JP4789355B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含有してなり、短波長光に対して高屈折率を有する酸化チタン系薄膜と、これを相変化型記録層の保護膜として用いた光記録媒体に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来、可視光線等の光に対して高い屈折率を有し、熱に対して優れた安定性を有する薄膜は、レーザー集光用レンズや光記録媒体といった用途に使用されている。
【0003】
例えば、光記録媒体の中でもレーザー光の照射信号を記録層の相変化として記録する相変化型記録層を備えたものは相変化型光記録媒体と呼ばれ、CD−RW、DVD−RAM、DVD+RW等の光ディスクとして用いられている。
【0004】
図4に一般的な相変化型光記録媒体の概略図を示すように、この相変化型光記録媒体20は、ポリマー等からなる円盤状をした基体11上に、第一の保護層12a、Te合金やSb合金からなる相変化型記録層(以下、単に記録層という)13、第二の保護層12bをこの順序で積層し、最後に、アルミニウム、金、銀、あるいはこれらを主成分とする合金等からなる反射層14と樹脂層15を被着したもので、基体11側からレーザー光を照射すると、レーザー光は第二の保護層12bを透過して記録層13に照射され、記録層13を透過したレーザー光は第一の保護膜12aを透過して反射層14で反射され、反射されたレーザー光は、再度、第一の保護膜12a、記録層13、第二の保護層12bを透過して照射側に戻り、電気信号として取り出されるようになっており、記録時には、信号強度に対応して変調されたレーザー光が照射され、その熱エネルギーにより記録層13を相変化させることにより(例えば、記録層13の合金薄膜を結晶相と非晶相とに相互に変化させる)、信号情報をこの相変化として記録させ、また、再生時には、レーザー光を照射して記録層13における相変化に伴ったレーザー光の反射強度変化を信号として検出するようになっていた。
【0005】
そして、このような相変化型光記録媒体20に用いられる保護層12a,12bは、レーザー光を透過し、かつ記録層13に接してその両面を保護する目的で設けられているものであるが、レーザー光の照射による記録/消去時には、瞬間的に400℃〜700℃の熱が加わり、大きな温度変化を受けることになることになるため、耐熱衝撃性に優れた硫化亜鉛薄膜が用いられていた。
【0006】
しかしながら、レーザー光の照射によって繰り返し熱が加わると、硫化亜鉛薄膜中のZnS結晶が粒成長を起こして薄膜の特性が劣化することから、この粒成長を防止するため、保護層12a,12bとしてSiO2を含有する硫化亜鉛系薄膜、例えば、モル比で、80モル%ZnS−20モル%SiO2の組成を有する硫化亜鉛系薄膜により形成したものを用いることが提案されていた(特開平11−278936号公報参照)。
【0007】
また、硫化亜鉛系薄膜からなる保護膜12a,12bを有する相変化型光記録媒体を製作するには、RFスパッタリング装置内に、基体11と、これと対置して、ZnS−SiO2系焼結体からなるスパッタリングターゲット材を配置し、高真空で希薄なAr中で高周波プラズマを発生させることにより、基体11上にSiO2を含有する硫化亜鉛系薄膜からなる保護膜12aを被着し、この保護層12a上にTe合金やSb合金からなる記録層13を形成した後、さらに記録層13上に、ZnS−SiO2系薄膜からなる保護層12bをRFスパッタリング装置により被着した後、アルミニウム、金、銀、あるいはこれらを主成分とする合金等からなる反射層14と樹脂層15を被着することにより形成されていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、相変化型光記録媒体の高密度化のため、回転速度の高速化と共に、レーザー光の短波長化が進められており、従来、830nmや780nmの波長を有するレーザー光が用いられていたのに対し、400nmの波長を有するレーザー光を用いることが提案されており、このレーザー光の短波長化によって記録層13における復素屈折率の相変化に伴う変化率が小さくなり(信号のS/N比が小さくなる)、保護層12a,12bの屈折率を高めることが要求されていた。
【0009】
ところが、保護膜12a,12bを硫化亜鉛薄膜により形成したものでは、400nm波長光に対する屈折率(n)が2.35程度と比較的高い屈折率を有するものの、上述したように、硫化亜鉛薄膜はレーザー光の照射によって薄膜中のZnS結晶が粒成長を起こして薄膜の特性劣化を生じるといった不都合があり、他方、保護膜12a,12bをSi
2を含有する硫化亜鉛系薄膜により形成したものでは、SiO2の含有によりレーザー光に対する屈折率が全体的に悪くなり、特に400nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率(n)が2.35よりもさらに低くなって、光記録媒体の記録密度を高めることができないといった課題があった。
【0010】
そこで、400nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率(n)を高めるために、SiO2を含有する硫化亜鉛系薄膜からなる保護層12a,12bの厚みを厚くすることも考えられるが、硫化亜鉛系薄膜は熱伝導率が小さいため、記録/消去時におけるレーザー光の照射によって保護層12a,12bに蓄熱された熱を直ちに放熱することができず、記録層13や基体11との間の熱膨張差に伴って発生する熱応力によって剥離するといった恐れがあった。その上、光記録媒体がCD仕様である場合、ポリマーからなる基体11の厚みが1.2mm程度とある程度の厚みによって強度を維持することができるものの、光記録媒体がDVD仕様となると、その厚みは0.6mmにまで薄くなり、この場合、熱応力によってポリマーからなる基体11が変形するといった恐れもあった。
【0011】
さらに、記録/消去時に照射されるレーザー光によって硫化亜鉛系薄膜からなる保護層12a,12bが400℃〜700℃の温度範囲に加熱されると、硫化亜鉛系薄膜中の硫黄が記録層13の合金と反応して腐食され、光記録媒体の信頼性が著しく損なわれるといった課題もあった。
【0012】
また、硫化亜鉛系薄膜からなる保護層12a,12bを形成するために用いるスパッタリングターゲット材としてのZnS−SiO2系焼結体は、その体積固有抵抗値が高いため、RFスパッタリング法が用いられていたが、RFスパッタリング法は成膜速度が遅く、光記録媒体の生産性を高めることができないといった不都合もあった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本件発明者は、短波長光に対する屈折率が硫化亜鉛薄膜よりも高く、耐熱衝撃性に優れるとともに、熱に対して高い安定性を有し、かつDCスパッタリング法等の効率の良い成膜手段によって成膜することが可能な薄膜について鋭意研究を重ねたところ、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含有する酸化チタン系薄膜を用いれば良いことを見出し、本発明に至った。
【0014】
本発明は、レーザー光の照射信号を相変化として記録する合金からなる記録層と、該記録層の上下に設けられ、前記記録層を被覆して保護する保護層と、一方の保護層に接して前記記録層と反対側に設けられた金属からなる反射層とを有する光記録媒体であって、上記保護層が、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブをNb25換算で重量%〜10重量%の範囲で含有し、かつ非晶質構造を有する酸化チタン系薄膜からなり、上記保護層の400nmの波長光に対する屈折率が2.8より大きいであることを特徴とする。
【0015】
また、上記光記録媒体は、上記保護層を形成する酸化チタン系薄膜の400nmから800nmの波長光に対する屈折率が2.4以上であるものが好ましい。
【0016】
また、上記光記録媒体は、上記保護層を形成する酸化チタン系薄膜の400nmから1500nmの波長光に対する屈折率が2.4以上であるものが好ましい。
【発明の実施の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
本発明の酸化チタン系薄膜は、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含有したもので、400nmの波長光に対する屈折率が2.5以上であることを特徴とする。
【0019】
即ち、本件発明者は、短波長光に対する屈折率が硫化亜鉛薄膜より高い材料について鋭意研究を重ねたところ、酸化チタンが硫化亜鉛と同程度の屈折率を有することを知見し、さらに酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含有させることにより、酸化チタン(TiO2)や硫化亜鉛(ZnS)の単体よりも屈折率を高めることができることを見出したのである。
【0020】
そして、酸化ニオブの含有量について実験を重ねたところ、Nb25換算で0.5重量%〜14重量%の範囲で含有することにより、400nmの波長光に対する屈折率を2.5以上とすることができ、好ましくは酸化ニオブの含有量をNb25換算で、1重量%〜13重量%の範囲で含有することにより、400nmの波長光に対する屈折率を2.6以上とすることができ、さらに好ましくは酸化ニオブの含有量をNb25換算で、2.5重量%〜11重量%の範囲で含有することにより、400nmの波長光に対する屈折率を2.8以上とすることができ、望ましくは酸化ニオブの含有量をNb25換算で、5重量%〜10重量%の範囲で含有することにより、400nmの波長光に対する屈折率を2.85以上とすることができる。
【0021】
その為、本発明の酸化チタン系薄膜を用いれば、短波長光に対する高い屈折率が要求されるレーザー集光用レンズ、光記録媒体といった用途に好適に用いることができる。
【0022】
また、この酸化チタン系薄膜は、非晶質構造を有し、熱に対する安定性に優れることから、700℃もの大きな熱が加わったとしても酸化チタン結晶が生成されたり、粒成長を起こすようなことがなく、かつ酸化チタン系薄膜が他の材質と反応することもないため、熱が加わるような環境下でも使用することができる。しかも、非晶質構造であるため、成膜時に膜内に残留する内部応力が小さいため、被着する基板との相性の制約が少なく、様々な基板へ比較的密着良く被着することができる。
【0023】
ところで、本発明の酸化チタン系薄膜を製作するには、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法等の気相成膜法を用いることができるが、これらの気相成膜法の中でもスパッタリング法を用いれば比較的簡単にかつ安価に酸化チタン系薄膜を成膜することができる。
【0024】
スパッタリングターゲット材としては、酸化チタン系薄膜と略同等の組成を有する酸化ニオブを含有する酸化チタン系焼結体を用いれば良く、具体的には、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブをNb25換算で0.5重量%を越え、15重量%以下の範囲で含有する酸化チタン系焼結体を用いることが好ましい。
【0025】
即ち、酸化ニオブの含有量がNb25換算で0.5重量%以下であると、成膜した酸化チタン系薄膜中における酸化ニオブの含有量がNb25換算で0.5重量%以下となり、400nmの波長光に対する屈曲率を2.5以上とすることができないからであり、逆に酸化ニオブの含有量がNb25換算で15重量%を超えると、成膜した酸化チタン系薄膜中における酸化ニオブの含有量がNb25換算で14重量%を越え、400nmの波長光に対する屈曲率を2.5以上とすることができないからである。
【0026】
そして、主成分である酸化チタンは絶縁材料であるが、これに酸化ニオブをNb25換算で0.5重量%を越え、15重量%以下の範囲で含有することにより、酸化チタン系焼結体のシート抵抗値を100Ω/□以下とすることができ、RFスパッタリング法だけでなく、成膜速度の速いDCスパッタリング法を用いることもできるため、酸化チタン系薄膜の成膜時間を大幅に短縮することができる。なお、好ましくは酸化チタン系焼結体の酸化ニオブ含有量をNb25に換算して1重量%〜10重量%の範囲で含有させることにより、酸化チタン系焼結体のシート抵抗値を30Ω/□以下とすることができ、DCスパッタリング法による成膜速度をより高めることができる。
【0027】
次に、本発明に係る酸化チタン系薄膜を用いた応用例について説明する。
【0028】
図2は本発明に係る酸化チタン系薄膜を相変化型記録層の保護層として用いた光記録媒体を示す概略断面図である。
【0029】
この相変化型光記録媒体10は、ポリマー等からなる円盤状をした基体1上に、DCスパッタリング法を含む気相成膜法により、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含有し、400nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率が2.5以上である酸化チタン系薄膜からなる第一の保護層2aを被覆した後、この保護層2a上にTe合金やSb合金からなる相変化型記録層3を被覆し、さらにこの記録層3上に、DCスパッタリング法を含む気相成膜法により、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含有し、400nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率が2.5以上である酸化チタン系薄膜からなる第ニの保護層2bを被覆し、この保護層2bの上にアルミニウム、金、銀、あるいはこれらを主成分とする合金等からなる反射膜4と樹脂層5を形成したもので、基体1側から照射されたレーザー光は、第二の保護層2bを透過して記録層3に照射され、記録層3を透過したレーザー光は第一の保護膜2aを透過して反射層4で反射され、反射されたレーザー光は、再度、第一の保護膜2a、記録層3、第2の保護層2bを透過して照射側に戻り、電気信号として取り出されるようになっており、記録時には、信号強度に対応して変調されたレーザー光が照射され、その熱エネルギーにより記録層3を相変化させることにより(例えば、記録層3の合金薄膜を結晶相と非晶相とに相互に変化させる)、信号情報をこの相変化として記録させ、また、再生時には、レーザー光を照射して記録層3における相変化に伴ったレーザー光の反射強度変化を信号として検出するようになっている。
【0030】
そして、本発明の光記録媒体10は、保護層2a,2bを形成する酸化チタン系薄膜が、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含み、熱に対して安定した非晶質構造を有することから、記録/消去時に繰り返し照射されるレーザー光によって400℃〜700℃に加熱されたとしても酸化チタンの結晶化や粒成長を防ぎ、結晶化や粒成長に伴うS/N比の低減を防止することができる。
【0031】
しかも、本発明の酸化チタン系薄膜は、化学的に安定であることから、レーザー光によって高温に加熱されたとしても記録層3として用いられるTe合金やSb合金との反応することがなく、記録層3の腐食を防止することができる。
【0032】
その上、酸化チタン系薄膜は非晶質構造であることから、酸化チタン系薄膜中に残留する内部応力が小さく、保護層2a,2bの剥離や破損を防止することができるとともに、光記録媒体10がDVD仕様である場合には反りの発生を防ぎ、光記録媒体10の信頼性を高めることができる。
【0033】
また、本発明の酸化チタン系薄膜は、従来より用いられている硫化亜鉛薄膜の屈折率より大きな屈折率を有するため、保護膜2a,2bの膜厚みを10nm〜500nmと薄くすることができ、これにより保護層2a,2bの放熱性を高め、保護層2a,2bの剥離等の熱的障害を防止することもできる。
【0034】
さらに、従来のSiO2を含有する硫化亜鉛系薄膜からなる保護層では、成膜速度を速めることができるDCスパッタリング法を適用できなかったが、本発明の酸化チタン系薄膜は、DCスパッタリング法を用いることができるため、光記録媒体10を生産性を高めることもできる。かくして、本発明によれば、信頼性の高い光記録媒体を提供することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について示したが、本発明は上記実施形態だけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良や変更できることは言うまでもない。
【実施例】
【0036】
(実施例1)ここで、酸化ニオブの含有量を異ならせた酸化チタン系薄膜を用意し、400nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率を測定する実験を行った。
【0037】
本実験にあたり、まず、酸化チタン系薄膜を成膜するため、スパッタリングターゲット材を製作した。
【0038】
具体的には、出発原料として、平均粒径2.0μmのTiO2粉末に対し、平均粒径1.0μmのNb25粉末を0.05重量%〜15重量%の範囲で添加し、さらに水と有機系バインダーを加え混合することによりスラリーを得た。次に、得られたスラリーを200℃にて噴霧乾燥させることにより造粒粉を製作し、この造粒粉を型内に充填しプレス成形にて円板状体に成形した後、脱脂工程を経て1400℃の温度で3時間程度焼結することにより、酸化ニオブを含有する酸化チタン系焼結体を製作し、直径76mm×厚み5mmとなるように切削加工を施すことによりスパッタリングターゲット材を製作した。
【0039】
そして、得られた酸化チタン系焼結体からなるスパッタリングターゲット材を用い、DCスパッタリング法によりガラス基板上に酸化ニオブの含有量を異ならせた酸化チタン系薄膜を100nmの厚みで被着し、各酸化チタン系薄膜の400nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率を分光エリプソメーターによって測定した。なお、DCスパッタリング法の条件は、投入電力1000W、Arと酸素の混合ガス圧を1Paとした。
【0040】
図1にその結果を示すように、酸化チタン系薄膜の屈折率は、酸化ニオブの含有量がNb25換算で0.5重量%を越え、2.5重量%までは急激に増加し、2.5重量%から10重量%までは比較的緩やかに増加し、10重量%を越えると屈折率が低下することが判る。そして、酸化ニオブの含有量がNb25換算で0.5重量%〜14重量%の範囲においては、400nmの波長光に対する屈折率を2.5以上とすることができ、また酸化ニオブの含有量がNb25換算で2.5重量%〜11重量%の範囲においては、400nmの波長光に対する屈折率を2.8以上とすることができ、さらに酸化ニオブの含有量がNb25換算で5重量%〜10重量%の範囲においては、400nmの波長光に対する屈折率を2.85以上とすることができることが判る。
【0041】
また、他の波長光に対する屈折率を見るため、酸化ニオブの含有量がNb25換算で2.5重量%である酸化チタン系薄膜と、酸化ニオブの含有量がNb25換算で5.0重量%である酸化チタン系薄膜を用い、300nm〜15nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率を測定した。
【0042】
酸化ニオブの含有量が2.5重量%である酸化チタン系薄膜の屈折率は、図2(a)に、Nb25含有量が5.0重量%である酸化チタン系薄膜の屈折率は図2(b)にそれぞれ示す通りである。
【0043】
この結果、いずれの酸化チタン系薄膜も同様の傾向が見られ、300nm〜600nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率を2.5以上とすることができ、また、600nm〜1500nmの波長を有するレーザー光に対する屈折率もそれ程大きく低下することがなく、2.4以上を有していた。
【0044】
この結果、酸化ニオブの含有量が2.5重量%以上を有する酸化チタン系薄膜を用いれば、800nm以下の波長を有するレーザー光に対しても屈折率が2.4以上と、高い屈折率が得られ、これにより、Te合金やSb合金からなる相変化型記録層を保護する保護層としても好適に用いることができ、また、広範囲の波長領域を有するレーザー光に対して使用可能な光記録媒体を提供することができるとともに、高い屈折率を利用して保護層を薄くすることができ、熱的安定性を確保することができるため、保護層の剥離のない信頼性の高い光記録媒体のを提供することができる。
【0045】
(実施例2)次に、実施例1の酸化チタン系薄膜と従来の酸化珪素を含有する硫化亜鉛系薄膜を、成膜速度の速いDCスパッタリング法と、成膜速度の速くないRFスパッタリング法を用いて成膜し、成膜するのに要する時間について調べる実験を行った。
【0046】
なお、従来の酸化珪素を含有する硫化亜鉛系薄膜を成膜するスパッタリングターゲット材として、ZnS(80重量%)−SiO2(20重量%)系焼結体を用いた。
【0047】
また、実施例1の酸化チタン系薄膜及び従来の硫化亜鉛系薄膜を成膜するのに用いた酸化チタン系焼結体及び硫化亜鉛系焼結体からなるスパッタリングターゲット材の表面抵抗値を四探針法により測定した結果は表1に示す通りである。
【0048】
【表1】
Figure 0004789355
【0049】
また、RFスパッタリング法の条件は、投入電力800W、Arと酸素の混合ガス圧1Paを選定し、100nmの膜厚みとなるよう、ガラス基板上に成膜し、DCスパッタリング法の条件は、投入電力1000W、Arと酸素の混合ガス圧1Paを選定し、100nmの膜厚みとなるよう、ガラス基板上に成膜した。
【0050】
結果は表2に示す通りである。
【0051】
【表2】
Figure 0004789355
【0052】
この結果、表2より判るように、DCスパッタリング法によれば、RFスパッタリング法と比較すると、スパッタレートが約40%向上することが判る。このようにして、薄膜生産の効率化の点では、従来の硫化亜鉛系薄膜が、RFスパッタリング法でしか形成できず、そのスパッタレートが小さいが、酸化チタン系薄膜はスパッタレートを高められることが判る。
【0053】
また、従来の硫化亜鉛系薄膜は、スパッタリング法でスパッタリングターゲットの使用開始直後と、使用後半のターゲット消耗が激しい時とでは、薄膜の光学特性が変わることがあったが、酸化チタン系薄膜では、光学特性が変わらないことを確認している。
【0054】
酸化ニオブをNb 2 5 換算で2.5重量%〜11重量%の範囲で含有する酸化チタン系薄膜は、熱に対して安定であるために、光記録媒体の消去/記録時に照射されるレーザー光によって400℃〜700℃の高温に加熱されたとしても酸化チタン結晶が生成されたり、粒成長することが殆どなく、非晶質構造を安定して維持することができるため、光記録媒体の記録層を保護する保護層として好適に用いることができる。
【0055】
さらに、本発明の酸化チタン系薄膜は、薄膜を得る方法として、従来のRFスパッタリング法に限定されず、真空蒸着法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などの膜形成方法を利用することができ、薄膜は安定した熱的特性を有するとともに、硫化亜鉛系薄膜と比較して、電気抵抗値が低い特徴を有するために、その酸化チタン系焼結体から、薄膜形成に直流スパッタリングを利用することができ、電力の粒力を高めることにより、スパッタ速度を大きくして、光記録媒体の保護層として形成する場合の薄膜生産性を高めることができる。
【0056】
また、酸化チタン系薄膜は、化学的に安定であることから、記録層にTe合金やSb合金を用いた相変化型光記録媒体において、記録層の腐食を防ぐことができ、光記録媒体の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0057】
以上のように、本発明の光記録媒体によれば、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブを含有する酸化チタン系薄膜を用いるようにしたことから、400nmの波長光に対する屈折率を2.5以上と、硫化亜鉛系薄膜よりも高い屈折率を得ることができ、これにより保護膜の膜厚を薄くすることができるため、熱放散性を向上させることができる。特に酸化ニオブをNb25換算で重量%〜10重量%の範囲で含有する酸化チタン系薄膜は、400nmの波長光に対する屈折率が2.8より大きい高屈折率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る酸化チタン系薄膜を相変化型記録層の保護層として用いた光記録媒体を示す概略断面図である。
【図2】酸化ニオブの含有量と酸化チタン系薄膜の屈折率との関係を示すグラフである。
【図3】(a)は酸化ニオブの含有量が2.5重量%である酸化チタン系薄膜の300nm〜1500nmの波長光に対する屈折率を示すグラフであり、(b)は酸化ニオブの含有量が5.0重量%である酸化チタン系薄膜の300nm〜1500nmの波長光に対する屈折率を示すグラフである。
【図4】従来の光記録媒体を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1:基板 2a:第一の保護層 2b:第二の保護層 3:記録層 4:反射層 5:樹脂層 10:光記録媒体 11:基板 12a:第一の保護層 12b:第二の保護層 13:記録層 14:反射層 15:樹脂層 20:光記録媒体

Claims (3)

  1. レーザー光の照射信号を相変化として記録する合金からなる記録層と、該記録層の上下に設けられ、前記記録層を被覆して保護する保護層と、一方の保護層に接して前記記録層と反対側に設けられた金属からなる反射層とを有する光記録媒体であって、上記保護層が、酸化チタンを主成分とし、副成分として酸化ニオブをNb25換算で重量%〜10重量%の範囲で含有し、かつ非晶質構造を有する酸化チタン系薄膜からなり、上記保護層の400nmの波長光に対する屈折率が2.8より大きいことを特徴とする光記録媒体。
  2. 上記保護層を形成する酸化チタン系薄膜の400nmから800nmの波長光に対する屈折率が2.4以上であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 上記保護層を形成する酸化チタン系薄膜の400nmから1500nmの波長光に対する屈折率が2.4以上であることを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体。
JP2001193737A 2001-06-26 2001-06-26 光記録媒体 Expired - Fee Related JP4789355B2 (ja)

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