JP4795280B2 - 連続式降下粉塵計測装置および連続式降下粉塵計測方法 - Google Patents
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Description
第1発明は、上方に向けた開口を有すると共に、下端が気流路と接続されている、ろうと状の粒子採取口と、前記粒子採口内に存在する大気中粒子を大気と共に前記粒子採取口の下端から前記気流路を通して吸引するためのブロワ又は圧縮機と、前記粒子採取口の後段に設けられ、前記粒子採取口から吸引された前記大気中粒子を粗大粒子と微小粒子に分ける分級器であって、該分級器が比重1の球形粒子に換算して直径4〜7μmを分級境界とする分級器である少なくとも1台と、前記分級器の後段に並列に設けられ、前記分級後の粗大粒子と微小粒子をそれぞれ、一定時間ごとに捕集面が更新されるテープ状又はカートリッジ交換式の捕集フィルタに捕集して、当該捕集されたそれぞれの粒子の質量を質量測定器によって連続計測し、前記分級後の粗大粒子と微小粒子それぞれにおける質量総量の時間変化を計測する、又は更に、前記計測された粗大粒子と微小粒子それぞれの質量総量の時間変化から前記粗大粒子の粉塵降下速度及び前記微小粒子の大気中濃度を算出する、前記粗大粒子計測部及び微小粒子計測部と、前記計測部の後段に設けられ、前記捕集フィルタに捕集されなかった粒子を前記計測後の吸引された大気から除塵する除塵フィルタと、前記粒子採取口、前記分級器、前記粗大粒子計測部及び微小粒子計測部、及び前記除塵フィルタを、この順番に接続し、前記吸引された大気を順次通す気流路と、前記除塵後の大気を前記粒子採取口内に排気する循環気流路と、前記気流路又は前記循環気流路の流路中に設けられたブロワ又は圧縮機と、前記粗大粒子計測部及び前記微小粒子計測部を通過する気流量をそれぞれ所定の値に制御する流量制御装置と、前記粒子採取口の入口に、前記粒子採取口の入口面と垂直方向に間隔を置いて複数設置する、前記粒子採取口の入口面と垂直方向に通気抵抗を発生させる気流抵抗体と、前記分級器のうち少なくとも1台の前記微小粒子に分けられた後段、且つ前記微小粒子計測部の前段の位置から、前記粗大粒子計測部及び微小粒子計測部の後段、且つ前記除塵フィルタ前段の位置まで、前記微小粒子を含む吸引された大気の一部を流通させるバイパス気流路とを備えていることを特徴とする連続式降下粉塵計測装置である。
第2発明は、前記テープ状の捕集フィルタ上に捕集された粗大粒子を前記捕集フィルタとともに撮影するカメラを有すると共に、当該撮影された画像を画像処理して前記粗大粒子の粒径分布を測定する画像処理装置を有することを特徴とする第1発明に記載の連続式降下粉塵計測装置である。
第3発明は、前記カメラの撮影面となる前記捕集フィルタは、前記捕集フィルタに付着した粗大粒子の上から透明な保護フィルムで覆われていることを特徴とする第2発明に記載の連続式降下粉塵計測装置である。
第4発明は、前記粒子採取口の入口近傍の外周に、前記粒子採取口の半径方向外側に突出した水平な導流板を有することを特徴とする第1〜3発明のいずれか1つに記載の連続式降下粉塵計測装置である。
第5発明は、前記粒子採取口に、粒子採取口内面の付着粒子を除去するための加振機、ブラシ、又は気流吹き付け装置のうち1種または2種以上の組み合わせを備えることを特徴とする第1〜4発明のいずれか1つに記載の連続式降下粉塵計測装置である。
第6発明は、前記粒子採取口には、その内面を加熱する加熱器を有することを特徴とする第1〜5発明のいずれか1つに記載の連続式降下粉塵計測装置である。
第7発明は、前記粒子採取口の開口部と、前記粒子採取口の下端から吸気された大気が最初に到達する前記分級器との間に備えられ、かつ、前記粒子採取口の下端へ向かって吸引される前記粒子を含む大気の水平旋回流成分を抑制可能な水平旋回流抑制器を備えることを特徴とする第1〜6発明のいずれか1つに記載の連続式降下粉塵計測装置である。
第8発明は、第1〜7発明のいずれか1つに記載の連続式降下粉塵計測装置を用いた連続式降下粉塵計測方法であって、前記粒子採取口から大気とともに採取された粒子を、前記分級器にて大気中を自由落下しうる粗大粒子とそれ以外の微小粒子に分級した後、前記分級された2種類の粒子の一部または全部を前記一定時間ごとにテープ状又はカートリッジ交換式の捕集フィルタの異なる部位に捕集し、更に、前記粗大粒子と前記微小粒子それぞれの粒子総質量推移を、それぞれ独立した質量測定器によって計測して、前記粗大粒子の粉塵降下速度及び前記微小粒子の大気中濃度を算出することを特徴とする連続式降下粉塵計測方法である。
第9発明は、第1又は第7発明に記載の連続式降下粉塵計測装置を用いた連続式降下粉塵計測方法であって、前記循環気流路の出口から、前記粒子採取口内面に沿って、前記除塵フィルタで除塵された大気を噴射するとともに、前記粒子採取口内面の全域において、大気中で自由落下しうる粗大粒子の発塵風速以上になるように前記噴射する大気の吐出流量を調整することを特徴とする連続式降下粉塵計測方法である。
以下、第1発明の一実施形態について説明する。
(装置構成)
次に、図6を用いて第1発明における装置構成を説明する。大気に対して、上方に開放した円錐ろうと状の粒子採取口1を通じて大気中流れとともに降下粉塵が計測装置内に進入する。装置内には、循環気流路11、粗大粒子用分岐気流路12、並びに、微小粒子用分岐気流路13が設置され、循環気流路の途中に配置されたブロワまたは圧縮機6によって、粒子採取口下端からブロワまたは圧縮機方向に循環気流が形成・維持される。粒子採取口1の入口付近には、循環気流路11が合流し、粒子採取口内に循環流を排気するので粒子採取口と外気間での流量は、平均的に零となる。粒子の自由落下、または、粒子採取口内下端からの吸気によって粒子採取口に進入した粒子の一部は、気流路2に進入する。気流路内の粉塵粒子は、気流によって分級器8に流入する。分級器の内部で粉塵は分級され、大気中で自由落下しうる粗大粒子(即ち、降下粉塵)を主として含む気流と、それ以外の微小粒子のみを含む気流に分流されて、それぞれ、粗大粒子用分岐気流路12及び微小粒子用分岐気流路13に分かれて分級器から流出する。粗大粒子用分岐気流路12は、粗大粒子計測部20に進入する。粗大粒子計測部内では、粒子を含む気流は、質量測定器4に流入する。粉塵粒子はこの測定器内の捕集フィルタ5上に捕集され、大気は捕集フィルタを通過してこの測定器から流出する。捕集フィルタに捕集された全粉塵粒子は、粒子捕集中に連続的に質量測定がなされる。この粒子質量測定値を、試料採取時間、並びに、数値流体解析や実測によって求めた粒子採取口内速度分布を用いて推定した仮想吸着面積で除することにより、降下粉塵の粉塵降下速度を算出できる。捕集フィルタは巻取りテープ式になっており、捕集フィルタ交換装置14によって一定時間ごとにテープを巻き取ることによって、新しいフィルタ部位と自動的に交換される。尚、捕集フィルタの全長が短い場合には、フィルタを巻き取る必要は特段なく、平坦なテープ状のまま、平面的にフィルタを移動させる回収装置によって回収してもよい。分級器の特性を安定化させるため、捕集フィルタを通過した大気は、流量制御装置9によって、作業中、常に一定流量になるように調整されている。同様の構造と手順により、微小粒子用分岐気流路気流中の微小粒子は、微小粒子計測部21に進入して、その質量推移が連続的に計測される。微小粒子の場合、降下粉塵速度は定義が困難なので、SPM計等と同様に、採取された粉塵量を粒子採取口下端で吸引した大気流量で除して大気中の粒子濃度に換算する。流量制御装置9の下流で、微小粒子用分岐気流路と粗大粒子用分岐気流路は合流して主循環気流路11に接続する。循環気流路11から粒子採取口内に吐出される大気は含有粒子の点で清浄でなければならないので、主循環気流路中11に除塵フィルタ10を設置する。循環流の粒子採取口への吐出は、従来の連続粉塵計測装置でのものと同様に、粉塵粒子採取口入口直下で全周均一に粒子採取口下端方向に粒子採取口内面に沿ってなされるようにすることが望ましい。尚、第1発明の装置に関わる一切の装置の設定・制御、並びに、測定値の記録・保存は、図示しない演算装置によって自動的に、または、この演算装置を外部から操作して、実施される。尚、採取された粗大粒子の質量測定値から粉塵降下速度を算出する装置、並びに、採取された微小粒子の質量測定値から大気中粒子濃度を算出する装置は、必ずしも計測装置内に存在しなくてもよい。この演算装置が計測装置外にある場合、計測装置内で測定された質量測定値を外部の演算装置にデータを移動させ、外部の演算装置で粉塵降下速度や大気中粒子濃度を算出すればよい。この方法の利点は、計測装置ごとに演算装置をもつ必要がないため、装置が小型化することである。データの移動方法は、通信線を用いてもよいし、計測装置内にリムーバブルハードディスク等の記録装置を設置して、記録装置を物理的に輸送して行ってもよい。また、本発明は、粉塵降下速度を高い分解能で正確に測定できることに特徴があるが、微小粒子を同時に測定すべき特段の必要性がない場合には、微小粒子計測部を省略して単なる気流路とし、設備費を低減させてもよい。
降下粉塵採取量は、仮想吸着面面積に比例し、仮想吸着面面積は粒子採取口入口断面積以上にはなりえないので、粉塵粒子採取量を増大させて粒子質量測定のSN比を向上させる観点から、粒子採取口の面積は、大きいことが有利である。少なくとも、公的な長期降下粉塵捕集器であり、かつ、本質的にデポジットゲージと同一原理の測定器である米国式ダストジャーの直径110mm以上であることが望ましく、より望ましくは、長期間の降下粉塵採取を前提とした、デポジットゲージでの粒子採取口直径300mm(英国規格)以上とすることができる。また、降下粒子採取口が極端に大きい場合、粒子採取口への粉塵付着の悪影響の回避が困難になるので、粒子採取口直径は、直径1000mm以下にできる。但し、前述の様に、単に粒子採取口入口面積を拡大しただけでは粉塵採取量を増大させることはできず、循環(吸引)流量の増大による仮想吸着面の上昇と組み合わせて適用されるべきである。
図6の分級器8における分級境界について述べる。大気中で自由落下しうる大きさの粒子は、比重1の粒子に換算して直径4μm〜7μm以上である。従って、この範囲に分級境界を設定することが降下粉塵を選択的に採取する上で望ましい。また、分級された残りの微小粒子は、健康影響が大きいといわれる、SPMとPM2.5の中間的な大きさ定義の粒子である。従って、この分級された微小粒子は、これら健康影響に関する指標と密接な関係が存在することが期待され、大気質評価の重要な指標になりうるので、微小粒子を捕集して質量測定することには大きな意義がある。尚、既存の装置、例えばSPM計やPM2.5計との共用性を重視して、粗大粒子が直径10μm以上、または、PM2.5の上限直径以上(法的規準は存在しないが、概ね、直径3μmに相当する場合が多い)となるように分級境界を設定することも原理的には可能である。但し、この場合には採取された粗大粒子が降下粉塵の直径範囲(4μm〜7μm以上)とは一致しなくなるので、測定精度をかなり犠牲にしなければならず、用途が限られる。
粉塵のβ線吸収式の質量測定においては、正確な計測のために、試料が十分に乾燥している必要がある。また、短時間周期の計測を行うためには、装置内に次々と供給される粉塵を迅速にβ線吸収式質量測定器に送り込む必要がある。さらに、大気中でほとんど自由落下しない微小粒子をも分級する必要がある。さらに、粉塵中に含まれる数百μm程度の粗大粒子を分級することも必要である。静電集塵や湿式分級は代表的な分級方法であるが、この様な目的には適さない。大気中粉塵の分級には、乾式で、粒子サイズによらずに処理速度の高い、慣性式分級器、または、遠心式分級器を使用すべきである。
質量測定方式は、望ましくは、連続的な測定に適した、市販のβ線吸収式を用いることができる。原理的に同様のγ線吸収式質量測定器やX線吸収式質量測定器を用いることもできる。さらに、市販の振動素子式マイクロ天秤型質量測定器も適用することができる。
β線吸収式質量測定器及び同種の原理による質量測定器の場合、テープ状の捕集フィルタを用いることができる。捕集フィルタの交換には、テープ状の連続式捕集フィルタのロールを送り出して新たな捕集フィルタをこの測定器内に送り込むと同時に、測定済みの捕集フィルタを、駆動装置によって連続的にロール状に巻き取って回収する捕集フィルタ交換装置14を用いることができる。捕集フィルタは、粗大粒子計測部と微小粒子計測部でそれぞれ別のテープ状補集フィルタを用いてもよいし、テープ状捕集フィルタ及び捕集フィルタ交換装置を共用して、粗大粒子と微小粒子の捕集及び質量測定を同一テープ状捕集フィルタ上の異なる部位において同時に行ってもよい。捕集フィルタの材質は、粉塵の検出精度に与える影響を抑制するため、軽量で質量変化の少ないものが望ましい。この観点から、薄膜化が可能で、吸湿性の少ない、フッ素樹脂性の多孔テープを捕集フィルタに用いることができる。また、安価なテープとして、グラスファイバ製のテープ状捕集フィルタを用いることもできる。
除塵フィルタは測定に用いられるわけではないので、余裕をもった大きな容量のものを用いることができ、定期的に除塵フィルタの交換さえ行えば、目詰まり等による作業の停止を招くことはない。フィルタ材質としては、一般的なグラスファイバ製のものや、市販のセラミックフィルタ等を用いることができる。また、フィルタを直列多段に結合して、除塵能力の向上を図ってもよい。
これらの装置は、従来技術のものをそのまま流用することができる。尚、流量制御装置とは、例えば、体積型流量計等の流量測定装置(または、流量を算出可能な流速測定装置や圧力測定装置)、バタフライ弁等の流量調整弁とそのアクチュエータ、並びに、制御演算装置等から構成され、気流路内の気流が、常時、所定の流量となるように流量調整弁の開度を調整するものを使用することができる。
粉塵の付着を抑制することが望ましいので、内面をステンレス鋼製、クロムめっきや亜鉛めっき等のめっき鋼製、アルミニウム製、アルミニウム合金製、マグネシム合金製、チタン合金製、または、フッ素樹脂コーティングした管を使用することができる。
以下、第2発明の一実施形態について説明する。
(装置構成)
本発明は、捕集フィルタの更新の度にオンラインで画像処理粒径計測を行うオンライン法と、捕集フィルタの全ての更新が終了した後、フィルタ全体を測定器外に取り出して、フィルタを巻き戻しながら画像処理粒径計測を行うオフライン法のいずれかが可能である。オンライン法の装置構成を図9に示す。粗大粒子計測部20にカメラ24及び適切な画像範囲を撮影するための光学顕微鏡26を設置し、粒子捕集と質量測定が終了してフィルタの新しい部分と交換された捕集フィルタ上の単一の粗大粒子捕集済み部位全域を、光学顕微鏡を通して静止画像をカメラによって撮影する。カメラには、CCDカメラやCMOSカメラ等を用いることができる。静止画像を出力できる動画撮影装置を撮影に用いてもよい。撮影の際には撮影箇所が適切な光量になるように光源34により撮影箇所を照射する。光源には、タングステン白熱灯、蛍光灯、LED、ハロゲンランプ、水銀ランプ等を用いることができる。撮影された画像データは、画像処理演算装置19に伝送され、個別粒子の識別及び粒子径分布の計算処理を行った後、計算結果を計算データ保存装置25に保存する。保存されたデータは、必要に応じて、計測器外に取り出される。カメラの撮影タイミングは、フィルタ送り装置14からの起動信号をカメラが受信して、捕集フィルタ交換時のフィルタ送りのタイミングに連動させることができる。画像サイズの必要性に応じて、光学顕微鏡を省略することができる。画像処理演算装置や計算データの保存装置は市販のものを用いることができる。画像処理は、粒子画像撮影ごとに実施してもよいし、撮影画像を保存しておき、特定時期に、複数画像をまとめて画像処理してもよい。オンライン法の利点は、質量測定終了後、即時に粒径分布情報を得られうることである。
採取された粒子の粒径分布算出には、一般的な画像処理粒子計測手法を用いることができる。例えば、まず、撮影画像を高輝度と低輝度に二値化する。次に、低輝度部分の連続した画素部分を識別してこれを個別の粒子とみなす(粒子が低輝度、フィルタ素地が高輝度の場合)。さらに、個別粒子部位の画素数の合計を粒子断面積に対応するものとみなし、その粒子断面積と同一面積の円に相当する直径をこの粒子の直径とみなして粒子直径を求める。この処理を全ての識別粒子に対して実施した後、全粒子の粒径分布を求めればよい。
以下、第3発明の一実施形態について説明する。
(装置構成)
図15を用いて装置構成を説明する。透明な保護フィルムを用い、この保護フィルムは、保護フィルムロール15に予め加工され、必要量の保護フィルム16だけが、適宜、保護フィルムロールから引き出されて粗大粒子計測部20に進入する。保護フィルムの先端は、捕集フィルタ送り装置14の巻き取りロール上の捕集フィルタ表面に予め固定しておき、捕集フィルタ送り装置の駆動による巻き取りロールの回転によって、保護フィルムロールからテープ状の保護フィルムが引き出される。引き出された保護フィルムは、ガイドロール17に導かれて質量測定の終了した捕集フィルタ表面に接触して捕集フィルタを覆い、捕集フィルタ表面を保護しつつ、捕集フィルタとともに巻き取りロールに巻き取られる。保護フィルムロールにはバネ構造や回転軸の回転抵抗体等のバックテンションを付与する機構として、保護フィルム送り出し時にフィルムのたるみが生じないようにする。
保護フィルムの材質として、粒子への汚染がなく、透明性が高く、かつ、巻き取り、巻き戻しに耐える弾性、延性を有するものであればどのようなものであってもよい。但し、望ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリルニトリル・スチレン、ポリメチルメタアクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、または、ポリ塩化ビニリデンを用いることができる。また、一般には不透明とみなされる物質でも、薄膜化により半透明化するものであれば、薄膜状態で使用することができる。
以下、第1発明の一実施形態について説明する。
(通気抵抗体)
通気抵抗体は、粒子採取口に落下する降下粉塵の進入を妨げない様に、上方に開口を有し、かつ、通気抵抗体通過中に粉塵粒子が滞留・付着する部位の極力少ない構造でなければならない。また、風向による粒子採取特性の変動を生じないように、軸対象構造であることも必要である。また、当然のことながら、通過する気流に対して有意な通気抵抗を示さなければならない。この様な観点から、望ましくは開口の比較的小さい網を用いることができる。同様の観点から、微小な孔を多数穿孔した金属板や、薄い板状に加工した微細ハニカム構造体も使用することができる。
風向による粒子採取特性の変動を防ぐ観点から、通気抵抗体の主要通気面(網面)は、粒子採取口入口と平行方向に設置することができる。通気抵抗体は、粒子採取口入口垂直方向に複数設置されるが、その最外側と最内側のものの間隔は、少なくとも、粒子採取口入口直径の1/3以上であることが望ましい。本発明者の調査の結果、これ以下の間隔で設置した場合、複数の通気抵抗体が存在しても、実質的に大きな通気抵抗を有する単独の抵抗体が存在するのと同様の効果しか示さないからである。この様な単独に設置された通気抵抗体で仮想吸着面上昇効果の低いことは前述の通りである。これは、通気抵抗体を通過した高速気流が駆動力方向に転進するためには、一定の距離が必要であり、通気抵抗体間隔が過小な場合、最初の通気抵抗体を通過した高速気流は、駆動力方向への転進が十分なされる前に次の通気抵抗体を通過してしまうため、全体として、あたかも単独の通気抵抗体のように振舞うからである。通気抵抗体の最外側と最内側のものの間隔の原理的な上限は特にない。しかし、極端に大きな間隔の場合、装置が大型化して不経済であり、かつ、外気と粒子採取口下端との距離が大きくなって外気粒子濃度変化への計測の追従性が低下する問題があるので、通気抵抗体の最外側と最内側のものの間隔は、粒子採取口直径の3倍以下とすることができる。尚、最外側とは、最も粒子採取口入口に近いものを指し、最内側とは、最も粒子採取口入口から遠い、即ち、粒子採取口下端に最も近いものを指す。
以下、第4発明の一実施形態について説明する。
(装置構成)
図13を用いて装置構成を説明する。粒子採取口入口近傍の外周に、粒子採取口の半径方向外側に幅を有する水平な導流板27を設置する。設置高さは、望ましくは、粒子採取口入口高さ面よりも5mmから20mm下側にすることができる。これは、導流板上を大気風が通過する際、導流板上で境界層が発達しすることによって導流板直上で(導流板が無い場合に粒子採取口自身の空気力学的抵抗により発生する外気流の上昇流に比べて)弱い上昇流が生じるため、この上昇流の顕著な領域、即ち、導流板表面から5mmから20mmの範囲を除外した大気流れを粒子採取口入口上に流すことが粒子流入効率を向上させるために効果的だからである。但し、施工上の便宜のため、これより高い位置に導流板を設置した場合でも、粒子流入効率向上に一定の効果を与えることができる。
導流板の材質は構造体として機能する剛性を有し、かつ、屋外での使用に耐える材質であればどの様なものでよい。金属、木材、合成樹脂等を使用することができる。導流板の厚さは導流板自身の空気力学的抵抗を減少させる観点から薄いことが望ましい。望ましくは、0.1mmから5mm程度のものを使用することができる。薄い導流板を使用する場合には、外気流によって導流板の自励振動が発生して粒子採取特性や装置耐久性に悪影響を与えうるので、導流板の下面に適宜、支柱を設けて導流板を支えることができる。さらに、導流板の外周部に、空気力学的抵抗を減少させる様、鋭角に加工したものを使用することができる。導流板の幅(導流板外径と内径の差の半分)は、望ましくは50mm以上とすることができる。本発明者の調査の結果、これ以下の幅の場合、粒子採取口の空気力学的抵抗によって粒子採取口前縁部近傍に生成しうる外気の上昇気流を、導流板が抑制することができず、導流板と粒子採取口が一体として空気力学的抵抗として作用し、導流板前縁で外気流が剥離して強い上昇気流が生じてしまうからである。導流板の幅が50mm以上の場合、導流板前縁では外気流の剥離は生じず、粒子採取口本体とは無関係に上流からの外気流を水平面に固定する作用を発揮することができる。このとき、粒子採取口によって排除された気流は、上方ではなく、水平面方向に導かれる。この様に、導流板の幅50mmを境にして、粒子採取口近傍での流れ場の様式が変化する。
以下、第5発明の一実施形態について説明する。
(装置構成)
粒子採取口内面での粒子の付着を防止する、または、一旦、付着した粒子を除去させる能力を有し、かつ、計測に悪影響を与えないものであれば、本来、どの様な付着粒子除去機構でも採用することができる。但し、除去した粒子を系外に排出してしまうと粒子捕集効率が低下するので、一旦、粒子採取口内面から除去された粒子が採取口内の大気中に再び放出されて採取口の下端から質量測定器側に吸引されることが望ましい。図19に示した付着粒子除去装置では、粒子採取口外面に加振機39を設け、これを定期的に作動させることによって、粒子採取口内面に付着した粒子を内面から除去する。加振機には、市販のノッカや偏心モータ型加振機を用いることができる。ノッカを使用する場合、望ましくは、0.1〜100回/秒の頻度で加振することができる。
以下、第6発明の一実施形態について説明する。
(装置構成)
図14を用いて装置構成を説明する。粉塵粒子採取口内面の裏面全体に電気抵抗式ヒータ等の加熱器28を貼り付け、この加熱器によって、粒子採取口内面を加熱する。粒子採取口内面の温度を、粒子採取口内面に取り付けた熱電対等の粒子採取口内面温度計29によって計測するとともに、外気温度を同様の機構の外気温度計30によって計測する。計測された粒子採取口内面温度が外気温度計測値よりも10℃以上高温を維持するように、温度制御装置31は、PID制御法などを用いて加熱器加熱量を制御する。他の加熱方式として、粒子採取口内面又は外面に赤外線ヒータを設置し、この加熱出力を制御することによって、所定温度に粒子採取口を放射加熱してもよい。また、粒子採取口を電気伝導体又は半導体で構成し、粒子採取口に直接通電して加熱を行ってもよい。さらに、粒子採取口の周囲に熱水管又は熱風管を接触させ、作動流体の温度と流量を制御することによって粒子採取口加熱してもよい。粒子採取口外面にバーナーを設けて粒子採取口を直火加熱を行うこともできる。粒子採取口内面温度の上限は、装置の熱耐久性や加熱のための費用を総合的に判断してエンジニアリング的に定めるべきであるが、望ましくは、計測地点での年間最高気温平年値+15℃を上限温度とすることができる。また、設備費用を節約するために、加熱器の加熱量制御機構を省略することができる。この場合には、外気温度+10℃よりも粒子採取口内面温度が常に高温になる加熱量を予め求めておいて、常にその加熱量で加熱を行うことができる。この場合、粒子採取口内面温度は、平均的に外気温度+10℃よりも遥かに高温の設定にならざるをえない。
以下、第1発明の一実施形態について説明する。
(装置構成)
図16を用いて装置構成を説明する。基本的な構成は、図6の装置にバイパス気流路33を追加したものである。バイパス気流路33は、分級器と微小粒子計測部21の中間に存在する分流器32によって微小粒子用分岐気流路13に接続し、微小粒子計測部21の下流で循環流路に合流する。分流器は、異径T字管等を適用することができる。
捕集フィルタへの負荷を減らすため、捕集フィルタを通過する循環気流路12,13には、従来装置並みの1Nm3/時間程度の流量とすることができる。残りの気流量は、バイパス気流路33を通過させればよい。
以下、第7発明の一実施形態について説明する。
図6の装置に水平旋回流抑制器38を付加した装置を示す図18を用いて第7発明を説明する。水平旋回流抑制器は、外気流れを阻害しないように粒子採取口の入口よりも下方に設置すべきであり、大気中粒子の分級特性に悪影響を与えないように全ての分粒器よりも上方に設置すべきである。
以下、第8発明の一実施形態について説明する。
最良の形態である前述第1発明の装置を用いて、大気中の降下粉塵の粉塵降下速度と微小粒子の大気中濃度を高い時間分解能で正確に測定することができる。
以下、第9発明の一実施形態について説明する。
図16の装置を用いて説明する。装置構成と基本的な計測方法は、第1発明の説明で述べたとおりである。この装置を用いることによって、計測装置内の循環気流量を従来技術でのものに比べて数倍以上に増大できる。循環流量を増大させることによって、粒子採取口内への吐出気流速度を従来から大幅にさせ、吐出口から遠い粒子採取口内面上の部位でも付着粒子の発塵風速以上を満足することができる。
図6に示す構造の降下粉塵計測装置を屋外で運用して降下粉塵の連続測定を行った。粒子採取口は、入口直径200mmの円錐ろうと状のステンレス鋼構造であり、ろうとを円錐とみなした場合の頂角を25°とした。循環気流の粒子採取口への吐出方法は、粒子採取口入口直下に、全周均一に、粒子採取口内面に沿って下向きに吐出した。気流路の内面を、全てステンレス鋼製とした。分級器にはバーチャルインパクタを用い、循環気流量が1Nm3/時間となるように制御して、比重1相当の粒子について直径6μm以下の微小粒子を含む気流とそれ以外の粗大粒子を含む気流に分級し、それぞれ独立に質量測定を行った。ここでの分級の定義は、比重1相当の粒子について直径6μmの粒子が粗大粒子用分岐気流管に90%、微小粒子用分岐気流管に10%の割合で分離することである。粗大粒子を捕集する捕集フィルタは、多孔質で幅20mmの白色フッ素樹脂テープとし、このうち、直径10mmの範囲のみで粒子を捕集するように、上下に分割された気流路端が質量測定中にはフッ素樹脂テープを挟み込むように流路を設定した。粒子の質量測定は市販のβ線吸収式質量測定器を用いて1分周期で連続的に捕集粒子の質量を計測し、結果を電子データとして保存した。捕集フィルタ送り装置として、ロールの送り出し・巻き取り機構を採用し、1時間ごとに間欠的に粒子捕集済み捕集フィルタを送り出した。除塵フィルタは、1μm用の汎用繊維状フィルタの下流に0.3μm用のセラミックフィルタを設置して、排気の清浄化を図った。また、図示しない市販の感雨計を用いて降雨を検知し、雨天時には図示しない蓋が粒子採取口入口を覆って雨水が計測器内に侵入しないようにした。
図5に示す、従来型連続式粉塵計を用いて、実施例1と同一地点、同一時期に同様の方法で採取粉塵質量測定を行った。その結果、採取量平均は、デポジットゲージの約130%であり、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、0.35であった。従って、本装置による粗大粒子計測値とデポジットゲージ計測値の間には相関は認められるものの、本発明に比べて劣る。
図9の撮影装置を設置し、これ以外を参考例1と同様に設定した連続式粉塵計測装置を用いて、オンライン画像処理粒子計測を行った。捕集フィルタ送り装置の巻き取りロールの直前に、倍率2倍の実体顕微鏡26に装着された総画素数約1000万のディジタルCCDカメラ24を設置し、捕集フィルタを送るたびにフィルタ送り信号を計測器制御装置からディジタルCCDカメラが受信し、これをトリガとして、粒子捕集済み捕集フィルタ上の粒子画像を自動的に撮影した。撮影箇所が適切な光量になるように、撮影時にはLEDライト34を撮影箇所に照射した。撮影画像は、直ちに、カメラ本体から画像処理ソフトを搭載した汎用演算装置に通信線経由で伝送され、汎用演算装置内で画像処理を行って、粒度分布と平均密度を求めた。画像処理の手法は、市販ソフトと同様の一般的な粒子径測定方法を用いた。
図9の撮影装置を図5に示す従来型連続式粉塵計に設置し、実施例2と同様の方法で画像処理粒子計測を試みた。その結果、粗大粒子を微小粒子から区別して識別することはできず、画像処理粒子計測は不可能であった。
図15に示す保護フィルム機構を粗大粒子計測部近傍に設置し、これ以外を参考例1と同様に設定した装置を用いて、清浄な室内で、参考例2と同様の標準試料粉塵を粒子採取口に一時間かけて投入して、粒子捕集済み捕集フィルタロールを作成した。保護フィルムで粗大粒子捕集済みの捕集フィルタを覆い、保護フィルムとともに捕集フィルタをロール状に巻き取った。保護フィルムとして厚み10μmで幅20mmのポリ塩化ビニリデン膜を用いた。保護フィルムは、巻取りリールの回転に伴って送り出しリールから送り出され、表面を合成ゴムでコーティングしたガイドロールでセンタリング及び、方向転換がなされた後、捕集フィルタを覆うように導びかれた。捕集フィルタでの捕集が終了した後、これを巻き取った粒子捕集済み捕集フィルタロールを計測器から抜き出し、オフラインでこのロールを巻き戻しながら画像処理粒子計測を行った。画像撮影には光学顕微鏡に接続されたディジタルCCDカメラを用い、透明な保護フィルムを透過して捕集フィルタ上の粉塵粒子を撮影した。実施例2と同様の画像処理粒子計測手法によって得られた測定精度は、質量測定値の誤差は3%、平均粒度測定値の誤差は2%、粒度分布の標準偏差の誤差は6%、平均密度の誤差は、3%であり、参考例2と同様に良好な測定精度が得られた。
保護フィルムを用いないこと以外は、参考例3と同様にして、標準試料の画像処理測定を行った。その結果、得られた測定結果は、質量測定値の誤差は50%、平均粒度測定値の誤差は60%、粒度分布の標準偏差の誤差は90%、平均密度の誤差は、80%であった。いずれの結果でも、画像処理時までに、採取された粗大粒子の大半が欠落することの悪影響により、オフラインでの画像処理はでは保護フィルムを用いないと測定精度が低下することがわかった。
図12に示す円筒状の整流器を粒子採取口に設置すること以外を参考例1と同様に設定した装置を用いて、参考例1と同様の試験を行った。整流器は、直径200mmで高さ80mmであり、40mmの間隔を空けて計3枚の通気抵抗体としての円形の金網を設置した。金網は、ステンレス性であり、20メッシュ、開口率50%のものを用い、整流器内壁面に全周で密着するように配置した。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均85%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.12であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.22であり、本装置の短時間計測の精度が向上した。
整流器内で通気抵抗体間の各間隔を20mmに配置した以外、参考例4と同様の条件として試験を行った。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均75%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.15であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.29であり、実施例1に比べて顕著な改善は認められなかった。
図13に示す円盤状の導流板を粒子採取口近傍に設置すること以外を参考例1と同様に設定した装置を用いて、参考例1と同様の試験を行った。導流板は厚み1mm直径320mmのステンレス円盤を用い、粒子採取口入口から10mm下方に装着した。導流板上には定期的にグリースを塗布して沈着粉塵の再飛散を防止した。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均110%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.14であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.27であった。
導流板の直径を280mmにした以外、参考例7と同様の試験を行った。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均82%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.14であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.3であり、参考例1に比べて顕著な改善は認められなかった。
粒子採取口の外側に市販の空圧式ノッカを設置し、これ以外を参考例5と同様の装置を用いて参考例5と同様の試験を実施した。ノッカは、周方向に3個設置し、それぞれ、異なる設置高さとした。ノッカへの供給圧は1kg/cm2とし、それぞれ、10秒につき1回の頻度で粒子採取口に打撃を与えた。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均95%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.11であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.2であった。
図14に示す粒子採取口加熱機構を設置し、これ以外を参考例9と同様の装置を用いて参考例5と同様の試験を実施した。尚、粒子採取口外面のノッカ設置箇所には加熱装置を設置しなかった。加熱装置として、抵抗式セラミックヒータを用い、温度計測器として熱電対を用いて、粒子採取口内面温度と外気温度を計測した。また、粒子採取口内面温度が外気温度+15℃を目標とし、計測器内の電子演算装置によって目標温度を維持するようにPID制御を行った。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均100%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.10であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.2であった。
図16に示すバイパス気流路を設置し、これ以外を参考例5と同様の装置を用いて参考例4と同様の試験を実施した。粒子採取口への吐出流量を7Nm3/時間とし、5.5Nm3/時間の循環流量をバイパス気流路に通気するように各分岐気流路及びバイパス循環流路の通気抵抗を調整した。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均150%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.10であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.18であった。また、本装置での微小粒子の月間大気中微小粒子濃度を、対応するPM2.5計の月間大気中PM2.5濃度と比較した。その結果、本装置の大気中濃度平均は、PM2.5計によるものの約125%であり、[PM2.5計による月間大気中PM2.5濃度]/[本装置による月間大気中微小粒子濃度]の変動の標準偏差は、0.18であった。
図17に示す、バーチャルインパクタであるバイパス用分級器37とバイパス気流路33を有し、これ以外を参考例5と同様の装置を用いて参考例4と同様の試験を実施した。粒子採取口への吐出流量を7Nm3/時間とし、5.5Nm3/時間の循環流量をバイパス循環流路に通気するように各分岐気流路及びバイパス循環流路の通気抵抗を調整した。バイパス用分級器37は、比重1の球形粒子に換算して直径4〜7μm以上の粗大粒子の全量及びこれより小径の微小粒子の一部を含む気流を分級器8に向けて分流し、残りの微小粒子のみを含む気流をバイパス気流路33に分流した。バーチャルインパクタである分級器8では、直径4〜7μm以上の粗大粒子を含む気流とこれ以外の微小粒子を含む気流に分流して、それぞれ計測部にて質量測定を行った。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均150%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.10であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.18であった。また、本装置での微小粒子の月間大気中微小粒子濃度を、対応するPM2.5計の月間大気中PM2.5濃度と比較した。その結果、本装置の大気中濃度平均は、PM2.5計によるものの約125%であり、[PM2.5計による月間大気中PM2.5濃度]/[本装置による月間大気中微小粒子濃度]の変動の標準偏差は、0.18であった。
図18に示す、水平旋回流抑制器38を有し、これ以外を参考例1と同様の装置を用いて参考例1と同様の試験を実施した。水平旋回流抑制器は、板厚0.3mmで軸方向長さ30mmのステンレス鋼板を上面からみて板の端面が十文字になる様に組み合わせて構成し、粒子採取口下端に設置した。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均86%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.12であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.22であり、本装置の短時間計測の精度が向上した。
実施例12の装置に参考例7と同様の導流板と、参考例13と同様の水平旋回流抑制器を設置し、参考例5と同様の試験を実施した。粗大粒子の測定結果は、対応するデポジットゲージの月間粉塵降下速度に対して平均180%の粉塵降下速度が得られた。また、[デポジットゲージによる月間粉塵降下速度]/[本装置による月間粉塵降下速度]の標準偏差は、0.09であった。また、本装置による10分ごとの降下粉塵速度の6時間分を対応する粘着テープ式降下粉塵捕集器の測定と比較した。その結果、[粘着テープによる10分間塵降下速度]/[本装置による10分間粉塵降下速度]の変動の標準偏差は、約0.16であった。
2 ・・・気流路
2’・・・気流路
3 ・・・粗大粒子フィルタ
4 ・・・質量測定器
5 ・・・捕集フィルタ
6 ・・・ブロワまたは圧縮機
7 ・・・捕集瓶
8 ・・・分級器
9 ・・・流量制御装置
10 ・・・除塵フィルタ
11 ・・・循環気流路
11’・・・循環気流路
12 ・・・粗大粒子用分岐気流路
13 ・・・微小粒子用分岐気流路
14 ・・・捕集フィルタ送り装置
15 ・・・保護フィルムロール
16 ・・・保護フィルム
17 ・・・ガイドロール
18 ・・・粒子採取口内部流れ場境界
19 ・・・画像処理装置
20 ・・・粗大粒子計測部
21 ・・・微小粒子計測部
22 ・・・超粗大粒子時の仮想吸着面
23 ・・・一般的な粗大粒子の仮想吸着面
24 ・・・カメラ
25 ・・・データ保存装置
26 ・・・顕微鏡
27 ・・・通気抵抗体
28 ・・・加熱器
29 ・・・粒子採取口内面温度計
30 ・・・外気温度計
31 ・・・温度制御制御装置
32 ・・・分流器
33 ・・・バイパス気流路
34 ・・・光源
35 ・・・整流器
36 ・・・導流板
37 ・・・バイパス用分級器
38 ・・・水平旋回流抑制器
39 ・・・加振機
40 ・・・ブラシ
41 ・・・ブラシ駆動装置
42 ・・・吹付け気流管
43 ・・・ノズル
44 ・・・ノズル駆動装置
Claims (9)
- 上方に向けた開口を有すると共に、下端が気流路と接続されている、ろうと状の粒子採取口と、
前記粒子採取口内に存在する大気中粒子を大気と共に前記粒子採取口の下端から前記気流路を通して吸引するためのブロワ又は圧縮機と、
前記粒子採取口の後段に設けられ、前記粒子採取口から吸引された前記大気中粒子を粗大粒子と微小粒子に分ける分級器であって、該分級器が比重1の球形粒子に換算して直径4〜7μmを分級境界とする分級器である少なくとも1台と、
前記分級器の後段に並列に設けられ、前記分級後の粗大粒子と微小粒子をそれぞれ、一定時間ごとに捕集面が更新されるテープ状又はカートリッジ交換式の捕集フィルタに捕集して、当該捕集されたそれぞれの粒子の質量を質量測定器によって連続計測し、前記分級後の粗大粒子と微小粒子それぞれにおける質量総量の時間変化を計測する、又は更に、前記計測された粗大粒子と微小粒子それぞれの質量総量の時間変化から前記粗大粒子の粉塵降下速度及び前記微小粒子の大気中濃度を算出する、粗大粒子計測部及び微小粒子計測部と、
前記計測部の後段に設けられ、前記捕集フィルタに捕集されなかった粒子を前記計測後の吸引された大気から除塵する除塵フィルタと、
前記粒子採取口、前記分級器、前記粗大粒子計測部及び微小粒子計測部、及び前記除塵フィルタを、この順番に接続し、前記吸引された大気を順次通す気流路と、
前記除塵後の大気を前記粒子採取口内に排気する循環気流路と、
前記気流路又は前記循環気流路の流路中に設けられた前記ブロワ又は圧縮機と、
前記粗大粒子計測部及び前記微小粒子計測部を通過する気流量をそれぞれ所定の値に制御する流量制御装置と、
前記粒子採取口の入口に、前記粒子採取口の入口面と垂直方向に間隔を置いて複数設置する、前記粒子採取口の入口面と垂直方向に通気抵抗を発生させる気流抵抗体と、
前記分級器のうち少なくとも1台の前記微小粒子に分けられた後段、且つ前記微小粒子計測部の前段の位置から、前記粗大粒子計測部及び微小粒子計測部の後段、且つ前記除塵フィルタ前段の位置まで、前記微小粒子を含む吸引された大気の一部を流通させるバイパス気流路と、
を備えていることを特徴とする、連続式降下粉塵計測装置。 - 前記テープ状の捕集フィルタ上に捕集された粗大粒子を前記捕集フィルタとともに撮影するカメラを有すると共に、当該撮影された画像を画像処理して前記粗大粒子の粒径分布を測定する画像処理装置を有することを特徴とする、請求項1に記載の連続式降下粉塵計測装置。
- 前記カメラの撮影面となる前記捕集フィルタは、前記捕集フィルタに付着した粗大粒子の上から透明な保護フィルムで覆われていることを特徴とする、請求項2に記載の連続式降下粉塵計測装置。
- 前記粒子採取口の入口近傍の外周に、前記粒子採取口の半径方向外側に突出した水平な導流板を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続式降下粉塵計測装置。
- 前記粒子採取口に、粒子採取口内面の付着粒子を除去するための、加振機、ブラシ、又は気流吹き付け装置のうち1種または2種以上の組み合わせを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続式降下粉塵計測装置。
- 前記粒子採取口には、その内面を加熱する加熱器を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の連続式降下粉塵計測装置。
- 前記粒子採取口の開口部と、前記粒子採取口の下端から吸気された大気が最初に到達する前記分級器との間に備えられ、かつ、
前記粒子採取口の下端へ向かって吸引される前記粒子を含む大気の水平旋回流成分を抑制可能な水平旋回流抑制器を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の連続式降下粉塵計測装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の連続式降下粉塵計測装置を用いた連続式降下粉塵計測方法であって、
前記粒子採取口から大気とともに採取された粒子を、前記分級器にて大気中を自由落下しうる粗大粒子とそれ以外の微小粒子に分級した後、前記分級された2種類の粒子の一部または全部を前記一定時間ごとにテープ状又はカートリッジ交換式の捕集フィルタの異なる部位に捕集し、更に、前記粗大粒子と前記微小粒子それぞれの粒子総質量推移を、それぞれ独立した質量測定器によって計測して、前記粗大粒子の粉塵降下速度及び前記微小粒子の大気中濃度を算出することを特徴とする、連続式降下粉塵計測方法。 - 請求項1又は7に記載の連続式降下粉塵計測装置を用いた連続式降下粉塵計測方法であって、
前記循環気流路の出口から、前記粒子採取口内面に沿って、前記除塵フィルタで除塵された大気を噴射するとともに、前記粒子採取口内面の全域において、大気中で自由落下しうる粗大粒子の発塵風速以上になるように前記噴射する大気の吐出流量を調整することを特徴とする、連続式降下粉塵計測方法。
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