JP4806305B2 - ペレット製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ペレットを作るペレット製造方法に関する。
紙粉砕物および澱粉から作られたペレットとプラスチック樹脂とを押出機に投入し、押出機の内部においてペレットとプラスチック樹脂とを加熱下に混合して高温溶融物を作り、押出機に注入された水の気化によって溶融物を所定倍率に発泡させる発泡体製造方法がある(特許文献1参照)。この製造方法で使用されるペレットは、以下の方法で作られる。紙粉砕物と澱粉とをリボンミキサーで約60分間攪拌した後、それを混練機に移し、水を加えて混練機で約5分間混練して混合物とし、混合物を湿式造粒機で造粒して複数のペレットを作る。ペレットは、乾燥機に収容され、乾燥機で50℃、12時間乾燥させた後、かき混ぜ、さらに8時間乾燥させる。
特開2003−2997号公報
前記特許文献1に開示のペレット製造方法では、ペレットを乾燥機で50℃、20時間乾燥させるから、ペレットが略完全に乾燥するとともに、ペレットに含まれる澱粉の一部が糊化し、糊化した澱粉が固まることで、ペレットが極端に硬化する場合がある。糊化した澱粉が固まることで硬化したペレットを発泡体製造用の押出機に投入すると、押出機のスクリューでペレットを押し潰すことができず、ペレットが押出機のスクリューに食い込み、スクリューやシリンダの故障の原因になる。また、糊化した澱粉が固まったペレットを押出機のヒータで加熱したとしても、ペレットを溶融させることができないから、発泡体自体を作ることができない。
本発明の目的は、澱粉を糊化させることなく、ペレットに含まれる水分を早期に減らすことができるペレット製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、所定形状を保持しつつも低い圧力で崩壊するペレットを作ることができるペレット製造方法を提供することにある。
本発明にかかるペレット製造方法は、所定量の紙パウダーと澱粉と水とを混練して作られた水分含有混合物を造粒し、前記混合物を所定形状の複数のペレットに加工する造粒工程と、前記ペレットに含まれる水分を減らす乾燥工程とを有し、前記造粒工程では、気化熱で前記水分含有混合物の造粒時における摩擦熱を奪うアルコールを造粒機に注入し、前記混合物の温度を35〜45℃に保持し、前記乾燥工程では、前記ペレットの進入口および排出口を有するユニットと、前記ユニットの内部に配置されて前記ペレットを該ユニットの進入口から排出口へ搬送するベルトコンベヤと、前記ユニットの内部温度を上げる熱源とを備える乾燥機を用いて、前記進入口から前記排出口までのベルトコンベヤの走行距離1〜20mの範囲、前記ベルトコンベヤの走行速度0.02〜0.1m/sの範囲とし、前記ユニットの内部温度前記熱源によって45〜50℃の範囲に保持することを特徴とする。
前記ペレット製造方法の一例として、乾燥工程を経た後のペレットでは、紙パウダーと澱粉とが略均一に分散しつつ、該紙パウダーと該澱粉とが水素結合によって互いに結合し、その含水率が12.0〜20.0%の範囲、その崩壊圧力が100〜490Nの範囲にある。
前記ペレット製造方法の他の一例としては、造粒工程で注入されるアルコールの混合割合が水分含有混合物の総重量に対して2.0〜20.0重量%の範囲にある。
前記ペレット製造方法の他の一例としては、乾燥工程を経た後のペレットのアルコール含有率が0.5〜15.0%の範囲にある。
前記ペレット製造方法の他の一例としては、造粒工程が、先端部に多孔ダイスが取り付けられたスクリュー押出機と、スクリュー押出機につながるスクリューコンベヤとを備え、造粒工程では、水分含有混合物が多孔ダイスから押し出されることでヌードル状の混合物に加工され、ヌードル状の混合物がスクリューコンベヤによって搬送される間に、該スクリューコンベヤのケーシングとスクリューとの間の間隙に進入しつつスクリューによって切断されて複数のペレットに加工される。
前記ペレット製造方法の他の一例としては、紙パウダーと澱粉との総重量に対する該紙パウダーの混合割合が60〜80重量%の範囲、紙パウダーと澱粉との総重量に対する該澱粉の混合割合が20〜40重量%の範囲にあり、紙パウダーの平均粒径が50〜200μmの範囲、澱粉の平均粒径が5〜150μmの範囲にある。
本発明にかかるペレット製造方法によれば、乾燥工程においてペレットをベルトコンベヤに載せ、0.02〜0.1m/sの走行速度でベルトコンベヤを運転し、ベルトコンベヤ上を進入口から排出口に向かって移動するペレットを約10〜1000秒間かつ45〜50℃の雰囲気で乾燥させるから、ペレットに含まれる水分を短時間で減らすことができ、ペレットを長時間乾燥させることによる澱粉の糊化を防ぐことができる。このペレット製造方法では、ペレットに含まれる澱粉が糊化することがないから、所定形状を保持しつつも低い圧力で崩壊するペレットを作ることができる。このペレット製造方法によって作られたペレットは、それを発泡部材製造用の押出機に投入したとしても、ペレットが押出機のスクリューで容易に崩壊し、ペレットによって押出機のスクリューやシリンダが故障することはない。また、押出機のヒータで加熱することでペレットが容易に溶融するから、押出機を利用して発泡部材を確実に作ることができる。
このペレット製造方法は、紙パウダーと澱粉とが略均一に分散するとともに、澱粉を糊化させることなく紙パウダーと澱粉とが水素結合によって互いに結合するペレットを作ることができ、所定形状を保持しつつも低い圧力で確実に崩壊するペレットを作ることができる。また、このペレット製造方法は、0.02〜0.1m/sの走行速度でベルトコンベヤを運転し、ベルトコンベヤ上を進入口から排出口に向かって移動するペレットを約10〜1000秒間かつ45〜50℃の雰囲気で乾燥させることで、含水率が12.0〜20.0%の範囲、崩壊圧力が100〜490Nの範囲にあるペレットを作ることができ、ペレットを完全に乾燥させることによるペレットの硬化や崩壊圧力の増加を防ぐことができる。このペレット製造方法によって作られたペレットは、それを発泡部材製造用の押出機に投入したとしても、ペレットが押出機のスクリューで容易に崩壊し、ペレットによって押出機のスクリューやシリンダが故障することはなく、さらに、押出機のヒータで加熱することでペレットが容易に溶融するから、押出機を利用して発泡部材を確実に作ることができる。
本発明では、造粒工程においてアルコールが加えられ、水分含有混合物の温度が35〜45℃に保持されるため、アルコールの気化熱で混合物の造粒時における摩擦熱を奪うことができるから、混合物の温度が局所的に増加することはなく、造粒時における澱粉の糊化を確実に防ぐことができる。このペレット製造方法は、ペレットに含まれる澱粉が糊化することがないから、所定形状を保持しつつも低い圧力で確実に崩壊するペレットを作ることができる。このペレット製造方法によって作られたペレットは、それを発泡部材製造用の押出機に投入したとしても、ペレットが押出機のスクリューで容易に崩壊し、ペレットによって押出機のスクリューやシリンダが故障することはなく、さらに、押出機のヒータで加熱することでペレットが容易に溶融するから、押出機を利用して発泡部材を確実に作ることができる。
造粒工程で注入されるアルコールの混合割合が水分含有混合物の重量に対して2.0〜20.0重量%の範囲にあるペレット製造方法は、アルコールの気化熱で造粒時における混合物の摩擦熱を確実に奪うことができるから、造粒時における澱粉の糊化を確実に防ぐことができる。このペレット製造方法は、ペレットに含まれる澱粉が糊化することがないから、所定形状を保持しつつも低い圧力で確実に崩壊するペレットを作ることができる。このペレット製造方法によって作られたペレットは、それを発泡部材製造用の押出機に投入したとしても、ペレットが押出機のスクリューで容易に崩壊し、ペレットによって押出機のスクリューやシリンダが故障することはなく、さらに、押出機のヒータで加熱することでペレットが容易に溶融するから、押出機を利用して発泡部材を確実に作ることができる。
乾燥工程を経た後のペレットのアルコール含有率が0.5〜15.0%の範囲にあるペレット製造方法は、その製造方法によって製造されたペレットを使用して発泡部材を作るときに、水よりも沸点の低いアルコールが発泡部材製造用の押出機の内部で即座に気化することで、シリンダ内部の圧力が上がるから、水のみの気化を利用する場合と比較し、シリンダ内部の圧力を一層上昇させることができ、押出機における発泡効率を向上させることができる。
造粒工程がスクリュー押出機とスクリューコンベヤとを備え、ヌードル状の混合物がスクリューコンベヤによって搬送される間に、スクリューコンベヤのケーシングとスクリューとの間の間隙に進入しつつスクリューによって切断されて複数のペレットに加工されるペレット製造方法は、所定の粘度を有するヌードル状の混合物をスクリューコンベヤのスクリューを介して所定長さに切断することができ、略同一形状の複数のペレットを確実に作ることができる。
添付の図面を参照し、本発明に係るペレット製造方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、ペレット製造方法の各工程を示すブロック図であり、図2は、リボンミキサー14や攪拌ホッパー15、造粒機34、乾燥機54の一例を示す図である。図3は、造粒機34を正面から示す図であり、図4は、スクリューコンベヤ37の斜視図である。図2,3では、前後方向を矢印A(図2のみ)、上下方向を矢印Bで示し、横方向を矢印C(図3のみ)で示す。図2では、混合物やペレットPの搬送方向を矢印で示す。ペレット製造方法は、水分含有混合物を造粒して混合物を所定形状の複数のペレットPに加工する造粒工程12と、ペレットPに含まれる水分を減らす乾燥工程13とから構成されている。なお、この製造方法には、紙パウダーや澱粉粉末を作る粉砕工程10と、紙パウダーと澱粉粉末とを水やアルコールとともに混練して水分含有混合物を作る混練工程11とが含まれる。
粉砕工程10は、予備粉砕工程と微粉砕工程とに区分されている。予備粉砕工程には粗粉砕機(図示せず)が設置され、微粉砕工程には微粉砕機(図示せず)が設置されている。粉砕工程10では、粗粉砕機を使用して紙粉砕物が作られ、微粉砕機を使用して紙パウダーが作られる。さらに、微粉砕機を使用して澱粉粉末が作られる。予備粉砕工程と微粉砕工程とから紙パウダーを作る一例は、以下のとおりである。所定の大きさの紙およびパルプの少なくとも一方を粗粉砕機に投入し、粗粉砕機によって紙やパルプを数十cm〜数mmの紙粉砕物に加工した後、紙粉砕物を微粉砕機に投入し、紙粉砕物を数十μm〜数百μmの紙パウダーに加工する。微粉砕工程から澱粉粉末を作る一例は、塊状澱粉を微粉砕機に投入し、塊状澱粉を数μm〜数百μmの澱粉粉末に加工する。粗粉砕機には、ジョークラッシャ、ジャイレトリークラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマークラッシャ、ロールクラッシャを使用することができる。微粉砕機には、ボールミル、媒体攪拌ミル、ローラミルを使用することができる。ボールミルには、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、塔式ボールミルを使用することができる。媒体攪拌ミルには、攪拌槽ミル、アニュラミルを使用することができる。ローラミルには、遠心式ローラミル、油圧式ローラミルを使用することができる。
紙には、バージン紙と古紙とのうちの少なくとも一方を使用することができる。古紙には、新聞古紙や雑誌古紙、印刷古紙、包装古紙、段ボール古紙、OA古紙等を使用することができる。バージン紙には、それを製造するときに発生する破紙や損紙を使用することもできる。紙パウダーには、広葉樹パルプと針葉樹パルプとのうちの少なくとも一方を原料としてそれらパルプを粉砕工程によって粉状に粉砕したセルロース主体のパウダーを使用することもできる。パルプは、機械的パルプ、化学的機械パルプ、半化学的パルプ、化学的パルプのいずれであってもよい。紙やパルプには、塩素と蛍光漂白剤とを非含有のそれらを使用することが好ましい。紙やパルプが塩素や蛍光漂白剤を含む場合は、脱塩素処理や脱蛍光漂白剤処理を施して塩素と蛍光漂白剤とを排除する。
澱粉は、原料澱粉や加工澱粉のうちの少なくとの一方を使用することができる。原料澱粉としては、とーもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉のうちの少なくとも一つを使用することができるが、とーもろこし澱粉(コーンスターチ)を使用することが好ましい。加工澱粉には、澱粉誘導体、澱粉分解物、アルファ化澱粉がある。澱粉誘導体としては、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉のうちの少なくとも一つを使用することができる。澱粉分解物としては、焙焼デキストリンおよびブリティッシュガム、酸素変性デキストリン、酸分解澱粉、酸化澱粉のうちの少なくとも一つを使用することができる。水には、水道水を使用する。アルコールには、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、活性アルミアルコールのうちの少なくとも一つを使用することができる。
混練工程11には、リボンミキサー14(第1混練機)と、ミキサー14の上下方向下方(下流側)に位置する攪拌ホッパー15(第2混練機)とが設置されている。リボンミキサー14は、設備塔16の上に載せられている。リボンミキサー14は、混練槽17(第1混練槽)と軸18(第1軸)と攪拌リボン19(第1ブレード)とを有する。混練槽17は、上方から下方へ向かって弧を画く周壁20と、周壁20の前後に位置する前後壁21と、上部開口22とを有する。混練槽17には、それら壁20,21に囲繞された収容空間23が画成されている。周壁20の底部には攪拌ホッパー15につながるダクト24が連結されている。軸18は、混練槽17の収容空間23に位置して前後方向(一方向)へ延び、その両端部が混練槽17の前後壁21を貫通して軸受け25に支持されている。軸17は、電動機(図示せず)の駆動によって矢印Dで示す時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。攪拌リボン19は、軸18を取り囲むように前後方向へ略螺旋状に延びている。混練槽17の収容空間23には、矢印Fで示すように、紙パウダーと澱粉とが投入されるとともに、水とアルコールとが注入される。攪拌リボン19は、軸18の回転によって時計回り方向と反時計回り方向とへ回転し、紙パウダーや澱粉、水、アルコールを攪拌しつつ、紙パウダーと澱粉とを水やアルコールとともに混練する。混練工程11では、リボンミキサー14に替えて、パドルミキサー、スクリュミキサーを使用することもできる。
攪拌ホッパー15は、設備塔16の下方に配置されている。攪拌ホッパー15は、混練槽26(第2混練槽)と軸27(第2軸)と攪拌翼28(第2ブレード)とを有する。混練槽26は、上方から下方へ向かって漏斗状に延びる周壁29と、周壁29の上方に位置する上部壁30と、開閉可能な下部流出口31とを有する。混練槽26には、周壁29に囲繞された収容空間32が画成されている。軸27は、混練槽26の収容空間32に位置して上下方向(一方向と交差する方向)へ延び、その上端部が混練槽26の上部壁30を貫通し、上下端部が軸受け33に支持されている。軸27は、電動機(図示せず)の駆動によって矢印Eで示す時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。攪拌翼28は、上下方向へ少なくとも2段になって並び、軸27の周り方向外方に位置して軸27の周り方向へ真円を画くように延びている。混練槽26の収容空間32には、混練槽17から混合物が流入するとともに、アルコールが注入される。攪拌翼28は、軸27の回転によって時計回り方向と反時計回り方向とへ回転し、混合物とアルコールとを攪拌しつつ、混合物をアルコールとともに再混練する。混練工程11では、攪拌ホッパー15に替えて、ポニミキサー、真空逆流ミキサー、ナウタミキサー、ハイスラッジャ、アイリッヒミキサー、ヘンシェルミキサー、パワーミキサー、コンビミックス、シュギーミキサーを使用することもできる。
造粒工程12には、造粒機34が設置されている。造粒機34は、台座35に載せられている。造粒機34は、スクリュー押出機36(スクリュー横押出機)と、押出機36につながるスクリューコンベヤ37とから形成されている。攪拌ホッパー15と造粒機34との間には、ベルトコンベヤ38が配置されている。押出機36は、水分含有混合物が流入するホッパー39と、ホッパー39につながるシリンダ40と、シリンダ40の内部に回転可能に設置された2つのスクリュー41と、シリンダ40の先端部42の側方に取り付けられた多孔ダイス43とから形成されている。押出機36のホッパー39には、コンベヤ38から混合物が流入するとともに、矢印Gで示すように、アルコールが注入される。スクリュー41は、電動機45の駆動によって回転し、シリンダ40の内部に進入した混合物とアルコールとを混練するとともに、混合物をその後端部か45ら先端部42に向かって押圧しつつ押し出す。多孔ダイス43は、複数の円形貫通孔46を有し、スクリュー41によって押圧された混合物を貫通孔46によってヌードル状に加工する。
スクリューコンベヤ37は、押出機36の上下方向下方に配置され、横方向へ長いケーシング47(トラフ)と、ケーシング47の内部に回転可能に設置されたスクリュー48とから形成されている。スクリュー48は、電動機49の駆動によって回転し、ケーシング47に進入したヌードル状の混合物をケーシング47の入口50から出口51に向かって搬送する。ケーシング47の内壁52とスクリュー48の螺旋部53の先端との間には、わずかな間隙が形成されている。ヌードル状の混合物は、ケーシング47の内壁52とスクリュー48の螺旋部53の先端との間の間隙に進入しつつ、スクリュー48によってケーシング47の入口50から出口51に向かって搬送される。スクリュー48の螺旋部53の先端は、ヌードル状の混合物を切断する歯として機能し、間隙に進入したヌードル状の混合物を所定の長さに切断して複数のペレットPに加工する。ゆえに、ヌードル状の混合物は、ケーシング47の入口50から出口51に向かって搬送される間に複数のペレットPに加工される。
乾燥工程13には、造粒工程12で作られたペレットPを乾かす乾燥機54が設置されている。造粒機34と乾燥機54との間には、ベルトコンベヤ55が配置されている。乾燥機54は、進入口56および排出口57を有するユニット58と、ユニット58の内部に設置されたベルトコンベヤ59と、空気を加熱して温風を作る加熱器60(熱源)と、加熱器60によって作られた温風を送風する送風機61と、温風をユニット58の外側に排出する排風機62とから形成されている。ベルトコンベヤ59は、ユニット58の進入口56と排出口57との間に延びている。ベルトコンベヤ59には、多数の微細な貫通孔(図示せず)が形成されている。加熱器60および送風機61は、ベルトコンベヤの間に設置されている。排風機62は、ユニット58の上部に設置されている。
ケーシング47の出口51からベルトコンベヤ55上に順次落下したペレットPは、コンベヤ55によって乾燥機54に搬送される。コンベヤ55によってユニット58の進入口56に運ばれたペレットPは、ユニット58の進入口56からユニット58内部のベルトコンベヤ59に移り、ベルトコンベヤ59上を移動してユニット58の進入口56から排出口57に向かう。ベルトコンベヤ59は、ペレットPをユニット58の進入口56から排出口57に向かって所定の速度でゆっくりと搬送する。加熱器60によって作られた温風は、矢印Hで示すように、送風機61によってベルトコンベヤ59の下方からユニット58の上方へ向かって送風される。温風は、コンベヤ59の貫通孔を通り抜け、ユニット58の内部を循環しつつ、矢印Iで示すように、排風機62によってユニット58の外側に排出される。乾燥工程13では、ベルトコンベヤ59上を移動するペレットPが温風によって加熱され、ユニット58の進入口56から排出口57に向かう間に、ペレットPに含まれる水分およびアルコールの一部が気化する。
この製造方法によってペレットPを作る手順を説明すると、以下のとおりである。紙およびパルプの少なくとも一方を粗粉砕機に投入し、紙やパルプを粗粉砕機によって粗粉砕して紙粉砕物を作った後、紙粉砕物を微粉砕機に投入し、紙粉砕物を微粉砕機によって微粉砕して紙パウダーを作る。紙パンダーは、集塵機(図示せず)によって集められ、一時、収容ホッパー(図示せず)に保管される。塊状澱粉を微粉砕機によって微粉砕して澱粉粉末を作る。澱粉粉末は、集塵機(図示せず)によって集められ、一時、収容ホッパー(図示せず)に保管される。紙パウダーと澱粉粉末とが収容ホッパーからリボンミキサー14の攪拌槽17に投入され、同時に水とアルコールとが攪拌槽17に注入される。攪拌槽17では、紙パウダーと澱粉と水とアルコールとがミキサー14の攪拌リボン19によって攪拌され、紙パウダーと澱粉とが水やアルコールとともに混練され、所定の流動性を有する水分含有混合物が作られる。
リボンミキサー14の軸18は、混練時間の略半分を時計回り方向へ回転し、混練時間の残りの略半分を反時計回り方向へ回転する。それによって、攪拌リボン19が時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。ミキサー14では、紙パウダーと澱粉と水とアルコールとが攪拌リボン19によって時計回り方向と反時計回り方向との2方向で攪拌混練される。攪拌槽17の内部では、水に溶解せずかつ流動性を示さない紙パウダーや澱粉が攪拌リボン19と擦れ合って摩擦熱が生じるが、アルコールの気化熱が摩擦熱を奪うから、摩擦熱で混合物の温度が上昇することはない。混練槽17における混練中の混合物の温度は、アルコールの気化熱によって10〜30℃に保持されている。ゆえに、ミキサー14の攪拌混練過程において澱粉が糊化することはない。なお、軸18は、時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方にのみ回転してもよい。
ミキサー14による紙パウダーと澱粉と水とアルコールとの混練時間は、5〜20分である。また、軸18の回転速度は、20min−1以上かつ200min−1以下の範囲にある。軸18の回転速度が20min−1未満では、攪拌リボン19を介して紙パウダーと澱粉と水とアルコールとを十分に攪拌混練することができず、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合う混合物を作ることができない。混練時間が20分を超過し、軸18の回転速度が200min−1を超過すると、ミキサー14の攪拌混練過程において摩擦熱が発生し易く、摩擦熱で澱粉の一部が糊化してしまう場合がある。ミキサー14では、混練時間と軸18の回転速度とが前記範囲にあるから、高速回転の混練や長時間の混練による紙パウダーや澱粉と攪拌リボン19との間の摩擦熱の発生を防ぐことができ、ミキサー14の攪拌混練過程における澱粉の糊化を確実に防ぐことができる。
紙パウダーと澱粉粉末とをあわせたそれらの総重量に対する水の混合割合(攪拌槽17に注入する水の割合)は、20重量%以上かつ50重量%以下の範囲にある。水の混合割合が20重量%未満では、紙パウダーと澱粉粉末とを十分に混練することができず、紙パウダーと澱粉とが略均一に分散する混合物を作ることができない。また、造粒機34(スクリュー押出機36)における混練で混合物の粘性が著しく増加し、ほとんど流動性を示さない混合物が作られるから、造粒工程12において混合物が脆く崩れて所定形状のペレットを作ることができない場合がある。水の混合割合が50重量%を超過すると、造粒機34(スクリュー押出機36)における混練で混合物に適度の粘性を付与することができず、混合物の粘性が著しく低下し、造粒工程12においてペレット自体を作ることができない場合がある。このペレット製造方法では、紙パウダーと澱粉粉末との総重量に対する水の混合割合が前記範囲にあるから、造粒工程12において適度の粘性と適度の流動性とを有する混合物を作ることができ、かつ、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合った所定形状のペレットPを作ることができる。
リボンミキサー14に注入する水の温度は、0℃以上かつ30℃以下の範囲にある。水の温度が0℃未満では、水が凍結し、アルコールの気化が不十分になるとともに、水を介して紙パウダーと澱粉粉末とを十分に混練することができず、紙パウダーと澱粉とが略均一に分散する混合物を作ることができない。水の温度が30℃を超過すると、混合物の温度が上昇するとともに、アルコールが早期に気化し、アルコールの気化熱を利用して摩擦熱を奪うことができず、混合物の温度上昇と摩擦熱とによって澱粉の一部が糊化する場合がある。澱粉の一部が糊化すると、それが攪拌リボン19や攪拌翼28に付着し、リボンミキサー14や攪拌ホッパー15における混練機能が低下して紙パウダーと澱粉とを均一に混ぜ合わすことができない。このペレット製造方法では、注入する水の温度が前記範囲にあるから、澱粉の糊化を防ぐことができ、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合ったペレットPを作ることができる。
リボンミキサー14に注入するアルコールの混合割合は、注入される水の重量に対して2重量%以上かつ30重量%以下の範囲にある。アルコールの混合割合が2重量%未満では、アルコールの気化熱を十分に利用することができず、紙パウダーや澱粉と攪拌リボンとの間の摩擦熱を奪うことができないから、澱粉の一部が糊化する場合がある。このペレット製造方法では、ミキサー14に注入するアルコールの混合割合が前記範囲にあるから、摩擦熱を確実に奪うことができ、ミキサー14における攪拌混練過程において澱粉が糊化することを確実に防ぐことができる。
リボンミキサー14における混練時間が経過すると、水分含有混合物が攪拌槽17からダクト24を通って攪拌ホッパー15の攪拌槽26に流入し、同時に攪拌槽26にアルコールが注入される。攪拌槽26では、混合物がアルコールとともに攪拌ホッパー15の攪拌翼28によって再度攪拌混練される。攪拌ホッパー15の軸27は、混練時間の略半分を時計回り方向へ回転し、混練時間の残りの略半分を反時計回り方向へ回転する。それによって、攪拌翼28が時計回り方向と反時計回り方向とへ回転する。ホッパー15では、混合物とアルコールとが攪拌翼28によって時計回り方向と反時計回り方向との2方向で混練される。攪拌槽26の内部では、混合物を形成する紙パウダーと澱粉とが攪拌翼28と擦れ合って摩擦熱が生じるが、アルコールの気化熱が摩擦熱を奪うから、摩擦熱で混合物の温度が上昇することはない。混練槽26における混練中の混合物の温度は、アルコールの気化熱によって10〜30℃に保持されている。ゆえに、攪拌ホッパー15の攪拌混練過程において澱粉が糊化することはない。なお、軸27は、時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方にのみ回転してもよい。
攪拌ホッパー15による混合物の混練時間は、5〜20分である。また、軸27の回転速度は、20min−1以上かつ200min−1以下の範囲にある。軸27の回転速度が20min−1未満では、攪拌翼28を介して混合物とアルコールとを十分に攪拌混練することができず、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合う混合物を作ることができない。混練時間が20分を超過し、軸27の回転速度が200min−1を超過すると、攪拌ホッパー15の攪拌混練過程において摩擦熱が発生し易く、摩擦熱で澱粉の一部が糊化してしまう場合がある。ホッパー15では、混練時間と軸27の回転速度とが前記範囲にあるから、高速回転の混練や長時間の混練による混合物と攪拌翼28との間の摩擦熱の発生を防ぐことができ、ホッパー15の攪拌混練過程における澱粉の糊化を確実に防ぐことができる。
紙パウダーと澱粉粉末とを合わせたそれらの総重量に対する紙パウダーの混合割合は、60重量%以上かつ80重量%以下の範囲にあり、紙パウダーと澱粉粉末とを合わせたそれらの総重量に対する澱粉粉末の混合割合は、20重量%以上かつ40重量%以下の範囲にある。紙パウダーの混合割合が60重量%未満であって澱粉粉末の混合割合が40重量%を超過すると、混合物における澱粉の割合が必要以上に増加し、混練時の摩擦熱によって澱粉の一部が糊化する場合があり、紙パウダーと澱粉とを略均一に混ぜ合わすことができない場合がある。紙パウダーの混合割合が80重量%を超過するとともに、澱粉粉末の混合割合が20重量%未満では、自着性がない紙パウダーの混合物における割合が必要以上に増加し、造粒機34(スクリュー押出機36)における混練で混合物に所定の粘度を付与することができず、混合物の粘性が著しく低下し、所定形状のペレットを作ることができない場合がある。このペレット製造方法では、紙パウダーと澱粉粉末とを合わせたそれらの総重量に対する紙パウダーや澱粉粉末の混合割合が前記範囲にあるから、造粒工程12において適度の粘性と適度の流動性とを有する混合物を作ることができ、かつ、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合った所定形状のペレットPを作ることができる。
紙パウダーは、その平均粒径が50μm以上かつ200μm以下の範囲にある。紙パウダーの平均粒径が50μm未満では、紙パウダーを50μm未満の粒子径に加工するためにさらに複数の粉砕工程を必要とし、ペレットPの生産コストが上昇してしまう。紙パウダーの平均粒径が200μmを超過すると、流動性を示さない紙パウダーがリボンミキサー14や攪拌ホッパー15の混練機能を低下させ、リボンミキサー14や攪拌ホッパー15において紙パウダーと澱粉粉末とを略均一に混ぜ合わすことができず、混合物に紙パウダーや澱粉の偏りが生じる場合がある。澱粉粉末は、その平均粒径が5μm以上かつ150μm以下の範囲にある。澱粉粉末の平均粒径が5μm未満では、塊状澱粉を5μm未満の粒子径に加工するための粉砕工程を必要とし、ペレットPの生産コストが上昇してしまう。澱粉粉末の平均粒径が150μmを超過すると、流動性を示さない澱粉がリボンミキサー14や攪拌ホッパー15の混練機能を低下させ、リボンミキサー14や攪拌ホッパー15において紙パウダーと澱粉粉末とを略均一に混ぜ合わすことができず、混合物に紙パウダーや澱粉の偏りが生じる場合がある。このペレット製造方法では、紙パウダーと澱粉粉末との平均粒径が前記範囲にあるから、コストがかからず、かつ、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合ったペレットPを作ることができる。
攪拌ホッパー15に注入するアルコールの混合割合は、注入される水の重量に対して2重量%以上かつ15重量%以下の範囲にある。アルコールの混合割合が2重量%未満では、アルコールの気化熱を十分に利用することができず、混合物と攪拌翼28との間の摩擦熱を奪うことができないから、澱粉の一部が糊化する場合がある。このペレット製造方法では、攪拌ホッパー15に注入するアルコールの混合割合が前記範囲にあるから、摩擦熱を確実に奪うことができ、攪拌ホッパー15における攪拌混練過程において澱粉が糊化することを確実に防ぐことができる。また、アルコールを介して混合物が再混練されるから、混合物において紙パウダーと澱粉とを略均一に分散させることができる。
リボンミキサー14や攪拌ホッパー15では、混合物を攪拌混練中、注入されたアルコールが気化するとともに、混合物に含まれる水がわずかに気化する。攪拌ホッパー15によって混練された後の水分含有混合物の水分含有率は、30%以上かつ34%以下の範囲にある。ゆえに、水分含有混合物は、それが液状やゲル状になることはない。ここで、水分含有混合物の率は、{(混合物の全重量−混合物の乾燥後の全重量)/混合物の乾燥後の全重量}×100で算出した。
混練工程11では、前後方向へ延びる軸18に取り付けられた攪拌リボン19の時計回り方向と反時計回り方向との2方向の回転によって紙パウダーと澱粉粉末とが水やアルコールとともに混練され、さらに、上下方向へ延びる軸27に取り付けられた攪拌翼28の時計回り方向と反時計回り方向との2方向の回転によって水分含有混合物がアルコールとともに再混練されるから、混合物が合計4方向で混練される。ゆえに、混練工程11では、水やアルコールを介して紙パウダーと澱粉とを十分に攪拌混練することができ、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合う水分含有混合物を作ることができる。なお、混練工程11では、軸18,27の回転速度を下げることで摩擦熱の発生を防ぎ、澱粉の糊化を防ぐことができれば、攪拌槽17に水のみを注入し、攪拌槽17や攪拌槽26へのアルコールの注入を省くこともできる。
攪拌ホッパー15における混練時間が経過すると、ホッパー15の下部流出口31が開き、水分含有混合物がベルトコンベヤ38上に順次落下する。混合物は、ベルトコンベヤ38によってスクリュー押出機36に搬送され、押出機36のホッパー39に投入されてホッパー39からシリンダ40に進入する。押出機36のホッパー39には、アルコールが注入される。混合物は、スクリュー41の回転によってアルコールと混練かつ押圧されながら、シリンダ40の後端部44から先端部42に向かって押し出され、多孔ダイス43の貫通孔46を通ることで複数本のヌードル状に加工される。押出機36のスクリュー41によって混練された混合物は、適度な粘性と適度な流動性とを発現する。なお、押出機36で混練された後の混合物の粘度は、10Pa・s以上かつ10Pa・s以下の範囲、好ましくは10Pa・s以上かつ10Pa・s以下の範囲にある。混合物の粘度が10Pa・s未満では混合物の粘性が不十分であり、混合物が容易に流動し、混合物の粘度が10Pa・sを超過すると混合物の粘性が高く、混合物が容易に崩れてしまうから、混合物をヌードル状に加工することができず、造粒工程12において所定形状のペレットを作ることができない。このペレット製造方法では、押出機36で混練された後の混合物の粘度が前記範囲にあるから、造粒工程12において混合物が流動してしまうことや脆く崩れることがなく、所定形状のペレットPを確実に作ることができるとともに、ペレットPがその形態を保持することができる。
ヌードル状の混合物は、多孔ダイス43から落下しつつ、スクリューコンベヤ37のケーシング47の入口50からケーシング47内部に進入する。ヌードル状の混合物は、スクリュー48の回転にともなってケーシング47の入口50から出口51に向かって移動しつつ、ケーシング47の内壁52とスクリュー48の螺旋部53の先端との間の間隙に進入し、スクリュー48の螺旋部53の先端によって所定の長さに切断され、水分とアルコールとを含有するペレットPになる。ペレットPは、ケーシング47の出口51からベルトコンベヤ55上に順次落下し、ベルトコンベヤ55によって乾燥機54に搬送される。造粒機34(スクリュー押出機36)に注入されるアルコールの混合割合は、水分含有混合物の総重量に対して2重量%以上かつ20重量%以下の範囲にある。アルコールの混合割合が2重量%未満では、乾燥工程13においてアルコールの大部分が気化し、乾燥工程13を経た後のペレットPにアルコールが含まれなくなってしまう。アルコールの混合割合が20重量%を超過すると、アルコールによって混合物の粘度が低下し、ペレット自体を作ることができない。
ペレットPは、ベルトコンベヤ55によってユニット58の進入口56に運ばれた後、コンベヤ55からユニット58内部に設置されたベルトコンベヤ59上に移動し、コンベヤ59によってユニット58の進入口56から排出口57に向かって搬送される。ペレットPは、コンベヤ55の貫通孔を通る温風やユニット58の内部を循環する温風によって加熱され、ユニット58の進入口56から排出口57に向かう間に、それに含まれる水分およびアルコールの一部が気化する。ここで、ユニット58の内部温度は、ペレットPに含まれる水分を減少させることができ、かつ、ペレットPを形成する澱粉が糊化しない温度に保持されている。具体的には、40℃以上かつ50℃以下の範囲、好ましくは45℃以上かつ50℃以下の範囲に保持されている。ユニット58の内部温度が40℃未満では、ペレットPに含まれる水分が気化せず、水分を減らすことができない。ユニット58の内部温度が50℃を超過すると、ペレットPが必要以上に加熱され、ペレットPに含まれる水分が大きく減少してしまう。また、澱粉が糊化し、固化した澱粉によってペレットPが極端に硬くなる場合がある。
ユニット58の進入口56から排出口57までのベルトコンベヤ59の走行距離は、1m以上かつ20m以下の範囲にあり、ベルトコンベヤ59の走行速度は、0.02m/s以上かつ0.1m/s以下の範囲、好ましくは0.03m/s以上かつ0.08m/s以下の範囲、より好ましくは0.04m/s以上かつ0.05m/s以下の範囲にある。ベルトコンベヤ59の走行距離が1m未満であってコンベヤ59の走行速度が0.1m/sを超過すると、ペレットPに含まれる水分が気化せず、水分を減らすことができない。ベルトコンベヤ59の走行距離が20mを超過し、コンベヤ59の走行速度が0.03m/s未満では、ペレットPの加熱時間が長くなって、ペレットPに含まれる水分やアルコールが大きく減少してしまう。また、澱粉が糊化する場合があり、固化した澱粉によってペレットPが極端に硬化する場合がある。この製造方法では、ユニット58の内部温度や、ベルトコンベヤ59の走行距離、ベルトコンベヤ59の走行速度が前記範囲にあるから、ベルトコンベヤ59上を進入口56から排出口57に向かって移動するペレットPを約10〜1000秒間かつ45〜50℃の雰囲気で乾燥させることで、ペレットPを形成する澱粉の糊化を防ぎつつ、ペレットPに含まれる水分を適度に減らすことができる。
図5は、この製造方法によって作られたペレットPの斜視図である。乾燥工程13では、ペレットPに含まれる水分が気化し、造粒工程12よりもペレットPに含まれる水分やアルコールが減少するが、ペレットPに含まれる水分やアルコールの全てが気化するわけではなく、ペレットPが完全に乾燥することはない。乾燥工程13を経たペレットPは、それに含まれる澱粉が糊化しておらず、所定量の水分とアルコールとを含有する。ペレットPを形成する紙パウダーと澱粉とは、水素結合によって互いに結合している。乾燥工程13を経たペレットPは、それが紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合った混合物から作られているから、それに紙パウダーの塊や澱粉の塊が形成されておらず、紙パウダーと澱粉とが略均一に分散している。乾燥工程13を経た後のペレットPは、その水分含有率が12.0%以上かつ20.0%以下の範囲にあり、そのアルコール含有率が、0.5%以上かつ15.0%以下の範囲にある。
乾燥工程13を経たペレットPは、澱粉が糊化しておらず、所定量の水分とアルコールとを含有するとともに、紙パウダーと澱粉とが水素結合によって互いに結合されているから、所定の形状を保持しつつも100〜490Nの圧力(崩壊圧力)で容易に崩壊する。また、ペレットPに含まれる澱粉は、150〜190℃の温度で溶解する。ペレットPは、図5に示すように、略円柱状を呈し、その長さL1が0.5mm以上かつ10.0mm以下の範囲にあり、その直径L2が1.0mm以上かつ5.0mm以下の範囲にある。ペレットPは、その嵩比重が0.2以上かつ1.0以下の範囲にある。ここで、嵩比重とは、成形されたペレットPの寸法からその体積を計算し、ペレットPの質量を除して求めた比重である。このペレット製造方法では、4方向で十分に混練した水分含有混合物を造粒してペレットPを作るから、紙パウダーと澱粉とが略均一に混ざり合ってそれらが略均一に分散するペレットPを作ることができる。
図6は、図5のペレットPを用いて作られる発泡部材70の製造方法の一例を示す工程概略図であり、図7は、図6の製造方法によって作られた発泡部材70の斜視図である。発泡部材70は、ペレットPとポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂71の粉末を原料とし、押出機72を使用して製造される。発泡部材70は、押出機72の先端部76に取り付けられたダイ(図示せず)によって角柱状に成形される。
ポリオレフィン系合成樹脂71には、ポリプロピレンとポリエチレンとのいずれか一方、または、それらを所定の割合で混合した樹脂を使用する。ポリプロピレンには、ブロック重合ポリプロピレン、ランダム重合ポリプロピレン、ホモ重合ポリプロピレン、メタロセン−ポリプロピレンのうちの少なくとも1種類を使用することができる。ポリエチレンには、低密度ポリエチレン、リニア低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒ポリエチレン、変成ポリエチレン、エチレンビニルアセテート(EVA)のうちの少なくとも1種類を使用することができる。なお、ポリプロピレンには、線状ポリプロピレンとイソプレンとラジカル重合開始剤とを反応させた改質ポリプロピレンを使用することもできる。線状ポリプロピレンには、プロピレンの単独重合体や共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体のうちの少なくとも1種類を使用することができる。
押出機72によって発泡部材70を製造する手順の一例を説明すると、以下のとおりである。複数のペレットPと所定量の熱可塑性合成樹脂71の粉末とを押出機72のホッパー73に投入した後、押出機72の中段から押出機72のシリンダ74内部に水75を注入する。ペレットPと熱可塑性合成樹脂71とは、押出機72のホッパー73からシリンダ74内部に進入し、押出機72のヒータ(図示せず)によって120〜190℃に加熱されつつ、シリンダ74内部に設置されたスクリュー(図示せず)の回転によって混練される。シリンダ74内部では、ペレットPに含まれるアルコールが瞬時に気化してシリンダ74内部の圧力が増加する。さらに、ペレットPに含まれる水分が沸騰し、それによって澱粉が糊化してペレットPが溶融するとともに、熱可塑性合成樹脂71が溶融し、紙パウダーと溶融した澱粉および熱可塑性合成樹脂71とが混練されて所定温度の高温溶融物になる。高温溶融物では、紙パウダーが略均一に分散している。高温溶融物は、スクリューの回転によって押圧されつつシリンダ74の先端部76に向かって次第に移動する。なお、押出機72に投入される前のペレットPは、澱粉が糊化しておらず、100〜490Nの圧力で容易に崩壊するから、押出機72のスクリューによって即座に押し潰される。
押出機72の中段から注入された水75は、スクリューを介して高温溶融物に混入される。水75が溶融物に混入されると、高温溶融物の温度によって水75が瞬時に気化する。水75が気化すると、それにともなって溶融物の内部に多数の気泡が形成され、溶融物が押出機72の先端部76に取り付けられたダイから押し出されたときに気泡の膨張にともなって溶融物が所定倍率に一気に膨張(発泡)し、発泡部材70が作られる。ダイから押し出された発泡部材70は、その温度が次第に低下して固形化する。発泡部材70の内部では、温度が低下して固化した澱粉が気泡77を包被する膜を形成している。発泡部材70は、固化した澱粉によってその強度が保持されている。ペレットPに含まれるアルコールはその全てがシリンダ74内部で気化するから、発泡部材70にアルコールは含まれていない。発泡部材70では、紙パウダーが略均一に分散している。なお、ペレットPを形成する紙パウダーの平均粒径が50〜200μmの範囲にあるから、紙パウダーが溶融した熱可塑性合成樹脂の中で分散不良を起こすことはなく、発泡部材70の内部に紙パウダーの塊が形成されることはない。
この発泡部材製造方法では、前記ペレット製造方法で製造されたペレットPを使用することで、紙パウダーが略均一に分散し、かつ、優れた耐衝撃性と優れたクッション性とを有する発泡部材70を作ることができる。発泡部材製造方法では、ペレットPが所定量(0.5〜15.0%)のアルコールを含有するから、水よりも沸点の低いアルコールが押出機72の内部で即座に気化することで、シリンダ内部の圧力を上げることができ、高温溶融物を効率よく発泡させることができる。前記ペレット製造方法によって作られたペレットPを押出機72に投入したとしても、ペレットPが押出機72のスクリューで容易に崩壊し、ペレットPによって押出機72のスクリューやシリンダが故障することはない。また、押出機72のヒータで加熱することでペレットPが容易に溶融するから、押出機72を利用して発泡部材70を確実に作ることができる。
押出機72の内部における水75の混入前の高温溶融物の温度は、120℃以上かつ190℃以下の範囲、好ましくは140℃以上かつ170℃以下の範囲にある。溶融物の温度が120℃未満では、混入する水75の量にもよるが、水75が溶融物の内部で瞬時に気化せず、溶融物の内部における発泡が不十分となり、発泡部材70の内部に多数の気泡77を作ることができない。溶融物の温度が190℃を超過すると、熱可塑性合成樹脂や紙パウダー、澱粉の性状が温度によって変化し、特に、紙パウダーが黄ばんだり、黒ずんだりすることで、発泡部材70自体が変色してしまう。高温溶融物の総重量に対する水75の混合割合は、10重量%以上かつ30重量%以下の範囲にある。水75の混合割合が10重量%未満では、水75の気化を十分に利用することができず、高温溶融物の内部における発泡が不十分となり、発泡部材70に十分な気泡77が形成されず、発泡部材70のクッション性が低下する。水75の混合割合が30重量%を超過すると、水75が瞬時に気化せず、高温溶融物の内部における発泡が不十分となり、発泡部材70に十分な気泡77が形成されず、発泡部材70のクッション性が低下する。
発泡部材70の単位体積当たりの発泡倍率は、5〜60倍であり、好ましくは5〜30倍である。発泡倍率が5倍未満では、発泡部材70に気泡77が十分に形成されておらず、発泡部材70のクッション性が不十分となる。発泡倍率が60倍を超過すると、発泡部材70の強度が著しく低下し、わずかな衝撃で発泡部材70が損壊してしまう場合がある。発泡部材70は、独立気泡が40%以上であり、平均気泡径が2.0mm以下である。独立気泡率は50%以上が好ましく、平均気泡径は1.5mm以下が好ましい。発泡部材70の燃焼カロリーは、4500〜6000Kcal/kgの範囲にある。
ペレットPとポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂とをあわせた総重量に対する熱可塑性合成樹脂の混合割合は、20重量%以上かつ35重量%以下の範囲にある。熱可塑性合成樹脂の混合割合が20重量%未満では、高温溶融物の内部における発泡が不十分となり、発泡部材70にわずかしか気泡77が形成されず、発泡部材70のクッション性が低下する。熱可塑性合成樹脂の混合割合が35重量%を超過すると、紙パウダーや澱粉よりも燃焼カロリーが高い熱可塑性合成樹脂の割合が増え、発泡部材70の燃焼カロリーが増加し、燃焼カロリーが6000kcal/kgを超過してしまう場合がある。
発泡部材70は、それが紙パウダーと澱粉とを含むから、それが熱可塑性合成樹脂のみから作られている場合と比較し、その燃焼カロリーが低く、その焼却処理時に焼却炉を傷めることはない。発泡部材70は、ペレットPを形成する紙パウダーや澱粉粉末の混合割合、熱可塑性合成樹脂の混合割合を変えることで、その燃焼カロリーを前記範囲で調節することができる。発泡部材70は、ベンゼン環を有さないポリオレフィン系熱可塑性合成樹脂を使用するとともに、ポリスチレン樹脂を含有しないから、その焼却時に二酸化炭素のみが発生し、煤煙の発生がなく、環境に悪影響を及ぼすことはない。
ペレット製造方法の各工程を示すブロック図。 リボンミキサーや攪拌ホッパー、造粒機、乾燥機の一例を示す図。 造粒機を正面から示す図。 スクリューコンベヤの斜視図。 ペレット製造方法によって作られたペレットの斜視図。 図5のペレットを用いて作られる発泡部材の製造方法の一例を示す工程概略図。 図6の製造方法によって作られた発泡部材の斜視図。
符号の説明
10 粉砕工程
11 混練工程
12 造粒工程
13 乾燥工程
14 リボンミキサー(第1混練機)
15 攪拌ホッパー(第2混練機)
17 混練槽(第1混練槽)
18 軸(第1軸)
19 攪拌リボン(第1ブレード)
26 混練槽(第2混練槽)
27 軸(第2軸)
28 攪拌翼(第2ブレード)
34 造粒機
36 スクリュー押出機
37 スクリューコンベヤ
42 先端部
43 多孔ダイス
47 ケーシング
48 スクリュー
54 乾燥機
56 進入口
57 排出口
58 ユニット
59 ベルトコンベヤ
60 加熱器(熱源)
P ペレット

Claims (6)

  1. 所定量の紙パウダーと澱粉と水とを混練して作られた水分含有混合物を造粒し、前記混合物を所定形状の複数のペレットに加工する造粒工程と、前記ペレットに含まれる水分を減らす乾燥工程とを有し、
    前記造粒工程では、気化熱で前記水分含有混合物の造粒時における摩擦熱を奪うアルコールを造粒機に注入し、前記混合物の温度を35〜45℃に保持し、
    前記乾燥工程では、前記ペレットの進入口および排出口を有するユニットと、前記ユニットの内部に配置されて前記ペレットを該ユニットの進入口から排出口へ搬送するベルトコンベヤと、前記ユニットの内部温度を上げる熱源とを備える乾燥機を用いて、前記進入口から前記排出口までのベルトコンベヤの走行距離1〜20mの範囲、前記ベルトコンベヤの走行速度0.02〜0.1m/sの範囲とし、前記ユニットの内部温度前記熱源によって45〜50℃の範囲に保持するペレット製造方法。
  2. 前記乾燥工程を経た後の前記ペレットが、前記紙パウダーと前記澱粉とが略均一に分散しつつ、該紙パウダーと該澱粉とが水素結合によって互いに結合し、その含水率が12.0〜20.0%の範囲、その崩壊圧力が100〜490Nの範囲にある請求項1記載のペレット製造方法。
  3. 前記造粒工程で注入される前記アルコールの混合割合が、前記水分含有混合物の総重量に対して2.0〜20.0重量%の範囲にある請求項1または請求項2記載のペレット製造方法。
  4. 前記乾燥工程を経た後の前記ペレットのアルコール含有率が0.5〜15.0%の範囲にある請求項1ないし請求項3いずれかに記載のペレット製造方法。
  5. 所定量の紙パウダーと澱粉と水とを混練して作られた水分含有混合物を造粒し、前記混合物を所定形状の複数のペレットに加工する造粒工程と、前記ペレットに含まれる水分を減らす乾燥工程とを有し、
    前記造粒工程では、先端部に多孔ダイスが取り付けられたスクリュー押出機と、前記スクリュー押出機につながるスクリューコンベヤとを用いて、前記水分含有混合物前記多孔ダイスから押し出ことでヌードル状の混合物に加工、前記ヌードル状の混合物前記スクリューコンベヤによって搬送る間に、該スクリューコンベヤのケーシングとスクリューとの間の間隙に進入させつつ前記スクリューによって切断て複数のペレットに加工し、
    前記乾燥工程では、前記ペレットの進入口および排出口を有するユニットと、前記ユニットの内部に配置されて前記ペレットを該ユニットの進入口から排出口へ搬送するベルトコンベヤと、前記ユニットの内部温度を上げる熱源とを備える乾燥機を用いて、前記進入口から前記排出口までのベルトコンベヤの走行距離1〜20mの範囲、前記ベルトコンベヤの走行速度0.02〜0.1m/sの範囲とし、前記ユニットの内部温度前記熱源によって45〜50℃の範囲に保持するペレット製造方法。
  6. 前記紙パウダーと前記澱粉との総重量に対する該紙パウダーの混合割合60〜80重量%の範囲、前記紙パウダーと前記澱粉との総重量に対する該澱粉の混合割合20〜40重量%の範囲とし、前記紙パウダーの平均粒径50〜200μmの範囲、前記澱粉の平均粒径5〜150μmの範囲とする請求項1ないし請求項いずれかに記載のペレット製造方法。
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