JP4804468B2 - エレクトレットコンデンサ型複合センサ - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載されている多変量検出センサでは、エレクトレットコンデンサと光センサを組み合わせて利用する。
すなわち、音・振動・圧力・加速度などの物理量は静電容量の変化を電圧に変換するなどし、これに基づいて各パラメータの物理量を検出する。また、光という物理量に関しては、エレクトレットコンデンサ型センサとは別のセンサを用いて検出している。
(1)従来構造のエレクトレットコンデンサ型センサ単体では、音・振動・圧力は検出できるが、同時に光を検出することができない。
(2)したがって、光も検出する場合には、別のセンサを組み合わせて使用する必要がある。例えば、光を熱量に変換し、これを圧力に換算するセンサを設け、その圧力の値をエレクトレットコンデンサ型センサにより検出して出力することができる。しかし、この場合、光から熱に変換することは非常に変換効率が悪く、少量の光の検出は困難である。また、構造が複雑化、大型化する傾向も生じる。
この構成によれば、フィルタによって、異物の侵入を防ぐことができ、また、フィルタの通気度・光透過度を調整することによって、音響特性・光検出特性の検出感度を調節することが可能となる。この結果、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を検出可能となり、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持することが可能となる。
この構成によれば、フィルタによって異物の侵入を防ぐことができる。また、フィルタによって、不要な光(すなわち、実装基板側から入射する光以外の光であり、具体的には、音孔側から侵入する光である)が光電変換部に到達するのを阻止することができる。これによって、実装基板(プリント基板等)側からの光のみを確実に検出することができる。従って実装基板側からの光であるかどうかなど、光入射方向の検知も可能である。この結果、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を検出することができ、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持することができる。
この構成によれば、半導体素子の光反応面など、光電変換部に、効率よく光を検出することができる。また、モールド樹脂が必要でない分、小型化が可能である。したがって、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を検出でき、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持することができる。
この構成によれば、光透過性のモールド部分量またはモールド材料の光透過性の透過度を適切に調整することで光検出を行い、光検出の感度を制御することができる。結果、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を検出でき、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持することができる。
この構成によればケースまたは電極の孔から進入した光が振動板を通して、半導体素子まで光を透過することができる。また、振動板の光透過度を導体材料の膜厚量を制御するなどして調整することによって、光検出感度を調整することができる。この結果、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を検出でき、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持することができる。
この構成によれば、更なる小型化を図ることが可能となる。
この構成により、さらなる小型化をはかることができるとともに、半導体素子とMEMSチップとの接続も不要となり、半導体素子の光電変換部の大面積化をはかることができ感度の向上をはかることができる。
また、光を検出する際、コンデンサ部の静電容量(又は電圧)の値から独立した特性値である半導体素子の電流値を取得することで正確に且つ他のパラメータとの識別作業が不要であり、容易に光を検出することが可能となる。
また、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を検出でき、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持可能である。
また、実装基板の少なくとも一部を光透過性の材料にて構成し、実装基板側から光を入射させるようにすることによって、実装基板にて光の透過度を調節することができ、その検出感度を調節することもできる。また、実装基板のレイアウトによっても光の透過度を変えることができ、検出感度を調節することが可能となる。
また、実装基板側から光を入射させる場合、不要光を阻止するための遮光性のフィルタを設けることによって、実装基板側からの光のみを確実に検出することができるようになる。従って実装基板側からの光であるかどうかなど、光入射方向の検知も可能となり、また、異物の侵入を防ぐことも可能となる。
本発明によって、コンデンサ型センサの内部の振動板の変位量により検出できる音・振動・加速度などに加え、半導体素子中の光起電力による電流値等を取得して光も検出できるようになり、音・振動・圧力・加速度・光を単体で検出可能な、小型、薄型かつ軽量の複合センサを実現することができる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のエレクトレットコンデンサ型複合センサの構成の一例(音孔ならびに光透過性の振動板を介して光を導く構成)を示す断面図である。
図示されるように、図1のエレクトレットコンデンサ型複合センサは、ケース11と、電極21と、孔部(音孔かつ光導入孔)22と、スペーサ(ギャップ部)31と、振動板(振動膜)41と、振動板リング(振動板保持部)42と、プリント基板(実装基板)6と、半導体素子61と、を有する。
振動板(振動膜)41はNiやAlなどの導体層(金属蒸着により得られる蒸着膜など)振動板リング42と電気的導通をとっている。
ケース11と振動板リング42は、絶縁材12によって絶縁されている。プリント基板51は振動板リングと電気的導通をとっている。
また、FETのソース(マイナス)とケース11も導通が取られている。
半導体素子をベアチップ実装することによって、半導体素子の光電変換部を多く露出することができ、効率よく光を検出することができる。また、モールド樹脂が必要でない分、小型化が可能となる。
図示されるように、半導体素子61は、タブ吊りリード302上に載置されており、この半導体素子61は、ボンディングワイヤ303を介して、アウターリード301に電気的に接続されている。半導体素子61は、透明モールド樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物を主成分とする樹脂)400によって封止されている。
以上のように構成されたエレクトレットコンデンサ型複合センサについて、図4〜図8を用いてその動作を具体的に説明する。
図示されるように、多変量検出回路(以下、単に検出回路という場合がある)は、エレクトレットコンデンサ型複合センサ100と、電圧源Vdssと、負荷抵抗Rdと、電流計Idsと、電圧計Vdsと、直流成分をカットするコンデンサCdvとを有している。
FET(半導体素子61)のゲート部に入力された電圧の変化により、図4の検出回路中の電流値が変化することで、負荷抵抗Rdでの電圧降下量が変化する。その結果、図4の検出回路に出力される電圧を、電圧計Vdsより読み取ることで、音・振動・圧力・加速度などの値を検出することができる。
また、図4の検出回路では、外部からの光の入力によりFET(半導体素子61)の表面の光反応部62に光が入射されることによって、FET内部に光起電力が発生し、FETに流れる電流値が変化し、電流値を電流計Idsを読み取ることで光を検出できる。または電圧計Vdsと並列に直流電圧を読み取れるように回路を構成し、その電圧を読み取ることでも光を検出することができる。
図6では、光入力量がステップ的に変化した場合の電流データを示す。図6では、例えば110μAの電流が時間軸4秒まで、225μAの電流が時間軸5秒から入力されたと読み取ることができる。図8の照度-電流曲線によると、この110μAの電流値は50lxに、225μAの電流値は5000lxに相当することがわかる。従って50lx程度の光が時間軸4秒まで、5000lx程度の光が時間軸5秒から入力されたと読み取ることができる。ここで光量と電流値との関係は、検出回路またはコンデンサ型複合センサの構成(光電変換効率)によって決定されるものである。
ここで、重要なことは、コンデンサ部の静電容量の設定値を5〜20pFに設定していることから、コンデンサ部での電圧変化に対して、光起電力の電圧が十分大きく設定されており、したがって、静電容量の変化により生じた電気信号と、光照射によって生じた電気信号は、特別な識別処理をしなくてもそれぞれ独立のパラメータとして、容易に検出することが可能である、ということである。
図2は、本発明のエレクトレットコンデンサ型複合センサの構成の他の例(プリント基板側から光を導く構成)を示す断面図である。図2において、図1と共通する部分には同じ参照符号を付してある。
図3は、本発明のエレクトレットコンデンサ型複合センサの構成の他の例(孔部22を覆うフィルタを設けた構成)を示す断面図である。図3において、図1と共通する部分には同じ参照符号を付してある。
図3の構成が図1と異なる点は、孔部22を覆うようなフィルタ81が設けられていることである(その他の点は、図1と同様である)。
この結果、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を精度よく検出でき、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持することができる。
以上説明したように、本発明によれば、従来のコンデンサ型センサ単体では検出できなかった光のパラメータを、静電容量の値ではなく、電流値(あるいは電圧値)から検出できるようになる。
また、光検出を含めコンデンサ型センサ単体で音・振動・圧力・加速度の物理量を検出でき、かつ、従来のコンデンサ型センサの部品点数を増加させること無く、小型・薄型の状態を保持できる。
また、実装基板の少なくとも一部を光透過性の材料にて構成し、実装基板側から光を入射させるようにすることによって、実装基板にて光の透過度を調節することができ、その検出感度を調節することもできる。また、実装基板のレイアウトによっても光の透過度を変えることができ、検出感度を調節することが可能となる。
また、実装基板側から光を入射させる場合、不要光を阻止するための遮光性のフィルタを設けることによって、実装基板側からの光のみを確実に検出することができるようになる。光入射方向の検知も可能となり、また、異物の侵入を防ぐことも可能となる。あるいは、遮光性のケースで被覆し、光ファイバなどの導光体を介して光をセンサに導くようにすることも可能である。これにより、センサの誤動作の低減を図ることが出来る。また音孔に代えて、やわらかいフィルムなどの振動体で構成した音伝達部を適用することも可能である。
また、半導体素子に透明モールドパッケージを適用することによって、光検出感度を調整することが可能となる。すなわち、光透過性のモールド部分量またはモールド材料の光透過性の透過度を適切に調整することによって、光検出感度を、最適化することができる。
本発明によって、コンデンサ型センサの内部の振動板の変位量により検出できる音・振動・加速度などに加え、半導体素子中の光起電力による電流値等を取得して光も検出できるようになり、音・振動・圧力・加速度・光を単体で検出可能な、小型、薄型かつ軽量の複合センサを実現することができる。
図11は、本発明のエレクトレットコンデンサ型複合センサの音響センサとしてMEMSチップを用いた構成を示す断面図である。図11において、図1と共通する部分には同じ参照符号を付した。
図11に示すように、本実施の形態のエレクトレットコンデンサ型複合センサは、振動板及びエレクトレットフィルムの機能を有した音響センサをシリコン基板(チップ)上に形成して構成したMEMSチップ63で構成したことを特徴とするもので、配線パターンの形成されたプリント基板6上に、光電変換部62を有する半導体素子61とともに搭載されている。そしてこの外側は孔部(音孔)22を形成したケース11で覆われている。ここではMEMSチップ63と光電変換部を有する半導体チップ61とはボンディングワイヤ303によって電気的に接続されている。
また、ノイズ対策としてケース11はプリント基板6を介して半導体素子61とMEMSチップ63のマイナス極と電気的に導通を取るほうが望ましい。また、音や光の信号を検出できる範囲で孔部(音孔)22はケース11かプリント基板6のどちらかに配置されていればよい。
また、このMEMSチップを構成するシリコンチップ表面にPN接合を形成し光電変換部を作りこむことにより、複合センサの1チップ化が可能となり、更なる小型化が可能となる。また、半導体素子とMEMSチップとの接続も不要となり、半導体素子の光電変換部の大面積化をはかることができ感度の向上をはかることができる。
11 ケース
12 絶縁材
21 電極
22 孔部(音孔)
23 エレクトレットフィルム
41 振動板(振動膜)
42 振動板リング
31 スペーサ(ギャップ部)
61 半導体素子(FET等)
62 光電変換部
63 MEMSチップ
81 透光性フィルタ
100 エレクトレットコンデンサ型複合センサ
201 半導体素子の端子
202 チップキャリアのインナーリード
203 プリント基板上の端子
301 アウターリード
302 タブ吊りリード
303 ボンディングワイヤ
400 透明モールド樹脂(透明モールド封止体)
Claims (10)
- エレクトレットコンデンサと、前記エレクトレットコンデンサから得られる信号を増幅して出力する機能をもつ半導体素子とが内蔵され、前記エレクトレットコンデンサの静電容量の変化によって所定の物理量を検出可能であるとともに、光検出機能を備えたエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記半導体素子が光電変換部を具備し、前記光電変換部に光を導くことによって光電変換による電気信号を生じさせ、その電気信号を、前記半導体素子から、前記エレクトレットコンデンサの静電容量の変化により生じた電気信号と区別して出力し、前記エレクトレットコンデンサを構成する振動板に音を導くための音孔の少なくとも一部が前記半導体素子の前記光電変換部と重なりを有するように配置されたエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項1に記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記振動板が光透過性材料により形成され、前記音孔ならびに前記振動板を経由して光が前記半導体素子の前記光電変換部に導かれるエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - エレクトレットコンデンサと、前記エレクトレットコンデンサから得られる信号を増幅して出力する機能をもつ半導体素子とが内蔵され、前記エレクトレットコンデンサの静電容量の変化によって所定の物理量を検出可能であるとともに、光検出機能を備えたエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記半導体素子が光電変換部を具備し、前記光電変換部に光を導くことによって光電変換による電気信号を生じさせ、その電気信号を、前記半導体素子から、前記エレクトレットコンデンサの静電容量の変化により生じた電気信号と区別して出力し、
前記半導体素子は実装基板上に実装され、また、前記実装基板の少なくとも一部が光透過性の材料で形成され、かつ、前記半導体素子の前記光電変換部は、前記実装基板の前記光透過性の材料からなる部分から入射する光を受光しうるように配置されたエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項2記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
光透過性のフィルタをさらに設け、このフィルタ、前記音孔、ならびに前記振動板を経由して前記半導体素子の前記光電変換部に、光が入射されるようにしたエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項3記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記半導体素子の前記光電変換部に、前記実装基板の前記光透過性の材料からなる部分からの光以外の光が入射するのを防止するように、遮光性を有するフィルタが設けられるエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項1乃至5のいずれか記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記半導体素子は、実装基板にベアチップ実装されたエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項1乃至5のいずれか記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記半導体素子は、その少なくとも一部が光透過性の材料からなるモールド材によりモールドされているエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項1記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記エレクトレットコンデンサを構成する振動板の少なくとも一部が光透過性材料により形成されたエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項1記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記エレクトレットコンデンサはMEMSチップで構成されたエレクトレットコンデンサ型複合センサ。 - 請求項9記載のエレクトレットコンデンサ型複合センサであって、
前記半導体素子は前記MEMSチップを構成する基板上に集積化されたエレクトレットコンデンサ型複合センサ。
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