JP2005084039A - 有機分子検出装置および有機分子検出方法 - Google Patents

有機分子検出装置および有機分子検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 DNAなどの有機分子の相補結合の有無を容易に判断できる有機分子検出装置および有機分子検出方法を提供すること。
【解決手段】 ブリッジ型に接続された4つの抵抗素子を備え、4つの抵抗素子のうち少なくとも1つは、有機分子の固定領域20を有すると共に、該固定領域に固定された有機分子の帯電量に応じて抵抗値が変化する検出素子11〜14である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機分子(例えばDNAやRNAなどの核酸や蛋白質を含めた塩基類)の検出に用いられる有機分子検出装置および有機分子検出方法に関する。
従来より、DNAの塩基配列や特性を解析するために、半導体を用いた検出素子が提案されている(例えば特許文献1,2参照)。これらの検出素子は、MOS−FETやJ−FETに類似した構造を有する。ゲートに相当する部分にDNAを固定化して、ソース・ドレイン間に相当する部分の電気特性を測定することにより、指標のDNAと検出対象のDNAとの相補結合を解析することができる。
特表2001−511245号公報 特開2003−43010号公報
しかしながら、上記した従来の検出素子は、ソース・ドレイン間に相当する部分の電気特性の測定結果をアナログ信号として出力するため、指標のDNAと検出対象のDNAとが相補結合したか否かを判断するのに手間が掛かっていた。例えば、指標のDNAを固定化した後で検出対象のDNAを相補結合させる場合には、指標のDNAのみの状態で1回目の測定を行い、相補結合処理の後に2回目の測定を行って、2つの測定結果(電気特性の値)を大小比較しなければならない。または、予め閾値を定めておき、相補結合処理の後の測定結果を閾値と大小比較しなければならない。近年、その手順を簡略化することが望まれている。
本発明の目的は、DNAなどの有機分子の相補結合の有無を容易に判断できる有機分子検出装置および有機分子検出方法を提供することにある。
請求項1に記載の有機分子検出装置は、ブリッジ型に接続された4つの抵抗素子を備え、前記4つの抵抗素子のうち少なくとも1つは、有機分子の固定領域を有すると共に、該固定領域に固定された有機分子の帯電量に応じて抵抗値が変化する検出素子である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の有機分子検出装置において、前記検出素子は、半導体基板と、該半導体基板の主面に形成された絶縁膜と、該絶縁膜を介して前記半導体基板とは反対側の表面に配置された前記固定領域とを含み、前記半導体基板のうち、前記固定領域に対応する前記主面側の所定領域が電流経路の形成領域であり、前記所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、前記固定領域に固定された有機分子の帯電量に応じて前記電流経路の抵抗値が変化するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の有機分子検出装置において、前記所定領域には、予め、前記電極領域と同じ導電型のチャネル拡散領域が形成されるものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の有機分子検出装置において、前記検出素子は、半導体基板と、該半導体基板の主面側の表面に配置された前記固定領域とを含み、前記半導体基板のうち、前記固定領域に対応する内部の所定領域が電流経路の形成領域であり、前記所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有すると共に、該電極領域の間の前記主面側で前記所定領域と隣接するように配された制御電極領域を有し、前記固定領域に固定された有機分子の帯電量に応じて前記電流経路の抵抗値が変化するものである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の有機分子検出装置において、前記制御電極領域には、前記主面側から内部に向けてV字型の凹部が形成されるものである。
請求項6に記載の発明は、請求項2から請求項5の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、前記4つの抵抗素子のうち2つ以上が前記検出素子であり、前記2つ以上の検出素子は、前記固定領域を共有し、前記表面に1つの凹部を有し、該凹部の底面に前記共有の固定領域が配置されるものである。
請求項7に記載の発明は、請求項2から請求項6の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、前記4つの抵抗素子のうち2つ以上が前記検出素子であり、前記2つ以上の検出素子は、前記半導体基板を共有し、前記電流経路の形成領域の導電型が第1導電型の検出素子と第2導電型の検出素子とを少なくとも1つずつ含み、前記第1導電型と前記第2導電型の検出素子のうち、前記形成領域の導電型が前記共有の半導体基板と同じ検出素子は、前記共有の半導体基板とは逆の導電型のウエル領域を有し、該ウエル領域の中に前記電流経路の形成領域が配置されるものである。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の有機分子検出装置において、前記4つの抵抗素子は、全てが前記検出素子であり、前記第1導電型の検出素子と前記第2導電型の検出素子とを2つずつ含み、前記2つの第1導電型の検出素子は、前記ブリッジ型の4辺のうち対向する2辺に配置され、前記2つの第2導電型の検出素子は、前記4辺のうち他の対向する2辺に配置されるものである。
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、前記4つの抵抗素子は、前記検出素子の前記固定領域に指標の有機分子または検出対象の有機分子が固定されたときに抵抗値が等しくなるように構成されるものである。
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、任意の抵抗値に設定可能な可変抵抗器を3つ以上備え、前記4つの抵抗素子のうち3つ以上の各々に前記可変抵抗器を並列接続したものである。
請求項11に記載の発明は、請求項1から請求項10の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、前記ブリッジ型の4つの節点のうち対向する2つの節点に接続され、該2つの節点の間に所定の電圧を印加する印加手段と、前記4つの節点のうち他の対向する2つの節点に接続され、該2つの節点の間の電流値または電圧値を測定する測定手段とを備えたものである。
請求項12に記載の有機分子検出方法は、請求項1から請求項11の何れか1項に記載した有機分子検出装置の前記検出素子の前記固定領域に所定量の有機分子を固定し、前記有機分子検出装置の前記ブリッジ型の4つの節点のうち対向する2つの節点の間に所定の電圧を印加し、前記4つの節点のうち他の対向する2つの節点の間の電流値または電圧値を測定するものである。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の有機分子検出方法において、前記検出素子の前記固定領域に、前記電流値または前記電圧値が0となるように指標の有機分子または検出対象の有機分子を固定させるものである。
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載の有機分子検出方法において、前記有機分子検出装置の前記4つの抵抗素子のうち3つ以上の各々に並列接続され、任意の抵抗値に設定可能な可変抵抗器を用い、前記検出素子の前記固定領域に指標の有機分子または検出対象の有機分子を固定させたときに、前記電流値または前記電圧値が0となるように前記可変抵抗器の抵抗値の設定を変更するものである。
本発明の有機分子検出装置および有機分子検出方法によれば、DNAなどの有機分子の相補結合の有無を容易に判断することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
ここでは、有機分子の1例であるDNAの検出について説明する。第1実施形態の有機分子検出装置10は、DNAがマイナスに帯電していることを利用してDNAを検出するものであり、図1,図2に示すように構成されている。図1(a)は有機分子検出装置10の平面図、図1(b)はAA断面図、図1(c)はBB断面図、図2は回路図である。
有機分子検出装置10の構成について説明する。有機分子検出装置10は、4つの検出素子11〜14をブリッジ型に接続したものである(いわゆるホイーストンブリッジ)。また、ブリッジ型の4つの節点P1〜P4のうち対向する2つの節点P1,P3には、端子S1,S3を介して不図示の電源が接続される。この電源は定電圧源であり、節点P1,P3の間に所定の電圧を印加する。さらに、他の対向する2つの節点P2,P4には、端子S2,S4を介して不図示の電流計が接続される。この電流計は、節点P2,P4の間の電流値を測定する。
また、4つの検出素子11〜14は、各々、ディプリッション(depletion)型のMOS−FETと同様の動作特性を有する半導体素子であり、シリコン基板15(半導体基板)を共有している。シリコン基板15の主面にはシリコン酸化膜16,17とシリコン窒化膜18とが形成され、これらの絶縁膜(16〜18)による1つの凹部19が検出素子11〜14の表面に形成されている。
さらに、4つの検出素子11〜14は、表面のDNA固定領域20も共有している。DNA固定領域20は、凹部19の底面に配置され、つまりシリコン酸化膜16を介してシリコン基板15とは反対側の表面に配置され、指標のDNAを固定化するための領域である(ゲートに相当)。DNA固定領域20とシリコン基板15の主面との間隔(シリコン酸化膜16の膜厚に相当)は、1nm〜5nm程度である。
また、4つの検出素子11〜14は、各々、シリコン基板15の主面側にチャネル拡散領域21と1対の電極領域22,23とを有している。各々のチャネル拡散領域21はDNA固定領域20に対応する所定領域に予め形成され、所定領域を挟むように各々の電極領域22,23が配されている。検出素子11〜14の各々では、各チャネル拡散領域21が電流経路の形成領域であり、DNA固定領域20に固定されたDNAの帯電量に応じて、その電流経路の抵抗値が変化する。チャネル拡散領域21の長さは、1μm〜10μm程度である。電極領域22,23はソース・ドレインに相当する。
ここで、シリコン基板15の導電型を例えばN型とすると、4つの検出素子11〜14のうち、チャネル拡散領域21の導電型がシリコン基板15とは逆(つまりP型)の検出素子11,13では、チャネル拡散領域21の抵抗値がDNAの帯電量に応じて低下する。このようなP型の検出素子11,13は、ブリッジ型の4辺のうち対向する2辺に配置される。なお、検出素子11,13の電極領域22,23の導電型は、チャネル拡散領域21と同じP型である。
一方、チャネル拡散領域21の導電型がシリコン基板15と同じ(つまりN型)の検出素子12,14では、チャネル拡散領域21の抵抗値がDNAの帯電量に応じて増加する。このようなN型の検出素子12,14は、ブリッジ型の4辺のうち他の対向する2辺に配置される。なお、検出素子12,14の電極領域22,23の導電型は、チャネル拡散領域21と同じN型である。検出素子12,14は、シリコン基板15とは逆の導電型(P型)のウエル領域24の中に配置される。
さらに、4つの検出素子11〜14は、DNA固定領域20に指標のDNAが固定されたときにチャネル拡散領域21の抵抗値が等しくなるように構成されている。このため、DNAが固定されていないときには(初期状態)、P型の検出素子11,13の方がN型の検出素子12,14に比べてチャネル拡散領域21の抵抗値が高く、図2の回路では端子S4→S2の方向に電流が流れる。
次に、第1実施形態の有機分子検出装置10を製造する工程について、図3,図4を用いて説明する。図3(a),図4(a)〜(c)は図1(a)のAA断面図、図3(b),(c)はBB断面図に相当する。なお、図3,図4の各断面図には、検出素子11〜14の各々の形成範囲を示した。
まず(図3(a))、N型のシリコン基板15の主面に熱酸化法などを用いてシリコン酸化膜16aを形成し(膜厚は例えば1nm〜50nm程度)、その上にレジストパターン31を形成する。そして、レジストパターン31をマスクとし、P型不純物のボロン32をイオン注入法により導入する(濃度は例えば3×1013個/cm2程度)。その後、レジストパターン31を除去して清浄化し、アニール処理を施すことで、N型のシリコン基板15にP型の拡散領域(つまりウエル領域24)を形成する。
次に(図3(b))、シリコン酸化膜16aの上にレジストパターン33を形成し、これをマスクとしてボロン32を高濃度に導入する(濃度は例えば1×1015個/cm2程度)。その後、レジストパターン33を除去し、N型のシリコン基板15にP型の拡散領域(つまり電極領域22,23)を形成する。さらに(図3(c))、シリコン酸化膜16aの上にレジストパターン34を形成し、これをマスクとしてN型不純物のリン35を高濃度に導入する(濃度は例えば3×1015個/cm2程度)。その後、レジストパターン34を除去し、P型のウエル領域24の中にN型の拡散領域(つまり電極領域22,23)を形成する。
次に(図4(a))、シリコン酸化膜16aの上にレジストパターン36を形成し、これをマスクとしてボロン32を導入する(濃度は例えば1×1014個/cm2程度)。その後、レジストパターン36を除去し、P型の電極領域22,23間のN型のシリコン基板15にP型の拡散領域(つまりチャネル拡散領域21)を形成する。
さらに(図4(b))、シリコン酸化膜16aの上にレジストパターン37を形成し、これをマスクとしてリン35を導入する(濃度は例えば2×1014個/cm2程度)。その後、レジストパターン37を除去し、N型の電極領域22,23間のP型のウエル領域24の中にN型の拡散領域(つまりチャネル拡散領域21)を形成する。
なお、図4(a),(b)におけるチャネル拡散領域21の形成時には、初期状態でのチャネル拡散領域21の抵抗値が予め定めた設計値となるように、各々の不純物の濃度が適切に制御される。上記のように、初期状態でのチャネル拡散領域21の抵抗値は、P型の方がN型に比べて高い。これは、指標のDNAが固定されたときに、チャネル拡散領域21の抵抗値がP型とN型とで等しくなるようにするためである。図示しないが、シリコン酸化膜16aをエッチングなどにより除去した後、熱酸化法により新たにシリコン酸化膜16を形成する(厚さは1nm〜5nm程度)。
次に(図4(c))、CVD装置などを用いて、シリコン酸化膜16の上にシリコン酸化膜17を厚く形成する。シリコン酸化膜17はNSGやPSGなどの保護膜である。さらに、シリコン酸化膜17の上にシリコン窒化膜18を保護膜として形成し、不図示の配線工程によりP型の電極領域22,23とN型の電極領域22,23とをブリッジ型に接続する(図1(a)参照)。その後、レジストパターン38を形成する。そして、レジストパターン38をマスクとして上記保護膜(17,18)の一部をエッチングし、凹部19を形成する。上記したように、凹部19の底面がDNA固定領域20として使用される。
その後、レジストパターン38を除去し、DNA固定領域20に対してプラズマ処理などを施すことにより、第1実施形態の有機分子検出装置10が完成する。なお、P型とN型の電極領域22,23間でリーク電流が発生しないようにするため、LOCOSやトレンチなどによる素子分離領域を形成しても良い。
このように、第1実施形態の有機分子検出装置10では、N型のシリコン基板15にP型のウエル領域24を形成し、ウエル領域24の中にN型の検出素子12,14を配置すると共に、N型のシリコン基板15にP型の検出素子11,13を配置するため、4つの検出素子11〜14を近接して配置させることができる。その結果、有機分子検出装置10の省スペース化が図られる。また、DNA固定領域20を小さくできる。
次に、第1実施形態の有機分子検出装置10によるDNAの検出手順について説明する。DNAの検出時、有機分子検出装置10には、端子S1,S3を介して不図示の電源(定電圧源)が接続され、端子S2,S4を介して不図示の電流計が接続される。このとき、端子S1,S3間には所定の電圧が印加される。
そして、DNA固定領域20に指標のDNAを固定する前の初期状態では、P型の検出素子11,13の方がN型の検出素子12,14に比べてチャネル拡散領域21の抵抗値が高いため、端子S2,S4間では端子S4→S2の方向に電流が流れ、電流計による電流値の測定結果は0以外の値となる。
そこでまず、周知の処理により、指標のDNAをDNA固定領域20に所定の量だけ固定化する。上記したように、DNA固定領域20が小さいため、指標のDNAの必要量は極僅かである。また、DNA固定領域20が小さいため、DNA固定領域20内で指標のDNAを均一に固定化できる。したがって、検出素子11〜14のチャネル拡散領域21に作用するDNAの帯電量は、検出素子11〜14ごとに等しいと考えられる。なお、DNAがマイナスに帯電しているため、チャネル拡散領域21に対する作用とは、マイナス電圧の印加と同等の作用となる。
DNA固定領域20に指標のDNA(所定量)が固定されると、P型の検出素子11,13では、チャネル拡散領域21の抵抗値がDNAの帯電量に応じて低下する。また、N型の検出素子12,14では、チャネル拡散領域21の抵抗値がDNAの帯電量に応じて増加する。その結果、4つの検出素子11〜14は、チャネル拡散領域21の抵抗値が等しくなる(平衡状態)。このとき端子S2,S4間では電流が流れないため、電流計による電流値の測定結果は0となる。
この状態を確認した後、第1実施形態の有機分子検出装置10では、指標のDNAに対する検出対象のDNAの相補結合処理(ハイブリダイゼーション)を行う。検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合しなかった場合、DNA固定領域20に固定されたDNAは指標のみであり、電流計による測定値も0のままである。
これに対し、検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合した場合には、DNA固定領域20に固定されたDNAが指標と検出対象の両方となり、帯電量が合わせて2倍となる。その結果、P型の検出素子11,13ではチャネル拡散領域21の抵抗値がさらに低下する。また、N型の検出素子12,14ではチャネル拡散領域21の抵抗値がさらに増加する。すなわち、P型の検出素子11,13の方がN型の検出素子12,14に比べてチャネル拡散領域21の抵抗値が低くなる。したがって、端子S2,S4間では端子S2→S4の方向に電流が流れ、電流計による電流値の測定結果は再び0以外の値となる。
このように、第1実施形態の有機分子検出装置10では、相補結合処理の後、電流計による測定値が0であれば“検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合しなかった(無)”と判断でき、電流計による測定値が0以外の値であれば“検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合した(有)”と判断できる。
つまり、検出対象のDNAと指標のDNAとの相補結合の有無に応じて、電流計による測定値をデジタル的に得ることができるため、測定値が0か否かに基づいて相補結合の有無を容易に判断できる。その結果、検出対象のDNAの塩基配列や特性を容易に解析可能となる。
さらに、第1実施形態の有機分子検出装置10では、DNA固定領域20に指標のDNAを均一に固定化できるため、測定値が0か否かに基づいて相補結合の有無を精度良く判断できる。その結果、検出対象のDNAの塩基配列や特性を精度良く解析可能となる。また、凹部19の底面にDNA固定領域20を配置したことにより、DNA固定領域20における指標のDNAを確実に均一化することができ、相補結合の有無の判断を確実に高精度化できる。さらに、4つの検出素子11〜14をブリッジ型に接続したことにより、相補結合の有無を感度良く判断することができる。
また、上記した第1実施形態では、有機分子検出装置10の表面をシリコン窒化膜18で覆うようにした。シリコン窒化膜18は、シリコン酸化膜に比べて膜構造が密で、アルカリ金属(例えばナトリウム)の原子を取り込み難く、耐薬品性に優れているため、保護膜として確実に機能する。また、シリコン窒化膜18はシリコン酸化膜に比べてDNAが付着し難い。したがって、DNA固定領域20の周囲にDNAが無駄に付着することを防止でき、DNA固定領域20のみにDNAを効率良く付着させることができる。
なお、上記した第1実施形態では、ディプリッション型のMOS−FETと同様の検出素子11〜14を用いたが、本発明はこれに限定されない。その他、エンハンスメント(enhancement)型のMOS−FETと同様の動作特性を有する検出素子を用いても良い。このような検出素子は、電極領域22,23の間のチャネル拡散領域21を省略したものであり、図4(a),(b)の工程を省略することにより製造できる。
また、本発明の製造工程は従来のMOS−FET製造プロセスと共通点が多いため、容易に、MOS−FETによる信号処理回路を同一基板上に形成でき、センサ(有機分子検出装置10)と信号処理回路とを一体化することができる。
(第2実施形態)
ここでも、有機分子の1例であるDNAの検出について説明する。第2実施形態の有機分子検出装置40は、DNAがマイナスに帯電していることを利用してDNAを検出するものであり、図5に示すように構成されている。図5(a)は有機分子検出装置40の平面図、図5(b)はCC断面図である。
有機分子検出装置40の構成について説明する。有機分子検出装置40は、4つの検出素子41〜44をブリッジ型に接続したものである(図2参照)。検出素子41〜44は、各々、J−FETと同様の動作特性を有する半導体素子であり、シリコン基板45を共有している。シリコン基板45の主面にはシリコン酸化膜46,47とシリコン窒化膜48が形成され、これらの絶縁膜(46〜48)とシリコン基板45の主面による1つの凹部49が検出素子41〜44の表面に形成されている。さらに、検出素子41〜44は、表面のDNA固定領域50も共有している。DNA固定領域50は、凹部49の底面に配置され、指標のDNAを固定化するための領域である(ゲートに相当)。
また、4つの検出素子41〜44は、各々、シリコン基板45の内部(バルク中)にチャネル拡散領域51を有し、シリコン基板45の主面側に1対の電極領域52,53を有している。各々のチャネル拡散領域51はDNA固定領域50に対応する所定領域に形成され、所定領域を挟むように各々の電極領域52,53が配されている。検出素子41〜44の各々では、各チャネル拡散領域51が電流経路の形成領域であり、DNA固定領域50に固定されたDNAの帯電量に応じて、その電流経路の抵抗値が変化する。チャネル拡散領域51の長さは、5μm〜10μm程度である。電極領域52,53はソース・ドレインに相当する。
さらに、4つの検出素子41〜44は、チャネル拡散領域51を上下に(幅方向に)挟むように配された1対の制御電極領域54,55を有している。シリコン基板45の主面側の制御電極領域54は、電極領域52,53の間でチャネル拡散領域51と隣接するように配されている。また、この制御電極領域54には、DNAの検出感度を高めるために、主面側から内部に向けてV字型の凹部56が形成されている。なお、他方の制御電極領域55は、バックゲートとして機能する。
ここで、シリコン基板45の導電型を例えばN型とすると、検出素子41〜44のうち、チャネル拡散領域51の導電型がシリコン基板45とは逆(つまりP型)の検出素子41,43では、チャネル拡散領域51の抵抗値がDNAの帯電量に応じて増加する。このようなP型の検出素子41,43は、ブリッジ型の4辺のうち対向する2辺に配置される(図2参照)。なお、検出素子41,43の電極領域52,53の導電型はP型であり、制御電極領域54,55の導電型はN型である。P型の検出素子41,43は、シリコン基板45と同じ導電型(N型)で不純物濃度の異なるウエル領域57の中に配置される。
一方、チャネル拡散領域51の導電型がシリコン基板45と同じ(つまりN型)の検出素子42,44では、チャネル拡散領域51の抵抗値がDNAの帯電量に応じて低下する。このようなN型の検出素子42,44は、ブリッジ型の4辺のうち他の対向する2辺に配置される(図2参照)。なお、検出素子42,44の電極領域52,53の導電型はN型であり、制御電極領域54,55の導電型はP型である。N型の検出素子42,44は、シリコン基板45とは逆の導電型(P型)のウエル領域57の中に配置される。
さらに、4つの検出素子41〜44は、DNA固定領域50に指標のDNAが固定されたときにチャネル拡散領域51の抵抗値が等しくなるように構成されている。このため、DNAが固定されていないときには(初期状態)、N型の検出素子42,44の方がP型の検出素子41,43に比べてチャネル拡散領域51の抵抗値が高く、図2の回路では端子S2→S4の方向に電流が流れる。
次に、第2実施形態の有機分子検出装置40を製造する工程について、図6〜図8を用いて説明する。図6〜図8は図5(a)のCC断面図に相当する。図6〜図8の各断面図には、検出素子41〜44の各々の形成範囲を示した。
まず(図6(a))、N型のシリコン層61の上にシリコン酸化膜62(膜厚が50nm程度)を形成し、その上にレジストパターン63を形成する。そして、レジストパターン63をマスクとし、P型不純物のボロン32をイオン注入法により高濃度に導入する(濃度は例えば2×1015個/cm2程度)。その後、レジストパターン63を除去し、アニール処理を施すことにより、N型のシリコン層61にP型の拡散領域(つまり制御電極領域55)を形成する。
次に(図6(b))、シリコン酸化膜62の上にレジストパターン64を形成し、これをマスクとしてリン35を高濃度に導入する(濃度は例えば3×1015個/cm2程度)。その後、レジストパターン64を除去し、アニール処理を施すことにより、N型のシリコン層61にN型の拡散領域(つまり制御電極領域55)を形成する。
次に(図6(c))、シリコン酸化膜62を除去し、N型のシリコン層61の上に、N型で濃度が同じシリコン層65をエピタキシャル成長させて(厚さは例えば5μm,シート抵抗は例えば2.5kΩ/□)、シリコン基板45(図5)を形成する。
次に(図6(d))、N型のシリコン層65の上にシリコン酸化膜46(膜厚が50nm程度)を形成し、その上にレジストパターン66を形成し、これをマスクとしてボロン32をイオン注入法により導入する(濃度は例えば1×1014個/cm2程度)。その後、レジストパターン66を除去し、アニール処理を施すことにより、N型のシリコン層65にP型の拡散領域(つまりウエル領域57)を形成する。次に(図7(a))、シリコン酸化膜46の上にレジストパターン67を形成し、これをマスクとしてリン35を導入する(濃度は例えば2×1014個/cm2程度)。その後、レジストパターン67を除去し、アニール処理を施すことにより、N型のシリコン層65にN型で濃度の異なる拡散領域(つまりウエル領域57)を形成する。
次に、図示省略したが、所定形状のレジストパターンをマスクとしてボロン32を高濃度に導入し(濃度は例えば1×1015個/cm2程度)、アニール処理を施すことにより、N型のウエル領域57の中にP型の拡散領域(つまり電極領域52,53)を形成する。さらに、リン35を高濃度に導入し(濃度は例えば3×1015個/cm2程度)アニール処理を施すことにより、P型のウエル領域57の中にN型の拡散領域(つまり電極領域52,53)を形成する。
次に(図7(b))、シリコン酸化膜46の上にレジストパターン68を形成し、これをマスクとしてリン35を導入する(濃度は例えば4×1014個/cm2程度)。その後、レジストパターン68を除去し、アニール処理を施すことにより、N型の電極領域52,53間のP型のウエル領域57の中にN型の拡散領域(つまりチャネル拡散領域51)を形成する。次に(図7(c))、レジストパターン69をマスクとしてボロン32を導入する(濃度は例えば5×1014個/cm2程度)。その後、レジストパターン69を除去し、アニール処理を施すことにより、P型の電極領域52,53間のN型のウエル領域57の中にP型の拡散領域(つまりチャネル拡散領域51)を形成する。
なお、図7(b),(c)におけるチャネル拡散領域51の形成時には、初期状態でのチャネル拡散領域51の抵抗値が予め定めた設計値となるように、各々の不純物の濃度が適切に制御される。上記のように、初期状態でのチャネル拡散領域51の抵抗値は、N型の方がP型に比べて高い。これは、指標のDNAが固定されたときに、チャネル拡散領域51の抵抗値がP型とN型とで等しくなるようにするためである。
次に(図8(a))、所定形状のレジストパターン(不図示)をマスクとしてシリコン酸化膜46をエッチングした後、シリコン酸化膜46をマスクとしてシリコン基板45の主面(P型とN型のチャネル拡散領域51の上部)を異方性エッチングし、V字型の凹部56を形成する。このエッチング処理は、TMAH溶液などのSiエッチング液により行う。
次に(図8(b))、所定形状のレジストパターン(不図示)をマスクとしてボロンをイオン注入法により高濃度に導入する(濃度は例えば2×1015個/cm2程度)。そしてアニール処理を施すことにより、N型のチャネル拡散領域51の凹部56にP型の拡散領域(つまり制御電極領域54)を形成する。さらに、リンを高濃度に導入し(濃度は例えば3×1015個/cm2程度)、アニール処理を施すことにより、P型のチャネル拡散領域51の凹部56にN型の拡散領域(つまり制御電極領域54)を形成する。
次に(図8(c))、CVD装置などを用いて、シリコン酸化膜46の上にシリコン酸化膜47を厚く形成する。シリコン酸化膜47はNSGやPSGなどの保護膜である。さらに、シリコン酸化膜47の上にシリコン窒化膜48を保護膜として形成し、その上にレジストパターン70を形成する。そして、レジストパターン70をマスクとして上記保護膜(46〜48)の一部をウエットエッチングし、凹部49を形成する。このエッチング処理は、シリコン基板45の主面が露出するまで行われる。上記したように、凹部49の底面(主面の露出部分)がDNA固定領域50として使用される。
その後、レジストパターン70を除去し、不図示の配線工程によりP型の電極領域52,53とN型の電極領域52,53とをブリッジ型に接続する(図5(a)参照)と共に、DNA固定領域50に対してプラズマ処理などを施すことにより、第2実施形態の有機分子検出装置40が完成する。なお、P型とN型の電極領域52,53間でリーク電流が発生しないようにするため、LOCOSやトレンチなどによる素子分離領域を形成しても良い。
また、上記のアニール処理は、必要に応じて省略してもよい。つまり、リンやボロンなどの不純物を導入するごとにアニール処理を行うのではなく、最後の不純物導入後に一括してアニール処理を行ってもよい。
このように、第2実施形態の有機分子検出装置40では、N型のシリコン基板45にP型とN型のウエル領域57を形成し、N型のウエル領域57の中にP型の検出素子41,43を配置すると共に、P型のウエル領域57の中にN型の検出素子42,44を配置するため、4つの検出素子41〜44を近接して配置させることができる。その結果、有機分子検出装置40の省スペース化が図られる。また、DNA固定領域50を小さくできる。
次に、第2実施形態の有機分子検出装置40によるDNAの検出手順について説明する。DNAの検出時、有機分子検出装置40には、端子S1,S3を介して不図示の電源(定電圧源)が接続され、端子S2,S4を介して不図示の電流計が接続される。このとき、端子S1,S3間には所定の電圧が印加される。なお、検出素子41〜44の各々の制御電極領域54は、電圧の印加が遮断された状態に保たれる(フローティング)。
そして、DNA固定領域50に指標のDNAを固定する前の初期状態では、N型の検出素子42,44の方がP型の検出素子41,43に比べてチャネル拡散領域51の抵抗値が高いため、端子S2,S4間では端子S2→S4の方向に電流が流れ、電流計による電流値の測定結果は0以外の値となる。
そこでまず、周知の処理により、指標のDNAをDNA固定領域50に所定の量だけ固定化する。上記したように、DNA固定領域50が小さいため、指標のDNAの必要量は極僅かである。また、DNA固定領域50が小さいため、DNA固定領域50内で指標のDNAを均一に固定化できる。したがって、検出素子41〜44のチャネル拡散領域51に作用するDNAの帯電量は、検出素子41〜44ごとに等しいと考えられる。なお、DNAがマイナスに帯電しているため、チャネル拡散領域51に対する作用とは、マイナス電圧の印加と同等の作用となる。
なお、第2実施形態の有機分子検出装置40では、DNA固定領域50に指標のDNAを固定化するとき、検出素子41〜44の各々の制御電極領域54に対してプラスの電圧(例えば5V)を印加しておくことが好ましい。これにより、DNA固定領域50に指標のDNAを引き寄せることができ、指標のDNAが微量であっても有効にDNA固定領域50に固定化できる。このとき、各電極の電位を調整し、順方向に電流が流れないようにすることは言うまでもない。
DNA固定領域50に指標のDNA(所定量)が固定されると、P型の検出素子41,43では、チャネル拡散領域51の抵抗値がDNAの帯電量に応じて増加する。また、N型の検出素子42,44では、チャネル拡散領域51の抵抗値がDNAの帯電量に応じて低下する。その結果、4つの検出素子41〜44は、チャネル拡散領域51の抵抗値が等しくなる(平衡状態)。このとき端子S2,S4間では電流が流れないため、電流計による電流値の測定結果は0となる。
この状態を確認した後、第2実施形態の有機分子検出装置40では、指標のDNAに対する検出対象のDNAの相補結合処理(ハイブリダイゼーション)を行う。検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合しなかった場合、DNA固定領域50に固定されたDNAは指標のみであり、電流計による測定値も0のままである。
これに対し、検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合した場合には、DNA固定領域50に固定されたDNAが指標と検出対象の両方となり、帯電量が合わせて2倍となる。その結果、P型の検出素子41,43ではチャネル拡散領域51の抵抗値がさらに増加する。また、N型の検出素子42,44ではチャネル拡散領域51の抵抗値がさらに低下する。すなわち、P型の検出素子41,43の方がN型の検出素子42,44に比べてチャネル拡散領域51の抵抗値が高くなる。したがって、端子S2,S4間では端子S4→S2の方向に電流が流れ、電流計による電流値の測定結果は再び0以外の値となる。
このように、第2実施形態の有機分子検出装置40では、相補結合処理の後、電流計による測定値が0であれば“検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合しなかった(無)”と判断でき、電流計による測定値が0以外の値であれば“検出対象のDNAが指標のDNAと相補結合した(有)”と判断できる。
つまり、検出対象のDNAと指標のDNAとの相補結合の有無に応じて、電流計による測定値をデジタル的に得ることができるため、測定値が0か否かに基づいて相補結合の有無を容易に判断できる。その結果、検出対象のDNAの塩基配列や特性を容易に解析可能となる。
さらに、第2実施形態の有機分子検出装置40では、DNA固定領域50に指標のDNAを均一に固定化できるため、測定値が0か否かに基づいて相補結合の有無を精度良く判断できる。その結果、検出対象のDNAの塩基配列や特性を精度良く解析可能となる。また、凹部49の底面にDNA固定領域50を配置したことにより、DNA固定領域50における指標のDNAを確実に均一化することができ、相補結合の有無の判断を確実に高精度化できる。さらに、4つの検出素子41〜44をブリッジ型に接続したことにより、相補結合の有無を感度良く判断することができる。
また、上記した第2実施形態の有機分子検出装置40では、DNA固定領域50の形状(つまり検出素子41〜44の各々の制御電極領域54の表面の形状)を内部に向けてV字型としたので、平坦な形状の場合と比較して検出感度が確実に向上する。指標のDNAや検出対象のDNAが微量で電位変化が僅かな場合でも、電界の集中によりチャネル拡散領域51の抵抗値が大きく変化するからである。
さらに、第2実施形態の有機分子検出装置40では、シリコン基板45の内部(つまりバルク中)のチャネル拡散領域51に電流経路が形成されるため、素子表面での再結合などの影響などを受けて電流経路にノイズが発生するようなことはない。その結果、DNAの検出を正確に行うことが可能となる。
また、DNA固定領域50(つまり制御電極領域54の表面)がハイブリダイゼーションなどの薬品処理などにより汚染されても、バルク中のチャネル拡散領域51(電流経路の形成領域)が変質により劣化する可能性はほとんどなく、常に正確なDNA検出を行うことができる。
さらに、上記した第2実施形態では、有機分子検出装置40の表面をシリコン窒化膜48で覆うようにしたため、保護膜として確実に機能する。また、シリコン窒化膜48により、DNA固定領域50の周囲にDNAが無駄に付着することを防止でき、DNA固定領域50のみにDNAを効率良く付着させることができる。
なお、上記した第2実施形態では、P型の検出素子41,43をN型のウエル領域57の中に配置したが、本発明はこれに限定されない。シリコン基板45の濃度がN型のウエル領域57と同等の場合には、そのN型のウエル領域57を省略しても構わない。
(変形例)
上記した第1,第2実施形態では、DNA固定領域20,50に指標のDNA(所定量)を固定化したときに、4つの検出素子11〜14,41〜44のチャネル拡散領域21,51の抵抗値が等しくなるとの説明を行ったが、例えば環境温度の変化などに起因して抵抗値が等しくならないことも有り得る(電流値≠0)。このような場合に確実に対処するには、例えば図9に示すように、4つの検出素子の各々に可変抵抗器71〜74を並列接続しておけばよい。可変抵抗器71〜74は、任意の抵抗値に設定可能である。そして、指標のDNAを固定化させたときに、端子S2,S4間の電流値が0となるように可変抵抗器71〜74の抵抗値の設定を変更する(零点調整)。これにより、4つの検出素子と可変抵抗器71〜74とからなるブリッジ回路を平衡状態とすることができる。なお、可変抵抗器の数は4つに限らず、3つでも構わない。
さらに、図9に示すような可変抵抗器71〜74を設けた場合、次のようなDNA検出の手順が考えられる。この手順で用いる有機分子検出装置は、DNA固定領域に何も固定化してない初期状態のときに、4つの検出素子のチャネル拡散領域の抵抗値が等しくなるように製造される。そして、指標のDNAの固定化処理後に1回目の電流測定を行い、電流値≠0であれば、指標のDNAが固定化されたと判断する。次に、電流値=0となるように可変抵抗器71〜74の抵抗値の設定を変更(つまり零点調整)した後、検出対象のDNAの相補結合処理を行い、2回目の電流測定を行う。このとき電流値≠0であれば、検出対象のDNAが相補結合されたと判断する。このように、可変抵抗器71〜74を設けた場合には、抵抗値の合わせ込みを行いながら2段階で電流測定を行っても良い。
上記した第1,第2実施形態では、4つの検出素子11〜14(または41〜44)をブリッジ型に接続したが、本発明はこれに限定されない。検出素子の数は3つ以下でも構わない。検出素子がM個の場合(M=1,2,3)、固定の抵抗値を有する単純な抵抗素子が必要となる。単純な抵抗素子の数はK個(K=4−M)である。この場合、K個の単純な抵抗素子とM個の検出素子とをブリッジ型に接続すればよい。単純な抵抗素子と検出素子とは総じて請求項の「抵抗素子」に対応する。
上記した第1,第2実施形態では、指標のDNAをDNA固定領域に固定化した後で検出対象のDNAを相補結合させる例を挙げて説明したが、その順序は逆でも構わない。つまり、検出対象のDNAをDNA固定領域に固定化した後で指標のDNAを相補結合させても良い。
上記した第1,第2実施形態では、端子S2,S4(図2)間の電流値を測定することによりDNAの相補結合の有無を解析したが、本発明はこれに限定されない。例えば、定電圧源に代えて定電流源を用いると共に、電流計に代えて電圧計を用い、端子S2,S4の間の電圧値を測定することによりDNAの相補結合の有無を解析しても構わない。
上記した第1,第2実施形態では、4つの抵抗素子(例えば11〜14)からなるブリッジ回路を1つ備えた有機分子検出装置10(または40)の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。複数の同様のブリッジ回路を同一の半導体基板上に配置しても良い。各々のブリッジ回路に対応させてDNA固定領域も配置される。この場合には、半導体基板の内部に熱酸化膜などの誘電体分離層を設け、個々のブリッジ回路を電気的に分離することが好ましい。
複数のセル(ブリッジ回路・DNA固定領域)を備えた有機分子検出装置では、同時に複数のDNAを検出することができ、作業時間の短縮やコストの低減を図ることができる。この場合、各々のDNA固定領域には、同じ種類のDNAを固定化しても異なる種類のDNAを固定化しても良い。異なる種類のDNAを固定化する場合、1種類ずつ順に付けることになるため、ある種類のDNAを付けたい特定セルのDNA固定領域に対してプラスの電圧を印加すると共に、その他のセルのDNA固定領域にはマイナスの電圧を印加しておくことが好ましい。これにより、プラスの電圧が印加されたDNA固定領域のみにDNAを引き寄せることができ、微量のDNAを特定セルに選択的に固定化できる。
また、複数のセルを備えた有機分子検出装置において、各々のセルのDNA固定領域に何も付けない状態でチャネル拡散領域(例えば21)を流れる電流量を測定することにより、セル間の個体差(バラツキ)を確認することができる。
上記した第1,第2実施形態では、DNAの検出を例に説明したが、その他のRNAやたんぱく質や核酸や塩基類などの帯電している有機分子について、同様の検出を行える。
上記した第1,第2実施形態では、シリコン基板を用いた有機分子検出装置を説明したが、シリコン基板に代えて各種の半導体基板を用いることができる(例えばGaAs)。
有機分子検出装置10の構成を示す平面図(a)と断面図(b),(c)である。 有機分子検出装置10の回路図である。 有機分子検出装置10の製造工程を示す図である。 有機分子検出装置10の製造工程を示す図である。 有機分子検出装置40の構成を示す平面図(a)と断面図(b)である。 有機分子検出装置40の製造工程を示す図である。 有機分子検出装置40の製造工程を示す図である。 有機分子検出装置40の製造工程を示す図である。 他の有機分子検出装置の回路図である。
符号の説明
10,40 有機分子検出装置
11〜14,41〜44 検出素子
15,45 シリコン基板
16,17,46,47 シリコン酸化膜
18,48 シリコン窒化膜
19,49 凹部
20,50 DNA固定領域
21,51 チャネル拡散領域
22,23,52,53 電極領域
24,57 ウエル領域
54,55 制御電極領域
56 V字型の凹部
71〜74 可変抵抗器

Claims (14)

  1. ブリッジ型に接続された4つの抵抗素子を備え、
    前記4つの抵抗素子のうち少なくとも1つは、有機分子の固定領域を有すると共に、該固定領域に固定された有機分子の帯電量に応じて抵抗値が変化する検出素子である
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  2. 請求項1に記載の有機分子検出装置において、
    前記検出素子は、半導体基板と、該半導体基板の主面に形成された絶縁膜と、該絶縁膜を介して前記半導体基板とは反対側の表面に配置された前記固定領域とを含み、前記半導体基板のうち、前記固定領域に対応する前記主面側の所定領域が電流経路の形成領域であり、前記所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有し、前記固定領域に固定された有機分子の帯電量に応じて前記電流経路の抵抗値が変化する
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  3. 請求項2に記載の有機分子検出装置において、
    前記所定領域には、予め、前記電極領域と同じ導電型のチャネル拡散領域が形成される
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  4. 請求項1に記載の有機分子検出装置において、
    前記検出素子は、半導体基板と、該半導体基板の主面側の表面に配置された前記固定領域とを含み、前記半導体基板のうち、前記固定領域に対応する内部の所定領域が電流経路の形成領域であり、前記所定領域を挟んで配された1対の電極領域を有すると共に、該電極領域の間の前記主面側で前記所定領域と隣接するように配された制御電極領域を有し、前記固定領域に固定された有機分子の帯電量に応じて前記電流経路の抵抗値が変化する
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  5. 請求項4に記載の有機分子検出装置において、
    前記制御電極領域には、前記主面側から内部に向けてV字型の凹部が形成される
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  6. 請求項2から請求項5の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、
    前記4つの抵抗素子のうち2つ以上が前記検出素子であり、
    前記2つ以上の検出素子は、前記固定領域を共有し、前記表面に1つの凹部を有し、該凹部の底面に前記共有の固定領域が配置される
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  7. 請求項2から請求項6の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、
    前記4つの抵抗素子のうち2つ以上が前記検出素子であり、
    前記2つ以上の検出素子は、前記半導体基板を共有し、前記電流経路の形成領域の導電型が第1導電型の検出素子と第2導電型の検出素子とを少なくとも1つずつ含み、
    前記第1導電型と前記第2導電型の検出素子のうち、前記形成領域の導電型が前記共有の半導体基板と同じ検出素子は、前記共有の半導体基板とは逆の導電型のウエル領域を有し、該ウエル領域の中に前記電流経路の形成領域が配置される
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  8. 請求項7に記載の有機分子検出装置において、
    前記4つの抵抗素子は、全てが前記検出素子であり、前記第1導電型の検出素子と前記第2導電型の検出素子とを2つずつ含み、
    前記2つの第1導電型の検出素子は、前記ブリッジ型の4辺のうち対向する2辺に配置され、
    前記2つの第2導電型の検出素子は、前記4辺のうち他の対向する2辺に配置される
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  9. 請求項1から請求項8の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、
    前記4つの抵抗素子は、前記検出素子の前記固定領域に指標の有機分子または検出対象の有機分子が固定されたときに抵抗値が等しくなるように構成される
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  10. 請求項1から請求項9の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、
    任意の抵抗値に設定可能な可変抵抗器を3つ以上備え、
    前記4つの抵抗素子のうち3つ以上の各々に前記可変抵抗器を並列接続した
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  11. 請求項1から請求項10の何れか1項に記載の有機分子検出装置において、
    前記ブリッジ型の4つの節点のうち対向する2つの節点に接続され、該2つの節点の間に所定の電圧を印加する印加手段と、
    前記4つの節点のうち他の対向する2つの節点に接続され、該2つの節点の間の電流値または電圧値を測定する測定手段とを備えた
    ことを特徴とする有機分子検出装置。
  12. 請求項1から請求項11の何れか1項に記載した有機分子検出装置の前記検出素子の前記固定領域に所定量の有機分子を固定し、
    前記有機分子検出装置の前記ブリッジ型の4つの節点のうち対向する2つの節点の間に所定の電圧を印加し、
    前記4つの節点のうち他の対向する2つの節点の間の電流値または電圧値を測定する
    ことを特徴とする有機分子検出方法。
  13. 請求項12に記載の有機分子検出方法において、
    前記検出素子の前記固定領域に、前記電流値または前記電圧値が0となるように指標の有機分子または検出対象の有機分子を固定させる
    ことを特徴とする有機分子検出方法。
  14. 請求項12に記載の有機分子検出方法において、
    前記有機分子検出装置の前記4つの抵抗素子のうち3つ以上の各々に並列接続され、任意の抵抗値に設定可能な可変抵抗器を用い、
    前記検出素子の前記固定領域に指標の有機分子または検出対象の有機分子を固定させたときに、前記電流値または前記電圧値が0となるように前記可変抵抗器の抵抗値の設定を変更する
    ことを特徴とする有機分子検出方法。
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