JP4802753B2 - 注射器 - Google Patents

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Description

本発明は注射器に関し、詳しくは注射器の使用後にカヌラをバレル内に収納することの可能な注射器に関する。
従来、筒状のバレルと、該バレルの先端に保持機構により保持された内ハブと、内ハブの先端に固定されたカヌラと、バレル内を進退動するプランジャと、プランジャの先端に連結されたガスケットとを備えた注射器が用いられている。
このような注射器において、使用後のカヌラが医療従事者に刺さってしまう誤穿刺事故を防止するため、上記ガスケット及び内ハブに係合手段及び被係合手段を設け、注射器の使用後にはこれら係合手段と被係合手段とを係合させてガスケットと内ハブとを連結し、上記プランジャを後退させて上記カヌラを内ハブごとバレル内に収納可能としたものが知られている。(特許文献1)
特開2005−65708号公報
ここで、注射器によって薬品を吸引したり血液を採取する際、一度上記プランジャを前進端に移動させて「ゼロ点合わせ」を行うことが一般的に行われている。
しかしながら上記特許文献1の注射器の場合、プランジャを前進端に移動させて「ゼロ点合わせ」をすると、係合手段と被係合手段とが係合してガスケットと内ハブとが連結してしまい、プランジャを後退させるとカヌラも後退してしまうので、「ゼロ点合わせ」をすることができなかった。
このような問題に鑑み、本発明は注射器の使用後にカヌラをバレル内に収納可能な注射器であって、さらに「ゼロ点合わせ」の可能な注射器を提供するものである。
すなわち請求項1の発明は、筒状のバレルと、該バレルの先端に保持機構により保持された内ハブと、内ハブの先端に固定されたカヌラと、バレル内を進退動するプランジャと、プランジャの先端に連結されたガスケットとを備え、
上記ガスケット及び内ハブに係合手段及び被係合手段を設け、これら係合手段と被係合手段とを係合させてガスケットと内ハブとを連結し、この状態から上記プランジャを後退させることで、上記内ハブを保持機構より離脱させて、上記カヌラを内ハブごとバレル内に収納するようにした注射器において、
上記ガスケットはゴム製であって、上記係合手段をその先端に内蔵すると共に、上記プランジャの先端と上記係合手段との間に空間を形成し、上記係合手段は、有底筒状で底部を後端側に向けた筒状部材と、該筒状部材の内周側に突出する第1突起とから構成され、上記被係合手段は、上記内ハブの後端側に形成されて外周側に突出する第2突起から構成され、
また上記プランジャ内に進退動可能に内芯棒を設け、該内芯棒をプランジャに対して相対的に後退させると、係合手段と上記被係合手段とが接触しても上記ガスケット内の空間が変形して係合手段が後退し、係合手段と上記被係合手段とは係合せず、
上記内芯棒をプランジャに対して相対的に前進させて該内芯棒の先端をプランジャの先端より突出させ、該内芯棒により係合手段を前方に押圧して係合手段の後退を阻止することで、上記内ハブの後端部が上記筒状部材に挿入されて上記第2突起が第1突起よりも後方に移動し、該第1突起と第2突起とが相互に係合することで上記係合手段と上記被係合手段とを係合させることを特徴としている。
上記発明によれば、上記内芯棒をプランジャに対して後退位置に位置させておけば、プランジャを前進端に移動させても、係合手段と被係合手段とは係合しないので、「ゼロ点合わせ」をすることが可能となる。
そして注射器の使用後には、上記内芯棒を前進位置に位置させて係合手段の後退を阻止することで、係合手段と被係合手段とが係合してガスケットと内ハブとが連結されるので、カヌラを内ハブごとバレル内に収納することが可能となる。
以下図示実施例について説明すると、図1は本発明に係る注射器1の断面図を示し、この注射器1は医療従事者の誤穿刺事故防止のため、使用後には下記カヌラ5をバレル2内に収納可能な注射器1となっている。以下、図示左方を注射器1の先端側として説明する。
上記注射器1は、血液や薬品などを貯溜する筒状のバレル2と、該バレル2内を進退動するプランジャ3と、該プランジャ3の先端に連結されて上記バレル2を気密を守った状態で進退動するガスケット4と、先端にカヌラ5の固定された内ハブ6と、当該内ハブ6をバレル2に保持する保持機構としての外ハブ7とから構成されている。
そして本実施例の注射器1は、上記ガスケット4の先端部分に設けられた係合手段8によって、ガスケット4と内ハブ6とを相互に連結することが可能となっており、これらを相互に連結させた状態で上記プランジャ3を後退させると、上記カヌラ5を内ハブ6ごと後退させてバレル2内に収納できるようになっている。
図2、図3はそれぞれ注射器1の先端側及び後端側の拡大図を示し、図2(a)、図3(a)は上記ガスケット4が前進端に位置する注射器1の「ゼロ点合わせ」の状態を、図2(b)、図3(b)は注射器1の使用後にガスケット4と内ハブ6とを相互に連結させた状態をそれぞれ示している。また、図4は上記内ハブ6と外ハブ7との連結状態を示す拡大図となっている。
上記バレル2は筒状の薬液室2aと、薬液室2aの前方に位置して上記外ハブ7の結合される結合部2bと、上記薬液室2aから結合部2bに向けて縮径する傾斜部2cとを備えている。
上記薬液室2aの外周面には薬品や血液量を測定するための目盛が印刷され、図2、図4に示すように上記結合部2bは上記内ハブ6を収容可能な径に製造されるとともに、先端に向けて縮径するテーパ形状を有している。
また図3に示すように、薬液室2aの後端には医療従事者の指をかけるためのバレル側フランジ2dが形成され、薬液室2aの内周面後端には内周に向けて膨出部2eが形成されている。
図1に示すように、上記プランジャ3の中央には貫通孔3aが穿設され、該貫通孔3aを中心に放射状に4枚の板状部材3bが設けられている。上記板状部材3bの先端には円盤状の押圧部3cと、上記ガスケット4と連結するための連結手段3dが形成され、板状部材3bの後端にはプランジャ側フランジ3eが設けられている。
図2に示すように、上記各板状部材3bの途中には同じ位置に切欠き状の脆弱部3fが形成されており、この脆弱部3fを支点にプランジャ3全体を折り曲げると、該脆弱部3fの位置で板状部材3bが破断し、プランジャ3を脆弱部3fの位置で分離することが可能となっている。
上記押圧部3cは上記バレル2の薬液室2aの内径と略同径に製造されており、プランジャ3を後方に移動させると上記薬液室2aの膨出部2eに係合して、プランジャ3がバレル2より脱落するのが防止されるようになっている。
上記連結手段3dには、上記押圧部3cと隣接する位置に凹部が形成されており、該凹部に上記ガスケット4の後端部を係合させることで、プランジャ3とガスケット4とを連結した状態で一体的に進退動させることができるようになっている。
図1に示すように、上記プランジャ3の貫通孔3aには、該貫通孔3aと略同径の内芯棒11が進退動可能に設けられ、当該内芯棒11の後端にはキャップ12が連結されている。
上記内芯棒11の途中には、図2に示すように縮径された脆弱部11aが形成されており、この脆弱部11aは内芯棒11が前進して図2(b)の状態になると、上記プランジャ3の脆弱部3fの位置と一致するようになっている。
そして図3に示すように、上記キャップ12は上記内芯棒11と同径の軸部12aと、該軸部12aよりも後方に形成されたキャップ側フランジ12bとから構成され、軸部12aは内芯棒11の後端に形成された小径部11bに連結されている。
そして本実施例では、内芯棒11をプランジャ3に対して図2(a)、図3(a)に示す後退位置に保持すると共に、図2(b)、図3(b)に示す前進位置のそれぞれの位置に保持することが可能となっており、以下その機構について説明する。
まず、上記内芯棒11の先端には拡径部11cが形成され、これに対して上記プランジャ3の連結手段3dには上記拡径部11cを収容可能な先端側凹部3gが形成されている。
また、上記プランジャ3の上記貫通孔3aの後部には拡径部3hが形成され、この拡径部3hには内周に向けて第4突起及び第6突起としての保持用突起3iが形成されている。さらにプランジャ側フランジ3eには上記キャップ12のキャップ側フランジ12bを収容可能な後端側凹部3jが形成されている。
そして、上記キャップ12の軸部12aには、外周に向けて前方から順に第5、第7突起12c、12dがそれぞれ形成されている。
このような構成から、内芯棒11を上記後退位置に保持するため、上記内芯棒11の拡径部11cをプランジャ3の先端側凹部3g内に収容して内芯棒11の後退を規制すると同時に、上記キャップ12の第5突起12cが貫通孔3aの保持用突起3iの後方で係合するようにして、内芯棒11の前進を規制している。
一方、内芯棒11を上記前進位置に保持するため、上記キャップ12のキャップ側フランジ12bをプランジャ3の後端側凹部3j内に収容して内芯棒11の前進を規制すると同時に、上記キャップ12の第7突起12dが貫通孔3aの保持用突起3iの前方で係合するようにして、内芯棒11の後退を規制している。
そして、内芯棒11を上記後退位置から前進位置に移動させる際には、上記プランジャ側フランジ3eとキャップ側フランジ12bとを相互に接近させるように押圧して、上記第5突起12cおよび第7突起12dが順次保持用突起3iを乗り越えさせることにより、内芯棒11をプランジャ3に対して相対的に前進させることができる。
なお、本実施例では保持用突起3iに第5、第7突起12c、12dをそれぞれ係合させることで、内芯棒11を後退位置及び前進位置に保持するようになっているが、上記保持用突起3iを上記拡径部3h上に2ヶ所に設けることも可能である。
つまり、上記拡径部3hの異なる位置に、2つの保持用突起3iを設け、内芯棒11の後退位置では第4突起としての保持用突起3iに上記第5突起12cが係合するようにし、前進位置では第6突起としての保持用突起3iに第7突起12dが係合するようにすればよい。
上記ガスケット4はゴム製で弾力性を備え、上記バレル2を気密を保った状態で区画し、その後部にはガスケット4内部が中空状となるように空間Sが形成され、ガスケット4の先端には該空間Sの前方に上記係合手段8が内蔵されている。
上記空間Sの径は上記プランジャ3の連結手段3dと略同径に形成されており、該空間Sの後端部には連結手段3dの凹部に係合するために縮径された開口部が形成されている。
そして上記開口部と連結手段3dの凹部とが相互に係合することで、プランジャ3とガスケット4が相互に連結され、プランジャ3の進退動に伴ってガスケット4が進退動するようになっている。
そして、上記空間S内にプランジャ3の連結手段3dの先端が進入するが、連結手段3dの先端と上記空間Sの前方の底面との間には空間が維持され、この空間Sはガスケット4の弾性変形に伴って変形するようになっている。
上記係合手段8はステンレス製で有底の筒状部材8aと、該筒状部材8aの後後端から外周に向けて形成されたフランジ8bと、筒状部材8aの先端に形成された第1突起8cとから構成されている。
ガスケット4の先端には係合手段8の外形と同形状に凹部が形成されており、該凹部に内蔵された係合手段8は上記フランジ8bによってガスケット4に係合し、これにより係合手段8はガスケット4から脱落しないように保持されている。
上記第1突起8cは筒状部材8aの先端から内周面後方に向けて折り曲げられた金属片であり、筒状部材8aの中心を挟むようにして図示上下の2ヶ所に設けられている。また上下の第1突起8cの長さはそれぞれ異なっており、各第1突起8cの後端部の位置が前後方向に異なるようにされている。
上記内ハブ6は筒状の部材であって、前方に形成された上記カヌラ5を保持する保持部6aと、後端に形成されて上記係合手段8の第1突起8cに係合する被係合手段としての第2突起6bと、これら保持部6a及び第2突起6bを連結する筒部6cとから構成されている。
図4に示すように、保持部6aの内径はカヌラ5と同径に製造され、カヌラ5を接着剤等により固定している。また保持部6aの外周には、その先端に前方に向けて縮径するテーパ形状6dが形成され、また後端には外周側に向けて第8突起6eが形成されている。
上記第2突起6bは後方に向けて略半球状に加工され、上記筒部6cによってバレル2の結合部2bよりも後方に位置し、図2(a)に示す「ゼロ点合わせ」の際、第2突起6bと上記係合手段8の第1突起8cとが相互に接触するようになっている。
この図2(a)の「ゼロ点合わせ」の状態、換言すると内芯棒11がプランジャ3に対して後退位置にある状態では、第2突起6bと第1突起8cとが相互に接触しても、第1突起8cの後端が外周に向けて変形せず、係合手段8ごと後方に押圧されて、ガスケット4と内ハブ6とが連結しないようになっている。
そして、ガスケット4と内ハブ6とを連結させるには、上記内芯棒11をプランジャ3に対して前進位置に位置させ、内芯棒11の先端により上記ガスケット4内に形成された空間Sの底面を押圧し、係合手段8の後退を阻止すればよい。
このように内芯棒11が前進位置に位置している状態で、ガスケット4を前進端まで移動させると、図2(b)に示すように第2突起6bは第1突起8cの先端を押し広げながら第1突起8cを通過し、第1突起8cが弾性変形により元の形状に復帰すると、第1突起8cと第2突起6bとが係合して、ガスケット4と内ハブ6とが連結することとなる。
上記外ハブ7は、前方に形成されて上記内ハブ6を保持する保持部7aと、後方に形成されて上記バレル2の結合部2bに連結される連結部7bとから構成されている。
図4に示すように、上記保持部7aの内周には上記内ハブ6のテーパ形状6dと同形状のテーパ形状7cが形成され、内ハブ6のテーパ形状6dと外ハブ7のテーパ形状7cとを密着させることで、バレル2内の薬液等の漏出を防止している。
上記テーパ形状7cの後方には、内ハブ6の第8突起6eの先端部に当接して内ハブ6の前進を規制する段差形状7dが形成され、また該段差形状7dに当接した第8突起6eの後方となる位置には、内周側にむけて第3突起7eが形成されている。
この第3突起7eと内ハブ6の第8突起6eとが係合することにより、たとえばカヌラ5を患者に穿刺して内ハブ6に後方に向かう力が作用しても、内ハブ6の後退を阻止できるようになっている。
一方、上記係合手段8と内ハブ6の第2突起6bを係合させてガスケット4と内ハブ6とを連結した状態で、プランジャ3を後方に移動させると、第8突起6eが第3突起7eを乗り越え、内ハブ6をカヌラ5ごと後退させることができる。
また、内ハブ6を外ハブ7の後方より挿入して相互に連結すると、内ハブ6の先端が上記保持部7aの先端から突出するようになっており、注射器1を製造する際、あらかじめ外ハブ7の後方より内ハブ6を挿入してから内ハブ6にカヌラ5を挿入でき、製造時の事故を防止することができる。
さらに、上記連結部7bの内周面は上記バレル2の結合部2bと同形のテーパ形状に加工され、外ハブ7の内部に結合部2bを挿入すると、外ハブ7と結合部2bとが密着して相互に連結され、内ハブ6がバレル2に保持されることとなる。
以上の構成を有する注射器1の使用方法について説明する。
使用前の状態としては、バレル2内に薬液等は貯溜されておらず、また上記内芯棒11はプランジャ3に対して後退位置に位置し、ガスケット4も前進端に位置していない状態となっている。
そして注射器1に薬品を吸引したり血液を採取する際、医療従事者は最初にプランジャ3を前進させてガスケット4を前進端に位置させて「ゼロ点合わせ」を行う。
このとき、ガスケット4の先端に位置する係合手段8の第1突起8cと内ハブ6の後端の第2突起6bとが接触するが、上記内芯棒11が後退位置に位置しているため、第2突起6bにより係合手段8が後方に押圧され、係合手段8が後方に移動するのに伴ってガスケット4が弾性変形し、空間Sが変形するので、ガスケット4と内ハブ6とが連結されることはない。(図2(a))
また、プランジャ3を前進させる際、医療従事者によってキャップ12も前方に押圧されるが、このときプランジャ3と内芯棒11とは上記保持用突起3iと第5突起12cとによって前進が規制されているので、内芯棒11が前進位置に移動しないようになっている。
この「ゼロ点合わせ」を行ったら、カヌラ5をバイアルや患者に穿刺し、続いてプランジャ3を後退させることでバレル2内に薬液や血液が流入刺せることができ、またプランジャ3を前進させればバレル2内の薬液や血液を放出することができる。
カヌラ5を患者等に穿刺する際、カヌラ5及び内ハブ6には後方に向けて力が作用するが、内ハブ6の第8突起6eと外ハブ7の第3突起7eとが係合しており、内ハブ6は後方に移動するのが規制され、また内ハブ6と外ハブ7に形成されたテーパ形状6d、7cにより、バレル2内の薬液や血液がこれらの間から漏出しないようになっている。
そして、注射器1の使用が終了したら、カヌラ5が医療従事者に誤穿刺される事故を防止するため、以下のようにしてカヌラ5をバレル2内に収納するようになっている。
最初に、プランジャ3のプランジャ側フランジ3eとキャップ12のキャップ側フランジ12bとを相互に接近させるように押圧し、内芯棒11をプランジャ3に対して前進位置に移動させる。
この際、キャップ12の軸部12aに形成された第5突起12cおよび第7突起12dがプランジャ3の貫通孔3aに形成された保持用突起3iを乗り越えて前進し、キャップ側フランジ12bがプランジャ側フランジ3eの後端側凹部3jに収納され、内芯棒11はプランジャ3に対して前進位置に保持される。
内芯棒11が前進位置に位置すると、内芯棒11の先端がプランジャ3の先端よりも前方に突出するとともに、ガスケット4内部に形成された空間Sの底面に接触するようになる。
この状態からプランジャ3を前進端まで移動させると、係合手段8の第1突起8cと内ハブ6の第2突起6bとが接触し、係合手段8が後方に押圧されるが、上記内芯棒11によって空間Sの変形が阻止されて係合手段8は後方に移動することができず、図2(b)に示すように第1突起8cと第2突起6bとが相互に係合し、ガスケット4と内ハブ6とが連結される。
その状態からプランジャ3を後退させると、内ハブ6の第8突起6eが外ハブ7の第3突起7eを乗り越え、カヌラ5を内ハブ6ごとバレル2内に移動させることができる。
なお、プランジャ3が前進端に移動している状態から、内芯棒11を前進位置に位置させるように操作しても、係合手段8の第1突起8cに内ハブ6の第2突起6bを係合させることができ、ガスケット4と内ハブ6とを連結することが可能である。
このようにしてカヌラ5の先端がバレル2内まで引き込まれると、上記係合手段8の第1突起8cの長さが異なり、内ハブ6の第2突起6bと係合する位置が異なるので、内ハブ6は長い下方側の第1突起8c側に傾き、図5に示すようにカヌラ5の先端はバレル2の薬液室2aの内壁に接触する。
このため、その後プランジャ3が前進させても、カヌラ5はバレル2の傾斜部2cによって阻止され、バレル2より突出するのが防止され、医療従事者にカヌラが誤穿刺される事故を防止することができる。
さらに、プランジャ3を後退させて上記脆弱部3fがバレル2の外部にまで露出したら、医療従事者は該脆弱部3fを支点にプランジャ3を折り曲げる。
このとき内芯棒11の脆弱部11aもプランジャ3の脆弱部3fと同じ位置に位置しているので、プランジャ3と内芯棒11はそれぞれ脆弱部3f、16aの位置で破断され、それぞれ2つに分離することができる。
プランジャ3と内芯棒11を脆弱部3f、16aの位置で分離することで、その後プランジャ3が押されてカヌラ5がバレル2より飛び出してしまうのを防止することができ、また分離されたプランジャ3と内芯棒11は、医療用廃棄物としてでなく、通常の廃棄物として廃棄することができる。
なお、上記実施例では上記「ゼロ点合わせ」の際に内ハブ6の第2突起6bによって係合手段8を後方に押圧し、これによりガスケット4内部の空間Sを変形させるようにしていたが、以下のような構成としても良い。
まず、バレル2の薬液室2aと傾斜部2cとの境界部分に段部を形成しておき、その状態で上記ガスケット4を前進端に位置させてその前面外周部分を上記段部に当接させる。
そして、その状態から更にプランジャ3を前進させると、ガスケット4が自ら上記空間Sの内部に向けて弾性変形するようになり、これに伴って上記係合手段8が後方側に移動するので、係合手段8の第1突起8cと内ハブ6の第2突起6bとの係合が阻止される。
ガスケット4と内ハブ6とを連結するには、上記実施例と同様内芯棒11を前進位置に位置させて上記空間Sが変形するのを阻止すれば、ガスケット4が前進端に位置すると、係合手段8の第1突起8cと内ハブ6の第2突起6bとが係合し、ガスケット4と内ハブ6とを連結することができる。
本実施例に係る注射器1の断面図 注射器1の先端側の拡大断面図を示し、(a)は「ゼロ点合わせ」の状態を、(b)は係合手段8と被係合手段とが係合している状態を示す。 注射器1の後端側の拡大断面図を示し、(a)は「ゼロ点合わせ」の状態を、(b)は係合手段8と被係合手段とが係合している状態を示す。 内ハブ6と外ハブ7との係合状態を示す拡大断面図。 注射器1の使用後の状態を示す断面図。
符号の説明
1 注射器 2 バレル
3 プランジャ 3a 貫通孔
4 ガスケット 6 内ハブ
6b 第2突起 7 外ハブ
8 係合手段 8c 第1突起
11 内芯棒 S 空間

Claims (5)

  1. 筒状のバレルと、該バレルの先端に保持機構により保持された内ハブと、内ハブの先端に固定されたカヌラと、バレル内を進退動するプランジャと、プランジャの先端に連結されたガスケットとを備え、
    上記ガスケット及び内ハブに係合手段及び被係合手段を設け、これら係合手段と被係合手段とを係合させてガスケットと内ハブとを連結し、この状態から上記プランジャを後退させることで、上記内ハブを保持機構より離脱させて、上記カヌラを内ハブごとバレル内に収納するようにした注射器において、
    上記ガスケットはゴム製であって、上記係合手段をその先端に内蔵すると共に、上記プランジャの先端と上記係合手段との間に空間を形成し、上記係合手段は、有底筒状で底部を後端側に向けた筒状部材と、該筒状部材の内周側に突出する第1突起とから構成され、上記被係合手段は、上記内ハブの後端側に形成されて外周側に突出する第2突起から構成され、
    また上記プランジャ内に進退動可能に内芯棒を設け、該内芯棒をプランジャに対して相対的に後退させると、係合手段と上記被係合手段とが接触しても上記ガスケット内の空間が変形して係合手段が後退し、係合手段と上記被係合手段とは係合せず、
    上記内芯棒をプランジャに対して相対的に前進させて該内芯棒の先端をプランジャの先端より突出させ、該内芯棒により係合手段を前方に押圧して係合手段の後退を阻止することで、上記内ハブの後端部が上記筒状部材に挿入されて上記第2突起が第1突起よりも後方に移動し、該第1突起と第2突起とが相互に係合することで上記係合手段と上記被係合手段とを係合させることを特徴とする注射器。
  2. 上記係合手段の第1突起は、上記筒状部材の先端より内周面後方に折り曲げた複数の金属片であって、該第1突起は上記筒状部材の中心を挟んで対向する位置に設けられるとともに、その後端部の前後方向の位置をそれぞれ異ならせていることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
  3. バレルの先端には上記内ハブよりも大径の保持部が形成され、
    上記保持機構は、上記保持部の外周に嵌合する大径部および該大径部の先端側に形成された小径部とを備え、
    上記小径部の後部に、内周に向けて膨出する第3突起を形成し、
    上記内ハブと上記第3突起とを相互に係合させることで内ハブの後方への移動を規制する一方、
    上記係合手段と被係合手段とを係合させた状態でプランジャを後退させると、上記内ハブは上記第3突起を乗り越えて後退するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の注射器。
  4. 上記保持機構の小径部の内周面と、上記内ハブの先端部には、それぞれ前方に向けて縮径する同形状のテーパ形状が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の注射器。
  5. 上記内芯棒をプランジャに対して後退位置に保持するため、プランジャの先端に形成された先端側凹部に、内芯棒の先端に形成された拡径部を嵌合させるとともに、上記プランジャの貫通孔内に形成された第4突起に、上記内芯棒の外周に形成した第5突起が上記第4突起よりも後端側に位置するようにして、これら第4突起と第5突起とを相互に係合させるようにし、
    上記内芯棒をプランジャに対して前進位置に保持するため、プランジャの後端に形成された後端側凹部に、内芯棒の後端に形成されたフランジを嵌合させるとともに、上記プランジャの貫通孔内に形成された第6突起に、上記内芯棒の外周に形成した第7突起が上記第6突起よりも先端側に位置するようにして、これら第6突起と第7突起とを相互に係合させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の注射器。
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