JP4797498B2 - ハイブリダイゼーションの検出方法 - Google Patents
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Description
ここで、DNAチップ上のプローブ核酸断片とターゲット核酸断片とのハイブリダイゼーションを検出する方法として、二本鎖核酸断片に特異的に結合し、かつ電気化学的に活性な二本鎖核酸断片認識体を用いて検出する方法や、酸化還元酵素を標識することで電気化学的測定によりターゲット核酸を検出する方法がある。
ここで、上述した酸化還元酵素を標識としてハイブリダイゼーションの検出を行うために、固定電極52と対向電極53との間には、用いる基質によって異なるが、50mV〜500mVの酸化還元電位が印加されている。なお、各固定電極52の間隔は例えば0.05mm〜0.5mmとなっており、固定電極52と対向電極53との距離は例えば0.5mm〜1.0mmとなっている。
この発明では、各グループで参照用プローブがハイブリダイゼーションを行った際の電気信号を取得して比較することで、各グループで検出した参照用プローブ以外の他のプローブの電気信号を補正することができる。したがって、各グループ間における電気信号の検出結果のバラツキを抑制し、他のプローブにおける検出結果をより正確に解析することができる。
この発明では、組分工程における各グループに分別する際の電位の範囲に応じて、検出工程で各グループの検出時に対向電極に印加する電圧を変化させることで、各グループ間の固定面と対向電極との電位差のバラツキが小さくなる。これにより、各グループ間における電気信号の検出結果のバラツキを抑制して、より正確な検出を行うことができる。
この発明では、互いに隣接する2つの固定面において電位差が生じていても、一方の固定面から他方の固定面に向けて流れる電流が一方の固定面と包囲電極との間で流れる。これにより、隣接する2つの固定面の間で電流が流れることを防止する。したがって、電気信号に対するノイズの低減が図れて電気信号の検出をより精度よく行うことができる。
本実施形態によるハイブリダイゼーションの検出方法は、図1に示すように、DNAチップ(マイクロ反応チップ)1と、DNAチップ1の電気的な制御を行う制御装置2とを用いて行う。
DNAチップ1は、図2に示すように、CMOS部11と、CMOS部11の上面に形成されてプローブ核酸(プローブ、図示略)が固定される合成電極部12とを備えている。
CMOS能動素子部15は、後述する固定電極部(固定電極)23及び包囲電極部(包囲電極)24に対してそれぞれ独立して電圧を印加すると共に、後述する各固定面23aで検出した電圧を増幅して後述する電位測定部31に出力するように構成されている。
入出力電極16は、例えばAl(アルミニウム)のような導電体によって形成されており、CMOS保護層17に形成された貫通孔であるコンタクトホール17aから外部に向けて露出している。
また、CMOS保護層17は、その膜厚が例えば2μmであって、例えばSiN(窒化珪素)/SiO2(二酸化珪素)のような絶縁体によって形成されている。
接続電極部21は、例えばAlによって形成されており、コンタクトホール17aを充填すると共に、一部がコンタクトホール17aの近傍におけるCMOS保護層17の上面に積層されている。この接続電極部21は、コンタクトホール17aを充填するように、例えば3μm形成した後、CMOS保護層17の上面からの突出量が0.5μm以下となるように平坦化されている。
また、第1絶縁層22には、平面視でCMOS保護層17に形成されたコンタクトホール17aと一致しない位置に、接続電極部21に至る貫通孔であるコンタクトホール22aが設けられている。このコンタクトホール22aは、所定の開口形状を有するマスクパターンを用いたドライエッチングなどによって形成されている。
また、固定電極部23には、第2絶縁層25に形成された貫通孔25aによって外部に露出されてプローブ核酸が固定される固定面23aが形成されている。この固定面23aは、平面視においてほぼ円形となっており、その直径が例えば10μm〜100μmとなっている。なお、固定電極部23は第1絶縁層22上の2方向で等間隔となるように複数設けられており、固定面23aが複数形成されることでマイクロアレイ化されている。
また、包囲電極部24には、第2絶縁層25に形成された貫通孔25bによって外部に露出された露出面24aが形成されている。この露出面24aは、平面視において固定面23aと同心円の環状となっており、固定面23aの周縁から例えば15μm〜50μm程度離間した位置で固定面23aの周囲を囲むように形成されている。なお、包囲電極部24の電位は、包囲電極部24を介して隣接配置された2つの固定電極部23の電位の間の任意の値となるようにCMOS能動素子部15によって制御される。ここで、包囲電極部24の電位は、固定面23aとほぼ同電位であることが好ましい。
また、第2絶縁層25は、プラズマCVD法を用いて固定電極部23または第1絶縁層22上に厚さが例えば0.7μm〜0.9μmとなるように形成されている。そして、貫通孔25a、25bは、所定の開口形状を有するマスクパターンを用いたドライエッチングなどによって形成されている。
組分判断部32は、各固定面23aの電位の測定結果から、例えば10mVずつの範囲で複数の固定面23aのグループ分けを行い、その結果を記録部36に出力するように構成されている。
対向電極33は、複数の固定面23aとそれぞれプローブを介して対向配置されている。ハイブリダイゼーションの検出時には、プローブ核酸のハイブリダイゼーションにおける酵素反応で電流を取り出すために、対向電極33と固定面23aとの間に酸化還元電位を与えている。なお、用いる基質によって、酸化還元電位が50mV〜500mVとなっている。
電圧印加部34は、グループ分けした固定面23aのグループごとにグループを構成する固定面23aと対向電極33との間に電圧を印加するように構成されている。
信号検出部35は、固定面23aと対向電極33との間に電圧が印加されたときに固定面で検出される電気信号を検出し、その結果を記録部36に出力するように構成されている。
記録部36は、メモリなどによって構成されており、モニタやハードディスクなどで構成された出力部37に信号検出部35で検出した電気信号の強度を表示または出力させる。
本実施形態におけるハイブリダイゼーションの検出方法は、組分工程と、固定工程と、検出工程とで構成されている。
最初に、組分工程を行う。これは、電位測定部31がDNAチップ1の一点を基準として複数の固定面23aの電位を測定し、測定結果を記録部36に出力する。この結果、例えば、図3に示すように、各固定面23aの電位が得られる。そして、組分判断部32が記録部36に記録された各固定面23aの電位の測定結果から固定面23aのグループ分けを行う。これは、例えば固定面23aの電位が−4mV以上6mV未満であるグループA、6mV以上16mV未満であるグループB、16mV以上26mV未満であるグループC、26mV以上36mV未満であるグループDの4グループに分ける。ここで、各グループA〜Dの分布は、図3に示すようになる。
続いて、グループBを構成する固定面23aと対向電極33との間に電圧を印加して、ハイブリダイゼーションが発生した際の電気信号を信号検出部35で検出する。ここで、対向電極33に印加する電圧は、グループAを構成する固定面23aと対向電極33との間に印加した電圧よりも10mV高くしている。これは、組分工程においてグループBにグループ分けする固定面23aの電位の範囲の中間値がグループAの場合と比較して10mV高いためである。
そして、供給したターゲット核酸と、取得した電気信号から、固定面23aに固定されているプローブ核酸の遺伝子発現や塩基配列を解析する。この際、各グループA〜Dを構成する固定面23aに固定された参照用プローブのハイブリダイゼーションによる電気信号の検出結果を基に、各固定面23aで検出された電気信号を補正する。これは、基準グループであるグループAにおける参照用プローブの電気信号の検出結果と他のグループにおける参照用プローブの電気信号の検出結果とを比較し、その差を補正値とする。そして、各グループで検出された電気信号を補正値に基づいて補正する。
例えば、上記実施形態では、組分工程において、固定面23aの電位が10mV高くなるごとに複数の固定面23aをグループ分けして4つのグループA〜Dを形成しているが、グループ分けする電位の範囲は適宜変更してもよい。ここで、同一グループ内で隣接する2つの固定面23aの間の電位差を小さくして両固定面23a間で流れる電流によるノイズの影響を小さくするために、各グループの電位の範囲を固定面23aと対向電極33との間に印加する電圧値の10%より小さいことが好ましい。
また、組分工程において、複数の固定面23aのうち一部の電位が検出工程において固定面23aと対向電極33との間に印加する電圧の、例えば30%以上である場合には、当該固定面23aをハイブリダイゼーションの検出対象から除外して他の固定面23aを使用して検出を行ってもよい。
また、固定工程において、各グループA〜Dに共通する参照用プローブを固定しているが、参照用プローブを固定しなくてもよい。
また、検出工程において、グループBの検出時に対向電極33に印加する電圧をグループAの検出時と比較して10mV高くし、グループC、Dの検出時でも同様に対向電極33に印加する電圧を高くしているが、グループA〜Dで同一の電圧を対向電極33に印加するようにしてもよい。
また、プローブ核酸が捕捉する生体関連物質としてターゲット核酸を適用しているが、タンパクなど、他の生体関連物質を捕捉するようにしてもよい。さらに、プローブとしてタンパクなど他の生体関連物質を適用してもよい。
また、露出面24aが固定面23aの周縁から等間隔で離間した位置に形成されているが、設計に応じて適宜変更してもよい。
また、各包囲電極部24が電気的に接続され、同電位となるように構成してもよい。
また、1つの固定電極部23に対して1箇所に固定面23aが形成されているが、複数の固定面23aが形成された構成としてもよい。
また、固定電極部23や包囲電極部24がコンタクトホール22aにおいて接続電極部21と接続されているが、固定電極部23や包囲電極部24を接続電極部21上に直接スパッタリング法などによって形成した構成としてもよい。
また、包囲電極24を設けない構成としてもよい。
また、CMOS部11によって各固定電極部23に対して印加する電圧の制御などを行っているが、CMOSに限らず、他の半導体装置によって各固定電極部23の電圧制御や電位測定部31への出力などを行ってもよい。
23 固定電極部(固定電極)
23a 固定面
24 包囲電極部(包囲電極)
33 対向電極
Claims (4)
- 生体関連物質を捕捉するプローブが固定される固定面を有する固定電極が複数設けられたマイクロ反応チップに前記プローブを固定し、該プローブを介して前記固定電極と対向配置される対向電極に電圧を印加するハイブリダイゼーションの検出方法において、
前記対向電極と前記複数の固定面との間の電位をそれぞれ測定し、該複数の固定面を所定の範囲の電位ごとに複数のグループに分ける組分工程と、
前記複数の固定面に前記プローブを固定する固定工程と、
前記固定面に固定された前記プローブと前記生体関連物質とをハイブリダイズさせるハイブリダイズ工程と、
前記ハイブリダイズ工程の後、前記グループごとに分けて、該グループを構成する前記固定面と前記対向電極との間に電圧を印加して電気信号を検出する検出工程とを備えることを特徴とするハイブリダイゼーションの検出方法。 - 前記固定工程で、前記各グループを構成する前記固定面の少なくとも1つずつに、前記複数のグループで共通する参照用プローブを固定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリダイゼーションの検出方法。
- 前記検出工程で、前記複数のグループのうち1つのグループの検出時に前記対向電極に印加する電圧と、他のグループの検出時に前記対向電極に印加する電圧との差が、前記1つのグループでグループ分けする電位の中間値と前記他のグループでグループ分けする電位の中間値との差と等しいことを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリダイゼーションの検出方法。
- 前記マイクロ反応チップが、前記固定面から離間して該固定面の外周を囲む包囲電極を有し、
前記検出工程において、前記固定面と前記包囲電極とを同電位としてから前記電気信号を検出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハイブリダイゼーションの検出方法。
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