JP4800528B2 - 展開干渉形状を有する板状部品の成形方法 - Google Patents

展開干渉形状を有する板状部品の成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、展開干渉形状を有する板状部品をプレス成形により成形する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プレス加工により板材の一部を打ち抜き、打ち抜いて残った部分を曲げ加工することで、床部から突出した壁部を有する板状部品を成形する加工技術が知られている。かかる加工技術で成形される板状部品には、壁部を床部と同一の平面上に展開したときに、壁部と床部あるいは壁部同士の間に重なる部分が生じる場合がある。例えば、図1、図2に示す板状部品30は、床部12と、床部12に対して垂直に立上がる高壁(壁部)20を有する。図2より明らかなように、二つの高壁20を床部12と同一平面上に展開すると、高壁20の先端の一部が重なり合う。即ち、それぞれの高壁20の高さをB1,B2とし、二つの高壁20間の距離をAとした場合に、B1+B2>Aとなっている。このように壁部を床部と同一平面上に展開したときに、部材同士が重なりを生じる板状部品の形状を、本明細書では展開干渉形状という。
この展開干渉形状を有する板状部品を成形する従来の方法について図1及び図2を参照して説明する。従来の方法では、まず、図1の点線に示すように板材10を打ち抜いて高壁20となる部分を成形する。次に、打ち抜かれた部分10aを板材10に対して垂直となるように折り曲げる。折り曲げた部分は、折り曲げただけでは長さが足らないので、この部分をさらに引き伸ばす(しごく)ことによって高壁20を成形する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の成形方法では、曲げられた部分を引き伸ばすことによって高壁、即ち展開したときに干渉する部分が成形される。この曲げられた部分を引き伸ばす際の引き伸ばし量が大きいと、高壁の板厚が大きく減少して強度が極端に低下する。したがって、一定の強度を備えた展開干渉形状を有する板状部品を提供するためには、その引き伸ばし量が制限されることとなる。このため、板状部品の形状によっては上記従来技術によって成形できない場合があった。
なお、上記従来技術で成形できない場合でも、ダイカスト鋳造法や燒結法等の方法を用いて成形することも可能であるが、ダイカスト鋳造法や焼結法では製造コストが高くなるといった問題を有している。
【0004】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ダイカスト鋳造法や焼結法を用いることなく、従来技術では成形困難であった展開干渉形状の板状部品を成形可能とする技術を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段と作用と効果】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の成形方法は、床部と、床部表面から突出する一又は複数の壁部とを有し、壁部を床部と同一平面上に展開したときに壁部と床部あるいは壁部同士が干渉する特定の展開干渉形状を有する板状部品の成形方法であって、壁部に成形される壁相当部を、その一端が板材に接続された状態で第1の位置に板材を打ち抜いて成形する板材打ち抜き工程と、成形された壁相当部を板材に対して曲げる曲げ工程と、曲げられた壁相当部が前記特定の展開干渉形状となる第2の位置に移動するように、板材を変形させる板材変形工程と、を有する。
上記の方法によると、板材を打ち抜いて第1の位置に壁相当部が成形され、その壁相当部が板材に対して曲げられる。曲げられた壁相当部は、板材が変形することで第1の位置から第2の位置に移動する。ここで、壁相当部が第1の位置から第2の位置に移動する間は、板材(壁相当部以外の部分)が変形するだけであるので壁相当部の板厚は薄くならない。このため、壁相当部の引き伸ばし量を所望の量とすることができる位置(第1の位置)に壁相当部を成形し、この成形した壁相当部を第2の位置(特定の展開干渉形状となる位置)に移動することで、板状部品の壁部を充分な板厚とすることができる。よって、本発明方法によれば、従来方法では成形困難であった展開干渉形状を有する板状部品を成形することが可能となる。
ここで、壁相当部から壁部への成形(板材に対する曲げ角度の調整等)は、上記の曲げ工程で行っても良いし、壁相当部を所望の位置に移動させてから最終的な加工を行うようにしても良い。
【0006】
ここで、上記の板材変形工程は、壁相当部の移動方向に対して板材を垂直横方向及び/又は垂直縦方向に変形させるようにしても良い。板材を垂直横方向に変形させる場合は、壁相当部の移動方向と垂直横向きに引張力を作用させれば良く、板材を垂直縦方向に変形させる場合は、壁相当部の移動方向と同一の方向に圧縮力を作用させれば良い。このように板材を垂直横方向及び/垂直縦方向に変形させることで、壁相当部を直線的に移動させることができる。さらには、上記の板材変形工程は、板材を捻り変形させるようにしても良い。捻り変形を行うことによって、壁相当部を回転移動させることができる。
したがって、上記の直線移動と回転移動を組合せることで、壁相当部を所望の位置(第2の位置)に移動させることができる。ただし、壁部となる部分を取出す位置(第1の位置)を工夫することで、壁相当部の移動距離が短い距離で済むようにすることが好ましい。
【0007】
上記の成形方法においては、さらに、板材変形工程によって生じる板材の歪みを矯正する歪み矯正工程を有することが好ましい。歪みを矯正することで板状部品の寸法精度を向上することができる。
この歪み矯正工程では、複数回にわたって歪みを矯正する歪み矯正操作を行うことが好ましい。1回当りの歪み矯正量を少なくすることができ、板材の座屈等が生じなくなるためである。例えば、板材変形工程によって板材が湾曲した場合は、湾曲部を複数回にわたって鍛造することで平面状に矯正することができる。この際、鍛造1回あたりの矯正量が少なくなると、板材に作用する力も小さくなり、板材の座屈が防止される。
なお、上記の板材変形工程が、複数回にわたって板材を変形することで打ち抜き部を所望の位置(第2の位置)まで移動させる場合には、板材の変形毎に板材の歪みを矯正するようにしても良い。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る第2の成形方法は、床部と、床部表面から突出する一又は複数の壁部とを有し、壁部を床部と同一平面上に展開したときに壁部と床部あるいは壁部同士が干渉する特定の展開干渉形状を有する板状部品の成形方法であって、壁部に成形される壁相当部を、その両端が板材に接続された状態で板材を打ち抜いて成形する板材打ち抜き工程と、成形された壁相当部が板材表面から突出して前記特定の展開干渉形状となる位置まで湾曲するように絞り加工する絞り工程と、湾曲した壁相当部を所定の位置で切断する切断工程と、を有する。
上記の方法では、壁部に成形される壁相当部が、両端が板材に接続された状態で板材を打ち抜いて成形され、その壁相当部に絞り加工が行われる。絞り加工が行われると、壁相当部は板材から突出して湾曲し、同時に壁相当部の両端が接近するよう変形する。そして、湾曲した壁相当部は所定の位置で切断され、板材に対して曲げ加工が可能となり壁部に成形される。したがって、上記の方法によっても、壁相当部の引き伸ばし量を所望の量とすることができる位置に壁相当部が成形され、この成形された壁相当部が移動するため、板状部品の壁部を充分な板厚とすることができる。
ここで、上記の方法においては、絞り工程後の壁相当部の位置(両端又は一端の位置)が所望の位置(特定の展開干渉形状となる位置)となるように絞り工程の絞り量,板材の拘束条件を調整するようにしても良い。すなわち、絞り工程における板材の拘束条件を調整することで板材(壁相当部以外)の変形を制御し、絞り量を調整することで板材の変形量を制御する。これによって、絞り工程終了後の壁相当部の位置(両端の位置)が所望の位置となるようため、壁相当部の移動工程を省略することが可能となる。
【0009】
なお、上記各請求項に記載の壁相当部は壁部と略同一形状として、壁相当部を引き伸ばすことなく壁部を成形するようにしても良い。また、前記壁相当部を引き伸ばして壁部に成形する引き伸ばし工程をさらに行っても良い。引き伸ばし工程をさらに行なうため壁相当部の形状を壁部の形状より小さくすることができ、壁相当部の移動量を少なくすることができる。なお、この引延ばし工程は、壁相当部が成形された後であればいずれの工程の前あるいは後で行なっても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態) 本発明に係る方法を具現化した一実施の形態について図面を参照して説明する。図3〜5は、第1実施形態に係る方法を説明するための板材の平面図を工程順に示したものである。図6は、図4に示す板材の正面図である。図7は、図5に示す板材の正面図である。
本実施形態では、矩形状の金属性の板材40をプレス加工することで高壁を有する板状部品(図1,図2参照)を成形する。まず、金属性の板材40の一部を打ち抜いて図3に示す形状の孔部39を成形する。以下、板材40を打ち抜いて孔部39を成形する工程を第1工程という。この第1工程で孔部39を成形することによって、板材40(床部となる部分)から壁となる部分40a,40b(以下、壁相当部という)が成形される。この壁相当部40a,40bは、最終的に成形される板状部材の高壁と略同一の形状(長さ,幅)を有し、その一端は板材40に接続されている。
第1工程が行なわれると、図4,6によく示されるように壁相当部40a,40bを板材40に対して鉛直方向に曲げ、板材40の表面から突出した壁を成形する。以下、壁相当部40a,40bを板材40に対して鉛直方向に曲げて壁を成形する工程を第2工程という。壁相当部40a,40bは、板状部品の高壁と同一の形状を有することから、第2工程で成形された壁は板状部品の高壁と同一の形状となる。なお、壁相当部40a,40bを以下の説明では壁40a,40bという。
第2工程が行なわれると、壁40aが図4の矢印D1方向に回転し、また、壁40bが矢印D2方向に回転するように板材40を捻って変形する。これにより、壁40a,40bを板材40に対して直角をなしつつ対向する位置に移動させる(図5,7参照)。以下、壁40aを図4の矢印D1方向に回転させ、40bをD2方向に回転させる工程を第3工程という。
第3工程が行なわれると、第3工程によって歪んだ板材40の歪みを修正(鍛造により板材40の表面に圧力を作用させる)することで、図5,7に示すように板材40が床部となり板状部品45が完成する。以下、第3工程によって歪んだ板材40を修正する工程を第4工程という。第1〜4工程を経ることで完成した板状部品45は、壁40a,40bを孔部39方向にそれぞれ展開すると壁40a,40b同士が重なり、展開干渉形状を有する。
【0011】
上述の説明から明らかなように、本実施の形態に係る成形方法では、展開すると壁40a,40b同士が一部重なる展開干渉形状を有する板状部品45を、壁40a,40bを延伸して板厚を薄くすること無くプレス成形によって成形することが可能である。したがって、焼結法、ダイカスト鋳造法と比較して製造コストを安価とすることができる。
【0012】
(第2実施形態) 次に、第2実施形態に係る方法について図面を参照して説明する。図8,9は、第2実施形態の方法を説明するための板材の平面図を工程順に示したものである。
第2実施形態に係る方法でも、上述の第1実施形態で説明した第1〜4工程が基本的には略同様に実施される。しかしながら、第2実施形態においては第1工程で打ち抜き成形する孔部39の形状が異なり、これによって第3工程の板材40を変形させる方向が異なることとなる。以下、第2実施形態を第1実施形態に係る方法と異なる点を中心に説明する。
第2実施形態では、第1工程によって図8に示す孔部39が形成される。すなわち、第2実施形態では、壁相当部40a,40bが正対する位置に形成される。この壁相当部40a,40bは、第1実施形態と同様に最終的な成形品である板状部品45の壁部と同様の形状(幅,長さ)を有する。したがって、第2工程によって壁相当部40a,40bが板材40に対して曲げられると、図9に示すように正対する二つの壁40a,40bが形成されるとともに、その壁40a,40bの位置は最終的な成形品である板状部品45の壁の位置よりも離れた位置となる。
第2工程によって正対する壁40a,40bが形成されると、第3工程では、図9に示すように板材40(床部)の上下の辺に矢印D3,D4方向(壁40a,40bの移動方向に対して垂直横方向)に引張力を加える。これにより、板材40(詳しくは、図9に示す板材40の上下の周縁)が引張力の方向に変形し、壁40a,40bが矢印D5、D6方向に移動する。これによって、壁40a,40bの間隔は縮められる(壁40a,40bが移動する)。最後に第4工程として、第3工程で歪んだ板材40を矯正して床部を形成し、先述の図5,図7に示す形状と同様の板状部品45が完成する。
【0013】
上述の説明から明らかなように、第2実施形態に係る方法によると、第1実施形態に係る方法と同様に、壁40a,40bを孔部39方向にそれぞれ展開したときに重なり部分を生じる展開干渉形状を有する板状部品45を、壁40a,40bを延伸することなくプレス成形によって製造することができる。
【0014】
(第3実施形態) 次に第3実施形態に係る方法について図面を参照して説明する。第3実施形態に係る方法は、第2実施形態に係る第2工程までは同一の方法である。したがって、第2実施形態に係る方法と同一部分はその記載を省略し、第2実施形態と異なる第3工程以降のみ説明する。図10は、第3実施形態における第3工程後の板状部品の正面図である。
第3実施形態に係る第3工程では、板材40に図9の矢印D5,D6方向に圧縮力を加え、壁40a,40bの間隔を縮める(壁40a,40bが移動する)。すなわち、板材40の中央部40cは孔部39によって断面積が小さくなり、強度的に弱くなっている。このため、図9の矢印D5、D6方向に圧力(板材40に圧縮力)を加えることで、図10に示すように板材40の中央部40cが凸形に湾曲して変形する。これにより壁40a,40bは、目標の位置まで移動することとなる。
第4工程では、第3工程によって歪んだ板材40の中央部40cに、図10の矢印D7方向に圧力を加えて歪み部分を矯正する(中央部40cを平坦にする)。このとき、板材40の図中左右両端を保持し、板状部品40が左右方向に広がらないようにする。このため、壁40a,40bの位置が離れることが防止される。また、板材40の左右両端が保持されるため、板材40の中央部40cは左右方向に変形することができず、前後方向(図9におけるD3,D4方向)に変形する(材料が流れる)。第4工程によって中央部40cの形状が矯正されると、その中央部40cの前後方向に広がった部分を切り取り最終的な板状部品45とする。
なお、中央部40cの歪みを矯正するための操作(中央部40cに圧力を作用させる操作)は、1回の操作で行うことも可能であるが複数回にわたって行うことが好ましい。複数回の操作により板材40の歪みを矯正すると、1回当たりの矯正量が小さくなるため板材40の座屈を防止することができる。
【0015】
上述の説明から明らかなように、上記実施形態によっても、壁40a,40bを孔部39方向にそれぞれ展開したときに重なり部分を生じる展開干渉形状を有する板状部品45を、壁40a,40bを延伸することなくプレス成形によって製造することできる。
また、第3工程、第4工程で板材40に圧縮力が加えられるため、板材40に圧縮残留応力が付与される。したがって、板材40が加工硬化によって耐久性が向上する。
【0016】
なお、上述した第3実施形態に係る成形方法では、第3工程で壁40a、40bを所望の位置まで一度の加工により移動させ、第4工程で板材40の歪みを矯正した。しかしながら、このような形態とは異なり、板材40に複数回にわたって圧縮力を作用させて壁40a,40bを徐々に移動させ、壁40a,40bの移動毎に板材40の歪みを矯正する第4行程を行うようにしても良い。
このような形態では、上述の第3行程と同様の操作を行うが壁40a,40bの移動量は少なく、また、板材40の歪みも小さい。したがって、板材40の歪みを矯正する行程における矯正量も小さくなり、上述した形態と同様に、板材40の座屈を防止することができる。この形態及び第3実施形態は、板状部品45を製造する装置、その形状等に応じて適宜選択し得る。すなわち、複数回にわたって徐々に壁40a,40bを移動させる形態では、壁40a,40bの移動に必要な圧縮力を第3実施形態での壁40a,40bの移動に必要な圧縮力よりも小さくすることができる。したがって、板状部品45に大きな圧縮力を作用させたくない場合には本形態を採用する。
一方、第3実施形態では、1回で目的とされる位置まで壁40a,40bを移動させるため複数回にわたって壁40a,40bを移動させるよりも移動工程数を削減することができ、製造の効率化を図ることができる。したがって、板状部品45に大きな圧縮力を作用させることができ、1回で目的の位置まで壁40a,40bを移動できる場合には第3実施形態を採用する。
【0017】
(第4実施形態) 次に、第4実施形態に係る方法について図面を参照して説明する。図11は、第4実施形態に係る方法において、第1工程を行なった後の板状部品の平面図である。図12〜14は、第4実施形態に係る方法を説明するための板材の正面図を工程順に示したものである。
第4実施形態の第1工程では、まず、図11に示すように板材40を打ち抜くことで孔部39a,39bを成形し、板材40の中央部に道40dを成形する。この道40dは、その後の工程において壁40a,40bに成形される部分であり、上述した各形態における壁相当部40a,40bを連結したものである。
【0018】
第2工程では、ダイス(図示省略)上に板材40をセットし、板材40の左縁40g、右縁40hにしわ押え(図示省略)を施した状態で道40dに上方向からポンチ等によって圧力を加えて絞り加工を行う。板材40に絞り加工を行うことで、図12に示すように道40dは板材40の表面から突出して湾曲する。なお、図12は第2工程終了後の板材40を上下反転した状態を示す図である。
また、本実施形態では、板材40の左縁40g、右縁40hに作用するしわ押え力は、板材40の左縁40g、右縁40hの水平性を保つ程度の小さいものであり、道40dが絞られるのに応じて板材40の左縁40g、右縁40hが中央に移動することが許容されている。ここで、板材40の左縁40g、右縁40hが中央に移動すると、道40dの両端の位置(壁40a,40bが成形される位置)も中央に移動する。したがって、本実施形態では、道40dの両端の位置が最終的な成形品である板状部品45の壁40a,40bの成形位置まで移動するように、道40dの絞り量が決定されている。さらに、板材40の左縁40g、右縁40hが中央に移動するため、板材40に絞り加工が行われても、道40dが延伸することが抑制され、その板厚はほとんど変化しない。
なお、道40dが絞りこまれることによって、板材40の上縁40e、下縁40fには、図12に示すようにしわ状の歪みが生じる。
【0019】
第3工程では、第2工程によって板材40の上縁40e、下縁40fに生じたしわ状の歪み部分に、上下方向の圧力を加えて歪みを矯正する(図13参照)。この第3工程では、板材40の左右両端を保持し、板材40が左右方向に広がらないようにする。したがって、板材40の上縁40e、下縁40fは、左右方向(図11の左右方向)に広がることができず、前後方向(図11の上下方向)に広がる。前後方向に広がった板材40の上縁40e、下縁40fは、その一部をカットされて最終的な形状に成形される。
第4工程では、図14に示すように板材40に対して湾曲した道40dを中央で2つに切断する。すなわち、道40dが2つに切断され、板材40から突出した2つの突出片40i,40jが成形される。成形された突出片40i,40jは、図14に示す矢印D8、D9方向に曲げ加工されて、それぞれ壁40a,40bが成形される。
【0020】
上述の説明から明らかなように、上述の第4実施形態に係る方法によっても、壁40a,40bをそれぞれ展開したときに重なり部分を生じる展開干渉形状を有する板状部品45を、壁40a,40bの板厚を薄くすることなくプレス成形によって製造することが可能である。
【0021】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述の各実施形態では、壁40a,40bを延伸する工程がさらに付加されても良い。この工程は、第1〜第3実施形態では壁相当部40a,40bが成形された後、第4実施形態であれば道40dが2つに切断された後であればどのタイミングで行なっても良い。このようにすることで、さらに高い壁を有する(展開したときに干渉部分が多い)板状部品を成形することができる。
また、本実施形態の方法では壁が2つある板状部品45を成形したが、本実施形態に係る方法は、壁が1つしかなく壁を床部と同一平面に展開したときに壁と床部が干渉する板状部品の成形にもに適用し得る。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 高壁を有する板状部品の平面図である。
【図2】 図1に示す板状部品の正面図である。
【図3】 第1実施形態に係る方法の第1工程終了時の板材の平面図である。
【図4】 第1実施形態に係る方法の第2工程終了時の板材の平面図である。
【図5】 第1実施形態に係る方法の第3工程終了時の板材の平面図である。
【図6】 第1実施形態に係る方法の第2工程終了時の板材の正面図である。
【図7】 第1実施形態に係る方法の第3工程終了時の板材の正面図である。
【図8】 第2実施形態に係る方法の第1工程終了時の板材の平面図である。
【図9】 第2実施形態に係る方法の第2工程終了時の板材の平面図である。
【図10】第3実施形態に係る方法の第3工程終了時の板材の正面図である。
【図11】第4実施形態に係る方法の第1工程終了時の板材の平面図である。
【図12】第4実施形態に係る方法の第2工程終了時の板材の正面図である。
【図13】第4実施形態に係る方法の第3工程終了時の板材の正面図である。
【図14】第4実施形態に係る方法の第4工程終了時の板材の正面図である。
【符号の説明】
40・・板材
40a・・壁
40b・・壁
45・・板状部品

Claims (6)

  1. 床部と、床部表面から突出する一又は複数の壁部とを有し、壁部を床部と同一平面上に展開したときに壁部と床部あるいは壁部同士が干渉する特定の展開干渉形状を有する板状部品の成形方法であって、
    壁部に成形される壁相当部を、その一端が板材に接続された状態で第1の位置に板材を打ち抜いて成形する板材打ち抜き工程と、
    成形された壁相当部を板材に対して曲げる曲げ工程と、
    曲げられた壁相当部が前記特定の展開干渉形状となる第2の位置に移動するように、板材を変形させる板材変形工程と、を有する板状部品の成形方法。
  2. 前記板材変形工程では、板材を壁相当部の移動方向に対して垂直横方向及び/又は垂直縦方向に変形させる請求項1に記載の板状部品の成形方法。
  3. 前記板材変形工程では、板材を捻り変形させる請求項1に記載の板状部品の成形方法。
  4. 前記板材変形工程によって生じる板材の歪みを矯正する歪み矯正工程をさらに有する請求項1乃至3のいずれかに記載の板状部品の成形方法。
  5. 床部と、床部表面から突出する一又は複数の壁部とを有し、壁部を床部と同一平面上に展開したときに壁部と床部あるいは壁部同士が干渉する特定の展開干渉形状を有する板状部品の成形方法であって、
    壁部に成形される壁相当部を、その両端が板材に接続された状態で板材を打ち抜いて成形する板材打ち抜き工程と、
    成形された壁相当部が板材表面から突出して前記特定の展開干渉形状となる位置まで湾曲するように絞り加工する絞り工程と、
    湾曲した壁相当部を所定の位置で切断する切断工程と、を有する板状部品の成形方法。
  6. 前記壁相当部を引き伸ばして壁部に成形する引延ばし工程をさらに有する請求項1乃至5のいずれかに記載の板状部品の成形方法。
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