JP4791975B2 - サイクリン依存性キナーゼの阻害剤、組成物およびそれに関連する使用 - Google Patents

サイクリン依存性キナーゼの阻害剤、組成物およびそれに関連する使用 Download PDF

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Description

本発明は、一般的にサイクリン依存性キナーゼ(cdk)阻害剤として有用な化合物、それを含む薬学的組成物、癌または増殖性疾患またはその他の疾患の治療のためにそれらを製剤または使用する方法、ならびにそれを製造するための中間体および方法に関する。
生物学における最も重要かつ基本的なプロセスの1つは、細胞周期によりもたらされる細胞分裂である。このプロセスは、定められた生物学的機能をもつ次世代の細胞の生成を確実にコントロールする。それは、高度に調節された現象であり、細胞内および外部のソースの双方からの多様な細胞シグナルに反応する。腫瘍が遺伝子の生成を促進および抑制する複雑なネットワークは、この細胞シグナルプロセスの重要な要素である。腫瘍促進要素の過剰発現またはそれに続く腫瘍抑制生成物の損失は、調節されない細胞増殖および腫瘍の生成を導くだろう(Pardee、Science 246:603-608、1989)。サイクリン依存性キナーゼは、細胞周期の仕組みを調節する上で重要な役割を果たす。これらの複合体は、触媒サブユニット(キナーゼ)および調節サブユニット(サイクリン)の2つの要素からなる。これまで複数の調節サブユニット(サイクリンA〜H、K、NおよびT)とともに、9つのキナーゼサブユニット(サイクリン依存性キナーゼ1〜9)が確認されている。各キナーゼは、特異的な調節パートナーと関連し、それと一緒に活性触媒部分を作る。細胞周期の各遷移期は、特定のサイクリン依存性キナーゼ複合体:サイクリン依存性キナーゼ2/サイクリンE、サイクリン依存性キナーゼ4/サイクリンD1およびサイクリン依存性キナーゼ6/サイクリンD2によるG11S;サイクリン依存性キナーゼ2/サイクリンAおよびサイクリン依存性キナーゼ1/サイクリンAによるS/G2;サイクリン依存性キナーゼ1/サイクリンDによるG2/Mによって調節される。これらのキナーゼの調和された活性は、複製プロセスによって個別の細胞を導き、それぞれの次世代の存続を確実にする(Sherr、Cell 73:1059-1065、1993; Draetta、Trends
Biochem. Sci. 15:378-382、1990)。
腫瘍の発生とサイクリン依存性キナーゼに関連する機能不全との間の関係を示す証拠が増えてきた。サイクリン調節蛋白質および続くキナーゼの機能亢進が複数のタイプの癌と関連付けられた(Jiang、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
90:9026-9030、1993;Wang、Nature 343:555-557、1990)。より最近では、サイクリン依存性キナーゼの内因性の、高度に特異的な蛋白質阻害剤が、細胞の増殖に大きな影響を有していることがわかった(Kambら、Science 264:436-440、1994; Beach、Nature 336:701-704、1993)。これらの阻害剤としては、p16INK4(サイクリン依存性キナーゼ4/Dlの阻害剤)、p21CIP1(一般的なサイクリン依存性キナーゼ阻害剤)、およびp27KIP1(特異的なサイクリン依存性キナーゼ2/E阻害剤)があげられる。サイクリン依存性キナーゼ2/Aに結合したp27の最近の結晶構造から、これらの蛋白質がどのようにしてサイクリン依存性キナーゼ複合体との多数の相互作用を介して、キナーゼ活性を阻害するかが明らかになった(Pavletich、Nature 382:325-331、1996)。これらの蛋白質は、対応するサイクリン依存性キナーゼ複合体との特異的な相互作用を介して、細胞周期の調節を助長する。これらの阻害剤が欠乏している細胞は、調節されない成長や腫瘍形成を起こしやすい。この一連の証拠をもとに、治療物質としてのcdkファミリーの小分子阻害剤の多くの研究が行われるようになった。
本発明は、サイクリン依存性キナーゼとして既知のクラスの酵素の潜在的な阻害剤である化合物を記載している。本発明は、治療的有効量の、本発明の化合物又化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態の少なくとも1つを投与することによって、癌またはその他の増殖性疾患を治療する方法を提供する。本発明はさらに、本発明の化合物および別の抗癌剤または抗増殖剤のうちの少なくとも1つの治療的に有効な組み合わせを投与することによって、癌またはその他の増殖性疾患を治療する方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、式Iによって表される構造を有する、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含む化合物を提供する。
Figure 0004791975
式中、
は、置換された、または置換されていない複素環を表し、または、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、置換された、もしくは置換されていないピペラジニル、または置換された、もしくは置換されていないシクロヘキシルを表し、
Fは、(CHを表し、nは、1乃至6の整数であり、いくつかの態様において、nは1であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない二級アミノ置換基、置換された、もしくは置換されていない三級アミノ置換基、または置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、nは1である。
いくつかの態様において、式I中のQは、三級アミノ置換基、例えば、ジアルキルアミンを表す。いくつかの態様において、式I中のQは、置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環、例えば、モルフォリン、ピペリジン、ピペラジン、またはピロリジンを表す。いくつかの態様において、Qは、窒素含有へテロアリール環、三級アミノ置換基、または、置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環を表す。
いくつかの態様において、Rは、下記式を表し、
Figure 0004791975
式中、Zは、OまたはNR”を表し、
R”は、Hまたは低級アルキルを表す。
いくつかの態様において、式Iの構造を有する化合物は、下記の化合物の1以上を除外する。
Figure 0004791975
Figure 0004791975
いくつかの態様において、式Iの化合物は、表に記載の化合物の1以上を含む。例えば、化合物は、化合物B1乃至B20およびC2の1以上を含むことができる。
尚、いくつかの態様において、好適な置換基は、それぞれ個別に、アルキル、オキソ、アシルアミノ、ヒドロキシル、カルボニル、スルホニル、エステル、アミド、NR”、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、またはオリゴ(エチレングリコール)を含む。いくつ環態様において、Qが二級アミノ置換基である場合、好適な置換基は、アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびヒドロキシアルコキシアルキルを含む。当業者は、例示した置換基は、全てを網羅したものではなく、他の好適な置換基を使用し得ることを当業者は、容易に認識するであろう。
いくつかの態様において、本発明は、式IIによって表される構造を有する、化合物、または、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態に関する。
Figure 0004791975
式中、
Bは、Mであり、
Arは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
Vは、O、S、またはN−CNであり、
Wは、O、S、またはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、または金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、Hまたは低級アルキルであり、
は、H、P(=O)(OR’)、またはMQであり、
は、H、OH、またはMQであり、但し、RおよびRのうちの1つだけがHであり、
は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、または低級アルコキシルであり、
は、置換された、もしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアミンであり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(例えば、C(=O)およびC(=S)、NR”、O、S、S(O)またはS(O)であり、
nは、Bにnが存在する場合は1〜4の整数であり、Rにnが存在する場合は0〜6の整数であり、Rにnが存在する場合は1〜3の整数であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、Rは、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、ピペラジニル、またはシクロヘキシルを表す。
いくつかの態様において、R’’は、Hである。
いくつかの態様において、Rは、MQである。
いくつかの態様において、Qに付いたMは、CH、S(O)、C(=S)、またはC(=O)である。
いくつかの態様において、Qに付いたMは、CHである。
いくつかの態様において、Qに付いたMは、置換されたC(=O)である。
いくつかの態様において、Qに付いたMは、置換されたNR’’である。
いくつかの態様において、Qは、置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない三級アミノ置換基である。
いくつかの態様において、Rは、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、ピペラジニル、またはシクロヘキシルである。いくつかの態様において、R’’は、Hであり、また、いくつかの態様において、少なくとも1つのMは、CH、置換されたNR’’であり、または、Qに付いているとき、Mは、CH、S(O)、C(=S)またはC(=O)である。
いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有ヘテロアリール環である。別のいくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有複素環である。いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない三級アミノ基である。いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない二級アミノ基である。
いくつかの態様において、本発明は、下記式C1によって表される構造を有する化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態に関する。
Figure 0004791975
いくつかの態様において、本発明は、下記式C5によって表される構造を有する化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態に関する。
Figure 0004791975
いくつかの態様において、本発明は、1以上の上記化合物を、精製された、または合成された形態で提供する。
いくつかの態様において、本発明は、式IIによって表される構造を有する化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態に関する。
Figure 0004791975
式中、
Bは、Mであり、
Arは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
Vは、O、S、またはN−CNであり、
Wは、O、S、S(O)、C(=O)、C(=S)、CH、またはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、または金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、Hまたは低級アルキルであり、
R’’’は、H、または任意に置換された低級アルキルであり、
は、MJKであり、
は、H、OH、またはMQであり、
は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、または低級アルコキシルであり、
は、置換された、もしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアミンであり、
Jは、C(=O)、C(=S)、またはSOであり、
Kは、OR’、N(R’’)、またはN(R’)SOR’’であり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(例えば、C(=O)およびC(=S)、NR”、O、S、S(O)またはS(O)であり、
nは、Bにnが存在する場合は1〜7の整数であり、Rにnが存在する場合は0〜6の整数であり、Rにnが存在する場合は1〜3の整数であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、Rは、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、ピペラジニル、またはシクロヘキシルを表す。いくつかの態様において、R’’は、Hである。
いくつかの態様において、Qに付いたMは、CH、置換されたNR’’、S(O)、C(=S)、またはC(=O)である。
いくつかの態様において、Rは、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、ピペラジニル、またはシクロヘキシルを表す。
いくつかの態様において、R’’は、Hである。
いくつかの態様において、Rは、MQである。
いくつかの態様において、Qに付いたMは、CH、S(O)、C(=S)、またはC(=O)である。
いくつかの態様において、Qに付いたMはC(=O)である。
いくつかの態様において、Qに付いたMはCHである。
いくつかの態様において、Qに付いたMは、置換されたNR’’である。
いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない三級アミノ置換基である。
いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、置換基は、それぞれ個別に、アルキル、オキソ、アシルアミノ、ヒドロキシル、カルボニル、スルホニル、エステル、アミド、NR”、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、またはオリゴ(エチレングリコール)を含む。
いくつかの態様は、式IIによって表される構造を有する化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含む。
Figure 0004791975
式中、
Bは、Mであり、
Arは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
Vは、O、S、またはN−CNであり、
Wは、O、S、S(O)、C(=O)、C(=S)、CH、またはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、または金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、Hまたは低級アルキルであり、
R’’’は、H、または任意に置換された低級アルキルであり、
は、MJK、MQであり、
は、H、OH、またはMQであり、但し、RはおよびRのうちいずれか1つだけがHであり、
は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、または低級アルコキシルであり、
は、置換された、もしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアミンであり、
Jは、C(=O)、C(=S)、またはSOであり、
Kは、OR’、N(R’’)、またはN(R’)SOR’’であり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(例えば、C(=O)およびC(=S)、NR”、O、S、S(O)、S(O)またはCHであり、
nは、Bにnが存在する場合は1〜7の整数であり、Rにnが存在する場合は0〜6の整数であり、Rにnが存在する場合は1〜3の整数であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環であり、
但し、式IIaによって表される構造を有する化合物は除外されるものとする:
Figure 0004791975
式中、
WおよびZは、個別に、OまたはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、又は金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、H又は低級アルキルであり、
は、H、P(=O)(OR’)、又はMQであり、
は、R及びRのうちの1つだけがHであることを条件として、H、OH、またはMQであり、
は、それぞれ個別に、水素、ハロゲン、低級アルキル、または低級アルコキシルであり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(C(=S)およびC(=O)を含む)、NR”、O、S、S(O)又はS(O)であり、
nは、1〜5の整数であり、
Qは、窒素含有ヘテロアリール環、三級アミノ置換基、または置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式IIaにおけるQは、三級アミノ置換基、例えば、ジアルキルアミンである。いくつかの態様において、式IIaにおけるQは、置換された、または置換されていない、窒素含有複素環、例えば、モルフォリン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンまたはピロリジンである。いくつかの態様において、Qは、窒素含有ヘテロアリール環、三級アミノ置換基、または置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式IIにおいて、
Bは、Mであり、
Arは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
Vは、O、S、またはN−CNであり、
Wは、C(=O)、C(=S)、S(O)、またはCHであり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、又は金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、H、又は低級アルキルであり、
R’’’は、H、または任意に置換された低級アルキルであり、
は、H、P(=O)(OR’)、MJK、又はMQであり、
は、RおよびRのうちの1つだけがHであることを条件として、H、OH、またはMQであり、
は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、または低級アルコキシルであり、
は、置換された、もしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアミンであり、
Jは、C(=O)、C(=S)、またはSOであり、
Kは、OR’、NR’’、またはN(R’)SOR’’であり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(C(=S)およびC(=O)を含む)、NR”、O、S、S(O)又はS(O)であり、
nは、Bにnが存在する場合は1〜4の整数であり、Rにnが存在する場合は0〜6の整数であり、Rにnが存在する場合は1〜3の整数であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない、窒素含有ヘテロアリール環、二級アミノ置換基、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、Qは、三級アミノ置換基、例えば、ジアルキルアミン、または、置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環、例えば、モルフォリン、ピペリジン、ピペラジン、またはピロリジンである。
いくつかの態様において、式IIにおいて、
Bは、Mであり、
Arは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
Vは、O、S、またはN−CNであり、
Wは、O、S、S(O)、C(=O)、C(=S)、CH、またはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、金属対イオン、またはアルカリ土類金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、H又は低級アルキルであり、
R’’’は、H、または任意に置換された低級アルキルであり、
は、H、P(=O)(OR’)、MJK、又はMQであり、
は、R及びRのうちの1つだけがHであることを条件として、H、OH、またはMQであり、
は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、または低級アルコキシであり、
は、置換された、もしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアミンであり、
Jは、C(=O)、C(=S)、またはSOであり、
Kは、OR’、NR’’、またはN(R’)SOR’’であり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(C(=S)およびC(=O)を含む)、NR”、O、S、S(O)又はS(O)であり、
nは、Bにnが存在する場合は1〜4の整数であり、Rにnが存在する場合は0〜6の整数であり、Rにnが存在する場合は1〜3の整数であり、
Qは、置換された、または置換されていない二級アミノ置換基である。
別の態様において、式II中、
Bは、Mであり、
Arは、アリールまたはヘテロアリール環であり、
Vは、O、S、またはN−CNであり、
Wは、O、S、S(O)、C(=O)、C(=S)、CHまたはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、又は金属対イオン、またはアルカリ土類金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、H又は低級アルキルであり、
R’’’は、H、または任意に置換された低級アルキルであり、
は、MJKであり、但し、RはCHCOOHでなく、
は、H、OH、またはMQであり、
は、H、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、または低級アルコキシルであり、
は、置換された、もしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアミンであり、
Jは、C(=O)、C(=S)、またはSOであり、
Kは、OR’、N(R’’)、またはN(R’)SOR’’であり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(C(=S)およびC(=O)を含む)、NR”、O、S、S(O)、またはS(O)であり、
nは、Bにnが存在する場合は1〜4の整数であり、Rにnが存在する場合は0〜6の整数であり、Rにnが存在する場合は1〜3の整数であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない、窒素含有ヘテロアリール環、二級アミノ置換基、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である、
いくつかの態様において、式II中、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有ヘテロアリール環であり、Rは、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、ピペラジニル、またはシクロヘキシルであってもよい。式中、R’’は、Hでもよい。
Mは、CHであってもよい。いくつかの態様において、式II中、WはCHであり、少なくとも1つのMは、置換されたNR”である。
いくつかの態様において、式II中、Qは、置換された、または置換されていない二級アミノ基である。いくつかの態様において、式II中、Qは、置換された、または置換されていない三級アミノ基である。いくつかの態様において、式II中、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式IIにおいて、Qは、置換された、もしくは置換されていない、窒素含有ヘテロアリール環、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式IIにおいて、Rは、MQであり、Qは、置換された、もしくは置換されていない、窒素含有ヘテロアリール環、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式II中、Qは、置換された、または置換されていない三級アミノ基である。
いくつかの態様において、式II中、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式II中、Rは、MQであり、Qは、置換された、または置換されていない二級アミノ基である。
いくつかの態様において、式II中、Rは、MQであり、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有ヘテロアリール環である。
いくつかの態様において、式II中、Rは、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、ピペラジニル、またはシクロヘキシルである。
いくつかの態様において、式II中、R’’はHである。
いくつかの態様において、式II中、WはCHである。
いくつかの態様において、式II中、Mは、Qに付いているとき、CH、S(O)、C(=S)、またはC(=O)である。
いくつかの態様において、式II中、Mは、Qに付いているとき、CHである。
いくつかの態様において、式II中、Mは、Qに付いているとき、CH、S(O)、C(=S)、またはC(=O)である。
いくつかの態様において、式II中、VはOであり、MはNHであり、Rは下記式の構造を有する。
Figure 0004791975
式中、Zは、O又はNR”である。
いくつかの態様において、Arはフェニル環であり、RおよびRは出現する全ての環においてHである。
いくつかの態様は、式Vによって表される構造を有する、化合物、またはプロドラッグ、異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含む。
Figure 0004791975
式中、
は、置換された、または置換されていない複素環であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない、二級アミノ置換基、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である。
上記のように、いくつかの態様において、Rは、モルフォリノまたはピペラジニル環でもよい。
いくつかの態様において、上記したように、Qは、ピペラジン、モルフォリン、ピペリジン、ピリジン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、イミダゾール、またはピラゾールとすることができる。
いくつかの態様は、A34、A36、A37、A44、A46およびA76〜A82からなる群から選択される化合物、またはプロドラッグ、異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含む。
いくつかの態様は、A47、A49、A51およびA82からなる群から選択される化合物、またはプロドラッグ、異性体、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含む。
いくつかの態様において、Wは、O、S(O)、C(=O)、C(=S)、S、CH、またはNR’’である。
既に述べたように、いくつかの態様において、Qは、置換された、もしくは置換されていない、窒素含有ヘテロアリール環、三級アミノ置換基、または窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、好適な置換基は、それぞれ個別に、アルキル、オキソ、アシルアミノ、ヒドロキシル、カルボニル、スルホニル、エステル、アミド、NR”、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、またはオリゴ(エチレングリコール)を含むことができる。いくつかの態様において、Qが二級アミノ置換基である場合、好適な置換基は、アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシルアルキル(hydroxylakly)、およびヒドロキシアルコキシアルキルを含む。例示した置換基は、全てを網羅したものではなく、他の好適な置換基を使用し得ることを当業者は、容易に認識するであろう。
いくつかの態様は、薬学的に許容される添加剤および本明細書に開示したあらゆる種類の化合物を含む薬学的組成物を含むことができる。一方、いくつかの態様は、高増殖性障害を治療するほう方であって、本明細書に開示したあらゆる種類の化合物を動物に投与することを特徴とした方法を含む。
いくつかの態様において、本明細書に開示した化合物は、細胞の増殖を阻害する方法であって、該細胞を本明細書に開示したあらゆる種類の化合物に接触させることを含む方法、または、本明細書に開示したあらゆる種類の化合物を哺乳動物に投与することを含む、ウイルス感染(ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染など)を治療する方法に適用することができる。いくつかの態様は、1以上の化学療法又は放射線治療と合わせて、本明細書に開示した化合物を哺乳動物に投与することを含む、化学療法又は放射線治療によって誘発された脱毛を治療又は予防する方法に関する。本明細書に開示されている化合物は、医薬品を製造するために使用することもできる。
該化合物はまた、高増殖性障害などの障害を治療するために用いてもよい。該化合物は、ヒトまたは動物に投与することができる。該化合物は、例えば、増殖性の細胞と該化合物を接触させることによって、細胞増殖を阻害するために使用することができる。該化合物はまた、化合物を哺乳動物に投与することによって、ウイルス感染を治療するために使用することができる。
該化合物を用いて形成される医薬品は、障害(例えば、高増殖性細胞障害、ウイルス感染、化学療法によって誘導された脱毛、およびサイクリン依存性キナーゼ活性に関連する疾患、など)の治療または予防のための製剤として使用することができる。該医薬品は、本明細書に記載のあらゆる障害の治療に用いることができる。
該化合物を使用して、種々の方法を行うことができる。例えば、該化合物の治療的有効量をそのような治療を必要とする患者に投与することによって、方法を、サイクリン依存性キナーゼを阻害するために用いてもよい。サイクリン依存性キナーゼ関連性の疾患を治療するために、該化合物の治療的有効量をそのような治療を必要とする患者に投与することを含む方法を用いることもできる。ヒトまたは他の動物を治療する方法も本明細書において記載する。いくつかの態様において、1以上の本発明の化合物の治療的有効量を含有する組成物を用いてヒトまたは他の動物を治療してもよい。
いくつかの態様において、本発明は、薬学的に許容される担体および式(I)または(II)で表される化合物または本明細書に開示された他の化合物の治療的有効量を含む新規な薬学的組成物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N-オキシド、またはそれらの立体異性体形態を提供する。
別の態様において、本発明は、式(I)または(II)で表される化合物または本明細書に開示された他の化合物の治療的有効量を含む新規な薬学的組成物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N-オキシド、またはそれらの立体異性体形態の治療的有効量を、そのような治療を必要としている患者に投与することを含む、癌または他の増殖性もしくはその他の疾患を治療する新規な方法を提供する。
別の態様において、本発明は、(a)式(I)または(II)で表される化合物または本明細書に開示された他の化合物の治療的有効量を含む新規な薬学的組成物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N-オキシド、またはそれらの立体異性体形態;ならびに(b)抗癌剤および抗増殖剤から選択される少なくとも1つの化合物を、そのような治療を必要としている患者に投与することを含む、癌または他の増殖性もしくはその他の疾患を治療する新規な方法を提供する。
本明細書に記載したように、本発明の阻害剤は、細胞周期機構を阻害することが可能であり、したがって、細胞周期進行を調整するのに有用であり、究極的に細胞の成長および分化を制御するものであろう。そのような化合物は、過剰な細胞増殖に関連する疾患、例えば、癌、乾癬、望ましくない白血球の増殖を伴う免疫疾患などに罹患した患者の治療、再狭窄および他の平滑筋細胞障害などの治療において有用である。そのような化合物は、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−I)の転写の阻害にも有用であろう(Wang et al., J. Virology 75:7266-7279 (2001))。
また、本明細書に記載しているように、本発明の化合物は、医薬品を製造するのに使用することができ、それは、本明細書に記載したような疾患の治療に使用することができる。
本発明は、新規なサイクリン依存性キナーゼ(cdk)阻害剤、限定されないが、特に、cdk/サイクリン複合体の阻害剤に関する。本明細書に記載したように、本発明の阻害剤は、細胞周期機構を阻害することが可能であり、したがって、細胞周期進行を調整するのに有用であり、究極的に細胞の成長および分化を制御する。以下において非常に詳細に述べているように、そのような化合物は、過剰な細胞増殖に関連する疾患、例えば、癌、乾癬、望ましくない白血球の増殖を伴う免疫疾患などに罹患した患者の治療、再狭窄および他の平滑筋細胞障害などの治療において有用である。
ある態様において、本発明は、式Iによって表される構造を有する、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する:
Figure 0004791975
式中、
は、置換された、もしくは置換されていない複素環を表し、または、置換された、もしくは置換されていないモルフォリノ、置換された、もしくは置換されていないピペラジニル、または置換された、もしくは置換されていないシクロヘキシルを表し、
Fは、(CHを表し、nは、1乃至6の整数であり、いくつかの態様において、nは1であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない二級アミノ置換基、置換された、もしくは置換されていない三級アミノ置換基、または置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式I中のQは、三級アミノ置換基、例えば、ジアルキルアミンを表す。いくつかの態様において、式I中のQは、置換された、または置換されていない窒素含有複素環、例えば、モルフォリン、ピペリジン、ピペラジン、またはピロリジンを表す。いくつかの態様において、Qは、窒素含有へテロアリール環、三級アミノ置換基、または、置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環を表す。
いくつかの態様において、Rは、下記式を表し、
Figure 0004791975
式中、Zは、OまたはNR”を表し、
R”は、Hまたは低級アルキルを表す。
いくつかの態様において、式Iの構造を有する化合物は、下記の化合物の1以上を除外する。
Figure 0004791975

Figure 0004791975
いくつかの態様において、式Iの化合物は、表に記載の化合物の1以上を含む。例えば、化合物は、化合物B1乃至B20およびC2の1以上を含むことができる。
尚、いくつかの態様において、好適な置換基は、それぞれ個別に、アルキル、オキソ、アシルアミノ、ヒドロキシル、カルボニル、スルホニル、エステル、アミド、NR”、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、またはオリゴ(エチレングリコール)を含む。いくつ環態様において、Qが二級アミノ置換基である場合、好適な置換基は、アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、およびヒドロキシアルコキシアルキルを含む。当業者は、例示した置換基は、全てを網羅したものではなく、他の好適な置換基を使用し得ることを当業者は、容易に認識するであろう。
別の態様において、本発明は、式IIによって表される構造を有する、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する:
Figure 0004791975
式中、
Bは、Mであり、
Arは、アリールまたはヘテロアリール環であり、例えば、フェニル環であり、
Vは、O、S、またはN−CNであり、好ましくはOまたはSであり、
Wは、O、S、S(O)、C(=O)、C(=S)、CHまたはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、又は金属対イオンであり、例えば、アルカリもしくはアルカリ土類金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、H又は低級アルキルであり、好ましくはHであり、
R’’’は、H、または任意に置換された低級アルキルであり、好ましくは、エステル、アミド、アシルアミド、またはアシルオキシから選択される置換基によって置換されている、
は、H、P(=O)(OR’)、MJK、又はMQであり、
は、H、OH、またはMQであり、但し、好ましくは、R及びRのうちの1つだけがHであり、
は、それぞれ個別に、H、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、例えば、メチル、または低級アルコキシル、例えば、メトキシであり、
は、置換された、もしくは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアミンであり、
Jは、C(=O)、C(=S)、またはSOであり、
Kは、OR’、NR’’、またはN(R’)SOR’’であり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(例えば、低級アルキル、オキソ、ヒドロキシルなどで置換されている)、NR”、O、S、S(O)又はS(O)、好ましくは、WまたはQについているときは、CH、S(O)、C(=S)またはC(=O)であり、
nは、Bにnが存在する場合は0〜10、好ましくは1〜7の整数であり、Bにnが存在する場合はさらに1〜4の整数であり、Rにnが存在する場合は0〜6の整数であり、Rにnが存在する場合は1〜3の整数であり、
Qは、置換された、または置換されていない、窒素含有ヘテロアリール環、例えば、ピロール、テトラゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イソキサゾール、イミダゾール、もしくはピラゾール;二級アミノ置換基、例えば、モノアルキルアミン、アリールアルキルアミン、ヘテロアリールアルキルアミン;三級アミノ置換基、ジアルキルアミン、または窒素含有複素環、モルフォリン, ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、もしくはピロリジンである。
いくつかの態様において、Kは、N(R’)SOR’’であり、R’’は低級アルキルである。
いくつかの態様において、Rは、MJKであり、RはCHCOOHではない。
いくつかの態様において、適切な置換基は、それぞれ個別に、アルキル、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、ヒドロキシアルコキシ、カルボニル、スルホニル、エステル、アミド、NR”、アルキルハライド、アシルアミノ、または置換された、もしくは置換されていないアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、オリゴ(エチレングリコール)などを含む。アリールおよびヘテロアリールは、上記した置換基のいずれかを含めて、任意の好適な置換を採用することができる。
いくつかの態様において、Rは、以下の置換基のいずれかである。すなわち、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ヒドロキシル−アルコキシ、アリール、アミン、またはヘテロアリールのいずれかである。いくつかの態様において、上記置換基のいずれかは、上記置換基のいずれかによって、またはハロ、−CN、N、NOまたはハロアルキルによっても、任意に置換されるかもしれない。他の好適な置換基としては、例えば、シクロヘキシル、=O、カルボニル、スルホニル、カルボキシル、スルホキシル、アミド、複素環、エステル、またはエーテルも含まれる。
いくつかの態様において、少なくとも1つのMは、MがRに付いているとき、およびMがRに存在するとき、NR’’に置換されている。
いくつかの態様において、上記態様のいずれかを含み、Rは以下の形態を有する。
Figure 0004791975
式中、Zは、O又はNR”である。いくつかの態様において、Rは、モルフォリノまたはシクロヘキシルである。そのような態様において、MはNR’’であり、好ましくはNHである。いくつかの態様において、VはOである。
いくつかの態様において、WはCHである。そのような態様において、少なくとも1つのMは、置換されたNR’’である。
いくつかの態様において、R’’’が存在し、置換された低級アルキルであるいくつかの態様において、低級アルキルは、低級アルキル、低級ハロアルキル、NR8a、NR’’C(O)R、=O、COR、CO、NR’’CO、C(O)NR8a、NR’’C(O)NR8a、NR’’C(S)NR8a、C(S)NR8a、NR’’SONR8a、SONR8a、NR’’SO8a、SO8a、NR’’SO8a、0〜5のR’’’で置換されたC3−10炭素環、およびO、N、およびSから選択され、0〜3のRで置換されている1〜4のヘテロ原子を含有する5−10員環の複素環(Rは、H、C1−4ハロアルキル、NR8a8a、NR’’C(O)OR8a、NR’’C(O)R8a、COR8a、CO8a、CONR8a、R8a、NHC(O)NR8a8a、NHC(S)NR8a8a、SONR8a8a、SO8a、C1−4アルキル、フェニル、ベンジル、0〜3のR’’’で任意に置換されたC2−10アルケニルで置換されたC5−10アルキル、(CFCF、0−5のR’’’で置換されたC3−10炭素環およびO、N、およびSから選択され、0〜3のR’’’で置換されている1〜4のヘテロ原子を含有する5−10−員環の複素環である、ならびにR8aは、それぞれ個別にH、低級アルキル、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される)から選択された1−3(好ましくは1)の置換基で置換されている。
いくつかの態様において、R’’’は、アミノ酸残基、例えば、バリンまたはグリシン残基、例えば、R’’’は、アミド結合またはエステル結合を介して、アミノ酸残基で置換された低級アルキル残基である。
好ましい態様において、R、WおよびRは、Ar上では互いに隣接している(オルトである)が、三環式コアに対する結合に対しては隣接していない(オルトではない)ことが好ましい。
いくつかの態様において、Vは、SまたはN−CNである。いくつかの態様において、Arはヘテロアリール環である。.
式IIのいくつかの態様において、WはO、SまたはNR’’である。いくつかの態様において、Rは、H、P(=O)(OR’)、またはMQである。いくつかの態様において、Rは、それぞれ個別にハロゲン、ヒドロキシル、メチルなどの低級アルキル、またはメトキシなどの低級アルコキシである。いくつかの態様において、nは0〜5の整数、好ましくは1〜5、さらに好ましくは、nがRに存在するとき、2〜4である。
式IIのいくつかの態様において、Wは、O、CH、C(=O)、C(=S)、またはSOである。いくつかの態様において、Rは、MJK、又はMQである。いくつかの態様において、R及びRは、Hである。いくつかの態様において、Mは、C(=O)またはCHである。いくつかの態様において、nは、好ましくは1である。一方、別の態様においては0でもよい。いくつかの態様において、Jは、好ましくはC(=O)であり、Kは、OR’またはN(R’)SOR’’ある。いくつかの態様において、N(R’)SOR’’はNHSOR’’である。
いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有ヘテロアリール環である。いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていないヘテロアリール環、例えば、少なくとも2つの窒素原子を含有する5員環もしくは6員環である。いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない形態のテトラゾールまたはオキサジアゾールである。いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない形態のピリジン、ピペリジンまたはピペラジンとすることができる。
いくつかの態様において、Qは二級アミノ置換基である。そのような態様において、二級アミノ置換基上の置換基は、アルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびヒドロキシアルコキシアルキルから選択される。
式IIのいくつかの態様において、Wは、C(=O)、SO、またはC(=S)であり、RおよびRはHであり、RはMQであり、nは0であり、Qは置換された、または置換されていない窒素含有ヘテロアリール環である。いくつかの態様において、WはCHであり、RおよびRはHであり、Rは、MQであり、nは0であり、Qは置換された、または置換されていない窒素含有ヘテロアリール環である。
いくつかの態様において、Wは、S、OまたはNR”であり、RおよびRはHであり、RはMJKであり、nは1〜3の整数であり、Jは、C(=O)であり、Kは、OR’またはN(R’)SOR’’である。
いくつかの態様において、Wは、S、O、またはNR”であり、RおよびRはHであり、RはMQであり、nは、1〜3の整数であり、Qは、置換された、または置換されていない、5員環の窒素含有複素環である。そのような態様において、nは好ましくは1である。いくつかの態様において、Qは、少なくとも2つの窒素原子を含む。
いくつかの態様において、Wは、S、O、またはNR”であり、RおよびRはHであり、RはMQであり、nは、1〜3の整数であり、Qは、置換された、または置換されていない、6員環の窒素含有複素環である。そのような態様のいくつかにおいて、nは2であり、MはCHC(=O)である。
いくつかの態様において、Wは、O、S、またはNR”であり、RおよびRはHであり、RはMQであり、MはCHであり、nは、1〜3の整数であり、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、Qは、置換された窒素含有複素環、例えば、ピペラジン、モルフォリン、ピペリジン、ピリジン、チアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピロールなどであり、好適な置換基は、置換された、または置換されていない形態のアルキル、アミノアルキル、アルコキシル、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリール(例えば、フェニル)およびヘテロアリール、例えば、オキサジル(oxazyl)、ピペラジル(peperazyl)、ピリジル、ピロリルを含む。そのようないくつかの態様において、Qは、Mに付いていない窒素、例えば、そのような置換基によって置換されている窒素を含有する。
いくつかの態様において、本発明は、下記式C1によって表される構造を有する化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態に関する。
Figure 0004791975
いくつかの態様において、本発明は、下記式C5によって表される構造を有する化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態に関する。
Figure 0004791975
式IIのいくつかの態様において、本発明は、式IIaで表される構造を有する、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する:
Figure 0004791975
式中、
WおよびZは、個別に、OまたはNR”であり、
R’は、それぞれ個別に、H、低級アルキル、又は金属対イオン、例えば、アルカリもしくはアルカリ土類金属対イオンであり、
R”は、それぞれ個別に、H又は低級アルキルであり、好ましくはHであり、
は、H、P(=O)(OR’)、又はMQであり、
は、H、OH、またはMQであり、但し、好ましくはR及びRのうちの1つだけがHであり、
は、それぞれ個別に、水素、ハロゲン、メチルなどの低級アルキル、またはメトキシなどの低級アルコキシルであり、
Mは、それぞれ個別に、置換された、もしくは置換されていない、メチレン基(例えば、低級アルキル、オキソ、ヒドロキシルなどで置換されている)、NR”、O、S、S(O)又はS(O)であり、好ましくはCHであり、WまたはQに付いているときは、CH、S(O)、C(=S)、またはC(=O)であり、
nは、1〜5の整数であり、好ましくは、Rにnが存在するときは2〜4であり、Rにnが存在するときは1〜3であり
Qは、窒素含有ヘテロアリール環、例えば、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、イミダゾール、またはピラゾール、三級アミノ置換基、例えば、ジアルキルアミン、または置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環、例えば、モルフォリン、ピペリジン、ピペラジン、もしくはピロリジンである。
いくつかの態様において、Qは、三級アミノ置換基、例えば、ジアルキルアミンである。いくつかの態様において、Qは、置換された、または置換されていない窒素含有複素環、例えば、モルフォリン、ピペリジン、ピペラジンもしくはピロリジンである。いくつかの態様において、Qは、窒素含有ヘテロアリール環、三級アミノ置換基、または置換された、もしくは置換されていない窒素含有複素環である。
いくつかの態様において、式IIで表される構造を有する化合物は、式IIaで表される構造を有する化合物を含まない。
式IIおよび式IIaによって表される化合物の例を表Bに示している。
本発明はまた、A3、A7〜A29、A31、A33〜A37、A40、A41、A44〜A47、A49、A51、A56、A57、A65、A69〜A82、C1、C2、およびC5から選択される、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N―オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する。ある態様において、本発明は、構造A37を有する異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N―オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する。
別の態様において、本発明は、化合物A37の単離されたプロドラッグまたは薬学的に許容される塩を提供する。そのような好ましい態様は、化合物A68またはC5のプロドラッグまたは薬学的に許容される塩である。
別の態様において、本発明は、B1〜B20、ならびいC1、C2およびC5から選択される構造を有する、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N―オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する。好ましい態様において、本発明は、構造B16またはC5を有する、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N―オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する。別の態様において、本発明は、構造B3を有する、異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N―オキシド、またはそれらの立体異性体形態を含めた化合物を提供する。
別の態様において、本発明は、化合物B16のメタボライトの単離されたプロドラッグまたは薬学的に許容される塩を提供する。そのような好ましい態様は、化合物B3のプロドラッグまたは薬学的に許容される塩を提供する。
いくつかの態様において、本発明は、式Vで表される構造を有する、化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシド、またはそれらの立体異性体形態を提供する:
Figure 0004791975
式中、
は、置換された、または置換されていない複素環であり、
Qは、置換された、もしくは置換されていない三級アミノ置換基または窒素含有複素環である。
本発明の別の態様において、表CおよびDに示された化合物が例として挙げられる。また、本発明は、そこに記載されている化合物の異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N-オキシド、または立体異性体形態を含む。
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体および式I、Ia、II、IIaで表される化合物、または本明細書に記載のあらゆる化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシドまたはそれらの立体異性体形態の治療的有効量を含む新規な薬学的組成物を提供する。好ましい態様において、そのような薬学的組成物は、A1〜A82、B1〜B20およびC1〜C5から選択される化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシドまたはそれらの立体異性体形態の治療的有効量を含む。別の態様において、そのような薬学的組成物は、化合物A37またはB16のメタボライト、好ましくは、構造A68またはC5を有するメタボライトの治療的有効量を含む。
いくつかの態様において、本発明は、本明細書に記載の1以上の化合物を精製または合成された形態で提供する。
別の態様において、本発明は、式I、II、IIaで表される化合物、または本明細書に記載のあらゆる化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシドまたはそれらの立体異性体形態の治療的有効量をそのような治療を必要としている患者に投与することを含む、癌または他の増殖性、または下記に説明する他のあらゆる疾患および状態を治療するための新規な方法を提供する。いくつかの態様において、抗癌剤および抗増殖剤から選択される少なくとも1つの化合物を、式I、II、IIaで表される化合物、または本明細書に記載のあらゆる化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシドまたはそれらの立体異性体形態と組み合わせて投与してもよい。好ましい態様において、そのような治療方法は、A1〜A82、B1〜B20およびC1〜C5から選択される化合物または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N―オキシド、またはそれらの立体異性体形態の治療的有効量の好適な投与を含む。本明細書において用いられている組み合わせ投与は、2つの治療が単一の調剤に組み合わされて、例えば、同時にもしくは時間を変えて投与される、別個の調剤で投与される、またはそうでなければ、治療計画の一環として患者に投与される治療を包含する。
別の態様において、本発明は、式I、II、IIaで表される化合物、または本明細書に記載のあらゆる化合物、または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N−オキシドまたはそれらの立体異性体形態および任意に薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を製剤する方法を提供する。好ましい態様において、そのような薬学的組成物は、A1〜A82、B1〜B20およびC1〜C5から選択される化合物または異性体、プロドラッグ、互変異性体、薬学的に許容される塩、N―オキシド、またはそれらの立体異性体形態の治療的有効量の好適な投与を含む。別の態様において、そのような薬学的組成物は、プロドラッグ、または化合物A37もしくはB16のメタボライト、好ましくはA68もしくはC5の構造をもつメタボライトの薬学的に許容される塩の治療的有効量を含む。
好ましい態様において、本発明の薬学的組成物は、癌または他の増殖性、または下記に説明する他のあらゆる疾患および状態を治療するために使用される。
置換された基が用いられる本発明のいくつかの態様において、好適な置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、ケトン、アルデヒド、カルボキシル、エステル、アシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、チオホルマート)、アルコキシル、ホスホリル(例えば、ホスホナート、ホスフィナート)、リン酸塩、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ、アミノ−アルキル、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、エーテル、−CF、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アルコキシル、シリル、スルホニル(例えば、硫酸塩、スルホンアミド、スルファモイル、スルホン酸塩)、ヘテロシクリル、アラルキル(例えば、ベンジル)、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分(例えば、フェニル、オキサジル(oxazyl)、ピペラジル(peperazyl)、ピリジル、ピリル)を挙げることができる。そのような置換基は、それら自身置換されていてもよく、または置換されていなくてもよい。
ii.定義
本明細書において用いられるところの、下記の用語及び表現は、下記に示す意味をもつ。本発明の化合物は、非対称に置換された炭素原子を含有してもよく、また光学的に活性な形態又はラセミ体であってもよい。ラセミ体の分解又は光学的に活性な開始物質からの合成によるなどの光学的に活性な形態の調製のしかたは、当該技術分野において公知である。特に立体化学又は異性体形態が特に指摘されていない限り、全てのキラル、ジアステレオマー、ラセミ体及び幾何学的異性体の形態の構造が意図される。本発明の化合物を調製するために用いられる全てのプロセスおよび調製されてその化合物となる中間体を本発明の一部とみなす。
本発明は、本発明の化合物に存在している原子の全ての同位体を含むことが意図されている。同位体は、原子数が同じで、質量数が異なる原子を含む。一般的な例によれば、限定されないが、水素の同位体は、トリチウムとジュウテリウムとを含む。炭素の同位体は、12C及び14Cが含まれる。
「アルキル」という語は、分枝状及び直鎖状の、特定の炭素数の飽和脂肪族炭化水素基を含むことが意図されている。アルキルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、n―プロピル、i―プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t−ブチル、n―ペンチル及びs−ペンチルが含まれる。さらにこの語は、置換されていないアルキル基と置換されたアルキル基の双方を含むことが意図されており、後者は、1以上の水素置換基が、限定されないが、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、アルコキシ、エステル、エーテル、シアノ、ホスホリル、アミノ、イミノ、アミド、スルフヒドリル、アルキルチオ、チオエステル、スルホニル、ニトロ、複素環(heterocyclo)、アリール又はヘテロアリールによって置換されたアルキル部分を言う。適切であれば、置換された部分自身は同様に置換され得るということも当該技術分野の当業者に理解されるだろう。「低級アルキル」という語は、1〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルキル基を意味する、また、「低級アルコキシ」という語は、酸素原子に付着したそのような低級アルキル基を意味する。
本明細書で用いられるところの「ハロ」又は「ハロゲン」という語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
「アリール」という語は、限定されないが、フェニル、インダニル、又はナフチルなどの、特定数の炭素原子を含有する芳香族部分を意味することが意図されている。
「シクロアルキル」及び「ビシクロアルキル」という語は、あらゆる安定な環系を意味することが意図されている。それは、飽和されていてもよく、又は部分的に不飽和であってもよい。その例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロ[2 21ノナンビシクロ (bicycle[2 21nonane)、アダマンチル、又はテトラヒドロナフチル(テトラリン)が含まれる。
本明細書で用いられる「炭素環(carbocycle)」又は「炭素環式残基(carbocyclic residue)」は、あらゆる安定な、3員から7員の単環もしくは二環、又は、7員から13員の二環もしくは三環を、そのいずれも飽和されていてもよく、部分的に不飽和であってもよく、又は芳香族を意味することが意図されている。そのような炭素環の例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.0]ビシクロオクタン、[4.0]ビシクロノナン、[4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、又はテトラヒドロナフチル(テトラリン)が含まれる。
本明細書で用いられるところの、「複素環」又は「複素環系」という語は、安定な、5員から7員の単環もしくは二環、又は、7員から10員の二環の複素環式(へテロ環式の環)を意味することが意図され、それは飽和されていてもよく、部分的に不飽和であってもよく、又は不飽和(芳香族)であってよい。かつ、それは炭素原子及び、N,O及びSからなる群からそれぞれ独立に選択され、上記へテロ環式の環のいずれかがベンゼン環に融合している二環基を含む1〜4のヘテロ原子からなる。窒素、硫黄へテロ原子は、任意に酸化されていてもよい。へテロ環式の環は、あらゆるヘテロ原子もしくは炭素原子において、安定な構造を結果として示すそのペンダント基に付着していてもよい。本明細書に記載のヘテロ環式の環は、得られた化合物が安定である場合、炭素原子又は窒素原子において置換されていてもよい。特に記載されている場合、複素環中の窒素は、任意に四分割されていてもよい。複素環中のS及びOの原子の総数は1より大きく、これらのヘテロ原子は、互いに隣接しないことが好ましい。複素環中のS原子の総数は1以下であることが好ましい。本明細書で用いられるところの、「芳香族複素環系」という語は、炭素原子とN、O及びSからそれぞれ独立に選択された1〜4個のヘテロ原子からなる、安定な5員から7員の単環もしくは二環、又は、7員から10員の二環複素の環芳香族環を意味することが意図されている。芳香族複素環中のSとO原子の総数は1より大きいことが好ましい。芳香族複素環中のSおよびOの原子の総数は1以下であることが好ましい。複素環の例としては、限定されないが、1H-インダゾール、2-ピロリドニル(2-pyrrolidonyl)、2H16Hジチアジニル(2H16H dithiazinyl)、2H-ピロリル、3H-インドリル、 4-ピペリドニル(4-piperidonyl)、4aH-カルバゾール、4H-キノリジニル、6H-1,
2, 5-チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル(benztetrazolyl)、ベンゾイソオキサゾリル(benzisoxazolyl)、
ベンゾイソチアゾリル(benzisothiazolyl)、ベンゾイミダザロニル(benzimidazalonyl)、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、 P-カルボリニル(P-carbolinyl)、クロマニル、クロメニル(chromenyl)、シノノリニル(cinnolinyl)、デカヒドロキノリニル(decahydroquinolinyl)、2H,6Hジチアジニル、ジヒドロフロ[2、3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル(furazanyl)、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル(indolenyl)、インドリニル、インドリジニル(indolizinyl)、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル(isothiazolyl)、イソオキサゾリル(isoxazolyl)、モルホリニル、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル,
1,2,3-オキサジアゾリル,1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルペリミジニル(oxazolidinylperimidinyl)、フェナントリジニル(phenanthridinyl)、フェナントロリニル(phenanthrolinyl)、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル(phenoxathiinyl)、フェノキサジニル(phenoxazinyl)、フェタラジニル(phthalazinyl)、ピペラジニル、ピペリジニル、ピテリジニル(pteridinyl)、
ピペリドニル(piperidonyl)、 4-ピペリドニル、ピテリジニル(pteridinyl)、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾニル(pyrazolinyl)、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドキサゾール(pyridooxazole)、ピリドイミダゾール(pyridoimidazole)、
ピリドチアゾール(pyridothiazole)、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、 ピロリニル(pyrrolinyl)、ピロリル(pyrrolyl)、キナゾリニル、キノリニル、 4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、 1,2,4-チアジアゾリル、 1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアンスレニル(thianthrenyl)、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル(thienothiazolyl)、チエノオキサゾリル(thienooxazolyl)、チエノイミダゾリル(thienoimidazolyl)、チオフェニル、トリアジニル(triazinyl)、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、 1,3,4-トリアゾリル、キサンテニルが含まれる。好ましい複素環は、限定されないが、ピリジニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H-インダゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル(benzisoxazolyl)、オキシンドリル(oxindolyl)、ベンゾオキサゾリニル(benzoxazolinyl)、またはイサチノイル(isatinoyl)が含まれる。融合環、例えば、上記複素環を含有するスピロ化合物もまた含まれる。
本明細書に記載されているところの、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が酸又は塩基塩を作製することによって改変された、開示された化合物の誘導体を意味する。薬学的に許容される塩の例としては、限定されないが、アミンのような塩基残基の鉱塩もしくは有機酸塩、カルボン酸のような酸残基のアルカリもしくは有機塩などが含まれる。薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性の無機もしくは有機の酸から作製された親化合物の従来からの非毒性塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。
例えば、そのような従来の非毒性の塩には、塩酸、臭素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機の酸由来のもの、及び、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモイック酸(pamoic)、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、オキサル酸、イセチオン酸などの有機酸から調製された塩が含まれる。
本発明の薬学的に許容される塩は、塩基部分又は酸部分を含有する親化合物から従来の化学的な方法によって合成することができる。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基の形態を、水中もしくは有機溶媒中又はその2つの混合物中の化学量論的な量の適切な塩基もしくは酸、通常、好ましくは、エーテル、EtOAc、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリルのような非水系の媒体と反応させることによって調製することができる。好適な塩のリストがRemington's Pharmaceutical Sciences、18th
版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1990、p. 1445に挙げられている。この開示を引用によって本明細書中に援用する。
「薬学的に許容される」という表現は、本明細書において、過渡の毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは合併症を引き起こすことなく、合理的な利益/リスク比率に適うようにヒト及び動物の組織に接触させて使用するのに好適な、健全な医学的判断の範囲内の化合物、物質、組成物及び/又は用量形態を意味するものとして用いられる。
本明細書において用いられるところの「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグが哺乳動物被験体に投与されたとき、インビボで本発明の活性的な親薬物を放出させる、共有結合したあらゆる担体を含むことが意図されている。プロドラッグは、無数の望ましい薬剤の質(溶解性、生分解性、製造など)を高めることが知られているので、本発明の化合物をプロドラッグの形態で送達してもよい。したがって、本発明は、現在クレームされている化合物、その送達方法及びそれを含有する組成物を包含することが意図されている。本発明のプロドラッグは、化合物中に存在する官能基を、改変体が切断されて親化合物になるようにルーチンの操作で、あるいはインビボで、改変することによって調製される。プロドラッグは、本発明の化合物を含む。そこでは、ヒドロキシ基、アミノ基、又はスルフヒドリル基があらゆる基に結合しており、本発明のプロドラッグが哺乳動物被験体に投与されたとき、切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシ基、遊離アミノ基、又は遊離スルフヒドリル基になる。プロドラッグの例としては、限定されないが、酢酸塩、ギ酸塩及び安息香酸塩のアルコール誘導体及び本発明の化合物中のアミン官能基が含まれる。
用語「純粋な」または「精製された」は、指示された分子が、他の有機分子、特に副産物または分解経路の生成物といった不純物をほぼ含まない状態で存在することを意味する。いくつかの態様において、「純粋な」または「精製された」化合物は、組成物中の有機化合物に対して、乾燥重量(例えば、水、緩衝液、添加剤を除く、ある化合物の製剤中に存在しうる分子など)で少なくとも80%、より好ましくは、95〜99重量%、最も好ましくは、少なくとも99.8重量%である。
「置換された」は、指定された原子の正常の原子価が過剰でなく、置換基が安定な化合物になると仮定した場合、「置換された」という表現を用いて指定された原子上の1以上の水素が、指定された基の中から選択されたもので置換されていることを意味する。置換基がケト基又はオキソ基(すなわち=O)であるとき、原子上の2個の水素が置換されている。ケト/オキソ置換基は、芳香族部分には存在しない。置換基の例としては、例えば、アルキル、パーフルオロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、もしくはアシル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、チオホルマート)、アルコキシル、ホスホリル、リン酸塩、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。ヘテロシクリル、アリール、アルキルなどの置換基は、必要に応じて、それ自身が置換されていてもよいことを当業者は理解するであろう。
本発明の「治療的有効量」の化合物という語は、サイクリン依存性キナーゼとして既知のクラスの酵素を阻害し、又はホストにおいて癌又はその他の増殖性疾患を治療するのに有効な量を意味する。
本明細書において用いられる、「抗癌」剤又は「抗増殖」剤は、限定されないが、アルトレタミン、ブスルファン、クロランブシル、シクロフォスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、チオテパ、クラドリビン、フルオロウラシル、フロクスウリジン、ゲムシタビン、チオグアニン、ペントスタチン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、シタラビン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾトシン、カルボブラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、イプロプラチン、テトラプラチン(tetraplatin)、ロバプラチン(lobaplatin)、JM216、JM335、フルダラビン(fludarabine)、アミノグルテチミド、フルタミド、ゴセレリン、ロイプロリド、メゲストロールアセテート、シプロテロンアセテート、タモキシフェン、アナストロゾール、ビカルタミド、デキサメタゾン、ジエチルスチルベストロール、プレドニゾン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(doxirubicin)、イダルビシン、ミトキサントロン、ロソキサントロン(losoxantrone)、マイトマイシン−C、プリカマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、トポテカン、イリノテカン、9−アミノカンプトテカン(9-amino camptothecan)、9−ニトロカンプトテカン(9-nitro
camptothecan)、GS−211、JM118、エトポシド、テニポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、プロカルバジン、アスパラギナーゼ、ペガスパラガーゼ(pegaspargase)、オクトレオチド、エストラムスチン、及びヒドロキシ尿素を含む。
iii.用量及び製剤
本発明のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤は、癌又は増殖性疾患を治療するために、哺乳動物の体内のその作用物質の活性部位に、該作用物質を接触させることができるあらゆる方法によって投与される。それらは、薬剤と組み合わせて用いることが可能な常法によって、個別の治療剤として、あるいは、治療剤との組み合わせにおいて投与することができる。本明細書に記載の阻害剤の化学的特徴は、化合物に好ましい溶解性の特徴を付与し、それらを、以下により詳細に述べるように、静脈製剤、局所製剤、経口製剤その他として投与するのに好適なものにしている。それらは単独で投与することもできるが、選択された投与経路及び標準的な薬学的プラクティスに基づいて選択された薬学的担体とともに投与することが好ましい。好ましい賦形剤及びそれらの製剤については、例えば、書籍Remington's Pharmaceutical
Sciences (Remington's
Pharmaceutical Sciences. Mack Publishing Company、Easton、Pa.、USA 1985)に記載がある。
別の局面において、本発明は、1以上の薬学的に許容される単体(添加物質)及び/又は希釈剤を用いて上記のように製剤された、治療的有効量の本発明の1以上の化合物を含む、薬学的に許容される組成物を提供する。以下において詳細に述べるように、本発明の薬学的組成物は下記の投与形状に適合される形状を含む、固体又は液体形状で投与するように特別に製剤することができる。(1)経口投与、例えば、水薬(水溶性又は非水溶性溶液又は懸濁液)、錠剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌下投与のための糊剤、(2)非経口投与、例えば、無菌の溶液もしくは懸濁液として、例えば、皮下、筋肉内又は静脈内注射など(3)局所投与、例えば、皮膚に投与するためのクリーム、軟膏又はスプレー、(4)膣内又は直腸内(intravectally)、例えば、ペッサリー、クリーム又は泡剤。いくつかの態様において、薬学的製剤は、非発熱性、すなわち、患者の体温を上げないものであってもよい。
ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料及び芳香性物質、保存剤及び抗酸化剤を組成物中に存在させることもできる。
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、システインヒドロクロリド、ナトリウムビサルフェート、ナトリウムメタビサルファイト(sodium metabisulfite)、ナトリウムサルファイトなどのような水溶性抗酸化剤、(2)アスコルビルパルミテート(ascorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピル没食子酸塩、α―トコフェノールなどのような油溶性抗酸化剤、及び(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、リン酸などのような金属キレート剤が含まれる。
投与される用量は、もちろん、特定の薬剤の薬力学的特性やそのモードや投与経路、レシピエントの年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び広がり、併用する治療の種類、治療回数、及び望まれている効果といった公知の因子によって変わる。活性成分の1日用量は、体重1kgあたり約0.001〜約1000mgであることが期待され、好ましい用量は、約0.1〜約30mg/kgである。
投与に適した用量形態は、1ユニットあたり約1mg〜100mgの活性成分を含有する。これらの薬学的組成物において、活性成分は、組成物の総重量に基づき、通常、約0.95重量%存在するだろう。活性成分は、カプセル、錠剤及び散剤などの固形剤型、あるいは、エリキシル剤、シロップ及び懸濁液などの液体剤型で経口投与することができる。それは、無菌液体用量の剤型で非経口投与することもできる。
本発明の製剤は、経口、経鼻、局所(頬側、舌下を含む)、直腸、膣内及び/又は非経口投与に好適なものを含む。製剤は、単位用量形態ごとに好都合に存在することができ、薬学分野の当業者に公知のあらゆる方法で調製することができる。担体物質と混合して単一の用量形態を形成することができる活性成分の量は、治療されるホスト、特定の投与モードによって変わるだろう。単一の用量形態を形成する担体物質と混合することができる活性成分の用量は、通常、治療効果をもたらす阻害剤の量である。一般的に、この量は、100%中、約1%〜約99%の活性成分の範囲であり、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%である。
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、本発明の化合物を、担体及び任意には、1以上の副成分と結合させるステップを含む。一般的に、製剤は、本発明の阻害剤を液体担体、又は細かく分割した固体担体、又はその両方を、均一かつ密接に結合させ、その後、必要であれば、その製品の形を整えることによって調製することができる。
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(風味付け基剤、通常は、スクロース、アカシア、トラガカントを用いる)、散剤、顆粒剤、又は水溶性もしくは非水溶液中の溶液もしくは懸濁液、又は油中水もしくは水中油液体乳化剤、又はエリキシル剤もしくはシロップ、又は香錠(ゼラチンやグリセリンなどの不活性基剤、又はスクロース及びアカシアを使用)及び/又はマウスウォッシュなどとして投与することができ、それぞれは所定量の本発明の化合物を活性成分として含む。本発明の阻害剤はまた、ボーラス、舐剤又はペースト剤として投与することもできる。
経口投与に好適な本発明の固体剤型(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)においては、活性成分を1以上の薬学的に許容される担体、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム及び/又は下記(1)〜(10)のいずれかとともに混合される。即ち(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸などの充填剤又は増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリニビルピロリドン、スクロース及び/又はアカシアなどの結合剤、(3)グリセロールなどの湿潤剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカのデンプン、アルギン酸、いくつかのケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(5)パラフィンなどの溶解延剤、(6)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(7)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(8)カオリン及びベントナイト・クレイなどの吸収剤、(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物などの潤滑剤、及び(10)着色剤。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、該薬学的組成物は緩衝剤を含んでもよい。同種の固体組成物を、充填剤として、ラクトースや乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いたゼラチン軟カプセル剤及び硬カプセル剤中に用いてもよい。
錠剤は、任意に1以上の副成分を用いて、圧縮又は成形によって作製してもよい。圧縮によって成る錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤又は分散剤などを用いて調製してもよい。成形によって成る錠剤は、不活性の液体希釈剤で湿潤させた粉末状の阻害剤の混合物を好適な機械で成形することによって作製してもよい。
本発明の薬学的組成物の錠剤及び糖衣丸、カプセル、丸剤及び顆粒といった他の固形の剤型は、任意に切れ込みを入れてもよいし、又は、腸溶コーティング及びその他の、医薬品調剤の技術分野において公知のコーティングなど、コーティングやシェルを用いて調剤してもよい。それらはまた、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な比率で用いるなどにより、所望の放出特性、その他のポリマーマトリクス、リポソーム、及び/又は、小球体を提供できるよう、含まれる活性成分を徐放させることや、放出をコントロールされるよう調剤することもできる。これらは、例えば、細菌保持フィルタによる濾過、又は、使用直前に無菌水又はその他何らかの無菌の注射可能な媒質に溶解することの可能な無菌の固形組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌してもよい。さらに、これらの組成物は、任意に乳白剤を含有してもよく、限定的又は優先的に、消化管の特定の部位において、任意に徐放によって、活性成分を放出するような組成物としてもよい。使用可能な包埋用組成物の例としては、ポリマー物質及びロウがある。さらに活性成分は、適宜、上記1以上の添加剤を含む微小カプセル形状としてもよい。
経口投与に好適な本発明の化合物の液体剤型には、薬学的に許容できるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれる。活性成分に加え、該液体剤型は、当該技術分野において通常用いられている不活性の希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油脂類(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタン脂肪酸エステル、及び、これらの混合物などを含むことができる。
不活性の希釈液の他に、経口投与用組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、着香料、着色剤、賦香剤、防腐剤などのアジュバントを含むことができる。
本発明の活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天及びトラガカント、及び、これらの混合物などの懸濁化剤を含有してもよい。
本発明の薬学的組成物の直腸内投与用又は膣内投与用の剤型としては、坐剤をあげることができ、それは、本発明の1以上の化合物と、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ロウ又はサリチル酸を含む1以上の好適な非刺激性添加剤又は担体とを混合して調剤することができる。また、坐剤は、常温では固体であるが体温では液体となって、直腸腔又は膣腔で溶解し、活性阻害剤を放出する。
膣内投与に好適な本発明の製剤としては、当該技術分野において適切であることが既知の担体を含有したペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル剤、ペースト剤、フォーム又はスプレーがある。
本発明の化合物の局所投与又は経皮投与用の剤型としては、散剤、スプレー、軟膏、ペースト剤、クリーム、ローション、ゲル剤、溶液、貼付剤及び吸入剤がある。活性化合物は、無菌状態のもとで、薬学的に許容できる担体と混合してもよく、また、任意の防腐剤、緩衝剤、又は必要であれば噴霧剤と混合してもよい。
軟膏、ペースト剤、クリーム及びゲル剤は、本発明のププレニルトランスフェラーゼ阻害剤に加え、動物性油脂及び植物性油脂、油脂類、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物などの添加剤を含有してもよい。
散剤及びスプレーは、本発明の化合物に加え、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物といった添加剤を含有していてもよい。さらにスプレーは、例えば、クロロフルオロハイドロカーボン、及び、ブタン及びプロパンなどの揮発性の置換されていない炭化水素などの通常の噴霧剤を含有してもよい。
経皮貼付剤には、本発明の化合物をコントロールしながら生体へ送達できるという更なる利点がある。このような剤型は、本発明の阻害剤を適切な媒質中に溶解又は拡散させることによって作製できる。薬物の皮膚への流れをよくするために吸収促進剤を用いることもできる。このような流速は、速度調節膜を設けることによって、又はポリマーマトリックス又はゲル剤中に本発明の化合物を拡散させることによってコントロールすることができる。
眼科用調剤の眼軟膏、散剤、溶液なども、本発明の範囲内であると考えられる。
非経口投与に好適な本発明の薬学的組成物は、1以上の本発明の阻害剤を、1以上の薬学的に許容される無菌の等張水溶液又は非水性溶液、分散液、懸濁剤又は乳剤と組み合わせて、又は、使用直前に無菌の注射可能な溶液又は分散液に溶かして再構成することができるような無菌散剤と組み合わせて含み、その中には抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、調剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質、又は懸濁剤又は増粘剤を含有していてもよい。
本発明の薬学的組成物に使用することができる、好適な水性もしくは非水性の担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルがあげられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材を用いたり、分散液の場合には、必要な粒径を維持したり、界面活性剤を用いるなどして維持することができる。
これらの組成物にはさらに、防腐剤、湿潤剤、乳濁化剤及び分散剤などのアジュバントを含有してもよい。微生物の活性は、種々の抗細菌剤、抗黴剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などによって確実に阻止することができる。さらに糖類、塩化ナトリウムのような等張剤などを組成物中に含むことも望ましいかもしれない。さらに、注射可能な剤型の吸収は、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅らせる物質を含むことによって持続させることができる。
阻害剤の治療効果を持続させるために、該阻害剤の皮下注射又は筋肉注射からの吸収を遅らせることが望ましい場合がある。これは、低水溶性の結晶質又は非晶物質の懸濁液を使用することによって達成することができるかもしれない。そして阻害剤の吸収速度は、その溶解速度、ひいては、結晶の大きさ及び結晶の形状に依存することになる。あるいは、非経口投与用の阻害剤の剤型の吸収を遅らせることは、阻害剤を油性賦形剤に溶解又は懸濁させることによって達成することができる。
注射可能なデポー剤型は、当該阻害剤の微小カプセルマトリクスをポリラクチド−ポリグリコリドなどの生物分解性ポリマー中に形成することによって作製される。薬剤のポリマーに対する比、及び用いられる特定のポリマーの性質によって、薬剤の放出速度をコントロールすることができる。その他の生物分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルソエステル)及びポリ(無水化物)があげられる。注射可能なデポーの製剤は、薬物を生体組織に適合性のあるリポソーム又はマイクロ乳剤中に混入させることによっても行うことができる。
本発明の化合物を医薬品としてヒト及び動物に投与する場合、それ自体を投与してもよいし、又は、例えば、0.1〜99.5%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分と薬学的に許容できる担体とを組み合わせて含有する薬学的組成物として投与してもよい。
本発明の製剤は、経口、非経口、局所又は直腸投与してもよい。それらはもちろん、各投与経路に好適な形状で投与する。例えば、それらは、錠剤又はカプセル形状としての投与、注射、吸入剤、点眼剤、軟膏、坐剤などや、注射、点滴又は吸入による投与や、ローション又は軟膏による局所投与、坐剤による直腸内投与などによって行われる。経口投与が好ましい。
本明細書で用いられるところの「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という表現は、腸管投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与形態を意味し、限定はしないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節腔内、皮膜下、クモ膜下、髄腔内及び胸骨内注射及び点滴を含む。
ここで用いられる「全身投与」、「全身に投与される」、「末梢投与」及び「末梢に投与される」という表現は、化合物、薬物又はその他の材料の、患者の全身に入り、したがって代謝やその他の同様のプロセスを経るような、中枢神経系への直接的な投与以外の投与、例えば、皮下投与を意味する。
選択される投与経路にかかわらず、当該方法に有用なCDK阻害剤は、好適な水和形態を用いてもよく、及び/又は、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される剤型で、当該技術分野において公知の従来の方法によって製剤される。
ゼラチンカプセルは、活性成分及び、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などの粉末担体を含有している。類似の希釈剤を用いて圧縮錠剤を作製することができる。錠剤もカプセルも双方とも、数時間かけて薬物の放出が続くように、放出を持続させた製品として製造することができる。圧縮錠剤は、あらゆる不快な味を隠し、錠剤を大気から保護するために、糖やフィルムでコーティングすることができる。同種の固体組成物を、充填剤として、ゼラチン軟カプセル剤及び硬カプセル剤中に用いてもよい。この関係において、好ましい材料は、ラクトース又は乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールもまた含む。好ましい製剤は、ゼラチン軟カプセルの、例えば、オリーブ油、Miglyol、又はCapmulといった油の溶液又は油の懸濁液である。適切であれば、長時間の崩壊を防ぐために抗酸化剤を含んでもよい。
経口投与のための液体剤型は、患者に受け入れられやすくするために、着色剤及び香味剤を含有することができる。通常、水、好適な油、食塩水、エタノール、水溶性ブドウ糖(グルコース)、及び関連する糖溶液、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールなどのグリコール、又はこれらの混合物は、非経口用溶液として好適な担体である。
静脈内投与をするには、上記開示した化合物を活性成分の遊離又は塩の形態の無菌溶液、生理学的緩衝液又は無菌水において製剤してもよい。糖の含有量が望ましくないレベルの乳酸アシドーシスを引き起こさないことを前提として、望ましければ、糖含有担体液体(リンゲル乳酸、又は他のグルコース又はブドウ糖溶液)を用いることができる。静脈内投与は、ボーラス注射(好ましくは1日数回)又は持続的に時間をかけた連続注射によって行うことができる。ボーラス注射又は点滴の好ましい総用量は、患者の身体的状態にしたがって実質的に変えることができる。一般的には、それらは通常、約25mg/kgから250mg/kgの範囲である。
非経口投与用溶液は、活性成分の水溶性塩、好適な安定化剤、及び必要であれば、緩衝剤を含有することが好ましい。ナトリウムビサルファイト(sodium bisulfite)、ナトリウムサルファイト、又はアスコルビン酸などの抗酸化剤を単独もしくは組み合わせると、好適な安定化剤となる。クエン酸及びその塩、及びナトリウムEDTAも用いられる。さらに、非経口用溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル-もしくはプロピル-パラベン及びクロロブタノールなどの防腐剤を含有することができる。好適な薬学的担体は、この分野における標準的な引例であるRemington's Pharmaceutical Sciences、18th
版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1990に記載がある。この開示を引用によって本明細書中に援用する。
表A、B、および/またはCの化合物を用いた、製剤、溶液、および他の調製剤は、PCT出願第WO03/033499号、および/または第WO04/092139号に記載されているように調製することができる。その教示を本明細書において引用によって援用する。
iv. 治療的適用
一般的に、細胞増殖の調節におけるcdk類の重要な役割のために、本明細書に開示されている化合物は、癌、良性前立腺肥大症、家族性腺腫症ポリープ、神経線維腫症、乾癬、真菌感染、内毒素ショック、肥大性瘢痕形成(hypertrophic scar formation)、炎症性腸疾患、移植に対する拒絶反応、アテローム動脈硬化症、乾癬、肺繊維症、間接炎、糸球体腎炎、血管形成又は血管手術後の再狭窄に関する血管平滑筋細胞増殖、及びその他手術後の狭窄及び再狭窄などの、異常な細胞増殖を特徴とするあらゆる疾患の経過において有用かもしれない可逆的な細胞分裂停止剤として作用することができる。例えば、米国特許第6,114,365号、及び第6,107,305号を参照されたい。
本明細書に開示されている化合物は、癌、自己免疫疾患、ウイルス性疾患、真菌性疾患、神経変性障害及び心臓血管性疾患などの治療に有用であると期待されている。
より具体的には、本明細書に開示されている化合物は、(限定されないが)下記を含む種々の癌の治療において有用である。すなわち、膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺(小細胞肺癌を含む)、食道、胆嚢、卵巣、膵臓、胃、子宮頚部、甲状腺、前立腺、及び皮膚(上皮細胞カルシノーマを含む)のカルシノーマ;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキン性リンパ腫、非ホジキン性リンパ腫,有毛細胞リンパ腫及びBurkett's リンパ腫を含むリンパ系統の造血性腫瘍;急性及び慢性の骨髄性白血病、骨髄異形性症候群、及び急性前骨髄球性白血病を含む骨髄系統の造血性腫瘍; 線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉系腫瘍;星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫を含む中枢及び末端神経系の腫瘍;及びシュワン腫; メラノーマ、精上皮腫、テトラカルシノーマ、骨肉腫、色素性乾皮症、ケラトクタントーマ(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞癌、及びカポジ肉腫の治療に有用である。
cdk5がtau 蛋白質のリン酸化に関与しているという最近の知見(J. Biochem、117, 741-749 (1995))が示唆しているように、本発明に開示されている化合物は、アルツハイマー病の治療においても有用かもしれない。
本発明に開示されている化合物は、アポトーシスを誘導又は阻害することもある。アポトーシス反応は、種々のヒト疾患の異常型である。本明細書に記載されている化合物は、アポトーシスの調節剤として、(これらに限定されないが上記で述べた種類を含む)癌、ウイルス感染(限定されないが、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタンイン−バールウイルス、シンドビスウイルス及びアデノウイルスを含む)、HIV感染患者のAIDS発症予防、自己免疫疾患(限定されないが、全身性ろうそう、エリテマトーゼス、自己免疫系糸球体腎炎、リューマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患及び自己免疫性真性糖尿病を含む)、神経変性疾患(限定されないが、アルツハイマー病、AIDS関連性痴呆症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、棘筋萎縮症及び大脳変性を含む)、脊髄形成異常症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞関連虚血性損傷、突発性及び再潅流性損傷、不整脈、アテローム性動脈硬化、毒物由来又はアルコール関連肝臓疾患、血液性疾患(限定されないが、慢性貧血及び再生不良性貧血を含む)、筋骨格系変性疾患(限定されないが、骨粗鬆症及び関節炎を含む)、アスピリン感受性副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性動脈硬化、腎臓疾患及び癌性疼痛、の治療に有用である。
本明細書に開示されている化合物は、cdkの阻害剤として、細胞性RNA及びDNA合成のレベルを調節することができる。従って、これらの作用物質はウイルス感染(限定されないが、HIV、ヒト乳頭腫ウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタンイン−バールウイルス、シンドビスウイルス、及びアデノウイルスを含む)の治療に有用である。
本明細書に開示されている化合物は、癌の化学防御に有用である。化学防御は、突然変異事象の誘発を阻害することによって、あるいは、既に発生している前−悪性細胞の進行を阻害したり、腫瘍の再発を阻害したりすることによって、侵襲性癌の発症を阻害することであると定義される。
本明細書に開示されている化合物は、腫瘍起因性血管形成及び転移の阻害に有用である。
ここに開示されている化合物は、伝統的な化学療法プログラムによって引き起こされる脱毛の発生を予防又は軽減するのに有用である。例えば、本発明のCDK阻害剤は、毛嚢の細胞の増殖を阻害し、それによって、細胞の増殖を標的とする細胞毒物により攻撃されないようにするために用いてもよい。
本明細書に開示されている化合物はまた、他の蛋白質キナーゼ、例えば、蛋白質キナーゼC、her2、raf1、MEK1、MAPキナーゼ、EGF受容体、PDGF受容体、IGF受容体、PI3キナーゼ、ウイールキナーゼ、Src、Ablの阻害剤として有用であり、すなわち、他の蛋白質キナーゼ関連の疾患の治療に有効である。
本発明の化合物はまた、放射線治療のような既知の抗癌治療、又は細胞増殖抑制性もしくは細胞毒性物質と組み合わせる(一緒に、又は順次投与する)と有用である。細胞増殖抑制性もしくは細胞毒性物質の例としては、例えば、限定されないが、シスプラチン又はドキソルビシンなどのDNA相互作用剤;エトポサイドなどのトポイソメラーゼII阻害剤;CPT−11又はトポテカンなどのトポイソメラーゼI阻害剤;パシリタクセル、ドセタクセル又はエポチロン類などのツビュリン相互作用剤;タモキシフェンなどのホルモン剤;5−フルオロウラシルなどのチミジレート合成阻害剤;及びメトトレキセート(methoxtrexate)などの抗新陳代謝剤が挙げられる。そのような組み合わせにおいては、本発明の化合物及び製剤は、放射線治療又は化学療法によって引き起こされる脱毛症の発生を予防又は軽減するのに有用である。
固定された用量として製剤化される場合、そのような組合せ製品は、下記の用量範囲内の本発明の化合物及びその許容される用量範囲内の他の薬学的活性剤又は処置を用いている。例えば、cdc2阻害剤オロムシンは、アポトーシスの誘発において公知の細胞毒性剤と相乗効果的に作用することがわかっている(J. Cell Sci.、108、2897
(1995))。本明細書に記載の化合物はまた、組合せ製剤が不十分である場合、公知の抗癌剤又は細胞毒性試剤と続けて投与することができる。本発明では投与の順序は限定されず、本明細書に記載の化合物は、公知の抗癌剤又は細胞毒性試剤の投与の前後のいずれにおいても投与することができる。例えば、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤フラボピリドールの細胞毒活性は抗癌剤との投与順序に影響される(Cancer Research、57、3375
(1997))。
本明細書に記載のすべての実施態様は、本発明の異なる全ての局面に適用可能であることが意図されている。また、記載された実施態様のいずれも、適切であれば、1以上の他のそのような実施形態と、自由に組み合わせることができることも意図されている。特に、本発明の化合物の種々の実施態様、そのような化合物を用いた治療に適切な障害の種々の実施態様、および化合物を用いる治療方法の種々の実施態様は、互いに自由に組み合わせることができる。
本発明の具体的な実施態様を本明細書においてより詳細に説明している。しかしながら、これらは例示のための実施態様であり、あらゆる局面において限定するものとして解釈すべきでない。
均等物
当業者は、ルーチンの実験以上のことを行わずに、本明細書に記載した本発明の具体的な態様に対する多くの均等物を認識し、または確かめることができるであろう。このような均等物は、特許請求の範囲内にあると意図している。当業者は、本明細書に記載の請求の範囲の実施態様または特徴の全ての組み合わせが本発明の範囲であることも認識するであろう。
v.合成
本発明の化合物は、下記の方法を用いて、合成有機化学の技術分野で公知の方法、又は当該技術分野の当業者によって予測されるようなその変形を組み合わせて合成することができる。好ましい方法は、限定されないが下記の方法を含む。下記に引用された引用のそれぞれを引用によって本明細書中に援用する。
化学式Iの化合物を調製するための重要な中間物質は、ピラゾールアミノニトリルII、アミノカルボキシアミド(aminocarboxamides )III、及びアミノエステルIVである。これらの中間物質の調製は、化学文献に先例がある。いくつかの方法をスキームA(A. O. Abdelhamidら、J. Heterocycl. Chem. 1984、21、1049)、B(C. C. ChengとR.
K. Robins、J. Org.
Chem. 1956、21、1240.)及びC(P. SchmidtとJ. Druey、Helv. Chem. Acta 1956、39、986.)にまとめた。Tominagaら、J. Heterocycl. Chem. 1990、27、775及びPCT出願WO
00/21926 号及びWO 99/54308号もまた参照されたい。広範な開始ヒドラジン及びアルデヒドは市販されており、または標準的な有機変換によって調製することができる。下記において用いられているように、置換基Arは、置換されて化学式Iの対応するアリール置換基に一致する、又は、それに変換されたアリール環を示す。化学式Iの化合物はまた、PrCOClを塩基の存在下でCH(CN)で処理し、得られた化合物をPClで処理し、その生成物をArNHNHで反応させることによって調製することもできる。
Figure 0004791975
Figure 0004791975
Figure 0004791975
スキームDに示されるように、アミノニトリルIIは、本発明のピラゾール[3,4−d]ピリミジンに変換することができる。要するに、アミノカルボキシアミドは、ジクロロメタンのような好適な溶媒の存在下で任意に、トリエチルアミンなどの好適な塩基で処理し、続いて、式ArCHCOXで表される酸ハライド、好ましくは酸クロリドで処理することによってアシル化され、カルボキサミドニトリルVが得られる。あるいは、カルボキサミドニトリルVは、アミノニトリルIIと一般式ArCHCOHで表されるカルボン酸とを好適な塩基および好適な溶媒中の結合物質の存在下で結合させることによって調製することができる。アミンとカルボン酸との結合については検討がなされており(KlausnewとBodansky、Synthesis 1972、453-463)、当該技術分野の当業者はそれに作用しうる種々の作用物質を認識することができる。
Figure 0004791975
カルボキサミドニトリルVの本発明の化合物への変換は、好適な塩基、好ましくは溶媒、好ましくは、水、アルコールもしくは水−アルコール混合物中金属水酸化物またはアルコキシド塩基の存在下で、約0℃〜約100℃の温度での過剰な過酸化水素を用いた処理によって達成される。
別法として、カルボキサミドニトリルVは、好ましくは、濃縮された、強い酸、好ましくは85%HPO中で、約1時間加熱することによって本発明の化合物に変換させることもできる。スキームEは、本発明の化合物を調製するための別の手段を示している。好適な溶媒、好ましくは低級アルカノール中のアミノカルボキサミドIIIを、ArCHCOR(但し式中、Rは、例えば、低級アルキルであり、余剰の塩基は、好ましくは金属低級アルコキシドである)で表される余剰のエステルを用いて、好ましくは、溶媒の沸点において処理する。多くの酢酸アリールエステルは、市販されているか、または、余剰のアルコール、ROHを用いて、好ましくは、HSOまたはp−TsOHなどの酸触媒の存在下で溶媒として用いられるエチルもしくはメチルアルコールを還流させてエステル化することによって、市販されている酢酸アリールから1ステップで調製することができる。あるいは、DOCのような結合物質を、好ましくは、DMAPのような触媒を用いてCHC1のような溶媒中で用いることもできる。
Figure 0004791975
フェニル酢酸は、アリールアセトニトリルの酸または塩基の加水分解によって調製してもよい。ひいては、アリールハライドをCN−とくを、好ましくは、DMF、MeOH,EtOH、水、DMSOまたはそれらの混合物などの溶媒中で処理することによって調製してもよい。さらに、アリール酢酸エステルの例としては、Arndt-Eistertの存在下(Meier とZeller、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1975、14、 32)で、または関連するホモロゲーション(homologation)条件下でアリールカルボン酸から調製してもよい。
式IVで表されるアミノエステルは、式ArCHCNおよびナトリウムの余剰のニトリルを用いた反応によって本発明の化合物に変換することができる。
Figure 0004791975
この反応は、加熱しながら手際よく行われることが好ましい。
本発明の更なる化合物を得るために、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジノンを以下に示すようにさらに合成してもよい。Ar基上で求電子性芳香族置換反応を行い、置換を誘発することができる。そのような反応には、限定されないが、ニトロ化、アシル化(フリーデル・クラフト)、ハロゲン化、アルキル化(フリーデル・クラフト)、クロロメチル化、スルホン化、およびアミノメチル化(マンニッヒ反応)が含まれる。これらの反応を行うための条件は、有機合成の、一般的に求電子物質とアリールまたはヘテロアリール基質との触媒の存在下での反応に関与する技術の当業者にはよく知られている。ニトロ化またはマンニッヒ反応の場合、求電子物質がインサイチュで硝石、アミンおよびカルボニル成分からそれぞれ生成される場合、触媒は、溶媒として機能するプロトン性の酸であることが好ましい。その他の求電子性芳香族置換反応の場合、好ましい触媒は、ルイス酸であり、それには、限定されないが、FeX、AlXおよびZnX(式中、Xは、ハロゲンである)が含まれる。
アミノ基を持つ、上記調製された化合物は、限定されないが、アシルハライド、水酸化物、イソシアネート、クロロホルマート(chloroformates)、スルホニルハライド、アルキルハライド、ラクトン、またはエステルを含む求電子物質との反応によって誘導することができる。これらのさらなる反応を行うための条件は、有機合成、一般的に求電子物質を求核剤、好ましくは、0℃から室温の間の温度で溶媒中に添加することに関与する当業者にはよく知られている。塩基を添加することが必要かもしれない。これらの反応の生成物をさらにいくつかの求電子物質と、ピリミジノン窒素(N5)にて反応させる。得られた官能基(アミド、カルバメートなど)は、望ましいアニリノ基もしくは脂肪族基と比べて塩基性の加水分解に対する安定性が弱く、切断されてN5上にHをもつピリミジノンに戻る。
アミノ基をもつ化合物とハロアシルハライド、α、β-不飽和酸ハライド、またはハロスルホニルハライドなどの物質とを反応させることによって、一級アミンもしくは二級アミン、ジアミン、アルコキシド、アミノアルコール、またはチオールなどの求核剤と反応し得る中間物質が得られる。
カルボキシル基を含む上記調製された化合物は、限定されないが、アミンおよびアルコールを含む求核剤を用いた活性化および反応によって誘導され、それぞれアミドおよびエステルを得ることができる。カルボジイミドを用いたアミンとカルボン酸との結合が検討され(KlausnewとBodansky、Synthesis 1972、453-463)、それに作用を及ぼす種々の追加物質、ならびに反応の機能性を隠すための基(GreenとWuts、"Protective
Groups in Organic Synthesis" Second Edition、John
Wiley & Sons、1991)を保護するための潜在的な必要性について、当該技術分野の当業者は理解することができる。酸からのエステルの調製は上述した。これらのアミドおよびエステルのアミンおよびアルコールへの還元は、好適な水素化物還元物質を用いて行うことができる。
アミノ基を含む上記調製された化合物は、ホスゲンを用いた活性化によって求電子性種に変換することによって(Tetrahedron: Asymmetry 1995、61、 745;J. Org. Chem. 1994、59、1937)、Tetrahedron:
Asymmetry 1995,
61, 745; J. Org. Chem. 1994, 59, 1937)、好ましくは、塩基の存在下で、限定されないが、アミン、アルコールおよびスルホンアミドを含む求核剤と反応させることによって、尿素、カルバメートおよびスルホニル尿素がそれぞれ得られる。これらの反応を行うための条件およびホスゲンおよびホスゲン等価物を扱う際に伴う危険は、有機合成の分野の当業者には知られている。最善の注意を払うべきである。
本発明の化合物を調製するのに必要な更なる変換は、ケトン、アルデヒド、エステル、酸、アミドの還元、またはアルミノ作用物質およびホウ化水素作用による還元性アミノ化(J. Seyden-Penne, "Reductions by the Alumino and Borohydrides in
Organic Synthesis" VCH Publishers、Inc.、1991)、限定されないが、アルコール、アルデヒド、オレフィン、チオエーテル、スルホキシドおよびヘテロアリール基を含む基の酸化を含む(Milos Hudlicky、"Oxidations in Organic
Chemistry" American Chemical Society、1990)。
アルケン、アルキン、窒素、ニトロまたはシアノ基などの官能基の還元は、触媒性水素化によって、または金属還元を溶解することによって達成され得る。本発明の化合物に対する求電子性部位を含有する中間物質の更なる合成は、限定されないが、CN−、アミン、アルコキシド、メルカプタン、またはカルバニオンを含む求核剤と置換することによって達成することができる。本発明のさらに他の化合物は、アリールハライドもしくはトリフレートを適切なボロン酸またはスタンナンで調製することができる(Stille、 J.K.、 Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1986、25、
508; Suzuki、A. Pure Appl. Chem. 1985、57、 1749)。カルボニル基をもつ上記調製された化合物は、求核剤とさらに反応させることによって誘導され、二級アルコールを得ることができる。そのような求核剤としては、限定されないが、グリニャール試薬、アルキル‐、アルケニル‐およびアルキニル‐リチウム試薬、およびアリルスタンナン、シランなどがあげられる。上記のように調製された化合物は、さらにBeckmann転位(Gawley in Org. React. 1988、35、1)または他の転位によってさらに合成することができる。
上記調製された化合物の更なる合成は、直接的な金属化による有機マグネシウムまたは有機リチウム種の生成(BeakとMeyers、Acc. Chem. Res. 1986、 19、356-363;BeakとSnieckus、 Acc. Chem. Res. 1982、 15、306-312; Katritzky、LamとSengupta、Prog. Heterocycl. Chem. 1989、11、1-29)またはリチウム‐ハロゲン交換によるアリールハライド(Parham とBradsher、Acc. Chem. Res. 1982、15、300-305)から達成することができる。
式II、IIaで表される化合物および本明細書に開示した他の化合物を調製するためのアプローチをスキーム1に示す。これは、本発明の化合物を調製するために用いることができる。置換基Z、R、R、Rは、化学式IIに記載の置換基、または標準的な有機変換を用いて置換基に変換される置換基をそれぞれ表す。Pは好適な保護基である。保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、おおびアルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールを挙げることができる。保護基の化学の分野についてレビューした(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M.
Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991)。ジメチルニトロフタレートのニトロ基を還元して、触媒的水素化を用いてアミンに還元した。基剤として無水酢酸およびピリジンを用いてアニリンをアシル化した。得られたアセトアミド2およびアセトフェノンの混合物を強塩基を用いて、適切な溶媒中で高温で処理し、所望のトリケトン3を得た。トリケトンを得るための追加的手段は、Kilgoreら、Industrial and Engineering Chemistry
34:494-497、1946に記載されているように、当該技術分野の当業者に公知である。トリケトンを高温で適切な溶媒中でヒドラジンを用いて処理し、インデノ[1,2-c]ピラゾロン環系を得た。
インデノ[1,2-c]ピラゾロンを調製するための追加的手段は、Lemke ら、J. Heterocyclic Chem. 19:1335-1340、1982;Mosher and Soeder、 J. Heterocyclic Chem. 8:855-59、1971;
HrnciarおよびSvanygova、Collect. Czech. Chem. Commun. 59:2734-40、1994に記載されているように当該技術分野の当業者に公知である。強酸を用いて適切な溶媒中で加熱することによってアミドを脱アシル化し、アニリン4を得た。このアニリンを、酸クロリドを用いた標準的な条件下で適切な溶媒中でアシル化し、所望の生成物5を得た。
Figure 0004791975
本発明の化合物を作製するための別の方法をスキーム2に示す。中間物質トリケトン3は、当該技術分野の当業者に公知の方法で、強酸を用いて脱アシル化し、適切な酸クロリドを用いて再アシル化することができる。続いて、トリケトン6は、スキーム1に既述したのと同じ条件でインデノ[1,2-c]ピラゾロン環系に変換することができる。
Figure 0004791975
スキーム2のトリケトン6を調製する別の方法は、RotbergとOshkaya、Zh. Organ. Khim. 8:84-87、1972;Zh.
Organ. Khim. 9:2548 2550、1973に記載のように、1,3-ジケトン6aと3-無水ニトロフタル酸との縮合を用いる。市販されていない場合、1,3−ジケトンは、必要なメチルケトンのアセチル化またはトリフルオロアセチル化によって、当該技術分野の当業者は容易に作製することができる。得られたニトロ誘導体のアニリン6bへの還元は、触媒水素化、酸性条件下での亜鉛または鉄を用いた処理、またはジチオン酸ナトリウムもしくはスズクロリドなどの他の還元剤を用いた処理を含む種々の方法で達成することができる。続いて、アニリン6cを、アシル化、次いでスキーム2に既述したヒドラジンを用いた処理によって本発明のイデノ[1,2-c]ピラゾロンに還元することができる。
インデノ[1,2-c]ピラゾロン環系を作製するための別の方法をスキーム3に示す。ジメチルヒドラジンを、溶媒を用いずに3−アセチルピリジンと反応させ、ヒドラゾン7を得た。これをスキーム1に記載の方法と同様の方法で処理し、所望の中間物質8を得た。
Figure 0004791975
あるいは、6bを活性化されたアシル化N−アミノモルフォリンまたはニトロフェニルカルバメートなどのピペラジン環を用いて処理することができる。同様の中間物質を作る更なる手段は、Rappoport、J. Org. Chem. 49:2948-2953、1984に記載されているように当該技術分野の当業者に公知である。この中間物質は、スキーム1に記載のものと同様に順次処理された。
上記スキームは、Wが酸素である一般的な合成経路を示すにもかかわらず、そのような開示にしたがって、当業者は、Wが酸素ではない、例えば、Wは、S、S(O)、C(=O)、C(=S)、CHおよびNR”から選択される場合に、本発明の他の化合物の合成を予測し実践することができるであろう。
本発明の他の特徴は、下記の実施例の記載から明らかである。それらは、本発明を説明するためのものであり、それを限定することが意図されているものではない。
v.実施例
表A、Bおよび/またはCの化合物を、PCT出願第WO03/033499号、および/または第WO04/092139号に記載されているように調製することができる。その教示を本明細書において引用によって援用する。
アッセイプロトコルおよび結果
本発明の化合物の生物学的活性および実用性を、以下により詳細に記載したものを含めた1以上のアッセイによって証明する。
アッセイ1:本発明の化合物による細胞周期進行の阻害。ヨウ化プロピジウムおよびBrdUアッセイを用いる(結果は、図1および表2に示す)。
アッセイ2:NCLパネルに示されているように、本発明の化合物に曝露したときの、種々のヒト腫瘍に由来する広範囲の60細胞株の生存率の減少(結果は、表3に示す)。
アッセイ3:クローン原性生存アッセイにおける、本発明の化合物が細胞に及ぼす不可逆的な効果(結果は、表3、図2および図3に示す)
アッセイ4:カルセインAMアッセイを用いて推定されるように、本発明の化合物に曝露したときのHCT−116およびIMR90細胞の生存率の減少(結果は、表3および表6に示す)
アッセイ5:本発明の化合物に曝露した、阻止された正常細胞ではなく、阻止された腫瘍細胞における生存率の阻害(結果は、表4および図4に示す)
アッセイ6:いくつかのキナーゼ生化学的アッセイにおける、本発明の化合物の阻害活性(結果は、表5および表6に示す)
アッセイ7:キセノグラフト腫瘍モデルにおける化合物の活性(結果は、図5、6、7および8に示す)
アッセイ8:化合物の標的タンパク質に対するアフィニティ(結果は図9に示す)
アッセイ9:本発明の化合物の抗ウイルス活性(結果は表7に示す)
アッセイ1:ヨウ化プロピジウムおよびBrdUを用いた細胞周期分析
DNAをヨウ化プロピジウムで染色し、フローサイトメトリーにより2Nまたは4N 相補DNAをもつ細胞の数を定量化することによって細胞周期のG1、SおよびG2/Mの段階の細胞のパーセンテージを測定した。細胞周期全体にわたる、cdk阻害剤への曝露に対応した細胞の分布の変化をこの方法で評価した。
細胞をヨウ化プロピジウムで染色する方法
3セットのHCT−116細胞(100,000 個/セット)を試験化合物の存在下で、T−25フラスコ中で下記の表1にしたがって培養した。分析は、24、48、72時間後に行った。トリプシン化することによって接着細胞を回収し、Falcon 12 x 75 フローサイトメトリックチューブ内で浮遊細胞と結合し、遠心分離によって回収した。培地を細胞ペレットからデカントし、100μlのPI染色を加え、その細胞を37℃で20〜25分間インキュベートした。好ましい細胞数は、2×106〜4×10/ml程度であった。次に等体積(100μl)のPI塩を細胞に添加し、これを4℃で1〜2時間インキュベートした。染色された細胞をBecton Dickinson FACScan フローサイクロメータで分析した。サンプルは、遮光しておいた。図1は、化合物A37に曝露したとき、細胞がG1およびG2に最終的に阻止されることを、アポトーシスおよび核内倍加を証拠として示している。類似の結果が化合物B16を含む本発明の他のいくつかの化合物においても認められる。
BrdUのDNAへの組み込みの決定
この方法は、ヌクレオチド類似体BrdUを、新たに合成されたDNAに細胞周期のS段階を進行する細胞として組み込んだ、細胞のパーセンテージを測定した。BrdU組み込みの阻害を、S段階の進行およびDNA複製に及ぼすcdk阻害剤の効果の測定値として用いた。
BrdU標識の方法
3セットのHCT−116細胞(100,000 個/セット)をT−25フラスコ中で平板培養し、上記試験化合物とともにインキュベートした。分析は、24、48、72時間後に行った。10mg/mlの貯蔵物からBrdUを各T−25フラスコに添加し、最終濃度を10Mとし、その細胞を37℃で16〜18時間さらにインキュベートした。次にその細胞を製造者のプロトコル(BrdU Flowキット、BD-Pharmingen カタログ# 2354KK)にしたがって、下記のようにフローサイトメトリック分析を行った。
細胞(接着細胞および浮遊細胞)を上記のようにT25フラスコから直接Falcon
12 x 75 フローサイトメトリック管に収集し、次いで、さらに100μlのCytofix /Cytoperm緩衝剤を用いた固定および透過処理(30分間、室温)を行った。次にその細胞を1mlのPerm Wash緩衝剤で洗浄し、その細胞ペレットを100μlのCytoperm
Plus緩衝剤中に再懸濁し、氷上で10分間インキュベートした。その細胞を1mlのPerm Wash緩衝剤で再び洗浄し、100μlのCytofix /Cytoperm緩衝剤中で室温で10分間、固定を繰り返した。次に、その細胞を1mlのPerm Wash緩衝剤を用いて洗浄した。次にその細胞を37℃で1時間100μlのDNaseを用いて処理して、組み込まれたBrdUを露出させ、次いで、1mlのPerm Wash緩衝剤を用いた別の洗浄工程を行った。組み込まれたBrdUの存在は、α-BrdU-FITC抗体(Perm Wash緩衝剤中抗体の50μlの1:50希釈液)によって明らかにされた。細胞を遮光し室温で20〜30分間インキュベートした。インキュベーションに続いて、細胞を1mlのPerm Wash緩衝剤で洗浄し、PBS中300μに1mlの2%FBS中に再懸濁させ、フローサイトメータで分析した。結果は、BrdU組み込みを阻害する化合物の濃度(μM)としてを表2に示す。
アッセイ2:ヒト腫瘍細胞ラインのNCIパネルにおけるcdk阻害剤の評価
National Cancer Instituteにおける、60の細胞ラインのパネルの化合物の評価によって、広範な腫瘍の種類および遺伝子的バックグラウンドの効力に関する豊富な情報が提供される。このパネルには、白血病、メラノーマおよび肺、結腸、脳、卵巣、乳房、前立腺および腎臓の癌由来の細胞ラインが含まれている。このパネルを使用することによって、p53およびHer2/Neuを含む癌化と関連する多くの遺伝子、ならびに代謝に関与する遺伝子および多剤耐性を付与する遺伝子の改変が、細胞中の化合物の効果の測定値に提供される。これらの細胞ラインにおいて生成されたデータは、下記のプロトコルとともに化合物の活性を評価するために用いることができる。
NCIパネルアッセイの結果を、(a)MG−MID点(Mean-Graph
Mid-point)−全細胞パネルに対する平均IC50、10nM未満のIC50(μM)は、この推定では10nMと等しいものとして計算されている;(b)アドリアマイシン耐性細胞株(ADR−res)に対する化合物の阻害活性のIC50(μM)の、2つの情報メトリクスとして表3(NCIパネル)に示す。
本発明の追加の化合物は、NCLアッセイにおいて以下の活性を示した。(i)化合物A37:MG−MID点<50nMおよびADR−res細胞の成長のIC阻害<100μM;(ii)化合物B16:MG−MID点<50nMおよびADR−res細胞の成長のIC阻害<10μM。
インビトロ癌スクリーンの方法
10% FCSを含むRPMI-1640中で細胞を成長させ、5,000〜40,000細胞/ウェルの密度範囲で、96ウェルマイクロタイタープレート内で平板培養した。そのプレートを24時間37℃で、5%CO下で24時間インキュベートした。所望の最終濃度の2倍の化合物を含有する培地(5用量、4ログスパン)を調製し、100μlを、培地と細胞100μlを含有する各ウェルに添加して、所望の最終濃度とした。次にそのプレートをさらに48時間インキュベートした。
その化合物の細胞生存度に及ぼす効果を、蛋白質の合計を測定するSulforhodamine
B(SRB)アッセイを用いて測定した。細胞を冷TCAを用いて、最終濃度を10%に固定し、4℃で60分インキュベートした。上清を捨て、プレートを水で5回洗浄し、空気乾燥した。1%酢酸中4%(w/v) SRB溶液を各ウェルに添加し、そのプレートを10分間室温でインキュベートした。そのプレートを5回1%酢酸で洗浄し、空気乾燥した。その結合した染色剤を10mMのtrizma塩基で可溶化し、その吸収度をプレートリーダーで515nMで読み取った。結果を下記の表3(NCIパネル)に示した。
アッセイ3:HCT−116細胞を用いたクローン原性生存アッセイのプロトコル
このアッセイは、特定の露出期間後に生存度の不可逆的な損失をもたらす化合物の濃度を決定するために用いられた。本質的に、細胞を1、2または5日間、化合物に曝露する、その後、化合物を含まない成長培地に移す。化合物を含まない成長培地中で、数日間インキュベーションを続けた後、回収したコロニーの数を、生存細胞の数の推定値として計数した。
本発明の種々の化合物についての、そのような生存アッセイの結果を、表3(クローン原性)にコロニー回収を50%阻害する化合物の濃度(μM)として示した(IC50)。図2は、HCT−116細胞における細胞活性の不可逆の阻害、および24時間、化合物を曝露したときのIC50が<50nMの化合物A37による、そのような阻害の時間推移を示す。化合物B16は、同じアッセイにおいて、<100nMのIC50を示し、30〜60分以内にIC50は100nMに達した(図3)。
化合物に曝露後の細胞生存の測定方法
培地(RPMI-1640、10%FCS、pen/strep)を水浴で37℃に予め温めた。細胞を37℃、5%COでインキュベートし、成長させた。細胞をトリプシン処理によってサブコンフルエントプレートから回収し、血球計数器を用いて計数した。15cmの組織培養皿中25mlの培地で1×10個の細胞を平板培養した。14個のプレートを各試験化合物のために準備し、37℃で一晩インキュベートした。その化合物を希釈し、7つの濃度の培地とした。細胞上のその培地を試験化合物を含有するものと取り換えた。試験すべき化合物の各濃度に2つのプレートならびに化合物を含有しない2つの対照プレートを準備した。プレートを上記のように24、48または74時間インキュベートし、培地を除去し、新鮮な培地と取り換え、そのプレートをさらに7日間インキュベートし、PBSで洗浄した。コロニーを結晶バイオレット溶液(0.4%結晶バイオレット、20%エタノール)で5分間染色し、希釈水で2回洗浄し、計数を行った。
アッセイ4:血清蛋白質の存在下および非存在下でのCdk阻害剤の評価のためのカルセインAM生存度アッセイの使用
細胞生存度の損失によって測定されたCdk阻害剤の効力を、カルセインAMアッセイ(Molecular
Probes)を用いて測定した。カルセインAMは、細胞内エステラーゼの基質であり、蛍光プレートリーダーを用いて定量することができる蛍光生成物を生成するために、生存可能な細胞のみにおいて切断される。蛍光シグナルは、製造可能な細胞の数、よって細胞のCdk阻害剤への露出に応答するシグナルの損失に比例する。このアッセイは、細胞がまだ生存しているかもしれない細胞周期の阻止と生存度の損失とを区別することができ、したがって、Cdk阻害剤の評価に十分に適用される。潜在的に細胞障害性を有する化合物は、そのようなアッセイにおいて細胞生存率の有意な損失を引き起こすかもしれない。
細胞のIC50をヒト直腸結腸癌細胞ラインHCT−116、正常ヒト線維芽細胞IMR906において測定した。IC50を調整された蛋白質もHCT−116中で測定した。
そのような生存アッセイの結果を表3(HCT−116(調整された、生存度/蛋白質)
およびIMR−90)に示す。HCT−116細胞に対する生存率アッセイについてのIC50(μM、非タンパク質調整されている)を更なる本発明の化合物ついてに表6に示す。
上記のようにして、他の細胞株に対する細胞生存アッセイを行った。本発明の他の化合物についてのIC50(μM)は、(i)(ii)であることがわかった。(i)化合物A37:HCT−116(<50nM)、HCT−116タンパク質−調整(<500nM)、A2780(<10nM)、IMR90(<50nM);(ii)化合物B16:HCT−116(<10nM)、HCT−116タンパク質−調整(<500nM)、A2780(<10nM)、IMR90(<100nM)。カルセインAM生存率アッセイのためのプロトコル。
カルセインAM生存度アッセイのためのプロトコル
HCT−116またはIMR90細胞をトリプシン処理によってサブコンフルエントプレートから回収し、1,000または4,000細胞をそれぞれ24ウェル皿で平板培養した。37℃、5%COで一晩インキュベートした。HCT−116細胞は、RPMI-1640、10%FCSで培養し、IMR90細胞は、最小必須培地α10%FCSで培養した。一晩インキュベートして接着させた後、その培地を各ウェルから吸引し、試験化合物を濃度0〜250nM、7つの用量の合計の範囲で含有する培地と取り換えた。そのプレートをインキュベータに戻し、さらに2日培養した。蛋白質調整IC50の測定に用いられる培地は、RPMI-1640、10%FCS、および1mg/mlのα酸性糖蛋白質(Sigma G-9885)および45mg/mlヒト血清アルブミン(Sigma A3782)であった。試験化合物とともに72時間インキュベートした後、その細胞を1×PBSで2回洗浄し、特殊な処置を施して、全ての残留緩衝剤を除去した。
50μgアリコートのカルセイン(Molecular Probes catalog
# C3100)を50μlのDMSO中に溶解させることによって、5μMカルセインAM溶液を調製した。カルセインを完全に溶解した後(室温で10分)、10mlのPBS中に希釈した。カルセイン/PBS(0.5ml)を各ウェルに添加した。そのプレートを37℃で75分間インキュベートし(遮光)、蛍光シグナルを蛍光プレートリーダー上に読み取った(励起485/20および発光530/25)。
アッセイ5:阻止された細胞アッセイ
サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)活性は、細胞分裂周期の明確な段階を経る細胞の進行を促進することが要求されている。培養液中の正常の未変換型の細胞の増殖は、成長因子の存在が必要であり、血清の欠乏によりそれが除去されると、Cdk活性の損失が起こり、その結果、細胞が静止段階Gに入ると細胞周期が終了する。したがって、メカニズムの見地から、Cdk阻害剤は、それらのサイクルの対応物に関して阻止された細胞における効力を大いに減少させたはずである。
阻止された正常な細胞(IMR90)および阻止された腫瘍細胞(HT−116)に対して、本発明のいくつかの化合物を用いて行った生存率アッセイの結果を下記の表4に示す。図4は、阻止された正常な細胞(IMR90)および阻止された腫瘍細胞(HT−116)の生存性の阻害に対する化合物A37の活性が上昇していることを示している。化合物A37のIC50は、HCT−116細胞については<50nMであり、阻止されたIMR90細胞については>10μMであることがわかった。化合物B16のIC50は、HCT−116細胞については<50nMであり、阻止されたIMR90細胞については>10μMであることがわかった。
化合物効力の評価のための血清飢餓によるHCT−116およびIMR90細胞の阻止
HCT−116細胞を3組平板培養し、そのそれぞれにおいて、10%ウシ胎児血清を24ウェル皿のウェル1つにつき200個もしくは2000個の密度で細胞を含有するRPMI1640培地中において試験される化合物の各濃度とし、37℃、5%COで一晩インキュベートした。1ウェルあたり2000個の細胞を含有するプレートからの培地を取り除き、細胞を、血清を含む培地で1回洗浄し、1mlの血清を含まない培地を細胞上においた。細胞を含有するプレートを、血清の存在下および非存在下の両方で、さらに6日間インキュベートした。
IMR90細胞を3組平板培養し、そのそれぞれにおいて、10%ウシ胎児血清を24ウェル皿のウェル1つにつき2000個もしくは20000個の密度で細胞を含有するMEMα培地中において試験される化合物の各濃度とし、37℃、5%COで一晩インキュベートした。1ウェルあたり20000個の細胞を含有するプレートからの培地を取り除き、細胞を、血清を含む培地で1回洗浄し、血清を含まない培地を細胞上においた。細胞を含有するプレートを、血清の存在下および非存在下の両方で、さらに3日間インキュベートした。
血清飢餓によるHCT−116およびIMR90細胞周期阻止の阻止
血清を除去するとすぐ細胞が実際に細胞周期を励起したことを確認するために、S段階を経て進行する細胞を示すBrdU陽性細胞のパーセンテージを各実験において測定した。この実験の目的のために、細胞生存度を、生存している細胞のみで活性を示す細胞内エステラーゼの蛍光基質であるSNARF-1を用いて同時に評価した。あわせて、BrdU組み込みおよびSNARF-1切断のフローサイトメトリーによる評価は、単一細胞ベースで阻止された細胞の生存度を判定した。この分析のために、細胞を下記のようにSNARF-1で染色し、次いで上記のBrdU組み込みの測定のための準備を行った。
HCT−116細胞およびIMR90細胞を下記の濃度で血清含有培地(10%FCSをそれぞれ有するRPMI-1640またはMEMα)の入ったT25フラスコ中で平板培養した。成長24時間後、この培地を除去し、その細胞を洗浄し、血清を含まない培地と取り換えた。
HCT-116 + FCS 5,000細胞
HCT-116 - FCS 100,000細胞
IMR90 + FCS 100,000細胞
IMR90 - FCS 200,000細胞
BrdUでパルスする前に、IMR90細胞をさらに3日間、HCT−116はさらに6日間成長させた。50μgのSNARF-1(Molecular Probes カタログ番号#C1272)アリコートを室温で10分間50μlのDMSOに溶解し、次に10mlのPBS中に希釈した。SNARF-1をさらに1:64,000に希釈し、その後200μlを血清の存在下または非存在下で各管の細胞に添加し、BrdUとともに20時間パルスした。細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後3mlのPBSで洗浄した。
次にこれらの細胞を固定し、上記のBrdU組み込みの測定のための準備を行った。生存可能(FL-2)細胞およびBrdU陽性(FL-1)細胞のパーセンテージをFACScanフローサイトメータで測定した。結果を下記の表4に示す。
本発明の化合物に曝露後の、阻止されたHCT-116細胞およびIMR90細胞の生存性の阻止
細胞を化合物の存在下で、72時間(3日間)、37℃、5%COで、下記のようにインキュベートし、化合物の、循環する細胞および阻止された細胞に対する効果を測定した。循環するおよび阻止されたHCT−116細胞ならびに循環するIMR90細胞を、5〜250nMの範囲の6用量のパネルに曝露した。阻止された正常細胞については、用量の範囲を50nMから25μMに増加し、活性における予期された減少について比較した。
化合物への72時間の曝露が細胞の生存性に及ぼす効果をカルセインAMアッセイにおいて評価した。カルセインAMは、生存細胞のみにおいて活性を示す細胞間エステラーゼの蛍光基質である。したがって、基質の分裂によって、細胞数に比例する生存率の測定が行われる。
カルセインAM保存溶液を、50μgのアリコート(Molecular Probes
catalogue # C3100)を50μlのDMSOに溶解することによって調製した。管を室温で、約10分間インキュベートして、カルセインが完全に溶解したことを確認した。カルセインを10mlのPBSで希釈して最終的な溶液を調製し、それを遮光しておいた。
培地を細胞から吸引し、次いでそれを1mlのPBSで2回洗浄し、吸引によってPBSを細胞から完全に除去した。0.5mlのカルセイン/PBS溶液をピペットで各ウェルに移した。そのプレートを37℃で75分間インキュベートし(遮光)、蛍光プレートリーダー上に読み取った(励起485/20および発光530/25)。
アッセイ6:生化学的キナーゼアッセイの阻害
酵素Cdc2/サイクリンBは、市販のものを取得した。Cdk2/his-サイクリンEshortはSf9細胞中で発現させた。Cdk2/サイクリンA、cdk4/サイクリンD1およびcdk6/サイクリンD2は、Sf9細胞中で発現させた。蛋白質キナーゼA(触媒性サブユニット、ウシ心臓由来)および蛋白質キナーゼC(ラット脳由来のイソザイムと混合)を市販のものを取得した。
基質:Histone H1を市販のものを取得した。GST−Rbは、Rb蛋白質の残基379〜928のN-末端に融合したグルタチオン-S-トランスフェラーゼである。
アッセイ:アデノシン[γ-32P]トリホスフェートからの放射性活性のHistone H1へのTCA沈降アッセイを用いた組み込みを測定することによって、Cdc2/サイクリンB活性を測定した。Cdc2/サイクリンBキナーゼおよびHistone H1は市販のもを取得した。最終アッセイ溶液は、50mMトリスHCl、10mM MgCl、1mMジチオスレイトール、50μMアデノシントリホスフェート、2μCi32P、10%ジメチルスルホキシド(化合物由来)、pH7.5の20μgのHistone H1、6U酵素を50μL体積中に含有していた。化合物を1mM〜10mMの間の種々の濃度で添加した。酵素を添加し反応を開始し、20分間30℃で反応を続け、さらに20μLの停止溶液(237mMエチレンジアミン四酢酸時ナトリウム、105mMアデノシントリホスフェート、pH8.0)を添加することによってその反応を停止した。35μLの70%(w/v)トリクロロ酢酸を添加することによって蛋白質を沈降させ、その沈降物を96ウェルのガラスファイバフィルタプレート(Millipore, Inc.)上で捕獲し、それを25%(w/v)トリクロロ酢酸を用いて湿潤させた。そのフィルタを25%(w/v)トリクロロ酢酸を用いて10回洗浄し、100μLのシンチラント(Microscint
20, Packard Instruments)を添加した後、組み込まれた32Pの量をシンチレーション計数によって測定した。化合物の存在下で組み込まれた放射活性の量をDMSOのみを含有し、化合物を含まない対照実験において組み込まれた放射活性の量で割ることによって、相対的活性を測定した。化合物の代わりに50mM
EDTAを含む実験において測定されたバックグラウンドの放射活性は、計算する前に全ての結果から引いた。50%阻害(IC50)を示す化合物の濃度は、データを標準式(下記数式1)に当てはめることによって測定した。
P = min + (max − min) (1/(1 + (IC50 / [I])s)) (数1)
式中、P=1、相対的活性は、相対的阻害率である。[I]は、化合物の濃度であり、max およびmin は、最大および最小相対的阻害率(それぞれ1および0)を表し、sは、いわゆるHillスロープである。
Cdk2/サイクリンE、Cdk4/サイクリンD1およびCdk6/サイクリンD2活性を、グルタチオン-セファロース捕獲アッセイを用いて測定した。酵素をSf9インセクト細胞中でヘテロダイマーとして発現させた。基質(GST−Rb)は、E. coli.中で発現したRb網膜芽細胞腫蛋白質の残基379〜928に融合したグルタチオン-S-トランスフェラーゼである。アッセイ溶液は、50mMトリスHCl、10mM
MgCl、1mMジチオスレイトール、50μMアデノシントリホスフェート、2μCi[32P]アデノシントリホスフェート、10%ジメチルスルホキシド(化合物由来)、pH7.5の40μgのGST−Rb、および酵素を体積100μL中に含有していた。化合物を1mM〜10mMの間の種々の濃度で添加した。その反応を30℃で15分間進め、70μLの停止溶液(237mMエチレンジアミン四酢酸ジナトリウム、105mMアデノシントリホスフェート、pH8.0)を添加することによってその反応を停止した。グルタチオン−セファローズビーズ(Amersham)に結合させることによって、110分間GST−Rbを捕獲した。その懸濁液を、ガラスファイバーフィルターを通して濾過した。保持されたビーズを0.3 %(w/v)Tween-20を含有するリン酸緩衝液を用いて5回洗浄した後、100μLのシンチラントを添加した後、組み込まれた33Pの量をシンチレーション計数によって測定した。化合物の存在下で組み込まれた放射活性の量をDMSOのみを含有し、化合物を含まない対照実験において組み込まれた放射活性の量で割ることによって、相対的活性を測定した。化合物の代わりに50mM
エチレンジアミン四酢酸ジナトリウムを含む実験において測定されたバックグラウンド放射活性を計算する前に全ての結果から引いておいた。50%阻害(IC50)を示す化合物の濃度は、データを標準式(1)に当てはめることによって測定した。
Histone H1を基質としたTCA沈降アッセイを用いて、蛋白質キナーゼCと蛋白質キナーゼAをアッセイした。蛋白質キナーゼAについては、最終アッセイは、50mM
トリス、10mM MgCl、1mMジチオスレイトール、pH7.5の12μMアデノシントリホスフェート、10%(w/v)ジメチルスルホキシド(化合物由来)、20μgのHistone H1、2μCi[32P]アデノシントリホスフェート、0.2U蛋白質キナーゼAを100μLアッセイ中に含有していた。蛋白質キナーゼCアッセイは、50mMトリス、10mM
MgCl、1mMジチオスレイトール、0.8mM
CaCl、pH7.5の5μMアデノシントリホスフェート、10%(w/v)ジメチルスルホキシド(化合物由来)、20μgのHistoneH1、2μCi[32P]アデノシントリホスフェート、0.01U蛋白質キナーゼCを50μLアッセイ中に含んでいた。酵素を添加することによってアッセイを開始し、30℃で10分間反応させ、0.4体積の237mMエチレンジアミン四酢酸ジナトリウム、105mMアデノシントリホスフェート、pH8.0を添加することによってその反応を停止した。0.5体積の75%(w/v)トリクロロ酢酸を添加することによって、停止させた反応から蛋白質を沈降させ、96ウェルガラスファイバー濾過器(Millipore)を介して濾過した。25%(w/v)トリクロロ酢酸でフィルタを10回洗浄し、組み込まれた[32P]ホスフェートを100μlの Microscintを添加して測定し、シンチレーション計数を行った。50%阻害率(IC50)を示す化合物の濃度は、データを式(1)に当てはめることによって求めた。
上記アッセイの結果を表5に示した。
アッセイ7:HCT116異種移植腫瘍モデル
本発明の薬剤、化合物を生物分解性の賦形剤中に合成し、静脈内投与用に調製した。CPT−11(Camptosar(登録商標)、Pharmacia)を医薬品として取得し、5%デキストローゼ−水(D5W)中に調製した。全ての調剤は、1週間ごとに新鮮にし、注入量は体重によって調製した(0.2ml/20gマウス)。
Mice/Husbandry. メスnu/nuマウスは、Charles
Riverから取得し、静的マイクロアイソレータ内に収容し、適宜に水および照射された標準的なげっ歯動物用の食餌(Purina Pico-Lab Rodent Diet 20)を与えた。
最大耐用量(MTD)の測定。8週齢のマウスを5〜8例ずつの群に分け、未知の試験化合物を用いて予備毒性試験を行った。動物に対して連続10日間、試験化合物を用いて静脈注射により処置し、週2回秤量した。薬物に関連するあらゆる副作用についてマウスの臨床徴候を頻繁に調べた。マウスにおける抗癌剤に対する許容可能な毒性は、NCIによって、20%を超える群の平均体重減少がないこと、および治療動物における中毒死が10%以下であることと定義されている。
標準的なプロトコル:無胸腺ヌードマウス(オスまたはメス、6〜7週齢)に、単一の1mm腫瘍断片(腫瘍ブリー(tumor brie))を皮下移植した。あるいは、5〜10×10組織培養由来の細胞を隣接部に移植した。最初は週2回、その後腫瘍が所望の大きさである約100mmに達したときからは、動物を毎日モニターした。腫瘍が計算された腫瘍重量で62〜221mgに成長したとき、その動物を対にして適切な実験治療群(8〜10匹/群)に分け、試験化合物を用いた治療を開始した。陽性対照には、ヒストリカルコントロールにしたがって投薬した。腫瘍重量を計算し、体重は週2回測定した。動物に薬物の副作用がないかを頻繁に観察した。該プロトコルは、腫瘍重量が1000mgに達したあらゆる動物については、直ちに安楽死させることを要求している。
デジタルキャリパーを用いて腫瘍の長さと幅を測定し、下記式を用いて推定腫瘍重量を計算した。
腫瘍重量(mg)=(w2 x l)/2
式中wは、HCT116腫瘍の幅(nm)、lは、HCT116腫瘍の長さ(nm)を表す。
実験的治療によって、腫瘍の部分的後退(PR)または完全な後退(CR)が引き起こされるかもしれない。PRは、研究中の連続する3日間において腫瘍の大きさが開始(1日目)の50%未満であるが、0.0mgではない場合である。一方、CRは、連続する3日間、測定可能な腫瘍が認められない場合である。治癒の定義は、動物の腫瘍が0mgに縮小し、実験が完了するまでそれを維持した場合である。
ログ・セル・キル(Log cell kill(LCK))は、治療開始後に殺傷された腫瘍のパーセンテージを求めるための計算であり、効果の量的測定値として使用することができる。
ログ・セル・キル(Log cell kill(LCK))= (T-C) / (3.32)(Td)
式中、Tは、治療群のマウスが1000mgの大きさに達するのに必要な時間の中間値、Cは、対照群の腫瘍が1000mgの大きさに達するのに必要な時間の中間値、Tdは、指数増殖の間の対照群腫瘍のセミ-ログ成長(semi-log growth)プロットの直線回帰分析から推定した腫瘍が二倍になる時間、3.32は、1-log10単位を増殖させるために、集団に必要な倍増の数である。各LCKユニットは、細胞殺傷の1-log10単位(例えば、1LCK=90%殺傷、2LCK=99%殺傷など)を表す。化合物は、LCK値が>1であるとき(>90%腫瘍細胞殺傷に相当)、化合物は活性であると考える。
腫瘍成長阻害(TGI)は、一定時間、化合物を用いて治療することによって阻害される腫瘍成長の量の計算値である。それは、以下のように表される:
%TGI=100(1−T/C)
式中、Tは、化合物治療群の所定日における腫瘍の大きさの中間値であり、Cは、同じ日における、賦形剤対照群の腫瘍の大きさの中間値である。
毒物死は、病状が進行したためではなく、化合物による治療によって引き起こされる死であると定義する。最後の化合物治療後、1週間以内に動物が死に、かつ腫瘍の大きさが1000mgに達していない場合、毒物死であるとする。この時点以降の腫瘍に関連しない死は記録するが、毒物死と考えない。
腫瘍後退は、下記の慣例に従って定義する:腫瘍重量が開始重量(<50mg)の<50%に減少した場合、部分的後退(PR)であると定義する。腫瘍重量が実験期間中に測定可能な重量以下にまで減少した場合、完全後退(CR)と定義する。観察期間の終了時に腫瘍のない動物となったとき治癒と定義する。
結果。図6は、HCT116異種移植片腫瘍モデルにおける、本発明のいくつかの化合物について、実現した結果を示す。図6は、化合物A37から実現したA2780異種移植片腫瘍モデルの結果を示す。図7は、化合物A37から実現したPC3異種移植片腫瘍モデルの結果を示す。図8は、化合物B16から実現したA2780異種移植片腫瘍モデルの結果を示す。
アッセイ8:標的分子と化合物との間のアフィニティの測定
本明細書に提案された使用のための所与の化合物が適切かどうかを確認するために、そのような化合物の、もしあればその公知の結合パートナーとの結合特性の特徴を明らかにすることが有用かもしれない。しかしながら、これは本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
化学化合物の、それらの対応する結合パートナーに対するアフィニティを、例えば、BIACORE(登録商標)アッセイシステム(Biacore AB、Uppsala、SE)を用いて測定してもよい。例えば、Affinity Sensors (Cambridge、UK)によって開発されたものなどの、定量的に類似する結果をもたらす他のシステムは、当該技術分野の当業者にとって容易に明らかとされる。
代表的な手続きにおいて、結合化合物Rとその公知の結合パートナーであるCDK2/サイクリンEとの結合を分析した。分析は、BIACORE 2000 SPR-Biosensorにおいて、22℃で、20mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、1mM
DTTおよび0.005%Tween 20(蛋白質グレード、Calbiochem)を含有する流れる緩衝剤中で行った。化合物Rの10μM溶液をpH8.0でCM5センサーチップ(リサーチグレード)のデキストラン表面に、アミド結合化学によって結合させた。化合物Rの蛋白質、例えば、CDK2/サイクリンEへの結合の特徴を明らかにするために、精製された蛋白質断片を流れる緩衝剤中に希釈し、9種の異なる蛋白質濃度を得た。それを、5分間ずつ連続的にセンサ表面上を通過させ、次いで、同じ流速で5分間流れる緩衝剤を通過させた。CDK2/サイクリンE複合体のCM5化合物R添加チップの表面への結合と解離を流速30μl/分で測定した。各実験後、そのチップを3M
グアニジニウム−ヒドロクロリド(20秒、30μl/分)を2回連続して注入することによって再構成し、その後次のサンプルを置いた。
そのデータをBioevaluationソフトウェアバージョン3.1(Biacore AB、Uppsala、SE)を用いて分析した。曲線を注入開始、および対照表面によって得られるバックグラウンドに標準化した。結合と解離の速度は、Langmuir 1:1結合モデルを用いて、別々にもしくは全体として決定した。アフィニティ(KD)は、式:KD= kdiss/ kassを用いて計算した。
上記の処置は、他の標的蛋白質、例えば、Cdk9、Cdk4などを用いて同様に行うことができる。Cdk9の阻害剤は、例えば、HIVおよび/またはAIDSの治療または予防に有用かもしれない。
図2は、CDK2/サイクリンEのCM5-化合物R添加チップへの結合ために得られた結果を一例として示している。これらのデータ量から計算されたKD は、8,0 +/-
2,8 nMであった。
アッセイ9:抗ウイルス活性
本発明のいくつかの化合物の活性を、ローパッセージで臨床的に単離したHIV-1ROJOに感染した末梢血単核細胞(PBMC)において評価し、急性で感染した細胞におけるこれらの化合物の効果の測定値を求めた。これらの正常ヒト細胞を使用することによって、これらの化合物の治療的指標を推定することが可能となる。2例のドナーからの新鮮なPBMCをプールし、PHA-Pによって48〜72時間刺激した。次にその細胞をIL−2の存在下で培養し、有糸分裂シグナルによって開始される細胞分裂を維持した。ウイルスを感染多重度0.1で添加した。効果を評価する前、細胞を感染後7日間培養した。上清における逆転写活性のレベルによってウイルス複製を測定し、MTSアッセイによって細胞毒性を測定した。これらの化合物の抗HIV効果および細胞毒性といった二重の測定の結果を表7に示す。
本出願全体にわたって引用された全ての参考文献、特許、および特許出願の内容を、参考文献として本明細書に援用する。
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図1は、化合物A37への曝露が(a)PI FACS分析によるHCT−116細胞の細胞周期分析;(b)PARP分裂の誘発に及ぼす影響を示す。 図2は、化合物A37がHCT−116腫瘍細胞のクローン原性生存に及ぼす不可逆的な影響を、(a)用量反応性および(b)時間推移によって表す。 図3は、化合物B16がHCT−116腫瘍細胞のクローン原性生存に及ぼす不可逆的な影響を、時間推移によって表す。 図4は、化合物A37に曝露された阻止された腫瘍(HCT−116)細胞の生存率が、同じ化合物に曝露された阻止された通常(IMR90)細胞と比較して減少していることを示す。 図5は、本発明の種々の化合物を用いたHCT−116異種移植片腫瘍アッセイから得られた結果を表す。 図6は、化合物A37を用いたA2780異種移植片腫瘍アッセイから得られた結果を、(a)種々の用量における腫瘍の大きさの時間推移、および(b)アッセイからの顕著なメトリクスの表によって表している。 図7は、化合物A37を用いたPC3異種移植片腫瘍アッセイから得られた結果を、(a)種々の用量における腫瘍の大きさの時間推移、および(b)アッセイからの顕著なメトリクスの表によって表している。 図8は、化合物B16を用いたA2780異種移植片腫瘍アッセイから得られた結果を、(a)種々の用量における腫瘍の大きさの時間推移、および(b)アッセイからの顕著なメトリクスの表によって表している。 図9は、CDK2/サイクリンEとCM5阻害剤を載せたチップとの結合について得られる結果の例を示す。これらのデータ量から計算されたKは、8,0+/−2,8nMとなる。

Claims (10)

  1. 式Iによって表される構造を有する化合物、その互変異性体、またはその薬学的に許容される塩の形態:
    Figure 0004791975
  2. 前記薬学的に許容される塩が下記の式を有する、請求項1に記載の化合物。
    Figure 0004791975
  3. 薬学的に許容される添加剤、及び請求項1乃至2のいずれかに記載の化合物を含む薬学的組成物。
  4. 医薬品として使用するための、請求項1乃至2のいずれかに記載の化合物。
  5. 高増殖性障害を治療するための、医薬品の製造における、請求項1乃至2のいずれかに記載の化合物の使用。
  6. 細胞の増殖を阻害するための、医薬品の製造における、請求項1乃至2のいずれかに記載の化合物の使用。
  7. ウイルス感染を治療するための、医薬品の製造における、請求項1乃至2のいずれかに記載の化合物の使用。
  8. 前記ウイルス感染がヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる、請求項7に記載の使用。
  9. 治療を必要とする患者における、サイクリン依存症キナーゼを阻害するための、医薬品の製造において、請求項1乃至2のいずれかに記載の化合物、又は前記化合物の治療学的有効量を含有する組成物の使用。
  10. 治療を必要とする患者に、サイクリン依存症キナーゼ関連性疾患を治療するための、医薬品の製造において、請求項1乃至2のいずれかに記載の化合物、又は前記化合物の治療学的有効量を含有する組成物の使用。
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