JP4805799B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、オリゴマー析出量が極力少なく、異物検査工程において、フィルム中の粒子に起因する輝点発生を抑制し、液晶表示用途等において、重要な特性である光学特性に優れ、かつフィルム検査における高精度な欠点検出が可能であり、特に偏光板に使用する粘着剤層保護用として、好適な離型フィルムに関するものである。
離型フィルムを構成する、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種の用途において使用されている。しかし、その用途が多様化するにつれて、フィルムの加工条件や使用条件が多様化し、偏光板の粘着剤層保護用離型フィルム基材として使用する場合、異物検査の際、離型フィルムを構成するポリエステルフィルム中の粒子成分が輝点となり、検査精度が低下する等の不具合を生じる場合がある。
近年、携帯電話やパーソナルコンピューターの急速な普及に伴い、従来型のディスプレイであるCRTに比べ、薄型軽量化、低消費電力、高画質化が可能である液晶ディスプレイ(LCD)の需要が著しく伸びつつあり、LCDの大画面化についてもその技術の成長は著しい。LCDの大画面化の一例として、最近では例えば30インチ以上の大型TV用途にLCDが使用されている。大画面化されたLCDにおいては、LCD内に組み込まれたバックライトの輝度を高めることや、輝度を向上させるフィルムを液晶ユニット内に組み込むこと等により、大画面で明るいLCDとする場合が多い。
ポリエステルフィルムを基材とした離型フィルムが、例えば、液晶偏光板の粘着剤層保護用離型フィルムとして用いられた場合、その製造工程は粘着剤層を介して離型フィルムと偏光基材が貼り合わされてロール状に巻き取られる工程等からなり、粘着剤塗布後の乾燥工程において、オリゴマーが析出してしまう場合がある。離型層表面に析出したオリゴマーは、貼り合わせている相手方粘着剤層へ移行し、オリゴマーの付着した粘着剤層付きの偏光基材をガラス基板と貼り合わせてLCDを製造した場合、得られるLCDの輝度が低下する等の不具合を生じる場合がある。また、離型層が設けられていないフィルム面からのオリゴマー析出も問題となる状況にあり、粘着剤塗布工程において、熱処理後、離型層が設けられていないフィルム面と接触する搬送ロールにオリゴマーが付着堆積する等の不具合を生じる場合がある。近年、LCDの視認性向上を目的として表示画面の輝度をより高くする傾向にあり、上記不具合が深刻な問題となっている。
また、高輝度タイプのLCDにおいては、ディスプレイ中に存在する小さな輝点が問題となる場合が多く、ディスプレイ中に組み込まれる偏光板、位相差板または位相差偏光板等の構成部材においては、従来、低輝度タイプのLCDでは全く問題にならなかった微少サイズの異物が問題となる状況にある。このため、製造工程における異物混入防止策を講じる一方で、万一、異物が混入した場合であっても、欠陥として確実に異物を検出可能な高精度な異物検査に対応可能な離型フィルムが必要とされている。
従来、ポリエステルフィルム中の粒子はフィルムの滑り性、巻き特性を確保するために通常使用されるものであり、適度な粒径と配合量を満足しなければ、所望の滑り性を確保できなかったり、巻き特性が悪化したりして、その結果、生産性の悪化を招いてしまうものである。しかしながら、通常使用される範囲の粒径、配合量とした場合、先に述べたとおり、偏光板用離型フィルムとして使用された際、異物検査工程で粒子が輝点となり、検査に支障を来すことが問題となっている。
これらに関し、2枚の偏光板の間にポリエステルフィルムを挟み込んだ際、リタデーション値がある範囲内である場合に検査性が向上するといったもの(特許文献1参照)が開示されているが、近年、要求品質レベルのさらなる向上に伴い、欠陥を確実に見出すための検査を実施する場合には、現状、必ずしも満足出来る状況には至っていなかった。
特開2000−338327号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、オリゴマー析出量が極力少なく、異物検査工程において、フィルム中の粒子に起因する輝点発生を抑制し、特に偏光板のクロスニコル法による異物検査において、高精度な検査方法に対応可能な離型フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有する離型フィルムによれば、優れたフィルム特性を損なうことなく、液晶偏光板の粘着剤層保護用として好適であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの片面に、塗布層、離型層が順次設けられた離型フィルムであり、180℃で10分間熱処理後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量が2.2mg/m以下であり、離型層が設けられていないフィルム表面にメチルエチルケトンを塗布、乾燥し、180℃で10分間熱処理した後の当該フィルム表面のオリゴマー量が5.0mg/m以下であり、前記ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径が0.2〜1.5μmであり、粒径分布値(d25/d75)が1.0〜2.0の範囲であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言うポリエステルフィルムとは、押出口金から溶融押出される、いわゆる押出法により押出した溶融ポリエステルシートを冷却した後、必要に応じ、延伸、熱処理を施したフィルムである。
本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。また、用いるポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であればよい。かかる共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸およびオキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等から選ばれる一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
本発明で得られるポリエステルには、本発明の要旨を損なわない範囲で、耐候剤、耐光剤、帯電防止剤、潤滑剤、遮光剤、抗酸化剤、蛍光増白剤、マット化剤、熱安定剤、および染料、顔料などの着色剤などを配合してもよい。
ポリエステルフィルム中に配合する粒子としては、酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタンおよび特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体等を挙げることができる。これらの粒子は、単独あるいは2成分以上を同時に使用してもよい。これら粒子を添加するフィルム層の含有量は、通常1重量%以下、好ましくは0.01〜1重量%、さらに好ましくは0.02〜0.6重量%の範囲である。粒子の含有量が少ない場合には、フィルム表面が平坦化し、フィルム製造工程において、表面のキズが発生しやすかったり、巻き特性が劣ったりする傾向がある。また、粒子の含有量が1重量%を超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなりすぎて透明性が損なわれることがある。
ポリエステルフィルム中に含有される粒子の平均粒径は、0.2〜1.5μmの範囲である。粒径が0.2μm未満の場合には、フィルム表面が平坦化し、フィルム製造工程における巻き特性が劣る。粒径が1.5μmを超える場合には、偏光板の粘着剤層保護用離型フィルムとして用いた場合、フィルム中の粒子が輝点となり異物検査に支障を来すようになる。
また、ポリエステルフィルム中に含有される粒子の粒度分布はシャープであることが好ましい。具体的には、粒度分布のシャープさを表す指標である粒度分布値が1.0〜2.0であり、さらには1.0〜1.8のものが好ましい。なお、ここで粒度分布値とは、粒度分布値d25/d75(d25、d75は粒子群の積算体積を大粒子側から計算し、それぞれ総体積の25%、75%に相当する粒径(μm)を示す)により定義される値である。粒度分布値が2.0を超える場合、粗大粒子が輝点となり、同様に異物検査に支障を来す恐れがある。
一方、ポリエステルフィルムの透明性を向上させるため、2層以上の積層ポリエステルフィルムとした場合、表層のみに粒子を配合する方法も好ましく採用される。この場合の表層とは、少なくとも表裏どちらか1層であり、もちろん表裏両層に粒子を配合することもできる。
本発明において、ポリエステルに粒子を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明のポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであってもよいが、溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合して得られた原料を用いれば、原料中に含まれるオリゴマー量が低減できるので好ましく使用される。得られるポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることが好ましい。
ポリエステル原料中に含有するオリゴマー量は0.7重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下である。ポリエステル原料中のオリゴマー量が少ない場合、本発明のポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー量の低減、また、フィルム表面へのオリゴマー析出防止効果が特に高度に発揮される。
本発明においては、通常のオリゴマー含有量のポリエステルからなる層の少なくとも片側の表面に、かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステルを共押出積層した構造を有するフィルムであってもよく、かかる構造を有する場合、本発明で得られるオリゴマー析出の抑制効果を高度に発揮できる。
本発明においては、離型フィルムにおける離型層が設けられていないフィルム面にメチルエチルケトンを塗布、乾燥し、熱処理後(180℃で10分間)、フィルム表面のオリゴマー量(OL2)が5.0mg/m以下であることが必要であり、好ましくは3.0mg/m以下、さらに好ましくは1.0mg/m以下である。当該オリゴマー量(OL2)が5.0mg/mを超える場合、離型フィルムとして用いた場合、異物検査時に、オリゴマー析出による輝点が異物として検知されたり、粘着剤層への転着を起こしたり、また、塗布工程内でフィルムと接触する搬送ロールにオリゴマーが付着堆積する等の不具合を生じるようになる。
かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステルを含む層の厚みは、通常1〜15μmであり、好ましくは2〜10μmである。層厚みが1μm以下である場合、隣接する層からのオリゴマーが、オリゴマー含有量の少ない層を通過してフィルム表面に析出して、輝点が異物として検知されたり、粘着剤層への転着を起こしたりするため、問題となる場合がある。また、層厚みが15μm以上である場合、オリゴマー含有量の少ないポリエステルや、粒子を含むポリエステルの使用量の割合が増え、コスト高となる。また、粒子を含むポリエステルの使用量が増えるため、フィルムヘーズが高くなり、光学用フィルムとして使用した場合、不具合を生じる場合がある。
上記の要件を満たすポリエステルフィルムは、例えば、特開2006−62273号公報に示されるような、手法を用いたものであってもよい。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは、フィルム面内における配向角の変動幅が3度/500mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2度/500mm以下である。配向角の変動幅が3度/500mmを超える場合には、偏光板を検査する際に偏光板の位置により透過光強度が変動し、偏光板の安定した検査の障害となる場合がある。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは、主配向軸に対してフィルム面内方向における直角方向の屈折率(nβ)が1.640以下であることが好ましく、1.640を超える場合には、フィルムの配向角の変動が大きくなる傾向にあり、偏光板の安定した検査の障害となるばかりか、粒子のボイド形成が顕著になり、偏光板検査の際に輝点となって見えやすく、検査精度を低下させる場合がある。
本発明のフィルムの総厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲で有れば特に限定されるものではないが、通常4〜100μm、好ましくは9〜50μmの範囲である。
次に本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、本発明で使用するポリエステルの製造方法の好ましい例について説明する。ここではポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いた例を示すが、使用するポリエステルにより製造条件は異なる。常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとをエステル交換反応を行い、その生成物を重合槽に移送し、減圧しながら温度を上昇させ、最終的に真空下で280℃に加熱して重合反応を進め、ポリエステルを得る。
本発明で使用するポリエステルの極限粘度は、通常0.40〜0.90、好ましくは0.45から0.80、さらに好ましくは0.50〜0.70の範囲である。極限粘度が0.40未満では、フィルムの機械的強度が弱くなる傾向があり、極限粘度が0.90を超える場合は、溶融粘度が高くなり、押出機に負荷がかかったり、製造コストがかかったりする等の問題が生じる場合がある。
次に例えば上記のようにして得、公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。
延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。さらに、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは、本発明の主旨を損なわない範囲において、延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆるインラインコーティングを施すこともできる。それは以下に限定するものではないが、例えば、1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、帯電防止性、滑り性、接着性等の改良、2次加工性改良、耐候性および表面硬度の向上等の目的で、水溶液、水系エマルジョン、水系スラリー等によるコーティング処理を施すことができる。また、フィルム製造後にオフラインコートで各種のコートを行ってもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としてはオフラインコーティングの場合は水系および/または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は水系または水分散系が好ましい。
次に本発明における離型フィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては上述の塗布延伸法(インラインコーティング)を用いてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、何れの手法を採用してもよい。
本発明は、金属元素を有する有機化合物を塗布層中に含有することがオリゴマー封止性の観点より好ましい。これら金属有機化合物は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。
アルミニウム元素を有する有機化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシド−モノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−イソ−プロポキシド−モノメチルアセトアセテート等が例示される。
チタン元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、テトラノルマルブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート等のチタンオルソエステル類;チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、チタンエチルアセトアセテート等のチタンキレート類等が挙げられる。
ジルコニウム元素を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート等が挙げられる。
これらの中でも、特にオリゴマー析出防止性能が良好となる点でキレート構造を有するアルミニウム元素を有する有機化合物、チタン元素を有する有機化合物、ジルコニウム元素を有する有機化合物が好ましい。かかる化合物は、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助 編者(株)大成社 平成2年版)にも具体的に記載されている。
本発明における離型フィルムを構成する塗布層はオリゴマー析出防止性を良好とすると共に離型層とポリエステルフィルムとの塗膜密着性を良好とするためにシランアルコキシオリゴマーを併用するのが好ましい。
シランアルコキシオリゴマーは、例えば下記平均組成式(1)で表されるものであり、特開2002−88155号公報、特開2005−8755号公報等に具体的に例示されている。
Si(OR(4−k−m−n)/2 …(1)
(上記式中、Rは非置換または置換のアルキル基およびアリール基から選択される1種あるいは2種類以上の基、Rは脂肪族不飽和二重結合含有基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2もしくは3のアシル基、または炭素数3〜5のアルコキシアルキル基を表し、k、mおよびnは以下の関係式を同時に満足する数である:0≦k<1.5、0.01≦m≦1、0.5≦k+m≦1.8、0.01≦n≦2.5、1≦k+m+n≦3)
Rの具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子で置換したクロロメチル基、クロロプロピル基、トリフルオロプロピル基等、シアノ基で置換したシアノエチル基等、エポキシ基で置換したグリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基等、(メタ)アクリル基で置換したメタクリロキシプロピル基、アクリロキシプロピル基等、アミノ基で置換したアミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基等、メルカプト基で置換したメルカプトプロピル基等が例示される。R1の具体例として、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基などの脂肪族系、2−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、2−ビニルシクロヘキセニル基等の脂環式系、2−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、2−アリルフェニル基等の芳香族系、3−(メタ)アクリロキシプロピル基等の置換基を含有する等が例示される。
具体的製品として、信越化学工業社製KR−401N,X−40−9227,X−40−9247,KR−510,KR−9218,KR−213,KR−217,X−41−1053,X−40−1056,X−41−1805,X−41−1810,X−40−2651,X−40−2652B,X−40−2655A,X−40−2761,X−40−2672等が挙げられる。
また、塗布層中には本発明の主旨を損なわない範囲において、架橋剤を併用してもよく、具体例としてはメチロール化またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコ−アルミネートカップリング剤等が挙げられる。これらの架橋成分はバインダーポリマーと予め結合していてもよい。
さらに塗布層の固着性、滑り性改良を目的として、無機系粒子を含有してもよく、具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明の要旨を越えない範囲において、分散性改良、造膜性改良等を目的として、使用する有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルム上に設けられる塗布層の塗布量(乾燥後)は、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗布量が0.005g/m未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層表面から析出するオリゴマー量が多くなる場合がある。一方、1g/mを超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明において、塗布層を設ける方法はリバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に塗布層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、例えば、オフラインコーティングにより塗布層を設ける場合、通常、60〜200℃で3〜40秒間、好ましくは80〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
次に本発明における離型層の形成について説明する。
本発明における離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指し、具体的にはアクリル系粘着テープと離型層との剥離力(F)が5〜500mN/cmであるのが、本発明の用途上、好ましい。本発明における離型フィルムを構成する離型層は上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用しても良く、何れの手法を採用してもよい。塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、GE東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、東レ・ダウコーニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」(槇書店 原崎勇次著 1979年発行)に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面には本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層、オリゴマー析出防止層等の塗布層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本発明において塗布層上に離型層を設ける場合、塗布層を設けた後にフィルムを一旦巻き取り、あらためて離型層を設けてもよく、また、塗布層を設けた後、連続して、離型層を塗布層上に設けてもよく、何れの方法を採用してもよい。
本発明の離型フィルムを熱処理(180℃、10分間)した後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量(OL1)は、2.2mg/m以下である必要がある。OL1に関して、好ましくは1.5mg/m以下である。OL1が2.2mg/mを超える場合、例えば、液晶構成部材製造時、粘着剤層保護用途に使用した場合、粘着剤の透明性が低下したり、粘着剤層の粘着力が低下したりする等の不具合を生じるようになる。
本発明において「オリゴマー」とは、熱処理後、結晶化してフィルム表面に析出する低分子量物のうちの環状三量体と定義する。
本発明における離型フィルムを偏光板、位相差板等の粘着剤層保護用離型フィルムに用いた場合、離型層表面から、オリゴマー析出量が少なく、異物検査工程において、フィルムの粒子起因の輝点発生が極力少なく、高精度な異物検査に対応可能な離型フィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「重量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50)および粒径分布値(d25/d75)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA−CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。また、大粒子側から積算して重量分率25%の点の直径と重量分率75%の点の直径の比d25/d75値を粒度分布値とした。
(3)ポリエステル中のオリゴマー(環状三量体)含有量
所定量のポリエステルをクロロホルム/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(混合比:3/2)混合溶液に溶解した後、クロロホルム/メタノール(混合比:2/1)で再析出して濾過し、線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾液中の溶媒を、エバポレータを用いて蒸発させ、得られた析出物を所定量のDMFに溶解させた。得られたDMFを、液体クロマトグラフィー(島津LC−2010C)に供給してポリエステル中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量を求め、この値を測定に用いたポリエステル量で割って、ポリエステル中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量とした。液体クロマトグラフィーで求めるオリゴマー(環状三量体)量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を秤量し、秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:島津(株)製 Shim−pack VP ODS
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(4)離型フィルムの離型層表面から抽出されるオリゴマー量(OL1)の測定
試料フィルムを窒素雰囲気下、熱風循環オーブンにて180℃、10分間熱処理した。熱処理後の試料フィルムの離型層表面をDMFと3分間接触させ、表面に析出したオリゴマーを溶解させた。かかる操作は、例えばポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準において、溶出試験の中の片面溶出法に用いる溶出用器具に記載されている方法が採用できる。
次いで得られたDMFを必要に応じて希釈等の方法で濃度を調整し、液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してDMF中のオリゴマー量を求め、この値を、DMFを接触させたフィルム面積で割って、フィルム表面オリゴマー量(mg/m)とした。
DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(5)離型フィルムの離型層が設けられていないフィルム表面のオリゴマー量(OL2)
(4)項において、試料フィルムの離型層が設けられていないフィルム表面にメチルエチルケトンを塗布し、窒素雰囲気下、熱風循環オーブンにて、120℃、1分間熱処理した後、さらに該フィルムを窒素雰囲気下、熱風循環オーブンにて180℃、10分間熱処理すること、および、離型層が設けられていないフィルム表面が測定面であること以外は(4)項と同様にして測定し、離型層が設けられていないフィルム表面のオリゴマー量(OL2)を求めた。
(6)フィルム面内における配向角の変動幅の測定
試料フィルムの幅方向において、中心となる位置より、幅方向に両端に向かって、500mm毎の位置および、最両端のサンプルを切り出し、それぞれ王子計測器社製の自動複屈折率計(KOBRA−21ADH)を用いてフィルム幅方向500mm毎の配向角の変動を求めた。なお、最両端の位置を含む配向角の変動を算出する際、サンプル位置間が500mmに満たない場合は、比例計算にて500mm毎の配向角の変動を算出する。続いてフィルム長手方向について、3m長を切り出し、フィルム幅方向に対して中心となる位置から長手方向に500mm毎(含両端)、計7箇所の位置より、サンプルを切り出し、配向角を求めた。このようにして幅方向、長手方向での500mm毎の配向角の変動を求め、最大の変動値をそれぞれフィルムの配向角の変動幅とした。また、測定の際にはすべてのサンプルにおいて配向角の基準軸を同一とすることが重要であり、基準軸については任意に決定できる。
(7)フィルムの屈折率(nβ)
試料フィルムの幅方向において、中心となる位置より、幅方向に両端に向かって500mm毎の位置および、最両端のサンプルを切り出し、アタゴ光学(株)製Abbe屈折計を用いてフィルム面内の主配向軸に対して直角方向の屈折率を各位置について測定し、平均値を求めて、nβとした。
(8)クロスニコル下での目視検査性
試料フィルムの幅方向が、偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とし、密着させた離型フィルム上に配向軸がフィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より10人の検査員がそれぞれ目視にて観察し、クロスニコル下での目視検査性を下記基準に従い評価した。なお、測定の際には、得られたポリエステルフィルムの端部からフィルム幅方向に、フィルム幅に対して10、50、90%の位置に相当する箇所よりそれぞれA4サイズのサンプルを切り出して実施した。
<クロスニコル下での目視検査性 判定基準>
(検査性良好) ◎>○>△>×>×× (検査性不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
(9)異物認知性
試料フィルムの幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、公知のアクリル系粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ離型フィルム付きの偏光板を作成した。ここで上記偏光板を作成する際、粘着剤と偏光フィルムとの間に50μm以上の大きさを持つ黒色の金属粉(異物)を50個/mとなるように混入させた。このようにして得られた異物を混入させた偏光板離型フィルム上に配向軸が離型フィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より10人の検査員がそれぞれ目視にて観察し、粘着剤と偏光フィルムとの間に混入させた異物を見いだせるかどうかを下記分類にて評価した。なお、測定の際には、得られたフィルムの中央部と両端部の計3箇所のフィルムを用いて評価し、目視検査性が最も良好であった箇所の結果を持って、そのフィルムの異物認知性とした。
<異物認知性 分類基準>
(異物認知性良好) ◎>○>△>× (異物認知性不良)
上記判定基準中、○以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
<ポリエステル(A0)の製造>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。
4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェートを添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。
一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、ポリエステルのチップ(A0)を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.63、オリゴマー含有量は0.83重量%であった。
<ポリエステル(A1)の製造>
ポリエステル(A0)をあらかじめ160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.75、オリゴマー含有量0.28重量%のポリエステル(A1)を得た。
<ポリエステル(B)の製造>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェートを添加後、平均粒子径0.8μm、粒径分布値1.6の合成炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを粒子のポリエステルに対する含有量が1重量%となるように添加した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は極限粘度0.63、オリゴマー含有量0.82重量%であった。
<ポリエステル(C)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径0.5μm、粒径分布値1.7の合成炭酸カルシウム粒子に、ポリエステルに対する含有量を、1重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(C)を得た。得られたポリエステル(C)は極限粘度0.63、オリゴマー含有量0.82重量%であった。
<ポリエステル(D)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径1.4μm、粒径分布値1.9の合成炭酸カルシウム粒子に、ポリエステルに対する含有量を、1重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(D)を得た。得られたポリエステル(D)は極限粘度0.63、オリゴマー含有量0.82重量%であった。
<ポリエステル(E)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径2.5μm、粒径分布値1.3のシリカ粒子に、ポリエステルに対する含有量を、0.6重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(E)を得た。得られたポリエステル(E)は極限粘度0.63、オリゴマー含有量0.82重量%であった。
<ポリエステル(F)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径0.8μm、粒径分布値2.5の天然炭酸カルシウム粒子に、ポリエステルに対する含有量を、1重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(F)を得た。得られたポリエステル(F)は極限粘度0.63、オリゴマー含有量0.82重量%であった。
<ポリエステル(G)の製造>
ポリエステル(B)の製造方法において、添加粒子を、平均粒子径0.12μm、粒径分布値2.0のシリカ粒子に、ポリエステルに対する含有量を、0.3重量%にした以外は、ポリエステル(B)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(G)を得た。得られたポリエステル(G)は極限粘度0.63であった。
実施例1:
上記ポリエステルチップを、下記表2に示すとおりの割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(A0)チップ100%の原料をB層の原料として、3台の押出機に各々供給し、290℃で溶融押出した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、縦延伸倍率、縦延伸温度、横延伸倍率、横延伸温度および、熱処理温度(主結晶温度)を、表2に示すとおりの条件で、幅3000mmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの全厚みは40μm、各ポリエステル層の層厚みは4μm/32μm/4μm(A/B/A)であった。次に得られたポリエステルフィルムの片面にオフラインで下記塗布剤組成からなる塗布層を塗布量(乾燥後)が0.05g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、120℃、10秒間熱処理した。その後、塗布層上に下記離型剤組成からなる離型剤を塗布量(乾燥後)が0.1(g/m)になるようにリバースグラビアコート方式により塗設し、120℃、30秒間熱処理した後に離型フィルムを得た。
《塗布剤組成》
塗布層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・ジルコニウム元素を有する有機化合物(A1):ジルコニウムテトラアセチルアセトネート
・チタン元素を有する有機化合物(A2):チタンテトラアセチルアセトネート
・アルミニウム元素を有する有機化合物(A3):アルミニウムトリス(アセチルアセトネ−ト)
・アルコキシシランオリゴマー(B1):X−41−1056(信越化学製)
・アルコキシシランオリゴマー(B2):X−40−2652B(信越化学製)
・架橋剤(C):γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・粒子(D):シリカゾル(平均粒径60nm)
《塗布剤組成》
ジルコニウム元素を有する有機化合物(A1):20重量%
アルコキシシランオリゴマー(B1):80重量%
上記塗布剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率は1:1)にて希釈し、4重量%と した。
(離型剤組成比)
硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学製):99重量%
硬化剤(PL−50T:信越化学製):1重量%
実施例2〜11および比較例1〜4:
実施例1において、ポリエステルフィルムの構成あるいは塗布層が異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
比較例4:
ポリエステル(A1)および(G)チップをフィルム表層に用いたフィルムは、表面形状が極端に平坦になり、滑り性が悪化したため、延伸、熱処理後のフィルムをロール状に巻取る際に、うまく巻取ることができず、また、フィルム全面にキズが発生し、製品として成り立たないものであった。
比較例5〜7:
実施例1において、ポリエステルフィルムの構成あるいは塗布層が異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
Figure 0004805799
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本発明の離型フィルムは、オリゴマー析出量が極力少なく、異物検査工程において、フィルム中の粒子に起因する輝点発生を抑制し、特にクロスニコル法による異物検査において、高精度な検査方法に対応可能であり、その工業的価値は高い。

Claims (1)

  1. ポリエステルフィルムの片面に、塗布層、離型層が順次設けられた離型フィルムであり、180℃で10分間熱処理後、離型層表面からジメチルホルムアミドにより抽出されるオリゴマー量が2.2mg/m以下であり、離型層が設けられていないフィルム表面にメチルエチルケトンを塗布、乾燥し、180℃で10分間熱処理した後の当該フィルム表面のオリゴマー量が5.0mg/m以下であり、前記ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径が0.2〜1.5μmであり、粒径分布値(d25/d75)が1.0〜2.0の範囲であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルム。
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