JP4796310B2 - 動力伝達機構及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、動力伝達機構及びこの動力伝達機構を備えた画像形成装置に関する。
特許文献1には、2軸間の温度変化による変化分を歯車の伸縮率と同等の基材上に2軸を取り付けて駆動する技術について開示されている。
特開2002−21942号公報
様々な動力伝達機構において、噛合い位置を補正できる歯車駆動伝達装置を用いれば、環境の温度変化に対しても、常に適切な噛合い状態を維持し、安定した駆動伝達を実現することができる。
大径小モジュールの精密駆動用歯車伝達装置において、環境の温度変化が起こると、歯車部材の膨張、収縮によって歯車の直径が変化して、適切な噛合い状態を維持できなくなり、安定した駆動伝達ができなくなる。低温環境において、歯車噛合いが外れることによる空回りが発生したり、高温環境において、両歯噛合いと方歯噛み合いが混在したりすることによる駆動伝達誤差が生ずるなどの問題がある。
そして、デジタル複写機、レーザプリンタなどの画像形成装置に利用される感光体ドラムなどの駆動装置においては、歯車噛合い周期の回転ムラが画像に及ぼす影響を抑えるために、大径小モジュールのギアを用いた減速系を用いることが有効である。
しかしながら、直径100mm程度の樹脂歯車においては、モジュール0.5程度までの小モジュール歯車の使用では、環境の温度変化による樹脂歯車寸法変化の影響は比較的少なかったものの、モジュール0.2以下の小モジュールにおいては、寸法変化の影響を無視できなくなるという不具合がある。
これに対して、前述の特許文献1の技術では、2軸間の温度変化による変化分を歯車の伸縮率と同等の基材上に2軸を取り付けて駆動するという技術により解決するものであるが、実際の装置内においては、位置が異なることによる温度分布の違いや、駆動モータの発熱が前記基材に伝播することにより温度勾配は発生し、歯車部とは異なった収縮量となるという問題が発生する。
さらには、材質選択の自由度が減り、低製造コストの材質で構成できない上、ギアの材質が脆弱な場合、駆動部を支える基盤部分の剛性を保てなくなる等の不具合を有している。
そのうえ、モータ等の駆動部分を締結する際、フレーム部がポリアセタール等であると強力なねじ締結が行えず、金属インサートを施す必要があるため、さらなるコストアップ要因となる。
そこで、本発明の目的は、ギアなどの部材の熱膨張を抑制し、低製造コスト、省スペース化を容易に図ることができる動力伝達機構を提供することである。
請求項1に記載の発明は、第1部材と第3部材との間に第2部材を介装して互いに連結された連結機構で構成され、前記第1部材と前記第2部材と前記第3部材とは、その部材長および線膨張係数が互いに異なり、温度変化により生じる、前記第3部材の熱膨張による変位Aと、前記第1部材と前記第2部材との熱膨張差に起因する変位Bと、を略同等とし、前記変位Bを用いて、前記第3部材を従動させる部材を変位させて、前記第3部材の熱膨張による前記変位Aを補正し、前記第1及び第2部材は第4部材を介して前記第3部材に連結していて、前記第4部材は所定の回転中心を中心に回転し、前記回転中心からのアーム比によって前記変位Bを増大させることを特徴とする動力伝達機構である。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の動力伝達機構において、前記第3部材は、モジュール0.5以下で0より大きいギアであり、前記第4部材は、回転軸に前記第3部材を従動させるピニオンが取り付けられたモータが設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の動力伝達機構において、前記回転中心は部材の変形と穴の嵌合とにより構成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の動力伝達機構において、前記第1部材は、前記第2部材と前記第4部材とを位置決めして前記第2部材に締結されることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項2に記載の動力伝達機構において、前記第4部材を一定方向に付勢する弾性部材を備え、当該付勢により前記第4部材により一定方向の回転負荷を与えることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の動力伝達機構において、前記第3部材のギア比が整数倍となるよう大小ギアの歯数が設定されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の動力伝達機構において、前記第1部材と前記第2部材とは締結されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の動力伝達機構において、前記第2部材には、浮き上がり防止の規制部材が設けられていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の動力伝達機構において、前記第3部材は、ハス歯形状のギアであることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項のいずれかの一項に記載の動力伝達機構を備え、前記第4部材に設けられた駆動モータを駆動源として前記第3部材であるギアを回転して当該ギアと同軸で設けられた感光体ドラムを回転駆動することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置である。
請求項1に記載の発明によれば、第3部材の熱膨張を抑制し、また、各部材の材質及び部材長の選定により、構成に関しては自由度が高いので、低製造コスト、省スペース化を容易に図ることができる。
また、変位が小さい場合でも(変位が稼げない場合でも)アーム比で変異を増大させることにより、部材長を不必要に増すことなく線膨張の大きな変位にも対応できる補正を行なうことができる。
請求項に記載の発明によれば、温度変化によるギア膨張(又は収縮)があっても、補正により適正なギアピッチ間距離を確保することができ、常に適切な噛合い状態を維持し、安定した駆動伝達を実現することができる。
請求項に記載の発明によれば、新たな回転係合部材を設けることなく、構成を低製造コストで簡易にすることができる。
請求項に記載の発明によれば、部品精度にバラツキがあっても第4部材のモータの回転軸と第3部材の回転軸との軸間距離を最適に保つことができる。
請求項に記載の発明によれば、回転中心のガタを除くことができ、歯車のギアピッチ間距離を高精度に保つことができる。
請求項に記載の発明によれば、歯車の一周で感光体ドラムを1回転させるときに、感光体ドラムの一周と歯車の位相が一致するようになるので、感光体ドラムの回転を制御する制御回路を簡易かつ高精度に構成できる。
請求項に記載の発明によれば、簡単な構成で第4 部材を片側に変位させることができるうえに、第2部材の変位を嵌合ガタで吸収することが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、第4部材にモータなどの駆動源が設けられていても、駆動源からの振動によるがたつきを抑えることができ、安定した駆動伝達が行える。
請求項に記載の発明によれば、数歯の同時噛合いが行われ噛合いバラツキが平均化されるので、一層速度変動の少ないスムーズな回転伝達が行える。
請求項10に記載の発明によれば、請求項のいずれかの一項に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
以下、本発明を実施するための最良の一形態について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置101の概略構成の説明図である。画像形成装置101は、電子写真方式でカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置である。
すなわち、画像形成装置101は、それぞれY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)のトナー画像をそれぞれの感光体ドラム102Y,102M,102C,102Kに形成する複数の画像形成ユニット103Y,103M,103C,103Kが配列され、各画像形成ユニット103Y,103M,103C,103Kで形成されたY,M,C,Kのトナー画像は、中間転写ベルト104に重ね合わせて転写され、この重ね合わされたカラー画像が2次転写ローラ105で用紙に転写される。
図2は、感光体ドラム102Y,102M,102C,102Kの動力伝達機構の概要の説明図である。大口径ギア3Y,3M,3C,3Kは、それぞれ感光体ドラム102Y,102M,102C,102Kを回転駆動させるためのギアである。駆動モータ1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ大口径ギア3Y,3M,3C,3Kを介して感光体ドラム102Y,102M,102C,102Kを回転駆動する駆動源となる。
デジタル複写機、レーザプリンタなどの画像形成機器に利用される動力伝達機構において、歯車噛合い周期の回転ムラが画像に及ぼす影響を抑えるために、大径小モジュールのギアを用いた減速系を用いた例がある。
本発明者の行った歯形大きさ(モジュール)とバンディング発生量(ライン画像を印刷したとき微少振動等の速度変動要因に起因する線ピッチ、線幅の変動)には、伝達系振動に関連があり、パネラー試験の結果から歯車のモジュール0.2以下で描かれる画像のジターに対する満足度には、80パーセントの人が満足するという評価試験結果を得た。さらに、歯形をハス歯にすることで、数歯の同時噛合いが行われ噛合いバラツキが平均化されるので、より一層速度変動の少ないスムーズな回転伝達が行えるようになる。
以上から0.2以下の極小モジュールのハス歯駆動伝達がバンディング低減には有効な手段となる。ただし、半径100mm程度の歯車において、モジュール0.5程度までの小モジュール歯車の使用では熱膨張の影響は比較的少なかったが、モジュール0.2以下の小モジュールにおいては、熱膨張の影響が無視できなくなる。直径100mm程度の大径ギアをポリアセタール材料で成型した場合、使用環境温度が0℃〜50℃として50degの変動幅をもつものとすると、“線膨張係数×半径長さ×温度幅=8.5×10−5×50×50=0.21mm”の範囲で収縮変動が起こる計算になる。モジュール0.1の平歯車の全歯たけ寸法は0.23mm程度であり、自然状態でも噛み合いはずれが起こってしまうことになる。
以下では、本実施形態の感光体ドラム102Y,102M,102C,102Kを回転駆動する動力伝達機構について詳細に説明する。なお、以下の説明では、大口径ギア3で大口径ギア3Y,3M,3C,3Kを代表し、駆動モータ1で駆動モータ1Y,1M,1C,1Kを代表して説明する。
図3は、前述の動力伝達機構の詳細な機構図であり、上記熱膨張による軸間距離の変動を補正する例を説明するものである。図3に示すように、この動力伝達機構では、駆動モータ1に圧入される(または駆動モータ1のモータ軸にギア切削される)ピニオン2に、100mm程度の従動(大径)ギア3が噛み合うように連結される。ギア3は、モジュール0.5以下(0より大きい)である。駆動モータ1はねじ4によってモータブラケット5に締結固定される。モータブラケット5は、回転係合部6を中心に回転可能に係合され、回転係合部6は図3(b)の部分断面図である図4に示すような駆動ユニットブラケット10の切り曲げによる円筒凸形状とアーム7に設けた穴との嵌合で形成され、新たな回転係合部材を設けることなく、構成を安価で簡単にできる。
モータブラケット5には、アーム7が駆動モータ1と回転係合部6との間に設けた回転中心8において回転可能に係合されている。この回転係合部にも上記切り曲げと穴との嵌合が適用できる。アーム7の他端側はねじ9によって駆動ユニットブラケット10に固定される。駆動ユニットブラケット10は本体構造体11にねじ12で締結され、駆動ユニットブラケット10に設けたベアリング13を介して回転可能に係合する従動(大径)ギア3は、その回転中心に一体の軸14から延長方向の(図示しないカップリング等を介して)感光体ドラム102Y,102M,102C又は102Kへ連結される。モータブラケット5の材質は剛性が高くて安価な亜鉛処理鋼板、アーム7には軽くて安価、かつ線膨張係数の高いアルミニウム材が用いられる。
例えば、使用環境温度が50deg上昇した場合、ピニオンギア2と従動ギア3(第3部材)(直径100mm)との軸間距離Xは、“X=線膨張係数(POM)×半径×温度=8.5×10−5×50×50=0.21mm”だけ伸びる。ピニオンギア2に関しては鉄または銅系の材質で線膨張係数が低く、かつ径も小さいので無視する。
このように50degの温度上昇があると、アルミニウム材のアーム7(第2部材)と同時に駆動ユニットブラケット10(第1部材)も一様に伸びる。アルミニウムの線膨張係数は2.3×10−5、駆動ユニットブラケット10を構成する亜鉛処理鋼板は約1.2×10−5なので、その差分が変位として現れ、図3において、“変位=1.1×10−5×A×50(deg)(A:アーム7長)”だけ回転中心8が左方向に移動する。
この変位によってモータブラケット5は、図3(a)中、反時計回りに回転係合部6を中心に回転する。同時にモータ回転軸15も左方向に回動するが、この変位量は、アーム比C/B(C:回転中心6,15間距離、B:回転中心6,8間距離)を掛け合わすことで概算でき、モータ回転軸15の変位Yは、“Y=C/B×1.1×10−5×A×50”と表される。
本実施形態は、前述のXとYの両者の値をほぼ同等にすることを目的としているので、“8.5/1.1=C/B×A/50”なる関係でアーム比C/B及びアーム7長Aを設定すればよい。例えば、アーム7長Aが80mm程度の場合、アーム比B:Cを1:5なる位置に設ければ良いことになる。
本例では、ギア2,3間の軸2,14間距離精度を確保するために、図5に示すように、ギアピッチ調整治具20を用いて2軸2,14間の距離を調整した上でねじ9を締結してモータブラケット5を固定させる。調整代のためにアーム7のねじ穴を長穴16としている。アーム7はねじ9で締結することで回転できなくなる。例えば、上記のように50degの温度上昇があった場合、アーム7長Aが80mm程度であると、図4のように0.044mmの変位が水平方向左に生じるが、これによって必要とされるアーム長は15.000064mmと元の長さ15mmに対して0.06ミクロン増加とごく微少である。これは回転中心8又は6の嵌合ガタ(隙間:5ミクロン程度)で十分吸収できることから回転に支障をきたすようなことはない。むしろこの嵌勘合ガタがアーム比で増加して駆動モータ1の中心に現れ、悪影響を及ぼす。このため、スプリング17(弾性部材)を設け、モータブラケット5に常に軽負荷を与えることで勘合ガタを抑えている。
なお、本例では、駆動モータ1をモータブラケット5(第4部材)と一緒に回転可能にして、連結されるアーム比B:Cで温度変化に応じた移動量(=補正量)を増加させる方式について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図6のように異なる線膨張係数の組み合わせと部材長の整合のみで、駆動モータ1本体を、回転中心6を中心として回転可能とるす連結機構はなくても上記補正を行うことができる。
この場合、ギア3の熱膨張と同じ変位を得るため、アーム21(第2部材)と駆動ユニットブラケット10(第1部材)とは、互いに線膨張係数が大きく異なる部材を選定すると共に、アーム21をなるべく長く取る必要がある。図6の例では、ねじ22で締結されるアーム21の一端が従動(大径)ギア3(第3部材)の外縁付近まで延びている。この程度であれば、動力伝達機構全体が大きくならない。アーム21の軸中央部には従動(大径)ギア3の回転軸14及び軸受けを避ける逃げ穴23が設けられていて、アーム21は駆動ユニットブラケット10に接触しながら温度変化に応じて伸縮する。
以上の各構成では、いずれもアーム7,21の一端をねじで締結して、他端側を伸縮させることで温度補正できる変位を得ているが、変位する側には「浮き」が生じやすく、この近傍に駆動モータ1が締結されるので、振動発生源となりやすい。このため、浮きや振動を防止する目的で図7に示す段付ねじ25を変位する側に設けるのが望ましい。段付ねじ25の円筒部の幅tは、図3のアーム7や図6のアーム21の厚みより若干大きく加工する。段付ねじ25とアーム7,21との間には弾性部材(好適にはゴム等)26を介装して、振動によるがたつきを抑える。
本発明の一実施の形態である画像形成装置の概略構成を示す説明図である。 画像形成装置に用いられる動力伝達機構の概略構成の説明図である。 動力伝達機構の詳細の機構図である。 動力伝達機構の動作の説明図である。 動力伝達機構の他の構成例の機構図である。 動力伝達機構の他の構成例の機構図である。 段付ねじの説明図である。
符号の説明
1 モータ
2 ピニオン
3 第3部材
5 第4部材
7 第2部材
10 第1部材
17 弾性部材
21 第2部材

Claims (10)

  1. 第1部材と第3部材との間に第2部材を介装して互いに連結された連結機構で構成され、
    前記第1部材と前記第2部材と前記第3部材とは、その部材長および線膨張係数が互いに異なり、
    温度変化により生じる、前記第3部材の熱膨張による変位Aと、前記第1部材と前記第2部材との熱膨張差に起因する変位Bと、を略同等とし、前記変位Bを用いて、前記第3部材を従動させる部材を変位させて、
    前記第3部材の熱膨張による前記変位Aを補正し、
    前記第1及び第2部材は第4部材を介して前記第3部材に連結していて、前記第4部材は所定の回転中心を中心に回転し、前記回転中心からのアーム比によって前記変位Bを増大させることを特徴とする動力伝達機構。
  2. 前記第3部材は、モジュール0.5以下で0より大きいギアであり、前記第4部材は、回転軸に前記第3部材を従動させるピニオンが取り付けられたモータが設けられていることを特徴とする請求項に記載の動力伝達機構。
  3. 前記回転中心は部材の変形と穴の嵌合とにより構成されていることを特徴とする請求項に記載の動力伝達機構。
  4. 前記第1部材は、前記第2部材と前記第4部材とを位置決めして前記第2部材に締結されることを特徴とする請求項に記載の動力伝達機構。
  5. 前記第4部材を一定方向に付勢する弾性部材を備え、当該付勢により前記第4部材により一定方向の回転負荷を与えることを特徴とする請求項記載の動力伝達機構。
  6. 前記第3部材のギア比が整数倍となるよう大小ギアの歯数が設定されていることを特徴とする請求項に記載の動力伝達機構。
  7. 前記第1部材と前記第2部材とは締結されていることを特徴とする請求項に記載の動
    力伝達機構。
  8. 前記第2部材には、浮き上がり防止の規制部材が設けられていることを特徴とする請求項に記載の動力伝達機構。
  9. 前記第3部材は、ハス歯形状のギアであることを特徴とする請求項に記載の動力伝達機構。
  10. 請求項のいずれかの一項に記載の動力伝達機構を備え、前記第4部材に設けられた駆動モータを駆動源として前記第3部材であるギアを回転して当該ギアと同軸で設けられた感光体ドラムを回転駆動することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置。
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