JP4797383B2 - 焦電センサ - Google Patents
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Description
また、焦電性エレメントの温度上昇による熱的な飽和やキュリー温度に近づくことによる感度低下を防ぐべく熱伝導リンクを大きくするために、焦電性エレメントの下面を全面的にヒートシンク(基板)に接着した構造の焦電センサも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、近年、TGS(Triglycine Sulfate:硫酸三グリシン)系結晶の水素原子のすべて又は一部を重水素に置換し、キュリー温度をTSGより高くしたDTGSや、さらにL−α−アラニンをドープしたDLATGSの研究がなされている(例えば、非特許文献1,2,3参照。)。
しかし、この焦電性エレメントを、従来のようにリード端子や柱状スペーサや導電性ペーストにより複数箇所で支持したり、この焦電性エレメントの下面を全面的にヒートシンク(基板)に接着すると、焦電性エレメントの変形が無理に抑えられるため、圧電性によるノイズが発生したり、クラックが発生してしまう問題点がある。
また、この焦電性エレメントの下面の1カ所だけをヒートシンク(基板)に接着すると共にシリコーンジェルのような充填材を挟み込むことで、焦電性エレメントの変形を可能にし且つ熱伝導リンクを大きくすることが考えられるが、製造時に充填材を挟み込む作業が繁雑であり、充填材に起因する不良(ガスの発生や硬化など)が発生する問題点がある。
これに対して、焦電性エレメントの下面の1カ所だけを導電性ペーストで接着しすると共にその余を空隙にすることも考えられるが、導電性ペーストの供給量や接着の際に焦電性エレメントに加える荷重により導電性ペーストの断面積や厚さが変わるため、熱伝導リンクを一定にするためには、導電性ペーストの供給量や接着の際に加える荷重の高度のコントロールが必要になり、製造が難しくなる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、圧電性ノイズやクラックの発生を防止でき、製造が容易であり、且つ、不良の発生を回避することが出来る焦電センサを提供することにある。
上記第1の観点による焦電センサでは、焦電性エレメントの下面の面積の9%〜16%の領域だけをサブマウントで支持するため、焦電性エレメントの変形が可能になり、圧電性ノイズが発生したり、クラックが発生してしまうことを防止できる。また、サブマウントの断面積や厚さは一定なので容易に一定の熱伝導リンクを形成でき、製造が容易になる。さらに、シリコーンジェルのような充填材を用いないため、製造時に充填材を挟み込む煩雑な作業が不要になり、充填材に起因する不良(ガスの発生や硬化など)も発生しなくなる。
上記第2の観点による焦電センサでは、焦電結晶としてDTGSまたはDLATGS単結晶材料を用いるため、従来のTGS系結晶より優れた焦電特性が得られる。
この焦電センサ100は、外部からの赤外線を通す開口部3を有するパッケージ上部1と、ピン12a,12b(および12c)が貫通したパッケージ下部11と、赤外線透過窓材2と、上面に導電パタン9a,9b,9d(および9c)を形成した絶縁体10と、焦電性エレメント4と、FET5と、高抵抗6と、導電パタン9dと焦電性エレメント4の間に介在して導電パタン9d上に焦電性エレメント4を支持するサブマウント7と、配線用のワイヤ8とを具備している。
焦電性エレメント4の下面の中央領域については導電パタン(9d)と焦電性エレメント4の間にサブマウント7が介在し且つその余は空隙gになっている。
焦電結晶4aはDTGSまたはDLATGS単結晶を平板状に切り出したものであり、サイズは例えば2mm×2mm×30μmである。
サブマウント7は、導電性ペースト13により焦電性エレメント4に接合され、導電性ペースト14により導体パタン9dに接合されている。
ピン12aと高抵抗6の一端は導電パタン9aで接続されている。また、ピン12aと焦電性エレメント4の上部電極4dはワイヤ8で接続されている。
ピン12bとFET5のソース端子は導電パタン9bで接続されている。
ピン12cとFET5のドレン端子は導電パタン9cで接続されている。
図4は、図3から焦電性エレメント4およびワイヤ8を除去した上面図である。
ステップP1では、焦電結晶4aに下部電極4dを形成する。
ステップP2では、焦電結晶4aの下部電極(4d)面に導電性ペースト13でサブマウント7を接合する。なお、半田などにより接合してもよい。
ステップP3では、焦電結晶4aに上部電極4cを形成する。
ところで、サブマウント7を接合していない場合、発生する対流によって軽量の焦電結晶4aが動いて所定の金黒パタンが得られないことがあり、メタルマスクの反対側から板など焦電結晶4aを挟んで押さえるなどの処置が必要になる。しかし、サブマウント7を接合している場合、その重さによって、焦電結晶4aが対流で動くことが防止され、メタルマスクの反対側から板など焦電結晶4aを挟んで押さえるなどの処置をしなくても、所定の金黒パタンを得ることが出来る。
(1)導電パタン9a〜9dを形成した絶縁体10上に、FET5および高抵抗6を半田付けまたは導電性ペーストで固定する。
(2)導電パタン9d上の、焦電性エレメント4を設置する部分に、焦電性エレメント・アセンブリを半田付けまたは導電性ペースト14で固定する。
(3)FET5,高抵抗6および焦電性エレメント4を設置した絶縁体10をパッケージ下部11に固定する。
(4)ピン12a〜12cと導電パタン9a〜9cを半田付けまたは導電性ペーストで接続する。また、ワイヤ8を配線する。
(5)パッケージ下部11にパッケージ上部1を溶接などによって接合し、乾燥窒素などを封入し、赤外線透過窓材2を接着する。
ここで応答時間とは、ピーク強度が20mW程度の変調光が焦電センサに入力し、それに対する出力信号を焦電センサが発生している状態で、変調光のピーク強度を瞬時に10%程度低下させた時から出力信号が低下する時までに要する時間である。
例えば、面積率が1%のときの応答時間は45秒であり、面積率が2.25%のときの応答時間は30秒であり、面積率が9%以上のときの応答時間は1秒未満である。応答時間は1秒未満が好ましいから、面積率は9%以上が必要である。
例えば、面積率が16%以下のときのSN比は35000:1より大きいが、面積率が56%程度になるとSN比は30000:1より小さくなる。SN比は35000:1より大きいことが好ましいから、面積率は16%以下にすべきである。
ステップS1では、焦電結晶4aに下部電極4dを形成する。
ステップS2では、焦電結晶4aに上部電極4cを形成する。
ステップS3では、焦電結晶4aの上部電極(4c)面に黒化膜4bを形成する。例えば黒化膜4bとして金黒を用いる場合、下部電極4dおよび上部電極4cを形成し且つサブマウント7を接合した焦電結晶4aを真空雰囲気下に置き、数TORRから数十TORRの窒素ガスを導入し、抵抗加熱によって金を蒸着することで行う。このとき、所定の金黒パタンを得るためにメタルマスクを用いる。この場合、発生する対流によって軽量の焦電結晶4aが動いて所定の金黒パタンが得られないことがあり、メタルマスクの反対側から板など焦電結晶4aを挟んで押さえるなどの処置が必要になる。
ステップS4では、焦電結晶4aの下部電極(4d)面に導電性ペースト13でサブマウント7を接合する。なお、半田などにより接合してもよい。
このサブマウント7は、低抵抗シリコン板7dの両面に、チタン層7eと白金層7fと金層7gとを積層したオーミック電極を形成したものである。
7 サブマウント
9d 導体パタン
10 絶縁体
100 焦電センサ
Claims (2)
- 絶縁体(10)と、前記絶縁体(10)の上面に形成した導電パタン(9d)と、焦電結晶(4a)の上面に上部電極(4c)を形成しかつ下面に下部電極(4d)を形成した焦電性エレメント(4)と、前記導電パタン(9d)と前記焦電性エレメント(4)の間に介在して前記導電パタン(9d)上に前記焦電性エレメント(4)を支持する金属板からなる導電性のサブマウント(7)とを具備し、前記焦電性エレメント(4)の下面の中央の、前記焦電性エレメント(4)の下面の面積の9%〜16%に相当する面積の領域については前記導電パタン(9d)と前記焦電性エレメント(4)の間に前記サブマウント(7)が介在し且つその余は空隙(g)になっていることを特徴とする焦電センサ(100)。
- 請求項1に記載の焦電センサ(100)において、前記焦電結晶(4a)は、DTGSまたはDLATGS単結晶材料からなることを特徴とする焦電センサ(100)。
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