JP4792336B2 - ロータリーダンパ - Google Patents

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Description

本発明は、ロータリーダンパに関し、より詳細には、負荷に応じて制動特性を変えることができるロータリーダンパに関するものである。
例えば、国際公開第03/046405号パンフレットには、ハウジング内に設けられるロータと、前記ハウジング内において前記ロータの周りに形成される室と、該室内に充填される粘性液体と、前記室内に配設され、前記ロータの回転に伴い揺動するベーンと、前記室を仕切る隔壁と、該隔壁又は前記ベーンに形成される通路と、該通路が形成された隔壁又はベーンに設けられ、前記通路を通過する粘性液体の流量を負荷に応じて調節し得る板ばねからなる弁体とを有するロータリーダンパが開示されている。
かかるロータリーダンパでは、弁体の受圧部(粘性液体の圧力を受ける部分)が屈曲又は湾曲した形状に形成されている。ベーン又は隔壁に形成された通路は、その受圧部がベーン又は隔壁の平坦部に沿って平らな形状に変形したときに完全に閉塞されるようになっている。
受圧部の変形の度合いは、負荷が大きくなるに従って大きくなり、それにより通路を通過する粘性液体の流量が調節されることになる。粘性液体の流量を個体によってばらつきなく調節するためには、弁体を量産した場合に、それらを均一の形状に成形することが重要となる。
しかしながら、板ばねからなる弁体は、ばね鋼からなる薄板をプレス機で打ち抜き、曲げ加工をし、その後焼き入れを行う等の工程を経て製造されるものであるため、均一の形状の弁体を量産することは困難である。例えば、受圧部が湾曲した弁体を量産した場合、受圧部のたわみ量を均一にできず、どうしても誤差が生じる。一方、その誤差が、わずか0.1mmであるとしても、それによって粘性液体の圧力を受けたときの変形の度合いに差が生じるため、特性不良となっていた。
国際公開第03/046405号パンフレット
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、制動特性のばらつきを減少させることができるロータリーダンパを提供することを課題とするものである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下のロータリーダンパを提供する。
1.ハウジング内に設けられるロータと、
前記ハウジング内において前記ロータの周りに形成される室と、
該室内に充填される粘性液体と、
前記室内に配設され、前記ロータの回転に伴い揺動するベーンと、
前記室を仕切る隔壁と、
該隔壁又は前記ベーンに形成される通路と、
該通路が形成された隔壁又はベーンに設けられ、前記通路を通過する粘性液体の流量を負荷に応じて調節し得る板ばねからなる弁体とを有するロータリーダンパであって、
前記通路が形成される隔壁又はベーンに湾曲部が設けられ、前記弁体の受圧部が前記湾曲部に沿って変形して前記通路を閉塞するまで、該受圧部が負荷に応じて前記湾曲部に接近することにより、前記通路を通過する粘性液体の流量が少なくなるように、その流量を調節可能であることを特徴とするロータリーダンパ。
2.前記湾曲部が前記隔壁又は前記ベーンの両側に設けられるとともに、前記弁体の受圧部が前記隔壁又は前記ベーンの両側に配置されていることを特徴とする前記1に記載のロータリーダンパ。
3.前記湾曲部が、凹状に湾曲していることを特徴とする前記1又は2に記載のロータリーダンパ。
4.前記湾曲部が、凸状に湾曲していることを特徴とする前記1又は2に記載のロータリーダンパ。
5.前記通路が形成される隔壁又はベーンに、前記弁体の受圧部が前記湾曲部から過度に離間しようとするときに、該受圧部が当接し得る当接部が設けられていることを特徴とする前記1又は2に記載のロータリーダンパ。
前記1に記載の本発明によれば、通路が形成される隔壁又はベーンに湾曲部が設けられ、弁体の受圧部が該湾曲部に沿って変形して通路を閉塞するまで、該受圧部が負荷に応じて湾曲部に接近することにより、通路を通過する粘性液体の流量を調節可能であるため、弁体の受圧部が、屈曲又は湾曲していない平坦な形状であっても、負荷に応じて制動特性を変えることができる。従って、弁体の受圧部を屈曲又は湾曲した形状に加工する必要がない。湾曲部が設けられる隔壁又はベーンは、量産した場合でも、板ばねからなる弁体と比較して均一な形状・寸法のものを精密かつ容易に製造することができる。よって、本発明によれば、制動特性のばらつきを減少させることが可能となる。
前記2に記載の本発明によれば、湾曲部が隔壁又はベーンの両側に設けられるとともに、弁体の受圧部が隔壁又はベーンの両側に配置されているため、ロータが一方向へ回転した場合のみならず、逆方向へ回転した場合でも、負荷に応じた制動力を発揮することが可能となる。
前記3に記載の本発明によれば、湾曲部が、凹状に湾曲しているため、弁体の受圧部が、屈曲又は湾曲していない平坦な形状であっても、負荷に応じて制動特性を変えることができる。従って、前記1に記載の発明と同様に、制動特性のばらつきを減少させることが可能となる。
前記4に記載の本発明によれば、湾曲部が、凸状に湾曲しているため、板ばねの受圧部が、屈曲又は湾曲していない平坦な形状であっても、負荷に応じて制動特性を変えることができる。従って、前記1に記載の発明と同様に、制動特性のばらつきを減少させることが可能となる。
前記5に記載の本発明によれば、通路が形成される隔壁又はベーンに、弁体の受圧部が湾曲部から過度に離間しようとするときに、該受圧部が当接し得る当接部が設けられているため、過負荷の場合に、弁体の受圧部が湾曲部から過度に離間しようとしても、該受圧部が当接部に当接して、過度の離間、及びそれによる弁体の塑性変形を抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に従って説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。この図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ハウジング1、ベーン2、隔壁3及び弁体4を有して構成される。
ハウジング1は、一端側が開口し、他端側が閉塞された円筒状に形成される。ハウジング1の開口部は、プラグ5により閉塞される。ハウジング1内には、ロータ6が設けられ、また、ロータ6とハウジング1との間に形成される空間を仕切るように隔壁3が設けられる。ハウジング1内において、ロータ6の周りには、隔壁3により仕切られた室7が形成され、該室7内には、粘性液体が充填されるとともに、ベーン2が配設される。粘性液体としては、シリコンオイル等を用いることができる。ベーン2は、ロータ6の外周面から室7の周壁に向かって突出するように設けられる。本実施例で採用したベーン2は、ロータ6と一体成形されたものである。ベーン2は、ロータ6が回転するときには、その回転に伴って揺動し、粘性液体を押圧する役割を果たすものである。もっとも、ハウジング1がロータ6の周りで回転するときには、隔壁3がハウジング1とともに回転し、粘性液体を押圧する。本実施例で採用した隔壁3は、ハウジング1と一体成形されたものである(図2参照)が、隔壁3としては、ハウジング1に固定されたものであればよい。
隔壁3には、粘性液体が通過可能な通路8が形成される。通路8が形成された隔壁3には、弁体4が設けられる。弁体4は、板ばねからなる。弁体4は、通路8を通過する粘性液体の流量を調節するものである。弁体4は、隔壁3に支持される被支持部4aと、粘性液体の圧力を受ける受圧部4bとを有して構成される(図3参照)。被支持部4aは、略L字状に形成される。被支持部4aは、それを構成する垂直方向に延びる部分が隔壁3に形成された溝にはまり込むことにより、隔壁3に支持される(図2参照)。受圧部4bは、屈曲又は湾曲していない平坦な形状である。受圧部4bは、無負荷のときに通路8を閉塞しないように設けられる。
通路8が形成された隔壁3には、湾曲部9が設けられる。湾曲部9は、凹状に湾曲している(図4参照)。ここで、「凹状」とは、窪んだ形状をいう。弁体4は、その受圧部4bが、湾曲部9と互いに向き合うように設置される。無負荷のときには、受圧部4bと湾曲部9との間に隙間が形成されている(図2参照)。
上記のように構成されるロータリーダンパは、ロータ6が一方向(図1において反時計回り方向)へ回転すると、ベーン2が粘性液体を押圧し、それに伴い弁体4の受圧部4bが粘性液体の圧力を受けることになる。ロータリーダンパに加えられる負荷が大きい場合には、受圧部4bに加えられる粘性液体の圧力も大きい。この場合、受圧部4bは、湾曲部9に沿って変形して通路8を閉塞する(図5参照)。これにより、粘性液体は、通路8を通過できなくなる。その結果、ベーン2の揺動によって生じる粘性液体の抵抗が大きなものとなるため、制御対象物に付与される制動力も大きなものとなる。
一方、ロータリーダンパに加えられる負荷が小さい場合には、受圧部4bに加えられる粘性液体の圧力も小さい。この場合、受圧部4bは、変形しないか又は湾曲部9に近接する方向へ僅かに変形するだけである。従って、受圧部4bと湾曲部9との間には隙間が残存するので、粘性液体は、かかる隙間を経由して通路8を通過することができる。その結果、ベーン2の揺動によって生じる粘性液体の抵抗が小さなものとなるため、制御対象物に付与される制動力も小さなものとなる。
受圧部4bの変形の度合、すなわち、湾曲部9に対する受圧部4bの接近の程度は、受圧部4bが受ける粘性液体の圧力の大きさに応じて変化する。このため、粘性液体の圧力が大きくなるに従って、受圧部4bと湾曲部9との間に形成される隙間の大きさが小さくなり、通路8を通過する粘性液体の流量も少なくなる。従って、負荷が大きくなるに従って、制動力も大きくなる。
本実施例に係るロータリーダンパは、上記のように弁体4の受圧部4bが、湾曲部9に沿って変形して通路8を閉塞するまで、受圧部4bが負荷に応じて湾曲部9に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能である。従って、負荷が小さいときには制動力を小さくし、負荷が大きいときには制動力を大きくするように、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
本実施例によれば、上記のように、弁体4の受圧部4bが、屈曲又は湾曲していない平坦な形状であっても、負荷に応じて制動特性を変えることができる。従って、受圧部4bを屈曲又は湾曲した形状に加工する必要がない。湾曲部9が形成される隔壁3は、量産した場合でも、板ばねからなる弁体と比較して均一な形状・寸法のものを精密かつ容易に製造することが可能である。よって、本実施例によれば、制動特性のばらつきを少なくすることができる。
本実施例に係るロータリーダンパは、図6に示したように、隔壁3に設けられる湾曲部9が、凸状に湾曲している点で、実施例1と異なり、その他の点は実施例1と同様に構成される。ここで、「凸状」とは、盛り上がった形状をいう。弁体4は、その受圧部4bが、湾曲部9と互いに向き合うように設置される。無負荷のときには、受圧部4bと湾曲部9との間に隙間が形成されている(図7参照)。
本実施例でも、ロータリーダンパに加えられる負荷が大きい場合には、受圧部4bが受ける粘性液体の圧力も大きい。この場合、受圧部4bは、湾曲部9に沿って変形して通路8を閉塞する(図8参照)。これにより、粘性液体は、通路8を通過できなくなる。その結果、ベーン2の揺動によって生じる粘性液体の抵抗が大きなものとなるため、制御対象物に付与される制動力も大きなものとなる。一方、ロータリーダンパに加えられる負荷が小さい場合には、受圧部4bに加えられる粘性液体の圧力も小さい。この場合、受圧部4bは、変形しないか又は湾曲部9に近接する方向へ僅かに変形するだけである。従って、受圧部4bと湾曲部9との間には隙間が残存するので、粘性液体は、かかる隙間を経由して通路8を通過することができる。その結果、ベーン2の揺動によって生じる粘性液体の抵抗が小さなものとなるため、制御対象物に付与される制動力も小さなものとなる。
受圧部4bの変形の度合、すなわち、湾曲部9に対する受圧部4bの接近の程度は、受圧部4bが受ける粘性液体の圧力の大きさに応じて変化する。このため、粘性液体の圧力が大きくなるに従って、受圧部4bと湾曲部9との間に形成される隙間の大きさが小さくなり、通路8を通過する粘性液体の流量も少なくなる。従って、負荷が大きくなるに従って、制動力も大きくなる。
本実施例でも、上記のように弁体4の受圧部4bが、湾曲部9に沿って変形して通路8を閉塞するまで、受圧部4bが負荷に応じて湾曲部9に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能であるため、実施例1と同様に、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
本実施例によれば、上記のように、弁体4の受圧部4bが、屈曲又は湾曲していない平坦な形状であっても、負荷に応じて制動特性を変えることができる。従って、実施例1と同様に、制動特性のばらつきを少なくすることができる。
図9は、本発明の実施例3に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。本実施例に係るロータリーダンパは、通路8、弁体4及び湾曲部9がベーン2に設けられる点で、実施例1と異なり、その他の点は実施例1と同様に構成される。すなわち、ベーン2には、粘性液体が通過可能な通路8が形成されるとともに、通路8を通過する粘性液体の流量を調節する板ばねからなる弁体4が設けられる。弁体4の受圧部4bは、屈曲又は湾曲していない平坦な形状である。通路8が形成されたベーン2には、湾曲部9が設けられる。湾曲部9は、凹状に湾曲している(図10参照)が、凸状に湾曲したものであってもよい。弁体4は、その受圧部4bが、湾曲部9と互いに向き合うように設置される。無負荷のときには、受圧部4bと湾曲部9との間に隙間が形成されている(図10参照)。
本実施例でも、弁体4の受圧部4bが、湾曲部9に沿って変形して通路8を閉塞するまで、受圧部4bが負荷に応じて湾曲部9に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能であるため、実施例1と同様に、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
本実施例によれば、弁体4の受圧部4bが、屈曲又は湾曲していない平坦な形状であっても、負荷に応じて制動特性を変えることができるので、実施例1と同様に、制動特性のばらつきを少なくすることができる。
図11は、本発明の実施例4に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。本実施例に係るロータリーダンパは、当接部10を有する点で、実施例1と異なり、その他の点は実施例1と同様に構成される。すなわち、本実施例では、通路8が形成された隔壁3に、弁体4の受圧部4bが湾曲部9から過度に離間しようとするときに、該受圧部4bが当接し得る当接部10が形成されている(図12及び図13参照)。
本実施例に係るロータリーダンパは、ロータ6が一方向(図11において反時計回り方向)に回転する場合には、実施例1と同様に、弁体4の受圧部4bが、湾曲部9に沿って変形して通路8を閉塞するまで、受圧部4bが負荷に応じて湾曲部9に接近して、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能である。このため、負荷が小さいときには制動力を小さくし、負荷が大きいときには制動力を大きくするように、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
一方、ロータ6が逆方向(図11において時計回り方向)に回転する場合には、弁体4の受圧部4bが、無負荷のときには、通路8を閉塞しないように設けられているため、ロータ6の回転当初から、ベーン2の揺動によって生じる粘性液体の抵抗を非常に小さくすることが可能である。この点、上記した実施例1乃至3に係るロータリーダンパも、弁体4の受圧部4bが、無負荷のときには、通路8を閉塞しないように設けられているため、同様な効果を奏することができる。
もっとも、実施例1に係るロータリーダンパでは、過負荷の場合には、弁体4の受圧部4bが、粘性液体の大きな圧力を受けることにより、湾曲部9から離間する方向へ過度に変形し、その結果、弁体4が塑性変形するおそれがある。この点、本実施例では、受圧部4bが湾曲部9から過度に離間しようとしても、該受圧部4bが当接部10に当接して、過度の離間、及びそれによる弁体4の塑性変形を抑制することができる(図13参照)。
図14は、本発明の実施例5に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。本実施例に係るロータリーダンパは、通路8、弁体4、湾曲部9及び当接部10がベーン2に設けられる点で、実施例4と異なり、その他の点は実施例4と同様に構成される。すなわち、ベーン2には、通路8、弁体4及び湾曲部9が設けられるとともに、弁体4の受圧部4bが湾曲部9から過度に離間しようとしたときに、該受圧部4bが当接し得る当接部10が設けられている(図15参照)。
本実施例でも、ロータ6が一方向(図14において反時計回り方向)に回転する場合には、実施例1と同様に、弁体4の受圧部4bが、湾曲部9に沿って変形して通路8を閉塞するまで、受圧部4bが負荷に応じて湾曲部9に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能である。このため、負荷が小さいときには制動力を小さくし、負荷が大きいときには制動力を大きくするように、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
一方、ロータ6が逆方向(図14において時計回り方向)に回転する場合には、弁体4の受圧部4bが、無負荷のときには、通路8を閉塞しないように設けられているため、ロータ6の回転当初から、ベーン2の揺動によって生じる粘性液体の抵抗を非常に小さくすることが可能である。また、過負荷の場合に、弁体4の受圧部4bが湾曲部9から過度に離間しようとしても、該受圧部4bが当接部10に当接するため、過度の離間、及びそれによる弁体4の塑性変形を抑制することができる。
図16は、本発明の実施例6に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。本実施例に係るロータリーダンパは、ベーン2に板ばねからなる弁体4が設けられる点で、実施例3に係るロータリーダンパと共通するが、図17に示したように、湾曲部9(9’,9”)がベーン2の両側に設けられるとともに、弁体4の受圧部4b(4b’,4b”)がベーン2の両側に配置されている点で、実施例3に係るロータリーダンパと異なる。
ベーン2には、粘性液体が通過可能な通路8が形成される(図17及び図18参照)。弁体4の受圧部4b(4b’,4b”)は、屈曲又は湾曲していない平坦な形状である。湾曲部9(9’,9”)は、凹状に湾曲している(図17参照)が、凸状に湾曲したものであってもよい。弁体4の受圧部4b(4b’,4b”)は、湾曲部9(9’,9”)と互いに向き合うように配置される。無負荷のときには、受圧部4b(4b’,4b”)と湾曲部9(9’,9”)との間に隙間が形成されている(図17参照)。
本実施例に係るロータリーダンパは、ロータ6が一方向(図16において反時計回り方向)に回転する場合には、図19に示したように、一方の受圧部4b’が、一方の湾曲部9’に沿って変形して通路8を閉塞するまで、一方の受圧部4b’が負荷に応じて一方の湾曲部9’に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能である。この間、他方の受圧部4b”は、他方の湾曲部9”と離間しているので、粘性液体の流れの妨げとならない。このため、負荷が小さいときには制動力を小さくし、負荷が大きいときには制動力を大きくするように、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
一方、ロータ6が逆方向(図16において時計回り方向)に回転する場合には、図20に示したように、他方の受圧部4b”が、他方の湾曲部9”に沿って変形して通路8を閉塞するまで、他方の受圧部4b”が負荷に応じて他方の湾曲部9”に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能である。この間、一方の受圧部4b’は、一方の湾曲部9’と離間しているので、粘性液体の流れの妨げとならない。このため、ロータ6が一方向へ回転した場合のみならず、逆方向へ回転した場合でも、負荷が小さいときには制動力を小さくし、負荷が大きいときには制動力を大きくするように、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
図21は、本発明の実施例7に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。本実施例に係るロータリーダンパは、隔壁3に板ばねからなる弁体4が設けられる点で、実施例1に係るロータリーダンパと共通するが、図22に示したように、湾曲部9(9’,9”)が隔壁3の両側に設けられるとともに、弁体4の受圧部4b(4b’,4b”)が隔壁3の両側に配置されている点で、実施例1に係るロータリーダンパと異なる。
隔壁3には、粘性液体が通過可能な通路8が形成される(図21及び図22参照)。弁体4の受圧部4b(4b’,4b”)は、屈曲又は湾曲していない平坦な形状である。湾曲部9(9’,9”)は、凹状に湾曲している(図21参照)が、凸状に湾曲したものであってもよい。弁体4の受圧部4b(4b’,4b”)は、湾曲部9(9’,9”)と互いに向き合うように配置される。無負荷のときには、受圧部4b(4b’,4b”)と湾曲部9(9’,9”)との間に隙間が形成されている(図22参照)。
本実施例に係るロータリーダンパは、ロータ6が一方向(図21において反時計回り方向)に回転する場合には、一方の受圧部4b’が、一方の湾曲部9’に沿って変形して通路8を閉塞するまで、一方の受圧部4b’が負荷に応じて一方の湾曲部9’に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能である。この間、他方の受圧部4b”は、他方の湾曲部9”と離間しているので、粘性液体の流れの妨げとならない。このため、負荷が小さいときには制動力を小さくし、負荷が大きいときには制動力を大きくするように、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
一方、ロータ6が逆方向(図21において時計回り方向)に回転する場合には、他方の受圧部4b”が、他方の湾曲部9”に沿って変形して通路8を閉塞するまで、他方の受圧部4b”が負荷に応じて他方の湾曲部9”に接近することにより、通路8を通過する粘性液体の流量を調節可能である。この間、一方の受圧部4b’は、一方の湾曲部9’と離間しているので、粘性液体の流れの妨げとならない。このため、ロータ6が一方向へ回転した場合のみならず、逆方向へ回転した場合でも、負荷が小さいときには制動力を小さくし、負荷が大きいときには制動力を大きくするように、負荷に応じて制動特性を変えることができる。
本発明の実施例1に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。 図1におけるA−A部断面図である。 板ばねを示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。 実施例1において採用した隔壁の構造を示す断面図である。 実施例1に係るロータリーダンパの作用を説明するための図である。 本発明の実施例2に係るロータリーダンパにおいて採用した隔壁の構造を示す断面図である。 板ばねを設置した状態を示す図である。 実施例2に係るロータリーダンパの作用を説明するための図である。 本発明の実施例3に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。 図9におけるA−A部断面図である。 本発明の実施例4に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。 図11におけるA−A部断面図である。 実施例4に係るロータリーダンパの作用を説明するための図である。 本発明の実施例5に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。 図14におけるA−A部断面図である。 本発明の実施例6に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。 図16におけるA−A部断面図である。 図16におけるB−B部断面図である。 実施例6に係るロータリーダンパの作用を説明するための図である。 実施例6に係るロータリーダンパの作用を説明するための図である。 本発明の実施例7に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。 図21におけるA−A部断面図である。
符号の説明
1 ハウジング
2 ベーン
3 隔壁
4 弁体
4a 被支持部
4b 受圧部
5 プラグ
6 ロータ
7 室
8 通路
9 湾曲部
10 当接部

Claims (5)

  1. ハウジング内に設けられるロータと、
    前記ハウジング内において前記ロータの周りに形成される室と、
    該室内に充填される粘性液体と、
    前記室内に配設され、前記ロータの回転に伴い揺動するベーンと、
    前記室を仕切る隔壁と、
    該隔壁又は前記ベーンに形成される通路と、
    該通路が形成された隔壁又はベーンに設けられ、前記通路を通過する粘性液体の流量を負荷に応じて調節し得る板ばねからなる弁体とを有するロータリーダンパであって、
    前記通路が形成される隔壁又はベーンに湾曲部が設けられ、前記弁体の受圧部が前記湾曲部に沿って変形して前記通路を閉塞するまで、該受圧部が負荷に応じて前記湾曲部に接近することにより、前記通路を通過する粘性液体の流量が少なくなるように、その流量を調節可能であることを特徴とするロータリーダンパ。
  2. 前記湾曲部が前記隔壁又は前記ベーンの両側に設けられるとともに、前記弁体の受圧部が前記隔壁又は前記ベーンの両側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。
  3. 前記湾曲部が、凹状に湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーダンパ。
  4. 前記湾曲部が、凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーダンパ。
  5. 前記通路が形成される隔壁又はベーンに、前記弁体の受圧部が前記湾曲部から過度に離間しようとするときに、該受圧部が当接し得る当接部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーダンパ。
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