JP4798842B2 - 樹脂被覆金属管の接続構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車、一般産業用機械等に於いて、ブレーキオイル、ガソリン、軽油等の液体燃料、プロパン、天然ガス等の気体燃料、圧縮エアー等を目的部に供給するための樹脂被覆金属管の取付け構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等のブレーキ管、その他各種の産業用機械装置に於て用いられている比較的肉薄で細径の金属管を、ブレーキ装置等の接続目的部に接続して使用する事が、実公昭61−26703号公報記載の考案の如く知られている。この従来技術に於ては、比較的肉薄で細径の金属管を、何らの保護被覆をする事なく使用しているため、自動車の床下等に於て使用する場合に、走行中の飛石等によって変形したり破損する可能性があった。
【0003】
そのため実開昭61−191589号公報に示す如く、この肉薄で細径な金属管の表面を樹脂層により被覆し、飛石等に対する強度を高める事が行われている。そして、この樹脂被覆した肉薄細径管をブレーキ機構等の接続対象部材に接続するには、この接続対象部材に螺着した固定ナットにより、肉薄な細径管の端部に設けたフレアー部を、接続対象部材に押圧する事により行っていた。
【0004】
しかしながら、この樹脂被覆層と固定ナットが直接当接すると、樹脂被覆層を破損し肉薄細径管の腐食等を生じる可能性があった。そのため、上記の実開昭61−191589号公報記載の考案に於ては、樹脂被覆層の外周にスリーブを配置し、このスリーブを介して細径管のフレアー部を固定ナットにより押圧する事が行われている。この方法は、スリーブを介して細径管のフレアー部を押圧するもので、樹脂被覆層を傷付け無いことを技術目的としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例に於ては金属管の先端部に設けたフレアー部に対応する被押圧部を有するスリーブを、固定ナットによりスリーブの軸方向に押圧して、金属管を接続対象部材に押圧密着する事が行われている。しかしながら、金属管の一端に設けたフレアー部は、金属管の一端をラッパ状に拡開したものであるため、その表面積は比較的小さく、固定ナットでこれを強く押圧すると、固定ナットの押圧力がフレアー部に集中し、特にフレアー部の面圧を極めて高いものとする。
【0006】
このようにフレアー部の背面という狭い表面積の部分に集中的に加圧力が加えられると、その部分の面圧が著しく高くなり、スリーブを介して固定ナットの押圧力を受けるとしても樹脂被覆層を剥離させたり、破壊する可能性が高く、耐用性の高い金属管取付けを目的とする場合には好ましくないものであった。
【0007】
本発明は、比較的肉薄で細径の樹脂被覆金属管を、固定ナットによって接続対象部材に固定する場合に、一部に面圧を集中して樹脂被覆層を破壊する事がなく、しかも固定ナットによる十分な押圧力を樹脂被覆金属管に加える事によって、確実な接続対象部材への固定を可能にしようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の如き課題を解決するため、本願発明は、金属管の外周面を樹脂被覆するとともに一端を先端側が大径となるようテーパー状に拡開して拡開部を形成し、この拡開部の先端を外方に折曲して拡開することによりフレアー部を形成した管本体と、この管本体の拡開部の樹脂被覆層の外周面及びフレアー部の拡開部側に設けた樹脂被覆層の外周面に内面を密着固定させたスリーブと、このスリーブに締付時に当接して、フレアー部を管本体の接続対象部材に押圧可能とするとともにこの接続対象部材に螺着する固定ナットとからなり、この固定ナットは、スリーブの外周面でフレアー部の背面対応位置及び拡開部の外周対応位置に当接する押圧内周面を形成したものである。
【0009】
また、フレアー部は、断面V字型に形成したブリッヂ型のフレアー部であっても良い。
【0010】
また、フレアー部は、先端部を内側に折り返したダブル型のフレアー部であっても良い。
【0011】
また、金属管は、管径4〜12mm、肉厚0.3mm〜1.0mmのステンレス管であっても良い。
【0012】
【作用】
本願発明は、上述の如く構成したものであるから、金属管の表面を樹脂被覆した管本体を、接続対象部材に接続しようとする場合には、固定ナットを管本体の外周に配置するとともに接続対象部材に、管本体の先端に形成したフレアー部を当接させる。
【0013】
この状態で、固定ナットを接続対象部材に締付け固定する事により、固定ナットの押圧内周面がスリーブの外周面に当接し、固定ナットの押圧締付け力がスリーブを介して管本体に加えられる。スリーブは、金属管の表面に形成した樹脂被覆層に当接しているが、金属管及び樹脂被覆層はフレアー部に連続してテーパー状の拡開部を形成し、この拡開部にスリーブの内面を密着固定したものであるから、固定ナットによりスリーブの外周面に加えられる押圧締付け力は、フレアー部の背面と拡開部の外周に対応するスリーブの内面全周に分散されるものとなる。
【0014】
固定ナットは接続対象部材に螺着され、管本体と同軸方向に移動するが、この移動による押圧力はスリーブの全内周面に分散され、特定部分への押圧力の集中を生じることが無い。その為、従来例に比較し、樹脂被覆層に対する単位面積当たりの面圧を著しく低下させながら、スリーブ全体としては従来例と同様の面圧を得ることが出来、管本体を確実に接続対象部材に押圧固定し、管本体から接続対象部材との間で流通する流動体の漏れを生じる事がない。
【0015】
しかも、この押圧固定は上述の如くスリーブの内周全面に面圧を分散させるため、樹脂被覆層の特定部分に強い圧力を加える事がない。そのため、樹脂被覆層の破損を生じる事がなく、確実な押圧と接続対象部材への固定を可能としながら、安全で耐用時間の長い管本体の接続対象部材への接続を可能とする。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に於て説明すれば、図1、2に於いて、(1)は管本体で、ステンレス材等の金属管(2)の外周面を、ポリフッ化ビニール被膜等の樹脂被覆層(3)により被覆している。また、金属管(2)は、好ましくは外表面に犠牲防触金属層を有する鋼や、アルミニウム合金製で肉厚0.5mm〜2.0mmのもの、あるいはステンレス鋼の場合は肉厚0.3mm〜1.0mmのものを用いる。そして、これらの材質及び肉厚で形成する金属管(2)は、管径4mm〜12mmにて形成し、その構造は一重の金属材を用いても良いが、二層に形成した二重管を用いても良いし、電縫管やシームレス管であっても良い。
【0017】
このように、比較的肉薄で細径の金属管(2)の表面を樹脂被覆層(3)で被覆した管本体(1)の外周に管状のスリーブ(4)を固定する。この管状のスリーブ(4)を管本体(1)の外周に固定するには、図3に示す如く、金属管(2)及びスリーブ(4)の外周にチャック(5)を配置した状態で、金属管(2)内にパンチ(7)を挿入して、管本体(1)及び管状のスリーブ(4)に、金属管(2)の先端方向を大径とする拡開部(6)を形成するとともに、管本体(1)とスリーブ(4)とを、拡開部(6)部分で密着固定し、管状スリーブ(4)を、ほぼ一体的に拡開部(6)部分で管本体(1)の樹脂被覆層(3)の外面に被覆固定する。
【0018】
この状態でスリーブ(4)は先端部を拡開部(6)よりも更に外方に拡開状態としてフランジ部(8)を形成している。次にこのフランジ部(8)の内面形状に合わせて管本体(1)を拡開し、管本体(1)にフレアー部(10)を形成する。
【0019】
そして、次に図4に示す如く、管本体(1)のフレアー部(10)の先端を内方に折曲してダブル形状のフレアー部(10)を形成する。このダブル形状のフレアー部(10)の背面は、スリーブ(4)のフランジ部(8)内面に密着されるものとなる。このように形成した管本体(1)及びスリーブ(4)は、一体に強固に連結されスリーブ(4)が管本体(1)の外周に於て移動したりする事はない。
【0020】
そして、この管本体(1)をブレーキ機構等の接続対象部材(11)に固定するには、図1に示す如く、管本体(1)のダブル形状に形成したフレアー部(10)の押圧座面(9)を、接続対象部材(11)の受圧座面(12)に当接させるとともに、管本体(1)の外周に固定ナット(13)を配置し、この固定ナット(13)を螺着部(14)を介して接続対象部材(11)に螺着固定する。
【0021】
この固定ナット(13)の接続対象部材(11)への螺着過程に於て、固定ナット(13)の押圧内周面はスリーブ(4)の拡開部(6)及びフランジ部(8)と当接し、スリーブ(4)を軸方向に押圧するものとなる。この押圧によって、スリーブ(4)は前述の如く管本体(1)の樹脂被覆層(3)の外周に確実に固定され、その固定はフレアー背面(15)及び管本体(1)の拡開部(6)に対応する形状で密着されているから、固定ナット(13)の内周面からスリーブ(4)の外周面に加えられる押圧力は、スリーブ(4)の内周全面に分散されるものとなる。
【0022】
しかも、その管本体(1)の拡開部(6)はテーパー状に拡開するものであるため、固定ナット(13)の接続対象部材(11)の受圧座面(12)方向への押圧力を、その全面で受ける事が可能となり、管本体(1)の特定部分にのみ固定ナット(13)の押圧力が集中する事がない。固定ナット(13)の締付けに伴う接続対象部材(11)方向への押圧力は、スリーブ(4)内周全面に分散し、単位面積当たりの面圧を低いものとするから、樹脂被覆層(3)を破損したり、フレアー部(10)の接続対象部材(11)への密着性を阻害する事がないものである。
【0023】
また、管本体(1)の先端部に形成するフレアー部(10)は、図1に示す如く、ダブル型のフレアー部(10)としても良いし、先端部をV字型に折曲したブリッジ型のフレアー部(10)であっても良い。また、図5に示す如く、管本体(1)の先端部に形成するフレアー部(10)は、シングル型としても良い。
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであるから、比較的肉薄の金属管の外周面を樹脂材により、被覆する事によって金属管に対する飛石等の衝撃が加えられた場合にも金属管を安全に保護する事ができるとともに、金属管の重量を軽減する事が可能となる。また、固定ナットによって接続対象部材に管本体を接続する場合に、管本体の特定の一部分にのみ押圧力を集中する事によって生じる樹脂被覆層の破損を防止し、スリーブを介して広い面積に対する面圧の分散が可能となる。そのため、樹脂被覆層を破損したり比較的肉薄の金属管を変形したりする恐れがないとともに適正な押圧力を確実に確保する事ができ、フレアー部の接続対象部材への密着をより確実に安定して行う事ができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】 加工前の管本体を示す断面図である。
【図3】 スリーブと管本体の接続過程を示す断面図である。
【図4】 管本体にスリーブを固定した状態を示す断面図である。
【図5】 管本体にシングルのフレアー部を設けた状態の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 管本体
2 金属管
3 樹脂被覆層
4 スリーブ
6 拡開部
10 フレアー部
11 接続対象部材
13 固定ナット
Claims (4)
- 金属管の外周面を樹脂被覆するとともに一端を先端側が大径となるようテーパー状に拡開して拡開部を形成し、この拡開部の先端を外方に折曲して拡開することによりフレアー部を形成した管本体と、この管本体の拡開部の樹脂被覆層の外周面及びフレアー部の拡開部側に設けた樹脂被覆層の外周面に内面を密着固定させたスリーブと、このスリーブに締付時に当接して、フレアー部を管本体の接続対象部材に押圧可能とするとともにこの接続対象部材に螺着する固定ナットとからなり、この固定ナットは、スリーブの外周面でフレアー部の背面対応位置及び拡開部の外周対応位置に当接する押圧内周面を形成したことを特徴とする樹脂被覆金属管の接続構造。
- フレアー部は、断面V字型に形成したブリッヂ型のフレアー部である事を特徴とする請求項1の樹脂被覆金属管の接続構造。
- フレアー部は、先端部を内側に折り返したダブル型のフレアー部である事を特徴とする請求項1の樹脂被覆金属管の接続構造。
- 金属管は、管径4〜12mm、肉厚0.3mm〜1.0mmのステンレス管である事を特徴とする請求項1の樹脂被覆金属管の接続構造。
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