JP4790746B2 - 電動式ステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、少なくとも一組の歯車からなるラックアンドピニオン機構を備えた電動式ステアリング装置に関する。
車両用のステアリング装置(操舵装置)では、ステアリングハンドルから入力される操舵力にモータの補助力を付与すると共に、この操舵力をラックアンドピニオン機構を介して操舵車輪側に伝達する構成からなる電動式ステアリング装置が広く用いられている。
例えば、特許文献1には、ステアリングハンドルに連結されるピニオン軸に設けられたピニオンの圧力角を可及的に大きくすることにより、該ピニオンと車輪に連結されるラック軸に設けられたラックとの噛み合い摩擦を低減し、さらに歯諸元を適正に設定することにより良好な操作感を得ることを目的とした電動式ステアリング装置が提案されている。
特開2005−199776号公報
ところで、近年、車両重量やタイヤの偏平化等に伴ってラック軸に負荷される荷重が増大する傾向にあり、これに対応するため、より高い負荷能力を有するラックアンドピニオン機構が望まれている。
また、走行時や操舵時において、路面反力が操舵車輪からラック軸へと伝達された場合には、比較的長尺に形成された該ラック軸が撓みを生じ、ピニオンとラックの噛み合いに誤差を生じる可能性がある。さらに、路面からラックアンドピニオン機構を介してステアリングハンドルへと伝わる衝撃、いわゆるキックバック等により、一層大きな負荷がピニオンとラックの噛み合い部分に作用することも考えられる。この場合、ラックはその断面が円形の長軸であるラック軸に歯切りして形成されており、ラックとピニオンとの間の噛み合いは、円形のラック背面をラックガイド機構によって支持しているだけで確保されている。従って、ラック軸がその軸方向を中心として回転し、これによっても両歯の噛み合い関係にずれを生じることがある。
このようにラックとピニオンとの噛み合いに誤差やずれ等を生じると、歯面同士の接触関係が変化し、通常2歯で互いに接触している両歯が1歯だけで接触することがあるが、この場合であっても、応力集中等を抑制して歯の折損等を抑制して耐久性を確保すると共に、噛み合い精度を維持して操作フィーリングを維持することが求められる。
本発明は、上記従来の課題を考慮してなされたものであり、ラックアンドピニオン機構を構成する歯車の耐久性や噛み合い精度を一層向上させることができる電動式ステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電動式ステアリング装置は、ステアリングハンドルから入力される操舵力に対して補助力を付与する駆動源を有し、前記補助力を含む前記操舵力を少なくとも一部にラックアンドピニオン機構を介して操舵車輪に伝達することにより、車両の操舵を行う電動式ステアリング装置であって、前記ラックアンドピニオン機構は、前記ステアリングハンドルに連結されるピニオン軸に設けられたはすば歯車のピニオンと、前記操舵車輪に連結されるラック軸に所定幅にわたって設けられ、前記ピニオンに噛み合うはすば歯車のラックと、前記ラック軸を前記ピニオンに向かって付勢すると共に、前記ラック軸を、その軸線方向を中心として回転可能に支持するラックガイドとを備え、前記ラック軸の回転前には、前記ラックと前記ピニオンとが2つの噛合点で噛み合いし、前記ラック軸が軸線方向を中心として回転した際には、前記ラックの歯先側より先に歯元側が前記ピニオンと当接するように、前記ラックは、歯先の圧力角に対して歯元の圧力角が大きく設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ラックの圧力角を歯先より歯元を大きく設定している。これにより、ラックが軸方向を中心として回転した際、該ラックがピニオンの歯元側に食い込むことが有効に防止され、ラックの歯先側よりも先に歯元側がピニオンと当接する。従って、より肉厚で強度の高いラックの歯元側をピニオンと当接させることができるため、該ラックの曲げモーメントを低減させて、ラックアンドピニオン機構の耐久性や噛み合い精度の維持及び向上を図ることができ、当該電動式ステアリング装置の操作フィーリングを向上させることができる。
この場合、前記ピニオンは、凸状円弧の歯面形状に設定され、前記ラックは、歯先から歯元に向かって圧力角が漸次増大する凹状円弧の歯面形状に設定されていると、ラックとピニオンとを円弧で接触させ、接触部での荷重を分散させて、ラックだけでなくピニオンの曲げ強度も向上させることができる。
本発明によれば、ラックの圧力角を歯先より歯元を大きく設定することにより、ラックが軸方向を中心として回転した際、該ラックがピニオンの歯元側に食い込むことが有効に防止され、ラックの歯先側よりも先に歯元側がピニオンと当接する。従って、より肉厚で強度の高いラックの歯元側をピニオンと当接されることができるため、該ラックの曲げモーメントを低減させて、ラックアンドピニオン機構の耐久性や噛み合い精度の維持及び向上を図ることができ、当該電動式ステアリング装置の操作フィーリングを向上させることができる。
以下、本発明に係る電動式ステアリング装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電動式ステアリング装置10を模式的に示す説明図である。本実施形態に係る電動式ステアリング装置10は、四輪自動車等からなる車両12の操舵車輪(前輪)14側に搭載されることで、該車両12の操舵を行うための装置であり、いわゆる電動式パワーステアリング装置である。
図1に示すように、電動式ステアリング装置10は、車両12のステアリングハンドル16から両操舵車輪14、14に至るステアリング系20と、該ステアリング系20による操舵トルク(操舵力)に補助トルク(補助力)を付加する補助トルク機構22とを備える。
ステアリング系20は、ステアリングハンドル16にステアリングシャフト24及び自在軸継手26、26を介してピニオン軸(回転軸)28を連結すると共に、該ピニオン軸28にラックアンドピニオン機構30を介してラック軸32を連結し、さらに該ラック軸32の両端に左右のタイロッド34、34及びナックル36、36を介して操舵車輪14、14を連結して構成されている。
ラックアンドピニオン機構30は、ピニオン軸28に形成したピニオン38に、ラック軸32に形成したラック40(図5A参照)を噛み合わせた、いわゆるラックアンドピニオン歯車である。該ラックアンドピニオン機構30により、ピニオン38がステアリングハンドル16に連結され、ラック40が操舵車輪14、14に連結される。従って、運転者は、ステアリングハンドル16を操舵することで生じる操舵トルクによってラックアンドピニオン機構30及び左右のタイロッド34、34を介して、左右の操舵車輪14、14を操舵することができる。
補助トルク機構22は、ステアリングハンドル16に加えられたステアリング系20の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ42を有し、該操舵トルクセンサ42からのトルク検出信号に基づく制御信号を制御部44から電動機(駆動源)46へと送信する。該電動機46は、前記操舵トルクに応じた補助トルクを発生するモータである。そこで、前記補助トルクが減速機構48及びピニオン軸28を介してステアリング系20のラックアンドピニオン機構30に伝達されることにより、該ラックアンドピニオン機構30及び左右のタイロッド34、34によって、左右の操舵車輪14、14を操舵することができる。
このように、補助トルク機構22は、制御部44及び電動機46と共に、該電動機46の出力軸50とピニオン38との間に介在させた減速機構48と、該減速機構48とステアリングハンドル16との間に介在させて前記操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ42とを備えて構成されている。ここで、ピニオン38は、ステアリングハンドル16の操舵トルクに応じて電動機46が発生した補助トルクが付加される歯車である。
従って、電動式ステアリング装置10では、ステアリング系20と共に前記補助トルク機構22を有することにより、運転者の操舵トルクに電動機46の補助トルクを加えた複合トルクによって操舵車輪14、14を一層円滑に且つ適切に操舵することができる。
図2は、電動式ステアリング装置10のラックアンドピニオン機構30周辺部の構成を示す一部断面正面図である。
図2に示すように、ラック40を設けたラック軸32は、車両12の車幅方向(図2の左右方向)に延びたハウジング52に軸方向へスライド可能に収容されている。すなわち、ラック軸32は、ハウジング52から突出した長手方向両端にボールジョイント54、54を介してタイロッド34、34を連結した軸である。なお、図2中の参照符号56は、ボールジョイント54とタイロッド34との連結部を保護するダストシール用ブーツである。
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図であり、電動式ステアリング装置10の縦断面構造を示している。
図3に示すように、電動式ステアリング装置10において、ピニオン軸28、ラックアンドピニオン機構30、操舵トルクセンサ42及び減速機構48はハウジング52に収納され、該ハウジング52の上部開口が上部カバー部58で塞がれている。この場合、電動機46はハウジング52に取付けられ、操舵トルクセンサ42は上部カバー部58に取付けられている。
ラックアンドピニオン機構30を構成するピニオン38及びラック40は、両歯車ともいわゆる「はすば歯車(ヘリカルギヤ)」であり、すなわち、ピニオン38は「はすばピニオン」であり、ラック40は「はすばラック」である。
減速機構48は、電動機46で発生される補助トルクをピニオン軸28に伝達するウォームギヤ機構、すなわち倍力機構である。より詳細には、減速機構48は、電動機46の出力軸50に設けたウォーム60と、ピニオン軸28に結合し且つウォーム60に噛み合わせたウォームホイール62(以下単に、ホイール62ともいう)とから構成されている。
ハウジング52は、上下に延びたピニオン軸28の上部、長手方向中央部及び下端部を3個の軸受64、65及び66によって回転可能に支承すると共に、ラック軸32をピニオン38側に付勢するラックガイド70を支持している。なお、図3中の参照符号72はロックナットであり、参照符号74はオイルシールである。
この場合、前記操舵トルクセンサ42は、永久歪みが付与され作用トルクに応じて磁歪特性が変化する第1永久歪部76及び第2永久歪部78をピニオン軸28に設けると共に、これら第1及び第2永久歪部76及び78の周囲に、第1及び第2永久歪部76及び78に生じた磁歪効果を電気的に検出する検出部80を設けることにより、該検出部80の検出信号をトルク検出信号として出力する、いわゆる磁歪式トルクセンサである。
第1及び第2永久歪部76、78は、ピニオン軸28の軸方向(長手方向)に互いに逆方向の永久歪みを付与された磁歪膜から構成される。検出部80は、ピニオン軸28が挿通される筒状のコイルボビン82、83と、該コイルボビン82、83に巻回された第1多層ソレノイド巻きコイル84及び第2多層ソレノイド巻きコイル85と、これら第1及び第2多層ソレノイド巻きコイル84及び85の周囲を囲う磁気シールド用バックヨーク86とから構成される。
ラックガイド70は、ラック40と反対側からラック軸32に当てるガイド部88と、該ガイド部88を圧縮ばね(調整ばね)90を介して付勢する調整ボルト92とを備えたラック軸32(ラック40)の押圧手段である。通常時、例えば、非走行時や安定走行時等においてラック40とピニオン38とがほとんどずれなく噛み合っている状態では、ガイド部88と調整ボルト92との間には、該調整ボルト92の調整方向に若干の隙間Gを有する。なお、図3中の参照符号94はラック軸32の背面を滑らせる当て部材であり、参照符号96はロックナットである。
このように、ラックアンドピニオン機構30では、ピニオン38とラック40の一方(ここではラック40)を互いに噛み合う方向に押すことができる押圧手段としてラックガイド70を設けている。これにより、該ラックガイド70を構成するガイド部88により、ピニオン軸28の長手方向へのラック軸32の移動が規制されつつ、該ラック軸32はその軸方向へと摺動可能に且つ軸方向を中心として揺動方向にも摺動可能に支持されていることになる。
従って、ラックガイド70によれば、ハウジング52に螺合させた調整ボルト92により、圧縮ばね90を介してガイド部88を適切な押圧力で押すことができることから、ガイド部88によりラック40に予圧を与え、該ラック40をピニオン38に押し付けることができる。この結果、ピニオン38とラック40との噛み合いの遊びを最小限に保持することが可能となる。さらには、ピニオン38の歯やラック40の歯が摩耗したときには、ラックガイド70によってピニオン軸28をピニオン38側に押すことで、良好な噛み合い状態を維持することが可能となる。
図4は、図3に示す電動式ステアリング装置10の負荷時、例えば走行時に操舵車輪14に伝達される路面反力が大きな場合等において、ラック軸32(ラック40)が回転した様子を示す断面図である。
図4に示すように、例えば走行時等において車両12が大きな路面反力を受けると、ラック軸力の圧力角による分力によってラック軸32(ラック40)がガイド部88に支持されつつ当て部材94を摺動して所定角度θだけ回転する。この際、ラック40とピニオン38とが互いの噛み合い方向にずれを生じ、ラック軸32はその背面側(ラック40と反対側の曲面)でガイド部88を調整ボルト92の方向に押圧して多少後退する。
すなわち、このようにラック軸32がその軸方向を中心として回転すると、ガイド部88と調整ボルト92との間の隙間Gが、図3に示すように多少余裕を持った状態から、図4に示すように全くなくなった状態へと変化することになり、該隙間Gは略ゼロとなる。このため、ラック軸32とピニオン38の軸間距離は、図3に示す距離Cから、該距離Aに前記隙間Gを足した図4に示す距離C+Gに拡大され、つまりラック40とピニオン38とはバックラッシGを持つことになり、これらラック40とピニオン38の両歯の噛み合いに前記拡大した距離Gに相当する分の遊びGを発生する。この結果、該遊びGが、ラック40が回転する隙間となり、結果としてラック40は回転角(転び角)θで回転することになる。
そこで、ラック軸32(ラック40)が回転する際のピニオン38との噛み合いに係るラック40の圧力角の変化について、図5A〜図6Bを参照して説明する。
図5Aは、ラック40を設けたラック軸32の一部省略斜視図であり、図5Bは、図5Aに示すラック40の要部を模式的に示す拡大斜視図である。また、図6Aは、ラック軸32が回転する前の状態を模式的に示す断面図であり、図6Bは、図6Aに示す状態からラック軸32が回転した後の状態を模式的に示す断面図である。なお、図6A及び図6Bでは、図の理解を容易にするため断面図のハッチングを省略して図示しており、後述する図7A〜図9Bについても同様である。また、図5A〜図6Bでは、説明の簡単のためにラック40の歯形を従来から一般的に用いられている形状、具体的には、ラック40の歯先から歯末までの圧力角を一定として図示しており、後述する図8A〜図9Bに示される本実施形態に係るラック40(40a)の歯形とはその形状が相違している。
図5Aに示すように、ラック40はラック軸32の一面側に形成されている。ここで、図5B及び図6Aに示すように、通常時(ラック軸32の非回転時)のピニオン38との噛み合いに係るラック40の圧力角をαと称し、そのときの歯丈(全歯丈)をHと称するものとする。
一方、図5B及び図6Bに示すように、回転時、つまり回転角θだけラック軸32(ラック40)が回転した際の該ラック40の圧力角をβと称するものとすると、そのときの歯丈はH/cosθとなる。
そうすると、図5B及び図6Aに示すように、通常時のラック40では、点P1及び点A1を結ぶ直線と点P2及び点A2を結ぶ直線との交差角を、圧力角αの2倍の角度2αとして表すことができる。一方、図5B及び図6Bに示すように、回転時のラック40では、点P1及び点B1を結ぶ直線と点P2及び点B2を結ぶ直線との交差角を、圧力角βの2倍の値となる角度2βとして表すことができる。
従って、圧力角αと圧力角βとの関係を考えると、図5B〜図6Bから諒解されるように、tanα=x/H、tanβ=xcosθ/H=tanαcosθ、となる。ここで、0<cosθ<1、であることから、tanα>tanβ、となり、α>β、との関係が得られることになる。つまり、ラック軸32が回転角θで回転すると、ピニオン38とラック40との噛み合いに係る圧力角は、αからβへと減少することになる。
そこで、先ず、従来構成の歯形、具体的には歯先から歯末までの圧力角が一定のラック41が形成されたラック軸33を用いた場合の該ラック41とピニオン38との噛み合いの状態について、図7A及び図7Bを参照して説明する。図7Aは、従来構成の歯形からなるラック41とピニオン38との通常時の噛み合いの状態を模式的に示す断面図であり、図7Bは、図7Aに示す状態からラック軸33が回転角θだけ回転した状態でのラック41とピニオン38との噛み合いの状態を模式的に示す断面図である。なお、図中、ラック41のピッチ線をPR、ピニオン38のピッチ線をPPとし、以下同様とする。
図7Aに示すように、このようなラック41では、通常時(ラック軸33の非回転時)、2つの噛合点E1、E2にてピニオン38と噛み合いし、それぞれ荷重Fが平等に負荷されている。なお、ピニオン38は、ピッチ線PPより歯先側の歯形が略円弧状に形成されている。
一方、図7Bに示すように、回転時、つまり回転角θだけラック軸33(ラック41)が回転した状態では、上記したようにラック41の噛み合いの圧力角がαからβへと減少する。このため、該ラック41の歯先とピニオン38の歯元の噛合点E3のみに荷重が集中し、前記荷重Fの2倍の荷重2Fが1点に負荷されることになる。これは、図7Bから諒解されるように、ラック軸33が転ぶとラック41の実際の圧力角が減少すると共に、該ラック41のピッチが変化し、このため、図7Aに示すようにラック41及びピニオン38の両歯が2枚で噛み合っている状態から、図7Bに示すように1枚でしか噛み合わなくなるからである。すなわち、図7Bに示す状態では、ラック41の歯先がピニオン38の歯元側に食い込んでしまっている。
以上より、歯先から歯末までの圧力角が一定に設定された従来構成の歯形を有するラック41を用いた場合、ラック軸33が回転しラック41とピニオン38との噛み合い関係が変化すると、該ラック41の1つの歯の歯先に応力集中を生じ、このため、歯の破損や噛み合い精度の低下等を惹起する可能性がある。
次に、本実施形態に係る電動式ステアリング装置10に用いられるラック40とピニオン38との噛み合いの状態について、図8A及び図8Bを参照して説明する。図8Aは、本実施形態における歯形からなるラック40とピニオン38との通常時の噛み合いの状態を模式的に示す断面図であり、図8Bは、図8Aに示す状態からラック軸32が回転角θだけ回転した状態でのラック40とピニオン38との噛み合いの状態を模式的に示す断面図である。
図8Aに示すように、ラック40は、図7A及び図7Bに示した従来構成の歯形からなるラック41と比較して、ピッチ線PR近傍から歯元にかけて圧力角を増大させており、つまり歯先側から歯元側にかけて圧力角がα0からα1へと増大するように設定している(α0<α1)。換言すれば、ラック40は、少なくとも2つの圧力角α0、α1を有し、より大きな圧力角α1が歯元側に設定されている。
従って、図8Bに示すように、ラック軸32が回転角θだけ回転すると、ラック40では歯先側の圧力角β0よりも歯元側の圧力角β1が大きく設定されていることから、該ラック40は歯先側より先に歯元側がピニオン38と当接することになる。従って、図7Bに示す従来構成の歯形からなるラック41のように、該ラック41の歯先がピニオン38の歯元側に食い込み、該ラック41の歯先1歯に集中的な荷重がかかることを防止することができる。
すなわち、図8Aに示すように、ラック軸32の回転前には2つの噛合点E4、E5でラック40とピニオン38とが噛み合いし、それぞれ荷重Fが負荷されている。一方、図8Bに示すように、ラック軸32が回転後には1つの噛合点E6のみでラック40とピニオン38とが噛み合いし、該噛合点E6には荷重Fの2倍の荷重2Fが負荷されるが、この場合、噛合点E6は歯元側に生じている点が図7Bに示す場合と異なっている。
このように本実施形態の場合、ラック軸32が回転すると、ラック40では歯先側に比べて肉厚の歯元側に荷重の負担が移動することになる。つまり、歯先より歯元の圧力角を大きく設定しておくことにより、ピニオン38をより肉厚で強度の高いラック40の歯元側に当接させることができ、結果として、ラック40の曲げモーメントを低減して強度を向上させることができ、より高いラック軸力まで対応することが可能となる。このため、ラックアンドピニオン機構30を構成する歯車であるラック40の耐久性やピニオン38との噛み合い精度の維持、向上を図ることができ、電動式ステアリング装置10の操作フィーリングの向上も図ることができる。
なお、本実施形態に係る電動式ステアリング装置10に設けられるラックアンドピニオン機構30では、上記した図8A及び図8Bに示す歯形以外のラックも用いることができ、要はラックの歯先側より歯元側の圧力角が大きく設定されていればよい。図9Aは、本実施形態の変形例に係る歯形からなるラック40aとピニオン38との通常時の噛み合いの状態を模式的に示す断面図であり、図9Bは、図9Aに示す状態からラック軸32aが回転角θだけ回転した状態でのラック40aとピニオン38との噛み合いの状態を模式的に示す断面図である。
図9Aに示すように、ラック40aは、ピッチ線PR近傍から歯元にかけて圧力角α2が次第に大きくなるように、直径Rからなる略円弧形状に設定されている。この場合、ラック40aの歯元側の圧力角α2が歯先(歯末)の圧力角より漸次増大する略円弧形状としたことにより、図9Bに示すように、ラック軸32aが回転した場合にも、ラック40aでは歯先から歯元へと圧力角β2も漸次増大する。
従って、図9Aに示すようにラック軸32aの回転前には2つの噛合点E7、E8でラック40aとピニオン38とが噛み合いし、それぞれ荷重Fが負荷されている状態から、図9Bに示すようにラック軸32aが回転し、ラック40aとピニオン38との噛み合いが1歯当たりとなった際には、ラック40aの歯元とピニオン38の歯先とが複数の噛合点E9〜E11にて円弧面同士で当接する。ここで、ラック40aでは、ピニオン38の歯先と同様、歯元の圧力角β2が大きく設定されていることから、ラック40aの歯先がピニオン38の歯元側に食い込み、該ラック40aの歯先とピニオン38の歯元とが強く当たることがない。このため、ラック40aの曲げモーメントの増大による折損やラック40aの歯先部の面圧上昇が低減でき、さらに、ラック40aの歯元とピニオン38の歯先が凹状円弧と凸状円弧の接触となり、接触部にかかる面圧を有効に低減することができる。しかも、ラック40aとピニオン38との接触部は上記のように円弧同士の接触となり、複数の噛合点E9〜E11で接触することから、その荷重は一点ではなくやや広い範囲に分散した分布荷重となり、全ての分布荷重を合わせたものが荷重2Fとなっている。
さらに、この場合には、ラック40aだけでなく、前記分散荷重等の効果によってピニオン38の歯元の曲げモーメントも低減することができ、ラック40a及びピニオン38の歯元にかかる曲げ応力を低減させ、換言すれば、ラック40a及びピニオン38の曲げ強度を向上させることができる。
なお、上記したラック40aにおいて、圧力角α2(β2)の直径Rは単一の円弧で形成されている必要は当然なく、複数の直線の集合で形成された円弧形状等であってもよいことは言うまでもない。
以上のように、上記実施形態によれば、ラック40(40a)の圧力角を歯先より歯元を大きく設定することにより、ラック軸32(32a)の回転時、ラック40(40a)がピニオン38の歯元側に深く食い込むことが有効に防止され、ラック40(40a)の歯先側よりも先に歯元側がピニオン38と当接する(図8B及び図9B参照)。このため、図7Bに示す従来構成の歯形からなるラック41のように歯先1歯に集中的に荷重がかかることが阻止され、つまり、ラック軸32(32a)が回転した場合には、歯先に比べて肉厚の歯元側に荷重の負担を移動させることができる。従って、ピニオン38をより肉厚で強度の高いラック40(40a)の歯元側に当接させて、ラック40(40a)の曲げモーメントを低減させることができることから、ラックアンドピニオン機構30の耐久性やピニオン38との噛み合い精度の維持及び向上を図ることができ、電動式ステアリング装置10の操作フィーリングを向上させることができる。
以上、上記実施形態により本発明を説明したが、これに限らず、本発明は、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
本発明の一実施形態に係る電動式ステアリング装置を模式的に示す説明図である。 図1に示す電動式ステアリング装置のラックアンドピニオン機構周辺部の構成を示す一部断面正面図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 図3に示す電動式ステアリング装置の負荷時にラック軸が回転した様子を示す断面図である。 図5Aは、図1に示すラック軸の一部省略斜視図であり、図5Bは、図5Aに示すラックの要部を模式的に示す拡大斜視図である。 図6Aは、図5Aに示すラック軸が回転する前の状態を模式的に示す断面図であり、図6Bは、図6Aに示す状態からラック軸が回転した後の状態を模式的に示す断面図である。 図7Aは、従来構成の歯形からなるラックとピニオンとの通常時の噛み合いの状態を模式的に示す断面図であり、図7Bは、図7Aに示す状態からラック軸が回転した状態でのラックとピニオンとの噛み合いの状態を模式的に示す断面図である。 図8Aは、本実施形態における歯形からなるラックとピニオンとの通常時の噛み合いの状態を模式的に示す断面図であり、図8Bは、図8Aに示す状態からラック軸が回転した状態でのラックとピニオンとの噛み合いの状態を模式的に示す断面図である。 図9Aは、本実施形態の変形例に係る歯形からなるラックとピニオンとの通常時の噛み合いの状態を模式的に示す断面図であり、図9Bは、図9Aに示す状態からラック軸が回転した状態でのラックとピニオンとの噛み合いの状態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
10…電動式ステアリング装置 12…車両
14…操舵車輪 16…ステアリングハンドル
20…ステアリング系 22…補助トルク機構
28…ピニオン軸 30…ラックアンドピニオン機構
32、32a、33…ラック軸 38…ピニオン
40、40a、41…ラック 46…電動機
48…減速機構 70…ラックガイド
88…ガイド部

Claims (2)

  1. ステアリングハンドルから入力される操舵力に対して補助力を付与する駆動源を有し、前記補助力を含む前記操舵力を少なくとも一部にラックアンドピニオン機構を介して操舵車輪に伝達することにより、車両の操舵を行う電動式ステアリング装置であって、
    前記ラックアンドピニオン機構は、前記ステアリングハンドルに連結されるピニオン軸に設けられたはすば歯車のピニオンと、
    前記操舵車輪に連結されるラック軸に所定幅にわたって設けられ、前記ピニオンに噛み合うはすば歯車のラックと、
    前記ラック軸を前記ピニオンに向かって付勢すると共に、前記ラック軸を、その軸線方向を中心として回転可能に支持するラックガイドと、
    を備え、
    前記ラック軸の回転前には、前記ラックと前記ピニオンとが2つの噛合点で噛み合いし、前記ラック軸が軸線方向を中心として回転した際には、前記ラックの歯先側より先に歯元側が前記ピニオンと当接するように、前記ラックは、歯先の圧力角に対して歯元の圧力角が大きく設定されていることを特徴とする電動式ステアリング装置。
  2. 請求項1記載の電動式ステアリング装置において、
    前記ピニオンは、凸状円弧の歯面形状に設定され、
    前記ラックは、歯先から歯元に向かって圧力角が漸次増大する凹状円弧の歯面形状に設定されていることを特徴とする電動式ステアリング装置。
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