JP4790256B2 - 蛍光増白用蛍光体 - Google Patents

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Description

本発明は、可視光線から紫外線の波長領域の光を吸収し、青色を発する蛍光体に関し、さらに白色塗料や白色塗膜等と組み合わせることにより、白色度を増加することができる蛍光増白用蛍光体に関する。
一般的に白色の塗装面を得るための塗料には、白色を有する顔料として酸化チタンや酸化亜鉛等が用いられ、特に酸化チタンはその大きい隠ぺい力により、さまざまな塗料に用いられている。
これら白色を有する顔料は、他の色の顔料に比べ優れた白色度を有してはいるが、必ずしも全ての可視光を均一に反射しているわけではなく、例えば酸化チタンにおいては青色領域の反射が弱く、全体的に薄い黄色を帯びた白色となっている。
一方、これら酸化チタン等を用いた白色塗料は、さまざまな工業製品や工芸品、建築構造物などに用いられており、特に自動車外板などにおける白色については、近年その外観に高級感を持たせるべく、一層の白色度が求められているが、前述したとおり、酸化チタンによる白には、黄色味を帯びているため、好ましくない。
また、酸化チタンのほかにも、塗料中の樹脂や、メタリック調やパール調の塗装面を得るために塗料に混合されるアルミニウム顔料やマイカ顔料等も、少しずつ黄色味を有しているため、これも好ましくない。
このような黄色味を、青色の蛍光を発する物質を用いることで青色を補い、全体をより白く見せる手段、いわゆる蛍光増白という手段は古くから知られており、例えばワイシャツなどの白い繊維製品に、青色の蛍光を発する有機蛍光染料を用いることで、繊維の黄色味に蛍光染料の青色を補うことで、より白い繊維製品とすることは、古くから用いられている。
また、この蛍光染料による増白効果を塗料組成物に用いることも開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1で開示された蛍光増白剤は、「スチルベン系,ベンズイミダゾール系,ベンズオキサゾール系,クマリン系,チオフェン系,キサンテン系,ナフタルイミド系など」のように有機系の蛍光増白剤であり、耐久性や耐候性に劣るため、経時により蛍光増白効果が急速に減衰するという問題がある。
また、この問題を解決するために、アルミニウム顔料やマイカ顔料などの光輝性顔料と、蛍光性有機白色顔料とを組み合わせて用いる塗膜の形成方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、この蛍光性有機白色顔料を用いる方法は、前述の有機系蛍光増白剤に比べれば耐候性には優れるものの、やはり有機系の白色顔料を用いるため、酸化チタンのような一般的な無機系白色顔料にくらべて耐候性に劣るため、とくに自動車用塗装などのような過酷な環境下で用いる場合では、実用性に欠けるという問題がある。
特開平1−313575号公報 (第1頁〜第3頁) 特開2004−255322号公報 (第2頁〜第3頁)
本発明は、前述の従来技術に鑑み、耐候性と蛍光増白効果に優れた蛍光増白用蛍光体を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく種々の蛍光体について実験を行なった結果、一般的に有機系蛍光体にくらべて優れた耐候性を有する無機系の蛍光体であって、さらに好ましい蛍光体体色および蛍光発光色を有し、かつ優れた発光輝度を有する、蛍光増白の用途に好適な蛍光体を見出した。
請求項1記載の蛍光増白用蛍光体は、化学式が(Ba1−x―yCaEu)MgAl1017で表され、xは0.05≦x≦0.2であり、yは0.075≦y≦0.25であり、
かつ0.25≦x+y≦0.35であり、蛍光体に波長365nmの紫外光を照射したときに得られる蛍光の色度(y)値が0.08以上0.09以下であることを特徴としている。
そして、カルシウム(Ca)の量xとユウロピウム(Eu)の量yとを、0.05≦x≦0.2、0.075≦y≦0.25、かつ0.25≦x+y≦0.35とし、蛍光の色度(y)値を0.08以上0.09以下とすることで、優れた耐候性を有し、かつ好ましい蛍光体体色および蛍光発光色を有し、さらに優れた発光輝度を有する蛍光増白用蛍光体となる。
ここで、カルシウム(Ca)を加えることで、全くカルシウムを加えない場合に比べて、この蛍光体を焼成するための焼成温度を低くし、また焼成回数を少なくする効果があり、このため蛍光体が着色することなどなく、安定した焼成結果が得られる。
このとき、カルシウムの量xが0.33を超える場合は、発光輝度が低下する傾向がみられるとともに、粒径が大きくなりすぎるため、好ましくない。
このため、カルシウムの量xを0≦x≦0.33、より好ましくは0.05≦x≦0.2とすることで、発光輝度が低下することがなく、また粒径が大きくなりすぎることがなく、優れた蛍光増白用蛍光体が得られる。
また、ユウロピウム(Eu)の量yが0.07未満の場合は、賦活剤としてのユウロピウムの効果が少なすぎるため発光輝度が低下し好ましくなく、またyが0.35を超えた場合、副生成物の割合が増加し発光輝度が低下するため好ましくない。
このため、ユウロピウムの量yを0.07≦y≦0.35、より好ましくは0.075≦y≦0.25とすることで、発光輝度が低下することなく、優れた蛍光増白用蛍光体が得られる。
さらに、上記カルシウムの量xとユウロピウムの量yとは、いずれもその量の増減に従い、蛍光発光色が変化するが、この変化を色度座標値(x,y)のうちの(y)値(以下、「色度(y)値」と表す。)で表すと、カルシウムの量xが増加すると、色度(y)値は増加し、ユウロピウムの量yが増加すると、やはり色度(y)値は増加する。
このとき、酸化チタン等による黄色味を抑え、より白く見せるための蛍光発光色の色度(y)の範囲は、0.06以上0.10以下が好ましく、0.07以上0.09以下の範囲がより好ましい。しかし、色度(y)値が0.06未満となると、発光色がより深い青色にシフトするために、視感度が低下し、結果発光輝度が低下してしまう。また、色度(y)値が0.10を超えると、視感度は向上するものの蛍光発光スペクトルがブロードとなり、酸化チタン等による黄色味を抑える効果が低下してしまう。このため、蛍光発光色の色度(y)値は、0.06以上0.10以下が好ましい。
さてここで、カルシウムの量xとユウロピウムの量yの和、すなわちx+yが0.1未満の場合、色度(y)値は低下しすぎ、色度(y)値の好ましい下限0.06を下回るため好ましくなく、x+yが0.4を超えた場合、色度(y)値は上昇しすぎ、色度(y)の好ましい下限0.10を上回るため、好ましくない。
さらに、x+yが0.4を超えた場合、発光輝度自体も低下する傾向にあるため、やはり好ましくない。
このため、カルシウムの量xとユウロピウムの量yの和、すなわちx+yを0.1≦x+y≦0.4、より好ましくは0.25≦x+y≦0.35とすることにより、発光輝度が低下することなく、好ましい蛍光発光色をもつ、優れた蛍光増白用蛍光体が得られる。
請求項2記載の蛍光増白用蛍光体は、請求項1記載の蛍光増白用蛍光体において、粒径がD50で2μm以上4.5μm以下であることを特徴としている。ここで、粒径がD50で2μm未満の場合は、発光輝度が低下してしまうため好ましくなく、粒径がD50で4.5μmを超える場合は、塗面を形成する場合にムラになりやすく、また隠ぺい性が低下し下地が見えやすくなり、さらに塗面自体が形成しにくくなるというような問題があり好ましくない。
このため、粒径をD50で2μm以上4.5μm以下とすることにより、請求項1記載の蛍光増白用蛍光体の特性に加えて、さらに発光輝度が低下することなく、また塗面を形成したときにも好ましい特性をもつ、優れた蛍光増白用蛍光体が得られる。
なお、請求項1および2に記載した蛍光増白用蛍光体は、無機系の蛍光体であるため、一般的な有機系の蛍光体を用いた蛍光染料に比べて優れた耐候性を有するが、さらにこれら上記蛍光増白用蛍光体は、アルミン酸塩バリウムマグネシウム系蛍光体、すなわちBAM系蛍光体の一種であるため、このBAM系蛍光体は化学的に安定で、太陽光線や水分等に曝されても変化しにくい蛍光体であることは当業者とって公知であることから、これら請求項1および2に記載した蛍光増白用蛍光体は、特に優れた耐候性を有していることがわかる。
請求項1記載の蛍光増白用蛍光体によれば、化学式が(Ba1−x−yCaEu)MgAl1017で表され、xは0.05≦x≦0.2とし、yは0.075≦y≦0.25とし、
かつ0.25≦x+y≦0.35とし、蛍光の色度(y)値を0.08以上0.09以下としたことで、優れた耐候性を有し、かつ好ましい蛍光体体色および蛍光発光色を有し、さらに優れた発光輝度を有する蛍光増白用蛍光体を得ることができる。
請求項2記載の蛍光増白用蛍光体によれば、請求項1記載の蛍光増白用蛍光体において、粒径がD50で2μm以上4.5μm以下とすることで、請求項1記載の蛍光増白用蛍光体の特性に加えて、さらに発光輝度が低下することなく、また塗面を形成したときにも好ましい特性をもつ、優れた蛍光増白用蛍光体を得ることができる。
以下、本発明の一実施の形態における蛍光体を製造する工程を説明する。
まず、バリウム(Ba)の原料として例えば炭酸バリウム(BaCO)と、カルシウム(Ca)の原料として例えば炭酸カルシウム(CaCO)と、ユウロピウム(Eu)の原料として例えば酸化ユウロピウム(Eu)と、マグネシウム(Mg)の原料として例えば塩基性炭酸マグネシウム等と、アルミニウム(Al)の原料として例えばアルミナ(Al)等と、フラックスとして例えばフッ化マグネシウム(MgF)やフッ化アルミニウム(AlF)等とを、各々所定量秤量して充分に混合して混合物を得る。この混合物を例えば高純度アルミナるつぼ等に詰め、還元性雰囲気例えば水素含有窒素ガス雰囲気中にて、例えば約1300℃から約1600℃の焼成温度で、約2時間から6時間焼成し、より好ましくは約4〜5時間程度焼成し、その後冷却し、粉砕工程、洗浄工程、乾燥工程、分級工程等を経て、所定の粒度の蛍光体を得る。
こうして得られた蛍光増白に適した蛍光体は、化学式が(Ba1−x―yCaEu)MgAl1017で表され、xは0≦x≦0.33であり、yは0.07≦y≦0.35であり、かつ0.1≦x+y≦0.4となる。
次に、上記一実施の形態の実施例として、本願発明の蛍光増白用蛍光体の特性を、従来の有機物系蛍光増白剤や他の無機系蛍光体等の特性と比較して説明する。
まず、バリウム(Ba)の原料として炭酸バリウム(BaCO)148.00g(Ba元素として0.75モル)と、カルシウム(Ca)の原料として炭酸カルシウム(CaCO)10.01g(Ca元素として0.1モル)と、ユウロピウム(Eu)の原料として酸化ユウロピウム(Eu)26.39g(Eu元素として0.15モル)と、マグネシウム(Mg)の原料として塩基性炭酸マグネシウム(MgO含有率42.5%のロットを使用)94.83g(Mg元素として1モル)と、アルミニウム(Al)の原料としてアルミナ(Al)509.81g(Al元素として10モル)とに、フラックスとしてフッ化マグネシウム(MgF)1.87g(0.03モル)とフッ化アルミニウム(AlF)3.8g(原料の総質量の0.5%)とを加え、充分に混合して混合物を得る。この混合物を高純度アルミナるつぼに詰め、還元性雰囲気として水素25%窒素75%混合ガス雰囲気中にて、約1450℃の焼成温度で、約4時間焼成し、その後冷却し、ビーズミルによる粉砕工程、純水による洗浄工程、乾燥工程、分級工程を経て、#150メッシュを通過し得られた蛍光体を試料1とした。
この試料1の蛍光体は、(Ba0.75Ca0.1Eu0.15)MgAl1017で表される。
次に、従来の有機系蛍光増白剤としてスチルベン系蛍光増白剤を用意し、これを比較例1とした
さらに別の比較例として、青色領域の光を発光する無機系蛍光体であるSrP:Eu(製品名:SP−A 根本特殊化学製)、CaMgSi:Eu(製品名:PDB−C 根本特殊化学製)、Sr(PO・SrCl:Eu(製品名:SPE−A 根本特殊化学製)を用意し、各々比較例2、比較例3、比較例4とした。
これら実施例1および比較例1ないし比較例4の蛍光体を各々試料皿に入れ、波長365nmの紫外光を照射したときに得られる蛍光について、まず色度計(色度計CS−100 コニカミノルタ製)を用いて色度(y)値を測定し、さらに輝度計(輝度計LS−110 コニカミノルタ製)を用いて発光輝度を視感輝度として測定した。その結果を表1に示す。なお、視感輝度は、比較例1の輝度を100とした場合の相対輝度として表した。
続いて、実施例1および比較例1ないし比較例4の蛍光体について、発光スペクトルを分光蛍光光度計(F−4500型 日立製作所製)を用いて測定し、発光ピーク波長を求めた。この結果も表1に示す。
Figure 0004790256
これら表1に示す結果より、従来の有機系蛍光増白剤である比較例1の色度(y)と視感輝度と、ほぼ同等の性能を持っている無機系蛍光体は、本願発明である実施例1のみであり、他の無機系蛍光体である比較例2ないし比較例4においては、発光ピーク波長こそ近いものの、色度(y)については大きく異なり、さらに視感輝度については、全く実用的なレベルにないことがわかる。
参考として、従来の有機系蛍光増白剤である比較例1と、本願発明である実施例1の発光スペクトルを図1に示す。
以上のことより、本願発明の一実施形態である(Ba0.75Ca0.1Eu0.15)MgAl1017で表される無機系蛍光体は、他の青色領域の光を発光する無機系蛍光体と比較して、従来の有機系蛍光増白剤とほぼ同様な優れた発光特性を有していることがわかる。
次に、実施例2として、カルシウム(Ca)の量xとユウロピウム(Eu)の量yとを変化させた場合の本願発明の蛍光増白用蛍光体の特性について説明する。
まず、バリウム(Ba)の原料として炭酸バリウム(BaCO)138.15g(Ba元素として0.7モル)と、カルシウム(Ca)の原料として炭酸カルシウム(CaCO)20.02g(Ca元素として0.2モル)と、ユウロピウム(Eu)の原料として酸化ユウロピウム(Eu)17.60g(Eu元素として0.1モル)と、マグネシウム(Mg)の原料として塩基性炭酸マグネシウム(MgO含有率42.5%のロットを使用)94.83g(Mg元素として1モル)と、アルミニウム(Al)の原料としてアルミナ(Al)509.81g(Al元素として10モル)とに、フラックスとしてフッ化マグネシウム(MgF)1.87g(0.03モル)とフッ化アルミニウム(AlF)3.8g(原料の総質量の0.5%)とを加え、充分に混合して混合物を得る。この混合物を高純度アルミナるつぼに詰め、還元性雰囲気として水素25%窒素75%混合ガス雰囲気中にて、約1420℃の焼成温度で、約5時間焼成し、その後冷却し、ビーズミルによる粉砕工程、純水による洗浄工程、乾燥工程、分級工程を経て、#150メッシュを通過し得られた蛍光体を試料2−(14)とした。
この試料2−(14)の蛍光体は、(Ba0.7Ca0.2Eu0.1)MgAl1017で表される。
同様にして、カルシウムとユウロピウムの量を、表2に示すように各々変化させたほかは試料2−(14)と同一の条件で蛍光体を作成し、これを試料2−(1)ないし試料2−(13)および試料2−(15)ないし試料2−(24)とした。
これら得られた試料2−(1)ないし試料2−(24)について、実施例1と同様に、色度計を用いて色度(y)値を、輝度計を用いて発光輝度を視感輝度として測定した。その結果を表2に示す。なお視感輝度は、比較例1の輝度を100とした場合の相対輝度として表した。
Figure 0004790256
これら表2に示す結果より、まずカルシウムの量xとユウロピウムの量yの和について注目すると、x+yが0.1未満の0.07である試料2−(1)は、視感輝度が比較例1の60%未満と低く、実用上好ましくない。また、x+yが0.4を超え0.45である試料2−(24)は、色度(y)値が0.111と0.1を上回っているためこれも好ましくない。従って、少なくともカルシウムの量xとユウロピウムの量yの和であるx+yは、0.1以上0.4以下であることが好ましいと言える。
さらに、x+yが0.1であっても、ユウロピウムの量yが0.07未満の0.05である試料2−(4)では、視感輝度が比較例1の60%未満と低く、やはり好ましくない。また、x+yが0.4であっても、ユウロピウムの量yが0.35を超え0.4である試料2−(18)は、色度(y)値が0.107と0.1を上回っているため、好ましくない。
さらに、x+yが0.4であっても、カルシウムの量xが0.33を超え0.35であり、ユウロピウムの量yが0.07未満の0.05である試料2−(23)では、色度(y)値も視感輝度も好ましい範囲に入っているため、一見好ましいように見えるが、この試料2−(23)は、カルシウムの量xが大きすぎるため、粒子成長が進んで、粒子径が大きくなりすぎるという別の問題が生じて、やはり好ましくない。
一方、カルシウムの量xが0≦x≦0.33の範囲で、ユウロピウムの量yが0.07≦y≦0.35の範囲で、かつx+yは0.1≦x+y≦0.4の範囲である試料2−(5)ないし試料2−(17)、試料2−(21)、試料2−(22)については、いずれにおいても色度(y)値が好適な範囲である0.06以上0.1以下に入っており、かつ視感輝度が比較例1の60%以上となっており、好ましい。
さらに、この内の試料2−(9)、試料2−(11)、試料2−(13)、試料2−(14)、試料2−(17)については、色度(y)値がより好ましい0.08以上0.09以下の範囲に入っており、かつ視感輝度が比較例1の100%以上となっており、より好ましい。
また、試料2−(2)、試料2−(3)については、色度(y)値が0.06を若干下回るものの、視感輝度は比較例1の60%以上となっており、若干より劣るものの使用可能と考える。さらに、試料2−(19)、試料2−(20)についても、色度(y)値が0.1を若干上回るものの、視感輝度は比較例1の123%および144%と優れているため、これらの試料も好ましい。
これらの結果より、カルシウムの量xが0≦x≦0.33の範囲で、ユウロピウムの量yが0.07≦y≦0.35の範囲で、かつx+yは0.1≦x+y≦0.4の範囲であることで、すぐれた蛍光増白用蛍光体が得られることがわかる。
なお、上記試料2−(1)ないし試料2−(24)以外にも、焼成条件など製造条件を変更して実験を行なったが、いずれも上記範囲で好適な蛍光増白用蛍光体が得られることが確認できた。
これらの実験を通じて、カルシウムの量xは0でも、本願発明の好ましい蛍光増白用蛍光体が得られるが、カルシウムの量xは0.05以上のほうが、焼成温度などが緩和され、より安定した蛍光体を得ることができる傾向にあることがわかった。
また、カルシウムの量xが0.2を超えた場合、蛍光体粒子の成長が促進され、粒径が大きくなる傾向にあることがわかった。
なお、ユウロピウムの量yが0.35を超えると視感輝度が低下するのは、副生成物である例えばアルミン酸ユウロピウムなどが副生する割合が増加していくためであると考えられる。
次に、実施例3として、粒径を変化させた場合の本願発明の蛍光増白用蛍光体の特性について説明する。
焼成後のビーズミル工程の時間を表3に示すように3時間から15時間に変化させた他は、実施例1と全く同様に蛍光体を作成して、これを試料3−(1)ないし試料3−(6)とした。
これら試料3−(1)ないし試料3−(6)について、まずレーザ回折式粒度分布測定装置(SALD-2100 株式会社島津製作所製)で粒度分布を測定し、平均粒径D50を求め、これを表3に示した。
つづいて、これら試料3−(1)ないし試料3−(6)を用いて、鋼板を用いた試験用基材上に塗装面をつくり、特性を観察した。
すなわち、まずリン酸亜鉛化処理を施した厚さ0.8mmの鋼板上に、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料を乾燥膜厚が20μmになるように電着塗装し加熱硬化させ塗膜を形成した後、さらに白色のメラミン樹脂系中塗り塗料を乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装し加熱硬化させ塗膜を形成させ、さらに二酸化チタン系のメラミン樹脂塗料を乾燥膜厚が15μmになるようにスプレー塗装し乾燥させ塗膜を形成させたものを用意し、これを試験用基材とした。
この試験用基材上に、上記試料3−(1)100部と水産基含有アクリル樹脂70部とブチル化メラミン樹脂30部とを有機溶剤ととも混合し塗料化したものを、乾燥膜厚が20μmになるようにスプレー塗装した後に乾燥させ塗膜を形成した。同様に試料3−(2)ないし試料3−(6)についても試験用基材上に塗膜を形成し、これらに365nmの紫外線を当て塗膜を観察し、その結果についても表3に示した。
Figure 0004790256
これら表3に示す結果より、平均粒径D50が4.5μm以下の試料3−(2)ないし試料3−(6)では好ましい塗膜が得られていることがわかり、平均粒径D50が3μm以下の試料3−(4)ないし試料3−(6)では、より好ましい塗膜が得られていることがわかる。しかしながら、平均粒径D50が4.5μmを超え5.1μmである試料3−(1)では、塗膜のムラが大きく、塗膜自体も形成しにくく、さらに下の塗装面が見えるなどの問題がある。
また、平均粒径D50が2μm未満になると、ビーズミル工程の時間を多く必要とするだけでなく、蛍光体の輝度が低下するため好ましくない。
以上のことより、平均粒径D50が2μm以上4.5μm以下であることにより、優れた蛍光増白用蛍光体となることがわかる。
本発明の蛍光増白用蛍光体は、酸化チタン等を用いた白色塗料面や樹脂等の白色の黄色味を、青色の蛍光で補い、全体をより白く見せることができるため、さまざまな白色面をより白くするために用いられるほか、特に耐候性に優れるため、屋外の外壁や自動車用塗装などの過酷な環境下で、特に好適に利用できる。
本発明の一実施の形態の蛍光増白用蛍光体の、発光スペクトルを表すグラフである。

Claims (2)

  1. 化学式が(Ba1−x−yCaEu)MgAl1017で表される蛍光体であって、
    xは0.05≦x≦0.2であり、yは0.075≦y≦0.25であり、
    かつ0.25≦x+y≦0.35であり、
    蛍光体に波長365nmの紫外光を照射したときに得られる蛍光の色度(y)値が0.08以上0.09以下である
    ことを特徴とした蛍光増白用蛍光体。
  2. 粒径は、D50で2μm以上4.5μm以下であることを特徴とした請求項1記載の蛍光増白用蛍光体。
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