JP4010172B2 - 有機分子検出素子、有機分子検出装置、および、有機分子検出方法 - Google Patents

有機分子検出素子、有機分子検出装置、および、有機分子検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、様々な有機分子(例えば、DNAやRNAなどの核酸や蛋白質を含めた塩基類)の検出に用いられる有機分子検出用素子、有機分子検出装置、および、有機分子検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、DNAの塩基配列や特性を解析するために、DNAチップを用いたDNAの検出が行われている。DNAチップは、ガラスプレート表面にプローブ(指標となるDNA)を固定したものである。DNAチップのプローブに対して、蛍光物質が付加されたターゲット(検出対象となるDNA)をハイブリダイズさせて、DNAの解析が行われる。
【0003】
ここで、既知の塩基配列や特性を持つDNAがプローブとして固定された場合には、未知の塩基配列や特性を持つDNAがターゲットとしてプローブにハイブリダイズされる。逆に、塩基配列などが未知のDNAをプローブ、既知のDNAをターゲットとして用いることもある。
何れにしても、ハイブリダイゼーション処理の後、DNAチップは十分に洗浄され、プローブに固着したターゲット以外は除去される。その結果、1つのDNAチップ上には、プローブとターゲットとが固着した箇所が点在することになる。プローブとターゲットとが固着した各々の箇所において、プローブまたはターゲットは、塩基配列などが既知のDNAである。
【0004】
ターゲットには予め蛍光物質が付加されているため、この蛍光物質を標識として、プローブとターゲットがハイブリダイズしたか否かやその固着位置などを検出することができる。
具体的には、DNAチップを用いたDNAの解析に際して、ハイブリダイズした後のDNAチップには紫外線などの励起光が照射され、この励起光によって励起された蛍光物質からの蛍光が目視や撮像素子により観察され、プローブとターゲットがハイブリダイズしたか否かやその固着位置などが検出される。
【0005】
そして、プローブとターゲットとの固着位置などの情報が得られると、この情報に基づいてプローブ(またはターゲット)の既知の塩基配列や特性を特定することができ、特定された既知の塩基配列などに基づいてターゲット(またはプローブ)の未知の塩基配列や特性を解析することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のDNAチップやDNA検出方法では、ガラスプレート表面に固定されたプローブに対してターゲットをハイブリダイズさせる前に、ターゲットに対して予め標識用の蛍光物質を付加しておかなければならないため、作業効率が悪かった。
【0007】
また、プローブとターゲットがハイブリダイズしたか否かやその固着位置などを検出するためには、ターゲットに付加された蛍光物質を励起する光源や光学系が必要であり、蛍光物質からの蛍光を観察する光学系や撮像素子も必要である。蛍光を観察する光学系には、励起光を遮断して蛍光を透過する光学フィルタや顕微鏡が含まれる。つまり、従来では、検出装置が大きく複雑であるという点も問題であった。
【0008】
さらに、上記した従来のDNAチップやDNA検出方法では、検出精度の向上に限界があった。
本発明の目的は、作業効率の向上と検出装置の小型化および簡素化とを実現できる有機分子検出用素子、有機分子検出装置、および、有機分子検出方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、検出精度をさらに向上させることができる有機分子検出用素子、有機分子検出装置、および、有機分子検出方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の有機分子検出素子は、半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、絶縁膜は有機分子の固定領域を有し、半導体基板は、固定領域に対応する主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有するものであり、半導体基板の所定領域には、少なくとも固定領域に有機分子が固定されたときに、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成される。特に、請求項1の有機分子検出素子は、電極領域を、半導体基板の主面またはその近傍から、この主面とは反対側の主面まで、連続して形成したものである。
【0011】
なお好ましくは、半導体基板として、不純物濃度の低いN型またはP型の基板を用い、電極領域として、半導体基板とは逆の導電型で不純物濃度の高いP型またはN型の領域を用いるものである。
また好ましくは、半導体基板として、不純物濃度の高いN型またはP型の基板を用い、半導体基板の所定領域に、該半導体基板とは逆の導電型で不純物濃度の低いP型またはN型のチャネル領域を設け、電極領域として、チャネル領域と同じ導電型で不純物濃度の高いP型またはN型の領域を用いるものである。
【0012】
なお好ましくは、絶縁膜が凹部を有すると共に、該凹部の底面に固定領域を配したものである。
【0013】
請求項2の有機分子検出素子は、半導体基板を含む有機分子検出素子において、当該検出素子の表面に、有機分子の固定領域を有し、前記半導体基板は、前記固定領域に対応する内部の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成されるものである。特に、請求項2の有機分子検出素子は、前記半導体基板の主面に金属膜が形成され、前記固定領域は、前記金属膜に配置されているものである。
【0014】
なお好ましくは、前記固定領域は、前記半導体基板の主面に配置されているものである。
【0015】
また好ましくは、前記半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、前記固定領域は、前記絶縁膜に配置されているものである。
なお好ましくは、当該検出素子の表面には凹部が形成され、前記固定領域は、前記凹部の底面に配置されているものである。
【0016】
また好ましくは、前記固定領域の周囲は窒化物で覆われているものである。
請求項3の有機分子検出素子は、半導体基板を含む有機分子検出素子において、当該検出素子の表面に、有機分子の固定領域を有し、前記半導体基板は、前記固定領域に対応する内部の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成されるものである。特に、請求項3の有機分子検出素子は、前記半導体基板は、前記所定領域を前記電流経路の幅方向に挟んで対向配置された2つ以上のゲート領域を有するものである。
【0017】
請求項4の有機分子検出素子は、半導体基板を含む有機分子検出素子において、当該検出素子の表面に、有機分子の固定領域を有し、前記半導体基板は、前記固定領域に対応する内部の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成されるものである。特に、請求項4の有機分子検出素子は、前記電極領域は、前記半導体基板のうち、前記固定領域とは反対側の主面近傍に配置されているものである。
請求項5の有機分子検出素子は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の有機分子検出素子において、固定領域、1対の電極領域、および所定領域を含むセルが複数配置されたものである。
請求項6の有機分子検出素子は、半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、前記絶縁膜は有機分子の固定領域を有し、前記半導体基板は、前記固定領域に対応する前記主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成される有機分子検出素子である。この請求項6の有機分子検出素子は、前記固定領域と前記1対の電極領域と前記所定領域とを含むセルが複数配置され、前記複数のセルは、異なる種類の有機分子を検出するものである。
【0018】
請求項7の有機分子検出装置は、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の有機分子検出素子と、半導体基板の所定領域に形成される電流経路の電気特性を測定する測定手段とを備えたものである。
【0019】
請求項8の有機分子検出装置は、請求項7に記載の有機分子検出装置において、測定手段が、電気特性として、電流経路の電流値を測定するものである。
請求項9の有機分子検出方法は、半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、絶縁膜は有機分子の固定領域を有し、半導体基板は、固定領域に対応する主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有するものであり、半導体基板の所定領域には、少なくとも固定領域に有機分子が固定されたときに、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成される有機分子検出素子と、半導体基板の所定領域に形成される電流経路の電気特性を測定する測定手段とを備えた有機分子検出装置を用いて有機分子を検出する方法であって、有機分子検出素子の固定領域に指標となる有機分子を固定させる固定処理ステップと、指標となる有機分子に検出対象となる有機分子を結合させる結合処理ステップと、結合処理ステップの後に、測定手段によって電気特性を測定する測定ステップとを備えたものである。
【0020】
特に、請求項9の有機分子検出方法は固定処理ステップの後でかつ結合処理ステップの前に、測定手段によって電気特性を測定する第1補助ステップと、第1補助ステップにおける測定結果と測定ステップにおける測定結果とを比較する第1比較ステップとを備えたものである。
【0021】
請求項10の有機分子検出方法は、請求項9に記載の有機分子検出方法において、固定処理ステップの前に、測定手段によって電気特性を測定する第2補助ステップと、第1補助ステップにおける測定結果と第2補助ステップにおける測定結果とを比較する第2比較ステップとを備えたものである。
請求項11の有機分子検出方法は、半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、絶縁膜は有機分子の固定領域を有し、半導体基板は、固定領域に対応する主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有するものであり、半導体基板の所定領域には、少なくとも固定領域に有機分子が固定されたときに、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成される有機分子検出素子と、半導体基板の所定領域に形成される電流経路の電気特性を測定する測定手段とを備えた有機分子検出装置を用いて有機分子を検出する方法であって、有機分子検出素子の固定領域に指標となる有機分子を固定させる固定処理ステップと、指標となる有機分子に検出対象となる有機分子を結合させる結合処理ステップと、結合処理ステップの後に、測定手段によって電気特性を測定する測定ステップとを備えたものである。特に、請求項11の有機分子検出方法は結合処理ステップの前に、検出対象となる有機分子に標識を付加する標識処理ステップと、結合処理ステップの後に、標識の付加状態を測定する標識測定ステップとを備えたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
こでは、有機分子の1例であるDNAの検出について説明する。第1実施形態の有機分子検出素子10は、エンハンスメント(enhancement)型のMOS−FETと同様の動作特性を有し、DNAがマイナスに帯電していることを利用してDNAを検出する半導体素子である。
【0023】
さて、第1実施形態の有機分子検出素子10は、図1(斜視図)および図2(断面図)に示すように、シリコン基板11の主面に、シリコン酸化膜12,13(絶縁膜)と、金属膜14,15と、シリコン酸化膜16とを順に形成したものである。各々の膜(12〜16)の形成は、周知の半導体プロセス技術を用いて行われる(詳細は後述する)。第1実施形態において、シリコン基板11(半導体基板)は、不純物濃度の低いN型基板である。
【0024】
さらに、有機分子検出素子10には、シリコン酸化膜12,13,16によって凹部17が形成されている。凹部17の底面17aは、指標となるDNA18を固定する領域(以下「DNA固定領域19」という)である。このDNA固定領域19からシリコン基板11の主面までの距離D(シリコン酸化膜12の膜厚に相当)は、500Å程度に薄膜化されている。
【0025】
また、有機分子検出素子10において、シリコン基板11と金属膜14,15との間に形成されたシリコン酸化膜12,13には、凹部17を挟んで両側に、貫通孔14a,15aが設けられている。貫通孔14a,15aは、各々、金属膜14,15をシリコン基板11に電気的に接続するためのコンタクトホールである。
さらに、有機分子検出素子10のシリコン基板11には、金属膜14,15が貫通孔14a,15aを介して接続される箇所に、電極領域21,22が形成されている。第1実施形態において、電極領域21,22は、不純物濃度の高いP型領域である。
【0026】
ここで、シリコン基板11の電極領域21,22に挟まれた領域11a(所定領域)は、凹部17の底面17a(DNA固定領域19)に対応している。
また、DNA固定領域19に固定されたDNA18とシリコン基板11の領域11aとは、500Å程度に薄膜化されたシリコン酸化膜12を介して絶縁されている。
【0027】
このため、DNA固定領域19にDNA18が固定されると、シリコン基板11の領域11aには、DNA固定領域19に固定されたDNA18の帯電量に応じて電流経路が形成される。DNA18の帯電量は、固定化されたDNA18の数量にほぼ比例している。
また、検出対象となるDNA(不図示)が指標となるDNA18に相補結合されると、シリコン基板11の領域11aには、固定化されたDNA18の数量(つまり帯電量)と、相補結合された検出対象となるDNA(不図示)の数量(つまり帯電量)との総量に応じて、電流経路が形成される。
【0028】
そして、シリコン基板11の領域11aに形成される電流経路の幅が広いほど、電極領域21,22間には、多くの電流が流れる。
したがって、第1実施形態の有機分子検出素子10によれば、電極領域21,22間を流れる電流の量に基づいて、DNA固定領域19にDNA18が固定されたか否かや、DNA固定領域19に固定されたDNA18に検出対象のDNAが相補結合されたか否かを検出できる。
【0029】
次に、第1実施形態の有機分子検出素子10を製造する工程について、図3,図4を用いて具体的に説明する。
まず、図3(a)に示すように、不純物濃度の低いN型のシリコン基板11の主面に、シリコン酸化膜12を薄く形成する(膜厚は例えば500Å程度)。シリコン酸化膜12の形成は、熱酸化法などを用いて行われる。
【0030】
次いで、シリコン酸化膜12の上にレジストパターン31を形成し、図3(b)に示すように、レジストパターン31をマスクとして、P型不純物32をイオン注入法により高濃度(例えば1×1015個/cm2程度)に導入する。その後、アニール処理を施すことにより、シリコン基板11には、不純物濃度の高いP型の電極領域21,22が形成される。
【0031】
次に、レジストパターン31を除去して清浄化した後、図3(c)に示すように、シリコン酸化膜12の上にシリコン酸化膜13を厚く形成する(膜厚は例えば5000Å程度)。シリコン酸化膜13の形成は、CVD装置などを用いて行われる。
次いで、シリコン酸化膜13の上にレジストパターン33を形成し、図3(d)に示すように、レジストパターン33をマスクとして、シリコン酸化膜13の一部33aをエッチングする。このエッチングにより、シリコン基板11の電極領域21,22に挟まれた領域11aに対応する箇所において、シリコン酸化膜12が露出することになる。つまり、シリコン酸化膜12,13は、シリコン基板11の領域11aに対応する箇所で薄膜化される。
【0032】
次に、レジストパターン33を除去して清浄化した後、図4(a)に示すように、シリコン酸化膜12,13の上に別のレジストパターン34を形成し、このレジストパターン34をマスクとして、シリコン酸化膜12,13の一部をエッチングする。このエッチングにより、シリコン酸化膜12,13には貫通孔14a,15aが形成され、シリコン基板11の電極領域21,22が露出することになる。
【0033】
次いで、レジストパターン34を除去して清浄化した後、スパッタ装置などを用いて、金属膜(Al膜やAl−Si−Cu膜など)を全面に形成する。そして、不図示のレジストパターンをマスクとして、金属膜の一部をエッチングし、図4(b)に示す金属膜14,15を形成する。金属膜14,15は、貫通孔14a,15aを介してシリコン基板11の電極領域21,22に電気的に接続されている。
【0034】
次いで、金属膜14,15上のレジストパターン(不図示)の除去と清浄化を行った後、シリコン酸化膜を全面に形成し、不図示のレジストパターンをマスクとして、シリコン酸化膜の一部をエッチングすることにより、図2に示すシリコン酸化膜16を形成する。その結果、シリコン酸化膜12,13,16には、凹部17が形成される。凹部17の底面17aは、DNA固定領域19である。
【0035】
そして最後に、凹部17の底面17a(DNA固定領域19)に対してプラズマ処理やKOH溶液処理などを施すことにより、底面17a(DNA固定領域19)をけん化し、DNA18を固定し易い様に加工する。以上の工程により、第1実施形態の有機分子検出素子10が完成する。
なお、金属膜14,15上にはシリコン酸化膜16が形成されているが、後述する測定機器(41,42)を金属膜14,15間に接続するため、金属膜14,15上の一部分には、シリコン酸化膜16の無い露出部が確保されている。
【0036】
完成した有機分子検出素子10のDNA固定領域19に指標となるDNA18を固定する処理には、天然のDNAをスポッティングする方式や、任意の塩基配列を化学的に合成する方式などがある。そして、DNA固定領域19に指標となるDNA18が固定された後、このDNA18には検出対象のDNAが相補結合される。ただし、第1実施形態において、検出対象となるDNAには、蛍光物質などの標識が付加されない。
【0037】
ここで、上記の有機分子検出素子10を用いて構成される有機分子検出装置40には、図5に示すように、有機分子検出素子10の他、電源41および電流計42(測定手段)が設けられる。電源41は、定電圧源である。電源41,電流計42は、有機分子検出素子10の金属膜14,15間に接続される。
この有機分子検出装置40では、電源41によって、有機分子検出素子10の金属膜14,15間に所定の電圧が印加され、電流計42によって、有機分子検出素子10の金属膜14,15間を流れる電流量の測定が行われる。
【0038】
上記したように、有機分子検出素子10の金属膜14,15間、つまり、シリコン基板11(図2)の電極領域21,22間には、有機分子検出素子10のDNA固定領域19に指標となるDNA18が固定されたか否かや、DNA固定領域19に固定されたDNA18に検出対象のDNAが相補結合されたか否かに応じて、異なる量の電流が流れる。
【0039】
したがって、有機分子検出装置40(図5)では、電流計42によって測定された電流値に基づいて、DNA固定領域19に指標となるDNA18が固定されたか否かや、DNA18に検出対象のDNAが相補結合されたか否か検出することができる。
次に、第1実施形態の有機分子検出装置40を用いてDNAを検出する手順について具体的に説明する。
【0040】
初めに、有機分子検出素子10のDNA固定領域19に指標となるDNA18を固定させる前に、電流計42の値を読み取る(請求項10の第2補助ステップ)。得られた電流値D1は、DNA固定領域19に何も付いていない状態での値(0〜nA程度)であり、暗電流の値に相当する。つまり、有機分子検出素子10における基準の電流値を表している。
【0041】
次に、指標となるDNA18をDNA固定領域19に固定させた後で、かつ、検出対象となるDNAを指標となるDNA18に相補結合させる前に、電流計42の値を読み取る(請求項9の第1補助ステップ)。得られた電流値D2(例えば15pA)は、上記した基準の電流値D1に比較して、DNA固定領域19に固定されたDNA18の帯電量に応じた分(例えば5pA)だけ増加している。
【0042】
したがって、DNA固定領域19に指標となるDNA18を固定させる前後の電流値D1,D2を比較し(請求項10の第2比較ステップ)、これらの差(D2−D1)に基づいて、DNA固定領域19に適量のDNA18が固定されたか否かを確認することができる。
最後に、検出対象となるDNAを指標となるDNA18に相補結合させた後に、電流計42の値を読み取る(請求項9の測定ステップ)。得られた電流値D3(例えば20pA)は、上記した電流値D2に比較して、指標となるDNA18に相補結合された検出対象となるDNAの帯電量に応じた分(例えば5pA)だけ増加している。
【0043】
したがって、指標となるDNA18に検出対象のDNAを相補結合させる前後の電流値D2,D3を比較し(請求項9の第1比較ステップ)、これらの差(D3−D2)に基づいて、検出対象のDNAが相補結合されたか否かを検出することができる。
上記したように、第1実施形態によれば、DNAがマイナスに帯電していることを利用するため、検出対象となるDNAに対して予め標識(蛍光物質など)を付加しなくても、電極領域21,22間の電流経路の電流値に基づいて、検出対象となるDNAを容易に検出できる。また、DNAに標識を付加する工程が省略できるため、作業効率が向上する。
【0044】
さらに、第1実施形態によれば、蛍光物質を標識としないため、蛍光物質を励起する光源や光学系、および蛍光物質からの蛍光を観察する光学系や撮像素子が不要となり、その代わりに必要となる構成が電流値を測定する手段(41,42)であるため、検出装置の小型化および簡素化が実現し、安価に構成できる。
また、第1実施形態によれば、指標となるDNA18に検出対象のDNAを相補結合させる前後で電流値を測定し、これらの差に基づいて、検出対象のDNAが相補結合されたか否かを検出するため、より精度の高い検出が行える。
【0045】
また、第1実施形態によれば、DNA固定領域19からシリコン基板11の主面までの距離D(シリコン酸化膜12の膜厚に相当)を500Å程度に薄膜化したため、DNA固定領域19上のDNA18や検出対象となるDNAの帯電量が微少であっても、その帯電量によって、電極領域21,22間の電流経路の幅を効率良く制御でき、高感度な検出が行える。
【0046】
さらに、上記の距離D(シリコン酸化膜12の膜厚に相当)は、500Åに限らない。距離Dを500Å〜1000Åの間の適切な値に設定することもできる。この場合にも、同様の効果が得られる。
【0047】
また、指標となるDNAをDNA固定領域19に固定させた後で、かつ、検出対象となるDNAを相補結合させる前に測定した電流値D2のみに基づいて、DNA固定領域19に固定された指標となるDNAを定量的に確認することもできる。
さらに、第1実施形態では、DNA固定領域19が凹部17の底部17aに位置するため、スポッティング方式を用いた場合でも、指標となるDNA18を正確な位置に固定できる。また、DNA固定領域19にけん化処理を予め施すため、指標となるDNA18を確実に固定できる。その結果、検出精度が向上する。
【0048】
また、第1実施形態によれば、有機分子検出素子10の金属膜14,15を保護する目的で、金属膜14,15の上にシリコン酸化膜16を形成したため、測定雰囲気の自由度が広がり、空気中だけでなく液中に浸した場合でも、DNAの検出が行える。
(第2実施形態)
こでも、有機分子の1例であるDNAの検出について説明する。
【0049】
第2実施形態の有機分子検出素子50は、図6(断面図)に示すように、シリコン基板51の構成が上記した有機分子検出素子10(図2)と相違している。シリコン基板51の主面に形成された各々の膜(12〜16)は、上記した有機分子検出素子10(図2)と同じである。
このため、以下では、シリコン基板51の構成について詳細に説明する。ただし、シリコン基板51に形成された電極領域21,22の構成は、上記した有機分子検出素子10(図2)と同じであり、説明を省略する。
【0050】
さて、有機分子検出素子50のシリコン基板51(半導体基板)は、不純物濃度の高いN型基板である。このシリコン基板51には、電極領域21,22に挟まれ、凹部17の底面17a(DNA固定領域19)に対応する所定領域に、薄いチャネル領域52が形成されている。チャネル領域52は、不純物濃度の低いP型領域である。
【0051】
ここで、シリコン基板11のチャネル領域52とDNA固定領域19上のDNA(不図示)とは、1000Å程度に薄膜化されたシリコン酸化膜12を介して絶縁されている。
このように構成された有機分子検出素子50は、ディプリッション(depletion)型のMOS−FETと同様の動作特性を有し、DNAがマイナスに帯電していることを利用してDNAを検出する半導体素子である。
【0052】
次に、第2実施形態の有機分子検出素子50を製造する工程について、図7を用いて説明する。
まず、図7(a)に示すように、不純物濃度の高いN型のシリコン基板51の主面に、シリコン酸化膜12を薄く形成する(膜厚は例えば1000Å程度)。シリコン酸化膜12の形成は、熱酸化法などを用いて行われる。
【0053】
次いで、シリコン酸化膜12の上にレジストパターン53を形成し、このレジストパターン53をマスクとして、P型不純物54をイオン注入法により低濃度(例えば5×1013個/cm2程度)に導入する。その後、アニール処理を施すことにより、シリコン基板51には、不純物濃度の低いP型のチャネル領域52が形成される。
【0054】
次に、レジストパターン53を除去して清浄化した後、図7(b)に示すように、シリコン酸化膜12の上に別のレジストパターン55を形成し、このレジストパターン55をマスクとして、P型不純物56をイオン注入法により高濃度(例えば1×1015個/cm2程度)に導入する。その後、アニール処理を施すことにより、シリコン基板51には、不純物濃度の高いP型の電極領域21,22が形成される。
【0055】
その後、上記した図3(c),(d),図4(a),(b)と同じ工程を順に実行することで、シリコン酸化膜12(図6)上には、シリコン酸化膜13と、金属膜14,15と、シリコン酸化膜16とが順に形成される。そして最後に、凹部17の底面17a(DNA固定領域19)に対してプラズマ処理やけん化処理などを施すことにより、第2実施形態の有機分子検出素子50が完成する。
【0056】
第2実施形態の有機分子検出素子50では、シリコン基板51の電極領域21,22間に、不純物濃度の低いP型のチャネル領域52が形成されるため、ディプリッション型の安定した動作特性が得られる。つまり、DNA固定領域19に指標となるDNAが固定されなくても、シリコン基板51のチャネル領域52には一定量の電流が流れることになる。
【0057】
したがって、第2実施形態によれば、DNA固定領域19に何も固定されてない状態で測定した基準の電流値D1(例えば10pA)に基づいて、有機分子検出素子50の製造時のバラツキを調査できるという効果を奏する。
さらに、指標となるDNAをDNA固定領域19に固定させた後で、かつ、検出対象となるDNAを相補結合させる前に測定した電流値D2のみに基づいて、DNA固定領域19に固定された指標となるDNAを定量的に確認することもできる。
【0058】
なお、上記した第1実施形態では、DNA固定領域19とこれに対応する領域11aと電極領域21,22と金属膜14,15とを備えたセルが1個だけ配された有機分子検出素子10(図1,図2)を説明し、上記した第2実施形態では、DNA固定領域19とチャネル領域52と電極領域21,22と金属膜14,15とを備えたセルが1個だけ配された有機分子検出素子50(図6)を説明したが、図8に示す有機分子検出素子60のように、複数のセル61を2次元に配置しても良い(請求項5)。
【0059】
各々のセル61は、有機分子検出素子10のセル、または有機分子検出素子50のセルである。各々のセル61において、金属膜14,15はL字状に延在され、先端部分に電極62,63が設けられる。なお、電極62,63上には、金属膜14,15上のシリコン酸化膜16(図8では図示省略)は形成されない。そして、電極62,63間には、測定機器(定電圧源および電流計)が接続される。
【0060】
この有機分子検出素子60では、各々のセル61の電流値を読み出すに当たって、MOSなどによるxyアドレス方式や、CCDなどによるシフトレジスタ方式を採用することが好ましい。
複数のセル61を備えた有機分子検出素子60によれば、同時に複数のDNAを検出することができ、作業時間の短縮やコストの低減が容易に可能となる。この場合、複数のセル61には、同じ種類のDNAを付けても、異なる種類のDNAを付けても良い(請求項6)
【0061】
また、有機分子検出素子60において、各々のセル61のDNA固定領域に何も付けない状態で電流値D1を測定することにより、各々のセル61のシリコン酸化膜12やシリコン基板11に生じた製造時の欠陥などを調査し、セル61間の個体差を確認することができる。図8では、金属膜14,15をL字状に延在させたたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
さらに、上記した実施形態では、シリコン基板11,51の同一主面にDNA固定領域19と金属膜14,15とを形成したが、図9,図10に示す有機分子検出素子のように、DNA固定領域19と金属膜14,15とをシリコン基板11,51の反対側の主面に形成しても良い(請求項1)。
この場合、電極領域21,22は、DNA固定領域19が形成されるシリコン酸化膜12側の主面(表面)またはその近傍から反対側の主面(裏面)まで、連続的に深く形成される。このような深い電極領域21,22を形成するに当たっては、イオン注入法に代えて、気相拡散や固相拡散などの熱拡散法を用いることが好ましい。
【0063】
また、上記した実施形態では、N型のシリコン基板11,51を用いる構成を説明したが、シリコン基板の導電型をP型にした構成にも本発明は適用できる。この場合の電極領域21,22は、シリコン基板とは逆の導電型であるN型領域となる。この構成によれば、DNA固定領域にDNAが付いていないときに最も電流量が多く、DNA固定領域上のDNAの帯電量が増えるほど、電極領域間に流れる電流量が小さくなる。
【0064】
さらに、上記した実施形態では、シリコン酸化膜12,13によって凹部17を形成し、その底面17aにDNA固定領域19を形成したが、平面状の箇所にDNA固定領域を形成しても良い(図9,図10参照)。
また、上記した実施形態では、MOS−FET型の素子構成を例に説明したが、J−FET型などの素子構成にも、本発明は適用できる。
【0065】
さらに、上記した実施形態では、金属膜14,15を保護するために、金属膜14,15の上にシリコン酸化膜16を形成したが、シリコン酸化膜16に代えてシリコン窒化膜などの絶縁膜を用いても良い。シリコン酸化膜12,13も、シリコン窒化膜などの絶縁膜に代えることができる。また、金属膜14,15上のシリコン酸化膜16は省略しても良い。
【0066】
(第3実施形態)
こでも、有機分子の1例であるDNAの検出について説明する。第3実施形態の有機分子検出素子70は、J−FETと同様の動作特性を有し、DNAがマイナスに帯電していることを利用してDNAを検出する半導体素子である。
【0067】
第3実施形態の有機分子検出素子70は、図11(断面図)に示すように、シリコン基板71の主面に、上述した有機分子検出素子10,50(図2,図6)と同様のシリコン酸化膜13と金属膜14,15とシリコン酸化膜16とを形成したものである。ここでは各々の膜(13〜16)の説明を省略する。
【0068】
また、有機分子検出素子70において、上述した有機分子検出素子10,50と同様の薄いシリコン酸化膜12(図2,図6参照)は存在しない。このため、有機分子検出素子70では、シリコン基板71とシリコン酸化膜13,16とにより凹部72が形成され、シリコン基板71の主面の一部(後述するゲート領域78の表面)が凹部72の底面となる。凹部72の底面はDNA固定領域73である。
【0069】
次に、シリコン基板71(半導体基板)の構成について詳細に説明する。シリコン基板71は、N型シリコン層74の上にP型シリコン層75が形成され、P型シリコン層75にソース領域76とドレイン領域77とゲート領域78とが形成されたものである。
P型シリコン層75のソース領域76およびドレイン領域77は、P型シリコン層75と同じ導電型で不純物濃度の高いP+領域である。ソース領域76は、シリコン酸化膜13の貫通孔14aを介して金属膜14に接続され、ドレイン領域77は、貫通孔15aを介して金属膜15に接続されている。ソース領域76,ドレイン領域77は、請求項の「1対の電極領域」に対応する。
【0070】
P型シリコン層75のゲート領域78は、P型シリコン層75とは逆の導電型で不純物濃度の高いN+領域である。ゲート領域78の表面は、有機分子検出素子70の表面の一部を構成すると共に、上記した凹部72の底面であり、DNA固定領域73として用いられる。このゲート領域78も、不図示の金属膜に接続されている。
【0071】
ここで、P型シリコン層75のソース領域76とドレイン領域77に挟まれ、かつ、P型シリコン層75のゲート領域78とN型シリコン層74に挟まれた領域71a(所定領域)は、P型シリコン層75の内部の領域であり、凹部72の底面(DNA固定領域73)に対応している。
この領域71aは、電流経路(チャネル)の形成領域である。なお、P型シリコン層75のゲート領域78とN型シリコン層74とは、領域71aを電流経路の幅方向に挟んで対向配置されている。ゲート領域78と同様、N型シリコン層74も、不図示の金属膜に接続されている。N型シリコン層74(請求項の「ゲート領域」に対応)は、バックゲートとして機能する。
【0072】
次に、第3実施形態の有機分子検出素子70を製造する工程について、図12,図13を用いて説明する。
まず初めに、図12(a)に示すように、単結晶のN型シリコン層74の上に単結晶のP型シリコン層75をエピタキシャル成長させて、シリコン基板71を形成する。そして、シリコン基板71の主面(P型シリコン層75の表面)に、熱酸化法などを用いてシリコン酸化膜101を薄く形成し(図12(b))、その上にレジストパターン102を形成する。
【0073】
次いで、レジストパターン102をマスクとして、P型不純物103をイオン注入法により高濃度に導入する。その後、アニール処理を施すことで、シリコン基板71のP型シリコン層75には、不純物濃度の高いP型のソース領域76,ドレイン領域77が形成される。
さらに、レジストパターン102を除去して清浄化した後、シリコン酸化膜101の上に別のレジストパターン104を形成し(図12(c))、このレジストパターン104をマスクとして、N型不純物105を高濃度に導入する。その後のアニール処理により、シリコン基板71のP型シリコン層75(ソース領域76,ドレイン領域77の間)には、不純物濃度の高いN型のゲート領域78が形成される。
【0074】
図12(b),(c)のように、薄いシリコン酸化膜101を介してイオン注入するため、シリコン基板71の主面(P型シリコン層75の表面)を保護し、高精度な状態に保つことができる。なお、ゲート領域78の形成には、熱による気相拡散法を用いてもよい。
次に、レジストパターン104を除去して清浄化した後、熱酸化法などを用いてシリコン酸化膜101をさらに成長させ、図13(a)に示すように、厚いシリコン酸化膜13を形成する。
【0075】
その後、シリコン酸化膜13の上にレジストパターン106を形成し(図13(b))、これをマスクとしてシリコン酸化膜13の一部をエッチングする。このエッチングにより、シリコン酸化膜13には貫通孔14a,15aが形成され、上記のソース領域76,ドレイン領域77が露出することになる。
次いで、レジストパターン106を除去して清浄化した後、スパッタ装置などを用いて配線用の金属膜を全面に形成する。そして、不図示のレジストパターンをマスクとして金属膜の一部をエッチングし、図13(c)に示す金属膜14,15を形成する。金属膜14,15は、貫通孔14a,15aを介してソース領域76,ドレイン領域77に電気的に接続されている。
【0076】
その後、金属膜14,15上のレジストパターン(不図示)の除去と清浄化を行った後、シリコン酸化膜16を全面に形成し(図13(d))、その上にレジストパターン107を形成し(図13(e))、これをマスクとしてシリコン酸化膜13,16の一部をエッチングする。シリコン酸化膜16は、PSGによる保護膜である。
【0077】
このエッチングにより、シリコン酸化膜13,16には貫通孔108が形成され、上記のゲート領域78が露出することになる。そして、レジストパターン107の除去と清浄化を行った後、ゲート領域78の表面とシリコン酸化膜13,16とにより凹部72(図11)が形成される。凹部72の底面は、DNA固定領域73である。
【0078】
そして最後に、凹部72の底面(DNA固定領域73)に対してプラズマ処理やけん化処理などを施すことにより、第3実施形態の有機分子検出素子70が完成する。ちなみに、DNA固定領域73の周囲は、シリコン酸化膜13,16で覆われている。
【0079】
次に、第3実施形態の有機分子検出素子70を用いたDNAの検出方法について説明する。この場合にも、有機分子検出素子70には、電源41と電流計42(図5)が接続される。そして、有機分子検出素子70のソース領域76,ドレイン領域77の間に所定の電圧が印加され、P型シリコン層75の領域71aに流れる電流量の測定が電流計42を用いて行われる。
【0080】
なお、有機分子検出素子70のゲート領域78は、電流計42による測定時、電圧の印加が遮断された状態に保たれる(フローティング)。また、ゲート領域78に対向配置されたN型シリコン層74には、逆バイアスの電圧(P型シリコン層75より高い電圧)が印加される。
有機分子検出素子70では、DNA固定領域73に指標のDNAが固定されていなくても、P型シリコン層75の領域71aに電流経路が形成される。すなわち、ソース領域76,ドレイン領域77の間を電流が流れる。電流経路の幅は、DNA固定領域73に何も固定されていないときに最も狭い(数μm程度)。
【0081】
そして、DNA固定領域73に指標のDNAが固定されたり、指標のDNAに検出対象のDNA(蛍光物質などの標識が付加されていないDNA)が相補結合されたりすると、それらの数量(つまり帯電量)にほぼ比例して電流経路の幅が広くなる。これは、DNAの帯電量に応じてゲート領域78の電位が変化し、ゲート領域78の周りの空乏層が後退するからである。
【0082】
このため、有機分子検出素子70では、DNA固定領域73に指標のDNAを固定させる前後の電流値を比較することにより、DNA固定領域73に適量の指標DNAが固定されたか否かを確認することができる。
さらに、指標のDNAに検出対象のDNAを相補結合させる前後の電流値を比較することにより、DNA固定領域73に固定された指標のDNAに検出対象のDNAが相補結合されたか否かを検出できる。
【0083】
また、DNA固定領域73に何も固定されてない状態で測定した基準の電流値に基づいて、有機分子検出素子70の製造時のバラツキを調査することもできる。さらに、指標のDNAをDNA固定領域73に固定させた後で、かつ、検出対象となるDNAを相補結合させる前に測定した電流値のみに基づいて、DNA固定領域73に固定された指標のDNAを定量的に確認することもできる。
【0084】
さらに、有機分子検出素子70では、シリコン基板71のP型シリコン層75の内部(つまりバルク内部)の領域71aに電流経路が形成されるため、素子表面の影響などを受けて電流経路にノイズが発生するようなことはない。その結果、上記のDNA検出を正確に行うことが可能となる。
また、DNA固定領域73(ゲート領域78の表面)がハイブリダイゼーションなどの薬品処理などにより汚染されても、バルク内部の領域71a(電流経路の形成領域)が変質により劣化する可能性はほとんどなく、常に正確なDNA検出を行うことができる。
【0085】
さらに、DNA固定領域73が凹部72の底面に配置されるため、指標のDNAを正確な位置に固定できる。また、DNA固定領域73に予めシランカップリング剤などの受容体を介してDNAを固定化するため、指標のDNAを確実に固定できる。その結果、検出精度が向上する。
また、有機分子検出素子70では、DNA固定領域73へ指標DNAを固定する際、ゲート領域78に対してプラスの電圧(例えば5V)を印加しておくことが好ましい。指標のDNAはマイナスに帯電しているため、DNA固定領域73にプラスの電圧を印加することで、DNA固定領域73に指標のDNAを引き寄せることができる。これにより、指標のDNAが微量であっても有効にDNA固定領域73へ固定化できる。このとき、基板の電位を下げ、順方向に電流が流れないようにすることは言うまでもない。
【0086】
さらに、有機分子検出素子70では、シリコン基板71の主面に指標のDNAを直接固定する、つまり、上述した有機分子検出素子10,50と同様の薄いシリコン酸化膜12(図2,図6参照)を必要としないため、製造工程における厳密な膜厚制御が不要となり、その分だけ製造し易くなる。また、有機分子検出素子70の感度のバラツキも小さくなる。
【0087】
(第4実施形態)
4実施形態の有機分子検出素子80は、図14に示すように、第3実施形態の有機分子検出素子70(図11)のシリコン酸化膜13,16を覆うように、シリコン窒化膜81を形成したものである。
【0088】
ここで、第4実施形態の有機分子検出素子80の製造工程について簡単に説明する。まず、上記した図12(a)〜(c),図13(a)〜(e)と同じ工程を順に実行し、レジストパターン107の除去と清浄化を行った後、シリコン窒化膜81を全面に形成する(図15(a))。
次いで、シリコン窒化膜81の上にレジストパターン109を形成し(図15(b))、これをマスクとしてシリコン窒化膜81の一部をエッチングする。そして、シリコン酸化膜81には貫通孔110が形成され、上記のゲート領域78が露出することになる。その後、レジストパターン109の除去と清浄化を行い、ゲート領域78の表面とシリコン窒化膜81とにより、凹部82(図14)が形成される。凹部82の底面は、DNA固定領域83である。
【0089】
そして最後に、凹部82の底面(DNA固定領域83)に対してプラズマ処理などを施すことにより、第4実施形態の有機分子検出素子80が完成する。この有機分子検出素子80では、シリコン窒化膜81により、DNA固定領域83の周囲が窒化物で覆われたことになる。
シリコン窒化膜81は、シリコン酸化膜に比べて膜構造が密で、アルカリ金属(例えばナトリウム)の原子を取り込み難く、耐薬品性に優れているため、保護膜として確実に機能する。このシリコン窒化膜81により、金属膜14,15の劣化を確実に防止できる。
【0090】
また、シリコン窒化膜81には、シリコン酸化膜に比べてDNAが付着し難いという特徴がある。したがって、DNA固定領域83の周囲にDNAが無駄に付着することを防止でき、DNA固定領域83のみにDNAを効率良く付着させることができる。
なお、上記した第4実施形態では、シリコン酸化膜13,16を覆うようにシリコン窒化膜81を形成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、シリコン酸化膜13,16に代えて、同じ形状のシリコン窒化膜を形成してもよい。この場合には、上記のシリコン窒化膜81を省略することができる。
【0091】
ただし、図12(b),(c)のイオン注入工程ではシリコン基板71の主面に薄いシリコン酸化膜12を形成しておくことが好ましいため、イオン注入後にシリコン酸化膜12を取り除き、改めてシリコン基板71の主面にシリコン窒化膜を形成する手順が考えられる。また、膜厚制御が複雑化しても構わないのであれば、イオン注入工程の前にシリコン窒化膜を形成してもよい。
【0092】
第4実施形態の有機分子検出素子80のシリコン窒化膜81と同様のシリコン窒化膜を、図2,図6の有機分子検出素子10,50のシリコン酸化膜13,16を覆うように形成しても、同様の効果を得ることができる。
また、上記した第3実施形態では、シリコン酸化膜13,16とゲート領域78の表面とで凹部72を形成し、第4実施形態ではシリコン窒化膜81とゲート領域78の表面とで凹部82を形成したが、本発明はこの構成に限定されない。
【0093】
例えば、シリコン基板71の主面(P型シリコン層75の表面)をエッチングして、P型シリコン層75自体に窪みを設けてもよい。この場合、P型シリコン層75の窪みの底面がDNA固定領域となる。P型シリコン層75をエッチングして窪みを形成する工程と、P型シリコン層75にゲート領域78を形成する工程とは、どちらが先でも構わない。
【0094】
(第5実施形態)
5実施形態の有機分子検出素子90は、図16に示すように、シリコン基板71の主面(ここではN型シリコン層74の表面)側にシリコン窒化膜91を設け、このシリコン窒化膜91とN型シリコン層74の表面とにより凹部92を形成したものである。凹部92の底面は、N型シリコン層74の表面の一部であり、ここがDNA固定領域93となる。
【0095】
このため、第5実施形態の有機分子検出素子90では、シリコン基板71のP型シリコン層75に形成されたソース領域76,ドレイン領域77,ゲート領域78(トランジスタ部)が、DNA固定領域93とは反対側の主面近傍に配置されたことになる。
また、有機分子検出素子90のソース領域76,ドレイン領域77,ゲート領域78に接続された金属膜14,15,95は、何れもシリコン酸化膜16によって全体的に覆われている。さらに、シリコン酸化膜16の上には、厚い保護基板94(例えばシリコンウエハやガラス基板など)が接合されている。
【0096】
ここで、有機分子検出素子90を製造する工程について簡単に説明する。上記した図12(a)〜(c),図13(a)〜(d)と同様の工程を順に実行した後、シリコン酸化膜16の上に保護基板94を接合し、この状態でシリコン基板71のN型シリコン層74を研磨して薄くする。
そして次に、研磨後のN型シリコン層74の表面にシリコン窒化膜91を全面に形成する。さらに、シリコン窒化膜91の上にレジストパターンを形成し、これをマスクとしてシリコン窒化膜91の一部をエッチングする。そして、シリコン酸化膜91には貫通孔が形成され、N型シリコン層74の一部が露出することになる。
【0097】
その後、レジストパターンの除去と清浄化を行い、N型シリコン層74の表面とシリコン窒化膜91とにより、凹部92が形成される。凹部92の底面は、DNA固定領域93である。最後に、凹部92の底面(DNA固定領域93)に対してプラズマ処理などを施すことにより、第5実施形態の有機分子検出素子90が完成する。DNA固定領域93の周囲は、シリコン窒化膜91で覆われている。
【0098】
有機分子検出素子90の製造工程で、N型シリコン層74を研磨により薄くする理由は、DNA固定領域93と領域71a(電流経路の形成領域)との距離を小さくすることにより、DNA検出感度を向上させるためである。
この有機分子検出素子90では、N型シリコン層74がゲートとして機能し、ゲート領域78がバックゲートとして機能することになる。このため、有機分子検出素子90を用いたDNA検出時、N型シリコン層74は、電圧の印加が遮断された状態に保たれる(フローティング)。ゲート領域78には、逆バイアスの電圧(P型シリコン層75より高い電圧)が印加される。
【0099】
したがって、有機分子検出素子90でも、J−FETと同様の動作特性により、DNA固定領域93に適量の指標DNAが固定されたか否かを確認したり、指標のDNAに検出対象のDNAが相補結合されたか否かを検出することができる。また、DNA固定領域93に何も固定されない状態で、有機分子検出素子90の製造時のバラツキを調査することもできる。指標のDNAをDNA固定領域93に固定させた状態で(検出対象DNAの相補結合前)、指標DNAを定量的に確認することもできる。
【0100】
さらに、有機分子検出素子90でも、シリコン基板71のP型シリコン層75の内部(つまりバルク内部)の領域71aに電流経路が形成されるため、素子表面の影響などを受けて電流経路にノイズが発生するようなことはなく、上記のDNA検出を正確に行うことができる。また、DNA固定領域93(N型シリコン層74の表面)がハイブリダイゼーションなどの薬品処理などにより汚染されても、バルク内部の領域71a(電流経路の形成領域)が変質により劣化することはなく、常に正確なDNA検出を行うことができる。
【0101】
さらに、有機分子検出素子90のトランジスタ部(76〜78)側の主面が保護基板94で封止され、ハイブリダイゼーションなどの薬品処理によって汚染されることはない。したがって、有機分子検出素子90の薬品に対する耐久性が格段に向上する。
また、DNA固定領域93が凹部92の底面に配置されるため、指標のDNAを正確な位置に固定できる。また、DNA固定領域93に予めプラズマ処理を施すため、指標のDNAを確実に固定できる。その結果、検出精度が向上する。
【0102】
さらに、有機分子検出素子90では、DNA固定領域93へ指標DNAを固定する際、N型シリコン層74に対してプラスの電圧(例えば5V)を印加しておくことが好ましい。これにより、DNA固定領域93に指標のDNAを引き寄せることができ、指標のDNAが微量であっても有効にDNA固定領域93へ固定化できる。このとき、先に述べたように、順方向に電流が流れないように注意することは言うまでもない。
【0103】
また、DNA固定領域93の周囲にシリコン窒化膜91を形成したため、DNA固定領域93の周囲にDNAが無駄に付着することを防止でき、DNA固定領域93のみにDNAを効率良く付着させることができる。
なお、保護基板94に代えて、トランジスタ部(76〜78)側の主面を樹脂で覆ってもよい。
【0104】
また、上記した第4実施形態と第5実施形態ではシリコン窒化膜を用いたが、シリコン窒化膜の他に、DNAをはじくような性質の膜(DNA分離膜)があれば、このDNA分離膜をシリコン窒化膜の代わりに形成しても、同様の効果を得ることができる。
さらに、上記した第3〜第5実施形態では、シリコン基板71の主面にDNA固定領域73,83,93を配置したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、シリコン基板71の主面(ゲート領域78の表面)に薄い絶縁膜を形成し、この絶縁膜にDNA固定領域を配置することが考えられる。絶縁膜の材料としては、シリコン酸化膜などを用いることができる。
【0105】
また、シリコン基板71の主面(ゲート領域78の表面)に薄い金属膜を形成し、この金属膜にDNA固定領域を配置することが考えられる(請求項2)。この場合、ゲート領域78の耐久性が格段に向上するので好ましい。金属膜の材料としては、耐薬品性の良いものであれば何でも構わない(例えばAu,Pt,W,Al)が、ゲート領域78とオーミック接合するものが好ましい。
【0106】
さらに、上記した第3〜第5実施形態では、DNA固定領域(73,83,93の何れか)とこれに対応する領域71aとトランジスタ部(76〜78)と金属膜(14,15など)を備えたセルが1個だけ配された有機分子検出素子70,80,90を例に説明したが、複数のセルを2次元的にマトリクス配置してもよい(図8参照)。
【0107】
ただし、この場合には、シリコン基板71のN型シリコン層74を個々のセルごとに電気的に分離させるため、図17に示すように、誘電体分離層97をシリコン基板71の内部に設けることが好ましい。誘電体分離層97は熱酸化膜などである。図17の基本的な構成は、上記の有機分子検出素子90(図16)と同じである。
【0108】
また図17には、電気的に分離された各セルのN型シリコン層74に対して個別に電圧を印加するための不純物層98と電極層99とが示されている。不純物層98は、N型シリコン層74と同じ導電型の不純物を注入した領域である。電極層98は、トランジスタ部(76〜78)に接続された金属膜14,15,95と同様の金属材料からなる。
【0109】
図示省略したが、基本的な構成が上記の有機分子検出素子70,80(図11,図14)と同じ場合にも、シリコン基板71の内部に、同様の誘電体分離層を設けることが好ましい。
複数のセルを備えた有機分子検出素子によれば、同時に複数のDNAを検出することができ、作業時間の短縮やコストの低減を図ることができる。この場合、複数のセルには、同じ種類のDNAを付けても、異なる種類のDNAを付けてもよい。
【0110】
異なる種類のDNAを複数のセルに付ける場合には、1種類ずつ順に付けていくことになるため、ある種類のDNAを付けたい特定セルのDNA固定領域(N型シリコン層74またはゲート領域78)に対してプラスの電圧を印加すると共に、その他のセルのDNA固定領域にはマイナスの電圧を印加しておくことが好ましい。これにより、プラスの電圧が印加されたDNA固定領域のみにDNAを引き寄せることができ、微量のDNAを特定セルに選択的に固定化できる。
【0111】
また、複数のセルを備えた有機分子検出素子において、各々のセルのDNA固定領域に何も付けない状態で領域71aを流れる電流量を測定することにより、セル間の個体差(バラツキ)を確認することができる。
そして、バックゲートとして機能する領域(ゲート領域78またはN型シリコン層74)に対し、セル間の個体差を考慮した所望の電圧をそれぞれ印加することにより、その個体差を補正することもできる。この補正により、領域71aに形成される電流経路の幅を予め適切に(例えば均一に)制御することができる。なお、セル間の個体差を考慮して適切なバックゲートへの印加電圧値(例えば平均値)を求め、これを全体的に印加するようにしてもよい。
【0112】
また、上記した第3〜第5実施形態では、P型シリコン層75の領域71aに電流経路を形成し、N型のゲート領域(N型シリコン層74またはゲート領域78)の表面にDNA固定領域73,83,93を形成したが、各々の導電型を逆にしても構わない。この場合、ソース領域76,ドレイン領域77は、ゲート領域7とは逆の導電型となる。この構成によれば、DNA固定領域にDNAが付いていないときに最も電流量が小さく、DNA固定領域上のDNAの帯電量が増えるほど、電流量が減少する。
【0113】
さらに、上記した第3〜第5実施形態では、N型シリコン層74とゲート領域78によって、P型シリコン層75の領域71aを電流経路の幅方向に挟むような構成(2つのゲート領域)を例に説明したが、3つ以上のゲート領域を同様に対向配置させてもよい。また、ゲート領域を筒状に構成してもよい。
また、上記した第1〜第5実施形態では、シリコン基板を用いた素子を説明したが、シリコン基板に代えて各種の半導体基板を用いることができる(例えばGaAs)。
【0114】
さらに、検出対象のDNAを指標となるDNA18に相補結合させる前に、検出対象のDNAに対して何らかの標識(蛍光物質や放射性同位体など)を付加すると、上記した電気的測定と同時または別のタイミングで、他の装置(蛍光顕微鏡,蛍光計測装置や放射性同位体検出装置など)を用い、標識の付加状態を光学的に測定することができ、DNAの検出精度が向上する(請求項11)。
【0115】
また、上記した第1〜第5実施形態では、電源41,電流計42を用いて測定を行ったが、電源41(定電圧源)に代えて定電流源を用いると共に、電流計42に代えて電圧計を用い、金属膜14,15間の電圧を測定した場合でも、同様の解析を行うことができる。
さらに、上記した第1〜第5実施形態では、DNAを検出する例を説明したが、その他のRNAやたんぱく質や核酸や塩基類などの帯電している有機分子について、同様の検査を行える。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1から請求項10のいずれかの発明によれば、作業効率の向上と検出装置の小型化および簡素化とを実現できるため、DNAの塩基配列や特性の解析に有用な装置を安価に構成できる。
また、請求項11の発明によれば、電気的測定と光学的測定との双方を実行できるため、検出精度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の有機分子検出素子10の外観斜視図である。
【図2】有機分子検出素子10のA−A断面図である。
【図3】有機分子検出素子10の製造工程を示す断面図である。
【図4】有機分子検出素子10の製造工程を示す断面図である。
【図5】第1実施形態の有機分子検出装置40の構成を示す図である。
【図6】第2実施形態の有機分子検出素子50の断面図である。
【図7】有機分子検出素子50の製造工程を示す断面図である。
【図8】有機分子検出素子60の外観斜視図である。
【図9】有機分子検出素子の変形例を示す断面図である。
【図10】有機分子検出素子の変形例を示す断面図である。
【図11】有機分子検出素子70の断面図である。
【図12】有機分子検出素子70の製造工程を示す断面図である。
【図13】有機分子検出素子70の製造工程を示す断面図である。
【図14】有機分子検出素子80の断面図である。
【図15】有機分子検出素子80の製造工程を示す断面図である。
【図16】有機分子検出素子90の断面図である。
【図17】有機分子検出素子の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
10,50,60,70,80,90 有機分子検出素子
11,51,71 シリコン基板
12,13,16 シリコン酸化膜
14,15,95 金属膜
17,72,82,92 凹部
18 指標となるDNA
19,73,83,93 DNA固定領域
21,22 電極領域
40 有機分子検出装置
41 電源
42 電流計
52 チャネル領域
61 セル
74 N型シリコン層
75 P型シリコン層
76 ソース領域
77 ドレイン領域
78 ゲート領域
81,91 シリコン窒化膜
94 保護基板
97 誘電体分離層
98 不純物層
99 電極層

Claims (11)

  1. 半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、
    前記絶縁膜は、有機分子の固定領域を有し、
    前記半導体基板は、前記固定領域に対応する前記主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、
    前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成され
    前記電極領域は、前記半導体基板の前記主面またはその近傍から、前記主面とは反対側の主面まで、連続して形成されている
    ことを特徴とする有機分子検出素子。
  2. 半導体基板を含む有機分子検出素子において、
    当該検出素子の表面に、有機分子の固定領域を有し、
    前記半導体基板は、前記固定領域に対応する内部の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、
    前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成され
    前記半導体基板の主面に金属膜が形成され、
    前記固定領域は、前記金属膜に配置されている
    ことを特徴とする有機分子検出素子。
  3. 半導体基板を含む有機分子検出素子において、
    当該検出素子の表面に、有機分子の固定領域を有し、
    前記半導体基板は、前記固定領域に対応する内部の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、
    前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成され
    前記半導体基板は、前記所定領域を前記電流経路の幅方向に挟んで対向配置された2つ以上のゲート領域を有する
    ことを特徴とする有機分子検出素子。
  4. 半導体基板を含む有機分子検出素子において、
    当該検出素子の表面に、有機分子の固定領域を有し、
    前記半導体基板は、前記固定領域に対応する内部の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、
    前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成され
    前記電極領域は、前記半導体基板のうち、前記固定領域とは反対側の主面近傍に配置されている
    ことを特徴とする有機分子検出素子。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の有機分子検出素子において、
    前記固定領域と前記1対の電極領域と前記所定領域とを含むセルが複数配置されている
    ことを特徴とする有機分子検出素子。
  6. 半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、
    前記絶縁膜は、有機分子の固定領域を有し、
    前記半導体基板は、前記固定領域に対応する前記主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、
    前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成される有機分子検出素子であって、
    前記固定領域と前記1対の電極領域と前記所定領域とを含むセルが複数配置され、
    前記複数のセルは、異なる種類の有機分子を検出する
    ことを特徴とする有機分子検出素子。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の有機分子検出素子と、
    前記半導体基板の前記所定領域に形成される前記電流経路の電気特性を測定する測定手段とを備えた
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  8. 請求項7に記載の有機分子検出装置において、
    前記測定手段は、前記電気特性として、前記電流経路の電流値を測定する
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  9. 半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、
    前記絶縁膜は、有機分子の固定領域を有し、
    前記半導体基板は、前記固定領域に対応する前記主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、
    前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成される有機分子検出素子と、
    前記半導体基板の前記所定領域に形成される前記電流経路の電気特性を測定する測定手段と
    を備えた有機分子検出装置を用いて有機分子を検出する方法であって、
    前記有機分子検出素子の前記固定領域に、指標となる有機分子を固定させる固定処理ステップと、
    前記指標となる有機分子に、検出対象となる有機分子を結合させる結合処理ステップと、
    前記結合処理ステップの後に、前記測定手段によって前記電気特性を測定する測定ステップと
    前記固定処理ステップの後でかつ前記結合処理ステップの前に、前記測定手段によって前記電気特性を測定する第1補助ステップと、
    前記第1補助ステップにおける測定結果と前記測定ステップにおける測定結果とを比較する第1比較ステップとを備えた
    ことを特徴とした有機分子検出方法。
  10. 請求項9に記載の有機分子検出方法において、
    前記固定処理ステップの前に、前記測定手段によって前記電気特性を測定する第2補助ステップと、
    前記第1補助ステップにおける測定結果と前記第2補助ステップにおける測定結果とを比較する第2比較ステップとを備えた
    ことを特徴とした有機分子検出方法。
  11. 半導体基板の主面に絶縁膜が形成され、
    前記絶縁膜は、有機分子の固定領域を有し、
    前記半導体基板は、前記固定領域に対応する前記主面側の所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、
    前記半導体基板の前記所定領域には、少なくとも前記固定領域に前記有機分子が固定されたとき、該固定された有機分子の帯電量に応じて電流経路が形成される有機分子検出素子と、
    前記半導体基板の前記所定領域に形成される前記電流経路の電気特性を測定する測定手段と
    を備えた有機分子検出装置を用いて有機分子を検出する方法であって、
    前記有機分子検出素子の前記固定領域に、指標となる有機分子を固定させる固定処理ステップと、
    前記指標となる有機分子に、検出対象となる有機分子を結合させる結合処理ステップと、
    前記結合処理ステップの後に、前記測定手段によって前記電気特性を測定する測定ステップと
    前記結合処理ステップの前に、前記検出対象となる有機分子に標識を付加する標識処理ステップと、
    前記結合処理ステップの後に、前記標識の付加状態を測定する標識測定ステップとを備えた
    ことを特徴とした有機分子検出方法。
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