JP4797312B2 - 温水洗浄便座 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体洗浄時に使う水を加熱する機能を有する温水洗浄便座に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の温水洗浄便座を、図15を用いて説明する。図15(a)で示すように温水洗浄便座は、使用者が着座する便座1と、本体22に内蔵された温水タンク2、及び人体局部に洗浄水を噴出するための洗浄ノズル(図示せず)で構成されていた。また、温水タンク2には図16に示すように、温水ヒータ3が内蔵されており、温水ヒータ3の発熱を効率よく温水タンク内の水に供給している。温水ヒータ3の制御方法としては、温水ヒータ3の近傍に温水温度を検出するサーミスタ等の温度センサ(図示せず)を配置し、洗浄水の温度を設定する洗浄水温度設定手段4での設定温度と温度センサの検出温度を比較して、温水ヒータ3への通電をON/OFFする方法を採っている。また、洗浄水温度設定手段4の設定温度の切替は、図14(b)で図示するように洗浄水温度設定手段4をタクトスイッチなどで構成して複数段階に設定可能とし、設定を使用者が視認できる表示手段5を備えたものや、図示はしていないが、洗浄水温度設定手段4をスライドボリューム、ロータリーボリュームなどで無段階切り替えし、ボリュームの位置で設定温度を視認できるものなどがある。
【0003】
また近年では、便座1にヒータを内蔵した暖房便座や本体内に脱臭・乾燥等の機能を盛り込んだ温水洗浄便座が普及してきており、使用者の着座を着座検出手段6にて検出した時点で脱臭機能を動作させたり、使用者の着座を検出したときのみ使用者の局部を洗浄できることなど、着座検出手段6は使用者の着座状態を検出するセンサとして必要不可欠なものになってきている。
【0004】
次に、この着座検出手段6について説明する。図16は着座検出手段6が内蔵されている温水洗浄便座の外観図である。使用者がトイレ使用時には、便ふた23を開状態にして便座1に着座する。着座検出手段6は便座1の脚ゴム7内部や便座軸8を受ける形で本体22内部に設置されている。便座1の脚ゴム7内部に設置されている場合は、使用者が便座1に着座すると、使用者の体重によって便座1の脚ゴム7が便器9に押しつけられ、便座1の脚ゴム7内部の着座検出手段6であるスイッチが閉成して着座を検出する。また、便座軸8に着座検出手段6が設置されている場合は、使用者が便座1に着座すると、便座軸8が便器9方向に押され、便座軸8によって着座検出手段6であるスイッチを閉成するものである。
【0005】
また、使用者の体重を利用しない着座検出手段6の例として、便座1に配設されたアルミシート(図示せず)とトイレ床面との静電容量が、使用者が便座1に着座することで変化し、この変化幅を検知する静電容量タイプのものや、便座の両端に赤外線センサを搭載し、使用者の着座による赤外線が遮断されることで着座を検知するタイプのもの、あるいは、便座軸8から超音波を照射し、着座した使用者の人体によって反射される超音波を検知するタイプもある。
【0006】
さらに、使用者のトイレ使用状態を検知する例として、トイレ室内に入室したことを赤外線や超音波等で検出する人体センサを用いた入室検知タイプや、便ふた、便座のいずれかが開状態になったことを検知する便ふた、便座連動タイプなどのトイレ使用を検知するものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成では、人体洗浄用の洗浄水を常に暖かくしておく必要があるため、温水ヒータ3を連続で通電させる必要があり、省エネルギーという面では課題を有していた。
【0008】
また、洗浄水温度を設定する洗浄水温度設定手段4にタイマー機能を付加し、温水ヒータ3への通電をある時間帯だけ行う様なものもあるが、タイマーで設定した時間帯に常にトイレを使用するわけではなく、タイマー設定されていない時間帯に使用した際には温水ヒータ3への通電が行われていないため、洗浄水が冷たくて使用できない場合があり、結局はタイマー機能を使用せず常時温水ヒータ3への通電を行ってしまうなど使い勝手の面で課題を有していた。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の着座情報を記憶する着座履歴記憶手段を設けて、使用者がトイレを使用する時間帯を予め予測し、着座履歴記憶手段の着座情報によって洗浄水温度設定手段の設定温度が快適になるような温水洗浄便座を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の温水洗浄便座は、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別に、使用者が着座したか否かの着座情報を記憶して、使用者が温水洗浄便座を使用する時間帯を予め予測することにより、使用者の過去の使用パターンから見て使用されると予測される時間帯には洗浄水温度を快適な温度になるように温度調節を行い、また、使用されないと予測される時間帯には、省エネルギーとなるように洗浄水温度調整を行うものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、洗浄に使う水を加熱する温水ヒータと、便座への着座を検出する着座検出手段と、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の着座情報を記憶する着座履歴記憶手段と、各時間帯別に前記温水ヒータの温度を設定する洗浄水温度設定手段と、温水ヒータの通電を制御し、かつ、着座履歴記憶手段の着座情報によって洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する制御手段を備え、着座履歴記憶手段は、着座情報として同一時間帯における非着座の連続日数を計数する非着座日数計数手段を備え、制御手段は、連続して非着座であった日数を計数し、使用者の過去の生活パターンの規則性を予測することで、温水洗浄便座が使用されるか否かの予測が正確になり、この計数値に応じて洗浄水温度設定手段の設定温度を補正することで、使用されると予測される時間帯には洗浄水温度を快適な温度になるように温度調節を行い、また、使用されないと予測される時間帯には、省エネルギーとなるように温度調整を行うことで、経済性の向上に加え、使用者の生活パターンによる使用状況の予測を正確なものとし、更に使い勝手の向上を行うものである。
【0012】
請求項に記載の発明は、特に請求項に記載の非着座日数計数手段の計数値に応じて洗浄水温度設定手段の設定温度の補正量を切り換えることで、使用者の生活パターンの規則性による予測が確実に使用されていないと推定される時には、更に設定温度を快適、かつ、省エネルギー性が向上するように切り換えることができ、経済性の向上を行うものである。
【0013】
請求項に記載の発明は、特に請求項に記載の非着座日数計数手段の計数値に比例して洗浄水温度設定手段の設定温度の補正量を大きくすることで、同一時間帯で温水洗浄便座が使用されていない日数が少ない場合は、使用者の生活パターンが変化して間もない、または、通常の生活パターンと一時的に異なるパターンが発生したと推定して、設定温度の補正量を少なくすることで、本来の生活パターンに沿った快適な設定温度とする。また、同一時間帯で使用者が使用されていない日数が連続するほど使用者の生活パターンの規則性による予測が確実に使用されていないと推定されるため、更に設定温度を大きく下げ、省エネルギー性が向上させるものである。
【0014】
請求項に記載の発明は、特に請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄水温度設定手段の補正後の設定温度を所定日数保持し、この所定日数を同一時間帯で温水洗浄便座が使用されていない日数に応じて決定することで、同一時間帯で温水洗浄便座が使用されていない日数が短い、即ち、使用者の生活パターンが変化して間もない、または、通常の生活パターンと一時的に異なるパターンが発生したと推定して、補正後の設定温度を保持する日数を少なくすることで、生活パターンが安定するまで細かな温度設定とし、設定温度を低温にしすぎない適切な温度設定を行うことができる。また、同一時間帯で使用者が使用されていない日数が長いほど、即ち、生活パターンが安定した時には補正後の設定温度を保持する日数を長くすることで、設定温度を大きく低温側へ補正するなどより省エネルギー性の高い温度調節ができる。
【0015】
請求項に記載の発明は、特に請求項1〜4のいずれか1項に記載の着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く洗浄水温度設定手段の設定温度を補正することで、温水ヒータなどが発熱して洗浄水が適切な温度になるまでの時間的な遅れを、所定時間早く、温水ヒータへ通電することで解消することができ、過去の使用者の生活パターンを着座情報としてサンプリングした時間帯には快適な温度とし、より使い勝手を向上させるものである。
【0016】
請求項に記載の発明は、洗浄に使う水を加熱する温水ヒータと、便座への着座を検出する着座検出手段と、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の着座情報を記憶する着座履歴記憶手段と、各時間帯別に前記温水ヒータの温度を設定する洗浄水温度設定手段と、前記温水ヒータの通電を制御し、かつ、着座履歴記憶手段の着座情報によって洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する制御手段を備え、制御手段は着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する予備補正手段を備え、予備補正手段は制御手段により補正された現在の時間帯の設定温度と次の時間帯の設定温度を比較する比較手段を備え、予備補正手段は、洗浄水温度設定手段の現在の時間帯の設定温度と次の時間帯の設定温度を比較して、現在の時間帯の設定温度よりも次の時間帯の設定温度が高い、即ち、温水ヒータへの通電を行わなければならないときには着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く洗浄水温度設定手段の設定温度を補正することで、温水ヒータなどが発熱して洗浄水が適切な温度になるまでの時間的な遅れを、所定時間早く温水ヒータへ通電することで解消することができ、過去の使用者の生活パターンを着座情報としてサンプリングした時間帯には快適な温度とし、より使い勝手を向上させるものである。
【0017】
請求項に記載の発明は、特に請求項またはに記載の予備補正手段において、洗浄水温度設定手段の現在の時間帯の設定温度と次の時間帯の設定温度を比較して、現在の時間帯の設定温度よりも次の時間帯の設定温度の温度差が高温側へ大きければ大きいほど、着座情報を記憶する時間帯よりも、洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する時間をより早くして、温水ヒータなどが発熱して便座が適切な温度になるまでの時間的な遅れを解消することができ、過去の使用者の生活パターンを着座情報としてサンプリングした時間帯には快適な温度とし、より使い勝手を向上させるものである。
【0018】
請求項に記載の発明は、特に請求項4〜7のいずれか1項に記載の制御手段において、洗浄水温度設定手段の設定温度の補正中、即ち、使用者が少なからずその時間帯には使用されないと予測していたときに、着座検出手段によって使用者の着座を検出したときは設定温度の補正量を小さく、あるいはゼロになるようにすることで、着座中に使用者に不快感を与えることがなく、快適な温度調節を行うものである。また、着座されたときの非着座日数計数手段の計数値が長いほど温度設定手段の設定温度の補正量が大きくなるように切り換える、もしくは、補正後の設定温度を保持する日数を短くすることで、元の生活パターンでの着座状態での省エネルギー性の高い温水ヒータの発熱制御により早く到達させることができ、より使い勝手を向上させるものである。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1〜図14を参照しながら説明する。
【0020】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における温水洗浄便座のブロック図である。本発明の温水洗浄便座は、温水タンク2内に配設された温水ヒータ3、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別に洗浄水の温度を設定する洗浄水温度設定手段4、使用者の着座状態を検出する着座検出手段6、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別に、使用者が着座したか否かの着座情報を記憶する着座履歴記憶手段10および、着座履歴記憶手段10で記憶された使用者の温水洗浄便座使用状況に応じて、洗浄水温度設定手段4の設定温度を補正して、この補正された設定温度と温水ヒータ3の近傍に配設された洗浄水の温度を検出するサーミスタ等の温度センサ(図示せず)の検出温度を比較して、温水ヒータ3への通電を制御する制御手段11で構成されている。
【0021】
次に本発明の動作を説明する。着座履歴記憶手段10は、1日の24時間を1時間単位に分割し、その1時間の間に着座検出手段6にて使用者一人以上の着座を検出したときには「1」を、着座されなかったときには「0」を記憶する。例えば、ある家庭の1日の温水洗浄便座使用データを1日24時間制(0時〜23時)で表記すると(表1)の様になる。
【0022】
【表1】
【0023】
本実施例では4人家族で、大人の男性1人、大人の女性1人、子供の男性1人、子供の女性1人で、大人は共に仕事に従事し、子供は学校に行っているため昼間の時間帯での温水洗浄便座の使用はなされていないという状況である。これらの1日のトイレ使用状況を記憶することで、ある時間帯(例えば深夜の0時〜5時)は温水洗浄便座が使用されない家庭であると予測し、この時間帯での洗浄水の設定温度が通常37℃であればこの設定温度を35℃とするように低温側へ補正することで、省エネルギー性を向上させるものである。
【0024】
以上のように、本実施例においては着座検出手段6の着座情報を記憶して、使用者が温水洗浄便座を使用する時間帯を予め予測することで、使用者が過去の生活パターンから見て使用されると予測される時間帯には洗浄水の温度を快適な温度になるように温度調節を行い、また、使用されないと予測される時間帯には、省エネルギーとなるように温度調整を行うことで、使い勝手と経済性を向上させることができる。
【0025】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2における温水洗浄便座のブロック図である。実施例1と異なる点は、着座履歴記憶手段10に、着座検出手段6での着座情報が同一時間帯で非着座であった連続日数を計数する非着座日数計数手段12を設けた点である。その他の構成要素については実施例1と同様であり、説明を省略する。非着座日数計数手段12は、1日の24時間を1時間単位に分割し、その1時間の間に着座されたか否かを着座履歴記憶手段10にて記憶し、各々の時間帯で何日間非着座が連続したかを計数するものである。
【0026】
次に、実施例1に記載した家族の例で非着座日数計数手段12の動作を説明する。(表2(a))は0時〜11時までの(表2(b))は12時〜23時までの1時間毎の着座されたか否かを記載した表である。
【0027】
【表2】
【0028】
実施例1と同様に、使用者一人以上の着座を検出したときには「1」を、着座されなかったときには「0」とする。例えば3時〜4時の1時間では2日前に一度使用されているため、当日までの非着座の連続日数としては「1」となり、非着座日数計数手段12の計数値は「1」となる。同様に、13時〜14時の1時間では過去7日間は一度も使用されていないため、13時〜14時における非着座の連続日数は「7」、17時〜18時の1時間では3日前に使用されているため「2」となる。この非着座日数計数手段12の計数値は使用者の温水洗浄便座使用の生活パターンを意味する事となり、この計数値が大きければ大きいほど、その時間帯での温水洗浄便座の使用はほとんどされていないと判断できる。非着座日数計数手段12の計数値が「0」即ちその時間帯で前日はトイレを使用された時には、洗浄水温度設定手段4の設定温度の補正は行わない。計数値が「1」の場合は洗浄水温度設定手段4の設定温度を2.0℃低温側へ補正する。計数値が「2」の場合は設定温度を2.0℃低温側へ補正する。計数値が「7」の場合は設定温度を7.0℃低温側へ補正する。
【0029】
図3は非着座日数計数手段12の計数値と洗浄水温度設定手段4の設定温度を制御手段11にて補正した補正量の関係を示したグラフである。横軸に非着座日数計数手段12の計数値を、縦軸には洗浄水温度設定手段4の設定温度を低温側へ補正する補正量を示す。縦軸の補正量が大きいほど、設定温度から大きく低温側へ設定温度を補正していることを示す。図3からも分かるように、温水洗浄便座が使用されていない日数が短い時は、生活パターンの一時的な変化であると想定されるため、通常の生活パターンでの設定温度から2.0℃程度と、低温側への補正を少なくして、使用者に対して低温側へ補正しすぎて冷たいという感覚を与えないようにしている。また、温水洗浄便座が使用されていない日数が連続して多くなるほど、生活パターンが安定しているため、通常生活パターンでの設定温度から12℃などと大きく低温側へ補正することができる。この補正量(低温側へ温度設定を補正した温度差)の分だけ、温水ヒータ3への通電率を低下させることができ、より省エネルギー性を向上させることができる。
【0030】
以上のように、本実施例においては、使用者が便座に着座した着座情報が同一時間帯で非着座であった連続日数を計数し、より使用者の過去の生活パターンの規則性を予測することで、温水洗浄便座が使用されるか否かの予測が正確になり、この計数値に応じて洗浄水温度設定手段の設定温度を補正することで、使用されると予測される時間帯には洗浄水の温度を快適な温度になるように温度調節を行い、また、使用されないと予測される時間帯には、省エネルギーとなるように温度調整を行うことで、経済性の向上に加え、使用者の生活パターンによる使用状況の予測を正確なものとし、更に使い勝手の向上を行うものである。
【0031】
(実施例3)
図4は本発明の実施例3における温水洗浄便座のブロック図である。実施例1、及び2と異なる点は、洗浄水温度設定手段4の設定温度を制御手段11にて補正するが、この補正された設定温度を所定日数保持する保持手段13と、保持手段13が保持する日数を非着座日数計数手段12の計数値に応じて決定する保持日数決定手段14を設けた点である。
【0032】
図5(a)は非着座日数計数手段12の計数値と保持手段13が保持する日数の関係を示したグラフである。横軸に非着座日数計数手段12の計数値を、縦軸には保持手段13が保持する日数、即ち、洗浄水温度設定手段4の設定温度の補正量の切替を行うまでの日数を示している。縦軸の補正量切り替えまでの日数が小さいほど、きめ細かく補正量を切り替えており、切り替えまでの日数が大きいほど、大胆に補正量を切り換えている事を示す。図5(a)からも分かるように、温水洗浄便座が使用されていない日数が「1日」(1日前はトイレ未使用であったが2日前は使用されていた)の時には、生活パターンの一時的な変化であると想定されるため、設定温度の補正量を切り換える日数を「1日」とし、この時の補正量も上述の実施例2の様に2.0℃程度と、低温側への補正を少なくして、使用者に対して低温側へ補正しすぎて冷たいという感覚を与えないようにしている。
【0033】
同様に温水洗浄便座が使用されていない日数が「1〜7日」の時には設定温度の補正量を切り換える日数を「1日」、温水洗浄便座が使用されていない日数が「7〜14日」の時には設定温度の補正量を切り換える日数を「6日」、温水洗浄便座が使用されていない日数が「14日以上」の時には設定温度の補正量を切り換える日数を「7日」と、また、温水洗浄便座が使用されていない日数が連続して多くなるほど、生活パターンが安定しているため、設定温度の補正量を12℃等の低温側へと大きく補正することができ、また、補正量を切り換える日数も長くすることができる。
【0034】
次に、図5(b)に非着座日数計数手段12の計数値と洗浄水温度設定手段4の設定温度の補正量の関係を示す。グラフの読み方としては図3と同様である。図5(b)でも分かるように、温水洗浄便座未使用日数が短いほど、設定温度の補正量を小さく、また細かく補正しており、温水洗浄便座未使用日数が長いほど、設定温度の補正量を大きく、また、補正された設定温度を長く保持している。この補正量(低温側へ温度設定を補正した温度差)の分だけ、温水ヒータ3への通電率を低下させることができ、より省エネルギー性を向上させることができる。
【0035】
以上のように、本実施例においては、洗浄水温度設定手段の補正後の設定温度を所定日数保持し、この所定日数を同一時間帯で使用者が使用されていない日数に応じて決定することで、生活パターンが安定するまで細かな温度設定とし、設定温度を低温しすぎない適切な温度設定を行うことができる。また、生活パターンが安定した時には補正後の設定温度を保持する日数を長くすることで、設定温度を大きく低温側へ補正するなどより省エネルギー性の高い温度調節ができる。
【0036】
(実施例4)
図6は本発明の実施例4における温水洗浄便座のブロック図である。実施例1〜3と異なる点は、着座履歴記憶手段10が着座検出手段6の着座信号により、着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く、洗浄水温度設定手段4の設定温度を補正する予備補正手段15を設けた点である。
【0037】
図7を用いて、予備補正手段15の動作を、1日の24時間の内16時〜23時を例に説明する。洗浄水温度設定手段4の設定温度を37℃とし、実施例2の(表2)で示したような生活パターンでの家庭では、20〜21時には非着座日数計数手段12の計数値が「1」であるため、図5(b)に示すグラフにより設定温度は2.0℃低温側へ補正される。同様に、17時〜18時の時は計数値が「2」であるため設定温度は2.0℃低温側へ、22時〜23時の時は計数値が「7」であるため設定温度は7.0℃低温側へ補正される。このように、各時間帯の設定温度は図7(a)のようになる。
【0038】
しかしながら、温水ヒータ3の加熱能力や、温水タンク2のケースの熱容量などで、制御手段11より温水ヒータ3への通電指示を行っても、使用者の肌に直接触れる洗浄水の温度はすぐに設定温度まで上昇できず、使用者が期待している設定温度とならないため、図7(b)に示すように洗浄水温度設定手段4の設定温度を補正するタイミングを着座履歴記憶手段10が着座状態を記憶するタイミング(本実施例では1時間刻み)よりも所定時間(例えば15分)早く行うことで、温水ヒータ3への通電を行うタイミングも早くしている。この所定時間(15分)の間に温水ヒータ3にて15分後の着座履歴記憶手段10が着座状態を記憶するタイミングには使用者が期待している設定温度とすることができる。
【0039】
具体的には17時〜18時の場合では、設定温度は17:00〜18:00は35.0℃、18:00〜19:00間では37℃であり、温度設定の補正による温水ヒータ3の通電切り替えは16:45〜17:45は35.0℃で温度調節するべく通電を制御し、17:45〜18:45は37℃で通電の制御を行う。この17:45〜18:00までの15分間温水ヒータ3への通電の制御を行っているため使用者が期待している18:00〜19:00の37℃という洗浄水の温度を実現することができる。
【0040】
以上のように、本実施例においては、着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く洗浄水温度設定手段の設定温度を補正することで、温水ヒータなどが発熱して洗浄水が適切な温度になるまでの時間的な遅れを、所定時間早く、温水ヒータへ通電することで時間的遅れを解消することができ、過去の使用者の生活パターンを着座情報としてサンプリングした時間帯には快適な温度とし、より使い勝手を向上させることができる。
【0041】
(実施例5)
図8は本発明の実施例5における温水洗浄便座のブロック図である。実施例1〜4と異なる点は、制御手段11にて補正された現在の時間帯での設定温度16と次の時間帯の設定温度17を比較する比較手段18を設けた点である。この比較手段18にて現在の時間帯での設定温度16と次の時間帯での設定温度17を比較し、図7(a)の例で説明した17:00〜18:00の設定温度と18:00〜19:00の設定温度のように、次の時間帯での設定温度17が高温であれば、実施例4で説明した予備補正手段15の動作を行うものである。また、図7(a)の21:00〜22:00の設定温度と22:00〜23:00の設定温度のように、次の時間帯での設定温度が低温であれば、温水ヒータ3への通電は不要であり、洗浄水の設定温度への温度上昇の時間的遅れはないため、予備補正手段15の動作は行わない。
【0042】
具体的には、図9に示すように、現在の時間帯の設定温度16よりも次の時間帯の設定温度17が高温である17時〜18時の温度設定の切り替え時点(17:45〜18:00)、20時〜21時の温度設定の切り替え時点(20:45〜21:00)、22時〜23時の温度設定の切り替え時点(22:45〜23:00)の3つの時間帯で、予備補正手段15により15分早く、温水ヒータ3への通電の制御を行っているため使用者が期待している次の時間帯の設定温度に洗浄水の温度を実現することができる。
【0043】
以上のように、本実施例においては、洗浄水温度設定手段の現在の時間帯の設定温度と次の時間帯の設定温度を比較して、現在の時間帯の設定温度よりも次の時間帯の設定温度が高い、即ち、温水ヒータへの通電を行わなければならないときには着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く洗浄水温度設定手段の設定温度を補正することで、温水ヒータなどが発熱して洗浄水が適切な温度になるまでの時間的な遅れを、所定時間早く温水ヒータへ通電することで時間的遅れを解消することができ、過去の使用者の生活パターンを着座情報としてサンプリングした時間帯には快適な温度とし、より使い勝手を向上させることができる。
【0044】
(実施例6)
図10は本発明の実施例6における温水洗浄便座のブロック図である。実施例1〜5と異なる点は、予備補正手段により、着座情報を記憶する時間帯よりも早く洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する予備補正時間19を決定する予備補正時間決定手段20を設けた点である。
【0045】
図11に本実施例の温水ヒータ3への通電の制御を開始してからの時間と洗浄水の関係を示す。洗浄水の設定温度が通常の設定温度幅である約30〜40℃で、水温が25℃付近の条件で本実施例の温水ヒータ3の構成では、温水ヒータ3への通電の制御を開始してから1分後には洗浄水の温度は+1℃、4分後には+4℃、15分後には+15℃洗浄水の温度を上げることができる。比較手段18の出力によって、次の時間帯の設定温度になるように温水ヒータ3への通電の制御を、何分前から行う必要があるかが決定される。
【0046】
具体的には図5(b)に示したように、同一時間帯で非着座が連続して3日間の場合は、設定温度を2.0℃低い35.0℃と補正をしており、次の時間帯の設定温度が37℃の場合には2.0℃洗浄水の温度を上昇させればよいため、予備補正時間決定手段20により、予備補正時間19の補正時間を少なくとも2分とすれば次の時間帯には充分37℃にまで洗浄水は上昇することができる。また、同一時間帯で非着座が連続して14日間以上継続したときには、次の時間帯の設定温度が37℃の場合には12℃も上昇させねばならず、予備補正時間決定手段20により、予備補正時間19の補正時間を約12分とすることで、次の時間帯での設定温度になるべく、温水ヒータ3の通電を制御する。
【0047】
以上のように、本実施例においては、洗浄水温度設定手段の現在の時間帯の設定温度と次の時間帯の設定温度を比較して、現在の時間帯の設定温度よりも次の時間帯の設定温度の温度差が高温側へ大きければ大きいほど、着座情報を記憶する時間帯よりも、洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する時間をより早くして、温水ヒータなどが発熱して洗浄水が適切な温度になるまでの時間的な遅れを解消することができ、過去の使用者の生活パターンを着座情報としてサンプリングした時間帯には快適な温度とし、より使い勝手を向上させることができる。
【0048】
(実施例7)
図12は本発明の実施例7における温水洗浄便座のブロック図である。実施例1〜6と異なる点は、着座を検出したときの非着座日数計数手段12の計数値を記憶する着座時日数記憶手段21を備えた点である。
【0049】
次に、図13(a)を用いて、設定温度の補正中に着座されたときの動作と、着座された後に再度非着座が同一時間帯で連続した時の動作について説明する。
【0050】
まず、制御手段11は、着座履歴記憶手段10により使用者が温水洗浄便座を使用しない時間帯であると予測し、その時間帯の温度設定を通常の温度設定よりも低温側へ補正している間(図13(a)で、非着座日数計測手段による計数値が7日以上の場合、7℃の補正を行っている間)に、使用者が通常とは異なるパターンで着座した場合は、人体洗浄中の洗浄水の設定温度は使用者が設定した所望の温度設定(設定温度の補正量を0とする)、もしくは、所望の設定温度よりも1〜2℃程度低い設定温度として使用者に対して洗浄水が冷たい感覚を無くすべく温水ヒータ3への通電の制御を行う。同時に、非着座日数計数手段12の計数値をゼロとして、再度、非着座日数計数手段12の計数値に応じた設定温度の補正を行い、省エネルギー性の向上を行う。
【0051】
なお、着座が行われず非着座日数計測手段による計数値が14日以上になれば点線で示すように温度設定の補正量は12℃となる。
【0052】
更に、使用者が通常とは異なるパターンで着座された際の非着座日数計数手段12の計数値を着座時日数記憶手段21にて記憶し、非着座日数計数手段12の計数値に応じて切り換えられる設定温度の補正量、もしくは、保持手段13が保持する日数を、着座時日数記憶手段21の記憶値に応じて補正する。図14は着座時日数記憶手段21に記憶されている記憶値と洗浄水温度設定手段4の設定温度の補正量、及び、補正された設定温度を保持手段13にて保持している日数の関係図である。使用者が着座された際の非着座日数計数手段12の計数値が大きい時に着座を検出した場合は、使用者は通常とは全く異なるパターン特別な状況下で着座されたと判断し、洗浄水温度設定手段4の設定温度の補正量を所定の値(例えば1.3倍)乗算し、また、補正された設定温度を保持手段13にて保持している日数を短くすべく所定の値(例えば0.75倍)乗算する。この制御手段11の動作により、図13(b)に示すように、この補正を行わない場合(点線で示す)に比べて、洗浄水がより低温に、しかも早期に補正できるようになり、より省エネルギー性を早めることができる。
【0053】
以上のように、本実施例においては、洗浄水温度設定手段の設定温度の補正中、即ち、使用者が少なからずその時間帯には使用されないと予測していたときに、着座検出手段によって使用者の着座を検出したときは設定温度の補正量を小さく、あるいはゼロになるようにすることで、人体洗浄中の使用者に不快感を与えることがなく、快適な温度調節を行うことができる。また、着座された時の着座時日数記憶手段21の記憶値に応じて、設定温度の補正量、もしくは、保持手段13の保持日数を補正することで、通常の生活パターンでの温度設定の補正量へいち早く戻すことができ、より使い勝手を向上させることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別に、使用者が着座したか否かの着座情報を記憶して、使用者が温水洗浄便座を使用する時間帯を予め予測することにより、時間帯別の温度設定を使用者の過去の生活パターンに応じて的確に補正することが可能となり、常に、最適な洗浄水温度に温調することができ、使い勝手と経済性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における温水洗浄便座のブロック図
【図2】 本発明の実施例2における温水洗浄便座のブロック図
【図3】 本発明の実施例2における非着座日数と設定温度補正グラフ
【図4】 本発明の実施例3における温水洗浄便座のブロック図
【図5】 (a)本発明の実施例3における非着座日数と保持日数グラフ
(b)本発明の実施例3における非着座日数と設定温度補正グラフ
【図6】 本発明の実施例4における温水洗浄便座のブロック図
【図7】 (a)本発明の実施例4における16時〜23時の温度設定グラフ
(b)本発明の実施例4における16時〜23時の温度設定補正グラフ
【図8】 本発明の実施例5における温水洗浄便座のブロック図
【図9】 本発明の実施例4における16時〜23時の温度設定グラフと温度設定補正グラフ
【図10】 本発明の実施例6における温水洗浄便座のブロック図
【図11】 本発明の実施例6における温水ヒータの温度上昇グラフ
【図12】 本発明の実施例7における温水洗浄便座のブロック図
【図13】 (a)本発明の実施例7における着座された後の温度設定補正量と非着座日数計算値グラフ
(b)本発明の実施例7における着座された後の温度設定補正量を大きくした時の温度設定補正値と非着座日数計算値グラフ
【図14】 本発明の実施例7における着座日数記憶値と設定温度補正値及び保持日数グラフ
【図15】 (a)従来の温水洗浄便座の外観図
(b)従来の温水洗浄便座の洗浄水温度設定手段の外観図
【図16】 従来の温水洗浄便座の外観図
【符号の説明】
3 温水ヒータ
4 洗浄水温度設定手段
6 着座検出手段
10 着座履歴記憶手段
11 制御手段
12 非着座日数計数手段
13 保持手段
14 保持日数決定手段
15 予備補正手段
18 比較手段
20 予備補正時間決定手段
21 着座時日数記憶手段

Claims (8)

  1. 洗浄に使う水を加熱する温水ヒータと、便座への着座を検出する着座検出手段と、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の着座情報を記憶する着座履歴記憶手段と、各時間帯別に前記温水ヒータの温度を設定する洗浄水温度設定手段と、前記温水ヒータの通電を制御し、かつ、前記着座履歴記憶手段の着座情報によって前記洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する制御手段を備え、前記着座履歴記憶手段は、前記着座情報として同一時間帯における非着座の連続日数を計数する非着座日数計数手段を備え、前記制御手段は、前記非着座日数計数手段の計数値に応じて前記洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する温水洗浄便座。
  2. 前記制御手段は、前記非着座日数計数手段の計数値に応じて前記洗浄水温度設定手段の設定温度の補正量を切り換える請求項に記載の温水洗浄便座。
  3. 前記制御手段は、前記非着座日数計数手段の計数値に比例して前記洗浄水温度設定手段の設定温度の補正量を大きくすることを特徴とする請求項に記載の温水洗浄便座。
  4. 前記制御手段は、前記洗浄水温度設定手段の補正後の設定温度を所定日数保持する保持手段と、前記保持手段が保持する日数を前記非着座日数計数手段の計数値に応じて決定する保持日数決定手段とを備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の温水洗浄便座。
  5. 前記制御手段は、着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く前記洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する予備補正手段を備えた請求項1〜4のいずれか1項に記載の温水洗浄便座。
  6. 洗浄に使う水を加熱する温水ヒータと、便座への着座を検出する着座検出手段と、1日を複数に分割して設けられた各時間帯別の着座情報を記憶する着座履歴記憶手段と、各時間帯別に前記温水ヒータの温度を設定する洗浄水温度設定手段と、前記温水ヒータの通電を制御し、かつ、前記着座履歴記憶手段の着座情報によって前記洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する制御手段を備え、前記制御手段は着座情報を記憶する時間帯よりも所定時間早く前記洗浄水温度設定手段の設定温度を補正する予備補正手段を備え、前記予備補正手段は前記制御手段により補正された現在の時間帯の設定温度と次の時間帯の設定温度を比較する比較手段を備え、前記比較手段に応じて前記予備補正手段による補正を行う温水洗浄便座。
  7. 前記予備補正手段は、予備補正を行う時間を決定する予備補正時間決定手段を備えた請求項またはに記載の温水洗浄便座。
  8. 前記制御手段は、前記洗浄水温度設定手段の設定温度の補正中に着座前記検出手段にて着座を検出したときは設定温度の補正量を小さく、あるいはゼロになるように設定するとともに、着座を検出したときの前記非着座日数計数手段の計数値を記憶する着座時日数記憶手段を備え、前記非着座日数計数手段の計数値に応じて切り換えられる設定温度の補正量または前記保持手段が保持する日数を、前記着座時日数記憶手段により補正する請求項4〜7のいずれか1項に記載の温水洗浄便座。
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