JP4790883B2 - マルチバルブの流通制御手段の連結構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、容器に対する流体流通を制御する流通制御手段を、マルチボディを介して容器に取り付けてなるマルチバルブの流通制御手段の連結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、LPガス(流体)を各需用者側に供給するシステムとして、図5及び図6に示すような民生用バルク供給システムが知られている。このシステムは、LPガスを貯蔵する貯槽(密閉容器)GBや、この貯槽GBに取り付けられ、同貯槽GBに対する流通を制御する各種の流通制御手段2を備えている。これらの流通制御手段2のうち、例えば21は貯槽GB内のLPガスを需用者側へ取り出すためのガス取出弁であり、22はローリー車のタンクから供給されるLPガスの圧力と貯槽GB内の圧力との均圧を図るための均圧弁であり、23は貯槽GB内の圧力が異常に上昇した場合にLPガスを大気に開放するための安全弁である。
【0003】
上記各流通制御手段2は、貯槽GBにおける円筒状の胴部の上面に穴を加工し、この穴の部分に環状のボスを溶接してなるネック(連結手段)3を介して、貯槽GBに取り付けられるようになっている。なお、図6は、流通制御手段2のうちのガス取出弁21について、このガス取出弁21を管用ネジを用いてネック3に接続する管用ネジ式のものの例を示している。なお、ガス取出弁21に設けられたフランジ面をネック3の上面に合わせてボルトで固定することにより、ガス取出弁21をネック3に接続するフランジ式のものもある。
【0004】
また、図5及び図6において、符号4は、各流通制御手段2の全体を覆うプロテクタであり、符号24は、ガス取出弁21に連結された調整器で、LPガスの供給圧力を規定の圧力範囲内に調整する機能を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の民生用バルク供給システムにおいては、ガス取出弁21、均圧弁22、安全弁23等の流通制御手段2が貯槽GBに個々に設けられているため、流通制御手段2の数量分だけ、穴加工及びネック3が必要になる。しかも、各ネック3は、各流通制御手段2に応じて大きさが異なるものになると共に、管用ネジ式のものとフランジ式のものとが混在したものとなっている。このため、加工や組立の工数の増加、部品点数の増加等によってコストが上昇してしまうという問題があった。
【0006】
又、ガス取出弁21、均圧弁22等の流通制御手段2に不具合が発生し、交換あるいは修理するために貯槽等GBの内部の残ガスを回収しなければならないという問題があった。
【0007】
更に、流通制御手段2を交換あるいは修理する場合、その間のガスの供給を停止することができなければ、仮供給設備も必要となっていた。
【0008】
そこで、本発明者等は、先の出願(特願平10ー340600号)で、複数の流通制御手段をマルチボディに連結してなる、加工や組立の工数の低減、部品点数の低減等によってコストの低減を図ることのできるマルチバルブを提案している。
【0009】
そこで本発明は、このマルチバルブにおける流通制御手段の交換作業においては、マルチボディ内の流体圧の関与および流体の漏洩をできる限り排除することが交換作業の安全に寄与することに鑑みて、流体圧の関与および流体の漏洩のない状態で流通制御手段の交換作業を一層安全に行うことができるマルチバルブの流通制御手段の連結構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するため、請求項1記載の発明は、容器との流体の流通を制御する流通制御手段が複数取り付けられ、前記容器に設けられた連結手段を介して、前記容器の外側に取り付けられるマルチボディを有するマルチバルブの流通制御手段の連結構造であって、前記マルチボディには、前記各流通制御手段に対応する位置に、前記流通制御手段を取り付けた際に、前記マルチボディと前記流通制御手段との間の流体の流通を可能とし、前記流通制御手段を取り外した際に、前記マルチボディから前記流通制御手段への流体の流れを遮断する部分連結弁が設けられており、前記各流通制御手段には、前記マルチボディとの間で密封構造を形成するシール手段が、前記流通制御手段の取り付けの際、前記部分連結弁の開放前に前記密封構造を形成し、前記流通制御手段の取り外しの際、前記部分連結弁の閉塞後に前記密封構造を解除することができる前記マルチボディとの相対位置に取り付けられ、前記シール手段は、前記流通制御手段を前記マルチボディから取り外す際に、前記部分連結弁が閉塞後に前記シール手段が前記密封構造を解除するように、前記部分連結弁の開閉ストロークと略同等の取付け深さ位置となるように位置決めされて、且つ前記部分連結弁が閉塞直後に前記シール手段の一部が前記マルチボディから視認可能に外部に露出するように、前記流通制御手段の外周部に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
このため請求項1記載の発明では、流通制御手段の取り付けは、当初、部分連結弁の閉塞状態で、容器内の流体圧が全く関与しない状態で行うことができ、かつ取り付けの途中で、シール手段により密封構造を形成し、その後部分連結弁を開放させて、流通制御手段をマルチボディに取り付けるようにしたので、取り付けに際しての容器内の流体の外部への漏洩を防止することができる。
【0012】
また、流通制御手段の取り外しは、シール手段による密封構造を維持しながら行うことができ、かつ取り外しの終段で部分連結弁が閉塞状態となり、この状態で流通制御手段を開放して、閉塞状態の部分連結弁と流通制御手段との間に存在する流体を、外部へ放出させることができ、その後は、密封構造が解除されて、容器内の流体圧が全く関与しない状態で、流通制御手段をマルチボディから取り外すことができる。このとき、流通制御手段の開放による流体の放出は、閉塞状態の部分連結弁と流通制御手段との間に存在する少量であるから、他に与える影響を全く無視することができる。
【0014】
また、マルチボディから露出するシール手段を視認することにより部分連結弁の閉塞状態を確認することができるので、流通制御手段を取り外す際に、流通制御手段を開放して、閉塞した部分連結弁と流通制御手段との間に存在する流体を、外部へ放出させる必要があるが、このときの流通制御手段を開放させるタイミングを的確に計ることができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のマルチバルブの流通制御手段の連結構造であって、前記複数の流通制御手段の内、一個の前記流通制御手段が、前記容器内の圧力が異常高圧になるのを回避する安全弁で構成されており、前記安全弁が、前記マルチボディとの連結部内の流体を外部へ放出するブローバルブを備えて構成されていることを特徴とする。
【0016】
このため請求項2記載の発明では、安全弁の取り外しは、シール手段による密封構造を維持しながら行うことができ、かつ取り外しの終段で部分連結弁が閉塞状態となり、この状態でブローバルブを開放して、閉塞状態の部分連結弁と安全弁との間に存在する流体を、外部へ放出させることができ、その後は、前記密封構造が解除されて、容器内の流体圧が全く関与しない状態で、安全弁をマルチボディから取り外すことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図1〜図4に基づいて説明する。なお、図5及び図6に示す従来例の構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0018】
本実施形態のマルチバルブ1は、民生用バルク供給システムにおけるLPガスを収容する貯槽(容器)GBに溶接により設けられたネック(連結手段)3を介して、貯槽GBの外側に取り付けられるマルチボディ11を有するものであって、このマルチボディ11には、ネック3を介して貯槽GBとの流体の流通を制御する流通制御手段2が3つ(複数)取り付けられるようになっている。
【0019】
そしてマルチボディ11には、各流通制御手段2に対応する位置に、流通制御手段2を取り付けた際に、マルチボディ11と流通制御手段2との間の流体の流通を可能とし、流通制御手段2を取り外した際に、マルチボディ11から流通制御手段2への流体の流れを遮断する部分連結弁13が設けられている。
【0020】
また、各流通制御手段2には、マルチボディ11との間で密封構造を形成するシール手段8(9,10)が、流通制御手段2の取り付けの際、部分連結弁13の開放前に前記密封構造を形成し、流通制御手段2の取り外しの際、部分連結弁13の閉塞後に前記密封構造を解除することができるマルチボディ11との相対位置に取り付けられている。
【0021】
具体的には、マルチボディ11は、ネック3に取り付けたときに貯槽GBの内部に連通するメイン流路11aを有し、このメイン流路11aに連通させてそれぞれ左右に突出形成した第1連結管5および第2連結管6と、前記メイン流路11aに連通させて軸方向に延設した第3連結管7とを備えて一体構成されている。この各連結管5,6,および7には、メイン流路11aに臨む位置にそれぞれ弁座5a,6a,および7aが配置されると共に、この各弁座5a,6a,および7aに、メイン流路11a側から接離する弁体を備えた各部分連結弁13が、スプリング14,15,および16により弁体を各弁座5a,6a,および7a方向に付勢して取り付けられている。
【0022】
また、各連結管5,6,および7には、外側から流通制御手段2としてのガス取出弁21、均圧弁22、および安全弁23がそれぞれ取り付けられている。
【0023】
ガス取出弁21は、図2に示すように、筒状本体の一端側に装着された開閉ハンドル21aと、この筒状本体の他端側に形成され外周部に雄ねじを刻設した連結端部21bと、この連結端部21bのやや上方位置の筒状本体の外周に沿って形成された環状溝に嵌着されたシール手段としてのOリング8と、このOリング8のやや上方位置の筒状本体の外周に刻設されたねじ部に螺合されたロックナット17と、筒状本体の中間部位から側方に突出形成された筒状連結部にユニオンナット19を介して連結されたアダプタスピンドル26とを備えて構成されている。そして、ガス取出弁21は、開閉ハンドル21aを閉めた状態で、その連結端部21bを第1連結管5の雌ねじ部に螺合させ、かつロックナット17を締め付けて取り付けられる。この取り付け状態では、部分連結弁13が、スプリング14のばね力に抗して連結端部21bの先端で押されて弁座5aから離反した開放状態になっており、かつOリング8は、第1連結管5の内周壁に密接して密封構造を構成している。なお、この取り付け状態では、アダプタスピンドル26に調整器(図6の調整器24)が取り付けられる。
【0024】
また、均圧弁22は、図3に示すように、筒状本体の一端側に形成され均圧用オスカップリング20を連結するカップリング連結部22Cと、この筒状本体の他端側に形成され外周部に雄ねじを刻設した連結端部22bと、この連結端部22bよりもやや中央よりの筒状本体の外周に沿って形成された環状溝に嵌着されたシール手段としてのOリング9と、このOリング9よりもやや中央よりの筒状本体の外周に刻設されたねじ部に螺合されたロックナット18と、筒状本体の中間部位から斜め側方に突出形成された筒状連結部に装着された開閉ハンドル22aとを備えて構成されている。均圧用オスカップリング20は、ローリー車側のホースに取付けられたメスカップリングと接続し、メスカップリングの開閉レバーを開にした状態でローリー車のタンク(図示せず)からマルチボディ11へのLPガスの流れを許容し、メスカップリングの開閉レバーを閉にした状態でマルチボディ11からローリー車のタンクへの逆流を防止する逆止弁の機能を備えている。
【0025】
そして、均圧弁22は、開閉ハンドル22aを閉めた状態で、その連結端部22bを第2連結管6の雌ねじ部に螺合させ、かつロックナット18を締め付けて取り付けられる。この取り付け状態では、部分連結弁13が、スプリング15のばね力に抗して連結端部22bの先端で押されて弁座6aから離反した開放状態になっており、かつOリング9は、第2連結管6の内周壁に密接して密封構造を構成している。
【0026】
さらに、安全弁23は、図4に示すように、下端部に形成され外周部に雄ねじを刻設した連結端部23aと、この連結端部23aのやや上方部位の外周に沿って形成された環状溝に嵌着されたシール手段としてのOリング10と、このOリング10のやや上方部位であって弁体28よりも下方部位の管壁を貫通して形成された流体放出路27を開閉可能に設けられたブローバルブ25とを備えて構成されている。そして、安全弁23は、ブローバルブ25を閉めた状態で、その連結端部23aを第3連結管7の雌ねじ部に螺合させて取り付けられる。この取り付け状態では、部分連結弁13が、スプリング16のばね力に抗して連結端部23aの先端で押されて弁座7aから離反した開放状態になっており、かつOリング10は、第3連結管7の内周壁に密接して密封構造を構成している。
【0027】
これらガス取出弁21、均圧弁22、および安全弁23においては、他の機構部は従来と同様に構成されている。また、各Oリング8,9,および10は、グリスが塗布された状態で用いられる。なお、図1中、符号12は、ガスケットである。
【0028】
また、好ましくは、シール手段としてのOリング8(9,10)は、流通制御手段2をマルチボディ11へ取り付けたときに、部分連結弁13の開閉ストロークと略同等の取付け深さ位置となるように位置決めされて、流通制御手段2の外周部に取り付けられる。このとき、部分連結弁13の開閉ストロークは、流通制御手段2の取り付けおよび取り外しにより部分連結弁13が往復動する距離に相当し、取付け深さ位置は、マルチボディ11への取付け状態にある流通制御手段2のマルチボディ11の外表面からの進入距離に相当する。
【0029】
具体的には、図1に示すように、Oリング8の場合、ガス取出弁21を第1連結管5へ取り付けたときに、部分連結弁13の開閉ストロークSは、部分連結弁13の弁体と弁座5aとの離間距離となり、取付け深さ位置Dは、第1連結管5の外側開口端面から、ガス取出弁21に取り付けられたOリング8までの距離となり、Oリング8は、取付け深さ位置Dが部分連結弁13の開閉ストロークSと略同等となるように位置決めされて、ガス取出弁21に取り付けられる。実際には、部分連結弁13が閉塞後、しばらくしてからOリング8の密封構造が解除するように、取付け深さ位置Dと開閉ストロークSとの関係を決めている。この関係は、Oリング9,10の場合も同様である。
【0030】
そして、この構成によれば、マルチボディ11から露出するOリング8(9,10)を視認することにより部分連結弁13の閉塞状態を確認することができるので、流通制御手段2を取り外す際に、流通制御手段2を開放して、閉塞した部分連結弁13と流通制御手段2との間に存在する流体を、外部へ放出させる必要があるが、このときの流通制御手段2を開放させるタイミングを的確に計ることができる。
【0031】
次に、各流通制御手段2の取り外しについて説明する。
【0032】
ガス取出弁21においは、開閉ハンドル21aを閉めて、出口側の配管内のガスを完全に燃焼させるか、あるいは安全な場所に排出し、しかる後ユニオンナット19を緩めて、アダプタスピンドル26と共に調整器等を取り外す。その後、ロックナット17を少し緩め、かつOリング8の一部が第1連結管5の外側開口縁から見えるまでガス取出弁21自体を緩める。この状態では未だOリング8による密封構造が維持されている。このOリング8の一部を視認することにより、部分連結弁13の弁体が弁座5aに密接して、部分連結弁13が閉塞状態になったことが確認できる。次いで、開閉ハンドル21aを開放して、閉塞状態の部分連結弁13とガス取出弁21との間にあるガスを外部に放出し、このガスの放出が止まったらガス取出弁21を第1連結管5から取り外す。このガス取出弁21の取り外しの過程で、Oリング8による密封構造は解除される。ガス取出弁21の取り外し後は、閉塞状態の部分連結弁13により貯槽GB内のガスの漏れを防ぐことができる。
【0033】
また、均圧弁22においは、開閉ハンドル22aを閉めて、ロックナット18を少し緩めて、Oリング9の一部が第2連結管6の外側開口縁から見えるまで均圧弁22自体を緩める。この状態では未だOリング9による密封構造が維持されている。このOリング9の一部を視認することにより、部分連結弁13の弁体が弁座6aに密接して、部分連結弁13が閉塞状態になったことが確認できる。次いで、カップリング連結部22Cに、均圧用オスカップリング20を介して図外のメスカップリングを接続し、このメスカップリングのハンドルを操作と共に、開閉ハンドル22aを開放して、閉塞状態の部分連結弁13と均圧弁22との間にあるガスを外部に放出し、このガスの放出が止まったら、前記メスカップリングを外した後、均圧弁22を第2連結管6から取り外す。この均圧弁22の取り外しの過程で、Oリング9による密封構造は解除される。均圧弁22の取り外し後は、閉塞状態の部分連結弁13により貯槽GB内のガスの漏れを防ぐことができる。
【0034】
さらに、安全弁23においては、適宜の治具を用いて安全弁23自体を、Oリング10の一部が第3連結管7の外側開口縁から見えるまで緩める。この状態では未だOリング10による密封構造が維持されている。このOリング10の一部を視認することにより、部分連結弁13の弁体が弁座7aに密接して、部分連結弁13が閉塞状態になったことが確認できる。次いで、ブローバルブ25を緩めて流体放出路27を開放して、閉塞状態の部分連結弁13と安全弁23との間にあるガスを外部に放出し、このガスの放出が止まったら、安全弁23を第3連結管7から取り外す。この安全弁23の取り外しの過程で、Oリング10による密封構造は解除される。安全弁23の取り外し後は、閉塞状態の部分連結弁13により貯槽GB内のガスの漏れを防ぐことができる。
【0035】
このように、本実施形態におけるマルチバルブ1の流通制御手段2の連結構造は、流通制御手段2の取り付けは、当初、部分連結弁13の閉塞状態で、容器GB内のガス圧が全く関与しない状態で行うことができ、かつ取り付けの途中で、Oリング8(9,10)により密封構造を形成し、その後部分連結弁13を開放させて、流通制御手段2をマルチボディ11に取り付けるようにしたので、取り付けに際しての容器GB内のガスの外部への漏洩を防止することができる。
【0036】
また、流通制御手段2の取り外しは、Oリング8(9,10)による密封構造を維持しながら行うことができ、かつ取り外しの終段で部分連結弁13が閉塞状態となり、この状態で流通制御手段2を開放して、閉塞状態の部分連結弁13と流通制御手段2との間に存在するガスを、外部へ放出させることができ、その後は、密封構造が解除されて、容器GB内のガス圧が全く関与しない状態で、流通制御手段2をマルチボディ11から取り外すことができる。このとき、流通制御手段2の開放によるガスの放出は、閉塞状態の部分連結弁13と流通制御手段2との間に存在する少量であるから、他に与える影響を全く無視することができる。
【0037】
また、このマルチバルブ1においては、マルチボディ11に、貯槽GBとの流通を制御する3つの流通制御手段2が取り付けられるようになっているから、貯槽GBには一つの穴を加工してこの部分にネック3を溶接し、このネック3にマルチボディ11を取り付けることによって、3つの流通制御手段2を貯槽GB内と流通可能にすることができる。したがって、貯槽GBに対する穴加工の工数や、この穴加工部分にネック3を溶接するなどの工数や、ネック3にマルチボディ11を取り付けるなどの組立に要する工数を低減することができると共に、ネック3などの部品点数の低減を図ることができる。よって、コストの低減をも図ることができる。
【0038】
また、ネック3が1つのものですむから、貯槽GBの密閉性能の向上を図ることができる。すなわち、ネック3を貯槽GBに溶接する箇所が減少するので、貯槽GBの密閉性能に対する信頼性が格段に向上すると共に、貯槽GBの安全性を格段に向上させることができる。
【0039】
そしてさらに、複数の流通制御手段2をマルチボディ11に取り付けることによって、流通制御手段2を貯槽GBに取り付けるための構造を簡素化することができると共に、同構造の小型化を図ることができる。しかも、この小型化によって、各流通制御手段2の全体を覆うように法律で決められているプロテクタ4(図5及び図6参照)を縮小化することができるという利点もある。
【0040】
さらには、安全弁23がマルチボディ11に接続された状態になっているので、貯槽GB内の圧力のみならず、各流通制御手段2及びその延長ライン上の圧力も、異常高圧になるのを防止することができる。例えば、ガス取出弁21を介してその下流側の流路が異常に高圧になるのを防止することができる。
【0041】
またさらに、マルチバルブ1においては、各流通制御手段2が接続される部分ごとに部分連結弁13が設けられているから、どの流通制御手段2を取り外しても、その部分からのLPガスの流出を防止することができるので、各流通制御手段2の交換をさらに容易に行なうことができる。
【0042】
また、容器として、LPガスを貯蔵する貯槽GBを示したが、この容器としては他のガスや液体を貯蔵する容器であってもよい。さらに、ネック3を貯槽GBの上面位置に設け、マルチバルブ1を貯槽GBの上側に位置するように設けたが、ネック3やマルチバルブ1は貯槽GBのどのような位置に配置してもよい。
【0043】
また、マルチボディ11に連結される流通制御手段2は、前記した実施形態のように3個に限定されるものではなく、2個、あるいは4個以上であっても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、請求項1記載の発明によれば、
▲1▼ 流通制御手段の取り付けに際しては、当初、部分連結弁の閉塞状態で、容器内の流体圧が全く関与しない状態で行うことができ、かつ取り付けの途中で、シール手段により密封構造を形成し、その後部分連結弁を開放させて、流通制御手段をマルチボディに取り付けることができ、かつ
▲2▼ 流通制御手段の取り外しに際しては、シール手段による密封構造を維持しながら行うことができ、かつ取り外しの終段で部分連結弁が閉塞状態となり、この状態で流通制御手段を開放して、閉塞状態の部分連結弁と流通制御手段との間に存在する流体を、外部へ放出させることができ、その後は、密封構造が解除されて、容器内の流体圧が全く関与しない状態で、流通制御手段をマルチボディから取り外すことができるので、流体圧の関与および流体の漏洩のない状態で流通制御手段の交換作業を一層安全に行うことができるマルチバルブの流通制御手段の連結構造を提供することができる。
【0045】
また、請求項1記載の発明によれば、マルチボディから露出するシール手段を視認することにより部分連結弁の閉塞状態を確認することができるので、この確認に基づいて、流体を放出させるための流通制御手段を開放させるタイミングを的確に計ることができ、ひいては交換作業の一層の安全を図ることができる。
【0046】
また、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、安全弁にブローバルブを備えたので、取り外しの終段で、ブローバルブを開放して、閉塞状態の部分連結弁と安全弁との間に存在する流体を、外部へ放出させることができ、これにより流体圧が全く関与しない状態で安全弁の交換作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態としてのマルチバルブの流通制御手段の連結構造を示す断面図である。
【図2】図1の連結構造に用いられるガス取出弁の断面図である。
【図3】図1の連結構造に用いられる均圧弁の断面図である。
【図4】図1の連結構造に用いられる安全弁の断面図である。
【図5】従来例として示した民生用バルク供給システムにおいて、貯槽に取り付けられる各種の流通制御手段の状況を示す平面図である。
【図6】同貯槽に取り付けられる各種の流通制御手段の状況を示す側面図である。
【符号の説明】
1 マルチバルブ
2 流通制御手段
3 ネック(連結手段)
8,9,10 Oリング(シール手段)
11 マルチボディ
13 部分連結弁
21 ガス取出弁(流通制御手段)
22 均圧弁(流通制御手段)
23 安全弁(流通制御手段)
25 ブローバルブ
D 取付け深さ位置
S 開閉ストローク(部分連結弁の)
GB 容器
Claims (2)
- 容器との流体の流通を制御する流通制御手段が複数取り付けられ、前記容器に設けられた連結手段を介して、前記容器の外側に取り付けられるマルチボディを有するマルチバルブの流通制御手段の連結構造であって、
前記マルチボディには、前記各流通制御手段に対応する位置に、前記流通制御手段を取り付けた際に、前記マルチボディと前記流通制御手段との間の流体の流通を可能とし、前記流通制御手段を取り外した際に、前記マルチボディから前記流通制御手段への流体の流れを遮断する部分連結弁が設けられており、
前記各流通制御手段には、前記マルチボディとの間で密封構造を形成するシール手段が、前記流通制御手段の取り付けの際、前記部分連結弁の開放前に前記密封構造を形成し、前記流通制御手段の取り外しの際、前記部分連結弁の閉塞後に前記密封構造を解除することができる前記マルチボディとの相対位置に取り付けられ、
前記シール手段は、前記流通制御手段を前記マルチボディから取り外す際に、前記部分連結弁が閉塞後に前記シール手段が前記密封構造を解除するように、前記部分連結弁の開閉ストロークと略同等の取付け深さ位置となるように位置決めされて、且つ前記部分連結弁が閉塞直後に前記シール手段の一部が前記マルチボディから視認可能に外部に露出するように、前記流通制御手段の外周部に取り付けられていることを特徴とするマルチバルブの流通制御手段の連結構造。 - 請求項1記載のマルチバルブの流通制御手段の連結構造であって、
前記複数の流通制御手段の内、一個の前記流通制御手段が、前記容器内の圧力が異常高圧になるのを回避する安全弁で構成されており、前記安全弁が、前記マルチボディとの連結部内の流体を外部へ放出するブローバルブを備えて構成されていることを特徴とするマルチバルブの流通制御手段の連結構造。
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