JP4801833B2 - 太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンからなる半導体素子の処理方法及びその製造方法に係り、特に、その光劣化の解消対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、文献( D.L.Staebler,C.R.Wronski:Applied Physics Letters,31,No4,p.292,1977)に開示されているように、シリコンの光照射時の電気伝導度(以下、“光伝導度”と呼ぶ)と暗状態の電気伝導度(以下、“暗伝導度”と呼ぶ)とは、光の照射時間の経過につれて急激に減小することが知られている。この現象は“光劣化(S−W効果)”と呼ばれ、アモルファスシリコンの電気伝導度(特に光伝導度)の低下によって太陽電池の光電変換効率が低下するので、できる限りこれを抑制することが重要である。
【0003】
そこで、従来より、アモルファスシリコンの光伝導度の光照射による変化を抑制するために、たとえば以下の方法が採られている。
【0004】
第1の方法として、CVD法によりアモルファスシリコン膜を形成する際に、シランガス(SH4 )の代わりにSiD4 を用いる方法がある(例えば、Koji Dairiki,Seiichi Suzuki,Akira Yamada,Makoto Konagai:Technical Digest of the International PVSEC-9.pp.373 ,1996)。
【0005】
第2の方法として、CVD法において、シランガスの代わりに,SiF4 を用いる方法がある(例えば、Y.Kuwano,M.Ohnisi,H.Nishiwaki,S.Tsuda,H.Shibuya,S.Nakano:Proceeding of 15th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,p.698)。
【0006】
第3の方法として、pin構造を二重にしたpinpin構造を形成して、p層とn層との間のi層の膜厚を薄くすることにより、光劣化を抑制する方法がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、それぞれ以下のような不具合があった。
【0008】
第1の方法では、SiD4 が高価であるに加えて、光照射による光伝導度の変化を多少抑制できるものの、光伝導度の変化を完全になくすことはできないという不具合がある。
【0009】
第2の方法では、SiF4 を用いると、アモルファスシリコンを作成するための放電電力がシランガスを用いた場合の10倍程度に増大するに加えて、形成される膜中に不純物を取り込みやすく膜質が悪化し、しかも、膜が剥離しやすいという不具合がある。
【0010】
第3の方法では、pinpin構造を作成するための製造コストが高くなり、しかも、光劣化を確実に防止することができないという不具合がある。
【0011】
また、上述のような光劣化という現象は、ポリシリコン,微結晶シリコン,単結晶シリコンなどにおいても存在している。たとえば、微結晶シリコンやポリシリコンにおいては特に粒界にシリコンダングリングボンドが多数存在していることが知られている。また、単結晶シリコンにおいても、イオン注入などによってアモルファス構造になった後の回復が不十分な場合などダングリングボンドが存在する。従って、アモルファスシリコン,ポリシリコン,微結晶シリコン,単結晶シリコンなどを太陽電池や光センサなどの光電変換素子を構成する材料として用いたときに、光電変換率などの光特性の劣化を招くおそれがあった。
【0012】
本発明の目的は、アモルファスシリコン,ポリシリコン,単結晶シリコン,微結晶シリコンなどの光劣化の原因となる欠陥の発生を簡易に防止する手段を講ずることにより、実用的なコストによって変換効率の高いシリコン光電変換素子を得るための処理方法及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のシリコン光電変換素子は、CN基を含むシリコン層と、上記シリコン層の上下いずれか一方の側に設けられた導体層とを備えている。
【0014】
これにより、シリコン層中のダングリングボンドなどの欠陥部分,結合の弱い部分,又はひずみのある部分などがCN基と置換された構造、つまり、光の照射によって励起されるキャリアの再結合中心となる欠陥のほとんどない構造が得られる。したがって、光伝導度などの特性の高い,かつ光照射に対する光伝導度の低下など特性の経時劣化のほとんどないシリコン層を備えた特性の高い素子,例えば太陽電池,光センサ,感光体(電子写真)などが得られることになる。
【0015】
上記シリコン層は、アモルファスシリコン,ポリシリコン,微結晶シリコン及び単結晶シリコンから選ばれたいずれか1つの物質により構成されていることが好ましい。
【0016】
上記シリコン光電変換素子において、上記導体層は、太陽電池の下側導体電極であり、上記シリコン層の上に設けられた上側導体電極をさらに備えることにより、太陽光の照射による劣化のない光電変換効率の高い太陽電池が得られる。
【0017】
上記シリコン光電変換素子において、上記下側導体電極と上記シリコン層との間に介設された下側半導体層をさらに備えることにより、素子の吸収スペクトルの幅を拡大することが可能になり、さらに光電変換効率の向上を図ることができる。
【0018】
その場合、上記下側半導体層を、p型又はn型微結晶シリコン,p型又はn型アモルファスシリコン,p型又はn型ポリシリコン及びp型又はn型単結晶シリコンから選ばれた少なくともいずれか1つの物質により構成することができる。
【0019】
また、上記シリコン光電変換素子において、上記上側導体電極と上記シリコン層との間に介設された上側半導体層をさらに備えることがより好ましい。
【0020】
その場合にも、上記上側半導体層を、p型又はn型微結晶シリコン,p型又はn型アモルファスシリコン,p型又はn型ポリシリコン及びp型又はn型単結晶シリコンから選ばれた少なくともいずれか1つの物質により構成することができる。
【0021】
上記シリコン光電変換素子において、上記下側導体電極及び上側導体電極のうち,いずれか一方は太陽光に対して透明な導体により構成され、他方は太陽光に対して不透明な導体により構成されていることにより、太陽光線の吸収効率を高めることができる。
【0022】
上記シリコン光電変換素子において、上記シリコン層と導体層との間に介在する絶縁体層をさらに備えることにより、TFT等の各種素子を構成することが可能となる。
【0023】
上記シリコン光電変換素子において、上記絶縁体層は、二酸化シリコン(SiO2 ),一酸化シリコン(SiO),四窒化三シリコン(Si34 ),シリコンオキシナイトライド,二酸化チタン(TiO2 ),三酸化アルミニウム(Al23 )及び三酸化タングステン(WO3 )から選ばれた少なくともいずれか1つの物質により構成されていることが好ましい。
【0024】
本発明のシリコン光電変換素子の製造方法は、導体材料,半導体材料又は絶縁体材料により構成される基板上にシリコン層を形成する工程(a)と、上記シリコン層にシアノイオンCN- を導入するシアン処理を行なう工程(b)とを含んでいる。
【0025】
この方法により、シリコン層内にシアノイオンCN- が浸透して、シリコン層中のダングリングボンドなどの欠陥部分にシアノイオンが結合して、また、結合の弱い部分,又はひずみのある部分などがCN基と置換される。したがって、光の照射などによってキャリアが励起されても、キャリアの再結合中心となる欠陥がほとんどなくなる。その結果、光伝導度などの特性の高い,かつ光照射に対する光伝導度の低下など特性の経時劣化のほとんどないシリコン層を備えた特性の高い素子が形成される。
【0026】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(a)においては、上記シリコン層として、アモルファスシリコン層,ポリシリコン層,微結晶シリコン層及び単結晶シリコン層から選ばれた少なくともいずれか1つの層を形成することが好ましい。
【0027】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(b)においては、基板全体を、シアノイオンCN- を含む液体中に浸漬することがもっとも簡便な方法である。
【0028】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記基板は絶縁体材料により構成されており、上記工程(a)を行なう前に、上記基板の上に下側導体電極を形成する工程をさらに含み、上記工程(a)においては、上記下側導体電極の上に上記シリコン層を形成することができる。
【0029】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(b)を行なった後又は上記工程(b)を行なう前に、シリコン層の上に上側導体電極を形成する工程をさらに含むことができる。
【0030】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(a)を行なう前に、上記基板の上に下側半導体層を形成する工程をさらに含み、上記工程(a)においては、上記下側半導体層の上に上記シリコン層を形成することができる。
【0031】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(a)を行なう前に、上記基板の上に下側導体電極を形成する工程をさらに含み、上記工程(a)においては、上記下側導体電極の上に上記下側半導体層を形成することができる。
【0032】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(b)を行なった後又は上記工程(b)を行なう前に、上記シリコン層の上に上側導体電極を形成する工程をさらに含むことができる。
【0033】
また、上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(a)を行なった後,上記工程(b)を行なう前に、上記シリコン層の上に上側半導体層を形成する工程をさらに含み、上記工程(b)では、上記上側半導体層の上からシアン処理を行なうことができる。
【0034】
この場合にも、上述のような下側導体電極,下側半導体層の形成についての各工程を付加することができる。
【0035】
上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(a)を行った後に、上記シリコン層の上に絶縁体層を形成する工程をさらに備えることにより、TFT等の各種素子を形成することができる。
【0036】
さらに、上記工程(b)を行った後に、上記絶縁体層の上に導体電極を形成する工程をさらに備えることもできる。
【0037】
また、上記シリコン光電変換素子の製造方法において、上記工程(a)を行なった後、上記工程(b)を行なう前に、上記シリコン層に光を照射する工程をさらに備えていてもよい。
【0038】
本発明のシリコン光電変換素子の処理方法は、シリコン層を有する処理用基板を準備するステップ(a)と、シアノイオンCN- を含む処理液を準備するステップ(b)と、上記処理液を用いて、上記処理用基板のシリコン層内にシアノイオンCN- を導入するシアン処理を行なうステップ(c)とを含んでいる。
【0039】
この方法により、上述のように、処理基板中のシリコン層内の欠陥にCN- イオンを作用させて、シリコンの光電変換特性などの諸特性の改善を図ることができる。
【0040】
上記シリコン光電変換素子の処理方法において、上記ステップ(a)においては、上記シリコン層として、アモルファスシリコン層,ポリシリコン層,微結晶シリコン層及び単結晶シリコン層から選ばれた少なくともいずれか1つの層を有する処理用基板を準備することが好ましい。
【0041】
上記シリコン光電変換素子の処理方法において、上記ステップ(c)においては、処理用基板を上記処理液中に浸漬する方法が簡便である。
【0042】
上記シリコン光電変換素子の処理方法において、上記処理用基板は、上記シリコン層の上に設けられた上側半導体層をさらに備え、上記ステップ(c)においては、上記上側半導体層の上からシアン処理を行なうことができる。
【0043】
上記シリコン光電変換素子の処理方法において、上記ステップ(c)を行なう前に、上記処理用基板の上記シリコン層に光が照射されている場合にも、光照射によって光伝導度が劣化したシリコン層の光伝導度を回復させることが可能になる。
【0044】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1(a)〜図1(d)は、本発明の第1の実施形態に係る素子の1要素となるアモルファスシリコン薄膜の製造工程を示す断面図である。本実施形態においては、アモルファスシリコン薄膜の光劣化を、シアノイオン(CN- )を有する化合物(シアン化合物)にさらすことによって改善したアモルファスシリコン薄膜の形成方法について説明する。
【0045】
まず、図1(a)に示す工程で、ガラス基板1を準備し、このガラス基板1の主面を洗浄して、主面を清浄にしておく。
【0046】
次に、図1(b)に示す工程で、ガラス基板1をプラズマCVD用のチャンバー(図示せず)内に設置し、チャンバー内を排気して、10-8〜10-6Paまで減圧する。そして、チャンバー内にシラン(SiH4 )ガスを、チャンバー内の圧力が約13Paになるように流す。そして、プラズマ発生用電極に13.56MHzの高周波を印加して、プラズマを発生させる。その際、RFパワーは約0.04Wcm-2,基板温度は約250℃とする。約60分の反応により、図1(b)に示すように、ガラス基板1の上には、厚みが約500nmのi型(イントリンシック)アモルファスシリコン薄膜2が形成された。このグロー放電法によって形成されたアモルファスシリコン薄膜2中のシリコン原子の未結合手は水素によって終端されている。つまり、アモルファスシリコン薄膜2はいわゆる水素化アモルファスシリコンによって構成されている。
【0047】
次に、図1(c)に示す工程で、処理用基板をプラズマCVD処理用チャンバーから取り出して、基板を真空蒸着用チャンバー内に設置する。ただし、同じチャンバ内でCVDと真空蒸着とを行なってもよい。そして、真空蒸着用チャンバーの中で、真空蒸着法により、i型アモルファスシリコン薄膜2の上に、電気伝導度測定用の2本のT型アルミニウム電極3を形成する。その際、2本のT型アルミニウム電極3同士のギャップを0.1mmとしている。
【0048】
次に、図1(d)に示す工程で、処理用基板を真空蒸着用チャンバーから取り出して、処理槽6中の濃度0.01モル,25℃のシアン化カリウム(KCN)水溶液4中に浸漬する。その後、基板を100℃の超純水中に浸漬して、10分間の洗浄を行なう(以下、“シアン処理”と呼ぶ)。
【0049】
ここで、このシアン処理においては、シアン化カリウム(KCN)の代わりにシアン化ナトリウム(NaCN)などの他のシアン化合物を用いてもよい。また、このシアン処理を行なってから、図1(c)に示す工程を行なって、T型アルミニウム電極3を形成してもよい。
【0050】
図2は、本実施形態のシアン処理を行なったアモルファスシリコン薄膜の光伝導度の変化を示す図である。同図において、横軸は光の照射時間(分)を表し、縦軸は光伝導度(Scm-2)(つまり光を照射しているときの電気伝導度)を表している。光照射は、擬似太陽光源AM1.5を用い、強度を100mWcm-2として行なっている。図2からわかるように、アモルファスシリコン薄膜を形成してからシアン処理を行なった場合、アモルファスシリコン薄膜に光を照射しても光伝導度はほとんど変化していない。
【0051】
一方、図3は、シアン処理を行なっていないアモルファスシリコン薄膜の光伝導度を示す図である。図3における横軸と縦軸とは、図2と同じパラメータを表している。図3からわかるように、シアン処理を行なっていないアモルファスシリコン薄膜に光を照射すると、時間の経過につれて光伝導度が減小していく。
【0052】
すなわち、図2及び図3のデータを併せると、アモルファスシリコン薄膜の光劣化がシアン処理によって確実に防止されていることがわかる。しかも、シアン処理を行なったアモルファスシリコン薄膜の光伝導度は、シアン処理を行なわなかったアモルファスシリコン薄膜の光照射前の光伝導度よりも大きい。すなわち、シアン処理により、アモルファスシリコン薄膜が形成された時点で存在している光伝導度の低下の原因となるもの(欠陥,再結合中心など)が消滅して、使用開始時からの光伝導度自体が向上しているものと考えられる。
【0053】
そして、この光伝導度の向上により、このアモルファスシリコン層を光電変換素子の要素として使用すれば、高い光電変換効率を発揮することが期待される。
【0054】
なお、本実施形態のアモルファスシリコン薄膜については、暗伝導度(光を照射しない状態での電電気伝導度)も測定している。図4は、本実施形態におけるシアン処理を行なったアモルファスシリコン薄膜の光照射時間に対する暗伝導度の変化を示す図であって、光を照射し、所定時間後に光を遮断して暗伝導度を測定した結果得られたデータを示している。同図に示すように、アモルファスシリコン薄膜にシアン処理を行なうことにより、光照射を行なっても暗伝導度は変化しないことがわかる。一方、図5は、シアン処理を行なっていないアモルファスシリコン薄膜の光照射時間に対する暗伝導度の変化を示す図である。同図に示すように、シアン処理を行なわなかった場合は、暗伝導度が光の照射時間の経過につれて、著しく低下していることがわかる。
【0055】
ここで、暗伝導度自体は、光電変換効率にはあまり関与しないファクターと考えられるが、暗伝導度の安定化は電子写真感光体や光センサの特性向上に有用である。図4及び図5に示されるデータからも、本実施形態のアモルファスシリコン薄膜により、従来問題となっていた光劣化を有効に防止し、素子の信頼性を高めうることが裏付けられている。
【0056】
−シアン処理によって光伝導度特性が改善される機構−
以上のようなシアン処理によってアモルファスシリコン薄膜の光劣化が防止され、かつ、光伝導度自体が向上する理由が現時点で発明者によって解明されているわけではないが、発明者がもっとも合理的と考えている機構について、以下、説明する。
(A)光照射前にシアン処理を行なう場合
図12(a)及び図12(b)は、それぞれアモルファスシリコン薄膜の形成直後とシアン処理後とにおけるアモルファスシリコン薄膜の原子の結合状態を模式的に示す図である。
【0057】
図12(a)に示すように、水素化アモルファスシリコン薄膜を形成した直後においては、アモルファスシリコン薄膜中において、相隣接するSi原子間で結合されていない部分はほとんどH原子で終端されていると考えられる。しかし、このH原子によって終端されていてもその結合力が弱い部分があり得る。また、Si原子同士が結合している部分においても、その結合力が弱かったり、大きなひずみが存在していることがあり得る。結晶構造体に比べ、アモルファス構造体においては、各原子の並びが不規則であるためにそのような局部的に結合力の弱い結合部や、大きなひずみを有する結合部が多く存在しているものと考えられる。そして、アモルファスシリコンに光が照射されると、これらの不完全な結合部にダングリングボンドや欠陥準位が生成される。欠陥準位は、禁制帯内にエネルギー準位を有しているので、これが再結合中心として機能することにより、光伝導度が低下する,つまり光劣化が生じるものと考えられる。
【0058】
ところが、このアモルファスシリコン薄膜をシアン化合物の溶液中に浸漬することによって、図12(b)に示すように、アモルファスシリコン薄膜中の固有のダングリングボンドや、結合力の弱い結合部やひずみが存在する結合部などの不完全な結合にCN- イオンが作用して、Si−CN結合が形成されると考えられる。Si−CN結合は強固であるので、光照射によって切断されることはない。すなわち、不完全な結合部などが光照射に対して不活性化され、光照射に対して光劣化のない安定なアモルファスシリコン薄膜となる。また、光照射前にアモルファスシリコン薄膜中に存在していた欠陥準位も消失あるいは減少するために、光伝導度が向上すると考えられる。また、CN- イオンは小さなイオンであるので、アモルファスシリコン薄膜の表面から容易にアモルファスシリコン薄膜の内部に浸透することができ、その内部の不完全な結合に作用して、これを不活性化すると考えられる。
(B)光照射後にシアン処理を行なう場合
図13(a),図13(b)は、それぞれ光照射を受けた直後とその後シアン処理がされた後におけるアモルファスシリコン薄膜の原子の結合状態を模式的に示す図である。
【0059】
図13(a)に示すように、アモルファスシリコン薄膜に光照射を行なうと、上述のような結合力の弱い結合部、ひずみの存在する結合部などの不完全な結合部において、結合状態が破壊されてダングリングボンドなどの欠陥が生成する。このダングリングボンドなどの欠陥は、アモルファスシリコンの禁制帯中にエネルギー準位を有しているので、光伝導度の低下をもたらす。
【0060】
ところが、このアモルファスシリコン薄膜をシアン化合物の溶液に浸漬すると、図13(b)に示すように、ダングリングボンド等の欠陥にCN- イオンが作用して、Si−CN結合が形成されると考えられる。その結果、アモルファスシリコン薄膜の光伝導度が回復し、その後の光照射によっても光伝導度が低下することがないものと考えられる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態においては、光照射が行なわれて光劣化が生じたアモルファスシリコン薄膜の光伝導度を回復させるための処理について説明する。
【0062】
本実施形態においても、アモルファスシリコン薄膜は、シアン処理工程を除いて、上記第1の実施形態と同じ工程によって形成されたものである。すなわち、図1(c)に示すように、ガラス基板1の上に形成されたアモルファスシリコン薄膜2であって、図1(d)に示すシアン処理は施されていない。
【0063】
図6は、本実施形態に係るアモルファスシリコン薄膜に光照射を行なったときの光照射時間の経過に対する光伝導度の変化を示す図である。ここでは、アモルファスシリコン薄膜の形成後、擬似太陽光線MA1.5を強度100mWcm-2で500時間の間照射した後、アモルファスシリコン薄膜にシアン処理を施し、その後、再び光照射を続けている。このシアン処理は、上記第1の実施形態と同様の条件の下で図1(d)に示すように行なっている。
【0064】
図6に示されるように、いったん光照射によって光劣化が生じたアモルファスシリコン薄膜に対しても、シアン処理を行なうことにより、光伝導度を回復させることができることがわかる。しかも、このデータでは、シアン処理が施されたアモルファスシリコン薄膜の光伝導度は、アモルファスシリコン薄膜に光を照射する前の光伝導度よりも高い値まで回復し、その後光照射を続けても低下していない。
【0065】
従って、本実施形態のシアン処理によって、光劣化が生じたアモルファスシリコン薄膜の光伝導度を回復させることができる。つまり、本実施形態のアモルファスシリコン薄膜を太陽電池に応用することにより、使用中に光劣化によって光電変換効率が低下した太陽電池の光電変換効率を回復させることができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、上記第1の実施形態のアモルファスシリコン薄膜の応用である太陽電池に関する第3の実施形態について説明する。図7(a)〜図7(f)は、本実施形態におけるアモルファスシリコン太陽電池の製造工程を示す断面図である。
【0067】
まず、図7(a)に示す工程で、透明導体材料である酸化すず(SnO2 )により構成されるSnO2 基板11を準備して、SnO2 基板11を洗浄する。なお、SnO2 基板に代えて、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明導体材料からなる基板を用いてもよい。
【0068】
次に、図7(b)に示す工程で、SnO2 基板11をプラズマCVD用3室分離真空槽(図示せず)内に取り付けて、真空槽内を排気して10-8〜10-6Paまで減圧する。さらに、プラズマCVD用3室分離真空槽の第1反応室において、水素と、水素によって10%に希釈されたシラン(SiH4 )ガスとを、第1反応室内の圧力が約13Paになるように流す。このシランガスには0.1〜数%(例えば約1.5%)のジボラン(B26 )が含まれている。なお、ジボランに代えてトリメチルボロン(B(CH)3 )を用いることもできる。この雰囲気中で、基板温度を250℃とし、13.56MHzの高周波電力を約0.5Wcm-2のパワーで印加して、第1反応室内にプラズマを発生させる。この処理により、SnO2 基板11の上に、厚みが約20nmのp型シリコン微結晶層12が形成される。
【0069】
次に、図7(c)に示す工程で、処理用基板を、プラズマCVD用3室分離真空槽(図示せず)のうちの第1反応室から第2反応室に移動させて、第2反応室内に、シラン(SiH4 )を、第2反応室内の圧力が約13Paになるように流す。この雰囲気中で、基板温度を約250℃とし、13.56MHzの高周波電力を約0.04Wcm-2のパワーで印加して、第2反応室内にプラズマを発生させる。この処理により、p型シリコン微結晶層12の上に、厚みが約0.5μmのi型アモルファスシリコン層13が形成される。
【0070】
次に、図7(d)に示す工程で、処理用基板を、プラズマCVD用3室分離真空槽(図示せず)のうちの第2反応室から第3反応室に移動させて、第3反応室内に、水素と、水素によって10%に希釈されたシラン(SiH4 )とを、第3反応室内の圧力が約13Paになるように流す。このシランガスには0.1〜数%(例えば約1.5%)のフォスフィン(PH3 )が含まれている。この雰囲気中で、基板温度を320℃とし、13.56MHzの高周波電力を約0.5Wcm-3のパワーで印加して、第3反応室内にプラズマを発生させる。この処理により、i型アモルファスシリコン層13の上に、厚みが約20nmのn型シリコン微結晶層14が形成される。
【0071】
次に、図7(e)に示す工程で、処理用基板をプラズマCVD用3室分離真空槽から取り出して、処理槽18内で濃度0.01モル,温度25℃に調整されたシアン化カリウム水溶液15に、2分間浸漬する。その後、処理用基板を100℃の超純水によって洗浄する。
【0072】
次に、図7(f)に示す工程で、n型シリコン微結晶層14の上に、裏面電極となるアルミニウム電極16を形成する。
【0073】
なお、アルミニウム電極16を形成してから、図7(a)に示すシアン処理工程を行なってもよい。
【0074】
その後の工程は図示しないが、アルミニウム電極16とSnO2 基板11とからリード線を引き出すことにより、光劣化のほとんどないi型アモルファスシリコン層13を有する太陽電池として使用することができる。
【0075】
本実施形態の製造工程により形成されるアモルファスシリコン太陽電池においても、上記第1の実施形態と同様に、光劣化のないi型アモルファスシリコン層13が得られることが確認された。これは、n型シリコン微結晶層14によって覆われているアモルファスシリコン層13までCN- 基が侵入できることによるものと推定される。
【0076】
したがって、本実施形態のアモルファスシリコン太陽電池によると、光劣化のない、かつ、光伝導度の高いi型アモルファスシリコン層13を有しているので、光電変換効率の高い、かつ、光照射後にも光電変換効率の低下のないアモルファスシリコン太陽電池を得ることができる。
【0077】
(第4の実施形態)
次に、集積型アモルファスシリコン太陽電池に関する第4の実施形態について説明する。
【0078】
図8は、本実施形態における集積型アモルファスシリコン太陽電池の一部を示す断面図である。同図に示すように、ガラス基板20の上には、多数のセルが集積して設けられており、各セルは、酸化すず(SnO2 )等の透明導体材料(TCO:Transparent Conductive Oxide)からなる透明電極21aと、アモルファスシリコン層を含む半導体層22aと、半導体層22aの両側面上に形成された絶縁体サイドウォールSWと、アルミニウム等の金属からなる裏面電極23aとを備えている。
【0079】
図9は、図8に示す太陽電池の1つのセルの一部を拡大して示す断面図である。同図に示すように、半導体層22aは、さらに3つの層に分かれている。すなわち、下方から順に、p型不純物であるボロンがドープされたp型シリコン微結晶層25と、不純物がドープされていないi型アモルファスシリコン層26と、n型不純物であるリンがドープされたn型シリコン微結晶層27とが積層されており、これらの積層膜によって半導体層22aが構成されている。
【0080】
そして、1つのセルの裏面電極23aは、半導体層22aの最上部に設けられているn型シリコン微結晶層27に接続されているとともに、当該セルに隣接するセルの透明電極21aにも接続されている。つまり、各セル同士が直列に接続された構造となっている。
【0081】
ここで、透明電極21aには、SnO2 のほかITO(Indium Tin Oxide)などを用いてもよい。また、裏面電極23aには、アルミニウムのほかステンレス等の他の金属を用いてもよい。
【0082】
図10(a)〜図10(d)は、本実施形態におけるアモルファスシリコン太陽電池の製造工程のうちシアン処理を行なうまでの工程を示す断面図である。図11(a)〜図11(c)は、本実施形態におけるアモルファスシリコン太陽電池の製造工程のうちシアン処理の終了後裏面電極の形成までの工程を示す断面図である。
【0083】
まず、図10(a)に示す工程で、ガラス基板20の上に、真空蒸着法によりSnO2 膜21を形成し、さらに、図10(b)に示す工程で、SnO2 膜21をパターニングして、透明電極21aを形成する。このとき、SnO2 膜21をパターニングする方法としては、SnO2 膜21の上に、透明電極21aとして残す部分を覆うメタルマスク又はレジストマスクを作成してから、エッチングによりSnO2 膜21をパターニングする方法や、レーザーでSnO2 膜21を選択的に除去しながら透明電極21aのパターンに仕上げる方法などがあり、いずれを用いてもよい。
【0084】
次に、図10(c)に示す工程で、基板上に、図9に示す構造を有する積層膜22を堆積する。このときの手順は、第3の実施形態において説明したとおりである。すなわち、処理用基板をプラズマCVD用3室分離真空槽(図示せず)内に取り付けて、真空槽中の第1反応室内で厚みが約20nmのp型シリコン微結晶層25を、第2反応室内で厚みが約0.5μmのi型アモルファスシリコン層26を、第3反応室内で厚みが約20nmのn型シリコン微結晶層27を、それぞれ第3の実施形態において説明した条件下において形成する。
【0085】
次に、図10(d)に示す工程で、処理用基板をプラズマCVD用3室分離真空槽から取り出して、処理槽30内で濃度0.01モル,温度25℃に調整されたシアン化カリウム水溶液31に、2分間浸漬する。その後、処理用基板を100℃の超純水によって洗浄する。
【0086】
次に、図11(a)に示す工程で、積層膜22をパターニングして、各セルごとに分離され、透明電極21aの上面から一方の側面にまたがる半導体層22aを形成する。次に、基板の全面上にシリコン酸化膜を堆積し、異方性エッチングによりシリコン酸化膜をエッチバックして、各半導体層22aの両側面上に絶縁体サイドウォールSWを形成する。
【0087】
次に、図11(b)に示す工程で、基板の全面上にアルミニウム膜23を堆積した後、図11(c)に示す工程で、このアルミニウム膜23をパターニングして、裏面電極23aを形成する。このとき、1つのセルの裏面電極23aは、半導体層22a中のn型シリコン微結晶層27から一方の絶縁体サイドウォールSWを経て当該セルに隣接するセルの透明電極21aまで延びるようにパターニングされる。つまり、1つのセルの裏面電極23aは、半導体層22a中の最上部に位置するn型シリコン微結晶層27に接触するとともに、当該セルに隣接するセルの透明電極21aにも接触している。
【0088】
なお、図11(b)又は図11(c)に示す工程の後で、図10(d)に示すシアン処理を行なってもよい。
【0089】
以上の工程によって、図8に示す集積型アモルファスシリコン太陽電池が形成される。
【0090】
本実施形態の集積型アモルファスシリコン太陽電池及びその製造方法によると、所望の電圧値を得るための太陽電池の構造を容易に得ることができる。そして、この集積型アモルファスシリコン太陽電池においても、上記第3の実施形態と同様に、光電変換効率の向上と、光伝導度の低下に起因する光電変換効率の低下の防止とを図ることができる。
【0091】
(第5の実施形態)
次に、単結晶シリコン又はポリシリコンを用いた太陽電池に関する第5の実施形態について説明する。図14は、本実施形態における太陽電池の構造を示す斜視図である。
【0092】
動ずに示すように、本実施形態の太陽電池は、単結晶シリコン又はポリシリコンからなりp型不純物(たとえばボロン)を含むpシリコン層41と、単結晶シリコン又はポリシリコンからなりn型不純物(たとえばリン)を含むn+ シリコン層42とを積層してなるpn接合シリコン層40を備えている。そして、pシリコン層41の下面には裏面電極43が設けられ、n+ シリコン層42の上面にはシリコンとは屈折率の異なる絶縁体材料(たとえばシリコン酸化膜)からなる反射防止膜44と、反射防止膜44の一部に設けられた開口部を介してn+ シリコン層42に接触するフィンガー電極45とが設けられている。
【0093】
ここで、本実施形態の太陽電池の製造工程においては、たとえば、以下の手順による処理を行なう。まず、単結晶シリコン薄板,ポリシリコンリボンなどに、不純物の拡散によりpn接合シリコン層40を形成した後に、上記第2,第3の実施形態と同様に、処理槽内でシアン化カリウム水溶液などのシアン化物溶液に浸漬する処理を行なう。このシアン処理の後、反射防止膜44の形成と、フィンガー電極45,裏面電極43の形成とを行なう。ただし、反射防止膜44の形成直後、又はフィンガー電極45の形成直後にシアン処理を行なってもよい。
【0094】
したがって、本実施形態の単結晶シリコン又はポリシリコン太陽電池によると、シアンか処理によってpシリコン層41及びn+ シリコン層42中のダングリングボンドを終端させることにより、光劣化のない、かつ、光伝導度の高いpシリコン層41及びn+ シリコン層42が得られるので、光電変換効率の高い、かつ、光照射後にも光電変換効率の低下のない太陽電池を得ることができる。
【0095】
特に、ポリシリコン太陽電池においては、ポリシリコンの粒界などに多く存在するダングリングボンドの存在によって太陽光の照射による光劣化が生じやすいが、本実施形態のシアン処理を行なうと、ダングリングボンドがCN- 基により終端されるので、光劣化が生じたポリシリコン薄膜の光伝導度を回復させることができる。
【0096】
(その他の実施形態)
上記第3,第4の実施形態においては、i型アモルファスシリコン層の上下にp型又はn型のシリコン微結晶層を設けたが、これらのシリコン微結晶層のうちの双方又はいずれか一方のシリコン微結晶層は必ずしも必要でない。金属−i型アモルファスシリコン層間のショットキー接合又はオーミック接合を介して、電荷を電極に取り出すようにしてもよいからである。
【0097】
また、第3,第4の実施形態におけるi型アモルファスシリコン層の上下双方に又は上下のうちいずれか一方の側に、シリコン微結晶層に代えて、p型アモルファスシリコン及びn型アモルファスシリコンなどからなる半導体層を設けてもよい。
【0098】
さらに、第3,第4の実施形態におけるi型アモルファスシリコン層に代えて、i型シリコン微結晶層を設けてもよい。
【0099】
また、上記第5の実施形態においては、pシリコン層41とn+ シリコン層42とが直接接触しているpn接合シリコン接合層40を設けたが、pシリコン層41とn+ シリコン層42との間にiシリコン層を介在させて、pin接合構造にしてもよい。
【0100】
上記各実施形態においては、シアン処理方法として、アモルファスシリコン層が形成されている処理用基板を、シアノイオンを含む液体中に浸漬する方法のみを開示しているが、そのほかにも、処理用基板の表面にKCN,NaCN等のシアノイオンを含む液体を流す方法や、処理用基板の表面にシアノイオンを含む液体を噴霧する方法などがあり、いずれを用いても上記各実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0101】
また、上記第2〜第5の実施形態においては、シリコン光電変換素子として太陽電池を構成した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば複写機に用いられる感光ドラムやTFTなどの各種シリコン光電変換素子に用いることができる。
【0102】
特に、アモルファスシリコン層,ポリシリコン層又はシリコン微結晶層と導体層との間に介在する絶縁体層をさらに設けることで、TFTなど各種の光電変換素子を得ることができる。その場合、絶縁体層を構成する材料としては、二酸化シリコン(SiO2 ),一酸化シリコン(SiO),四窒化三シリコン(Si34 ),シリコンオキシナイトライド,二酸化チタン(TiO2 ),三酸化アルミニウム(Al23 )及び三酸化タングステン(WO3 )から選ばれた少なくともいずれか1つの物質により構成されていることが好ましい。
【0103】
上記第3,第4の実施形態において、基板をアルミニウム,ステンレスなどの不透明な金属により構成し、電極を透明導体材料(TCO)により構成してもよい。
【0104】
上記第3,第4及び第5の実施形態においては、ガラス基板に代えて、プラスチックフィルム,プラスチックフィルム上にステンレス膜やアルミニウム膜を形成したものを用いることもできる。
【0105】
【発明の効果】
本発明のシリコン光電変換素子,その製造方法又はその処理方法によると、シアン化処理によってシリコン層中の結合の欠陥部分にCN- 基を導入することで、光照射に対する光伝導度の低下の防止と、光伝導度の向上とにより、光電変換特性の高い太陽電池などの提供を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る太陽電池の1要素となるアモルファスシリコン薄膜の製造工程を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態のシアン処理を行なったアモルファスシリコン薄膜の光照射時間に対する光伝導度の変化を示す図である。
【図3】シアン処理を行なっていない従来のアモルファスシリコン薄膜の光照射時間に対する光伝導度の変化を示す図である。
【図4】第1の実施形態におけるシアン処理を行なったアモルファスシリコン薄膜の光照射時間に対する暗伝導度の変化を示す図である。
【図5】シアン処理を行なっていない従来のアモルファスシリコン薄膜の光照射時間に対する暗伝導度の変化を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係るアモルファスシリコン薄膜に光照射を行なったときの光照射時間の経過に対する光伝導度の変化を示す図である。
【図7】(a)〜(f)は、第3の実施形態におけるアモルファスシリコン太陽電池の製造工程を示す断面図である。
【図8】第4の実施形態における集積型アモルファスシリコン太陽電池の一部を示す断面図である。
【図9】図8に示す太陽電池の1つのセルの一部を拡大して示す断面図である。
【図10】(a)〜(d)は、第4の実施形態におけるアモルファスシリコン太陽電池の製造工程のうちシアン処理を行なうまでの工程を示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、第4の実施形態におけるアモルファスシリコン太陽電池の製造工程のうちアイアン処理の終了後裏面電極の形成までの工程を示す断面図である。
【図12】(a),(b)は、それぞれアモルファスシリコン薄膜の形成直後とシアン処理後とにおけるアモルファスシリコン薄膜の原子の結合状態を模式的に示す図である。
【図13】(a),(b)は、それぞれ光照射を受けた直後とその後シアン処理がされた後におけるアモルファスシリコン薄膜の原子の結合状態を模式的に示す図である。
【図14】第5の実施形態におけるシリコン太陽電池の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 i型アモルファスシリコン層
3 T型アルミニウム電極
4 シアン化カリウム水溶液
6 処理槽
11 SnO2 基板
12 p型シリコン微結晶層
13 i型アモルファスシリコン層
14 n型シリコン微結晶層
15 シアン化カリウム水溶液
16 アルミニウム電極
18 処理槽
20 ガラス基板
21 SnO2
21a 透明電極
22 積層膜
22a 半導体層
25 p型シリコン微結晶層
26 i型アモルファスシリコン層
27 n型シリコン微結晶層
30 処理槽
31 シアン化カリウム水溶液
41 pシリコン層
42 n+ シリコン層
43 裏面電極
44 反射防止膜
45 フィンガー電極

Claims (10)

  1. CN基を含むi型シリコン層と、
    記i型シリコン層の上側に接して形成された第1導電型の上側半導体層と
    前記i型シリコン層の下側に接して形成された第2導電型の下側半導体層と、
    前記上側半導体層の上に形成された上側導体電極と、
    前記下側半導体層の下に形成された下側導体電極とを備え、
    前記CN基は、前記i型シリコン層の内部に存在していることを特徴とする太陽電池
  2. 前記i型シリコン層は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン及び単結晶シリコンのうちの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池
  3. 前記上側半導体層及び前記下側半導体層は、微結晶シリコン、アモルファスシリコン、ポリシリコン及び単結晶シリコンのうちの少なくとも1つからなり
    前記上側半導体層及び前記下側半導体層のうちの一方はn型であり、他方はp型であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池
  4. 前記下側導体電極及び上側導体電極の一方は、太陽光に対して透明な導体からなり、
    前記下側導体電極及び上側導体電極の他方は、太陽光に対して不透明な導体からなることを特徴とする請求項に記載の太陽電池
  5. 順次形成された下側導体電極、第1導電型の下側シリコン層、i型のシリコン層、第2導電型の上側シリコン層及び上側導体電極を有する太陽電池の製造方法であって、
    基板の上に、前記下側シリコン層と、前記i型のシリコン層と、前記上側シリコン層とをこの順に接するように順次形成する工程(a)と、
    前記工程(a)よりも後に、前記i型のシリコン層の内部にシアノイオンを導入するシアン処理を行う工程(b)とを備え
    前記工程(b)は、前記基板を前記シアノイオンを含む溶液に浸漬する工程であることを特徴とする太陽電池の製造方法。
  6. 前記i型のシリコン層は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン及び単結晶シリコンのうちの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記基板は、絶縁体材料からなり、
    前記工程(a)よりも前に、前記基板の上に前記下側導体電極を形成する工程(d)をさらに備え、
    前記工程(a)では、前記下側導体電極の上に、前記下側シリコン層と、前記i型のシリコン層と、前記上側シリコン層とをこの順に接するように順次形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記基板は、導体材料からなり、
    前記基板は、前記下側導体電極として機能することを特徴とする請求項5又は6に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記工程(a)よりも後に、前記上側シリコン層の上に前記上側導体電極を形成する工程(e)をさらに備えていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  10. 前記工程(e)において、上側導体電極は、前記上側シリコン層の上に選択的に形成され、
    前記工程(e)は、前記工程(b)よりも前に行うことを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
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