JP4792563B2 - 新規なオピオイド活性ペプチド、新規な抗不安ペプチド - Google Patents

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本発明はTyr−Pro−Phe−Val−Valで表される新規ペプチド、および該ペプチドを有効成分として含有する抗不安剤に関する。更に本発明はTyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Alaで表される新規ペプチド、および該ペプチドを有効成分として含有する鎮痛剤に関する。
オピオイド活性を有するペプチド(いわゆるオピオイドペプチド)であるβ-カゾモルフィン4を、カゼインペプトンから単離したことが報告された。これは食品蛋白質から生理活性ペプチドが派生するという最初の例である(Brandl,V. et al.,Hoppe-Seyler’s Z.Physiol.Chem.,360,1211-1216(1979))。また本発明者らは人乳β-カゼインの部分的な一次配列を決定し、その中に牛乳β-カゾモルフィンに類似した配列であるTyr−Pro−Phe−Val−Glu−Pro−Ile−Proを見出した。なおこの配列は、決定された人乳β-カゼインの全一次構造の第51−58残基に相当する。そして本発明者らは人乳β-カゼインのTyr51をN末端にもつ種々の長さのペプチドを化学合成し、オピオイド受容体に対するそれらの評価を行なったことを報告している(食品・医薬分野における蛋白質テーラリング、学会出版センター発行、R.E.フィニー、J.R.ウィテーカー編、p101-105)。
しかしながら、人乳カゼイン由来のペプチドを大量に調製することは困難である。そこで本発明者らは食品蛋白質の一次構造データベース中でヒトβ-カゾモルフィン4(Tyr−Pro−Phe−Val:YPFV)配列について検索を行なったところ、該配列がダイズβ-コングリシニンのβ-サブユニット中に存在することを見出した。
ところでダイズおよびダイズの加工食品はわが国の伝統食品として多く食されており、ダイズに含有される成分の生理活性に関する研究が行なわれている。しかし、ダイズ蛋白質又はその酵素分解物であるペプチドが脳機能に及ぼす影響についての報告はまだ少ない。ダイズおよびその加工食品が多く食されている現状を考えると、ダイズ由来の蛋白質又はペプチドの脳機能調節作用について検討することは非常に意義が大きいと考えられる。そしてそのような検討の一環として近年ダイズ蛋白質を摂取することにより、ヒトの精神的なストレスが緩和されたり、学習や記憶などの脳の高次機能の向上に資することが知られている(畠山英子ら、大豆たん白質研究、Vol.6,147-152(2003))。
Brandl, V. et al.,Hoppe-Seyler’s Z.Physiol.Chem.,360,1211-1216(1979) 食品・医薬分野における蛋白質テーラリング、学会出版センター発行、R.E.フィニー、J.R.ウィテーカー編、p101-105 畠山英子ら、大豆たん白質研究、Vol.6,147-152(2003)
ダイズ由来の新たな生理活性ペプチドを得ることの需要は未だにある。そこでYPFV配列を基にしてその誘導体である新規ペプチドを取得し、その生理活性を検討することにより、疼痛の改善やストレスが原因の不安症などに有用な、ダイズ蛋白質由来の新規な機能性ペプチドを得ることが本発明の課題である。
そこで上記課題を解決するべく、本発明者らはYPFV配列を含むTyr−Pro−Phe−Val−Val(YPFVV)からなる新規ペプチド、およびTyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Ala(YPFVVNA)からなる新規ペプチドを合成し、それらのペプチドの生理活性についても検討した。その結果本発明者らは、YPFVVNAがオピオイド活性を有することと、YPFVVが抗不安活性を有することを見出した。
本発明の新規ペプチドであるTyr−Pro−Phe−Val−Val(YPFVV)は抗不安活性を有している。また本発明の新規ペプチドであるTyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Ala(YPFVVNA)はオピオイド活性を有している。本発明により得られた生理活性ペプチドは、ダイズのコングリシニンの酵素分解によって得られるので、容易に大量に取得できるという利点を有する。またYPFVVの抗不安活性は腹腔内投与のみならず経口投与をした場合でも認められたので、YPFVVは経口投与が可能な抗不安薬となり得るという利点を有する。
本発明は、Tyr−Pro−Phe−Val−Valで表される新規ペプチドを提供するものである。Tyr−Pro−Phe−Val−Valで表されるペプチドは抗不安活性を有するので、本発明により当該ペプチドを有効成分として含有する抗不安剤が提供される。なお下記の実施例で示すように、Tyr−Pro−Phe−Val−Valで表されるペプチドはオピオイド活性も有していた。
更に本発明は、Tyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Alaで表される新規ペプチドを提供するものである。Tyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Alaで表されるペプチドはオピオイド活性を有するので、本発明により当該ペプチドを有効成分として含有する鎮痛剤が提供される。なお上記でいうTyrはチロシン、Proはプロリン、Pheはフェニルアラニン、Valはバリン、Asnはアスパラギン、Alaはアラニンを示す。かかるアミノ酸はいずれもL−体である。
上記のペプチドはダイズ由来の蛋白質であるβ-コングリシニンの酵素分解によって、簡便に且つ大量に得ることができる。なおTyr−Pro−Phe−Val(以下YPFVと記載する)からなるβ-カゾモルフィン4は人乳のβ−カゼイン由来のペプチドであるが、人乳カゼインを大量に入手することは困難である。
なおβ-コングリシニンの部分配列であるVIPAAYPFVVNATSNLから、膵臓エラスターゼで消化することによりAYPFVVを得ることが可能であり、これを更にロイシンアミノペプチダーゼで消化したところ、本発明のTyr−Pro−Phe−Val−Val(以下YPFVVと記載する)を得ることができた。そのようにして本発明者らがYPFVVを得たところ、その収率は36.5%であった。更にYPFVVからTyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Ala(以下YPFVVNAと記載する)を得ることも可能である。なおダイズペプチドから酵素分解によりYPFVVを得る方法は上記において述べたものに限定されるものではない。エラスターゼ以外のエンドペプチダーゼを使用することも、ロイシンアミノペプチダーゼ以外のアミノペプチダーゼを使用することも可能である。
更に分離ダイズ蛋白質を上記と同様に膵臓エラスターゼおよびロイシンアミノペプチダーゼで消化することによりYPFVVが生成することを、LC/MS(液体クロマトグラフィー質量分析)により確認した。なお原料中のβ-コングリシニンβ-サブユニットの含量が不明であるために収率の計算はできなかった。
また本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得することもできる。即ち、ペプチド合成に通常用いられる方法である液相法または固相法で、ペプチド結合の任意の位置で二分される2種のフラグメントの一方に相当する反応性カルボキシル基を有する原料と、他方のフラグメントに相当する反応性アミノ基を有する原料とを、2-(1H-Benzotriazole-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium hexafluorophosphate(HBTU)等の活性エステルを用いた方法や、カルボジイミドを用いた方法等を用いて縮合させることができる。生成する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去することによっても製造し得る。
この反応工程において反応に関与すべきでない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(Bz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc),p−ビフェニルイソプロピロオキシカルボニル、9ーフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられるが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、P−アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下にあるいはN−保護アミノ酸活性エステルまたはペプチド活性エステルを用いて実施する。
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成はエドマン分解法でC−末端からアミノ酸配列を読み取るプロティンシークエンサー、GC−MS等で分析される。
次に医薬品として用いる場合について説明する。本発明のペプチドであるYPFVVNAはオピオイド活性を有するので、そのペプチドを鎮痛剤として用いることができる。
現在オピオイド活性を有する化合物はいくつも知られているが、代表的な化合物としてはモルヒネやコデインなどのアヘンアルカロイドを挙げることができる。これらの物質は麻薬性鎮痛物質(オピエート)ともいわれ、オピオイド受容体を認識して結合し、中枢神経系を介して強力な鎮痛効果を発揮するために、末梢に作用する解熱性鎮痛薬では抑えられない痛みを抑えることができる。そのためにオピオイド活性を有する化合物の臨床的な意義は大きい。
また脳内にはオピエートを認識する受容体(オピオイド受容体)があることが見出されている。そして、そのオピオイド受容体に対する内因性リガンドとして、エンケファリン、ダイノルフィン、β-エンドルフィンなどのオピオイドペプチドが存在することが知られている。本発明のYPFVVNAはペプチドであり、脳内麻薬といわれているオピオイドペプチドと同じくペプチド性のオピオイド活性物質が本発明により提供されるので、本発明のペプチドは副作用の少ない鎮痛剤となり得る。
またYPFVVは抗不安活性を有するので、そのペプチドを抗不安剤として用いることもできる。現在医薬品として市販されている主要な抗不安剤はベンゾジアゼピン系誘導体の物質である。これらのベンゾジアゼピン系誘導体の抗不安剤は安全性が高く、優れた性質を有する薬物であるが、抗痙攣作用、筋弛緩作用、鎮静催眠作用や麻酔増強作用などの薬理作用を同時に有する。そこでベンゾジアゼピン系誘導体以外に、穏やかでかつ安全性が高く、経口で手軽に服用することができる抗不安剤を求める需要は未だに大きい。それを考えると、食品であるダイズに由来し且つ経口投与で有効であるという特徴を有する、本発明により提供される抗不安剤の意義は大きい。
本発明のペプチドの投与経路は特に限定されるものではなく、経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれを採用することも可能であり、経口的あるいは非経口的に投与することができる。本ペプチドの投与量は化合物の種類、投与方法、投与される者の状態や年齢等により異なるが、1日あたり通常は0.1mg/kg〜1000mg/kg、好ましくは1mg/kg〜100mg/kgである。本発明のペプチドは通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない物質が用いられる。
具体的には、その様な物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
これらの製剤は、本発明のペプチドを0.01%〜100重量%、好ましくは1〜90重量%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸、ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ぶどう糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用事溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。
直腸投与剤を製造するには、有効成分をカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの座剤用基材と共に加湿して溶解し型に流し込んで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解した後、ゼラチン膜で被覆すればよい。
皮膚用外用剤を製造するには、有効成分を白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなどに加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体などの粘着剤と練合した後ポリアルキルなどの不織布に展延してテープ剤とする。
次に実例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。しかし下記の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
まずβ−コングリシニン中に含まれているYPFV、YPFVV、YPFVVNAをペプチド合成により取得した。そしてそれらのオピオイド活性をモルモット回腸アッセイの系で測定した。
(モルモット回腸アッセイ)
モルモット回腸縦走筋を剥離すると、Auerbach神経叢が付随した形で得られる。このようにして得られた縦走筋神経叢標本はオピオイドに対して丸ごとの回腸よりも高い感度を示す。この標本を栄養液中に吊るして電気刺激を与えると、神経終末からアセチルコリンが放出され、平滑筋は収縮する。オピオイドアゴニストは電気刺激によるアセチルコリンの放出を阻害して収縮の抑制を抑制するので、かかるモルモット回腸の収縮を検出することによってオピオイド活性を評価するのが、モルモット回腸アッセイの系である。
モルモット回腸アッセイにおいては、まずモルモットを屠殺してその回腸を摘出し、縦走筋標本の一方を支持棒に、もう一方についてはリングを介してトランスジューサーに接続する。そしてその標本を、栄養液を満たしたマグヌス管にセットする。標本に電気刺激を与えて収縮させ、その電気刺激による収縮が安定したらオピオイド活性を評価する対象である薬物を添加し、平滑筋の収縮による張力の変化からその薬物のオピオイド活性を検出する。なお張力の変化はトランスジューサーによって電気信号に変換されてレコーダーに記録される。モルモット回腸アッセイは本技術分野で繁用されている方法であり、その詳細は例えば川岸舜朗編著、学会出版センター、生物化学実験法38「食品中の生体機能調節物質研究法」p99-116などに記載されている。
(結果)
上記のモルモット回腸アッセイの系を用いて以下の5つのペプチドについてオピオイド活性を評価し、それらのペプチドのオピオイド活性についてIC50値を求めた。その結果を表1に示す。
(1)YPFV(Tyr−Pro−Phe−Val)
(2)YPFVV(Tyr−Pro−Phe−Val−Val)
(3)YPFVVNA(Tyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Ala)
(4)人乳β-カゾモルフィン5(Tyr−Pro−Phe−Val−Glu)
(5)人乳β-カゾモルフィン7(Tyr−Pro−Phe−Val−Glu−Pro−Ile)
Figure 0004792563
表1に示されるように、YPFVのIC50は20μM、YPFVVのIC50は8μM、YPFVVNAのIC50は3μM、人乳β-カゾモルフィン5のIC50は14μM、人乳β-カゾモルフィン7のIC50は25μMであった。よってYPFVVのオピオイド活性はYPFV(人乳β-カゾモルフィン4)の2.5倍であり、また人乳β-カゾモルフィン5の1.8倍であった。そしてYPFVVNAのオピオイド活性は更に強かった。この結果により、本発明のペプチドであるYPFVVとYPFVVNAの両者は、いずれも強いオピオイド活性を有することが示された。
(高架十字迷路実験)
高架十字迷路(Eleveted plus maze:EPM)は、2つのオープンアーム(24x5x0.5)と2つのクローズアーム(24x5x13)からなり、それらのアームは床から50cm高くなった中央プラットフォームと結合している。高い位置にあるにも関わらず、クローズアームの周りには囲いがあるために、マウスは安全に歩行する事ができる。一方オープンアームの周囲は開放されていて囲いがないために、オープンアームを歩行するマウスは高い位置から転落するという不安感を感じる。そのために、マウスがオープンアームにいる時間が長いほどマウスの不安感は緩和されており、抗不安活性の指標となる。
オープンアームの一つに面している中央プラットフォーム上にマウスを置いて試験を開始した。5分の試験時間の間、オープンアーム内で過ごした累積時間を記録した。オープンアーム内で過ごした時間のパーセンテージを不安の指標として計算した。
(統計解析)
高架十字迷路試験で得たデータを、平均とSEMで表した。データを1方向または2方向ANOVAにより解析し、引き続いて多重比較のためのダネット試験を行った。
(結果)
生理食塩水溶水に溶解したYPFVVを、マウスを高架十字迷路上に置く前に腹腔内投与(i.p)した(n=12)。そしてYPFVVの投与群(3mg/kg、10mg/kg、30mg/kg)と非投与群(0mg/kg)において、オープンアーム内で過ごした時間のパーセンテージを比較した。その結果を図1に示す。図1に示されるように、YPFVVを3mg/kgまたは10mg/kg腹腔内投与投与した群ではオープンアーム内で過ごした時間が有意に(*はp<0.05の有意差、**はp<0.01の有意差を示す)増加した。この結果は、YPFVVが腹腔内投与で抗不安活性を有することを示すものである。
更にマウスを高架十字迷路上に置く30分前に、生理食塩水に溶解したYPFVVを経口投与(p.o)した(n=12)。そしてオープンアーム内で過ごした時間のパーセンテージを、YPFVVの投与群(10mg/kg、30mg/kgおよび100mg/kg)と非投与群(0mg/kg)で比較した。その結果を図2に示す。図2に示されるように、YPFVVを10mg/kgまたは30mg/kgの用量で経口投与した群では、オープンアーム内で過ごした時間が有意に増加した(***はP<0.001の有意差を示す)。この結果は、YPFVVが経口投与でも抗不安活性を有することを示すものである。
本発明の新規ペプチドであるYPFVVは抗不安活性を有しているので、当該ペプチドを有効成分と含有する抗不安剤を得ることが可能である。YPFVVの抗不安活性は経口投与でも認められたので、YPFVVは経口投与が可能な抗不安薬となり得るという利点を有する。更に本発明の新規ペプチドであるYPFVVNAはオピオイド活性を有しているので、当該ペプチドを有効成分として含有する鎮痛剤を得ることも可能である。本発明により得られた生理活性ペプチドは、ダイズのコングリシニンの酵素分解によって大量に得ることが可能である。
図1はYPFVVをマウスに腹腔内投与した際の抗不安作用を示すグラフである。 図2はYPFVVをマウスに経口投与した際の抗不安作用を示すグラフである。

Claims (6)

  1. Tyr−Pro−Phe−Val−Valで表される新規ペプチド。
  2. Tyr−Pro−Phe−Val−Valで表される抗不安ペプチド。
  3. Tyr−Pro−Phe−Val−Valで表されるペプチドを有効成分として含有する抗不安剤。
  4. Tyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Alaで表される新規ペプチド。
  5. Tyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Alaで表されるオピオイド活性ペプチド。
  6. Tyr−Pro−Phe−Val−Val−Asn−Alaで表されるペプチドを有効成分として含有する鎮痛剤。
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