JP4799879B2 - 粘着剤、ならびにそれを用いた粘着テープおよび経皮吸収型製剤 - Google Patents
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Description
このような粘着剤層の凝集力の低下への対処法として、使用する粘着剤に適当な架橋処理を施すことによる凝集力の向上が挙げられ、従来から様々な架橋処理が試みられている。
また経皮吸収型製剤の粘着剤層にこれらの架橋処理を行うと、粘着剤に含ませてある薬物が分解し薬物含有率が低下してしまうことがある。
特許文献1には、上述した金属アルコラートや金属キレート化合物による金属架橋はゲル粘着剤に好適であると開示されている。しかしながら、無機金属塩は配合後に溶液の増粘現象が生じて作業性に劣ることから使用は困難であるとの記載もある。CaやMgなどの無機金属の塩による架橋は金属イオン分子によるイオン架橋であると考えられ、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーのカルボキシル基と対イオンを形成するジアミンやトリアミンといった多価カチオン分子によるイオン架橋と同様に、一般的に擬似架橋であるとも言われている。一部の無機金属塩による金属架橋ゲル粘着剤は、テープ作製後の凝集力は充分備わっているが、ヒトの皮膚へ貼付すると、汗などの水分によりその架橋が外れてしまい、粘着剤の凝集力が低下し、皮膚への糊残りが起こるため、実用に耐えられない。
〔1〕 アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、
該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体であって、該単量体のうちの少なくとも1種がカルボキシル基含有ビニル化合物である単量体と
を共重合して得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を架橋してなり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と相溶しうる液状成分を含む粘着剤であって、
架橋が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100重量部に対し、Al、Sn、Fe、Tiからなる群から選ばれる無機金属のハロゲン化物を無水物換算で0.01重量部〜2重量部加えることによってなされている、粘着剤。
〔2〕 (メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体中、共重合体成分として、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50重量%以上含有しており、かつ、カルボキシル基含有ビニル化合物を0.1重量%〜10重量%含有している、〔1〕に記載の粘着剤。
〔3〕 架橋後の粘着剤に含まれる、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と前記液状成分との重量比が、1:0.25〜1:2である、〔1〕または〔2〕に記載の粘着剤。
〔4〕 前記無機金属のハロゲン化物が塩化物または臭化物である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粘着剤。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粘着剤を含む粘着剤層が支持体の少なくとも片面に形成されている粘着テープ。
〔6〕 医療用のものである、〔5〕に記載の粘着テープ。
〔7〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粘着剤を含む粘着剤層が支持体の少なくとも片面に形成され、かつ、該粘着剤層に経皮的に投与可能な薬物を含有させてなる、経皮吸収型製剤。
〔8〕 テープ状の形態である、〔7〕に記載の経皮吸収型製剤。
また(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有率があまりに大きいと、該共重合体が(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独の物性に近くなり有用な粘着剤とはなり難いので、後述する他の共重合成分を含有させ変性する必要がある。このような観点から、当該共重合体成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有率は、99重量%以下であるのが好ましく、95重量%以下であるのがより好ましい。
カルボキシル基含有ビニル化合物の含有率が当該共重合体中0.1重量%未満であると、架橋点が少なくなり、充分な凝集力を有する粘着剤層が得られなくなってしまう。
またカルボキシル基含有ビニル化合物の含有率が当該共重合体中10重量%を超えると、官能基に起因する皮膚刺激が発生したり、当該共重合体自体のタックが低くなったりする可能性が生じる。
上記ビニル化合物は、49.9重量%以下であれば任意の割合で(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体中に含有させることができるが、当該共重合体の粘着物性に悪影響を及ぼさない観点からは、当該共重合体中30重量%以下であるのがより好ましい。
また、上記ビニル化合物の含有による(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の変性の効果を充分に発揮させるためには、上記ビニル化合物は、当該共重合体中、1重量%を超えて含有されることが好ましく、5重量%を超えて含有されることがより好ましい。
本発明では以上のようにして各材料を配合したのち、適当な架橋手段にて架橋処理を施す。
このような多孔フィルムとしては、粘着剤層との投錨力が向上するものであれば特に限定されないが、例えば、紙、織布、不織布、機械的に穿孔処理したシートなどが挙げられ、特に紙、織布、不織布が好ましい。
多孔フィルムの厚みは投錨力向上およびテープ製剤や経皮吸収型製剤の柔軟性を考慮すると通常10〜500μm、プラスタータイプや粘着テープタイプのような薄手の製剤の場合は10〜200μmの範囲とするのが好ましい。
また、多孔フィルムとして織布や不織布を用いる場合、目付量を5〜30g/m2、好ましくは8〜20g/m2とすることが投錨力の向上の点から好ましい。
含有させる薬物はその治療目的に応じて任意に選択することができるが、例えばコルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、睡眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗鬱剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤などの種類の薬物であって、経皮吸収可能な薬物が使用でき、これらの薬物は1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
これらの薬物の含有量は薬物種や投与目的に応じて適宜設定することができるが、通常、粘着剤中に1〜40重量%、好ましくは、3〜30重量%程度含有させる。
含有量が1重量%に満たない場合は治療に有効な量の薬物放出が期待できないため好ましくない。また、40重量%を超えると含有薬物量の増加に見合う治療効果の向上が期待できないので、経済的に好ましくない。
工程1
95重量部のアクリル酸2−エチルへキシルエステル(東亜合成製)と、5重量部のアクリル酸(東亜合成製)と、100重量部の酢酸エチル(和光純薬製)と、0.2重量部の過酸化ベンゾイル(日本油脂製、ナイパーBW)とを還流冷却器、攪拌機、温度計、滴下漏斗、窒素導入管付きのセパラブルフラスコ中にて窒素雰囲気下で60℃、5時間反応させ、共重合体溶液を調製した。
工程2
工程1で得られた共重合体溶液の固形分50重量部にミリスチン酸イソプロピル(日光ケミカル製、IPM−100)50重量部、エタノール(和光純薬製)50重量部を混合し、工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して、塩化アルミニウム六水和物(和光純薬製)を1重量%エタノール(和光純薬製)溶液として無水物換算で0.1重量部添加し、酢酸エチルをさらに加えて粘度調整を行った。
得られた粘稠溶液を75μm厚のポリエステル製セパレータ上に乾燥後の厚み40μmとなるようにベーカーアプリケーターYBA−2型(ヨシミツ精機製)を用いて塗布し、ファインオーブンDF−62型(ヤマト科学製)を用い、100℃で3分間の条件で乾燥してゲル粘着剤層を形成した。
このようにして得られたゲル粘着剤層に支持体としてポリエステル製不織布(12g/m2)に2μm厚のポリエステルを押出成形したラミネートフィルムの不織布面を貼り合わせて、70℃で48時間加熱処理を行い、粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して、塩化アルミニウム六水和物にかえて塩化スズ(II)二水和物(和光純薬製)を無水物換算で0.2重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して、塩化アルミニウム六水和物にかえて塩化鉄(III)六水和物(和光純薬製)を無水物換算で0.2重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して、塩化アルミニウム六水和物にかえて無水塩化チタン(IV)(和光純薬製)を0.2重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して、塩化アルミニウム六水和物にかえて無水塩化アルミニウム(和光純薬製)を0.1重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して、塩化アルミニウム六水和物にかえて無水臭化アルミニウム(和光純薬製)を0.1重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して0.2重量部のエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカルズ製、ALCH)を、1重量%イソプロパノール/アセト酢酸エチル(9/1(v/v))溶液として添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。0.2重量部のALCHは0.1重量部の無水塩化アルミニウムとほぼ等モルとなる。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して、塩化アルミニウム六水和物にかえて塩化マグネシウム六水和物(和光純薬製)を無水物換算で0.2重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して塩化アルミニウム六水和物(和光純薬製)を無水物換算で0.005重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して塩化アルミニウム六水和物(和光純薬製)を無水物換算で3重量部添加した以外は実施例1と同様に調製して粘着テープを得た。
工程1
72重量部のアクリル酸2−エチルへキシルエステル(東亜合成製)と、25重量部のN−ビニル−2−ピロリドン(五協産業製)と、3重量部のアクリル酸(東亜合成製)と、100重量部の酢酸エチル(和光純薬製)と、0.2重量部のアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬製)とを、還流冷却器、攪拌機、温度計、滴下漏斗、窒素導入管付きのセパラブルフラスコ中にて窒素雰囲気下60℃で6時間反応させた後、76℃で18時間反応させ、共重合体溶液を調製した。
工程2
工程1で得られた共重合体溶液の固形分50重量部にミリスチン酸イソプロピル(日光ケミカル製、IPM−100)50重量部、エタノール(和光純薬製)50重量部、アセト酢酸エチル(関東化学製)10重量部を混合し、工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して塩化アルミニウム六水和物(和光純薬製)を1重量%エタノール(和光純薬製)溶液として無水物換算で0.2重量部添加し、酢酸エチルをさらに加えて粘度調整を行った。
得られた粘稠溶液を以下実施例1と同様に処理して粘着テープを得た。
実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分40重量部に、40重量部のミリスチン酸イソプロピル(日光ケミカル製、IPM−100)、50重量部のエタノール(和光純薬製)、薬物として20重量部のイソソルビトールジニトレート(日本シーベルヘグナー社製)を混合し、実施例1の工程1で得られた共重合体溶液の固形分100重量部に対して塩化アルミニウム六水和物(和光純薬製)を1重量%エタノール(和光純薬製)溶液として無水物換算で0.1重量部添加し、酢酸エチルをさらに加えて粘度調整を行った。
得られた粘稠溶液を以下実施例1と同様に処理して経皮吸収テープ製剤を得た。
実施例および比較例の各サンプルを40cm2に裁断して粘着剤層の重量(W1)を測定した。次に、そのサンプルを100mlの酢酸エチルに24時間浸漬した後、酢酸エチルを交換した。この操作を3回繰り返し溶剤可溶分を抽出した。その後、サンプルを取り出し、乾燥させた後の粘着剤層の重量(W2)を測定し、下記式によってゲル分率を算出した。なお、薬物含有の場合は薬物重量はBに加算される。
ゲル分率(%)=(W2×100)/(W1×A/B)
A=(粘着剤+架橋剤)の重量
B=(粘着剤+液状成分+架橋剤)の重量
ベークライト板に幅10mmに切断した帯状の各サンプルの片端を長さ20mm貼付し、荷重850gのローラーを1往復させて密着させ、40℃の一定温度の条件下、20分放置した後、サンプルに300gの加重をかけて、サンプルが凝集破壊して落下するまでの時間を測定した。
2EHA アクリル酸2−エチルヘキシル
AA アクリル酸
VP N−ビニル−2−ピロリドン
ALCH エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート
IPM ミリスチン酸イソプロピル
Claims (6)
- アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、
該(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体であって、該単量体のうちの少なくとも1種がカルボキシル基含有ビニル化合物である単量体と
を共重合して得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体を架橋してなり、該(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と相溶しうる液状成分を含む粘着剤を含む粘着剤層が支持体の少なくとも片面に形成されている粘着テープであって、
架橋が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体100重量部に対し、Al、Sn、Fe、Tiからなる群から選ばれる無機金属のハロゲン化物を無水物換算で0.01重量部〜2重量部加えることによってなされている、粘着テープ。 - (メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体中、共重合体成分として、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50重量%以上含有しており、かつ、カルボキシル基含有ビニル化合物を0.1重量%〜10重量%含有している、請求項1に記載の粘着テープ。
- 架橋後の粘着剤に含まれる、(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体と前記液状成分との重量比が、1:0.25〜1:2である、請求項1または2に記載の粘着テープ。
- 前記無機金属のハロゲン化物が塩化物または臭化物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
- 医療用のものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着テープ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着テープにおいて、前記粘着剤層が、経皮的に投与可能な薬物を含有する、経皮吸収型製剤。
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