JP4804203B2 - 多層延伸フィルムとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地球温暖化対策としての焼却処理時の炭酸ガス排出量の削減、及び薄肉フィルム使用による廃棄物削減等の環境適性に優れ、主として各種包装材料用途に利用可能であり、特に収縮包装用途に好適に用いられる多層延伸フィルムとその製造方法に関する。
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売されている生鮮食品、加工食品等、各種化粧品、トイレタリー、医薬品、さらにはDVDやCDソフトのケース、文具事務用品、書籍等の非食品の包装等には、タイトな仕上がりで美麗性に優れる点を生かし、熱収縮性フィルムで包装した収縮包装が広く知られている。
この収縮包装は、フィルムに少し余裕を持たせて被包装物を熱収縮性フィルムで包み、開口部を密封シールして予備包装体を形成した後、熱風トンネルを通過させてあらかじめ設けられた脱気孔または密封シールした後に設けた脱気孔から空気を抜きながら該フィルムを熱収縮させて被包装物に密着させる方法である。該予備包装体のシール方法としては、その底部を合掌シールまたはオーバーラップ自己密着シールする方法、オーバーラップ静電シールによる縦シールして前後二方を横シールする方法(ピロー包装方式)、フィルムを半折して開口部である三方をシールする方法(半折フィルム方式)、二枚のフィルムを重ね合わせて四方をシールする方法(上下フィルム方式)等がある。これらの方法においては密封性を高めるために脱気孔をなくして事前に中の気体を適度に排除した予備包装体を収縮包装する場合もある。
従来のストレッチ包装のようにフィルムをある程度緊張状態で包装し、フィルムの端を被包装物の底部に折り込んで、該折り込み部をフィルム同士の自己密着力または熱融着により一次包装した後、同様に加熱収縮処理を施して局部的なフィルムの弛みや皺を除去するストレッチシュリンク等の方法があり、いずれもタイトで美しい仕上がりが得られる。
一方、近年、自動包装機による包装速度の高速化が進み、また商品としての包装体に対する要求品質もますます高度なものになってきており、多色の印刷が施された容器や化粧トレーが増えており、シュリンク包装後においても本来の印刷の鮮明さの維持や容器、トレーに変形が極力ないことが求められており、これらの要求特性は、従来シュリンク包装時にフィルムの収縮力によって湾曲しやすかったノート類や書籍類を包装する場合にも同様である。
さらに昨今の、地球環境問題に関して、環境適性に優れる容器包装材料のニーズが年々高まってきており、廃棄物削減の観点からの容器包装材料の薄肉化及びCO排出量低減のために従来の石油由来原料から植物由来原料への転換の進展に大きな期待が寄せられている。
環境適性を考慮したシュリンク包装可能なフィルムとして特許文献1及び2が知られている。特許文献1は、ポリ乳酸系樹脂を用いて特定の収縮率を付与した架橋された熱収縮性フィルムに関するもので、このフィルムは生分解性を有し、かつ十分な収縮率があるために被包装物に密着して緊張したシワのない美麗な包装ができることが開示されている。特許文献2においては、ポリ乳酸を主成分とする層とポリオレフィン系樹脂を主成分とする層を有する多層の熱収縮性フィルムが開示されており、生産性に優れたインフレーション法により比較的低温で高い収縮率、及び破断強度が改善された柔軟な収縮シート状物が得られることが記載されている。
しかしながら特許文献1のフィルムはシュリンク包装時に脱気孔からフィルムが裂け易いという問題があり、特に高速で包装したときのヒートシール性に劣り、ヒートシール直後のシュリンクトンネル内でシール部分が剥離を生じやすく、また冷却後のシール部の強度も不十分で、流通過程での輸送時の衝撃等で簡単にシール破壊を起こす恐れがある。シール強度を高くするためにはフィルムの厚みを増加させることが必要であるが、コストアップはもちろん、廃棄物削減の観点から環境適性上好ましくない。さらに、該フィルムはポリオレフィン系樹脂に比べて硬いために、収縮包装体の一部に非常に硬くて鋭利な突起状物として残る場合があり、突起物に触れる人に傷を与えたり、他の包装体にダメージを与える恐れがある。また、ポリ乳酸系樹脂は一般に吸湿による性能劣化を生じやすく、生産後のフィルムの保管にも防湿包装による密封等の保管環境条件に煩雑な配慮が必要であり、この吸湿は包装後においても同様であり特に長期に亘る保管や陳列が必要な用途においてはフィルムのみならず内容物が変質する恐れもある。
特許文献2のフィルムにおいては、シュリンク包装直後はフィルムが被包装物に密着した一見タイトな包装体が得られるものの、インフレーション法で作られたフィルムであるため、被包装物に対する締め付け力自体が低く、かつその持続性がないため、輸送中の振動やハンドリングにおいて容易にフィルムに緩みや弛みを生じ、商品としての美観を損ねるという問題がある。また、容器成形工程における打ち抜き時に発生しやすい、成形容器のエッジ部の微小突起(バリ)を有する容器を包装した場合、輸送中にこの部分に擦れによるピンホールが発生しやすく、内容物を損傷したり汚染する恐れがある。耐ピンホール性の向上や緩み、弛みを緩和する方法としてフィルムを厚くすることが考えられるが、これも特許文献1について述べたように環境適性上、好ましくない。
特開2001−354786号公報 特開2002−19053号公報
本発明は、地球温暖化対策としての焼却時の炭酸ガス排出量削減、及びフィルムの薄肉化による廃棄物削減等の環境適性に優れるフィルムの提供を目的とする。さらには、薄肉でも良好なヒートシール性や耐ピンホール性を有したフィルムの提供を目的とする。熱収縮包装時には、収縮不足による緩みやヒートシール線端部の角残りもなく、被包装物に密着したタイトな包装体が得られ、保管、輸送時やハンドリングにおいてもフィルムに緩みや弛みが生じ難く、高い商品保護性を発現するフィルムとその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1.少なくとも片側の表面層がヒートシール性樹脂からなり、架橋助剤を含むポリ乳酸系樹脂層を内部層に含み、少なくとも1層が架橋されており、以下の1)及び2)の熱収縮特性を有することを特徴とする多層延伸フィルム。
1)120℃における、MD又はTD方向の熱収縮率が30%以上である。
2)80℃〜120℃の全温度範囲において、MD及びTDの熱収縮力が650mN/cm幅以下であり、かつ80℃〜120℃のいずれかの温度において、MD及びTDの熱収縮応力が0.70MPa以上である。
2.ヒートシール性樹脂が、エチレン系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、プロピレン系共重合体、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン誘導体とのブロック共重合体、及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする1.に記載の多層延伸フィルム。
3.少なくとも片側の表面層がヒートシール性樹脂からなり、架橋助剤を含むポリ乳酸系樹脂層を内部層に含む多層構成になるように各層の樹脂を多層ダイにより溶融共押出して急冷し、延伸用原反を採取した後、エネルギー線照射による架橋処理する工程を含み、原反を加熱して少なくとも1方向に面積延伸倍率で5〜60倍に延伸することを特徴とする熱収縮性多層延伸フィルムの製造方法。
本発明のフィルムの特徴は、少なくとも片面がヒートシール性樹脂からなる表面層と植物由来樹脂層を内部層に配置した構成の多層フィルムに、特定の収縮特性を付与した点にある。この構成により、薄肉のフィルムにおいても従来問題であった包装時のフィルムのヒートシール性や耐ピンホール性が改善される。さらには、熱収縮後に角残りがなく、被包装物にシワなく密着したタイトな包装仕上がりと高い商品保護性が得られる。また、植物由来樹脂を使用することによる焼却時の炭酸ガス排出量削減及びフィルムの薄肉化による廃棄物削減等の環境適性に極めて優れたフィルムとその製造方法を提供する。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の多層延伸フィルムは少なくとも片側の表面層がヒートシール性樹脂からなり、被包装物の保護のためにヒートシールによって密封包装を行うための層である。同一面同士が向き合う合掌シールによって密封するピロー包装の場合は片側の表層がヒートシール性樹脂から構成されていればよく、オーバーラップシールのように両表面層が互いに向き合ってシール面を形成する場合には両表面層がヒートシール性樹脂から構成されていればよい。いずれのヒートシール方法にも対応できる点で、両表面層がヒートシール性樹脂からなることが好ましく、各表面層に使用する樹脂は同じでも、異なっていてもよい。
本発明に用いるヒートシール性樹脂は、エチレン系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、プロピレン系共重合体、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン誘導体とのブロック共重合体、及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種であることが、内部層である植物由来樹脂層の吸湿による劣化を防ぐための防湿性、耐ピンホール性、耐引き裂き性、収縮後の角残りの柔軟化、さらには後述するエネルギー線照射による延伸性を向上させる点で好ましい。上記ヒートシール性樹脂には、その本来の特性を損なわない範囲で他の樹脂を混合してもよく、その量は50wt%以下、好ましくは30wt%以下である。
ヒートシール性樹脂として用いられるエチレン系重合体としては、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、密度が0.915g/cm以下の超低密度線状ポリエチレン等があり、線状低密度ポリエチレン及び超低密度線状ポリエチレンとしては密度が0.860〜0.926g/cm、メルトインデックス(190℃、2.16kg)が0.2〜10のエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数が3〜18のαオレフィンから選ばれる少なくとも1種の単量体との共重合体が好ましい。
エチレン系重合体を製造する際に用いられる重合触媒は特に限定されないが、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒等のいずれでもよく、線状低密度ポリエチレン及び超低密度線状ポリエチレンにおいては、押出し成形時の目やにの発生が少なく、滑り性も良好で低温ヒートシール性や耐引き裂き強度もが得られやすい点で、シングルサイト触媒が好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニル基含量は5〜26重量%が好ましく、メルトインデックス(190℃、2.16kg)は0.2〜10が好ましい。
エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC〜Cのアルコール成分より選ばれる)共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC〜Cのアルコール成分より選ばれる)共重合体等が挙げられる。
プロピレン系共重合体の好ましい例は、プロピレンと他のα−オレフィン(C、C〜Cのもの)との共重合体であり、DSC(昇温速度:10℃/分)による再融解ピーク温度は130℃以下が好ましく、下限はフィルム同士のブロッキングによるトラブル回避の観点から70℃が好ましい。プロピレン系共重合体を製造する際に用いられる重合触媒は、上記エチレン系重合体と同様に、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒等のいずれでもよいが、好ましくはシングルサイト触媒である。
ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン誘導体とのブロック共重合体、及びその誘導体とは、スチレンを代表とするビニル芳香族炭化水素が主体であるブロックと、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンを主体とするブロックとからなるブロック共重合体、又は二重結合の少なくとも一部を水素添加処理したもの等が挙げられる。
エチレン系重合体、再融解ピーク温度が130℃以下のプロピレン系共重合体の少なくともいずれかであることが、内部層である植物由来樹脂層の吸湿による劣化を防ぐための防湿性の観点からより好ましい。
ヒートシール性樹脂層を構成する樹脂は、上述した樹脂のうち1種又は2種以上の混合物であってもよい。
本発明のフィルムは、内部層として植物由来樹脂層を含むが、植物由来樹脂は本発明の目的の一つである、フィルムに環境適性を付与させるためのものである。植物由来樹脂層を構成する植物由来樹脂は、さとうきび、大豆、とうもろこし、サツマイモ等の植物資源を主原料として生物及び/または化学プロセスによって生産される樹脂である。植物由来樹脂層には、植物由来樹脂の他に任意の樹脂を含んでいてもよく、最終樹脂成分中に占める植物資源に由来する原料の重量比率は50wt%以上が好ましい。
植物由来樹脂は吸湿して劣化しやすく、特に加水分解の進行による性能劣化を起こすために、外部環境に直接暴露されると吸湿しやすい点を考慮し、本発明では植物由来樹脂を表面層以外の内部層として配置する。
植物由来樹脂の例としては、ポリ乳酸系樹脂、でんぷん系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、中でも透明性、剛性、加工性に優れるポリ乳酸系樹脂が好ましい。
ポリ乳酸系樹脂は、植物中などの澱粉を乳酸発酵して、モノマーである乳酸を得た後直接重縮合する方法、乳酸のプレポリマーを解重合して得たラクチドを開環重縮合する方法等によって製造することができる。
ポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸とD−乳酸のモル比(L−乳酸/D−乳酸)が100/0〜0/100が好ましく、より好ましくは100/0〜80/20または0/100〜20/80であり、更に好ましくは99.5/0.5〜85/15または15/85〜0.5/99.5である。また、上記いずれかの乳酸と他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
これら乳酸と共重合可能なものとしては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシカプロン酸、カプロラクトン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、コハク酸、アジピン酸等が挙げられる。L−乳酸またはD−乳酸単独からなるポリ乳酸系樹脂は結晶性が高いことによって融点が高いためにフィルムに耐熱性があり、高速包装においてもヒートシール性が安定する。一方、L−乳酸またはD−乳酸のモル比が各20%のものでは結晶性がほとんど失われるために、高倍率での延伸が容易になり、高収縮性のフィルムが得られやすい。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、50,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは80,000〜500,000であり、更に好ましくは100,000〜300,000である。重量平均分子量が50,000以上の場合、フィルムの実用的な機械的強度が得られやすく、1,000,000以下の場合は成形加工性が良好である。
本発明に用いる植物由来樹脂には、その他任意の熱可塑性樹脂を50wt%以下の範囲で混合してもよい。例として、グリセリンジアセトモノカプリレート等のグリセリン脂肪酸エステル、乳酸エステル類、乳酸と脂肪族ポリエステルのブロック共重合体等の可塑剤、エポキシ基を含有したアクリル−スチレン系共重合樹脂等の改質材の他、植物由来以外の生分解性樹脂(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシアルカン酸類、ポリビニールアルコール等)、脂肪族ポリエステル、非晶性ポリエステル類等が挙げられる。
本発明のフィルム中に含まれる該植物由来樹脂の合計の比率は10wt%以上が好ましく、より好ましくは20wt%以上、さらに好ましくは30wt%以上、最も好ましくは50wt%以上である。
内部層には、植物由来樹脂層の隣層に接着層を設けてもよく、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、またエチレンと上記の共重合する各単量体の自由な組み合わせの少なくとも2種からなる多元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、少なくとも1種の炭素数2以上のα−オレフィンと一酸化炭素及び酢酸ビニル、脂肪族不飽和カルボン酸及び脂肪族不飽和カルボン酸エステルの各々より選ばれる少なくとも1種の単量体とからなる少なくとも3種の単量体で構成される共重合体、熱可塑性ポリウレタン、その他上記の樹脂及びポリオレフィン系樹脂を酸またはエポキシ基等の各種官能基で変性されたもの等が挙げられる。
本発明の多層延伸フィルムは、その他の層として任意の樹脂層を含んでもよい。例えばガスバリア層として、EVOH、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリグリコール酸樹脂等の少なくとも1種を含む樹脂層等を用いてもよい。酸素によって変質する内容物を包装する場合においては、酸素吸収層を上記ガスバリア層と組み合わせて用いてもよい。更に各層にはそれぞれ本来の特性を損なわない範囲で、防曇剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、石油系樹脂、抗菌剤、着色剤、各種界面活性剤、アンチブロック剤、無機フィラー、粘着付与剤等の任意の添加剤を含んでいてもよい。フィルムにはコロナ処理やプラズマ処理、各種コーティング処理を施してもよく、必要に応じて他種フィルムとの各種ラミネ−ションに用いてもよい。
本発明の多層延伸フィルムは少なくとも1層が架橋されていることが好ましく、架橋によって、本発明の重要な特徴である高収縮性の発現、及び収縮包装後の輸送やハンドリング後の緩みや弛みの発生を抑制するのに一層効果的である他、輸送中の振動によるフィルムの擦れ破れに対して有効である。また、架橋によってフィルムに耐熱性が付与されることにより、収縮温度範囲が広がり高速包装が可能となって生産性も向上する。
架橋した層の好ましいゲル分率は、植物由来樹脂層の場合1〜80%、より好ましくは1〜70%、植物由来樹脂層以外の層の場合は1〜60%が好ましく、より好ましくは1〜50%である。
本発明の多層延伸フィルムの厚みは、好ましくは5〜95μm、より好ましくは7〜80μm、さらに好ましくは8〜70μmである。5〜95μmの範囲であれば、重量物や突起物を有する被包装物に対しても破れを生じにくく有効である。少なくとも片側の表面層として配されるヒートシール層の厚みは、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは1〜20μm、更に好ましくは1.5〜15μmであり、使用する包装方法、ヒートシール方法等によって適宜選ばれる。
本発明の多層延伸フィルムは、120℃における流れ方向(MD)又はそれに垂直な方向(TD)の熱収縮率が30%以上であり、80〜120℃の間の全温度範囲においてMD及びTDの熱収縮力が650mN/cm以下、かつ80℃〜120℃のいずれかの温度において、MD及びTDの熱収縮応力が0.70MPa以上であることが肝要である。
本発明において120℃における熱収縮率を規定する理由は、汎用のシュリンク包装機の一般的な使用条件下における包装仕上がりの程度を推し量る温度として120℃が有効な温度であり、120℃におけるMD又はTDの熱収縮率が30%以上であると、被包装物に密着してタイトなシュリンク包装体が得られる。120℃における好ましい熱収縮率は40%以上、より好ましくは50%以上である。上限は、容器変形が生じない範囲であれば特に限定されないが、90%が好ましい。
一方、熱収縮力及び熱収縮応力を80〜120℃の範囲で規定する理由は、通常、被包装物は不定形で、かつ容器やトレーを用いた場合には収納物(例えば精肉または惣菜等の加工食品など)の温度と収納の状態によって容器やトレー各部の温度が不均一であるため、シュリンク包装時にフィルムが被包装物に接触するタイミングがフィルム面内において必ずしも同時ではなく被包装物とフィルムとの接触温度の不均一性も考慮して、包装時の被包装物の変形抑制や緩みや弛みの抑制効果を有効に推し量るための温度域である。
本発明のフィルムは80℃〜120℃までの間の全温度範囲において、MD及びTDの熱収縮力が650mN/cm幅以下であり、好ましくは600mN/cm幅以下、より好ましくは500mN/cm幅以下である。熱収縮力が650mN/cm幅以下の場合、収縮包装時にシール部に剥離がなく、トレーや容器の変形が少ない良好な仕上がりが得られる。下限は、後述するMDとTDの熱収縮応力の値が0.70MPaを下回らない範囲におのずと制限される。
本発明のフィルムは80〜120℃のいずれかの温度において、熱収縮力から換算されるMD及びTDの熱収縮応力が0.70MPa以上であり、好ましくは0.80MPa以上、より好ましくは0.90MPa以上である。熱収縮応力とは、前述した熱収縮力を測定前の元のフィルムの断面積で除した値である。熱収縮応力が0.70MPa以上の場合、包装時にタイトな包装体が得られ、輸送やハンドリング後においてもフィルムに緩みや弛みが生じにくく、良好な包装外観が維持される。熱収縮応力の上限は、フィルム厚み要因が加わったフィルム全体としての熱収縮力が650mN/cm幅を越えない範囲におのずと制限される。
次に本発明の多層延伸フィルムの製造方法について述べる。まず、少なくとも片側の表面層がヒートシール性樹脂からなり、かつ植物由来樹脂層を内部層に含む多層構成になるように各層の樹脂を多層ダイより溶融共押出して急冷し、延伸用原反を採取する。急冷に使用する冷媒は通常60℃以下の水が好適に用いられ、溶融樹脂に直接接触させるか、もしくは金属ロールの内部冷媒として間接的に使用される。内部冷媒として用いる場合は水以外にもオイル他、公知のものが使用可能であり、場合によっては冷風の吹き付けと併用することも可能である。押出しは特に制限されるものではなく、多層のTダイや多層のサーキュラーダイを用いた方法等を用いることができるが、多層のサーキュラーダイを用いた方法が好ましい。サーキュラーダイを用いると、設備に関しての必要スペースや投資金額の点で有利であり、多品種少量生産に向き、熱収縮性がより得られやすい。
得られた延伸用原反を加熱し、少なくとも1方向に面積延伸倍率で5〜60倍に延伸することが好ましい。また、延伸前、又は延伸後に架橋処理を行うことが好ましく、加熱して延伸する前にエネルギー線照射によって架橋処理を行うことがより好ましい。これにより延伸工程における延伸開始から終了までのフィルムの変動が一層小さくなって安定化し、より高倍率での延伸も可能となり、より薄肉でより高収縮なフィルムが得られやすくなる。
延伸した後のフィルムにエネルギー線照射による架橋処理を行ってもよい。用いるエネルギー線としては紫外線、電子線、X線、γ線等の電離性放射線が挙げられ、好ましくは電子線であり、10〜300KGyの照射量範囲で使用されることが好ましい。照射によって架橋する層は目的に応じて任意に選択することが可能であり、表面層付近を主に架橋したい場合は、延伸原反の厚みに応じて加速電圧を調整することにより厚み方向での線量分布を調整して照射する方法、アルミ等の遮蔽板使用によって同様に線量分布を調整するマスク照射法、電子線を延伸原反面に対して斜め方向より照射する方法等がある。
所望の各層に任意の架橋阻害剤や架橋助剤(架橋促進剤)を添加してもよく、上記の中から適宜組み合わせて実施してもよい。特に植物由来樹脂層に対する架橋助剤としては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリメチルプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート等が挙げられる。
延伸は少なくとも1方向に面積延伸倍率で5〜60倍が好ましく、より好ましくは8〜50倍であり、用途に応じて適宜選択されるが、必要に応じて延伸後に熱処理を行ってフィルムの収縮率や収縮力の調整を行ってもよい。延伸方法は二軸に延伸される方法が好ましく、より好ましくは前述のサーキュラーダイで得られた延伸原反を加熱二軸延伸するチューブラー法(またはダブルバブル法とも言う)である。
このようにして得られたフィルムは、本発明で規定した熱収縮特性を有し、シュリンク包装後にフィルムにシワ、緩み、弛み等を発生することなく被包装物に密着して固定保持を持続することができる。この効果は架橋によって一層効果的であることは前述の通りである。また、シュリンク包装時にフィルムに発生する収縮力が大きくて被包装物を変形させて商品性を低下させてしまうような場合には、延伸後に熱弛緩処理等を加えて本発明で特定した熱収縮特性の範囲内で自由に調整することができる。また、包装段階においてもシュリンク前の一次包装、または予備包装体を形成する段階で収縮余裕を大きく設定したり、シュリンク処理条件(温度、時間)での調整も可能であるのに対し、従来のインフレーション法で得られたフィルムでは包装後の緩み、弛みの抑制が元々困難であることに加えて、包装時点での包装仕上がりも含めて包装条件の選択、調整自由度に制約がある。
以下に本発明を実施例に基づいて説明する。
本発明で用いる評価方法は、下記の通りである。
(1)熱収縮率
100mm角のフィルム試料を120℃の温度に設定したエアーオーブン式恒温槽に入れ、自由に収縮する状態で10分間処理した後、それぞれ向き合う辺の中心点間距離を測定してフィルムの収縮量を求め、元の寸法で割った値の百分比でMD及びTDの収縮率を表す。測定数は2とし、その平均値を用いる。
(2)熱収縮応力及び熱収縮力
フィルムをMD、TDの各方向ごとに幅15mmの短冊状にサンプリングし、それをストレインゲージ付のチャックにチャック間50mmに緩めることなくセットする。測定温度は80℃を起点として、120℃までの間において、10℃間隔で測定する。
フィルムを所定温度に加熱したシリコーンオイル中に浸漬し、10秒間の収縮力をMD、TDのそれぞれについて各温度で測定し、得られた最大値を1cm幅に換算して、各温度におけるフィルムの収縮力とする。また、得られた収縮力の値を浸漬前のフィルムの断面積で除した値を熱収縮応力とする。測定数は各温度で各方向に5とし、その平均値を用いる。
(3)収縮後ヘイズ
中がくりぬかれた状態の金枠を用いてフィルムをMD、TDともに15%の寸法余裕を持たせて金枠に両面テープで固定し、ケーユーシステム(株)製、熱風シュリンクトンネル(FB800)を用いて120℃、4秒間の条件で熱収縮させ、ASTM−D−1003により測定する。
(4)包装時の仕上がり
得られた各フィルムを所定の幅にスリットして、(株)フジキカイ製、ピローシュリンク包装機FW−3451A−αVを用いて、内部に約150gの粘土をいれたエフピコ製、PSPトレーKS−A12−30(白)及び同じくエフピコ製、内外かん合式蓋付容器FT−420を用いて包装速度40パック/分で120〜150℃のシュリンク温度範囲において目視による透明性が明らかに低下しない範囲で最もタイトに仕上がる条件で30個包装し、以下の外観評価を行う。
○:トレー、容器に湾曲等の変形及び前後のヒートシール線の端部に角残りがほとんどな
く、商品性に優れる。
△:トレー、容器に若干の変形が見られるか、又は前後のヒートシール線の端部に小さな
角残りが認められ、商品性に若干問題有り。
×:トレー、容器に明らかな変形が認められるか、前後のヒートシール線の端部に収縮不
足による明らかな角残りが認められ、商品性に問題有り。
(5)輸送後の緩みや弛み
上記(4)で得たPSPトレー包装品及び蓋付容器の包装品について、それぞれ1段あたり4個を2段に積載して計8個をダンボールに箱詰し、JIS Z0232の包装貨物−振動試験方法に準拠して振動を与えた後、包装体を取り出して以下の評価を行う。振動試験条件は、ダンボール箱は固定し、加速度0.75G、振動数5〜50Hzで垂直方向に40分間、水平横方向に20分間、水平縦方向に20分の合計80分で行う。
○:ほとんどすべての包装品に目立った緩みや弛みが認められず、商品性を維持している

△:一部の包装品に緩みもしくは弛みが認められ、商品性に若干問題有り。
×:ほとんどすべての包装品に明らかな緩み弛みが認められ、商品性に問題有り。
(6)輸送中の耐ピンホール性
上記(5)と同様に振動を与えた包装品について擦れによる耐ピンホール性を以下のように評価する。
○:すべての包装品にピンホールなし。
△:8個の包装品中1個に微小なピンホールが認められる。
×:8個の包装品中2個以上にピンホールが認められる。
(7)ゲル分率
植物由来樹脂以外の層については、該当する層を剥離、又は削り取って試料とし、沸騰パラキシレン中で12時間抽出し、不溶解分の割合を次式により表示したもので架橋度の尺度として用いる。
ゲル分率(重量%)=(抽出後の試料重量/抽出前の試料重量)×100
植物由来樹脂層のゲル分率については、溶媒をクロロホルム、抽出時間を24時間に変更して上記と同様にしてゲル分を測定する。
(8)実施例及び比較例で用いた樹脂
LL1:シングルサイト系超低密度線状ポリエチレン(αオレフィンコモノマー=ヘキセ
ン−1)、密度=0.900g/cm、メルトインデックス=4.0
LL2:シングルサイト系超低密度線状ポリエチレン(αオレフィンコモノマー=ヘキセ
ン−1)、密度=0.913g/cm、メルトインデックス=2.0
LL3:シングルサイト系線状低密度ポリエチレン(αオレフィンコモノマー=ヘキセン
−1)、密度=0.917g/cm、メルトインデックス=4.0
LL4:マルチサイト系線状低密度ポリエチレン(αオレフィンコモノマー=オクテン−
1)、密度=0.926g/cm、メルトインデックス=2.0
PE1:高圧法低密度ポリエチレン、密度0.921g/cm、メルトインデックス=
0.4
PP1:メタロセン系プロピレン−エチレンランダムコポリマー(融点:126℃、MF
R=2.0)
PP2:プロピレン−エチレン共重合体エラストマー、ダウケミカル社製バーシファイ2
300(MFR=2)
EVA1:エチレン−酢酸ビニル共重合体、コモノマー含有量:15wt%、MI=2.

EVA2:エチレン−酢酸ビニル共重合体、コモノマー含有量:26wt%、MI=3
EAA:エチレン−アクリル酸共重合体、コモノマー含有量:6.5wt%、MI=5.

EMMA:エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、コモノマー含有量:18wt%、M
I=7
PS1:スチレン−ブタジエン共重合体エラストマー、BASF製Styroflex(R)
2G66(分子量:130000g/mol、スチレン比:70wt%)
PS2:水添スチレン系熱可塑性エラストマー、旭化成ケミカルズ(株)製タフテックH
1221(スチレン比:12wt%、MFR(230℃、2.16kgf):4
.5)
LA1:ポリ乳酸(L−乳酸/D−乳酸=99/1、融点171℃、ガラス転移温度:5
7℃、重量平均分子量:200000)
LA2:ポリ乳酸(L−乳酸/D−乳酸=96/4、融点157℃、ガラス転移温度:5
7℃、重量平均分子量:200000)
LA3:ポリ乳酸(L−乳酸/D−乳酸=88/12、ガラス転移温度:57℃、重量平
均分子量:200000)
BDP:ポリブチレンサクシネートアジペート、昭和高分子(株)製ビオノーレ#300
1(融点:95℃、ガラス転移温度:−45℃)
EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン含量44モル%、メルトイン
デックス(190℃、2.16kgf)=2.5
AD1:ポリ乳酸用フィルム柔軟性付与改質材、大日本インキ化学工業(株)製プラメー
トPD350
AD2:ポリ乳酸用可塑剤、グリセリンジアセトモノカプリレート
[実施例1]
シングルサイト系超低密度線状ポリエチレン(αオレフィンコモノマー=ヘキセン−1):LL1にアンチブロッキング剤としてアルミノシリケート系化合物(シルトンJC30)を0.1wt、エルカ酸アミド0.5wt%、及びグリセリンモノオレートとジグリセリンオレートを1:1で混合したものを1.0wt%添加した樹脂組成物をヒートシール層とし、植物由来樹脂としてポリ乳酸系樹脂:LA2を用い、これに柔軟性付与改質剤:AD1を15wt%とトリアリルイソシアヌレート1wt%添加したものを植物由来樹脂層、更に両層の接着層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体:EVA1を用いて、層配置がLL1/EVA1/(LA2+AD1)/EVA1/LL1で、各層の厚み比率(%)が15/10/50/10/15となるように環状5層ダイを用いて押出した後、冷水にて急冷固化して折り幅130mm、厚み約300μmの各層とも均一な厚み精度のチューブ状延伸原反を採取した。ついでこの原反を500kVの電子線照射装置に誘導して、80kGyの吸収線量で架橋処理し、これを2対の差動ニップロール間に通し、延伸開始点の加熱温度を約150℃になるようにしてエアー注入してバブルを形成させ、MDに4.5倍、TDに6.8倍延伸を行い(面積延伸倍率で31倍)、厚み10μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。高収縮性に富み、容器の変形もほとんど無い透明性が良好でタイトな包装体が得られた。この包装体は輸送後の緩み、弛み及びピンホール発生がなく、さらに包装後に30℃、70%相対湿度下に1ケ月放置してもフィルムに全く緩みを生じることが無い、美麗性の維持効果の高いフィルムであった。
[比較例1]
植物由来樹脂層として実施例1と同様な組成(ポリ乳酸系樹脂:LA2、柔軟性付与改質剤:AD1を15wt%、トリアリルイソシアネート1wt%)を用い、これを単層構成として以下実施例1と同様にして延伸を行った。延伸倍率はMDに4.2倍、TDに6.5倍であり、得られたフィルムの厚みは11μmであった。
このフィルムの評価結果を表2に示すが、包装時の仕上がりは良好であるものの、前後のヒートシール線の端部が小さく尖って硬く、また振動試験においてシール部分で破れの発生が認められた。更に包装体を30℃、70%相対湿度下に約1ケ月放置したものはフィルムに明らかな緩みが観察された。
参考例1
シングルサイト系超低密度線状ポリエチレン(αオレフィンコモノマー=ヘキセン−1):LL1にアンチブロッキング剤としてアルミノシリケート系化合物(シルトンJC30)を0.1wt、エルカ酸アミド1.0wt%、及びグリセリンモノオレートとジグリセリンオレートを1:1で混合したものを1.0wt%添加した樹脂組成物をヒートシール層とし、植物由来樹脂としてポリ乳酸系樹脂:LA2を用い、これに柔軟性付与改質剤:AD1を30wt%添加したものを植物由来樹脂層、更に両層の接着層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体:EVA1を用いて、層配置がLL1/EVA1/(LA2+AD1)/EVA1/LL1で、各層の厚み比率(%)が20/10/40/10/20となるように環状5層ダイを用いて押出した後、冷水にて急冷固化して折り幅200mm、厚み約180μmの各層とも均一な厚み精度のチューブ状延伸原反を採取した。
次にこの原反を2対の差動ニップロール間に通し、延伸開始点の加熱温度を約65℃になるようにしてエアー注入してバブルを形成させ、MD方向に4.2倍、TD方向に3.8倍延伸を行い(面積延伸倍率で16.0倍)、厚み11.3μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。特に低温高収縮性に富み、容器の変形もほとんど無い透明性が良好なタイトな包装体が得られ、実施例1と同様、輸送後の緩みやピンホール発生がなく、さらに包装後に30℃、70%相対湿度下に1ケ月放置してもフィルムに全く緩みを生じることが無かった。
[比較例2]
参考例1の樹脂構成(層配置がLL1/EVA1/(LA2+AD1)/EVA1/LL1で、各層の厚み比率(%)が20/10/40/10/20)をそのまま用い、環状ダイからの押出し温度を190℃に調整し、インフレーション法によってブローアップ比率6倍で厚み12.5μmのフィルムを得た。このフィルムの評価結果を表2に示すが、包装直後においては容器に変形はないもののヒートシール線端部に小さな角残りが認められた。得られた包装体を指で押すとその部分が容易に緩み、更に振動試験後はいずれの包装体にも緩みや弛みが認められた。また、透明性にも劣るものであった。
[実施例3〜7]
表1及び表3に示す層構成を用いて、実施例1と同様にしてチューブ状原反を採取し、次いで40〜100kGyの範囲で吸収線量を適宜変えて電子線照射処理を行った後、同様な延伸を行い各フィルムを得た。なお各フィルムの表層には実施例1の表層と同様の添加剤を添加した。得られたフィルムはいずれも透明性に優れ、包装時の仕上がりが良好で輸送後においてもその美麗性を持続可能な実用性の高いものであった。
[比較例3]
実施例1における層構成のうち、ヒートシール層の樹脂:LL1をマルチサイト系線状低密度ポリエチレン:LL4に変更し、また植物由来樹脂層から柔軟性付与改質剤:AD1を除去した層構成を用いて、実施例1と同様に電子線照射処理を行い、延伸開始温度を約115℃に調整して厚み25μmのフィルムを得た。評価結果を表2に示すが、得られたフィルムは、MDの熱収縮力が491mN/cm幅、TDの熱収縮力が674mN/cm幅であり、収縮包装結果はトレーが大きく変形し、また蓋付容器においては一部蓋が容器本体から外れて浮き上がるといった問題が生じた。
[比較例4]
比較例3のフィルムを約100℃の熱風炉で熱弛緩処理し、厚みが31μmでMDの熱収縮力を307mN/cm幅、TDの熱収縮力を477/cm幅に調整し、120℃におけるMDとTDの熱収縮率が各々23%、27%のフィルムを得た。包装仕上がりを評価したが、ヒートシール線両端部に明らかな膨らみが残っており、美麗性に劣るものであった。
参考例2、3、実施例10〜12]
表3及び表4に示す層構成で、実施例1または参考例1と同様な方法で、延伸条件を変更してフィルムを作成した。フィルムの評価結果を同様に表3及び表4に示す。なお、各フィルムの表層には実施例1の表層と同様の添加剤を添加し、電子線照射処理をした場合は40〜80kGyの吸収線量範囲で適宜行った。
また、各実施例の延伸開始温度(℃)と延伸倍率(MD/TD)は、実施例8から順に約65℃と3.7/4.1、約110℃と4.1/4.5、約110℃と4.3/4.7、約150℃と5.4/6.8、そして実施例12が約100℃と4.1/4.5であった。
Figure 0004804203
Figure 0004804203
Figure 0004804203
Figure 0004804203
本発明のフィルムは、食品及び非食品包装等のシュリンク包装分野で好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 少なくとも片側の表面層がヒートシール性樹脂からなり、架橋助剤を含むポリ乳酸系樹脂層を内部層に含み、少なくとも1層が架橋されており、以下の1)及び2)の熱収縮特性を有することを特徴とする多層延伸フィルム。
    1)120℃における、MD又はTD方向の熱収縮率が30%以上である。
    2)80℃〜120℃の全温度範囲において、MD及びTDの熱収縮力が650mN/cm幅以下であり、かつ80℃〜120℃のいずれかの温度において、MD及びTDの熱収縮応力が0.70MPa以上である。
  2. ヒートシール性樹脂が、エチレン系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、プロピレン系共重合体、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン誘導体とのブロック共重合体、及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の多層延伸フィルム。
  3. 少なくとも片側の表面層がヒートシール性樹脂からなり、架橋助剤を含むポリ乳酸系樹脂層を内部層に含む多層構成になるように各層の樹脂を多層ダイにより溶融共押出して急冷し、延伸用原反を採取した後、エネルギー線照射による架橋処理する工程を含み、原反を加熱して少なくとも1方向に面積延伸倍率で5〜60倍に延伸することを特徴とする熱収縮性多層延伸フィルムの製造方法。
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