JP4663695B2 - 減容固化装置及び減容固化方法 - Google Patents

減容固化装置及び減容固化方法 Download PDF

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Description

本発明は、減容固化装置及び減容固化方法に関するものである。
従来から、魚介類や野菜の包装容器、商品梱包の緩衝材、建築物の断熱材等として広く利用されている発泡合成樹脂の廃棄物等をリサイクルする際、その発泡合成樹脂を貯蔵や運搬に便利なように減容し、固化成形する減容固化装置が知られている。
この減容固化装置は、例えば特許文献1〜3に示すように、発泡合成樹脂が投入される供給口を一端部に有し、発泡合成樹脂の排出口を他端部に有したケーシング内に上から下に噛み込むように回動する一対の螺旋羽根付き軸と、更に排出口に向けて圧密化するために下流側の狭くなったケーシング内で回動する下流側の一本の螺旋羽根付き軸とを備えている。
このような減容固化装置は、まず供給口から投入された発泡合成樹脂が上から下に噛み込む一対の軸に設けられた螺旋羽根によって粗破砕される。次に、粗破砕された発泡合成樹脂を混練した後、一本の軸に設けられた螺旋羽根によって圧縮され、ヒーターで加熱することにより溶解して固化成形されるものである。
また、特許文献4に示すように、粉砕装置によりチップ状に粉砕したプラスチック材料をホッパーに収容し、その後ミキシング機に搬送して210〜250℃の摩擦熱を発生させて溶解するものが知られている。
特許第2569300号公報 特開昭60−6205号公報 特開平6−286006号公報 特開平11−226956号公報
しかしながら上述の減容固化装置にあっては、一対の螺旋羽根付き軸は、その軸端側に破砕された発泡合成樹脂を送り出し、その軸端から前記一本の螺旋羽根付き軸に供給する関係で、通常は、片持ち状態で支持されている。したがって、発泡合成樹脂の搬送によって各螺旋羽根付き軸に負荷がかかった場合、軸がぶれてフレーム等に接触してしまい、騒音の発生、螺旋羽根の羽根、軸受、スクリューケースの損傷に繋がってしまうという問題がある。
また、市場には包装容器や建築物の断熱材に用いる発泡合成樹脂等、物性値の異なる様々な発泡合成樹脂が用いられており、これら物性値の異なる発泡合成樹脂を、工程を複雑化することなく同一の装置で対応し、減容固化したいという要請がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、騒音の発生を抑え、装置の耐久性の向上を図った上で、減容対象である様々な発泡合成樹脂等を効率良く減容固化することができる減容固化装置及び減容固化方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、減容対象発泡合成樹脂を供給する投入口と、前記減容対象発泡合成樹脂を破砕する回転刃と、軸部の両端部をフレームに回転自在に支持し、前記回転刃により破砕された前記減容対象発泡合成樹脂を排出端側に送り出す送りスクリューと、前記送りスクリューの排出側であって、前記送りスクリューの軸芯にオフセットした位置に交差して配置するとともに、軸部を少なくとも2箇所で回転自在に支持し、前記減容対象発泡合成樹脂を圧縮する圧縮スクリューと、前記圧縮スクリューの排出端に設け、溶解した前記減容対象発泡合成樹脂を排出する排出口とを備えたことを特徴とする。
このように構成することで、回転刃により破砕された減容対象発泡合成樹脂を圧縮スクリューに搬送する際、送りスクリューには大きな負荷がかかるが、送りスクリューの軸部を両端部で支持することにより、送りスクリューの軸部を安定して支持することができる。また、送りスクリューにより送られた減容対象発泡合成樹脂を圧縮して溶解する際、圧縮スクリューの軸部を少なくとも2箇所で支持することにより、圧縮スクリューの軸部も安定して支持することができる。
請求項2に記載した発明は、前記圧縮スクリューは、前記送りスクリューの排出端側であって、前記送りスクリューのスクリューエンドの先の軸部に近接して配置したことを特徴とする。
このように構成することで、送りスクリューに送られた破砕された減容対象発泡合成樹脂を連続的に圧縮スクリューに搬送することができる。
請求項3に記載した発明は、前記送りスクリューの周囲を囲むスクリューケースと、前記送りスクリューの軸部の排出端側に、前記スクリューケースの開口端を閉塞するとともに、前記送りスクリューの軸受を備えた軸受ホルダとを設け、前記軸受ホルダには、前記スクリューケース内に挿入され、前記送りスクリューの軸端に斜めに指向し、前記減容対象発泡合成樹脂を前記圧縮スクリューに案内する傾斜面を形成したことを特徴とする。
このように構成することで、送りスクリューの軸受のための部材を有効利用して送りスクリューにより搬送される減容対象発泡合成樹脂に指向性を持たせることができる。
また、減容対象発泡合成樹脂を圧縮スクリューに案内する案内板を別体として設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
請求項4に記載した発明は、減容対象発泡合成樹脂を供給する工程と、前記減容対象発泡合成樹脂を破砕する工程と、破砕された前記減容対象発泡合成樹脂を圧縮しながら排出端に送り出す工程と、前記減容対象発泡合成樹脂を溶解しながら排出する工程と、を有し、該減容対象発泡合成樹脂を溶解しながら排出する工程では、前記減容対象発泡合成樹脂同士を擦り合わせ、前記減容対象発泡合成樹脂のガラス転移温度を越えるとともに、前記減容対象発泡合成樹脂が炭化しない温度の摩擦熱を発生させ、前記減容対象発泡合成樹脂を溶解すること特徴とする。
このように構成することで、減容対象発泡合成樹脂のガラス転移温度を超える温度で溶解することで、ポリスチレンを十分に溶解することができるため、剛性と粘度を低下させ、流動性を向上させることができる。さらに、減容対象発泡合成樹脂が炭化しない温度で溶解することで、物性の劣化を防止することができる。
請求項1に記載した発明によれば、回転刃により破砕された減容対象発泡合成樹脂を圧縮スクリューに搬送する際、送りスクリューには大きな負荷がかかるが、送りスクリューの軸部を両端部で支持することにより、送りスクリューの軸部を安定して支持することができる。また、送りスクリューにより送られた減容対象発泡合成樹脂を圧縮して溶解する際、圧縮スクリューの軸部を少なくとも2箇所で支持することにより、圧縮スクリューの軸部も安定して支持することができる。したがって、送りスクリューおよび圧縮スクリュー部分における騒音を抑え、これら送りスクリューおよび圧縮スクリューの耐久性を向上させ、減容対象発泡合成樹脂を効率よく搬送することができる。
請求項2に記載した発明によれば、送りスクリューに送られた減容対象発泡合成樹脂を連続的に圧縮スクリューに搬送することができるため、減容対象発泡合成樹脂を効率よく搬送することができる。
請求項3に記載した発明によれば、送りスクリューの軸受のための部材を有効利用して送りスクリューにより搬送される減容対象発泡合成樹脂に指向性を持たせることができるため、送りスクリューに対してオフセットした状態で配置された圧縮スクリューに減容対象発泡合成樹脂を効率よく搬送することができる。
さらに、減容対象発泡合成樹脂を圧縮スクリューに案内する案内板を別体として設ける必要がなく、部品点数を削減することができるため、装置を簡素化することができる。
請求項4に記載した発明によれば減容対象発泡合成樹脂のガラス転移温度を超える温度で溶解することで、減容対象発泡合成樹脂を十分に溶解することができるため、減容対象発泡合成樹脂の剛性と粘度を低下させ、流動性を向上させることができる。さらに、減容対象発泡合成樹脂が炭化しない温度で溶解することで、物性の劣化を防止することができる。そのため、様々な減容対象発泡合成樹脂を効率良く減容固化して、良好な固化成形物を生成することができる。
次に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この減容固化装置は、フレーム1を備え、このフレーム1の下部には、減容固化装置をベースに支持固定する脚部3が設けられている。フレーム1には、これを外側から覆うケーシング10が設けられている。このケーシング10は、上部開口部17を有する箱型形状で、内部には、下部に向かうにつれ漸小したホッパー11が形成されている。ケーシング10の上部には、上部開口部17を開閉自在に閉塞する扉12が設けられている。この扉12は両側に円弧状の仕切板15を備えている。
扉12の上部には、開閉ノブ13が設けられている。この開閉ノブ13を引き下げ、扉12が開状態にある時(図1中二点鎖線)、ケーシング10の上部開口部17が開口して、減容対象発泡合成樹脂(以下、発泡合成樹脂という)等を投入する投入口14が開口形成されることとなる。本実施形態の減容固化装置に用いることが可能な発泡合成樹脂としては、魚介類や野菜の包装容器の他に、商品梱包の緩衝材、建築物の断熱材等に用いられる発泡合成樹脂、具体的にはポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)等の発泡合成樹脂全般が対象となる。
ケーシング10内には上部に、5本の回転刃16が回転自在に設けられている。これら回転刃16は、上部2列に回転刃16が2段配置され、下部には回転刃16が1列配置されている。各回転刃16は、両端がフレーム1に支持されたシャフト18に破砕刃20が互い違いに取り付けられたものであり、投入口14から投入された発泡合成樹脂を噛み込むように破砕するものである。各回転刃16は、図示しない伝達手段により噛合しており、図示しないモータの駆動により同期回転するようになっている。
図2に示すように、ケーシング10の下部には、円筒形状に形成されたスクリューケース(送りスクリューケース)22が配置されている。スクリューケース22の上部には、長手方向に沿ってケーシング10と連通する開口部26が形成されている。この開口部26は、破砕された発泡合成樹脂を受け入れるものである。なお、図2において、送りスクリュー24を分かり易くするため、前述した回転刃16は、1本のみを示す。
スクリューケース22には、スクリューケース22の長手方向に沿ってシャッター23がスライド自在に設けられている。このシャッター23は、図示しない調整機構に接続され、この調整機構により開口部26の開口量を円周方向に調整するものである(図2中二点鎖線参照)。これにより、発泡合成樹脂の種類によって開口部26への発泡合成樹脂の投入量を変更できるようになっている。スクリューケース22の一端側は、フレーム1から突出されており、そのスクリューケース22の先端は、周縁にフランジ30を有する開口部32が形成されている。なお、シャッター23を設けず、開口部26のみを形成する構成としてもよい。
スクリューケース22内には、送りスクリュー24が回転自在に設けられている。この送りスクリュー24は、回転刃16により破砕された発泡合成樹脂を搬出端側へ搬送するものである。送りスクリュー24は、シャフト25にスクリュー羽根27がらせん状に形成されており、スクリューケース22内にクリアランスをもって挿入されている。送りスクリュー24のシャフト25の一端(搬入端側)は、フレーム1に挿通され、フレーム1に設けられた軸受部材21に支持されている。送りスクリュー24のシャフト25は、フレーム1の外側に設けられた図示しない伝達手段により図示しないモータに噛合されている。
送りスクリュー24のシャフト25の他端側(搬出端側)は、スクリューエンド40の先で軸受ホルダ42に支持されている。この軸受ホルダ42は、円柱形状であって、その中心軸には軸受ホルダ42を貫通する貫通孔44が形成されている。軸受ホルダ42の一側は、貫通孔44に交差する方向に傾斜面46が形成されている。この傾斜面46は、送りスクリュー24によって搬送される発泡合成樹脂を後述する圧縮スクリュー60のスクリューケース58内へ案内するものである。軸受ホルダ42の他側には、軸受部48が設けられ、軸受ホルダ42の他側の周縁にはフランジ50が形成されている。
軸受ホルダ42は、スクリューケース22の一端の開口部32に挿入されている。この時、軸受ホルダ42の一側に形成された傾斜面46は、後述するスクリューケース58に向けて送りスクリュー24のスクリューエンド40の先のシャフト25に斜めに指向するように挿入されている。送りスクリュー24のシャフト25の他端は、軸受ホルダ42の貫通孔44に挿通され、軸受ホルダ42の他側に設けられた軸受部48に支持されている。したがって、送りスクリュー24のシャフト25は両端で支持されており、前述した伝達手段に噛合されたモータの駆動により、送りスクリュー24をぶれることなく安定した状態で回転自在に支持することとなる。
スクリューケース22のフランジ30と軸受ホルダ42のフランジ50は、複数の六角穴付ボルト52により固定されている。送りスクリュー24のシャフト25の他端には、ベアリング受け54が設けられている。このベアリング受け54は、送りスクリュー24のシャフト25の他端からボルト56によって取り付けられている。
図3に示すように、送りスクリュー24の排出端側であって、スクリューケース22のフレーム1から突出した部位には、スクリューケース22に直交する方向にスクリューケース(圧縮スクリューケース)58が設けられている。このスクリューケース58は、送りスクリュー24のスクリューケース22より容積が小さいもので、溶接等により前述した送りスクリュー24のスクリューケース22の中心軸に直交する方向に溶着されている。スクリューケース58の上端部周縁には、フランジ62が形成されている。このフランジ62には、軸受部材68の下部のフランジ66が固定されている。軸受部材68には、上端部周縁にフランジ66よりも大径のフランジ67が形成されている。
ところで、スクリューケース58の上方には、モータMが設けられている。このモータMは、例えば、5馬力程度のモータMであり、フレーム1の外側に設けられた延出フレーム70により下方に向けて支持されている。延出フレーム70の下面からは、複数の支柱71が設けられ、軸受部材68の上端部のフランジ67に支持されている。延出フレーム70には、下方に向けてモータMのシャフト72が貫通されている。モータMのシャフト72の先端には、継手73を介して圧縮スクリュー60のシャフト61の上端が直結されている(図4参照)。
図4に具体的に示すように、スクリューケース58内には、圧縮スクリュー60が挿入されている。この圧縮スクリュー60は、送りスクリュー24により搬送される発泡合成樹脂を圧縮しながら搬送するためのものである。圧縮スクリュー60には、シャフト61にスクリュー羽根63がらせん状に形成され、スクリューケース58の上端に設けられた軸受部材68に支持されている。したがって、圧縮スクリュー60は直結されたモータMと軸受部材68の2箇所で回転自在に支持されることとなる。
圧縮スクリュー60は、送りスクリュー24のスクリューエンド40の先のシャフト25に近接して配置されている。つまり、送りスクリュー24と圧縮スクリュー60は、略水平方向に配置された送りスクリュー24の軸芯にオフセットした状態で、軸芯に直交する方向であって、本実施形態では上下方向に配置されている。
図5に示すように、スクリューケース58の下部周縁には、フランジ64が形成されている。このフランジ64には、スクリューケース58の直径方向に対向して2本ずつ延出した延出部65が設けられている。延出部65間には、フック部材82が設けられており、このフック部材82には、ピン83が挿通され、このピン83を中心に回動自在に構成されている。フック部材82の下部には、ネジ孔84が構成されており、このネジ孔84には、係止部材85を挟んでボルト86が螺合されている。そして、これらフック部材82とボルト86と係止部材85により、クランプ機構87が構成されている。なお、図5においては、圧縮スクリュー60の記載は省略する。
スクリューケース58の下部には、カップ74が着脱自在に取り付けられる。このカップ74は、圧縮スクリュー60のシャフト61の先端を覆うように装着されており、その上部周縁には、フランジ75が形成されている。このフランジ75にはカップ74の直径方向に対向して2本ずつ延出した延出部77が設けられている。この延出部77間のスリットにスクリューケース58の延出部65に設けられたクランプ機構87の係止部材85が係止されるとともに、ボルト86が螺合されることで、カップ74が着脱自在に固定されるものである。カップ74の下面には、発泡合成樹脂を排出する排出口76が形成されている。
ここで、上述した圧縮スクリュー60により圧縮された発泡合成樹脂は、その先端に位置する排出口76で絞られることにより、発泡合成樹脂同士が擦れ合って摩擦熱が生じるため溶解されて排出される。本実施形態の減容固化装置では、主として圧縮スクリュー60の先端からカップ74の排出口76までの距離を設定することで摩擦力を調整することができる。また、排出口76は、投入される発泡合成樹脂の種類によって、その径の大きさが決定されるもので、径の大きさが小さい程、抵抗力が増加して、圧縮スクリュー60において溶融が促進されるものである。すなわち、本実施形態では軸長や排出口76の径が異なるカップ74を発泡合成樹脂に応じて交換することで、スクリューケース22の開口部26の調整とともに、モータMの回転速度の調整も含めて種々の材料に対応することができる。
図1に戻り、カップ74の下方には、トレー78が設けられている。このトレー78は、排出口76より排出された発泡合成樹脂を受け入れるものであり、フレーム1に沿って設けられている。トレー78の側部には送り出し手段80が設けられている。この送り出し手段80は排出された発泡合成樹脂をトレー78の排出端側に送り出すものであり、図示しない駆動機構により2枚の金属板が屈曲伸長を繰り返すことで固化成形した発泡合成樹脂を回収するものである。
次に、作用を説明する。
本実施形態の減容固化装置に投入される発泡合成樹脂として、魚介類や野菜の包装容器に用いるポリスチレンを用いた場合における減容固化方法について説明する。
まず、減容固化装置のケーシング10の上部に設けられた扉12を開き、発泡合成樹脂の投入口14を開口する。そして、投入口14から発泡合成樹脂を投入する。投入口14から投入された発泡合成樹脂は回転刃16により破砕される。具体的には、ケーシング内の上部に2段設けられた回転刃16により粗破砕され、下部に1段設けられた回転刃16により微破砕される。
微破砕された発泡合成樹脂は、スクリューケース22の長手方向に沿って設けられた開口部26からスクリューケース22内に搬送される。スクリューケース22内に搬送された発泡合成樹脂は、送りスクリュー24の回転によって、送りスクリュー24の排出端側まで搬送される。
送りスクリュー24の排出端側まで搬送された発泡合成樹脂は、スクリューエンド40の先のシャフト25において、軸受ホルダ42の傾斜面46に案内され、送りスクリュー24のシャフト25とオフセットした位置に設けられた圧縮スクリュー60のスクリューケース58内に導かれる。
ここで、発泡合成樹脂は、送りスクリュー24のスクリューケース22より容積の小さい圧縮スクリュー60のスクリューケース58内で圧縮されながら下方に搬送され、最適な大きさのカップ74の排出口76で絞られることで発泡合成樹脂はさらに圧縮される。これにより、スクリューケース58内は高圧密下となり、発泡合成樹脂同士が擦れ合い、摩擦熱が発生する。この摩擦熱により、発泡合成樹脂は溶解されて排出口76から排出される。
なお、カップ74における排出口76の径の大きさや、軸長の異なるカップ74に交換して圧縮スクリュー60の先端からカップ74の排出口76までの距離を変えることにより、スクリューケース58内において発生する摩擦熱の量を調節することができる。すなわち、スクリューケース58内の温度(以下、「溶解温度」という。)を調節することができる。本発明においては、溶解温度を、発泡合成樹脂のガラス転移温度を超える温度で溶解し、かつその物性を劣化させない温度に調節することが、回収後の発泡合成樹脂の利用価値を高める観点から好ましい。
ここで、本実施形態の減容固化装置を用いた場合の最適な溶解温度を測定した。測定条件は以下の通りである。
測定装置:CUSTUM社製、赤外線センサー(CT−3000)
測定方法:排出口から排出後、3秒以内に軟らかい状態の固化成形物を割り、上記測定装置にて検出。
測定物:ポリスチレン製発泡スチロール
以上の条件により測定を行った結果、表1に示す結果が得られた。なお、表1の測定結果において、「○」は、ポリスチレンが充分に溶解され、減容固化されたことを意味する。「◎」は、ポリスチレンが充分に溶解され、減容固化されるとともに、溶解及び減容固化のプロセスが、上記「○」の場合よりも高速に進行し、作業効率が向上したことを意味する。「×」は、ポリスチレンの溶解が不充分であったこと、ポリスチレンの炭化が発生したこと、またはその他固化成形物の物性が著しく劣化したことを意味する。
Figure 0004663695
表1に示すように、摩擦力により発生する溶解温度が110℃より低い場合、発泡スチロールが充分に溶解しないため、減容するにあたり、固化しないまま発泡スチロールの粒子として飛散し機械周辺に付着してしまう。また、減容品も余分な空気を多く含んでおり比重が軽くなり固化成形物として不適正である。そして、溶解温度が110℃以上、すなわちポリスチレンルのガラス転移温度を超えると、ポリスチレンは充分に溶解され、剛性と粘度が低下するため、流動性が向上する。したがって、排気口から排出されるポリスチレンは効率良く減容固化されることとなる。
また、溶解温度が130℃以上であると、ポリスチレンの剛性と粘度が著しく低下し、流動性が向上する。したがって、溶解及び減容固化のプロセスが高速に進行し、作業効率が向上することとなる。さらに、溶解温度の下限温度を130℃以上に設定すると、魚介類や野菜等から発泡スチロールに付着した菌を滅菌する効果も期待できる。
一方、溶解温度が200℃を超えると、ポリスチレンの炭化が始まり、固化成形物が劣化してしまう。また、それに伴い、悪臭が発生してしまう。
これにより、ポリスチレンの溶解温度は、ガラス転移温度である110℃から炭化温度である200℃を超えない温度に設定することが好ましい。さらに、作業効率の向上または滅菌効果を期待すると、130℃以上200℃以下に設定することが好ましい。また、発泡スチロールの密度による摩擦温度の違いや、投入量のバラツキによる温度の上昇を加味すると、炭化温度200℃を超えないように、上限温度を190℃程度に設定することが好ましい。以上のように溶解温度を設定することで、高品質な固化成形物を効率的に生成することができる。なお、このような溶解温度は、発泡合成樹脂の種類により適宜設定可能である。
ここで、表2は原材料のポリスチレン(原材料PS)と、本実施形態の減容固化装置を用い、溶解温度を170℃に設定して減容固化を行った後のポリスチレン(減容PS)の物性値を示したものである。なお、表2においてMFR(メルトフローレート)の測定温度は測定の都合上200℃で行い、また分子量は重量平均分子量とする。なお、原材料PSの物性値は、通常の値、すなわちMFRが2〜3g/10min、分子量が28〜30万であるとする。
Figure 0004663695
表2に示すように、本実施形態の減容固化装置を用いて減容固化した減容PSは、炭化の非常に少ない高品質なものであり、ポリスチレンを発泡スチロールの原材料として使用可能なMFRの上限値(例えば、20g/10min程度)以下に収まっている。また、分子量も24.4万と発泡スチロールの原材料として使用可能な下限値(例えば、20万程度)以上に収まっていることがわかる。つまり、本実施形態の減容固化装置を用いて減容固化された減容PSは、発泡スチロールのリサイクルを考慮した場合において、リサイクル原料として好ましい物性を有していることがわかる。
圧縮スクリュー60のスクリューケース58内で溶解された発泡合成樹脂は、圧縮スクリュー60の回転により、連続的に搬送される発泡合成樹脂に押し出され、スクリューケース58の下部に装着されたカップ74の排出口76から排出される。排出された発泡合成樹脂は、外気に触れることで固化される。
固化した発泡合成樹脂は、排出口76の下方に設けられたトレー78に受け入れられる。トレー78に受け入れられた発泡合成樹脂は、トレー78の側方に設けられた送り出し手段80により一定時間毎に排出端側に送り出される。そのため、減容固化された発泡合成樹脂が排出口76の下方で滞留せずに、保形性のよい固化成形物を連続的に得ることができる。
ここで、例えば、魚介類や野菜の包装容器の代わりに、建築物の断熱材を用いた場合について説明する。建築物の断熱材は、高密度で硬質の材料であるため、魚介類や野菜の包装容器に比べ、溶解するために長い時間を要する。したがって、破砕された発泡合成樹脂を、魚介類や野菜の包装容器と同じ速度で圧縮スクリュー60のスクリューケース58内に送り込んでしまうと、スクリューケース58内が詰まってしまい、圧縮スクリュー60に大きな負荷がかかるため、故障の原因となってしまう。
そこで、送りスクリュー24のスクリューケース22の長手方向に沿って形成された開口部26への投入量を調整する必要がある。具体的には、スクリューケース22に設けられた調整機構によって、シャッター23を調整し、開口部26の開口量を小さくする。すると、送りスクリュー24のスクリューケース22への投入量が少なくなるため、スクリューケース58内の詰まりを防止し、連続的に発泡合成樹脂を溶解することができる。また、クランプ機構87のボルト86を緩めてフック82を回動することで、カップ74を容易に取り外すことができるため、径の異なる排出口76を有するカップ74に交換したり、発泡合成樹脂の排出量を調整することができる。また、発泡合成樹脂がスクリューケース58内で詰まった際にも即座に対応することができる。
したがって、上述の実施の形態によれば、圧縮スクリュー60が、送りスクリュー24の軸芯にオフセットした状態であって、直交する方向に配置されているため、送りスクリュー24のシャフト25の両端がフレーム1の軸受部材21と軸受ホルダ42の軸受部48に支持されている。そのため、破砕された発泡合成樹脂を圧縮スクリュー60に搬送する際、送りスクリュー24には大きな負荷がかかるが、送りスクリュー24のシャフト25を安定して支持することができる。また、送りスクリュー24により搬送された発泡合成樹脂を圧縮して溶解する際、圧縮スクリュー60のシャフト61がモータMと軸受部材68の2箇所で支持されることにより、圧縮スクリュー60のシャフト61も安定して支持することができる。したがって、送りスクリュー24および圧縮スクリュー60部分での騒音を抑え、これら送りスクリュー24、圧縮スクリュー60の耐久性を向上させ、破砕された発泡合成樹脂を効率よく排出口76から排出することができる。
また、送りスクリュー24と圧縮スクリュー60は、略水平方向に配置された送りスクリュー24の軸芯にオフセットした状態で、軸芯に直交する方向に設けられているため、送りスクリューの軸端に圧縮スクリューが設けられている場合と比べ、発泡合成樹脂の搬送距離を短縮することができるとともに、装置をコンパクトにすることができる。さらに、圧縮スクリュー60にモータMが圧縮スクリュー60の上方から直結されているため、モータMを伝達手段を介して配置する場合と比べ、モータの配置スペースを縮小して、装置をコンパクトにすることができる。したがって、装置の設置スペースを問わず様々な場所に設置することができるとともに、装置の移動やメンテナンス等、装置の取り扱いを容易に行うことができる。
また、送りスクリュー24のシャフト25の排出端側には、送りスクリュー24のスクリューケース22端部の開口部32を閉塞するとともに、送りスクリュー24の軸受部48を備えた軸受ホルダ42が設けられ、送りスクリュー24の軸端に斜めに指向し、発泡合成樹脂を圧縮スクリュー60に案内する傾斜面46が形成されている。そのため、送りスクリュー24の軸受のための部材を有効利用して、送りスクリュー24に対してオフセットした状態で配置された圧縮スクリュー60のスクリューケース58内に発泡合成樹脂を効率よく送り渡すことができる。さらに、発泡合成樹脂を圧縮スクリュー60のスクリューケース58内に案内する案内板を別体として設ける必要がなく、部品点数を削減することができるため、装置を簡素化することができる。
さらに、送りスクリュー24のスクリューケース22には、発泡合成樹脂を受け入れる開口部26が形成され、この開口部26の開口量を調整自在にするシャッター23が設けられたため、物性値の異なる発泡合成樹脂を投入する場合に、シャッター23を調整して送りスクリュー24のスクリューケース22への投入量を調整することができる。そのため、スクリューケース58内の詰まりを防止し、物性値の異なる様々な発泡合成樹脂を、工程を複雑化することなく同一の装置で減容固化することができる。
また、圧縮スクリュー60のスクリューケース58の下部には、カップ74がクランプ機構87により着脱自在に設けられているため、カップ74の交換を容易に行うことができるとともに、メンテナンス性を向上させることができる。
尚、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、圧縮スクリューは2箇所以上で支持してもよい。また、送りスクリューおよび圧縮スクリューを複数段用いてもよい。
また、本実施形態においては減容固化装置に投入される発泡合成樹脂としてポリスチレンを用いた場合の減容固化方法について説明したが、投入される発泡合成樹脂はポリスチレンに限らずポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の発泡合成樹脂全般に適用可能である。この場合、発泡合成樹脂の種類により溶解温度を適宜設定可能である。具体的には、発泡合成樹脂の溶解温度を、各発泡合成樹脂のガラス転移温度を越えるとともに、発泡合成樹脂が炭化しない温度の摩擦熱に設定することで、様々な発泡合成樹脂の発泡合成樹脂に対しても効率良く減容固化して、良好な固化成形物を生成することができる。
また、本実施形態において、圧縮スクリューを送りスクリューの軸芯にオフセットした位置に上下方向に直交するように配置したが、例えば、圧縮スクリューを減容固化装置の設置面と水平方向に配置するとともに、送りスクリューに対して下側へオフセットして直交させることも可能である。この場合、送りスクリューから圧縮スクリューへ案内させる傾斜面が発泡合成樹脂を下方に向けて案内するとともに、連続的に搬送される発泡合成樹脂に押し出され発泡合成樹脂は自然に下方へ案内されるため、発泡合成樹脂の指向性を向上させることもできる。
また、圧縮スクリューと送りスクリューとをオフセットした位置に斜め方向に交差させて配置する構成等、適宜設計変更が可能である。
本発明の実施形態における減容固化装置の斜視図である。 本発明の実施形態における減容固化装置の平面断面図である。 本発明の実施形態における要部斜視図である。 図3のB−B線に沿う断面図である。 図4のC部拡大図である。
符号の説明
1…フレーム 16…回転刃 23…シャッター 24…送りスクリュー 25…シャフト(軸部) 22…スクリューケース 26…開口部 40…スクリューエンド 42…軸受ホルダ 46…傾斜面 48…軸受部(軸受) 60…圧縮スクリュー 76…排出口

Claims (4)

  1. 減容対象発泡合成樹脂を供給する投入口と、
    前記減容対象発泡合成樹脂を破砕する回転刃と、
    軸部の両端部をフレームに回転自在に支持し、前記回転刃により破砕された前記減容対象発泡合成樹脂を排出端側に送り出す送りスクリューと、
    前記送りスクリューの排出側であって、前記送りスクリューの軸芯にオフセットした位置に交差して配置するとともに、軸部を少なくとも2箇所で回転自在に支持し、前記減容対象発泡合成樹脂を圧縮する圧縮スクリューと、
    前記圧縮スクリューの供給端側の周囲を囲む筒状の圧縮スクリューケースと、
    前記圧縮スクリューの排出端側に設け、溶解した前記減容対象発泡合成樹脂を排出する排出口とを備え、
    前記排出口は、前記圧縮スクリューケースに対して着脱自在に組み付けられるカップに形成されていることを特徴とする減容固化装置。
  2. 前記圧縮スクリューは、前記送りスクリューの排出端側であって、前記送りスクリューのスクリューエンドの先の軸部に近接して配置したことを特徴とする請求項1記載の減容固化装置。
  3. 前記送りスクリューの周囲を囲む送りスクリューケースと、
    前記送りスクリューの軸部の排出端側に、前記送りスクリューケースの開口端を閉塞するとともに、前記送りスクリューの軸受を備えた軸受ホルダとを設け、
    前記軸受ホルダには、前記送りスクリューケース内に挿入され、前記送りスクリューの軸端に斜めに指向し、前記減容対象発泡合成樹脂を前記圧縮スクリューに案内する傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の減容固化装置。
  4. 減容対象発泡合成樹脂を供給する工程と、
    前記減容対象発泡合成樹脂を破砕する工程と、
    破砕された前記減容対象発泡合成樹脂を圧縮しながら排出端に送り出す工程と、
    前記減容対象発泡合成樹脂を溶解しながら排出する工程と、を有し、
    前記減溶対象発泡合成樹脂は、発泡スチロールであり、
    該減容対象発泡合成樹脂を溶解しながら排出する工程では、前記減容対象発泡合成樹脂同士を擦り合わせ、前記減容対象発泡合成樹脂のガラス転移温度を越えるとともに、200℃以下の摩擦熱を発生させ、前記減容対象発泡合成樹脂を溶解すること特徴とする減容固化方法。
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