)、第3レベルに40秒(請求項6の第2数値に相当)、第4レベルに60秒を対応付けており、各設定時間はメニュー画面(図4(b)参照)で適宜変更可能になっている。なお、本実施形態で述べる各レベルに対応付けた時間の数値は、あくまで一例であり、製品の特徴、仕様等に応じて様々な数値を適用できる。
また、本実施形態における各レベルでの時間設定に対する考え方、及び設定可能なインターバル時間の範囲をあくまで一例として説明する。先ず、無線LAN環境が「良」である第1レベルは、接続を試みれば、直ちに接続を確立できる状態であるため、キャリアセンスの頻度を、ある程度抑えるようにしてインターバル時間を10秒から30秒の範囲内で設定可能にする。また、無線LAN環境が「中」である第2レベルは、通常レベルで接続可能であり、このような状況では出来るだけ迅速に無線通信の接続を確立して実質的な無線通信をスムーズに行えるようにため、効率の良い無線通信を優先する考え方でインターバル時間を第1レベルより短くして1秒から10秒の範囲内で設定可能にする。
さらに、無線LAN環境が「悪」である第3レベルは、接続可能な限界(接続性が不安定)であり、無線通信の許容可能な通信レベルを維持してユーザの満足度を満たすことは困難なので、通信状況を最小限で検知するキャリアセンスの頻度にして消費電力の低減を優先し、インターバル時間を長目の30秒から50秒の範囲内で時間を設定する。さらにまた、無線LAN環境が「接続不可」である第4レベルは、もはや接続できないので、ユーザの移動、及び雑音原因の排除等を期待しながら消費電力の低減を優先させてインターバル時間を更に長目の50秒から60秒の範囲内で時間を設定する。
また、メモリ26に記憶されるメニューデータ33は、図4(a)(b)に示すメニュー画面35、36等を表示するためのデータであり、これら各メニュー画面35、36等は、設定準備段階において携帯型音楽再生装置10の表示パネル18に表示されるものである。具体的には、メインモジュール11の操作部19で無線LAN設定を行う指示を受け付けた場合、その旨がメインモジュール11からMAC処理部25のCPU27へ伝えられ、CPU27がメモリ26に記憶されるメニューデータ33をメインモジュール11へ送ることで、表示パネル18に各メニュー画面35、36が表示される。
図4(a)のメニュー画面35は、キャリアセンス時のチャンネル数の設定を受け付ける手段に相当し、全チャンネル、又はチャンネル1〜13中の所望チャンネルのいずれかを適宜選択できる選択欄35a、選択欄35aで選択された対象に決定する指示を受け付ける決定ボタン35b、選択された対象を解除するキャンセルボタン35cを設けている。選択欄35a、決定ボタン35b、キャンセルボタン35cは、メインモジュール11の操作部19での操作で選択を行えるようになっている(メニュー画面36でも同様)。なお、デフォルトでは、全チャンネルが設定されている。
図4(b)のメニュー画面36は、図5の時間テーブル40における第1レベルに対応付ける時間の数値変更を行うものであり、第1レベル用の時間数値の設定を受け付ける手段に相当する。そのため、メニュー画面36は、10秒から30秒の範囲で時間数値を選択できる選択欄36a、選択欄36aで選択された対象に決定する指示を受け付ける決定ボタン36b、選択された対象を解除するキャンセルボタン36cを設けている。メニュー画面36は、デフォルトでは上述した時間テーブル40のデフォルト内容に対応して10秒が選択された状態になっている。なお、メモリ26に記憶されるメニューデータ33には、メニュー画面36と同等の内容である他のレベルにおける数値設定用のメニュー画面も含んでいる。
メモリ26に記憶されるプログラムPは、基本的な無線LAN通信、上述した設定準備段階での処理に加えて、本発明の特徴となる間欠的なキャリアセンスにおけるインターバル時間の変更処理、及びインターバル時間における無線LANモジュール20におけるアクセス制御を行う部分の作動停止処理を規定している。
プログラムPが規定するインターバル時間の変更処理は、以下のような処理内容を含んでいる。先ず、RF回路部21のC/N検知回路23でキャリアセンス時に検知されたC/N比を、CPU27がレベル決定手段として、メモリ26に記憶される各基準値34a〜34cと比較し、現在のC/N比に基づく無線LAN環境が第1レベル〜第4レベルのいずれのレベルに相当するかを決定する。それからCPU27は数値決定手段として、図5の時間テーブル40に基づいて、検知した無線LAN環境のレベルに対応する時間の数値を決定する。そしてCPU27は、C/N比の検知を行ったキャリアセンス後のインターバル時間を、決定した数値に変更する制御を時間変更手段として行う。以後、間欠的なキャリアセンス全般の中でのキャリアセンスを行う時間帯ごとにCPU27は上述した処理を行い、各キャリアセンス後のインターバル時間を無線LAN環境に応じて自動変更する。
一方、インターバル時間におけるアクセス制御を行う部分の作動停止処理についてプログラムPは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)で規定されるMAC層(OSI参照モデルのデータリンク層の一部に該当)及び物理層(本実施形態では、RF回路部21が該当)に相当する部分を停止することを規定している。なお、本実施形態ではプログラムPのソフトウエア的な処理によりCPU27が、OSI参照モデルにおけるMAC(Media Access Control)層として機能する。
図2は、CPU27がMAC層32として機能する内容を概念的に表したものである。MAC層32は、IEEE(米国電気電子技術者協会)の無線LAN規格(IEEE802.11系の規格)に基づくアクセス手法(例えばCSMA/CA)に応じた制御処理を行い、CPU27にはMAC層32中の上位層に相当するUpperMAC30、及び下位層に相当するLowerMAC31が設けられる。また、UpperMAC30には、CTS回数検知ブロック30a、及びキャリア数検知ブロック30bが含まれる。
CTS回数検知ブロック30aは、キャリアセンス時にアンテナ24およびRF回路部21(信号受信手段に相当)を通じて受信される他の無線装置からのCTS(受信準備完了信号)の受信回数を検知する手段に相当する。また、キャリア数検知ブロック30b(計数手段に相当)は、接続可能なアクセスポイント(中継基地に相当)のキャリア数(搬送波の数)を検知して計数する処理を行う。プログラムPは、インターバル時間での省電力を実現するため、RF回路部21およびCPU27のMAC層32として機能する部分の両方の作動レベルをインターバル時間中に変化させることを規定する。なお、本実施形態では、RF回路部21及びMAC層32が、無線通信に係るアクセス制御を行うアクセス制御手段として機能する。
以下、プログラムPの省電力処理を詳説する。プログラムPは、キャリアセンスの終了に合わせて(インターバル時間の開始に合わせて)UpperMAC30(CTS回数検知ブロック30aとキャリア数検知ブロック30bを含む)、及びLowerMAC31を備えるMAC層32、並びにRF回路部21(強度検知回路22とC/N検知回路23を含む)の作動を停止させる制御を、CPU27が作動停止手段として行うことを規定している。なお、MAC層32、及びRF回路部21が作動を停止している場合でも、無線LANモジュール20の他の部分は作動しているため、このときも若干の電力は消費している。さらに、プログラムPは、インターバル時間が終了する所定の時間前に、停止していたMAC層32及びRF回路部21の作動を再開する制御を、CPU27が作動開始手段として行うことを規定している。
また、プログラムPは、間欠的なキャリアセンスにおける各キャリアセンスの時間帯は従来通り、CTS回数検知ブロック30a及びキャリア数検知ブロック30bを含めてUpperMAC30、LowerMAC31、並びにRF回路部21(強度検知回路22とC/N検知回路23を含む)を作動させて、無線LAN通信に係るアクセス制御を行うことを規定している。
図6は、上述したプログラムPの規定に基づくCPU27の制御により、複数のキャリアセンスを間欠的に行う状況を表した無線LANモジュール20のタイムチャート的なグラフを示す。このグラフは、図4(a)のメニュー画面35の設定により、IEEE802.11bで規定される13チャンネルの全てをキャリアセンスする場合を示し、グラフ中、時刻0〜t10、t11〜t12、t13〜t14の時間帯で全チャンネルスキャンが行われる。なお、キャリアセンスを行う各時間帯は、UpperMAC30(CTS回数検知ブロック30a及びキャリア数検知ブロック30bも含む)、LowerMAC31、及びRF回路部21が作動してCTSの受信回数のカウント検知、使用中のキャリア数検知、キャリア強度検知、及びC/N比検知が行われるため、1回の全チャンネルキャリアセンスに約2秒の時間(時刻0〜t10、t11〜t12、t13〜t14間のそれぞれ時間)を要する。
図6のグラフでは、最初のキャリアセンスの時間帯(時刻0〜t10)におけるインターバル時間の変更処理に係るC/N比検知に基づき、その時間帯での無線LAN環境は「良」の第1レベルと判定され、その結果、最初のキャリアセンス後のインターバル時間(時刻t10〜t11)は、10秒になっている(図5の時間テーブル40参照)。また、2回目のキャリアセンスの時間帯(時刻t11〜t12)におけるインターバル時間の変更処理により、その時間帯での無線LAN環境は「中」の第2レベルと判定され、それにより2回目のキャリアセンス後のインターバル時間(時刻t12〜t13)は5秒に変更されている。さらに、3回目のキャリアセンスの時間帯(時刻t13〜t14)におけるインターバル時間の変更処理により、その時間での無線LAN環境は「悪」の第3レベルと判定され、それにより3回目のキャリアセンス後のインターバル時間(時刻t14〜t15)は40秒に変更されている。
また、このように変動するインターバル時間においては、アクセス制御処理を行う部分の停止処理によりMAC層32、及びRF回路部21が作動を停止して、インターバル時間での省電力化を図っている。
具体的には、図6のグラフにおいて最初のキャリアセンスが終了して時刻t10(インターバル時間の開始時刻)になると、CPU27の制御により無線LANモジュール20の中でMAC層32、及びRF回路部21が作動を停止する。また、時刻t11(インターバル時間の終了時刻)より時間Tだけ前の時刻になると、CPU27の制御により、MAC層32、及びRF回路部21の作動を再開してアクセス制御を行う。このようにインターバル時間の終了時刻より時間Tだけ前の時刻に、MAC層32、及びRF回路部21の作動を再開することで、次のキャリアセンスの開始時には確実にアクセス制御を行える状況になり、各種検知処理を支障なく行える。なお、時間Tは、0.5秒〜2秒程度であり、これらの時間範囲中の所定時間が予め設定されている。以降同様に各インターバル時間の開始の時期及び終了時刻から時間Tだけ前の時期に合わせて、MAC層32、及びRF回路部21は作動停止、作動再開を繰り返す。
その結果、本発明の無線LANモジュール20は、無線LAN環境が悪い場合(例えば、第3レベル、第4レベル)は、インターバル時間を長目に変更すると共に、インターバル時間中の無線LANモジュール20の作動レベルを抑制するので、1回のインターバル時間での消費電力は、インターバル時間が長く変更された分と、MAC層32及びRF回路部21が作動を停止する分だけ削減される(従来の消費電力のAmWからBmW(B<A)へ低下)。その結果、間欠的に行われるキャリアセンス全体では、インターバル時間が複数回存在することより、1回のインターバル時間での電力削減量を複数回掛け合わした量がトータルでの電力削減量となり、全体で比較すると消費電力の低下度合いが更に大きくなる。
また、無線LANモジュール20は、無線LAN環境が普通以上の場合(例えば、第1レベル、第2レベル)は、インターバル時間を短めに変更すると共に、インターバル時間中に一次停止していたMAC層32、及びRF回路部21をキャリアセンスの開始前に作動再開するので、無線LAN環境に応じて効率的なキャリアセンスを行い、実質的な無線LAN通信へスムーズに移行できるようにしている。なお、図6のグラフでは、時刻t15までを記載しているが、時刻t15以降も、データ送信のような実質的な無線通信の処理に移行するまで、または無線通信処理に移行する前にユーザからキャリアセンスの停止操作を受け付けるまで上述したキャリアセンスに係る処理を継続する。
図7は、図4(a)のメニュー画面35での設定操作により、チャンネル1〜13の中で1つのチャンネルが選択され、選択された1つのチャンネルのみに対して間欠的なキャリアセンスを行う場合の状況を示した無線LANモジュール20のタイムチャート的なグラフである。1つのチャンネルに対する間欠的なキャリアセンスにおいても、上述したインターバル時間の決定変更処理及び一部分の停止処理が行われる。
具体的に図7のグラフでは、最初のキャリアセンスの時間帯(時刻0〜t20)のC/N比検知に基づき無線LAN環境は「接続不可」の第4レベルと判定され、それにより最初のインターバル時間(時刻t20〜t21)は60秒になっている(図5の時間テーブル40参照)。また、2回目のキャリアセンスの時間帯(時刻t21〜t22)におけるインターバル時間の変更処理により、C/N比検知に基づく無線LAN環境は「中」の第2レベルと判定され、それにより2回目のインターバル時間(時刻t22〜t23)は5秒に変更されている。さらに、3回目のキャリアセンスの時間帯(時刻t23〜t24)におけるインターバル時間の変更処理により、C/N比検知に基づく無線LAN環境は「良」の第1レベルと判定され、それにより3回目のインターバル時間(時刻t24〜t25)は10秒に変更されている。
また、図7のグラフでも、図6の場合と同様に、各インターバル時間(時刻t20〜t21、t22〜23、t24〜t25)では、MAC層32、及びRF回路部21が作動を停止して無線LANモジュール20における全体での作動レベルが低下し、それにより無線LANモジュール20全体の消費電力は従来に比べ少なくしている。なお、1つのチャンネル当たりの処理時間は理論上、約100m秒であり、各キャリアセンスの時間(時刻0〜t20、t21〜t22、t23〜t24)は、種々の無線通信状況の影響を受けて処理時間が長引いても確実に処理を行えるように100m秒プラスアルファの時間になっている。そのため、図7のグラフでは、全チャンネルスキャンを行う図6のグラフに示す場合に比べて、間欠的なキャリアセンスに対する全消費電力は低めになり、更なる消費電力の低減を図れる。
なお、本発明に係る無線通信装置は、上述した無線LANモジュール20の形態に限定されるものではなく、種々の変形例が存在する。先ず、無線LAN環境を判別するために用いる基準値データ34に含まれる基準値34a〜34cの数は、3個に限定されるものではなく、無線LANモジュール20の仕様、及びグレード等に応じて適宜増減可能である。例えば、基準値の数を3個より多くした場合は、判別可能な無線LAN環境の種類を多くでき、一段と細かいレベル分けを行って無線LAN環境に合わせた省電力処理及び効率的なアクセス制御処理を行える。また、基準値の数を3個より少なくした場合は、インターバル時間の決定及び時間変更に係る処理の負担を低減でき、特に基準値を1個にしたときは、C/N比の検知結果に基づいて、検知結果が基準値以上であるか又は基準値未満であるかと云う簡潔な処理でレベル分けを行って数値を決定し、インターバル時間を変更できる。さらに、インターバル時間の数値を設定している時間テーブル40を用いる替わりに、メモリ26の一部のエリアをデータレジスタとして使用し、各レベルに対応付ける数値をメモリ26内のデータレジスタに直接的に保存する構成にしてもよい。
さらにまた、インターバル時間の変更処理は、上述したようにキャリアセンスごとに行う以外に、CPU27が一度決定した数値を、その後に続く複数のインターバル時間に適用することも可能である。
図8(a)のグラフは、決定した一つの数値を、その後に続く複数のキャリアセンス間のインターバル時間に適用して、CPU27が複数のインターバル時間を同じ数値で変更する状態を示している。即ち、最初のキャリアセンスの時間帯(時刻0〜t30)におけるC/N比検知に基づくインターバル時間の決定変更処理により、無線LAN環境は「中」の第2レベルと判定され、以降、その後に続く複数のキャリアセンスの時間帯間の各インターバル時間(時刻t30〜t31、t32〜t33、t34〜t35、t36〜t37等)を、第2レベルに対応付けた5秒(図5の時間テーブル40参照)を継続して適用している。このような変形例では、毎キャリアセンスの時間帯ごとにインターバル時間の決定に係る処理を行わなくて済むため、CPU27の処理負担が低減される。また、このような変形例の処理は、無線LAN環境の変動が小さい場所及び小さい状況に対して好適である。
図8(b)のグラフは、決定した数値を、その後に続く2つのキャリアセンスの時間帯間に対する各インターバル時間に適用して、インターバル時間を変更する例を示している。即ち、最初のキャリアセンスの時間帯(時刻0〜t40)におけるC/N比検知に基づくインターバル時間の決定変更処理により、無線LAN環境は「中」の第2レベルと判定され、以降、その後に続く2つの各キャリアセンスの時間帯間におけるインターバル時間(時刻t40〜t41、t42〜t43)に、第2レベルに対応付けた5秒を適用している。また、3回目のキャリアセンスの時間帯(時刻t43〜t44)におけるC/N比検知に基づくインターバル時間の決定変更処理により、無線LAN環境は「良」の第1レベルと判定され、以降、その後に続く2つの各キャリアセンスの時間帯間におけるインターバル時間(時刻t44〜t45、t46〜t47)に、第1レベルに対応付けた10秒を適用している。
このように図8(b)のグラフに対応する処理パターンでは、キャリアセンスの2回の時間帯に対して一度の割合でインターバル時間の決定に係る処理が行われるため、図6、7に示すグラフのように毎時間帯ごとに、インターバル時間の決定に係る処理を行う場合に比べてCPU27の処理負担を低減できる。そのため、図8(b)のグラフに示す処理パターンは、図8(a)のグラフに示す処理パターンの適用対象となる無線LAN環境よりは環境の変動が大きく、且つ、図6、7に示す毎キャリアセンスごとに決定処理を行う処理パターンより環境の変動が小さい場合に、好適な処理パターンになる。
なお、図8(b)のグラフに対応する処理パターンは、2回に一度の割合でキャリアセンスの時間帯にインターバル時間の決定処理を行うことに限定されるものではなく、3回に一度の割合、4回に一度の割合のようにインターバル時間の決定処理を行う頻度を、状況に応じて複数回に一度の割合でキャリアセンスの時間帯に行うことが可能である。また、図8(b)のグラフに対応する処理パターンを行うときは、CPU27が決定処理を行う割合に係るキャリアセンスの時間帯の回数を計数し、計数した数値が設定した割合に達したキャリアセンスのときにインターバル時間の決定処理を行うことになる。また、図8(a)(b)のグラフでは、インターバル時間の変更処理を行うキャリアセンスの時間帯では、全チャンネル(複数)のキャリアセンスを行う場合を示しているが、単一のキャリアセンスを行う場合でも、上述した図8(a)(b)に示す処理は適用可能である。
図9は、変形例の無線LANモジュール50を示している。変形例の無線LANモジュール50は、図2のCPU27のソフトウエア的に行われる処理をハード的な回路で置き換えた構成になっている。具体的には、ソフト的に機能するCTS回数検知ブロック30a及びキャリア数検知ブロック30bを含むUpperMAC30、並びにLowerMAC31等と、図1に示すRF回路部21とに対応したハード的な各種回路51〜54をそれぞれ設けると共に、これらの各回路51〜54を制御する回路制御部55、及びメインモジュール11との接続インタフェース57を、無線LANモジュール50は設けている。
RF回路51は、図1のRF回路部21に対応した処理を行う回路であり、搬送波の電力強度に係る値の検知処理を行う手段に相当する強度検知部51a、及びC/N検知の処理を行う手段に相当するC/N検知部51bを含んでいる。アクセス制御回路52は、図2のUpperMAC30の各ブロック30a、30bを除いた部分、及びLowerMAC31に対応した部分である。また、CTS回数検知回路53は、図2のCTS回数検知ブロック30a等に対応した処理を行う回路であり、キャリア数検知回路54は、図2のキャリア数検知ブロック30b等に対応した処理を行う回路である。なお、この変形例の無線LANモジュール50ではRF回路51、アクセス制御回路52、CTS回数検知回路53、及びキャリア数検知回路54が、無線通信に係るアクセス制御を行う処理部分(アクセス制御手段)に相当する。
さらに、回路制御部55は内部メモリ56を有し、この内部メモリ56にプログラム、メニューデータ、基準値データ、時間テーブル等を記憶している。回路制御部55は、内部メモリ56に記憶されたプログラムに基づき、インターバル時間の決定変更処理を行って、無線LAN環境に応じてインターバル時間の変更を行うと共に、インターバル時間で各回路51〜54の作動を停止させて、省電力化を行う。
また、無線LANモジュール20、50の仕様簡略化を図る場合は、図4(a)のメニュー画面35を用いた設定処理を省略して、キャリアセンスの対象を全チャンネル又は特定のチャンネルに固定することも可能である。さらに、図4(b)のメニュー画面36を用いた設定処理を省略し、各レベルに対応付ける時間を固定にしてもよい。さらにまた、処理内容の簡略化を図るときは、インターバル時間におけるアクセス制御に係る処理部分の作動停止処理を省略して、インターバル時間の決定及び変更処理のみを行うようにしてもよい。このようにインターバル時間の決定及び変更処理のみを行うときでも、無線LAN環境に応じてインターバル時間を変更するので、インターバル時間が長目に変更されたときは、電力消費量を従来に比べて低減できると共に、インターバル時間が短めに変更されたときは、無線LAN環境に合わせた効率の良いキャリアセンスを行える。さらにまた、無線LANモジュール20、50は、インターバル時間をユーザの手動操作で変更できる仕様にしてもよく、このようにすることで、ユーザの使い勝手及びユーザの意向に応じて自由にインターバル時間を手動で調節になる。
また、本発明の第1実施形態に係る無線通信装置は、図1、9に示すような無線LANモジュール20、50の形態で、携帯型音楽再生装置10に組み込まれることに限定されるものではなく、パーソナルコンピュータ、PDA、テレビジョン装置等の情報処理装置、及び携帯電話機、携帯型画像表示装置等の各種機器にも組み込むことが適用できる。また、第1実施形態の無線通信装置は、各種機器に内蔵して組み合わせる以外に、独立した無線通信装置の構成にしてもよい。例えば、各種接続規格(PCMCIA規格、CFカード規格、USB規格、IEEE1394等)に対応したカード型形状で構成し、様々な情報処理装置と接続できるようにしてもよい。さらに第1実施形態の無線通信装置が対象とする無線通信は、無線LANに限定されるものではなく、間欠的なキャリアセンスを行うものであれば、Wireless USB、UWB(Ultra Wide Band)等の各種無線通信に対しても適用可能である。
図10は、本発明の第2実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)に適用される時間テーブル60を示している。第2実施形態の無線LANモジュールの基本的な構成は、図1に示す第1実施形態と同等であるが、C/N比検知及びCTSのカウント数に基づき無線LAN環境の判別を行ってインターバル時間の数値を決定することが第2実施形態の特徴になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル60の内容、及びプログラムの内容が第1実施形態と相異すると共に、新たにCTSカウント数に対する閾値(基準回数に相当)をメモリ26に記憶することが第1実施形態と相異している。なお、第2実施形態の実質的な構成等は、第1実施形態と同等であるため、第2実施形態における各部の説明では第1実施形態と同等の符号を用いている(以下の第3実施形態以降でも同様)。
時間テーブル60は、C/N比の検知結果に応じて判別される第1レベル〜第4レベルのそれぞれに、検知したCTSのカウント数(受信回数)が閾値以上であるか、又は閾値未満であるかを対応付けて、レベルごとに2種類の時間数値を対応付けた内容になっている。
具体的には、無線LAN環境が「良」である第1レベルにおいて、CTSのカウント数が閾値以上である場合、設定時間として25秒の数値を対応付けると共に、第1レベルでCTSのカウント数が閾値未満である場合、15秒を対応付けている。また、無線LAN環境が「中」である第2レベルにおいて、CTSのカウント数が閾値以上である場合、設定時間として35秒を対応付けており、第2レベルでCTSのカウント数が閾値未満である場合、25秒を対応付けている。
さらに、無線LAN環境が「悪」である第3レベルにおいて、CTSのカウント数が閾値以上である場合、設定時間として45秒を対応付けており、第3レベルでCTSのカウント数が閾値未満である場合、40秒を対応付けている。さらにまた、無線LAN環境が「接続不可」である第4レベルでは、CTSカウント数が閾値以上、閾値未満に関係なく60秒を対応付けている。図10に示す時間テーブル60における設定時間の数値は、第1実施形態と同様にあくまで一例であり、他の数値を適用することも勿論可能である。
例えば、第1レベルでCTSのカウント数が閾値以上であるときは、20秒から30秒の範囲内の数値を設定することが好ましく、以下、第1レベルでCTSのカウント数が閾値未満であるときは1秒から30秒の範囲、第2レベルでCTSのカウント数が閾値以上であるときは30秒から40秒の範囲、第2レベルでCTSのカウント数が閾値未満であるときは5秒から40秒の範囲、第3レベルでCTSのカウント数が閾値以上であるときは40秒から50秒の範囲、第3レベルでCTSのカウント数が閾値未満であるときは30秒から50秒の範囲で、それぞれ数値を設定することが好適である。
なお、CTSのカウント数が閾値以上であること(CTSカウント数が多いこと)は、現在のアクセスポイントに対して多くの無線LAN機器がアクセスして混雑状況であることを意味する場合(無線LAN環境が良好でない場合)と、接続可能なアクセスポイントが複数存在することを意味する(後述する第9実施形態でも同様)。なお、CPU27がUpperMAC30として機能する中に含まれるCTS回数検知ブロック30aで、一定時間ごとのCTSの受信回数を検知することにより、使用するアクセスポイント(キャリア)が混雑しているか否かを判断でき、混雑度が高いときは、消費電力の抑制を優先にした時間の数値が時間テーブル60にデフォルトで設定されている。
上述した時間テーブル60に基づきインターバル時間の決定及び変更処理を行うため、CPU27は第1実施形態と同様にレベルを決定してから、次に、キャリアセンス時にCTS回数検知ブロック30aで検知されたCTSのカウント数に基づき、インターバル時間に用いる数値を時間テーブル60から決定する。よって、第2実施形態では、C/N比及びCTSのカウント数の2つの要素に基づき無線LAN環境を判別するので、より詳細に無線LAN環境に応じて省電力化を進められると共に、効率的なアクセス制御処理を行える。なお、第2実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第2実施形態においても、第1実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。さらに、第2実施形態では、CTSカウントを閾値以上、閾値未満で2通りに分ける以外に、複数の閾値を用いて3通り以上の場合分けを行うことも可能である。
図11は、本発明の第3実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル61を示している。第3実施形態の無線LANモジュールの基本的な構成は、図1に示す第1実施形態と同等であるが、C/N比検知及び接続可能なアクセスポイントのキャリア数(搬送波の数)に基づき無線LAN環境の判別を行って、インターバル時間の数値を決定することが、第3実施形態の特徴になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル61の内容、及びプログラムの内容が第1実施形態と相異すると共に、新たにキャリア数に対する閾値(第1閾値及び第2閾値)を記憶することが第1実施形態と相異している。
時間テーブル61は、C/N比の検知結果に応じて判別される第1レベル〜第4レベルのそれぞれに、検知されるキャリア数に基づき判別される3種類の段階(第1段階、第2段階、第3段階)が対応し、それによりレベルごとに3種類の時間を対応付けた内容になっている。なお、キャリア数検知ブロック30bにより計数されたキャリア数が第1閾値以上であるとき、CPU27により第1段階と判断され、以下、キャリア数が第1閾値未満であり且つ第2閾値以上であるときは第2段階と判断され、キャリア数が第2閾値未満であるときは第3段階と判断される。なお、第1閾値は第2閾値より大きい値である。
また、時間テーブル61における設定時間の各数値は、あくまで一例であり、他の数値も勿論適用可能である。なお、キャリア数が多いほど、一般に接続が容易であると考えられるため、図11で挙げた時間テーブル61においても、第1段階では接続が容易なので、インターバル時間を長目にしても大丈夫であるという考え方に基づいた設定内容になっている。
上述した時間テーブル61に基づきインターバル時間の決定及び変更処理を行うために、CPU27は第1実施形態と同様にレベルを決定してから、次に、キャリアセンス時にキャリア数検知ブロックで計数されたキャリア数に基づき段階を決定し、決定したレベル及び段階により、インターバル時間に用いる数値を時間テーブル61から決定する。よって、第3実施形態では、C/N比及びキャリア数の2つの要素に基づき無線LAN環境を判別するので、より詳細に無線LAN環境に応じて省電力化を進められると共に、効率的なアクセス制御処理を行える。なお、第3実施形態の無線LANモジュールは、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第3実施形態においても、第1実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。さらに、第3実施形態では、3種類以外の数の閾値を用いて4以外の段階に場合分けすることも可能である。
図12は、本発明の第4実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)に適用される時間テーブル62を示している。第4実施形態の無線LANモジュール20の基本的な構成は、図1に示す第1実施形態と同等であるが、C/N検知及びキャリア強度(搬送波電力の強度)に基づき無線LAN環境のレベル判別を行って、インターバル時間の数値を決定することが、第4実施形態の特徴になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル62の内容、及びプログラムの内容が第1実施形態と相異すると共に、新たにキャリア強度の判別に用いる基準値(第1基準値、第2基準値及び第3基準値)を記憶することが第1実施形態と相異している。
時間テーブル62は、C/N比の検知結果に応じて判別される第1レベル〜第4レベルのそれぞれに、検知される搬送波の電力強度に係る値に基づき判別される4種類のクラス(第1クラス、第2クラス、第3クラス、第4クラス)が対応し、それによりレベルごとに4種類の時間数値を対応付けた内容になっている。なお、RF回路部21の強度検知回路22により検知された搬送波の電力強度に係る値が第1基準値以上であるとき、CPU27により第1クラスと判断され、以下、電力強度に係る値が第1基準値未満であり且つ第2基準値以上であるときは第2クラスと判断され、電力強度に係る値が第2基準値未満であり且つ第3基準値以上であるときは第3クラスと判断され、キャリア強度が第3基準値未満であるときは第4クラスと判断される。なお、第1基準値は第2基準値より大きい値であり、第2基準値は第3基準値より大きい値である。
また、時間テーブル62における設定時間の各数値は、あくまで一例であり、他の数値も勿論適用可能である。なお、キャリア強度と、C/N比は有る程度関連しており、キャリア強度に関するクラス分けと、C/N比に関するレベル分けを同等な考え方に基づいて行うことが可能であり、第1クラスは第1レベルが同等な意味付けと把握でき、以下、第2クラスは第2レベルと同等、第3クラスは第3レベルと同等、第4クラスは第4レベルと同等に把握できる。
上述した時間テーブル62に基づきインターバル時間の決定及び変更処理を行うために、CPU27は第1実施形態と同様にレベルを決定してから、次に、強度検知回路22で検知されたキャリア強度に基づくクラスを決定し、決定したレベル及びクラスによりインターバル時間に用いる数値を時間テーブル62から決定する。よって、第4実施形態では、C/N比及びキャリア強度と云う関連性の高い2つの要素に基づき無線LAN環境を判別するので、より詳細に無線LAN環境に応じて省電力化を進められると共に、効率的なアクセス制御処理を行える。なお、第4実施形態の無線LANモジュールは、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第4実施形態においても、第1実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。さらに、第4実施形態では、4種類以外の数の閾値を用いてクラス数を変更することも可能である。
図13は、本発明の第5実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル63を示している。第5実施形態の無線LANモジュール20は、第2実施形態と、第3実施形態とを組み合わせた内容になっており、無線LAN環境を更に細かく判別して、詳細な場合分け処理を可能にしたことが特徴である。そのため、図13の時間テーブル63は、図10に示す第2実施形態の時間テーブル60と、図11に示す第3実施形態の時間テーブル61を合体させたような内容になっており、レベルごとに計6種類の時間数値を有する。
また、第5実施形態の無線LANモジュールは、図13の時間テーブル63の内容に応じた場合分け処理を規定したプログラムをメモリ26に記憶しており、このプログラムに基づきCPU27が現在の無線LAN環境を判別し、判別した内容に対応付けた数値をインターバル時間として時間テーブル63に基づき決定する処理を行う。なお、第5実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第5実施形態においても、第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。
図14は、本発明の第6実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル64を示している。第6実施形態の無線LANモジュールは、第2実施形態と、第4実施形態とを組み合わせた内容になっており、無線LAN環境を更に細かく判別して、詳細な場合分け処理を可能にしたことが特徴である。そのため、図14の時間テーブル64は、図10に示す第2実施形態の時間テーブル60と、図12に示す第4実施形態の時間テーブル62を合体させたような内容になっており、レベルごとに計8種類の時間数値を有する。
また、第6実施形態の無線LANモジュールは、図14の時間テーブル64の内容に応じた場合分け処理を規定したプログラムをメモリ26に記憶しており、このプログラムに基づきCPU27が現在の無線LAN環境を判別し、判別した内容に対応付けた数値をインターバル時間として時間テーブル64に基づき決定する処理を行う。なお、第6実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第6実施形態においても、第1実施形態、第2実施形態、及び第4実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。
図15は、本発明の第7実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル65の一部を示している。第7実施形態の無線LANモジュール20は、第3実施形態と、第4実施形態とを組み合わせた内容になっており、無線LAN環境を更に細かく判別して、詳細な場合分け処理を可能にしたことが特徴である。そのため、図15の時間テーブル65は、図11に示す第3実施形態の時間テーブル61と、図12に示す第4実施形態の時間テーブル62を合体させたような内容になっており、レベルごとに計12種類の時間数値を有する。
また、第7実施形態の無線LANモジュールは、図15の時間テーブル65の内容に応じた場合分け処理を規定したプログラムをメモリ26に記憶しており、このプログラムに基づきCPU27が現在の無線LAN環境を判別し、判別した内容に対応付けた数値をインターバル時間として時間テーブル65に基づき決定する処理を行う。なお、第7実施形態の無線LANモジュールは、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第7実施形態においても、第1実施形態、第3実施形態、及び第4実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。
図16は、本発明の第8実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル66の一部を示している。第8実施形態の無線LANモジュール20は、第2実施形態から第4実施形態の計3つの実施形態を組み合わせた内容になっており、無線LAN環境を一段と細かく判別して、更に詳細な場合分け処理を可能にしたことが特徴である。そのため、図16の時間テーブル66は、図10に示す第2実施形態の時間テーブル60と、図11に示す第3実施形態の時間テーブル61と、図12に示す第4実施形態の時間テーブル62を合体させたような内容になっており、レベルごとに計24種類の時間数値を有する。
また、第8実施形態の無線LANモジュール20は、図16の時間テーブル66の内容に応じた場合分け処理を規定したプログラムをメモリ26に記憶しており、このプログラムに基づきCPU27が現在の無線LAN環境を判別し、判別した内容に対応付けた数値をインターバル時間として時間テーブル66に基づき決定する処理を行う。なお、第8実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第8実施形態においても、第1実施形態から第4実施形態で述べた各種変形例の適用が可能である。
図17は、本発明の第9実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル67を示している。第9実施形態の無線LANモジュール20は、CTSのカウント数のみにより無線LAN環境の判別を行ってインターバル時間の数値を決定する仕様になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル67の内容、及びプログラムの内容が上述した各実施形態と相異すると共に、新たにCTSカウント数に対する閾値として計3つの基準回数をメモリ26に記憶することが特徴になっている。
メモリ26は、CTSの受信回数ごとに複数のレベルを分けるため計3個の基準回数(第1基準回数、第2基準回数、第3基準回数)を記憶しており、各基準回数の大きさは、第1基準回数が最小であり、第2基準回数(請求項7の基準回数に相当)が2番目に大きく、第3基準回数が最大になっている(第1基準回数<第2基準回数<第3基準回数)。
これら各基準回数は、メモリ26に記憶されたプログラムPの規定により、キャリアセンス時に検知されるCTSの受信回数と比較されて、CTSの受信回数に基づく無線LAN環境を複数レベル中の一つに決定する処理が行われる。本実施形態では、CTSの受信回数が第1基準回数以下の場合、無線LAN環境は「良」に相当する第1レベルに決定される。また、CTSの受信回数が第1基準回数を上回るが第2基準回数以下の場合、無線LAN環境は「中(中程度)」に相当する第2レベルに決定される。さらに、CTSの受信回数が第2基準回数を上回り且つ第3基準回数以下の場合、無線LAN環境は「悪」に相当する第3レベルに決定される。さらにまた、CTSの受信回数が第3基準値回数を上回る場合、無線LAN環境は「接続不可」に相当する第4レベルに決定される。このような各レベルに応じたインターバル時間用の数値は、図17の時間テーブル67で規定されており、時間テーブル67は、第1レベルに20秒、第2レベルに5秒(請求項7の第1数値に相当)、第3レベルに40秒(請求項7の第2数値に相当)、第4レベルに60秒を対応付けている。
また、第9実施形態の無線LANモジュール20は、図17の時間テーブル67の内容に応じた場合分け処理を規定したプログラムをメモリ26に記憶しており、このプログラムに基づきCPU27が現在の無線LAN環境を検知してレベル分けを決定し、決定したレベルに対応付けた数値をインターバル時間として時間テーブル67に基づき決定する処理を行う。なお、第9実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第9実施形態においても、第1実施形態等で述べた各種変形例の適用が可能である。
図18は、本発明の第10実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル68を示している。第10実施形態の無線LANモジュール20の基本的な構成は、図1に示す第1実施形態と同等であるが、CTSの受信回数及び接続可能なアクセスポイントのキャリア数(搬送波の数)に基づき無線LAN環境のレベル判別を行って、インターバル時間の数値を決定することが特徴になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル68の内容、及びプログラムの内容が第1実施形態と相異すると共に、新たにキャリア数の検知処理に対する閾値(第1閾値及び第2閾値)を記憶することが第1実施形態と相異している。
図18の時間テーブル68は、図17の第9実施形態の時間テーブル67をベースにして、図11の第3実施形態の時間テーブル61と同様に、計数したキャリア数に応じた段階を対応付けた内容になっている。即ち、時間テーブル68は、CTSの受信回数に応じて判別される第1レベル〜第4レベルのそれぞれに、計数されるキャリア数に基づき判別される3種類の段階(第1段階、第2段階、第3段階)を対応させて、レベルごとに3種類の時間を対応付けた内容になっている。なお、キャリア数検知ブロック30bにより検知されたキャリア数が第1閾値以上であるとき、CPU27により第1段階と判断され、以下、キャリア数が第1閾値未満であり且つ第2閾値以上であるときは第2段階と判断され、キャリア数が第2閾値未満であるときは第3段階と判断される。なお、第1閾値は第2閾値より大きい値である。
このような時間テーブル68に基づきインターバル時間の決定及び変更処理を行うために、CPU27は第1実施形態と同様にレベルを決定してから、次に、キャリアセンス時にキャリア数検知ブロック30bで計数したキャリア数に基づき段階を決定し、決定したレベル及び段階により、インターバル時間に用いる数値を時間テーブル68から決定する。よって、第10実施形態では、CTSの受信回数及びキャリア数の2つの要素に基づき無線LAN環境を検知するので、より詳細に無線LAN環境に応じて省電力化を進められると共に、効率的なアクセス制御処理を行える。なお、第10実施形態の無線LANモジュールは、上述した内容以外は第1実施形態等と同等であるため説明を省略すると共に、第10実施形態においても、上述した第1実施形態等で述べた各種変形例の適用が可能である。
図19は、本発明の第11実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル69を示している。第11実施形態の無線LANモジュール20の基本的な構成は、図1に示す第1実施形態と同等であるが、CTSの受信回数及びキャリア強度(搬送波の電力強度)に基づき無線LAN環境のレベル判別を行って、インターバル時間の数値を決定することが、第11実施形態の特徴になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル69の内容、及びプログラムの内容が第1実施形態と相異すると共に、第4実施形態と同様に、新たにキャリア強度の判別に用いる基準値(第1基準値、第2基準値及び第3基準値)を記憶することが第1実施形態と相異する。
時間テーブル69は、CTSの受信回数に応じて判別される第1レベル〜第4レベルのそれぞれに、検知される搬送波の電力強度に係る値に基づき判別される4種類のクラス(第1クラス、第2クラス、第3クラス、第4クラス)が対応し、それによりレベルごとに4種類の時間数値を対応付けた内容になっている。なお、RF回路部21の強度検知回路22により搬送波の電力強度に係る値が第1基準値以上であるとき、CPU27により第1クラスと判断され、以下、電力強度に係る値が第1基準値未満であり且つ第2基準値以上であるときは第2クラスと判断され、電力強度に係る値が第2基準値未満であり且つ第3基準値以上であるときは第3クラスと判断され、キャリア強度が第3基準値未満であるときは第4クラスと判断される。なお、第1基準値は第2基準値より大きい値であり、第2基準値は第3基準値より大きい値である。また、時間テーブル69における設定時間の各数値は、あくまで一例であり、他の数値も勿論適用可能である。
上述した時間テーブル69に基づきインターバル時間の決定及び変更処理を行うために、CPU27は第1実施形態と同様にレベルを決定してから、次に、強度検知回路22で検知されたキャリア強度の値に基づきクラス決定を行い、決定したレベル及びクラスによりインターバル時間に用いる数値を時間テーブル69から決定する。よって、第11実施形態では、CTSの受信回数及びキャリア強度と云う2つの要素に基づき無線LAN環境を判別するので、より詳細に無線LAN環境に応じて省電力化を進められると共に、効率的なアクセス制御処理を行える。なお、第11実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第11実施形態においても、第1実施形態等で述べた各種変形例の適用が可能である。
図20は、本発明の第12実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル70の一部を示している。第12実施形態の無線LANモジュールは、第10実施形態と、第11実施形態とを組み合わせた内容になっており、無線LAN環境を更に細かく判別して、詳細な場合分け処理を可能にしたことが特徴である。そのため、図20の時間テーブル70は、図18に示す第10実施形態の時間テーブル68と、図19に示す第11実施形態の時間テーブル69を合体させたような内容になっており、レベルごとに計12種類の時間数値を有する。
また、第12実施形態の無線LANモジュール20は、図20の時間テーブル70の内容に応じた場合分け処理を規定したプログラムをメモリ26に記憶しており、このプログラムに基づきCPU27が現在の無線LAN環境を検知し、検知した内容に対応付けた数値をインターバル時間として時間テーブル70に基づき決定する処理を行う。なお、第12実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第12実施形態においても、第1実施形態等で述べた各種変形例の適用が可能である。
図21は、本発明の第13実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル71を示している。第13実施形態の無線LANモジュール20は、搬送波の電力強度のみにより無線LAN環境の判別を行ってインターバル時間の数値を決定する仕様になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル71の内容、及びプログラムの内容が上述した各実施形態と相異すると共に、新たに搬送波の電力強度に係る値に対する閾値として計3つのキャリア強度用の基準値をメモリ26に記憶することが特徴になっている。
メモリ26は、検知する搬送波の電力強度に係る値ごとに、無線LAN環境に応じた複数のレベルを分けるための基準値(第1基準値、第2基準値、第3基準値)を記憶しており、各基準値の大きさは、第1基準値が最大であり、第2基準値が2番目に大きく、第3基準値が最小になっている(第1基準値>第2基準値>第3基準値)。なお、RF回路部21の強度検知回路22が約−80dBmから−10dBmの範囲でキャリアの電力強度を検知する関係上、第13実施形態では第1基準値として−30dBm、第2基準値として−50dBm、第3基準値として−70dBmを設定しているが、これらの値は一例であり、強度検知回路22の検知範囲等に応じて他の値を設定することも勿論可能である。
これら各基準値は、メモリ26に記憶されたプログラムPの規定により、キャリアセンス時に強度検知回路22で検知されたキャリアの電力強度の値と比較されて、キャリアの電力強度に基づく無線LAN環境を複数レベル中の一つに決定する処理が行われる。具体的には、検知されたキャリアの電力強度の値が第1基準値以上の場合、無線LAN環境は「良」に相当する第1レベルに決定される。また、キャリアの電力強度の値が第1基準値未満であるが第2基準値(請求項6の基準値に相当)以上の場合、無線LAN環境は「中(中程度)」に相当する第2レベルに決定される。さらに、キャリアの電力強度の値が第2基準値未満で且つ第3基準値以上の場合、無線LAN環境は「悪」に相当する第3レベルに決定される。さらにまた、キャリアの電力強度の値が第3基準値未満の場合、無線LAN環境は「接続不可」に相当する第4レベルに決定される。
図21の時間テーブル71は、上述した第1レベルから第4レベルにインターバル時間用の数値を対応付けたものになっており、第1レベルに20秒、第2レベルに5秒(請求項6の第1数値に相当)、第3レベルに40秒(請求項6の第2数値に相当)、第4レベルに60秒を対応付けている。なお、各レベルに対応付けた時間の数値は、あくまで一例であり、製品の特徴、仕様等に応じて様々な数値を適用できる。
また、第13実施形態の無線LANモジュール20は、図21の時間テーブル71の内容に応じた場合分け処理を規定したプログラムをメモリ26に記憶しており、このプログラムに基づきCPU27が現在の無線LAN環境を検知してレベル分けを決定し、決定したレベルに対応付けた数値をインターバル時間として時間テーブル71に基づき決定する処理を行う。なお、第13実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第13実施形態においても、第1実施形態等で述べた各種変形例の適用が可能である。
図22は、本発明の第14実施形態に係る無線LANモジュール(無線通信装置に相当)20に適用される時間テーブル72を示している。第14実施形態の無線LANモジュール20の基本的な構成は第1実施形態と同等であるが、キャリアの電力強度及び接続可能なアクセスポイントのキャリア数(搬送波の数)に基づき無線LAN環境の判別を行って、インターバル時間の数値を決定することが、第14実施形態の特徴になっている。そのため、メモリ26に記憶する時間テーブル72の内容、及びプログラムの内容が第1実施形態と相異すると共に、新たにキャリア数の検知処理に対する閾値(第1閾値及び第2閾値)を記憶することが第1実施形態と相異する。
時間テーブル72は、検知されるキャリアの電力強度に応じて判別される第1レベル〜第4レベルのそれぞれに、検知されるキャリア数に基づき判別される3種類の段階(第1段階、第2段階、第3段階)が対応し、それによりレベルごとに3種類の時間を対応付けた内容になっている。なお、キャリア数検知ブロック30bにより検知されたキャリア数が第1閾値以上であるとき、CPU27により第1段階と判断され、以下、キャリア数が第1閾値未満であり且つ第2閾値以上であるときは第2段階と判断され、キャリア数が第2閾値未満であるときは第3段階と判断される。なお、第1閾値は第2閾値より大きい値である。また、時間テーブル72における設定時間の各数値は、あくまで一例であり、他の数値も勿論適用可能である。
上述した時間テーブル72に基づきインターバル時間の決定及び変更処理を行うために、CPU27は第1実施形態と同様にレベルを決定してから、次に、キャリアセンス時にキャリア数検知ブロック30bで計数されたキャリア数に基づき段階を決定し、決定したレベル及び段階により、インターバル時間に用いる数値を時間テーブル72から決定する。よって、第14実施形態では、キャリアの電力強度及びキャリア数の2つの要素に基づき無線LAN環境を判別するので、より詳細に無線LAN環境に応じて省電力化を進められると共に、効率的なアクセス制御処理を行える。なお、第14実施形態の無線LANモジュール20は、上述した内容以外は第1実施形態と同等であるため説明を省略する。また、第14実施形態も、第1実施形態等で述べた各種変形例の適用が可能である。