JP4146618B2 - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体に関し、さらに詳しくは、相変化型記録材料により書き換え可能とした光情報記録媒体等の熱伝達性を制御するようなデバイス類において、高線速対応で、かつオーバーライトによる良好な記録が行え、さらにまた環境変化にも強い記録媒体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録型光ディスクのうち、相変化型記録ディスクは、一般にプラスチック基板/ZnS-SiO2/カルコゲン系相変化記録媒体/ZnS-SiO2/Al系合金のような4 層構成の膜構成を持っている。ここで用いられているZnS-SiO2は誘電体材料である。この誘電体材料の機能は、瞬間的に融点以上に昇温する記録層の熱から基板を保護するとともに記録層の変形や破損を防ぐ、光干渉効果により記録情報再生時に十分な信号強度を得る、記録時に良好な形状のアモルファスマークを形成するのに適した冷却速度を実現することである。そのために、この誘電体材料に要求される特性は充分な耐熱性、大きな屈折率、適当な熱伝導率等である。このような材料としては、各種の酸化物、窒化物、カルコゲナイド化合物あるいはこれらの混合物が知られている。
【0003】
特開平5-298749号公報には、誘電体層がカルコゲン化合物と酸化物と炭化物を含む複合物からなる光記録媒体が開示されている。これは膜の内部応力緩和、接着性、クラックの発生に主眼が置かれている。また、直流スパッタには言及されていず、かつ濃度的には炭化物5〜30mol%までである。
【0004】
また特開平5-217211号公報には、急冷構造という表記はないが、ZnS・SiO2 とSiC との積層構造が開示されている。ただし、記録層側がSiCとなっている。
【0005】
また特開平6-314439号公報には、記録層周辺の誘電体膜を稀ガスのみでスパッタして形成すること、記録層から離れた誘電体は窒素または酸素と稀ガスによりスパッタすることが記載されている。さらに特開平11-86341号公報には、ZnS・SiO2 とSiCとの交互積層とし、高線速対応およびDOW回数の向上が可能であることが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
相変化型の書換え可能光ディスクは、加熱して記録膜を溶融して記録するため、多数回の書き換えを行うと、膜中の欠陥が増加してエラーが増大しやすい。また、記録および消去の処理時間を短くするためにそれらの処理速度を上げ、さらに書換え回数を伸ばすためには記録層材料の周辺を耐急冷構造にする必要がある。このような急冷構造の具体例としては、誘電体材料の面からは熱伝導性のいい材料を積層する( 上記特開平11-86341) などがある。しかし、多層構造で熱伝導性を向上させる構造では、記録時の加熱による熱膨張性の差から膜界面に応力が発生し、界面で剥離を生ずる可能性がある。また、プロセス上も、成膜するための成膜処理槽を設けなくてはならず処理槽の数が増える、あるいは工程が増えるため歩留まりが落ちてしまうなどコストアップとなる要因が同時に発生してしまう。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、相変化型光情報記録媒体において、高線速記録・消去に対応し、反射放熱層への冷却効果が保持でき、記録層材料の酸化による変質を伴うことがない、保存特性の良い光情報記録媒体が得られる光情報記録媒体の構成と製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は下記の手段より解決される。すなわち、本発明によれば、第一に、請求項1では、透明基板上に第一誘電体層、記録層、第二誘電体層、反射層を順次積層した相変化型光情報記録媒体であって、第一誘電体層と第二誘電体層の少なくとも一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなり、前記混合体からなる誘電体層中の炭化珪素の組成比が、 20 mol% 以上 95 mol% 以下の範囲であることを特徴とする。
【0010】
第二に、請求項2では、上記請求項1記載の光情報記録媒体において、上記硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなる誘電体層が酸化物を含有する膜( または酸素を含有する膜) である光情報記録媒体であることを特徴とする。
【0011】
第三に、請求項3では、上記請求項2記載の光情報記録媒体において、上記酸化物を含有する誘電体膜を記録層と隣接する部分に配置する光情報記録媒体であることを特徴とする。
【0012】
第四に、請求項4では、上記請求項1記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、上記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパッタして作製される光情報記録媒体の製造方法であることを特徴とする。
【0013】
第五に、請求項5では、上記請求項2または3記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、上記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスに加え酸素ガスを導入してスパッタする光情報記録媒体の製造方法であることを特徴とする。
【0014】
第六に、請求項6では、上記請求項5記載の光情報記録媒体の製造方法において、酸素の分圧が9.0 ×10-4Torr以下である光情報記録媒体の製造方法であることを特徴とする。
【0015】
第七に、請求項7では、上記請求項2および3記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、上記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛、炭化珪素および酸化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパッタして作製される光情報記録媒体の製造方法であることを特徴とする。
【0016】
第八に、請求項8では、上記請求項4、5、6または7記載の光情報記録媒体の製造方法において、上記混合体からなる誘電体膜がSiC の濃度が15vol%以上(または25mol%以上) のターゲットを用い、直流スパッタあるいは直流マグネトロンスパッタにより作製される光情報記録媒体の製造方法であることを特徴とする。また、第九に、請求項9では、透明基板上に第一誘電体層、記録層、第二誘電体層、反射層を順次積層した相変化型光情報記録媒体であって、第一誘電体層と第二誘電体層の少なくとも一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなることを特徴とする光情報記録媒体を製造する方法であって、前記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパッタして作製され、前記混合体からなる誘電体膜が SiC の濃度が 15vol% 以上 ( または 25mol% 以上 ) のターゲットを用い、直流スパッタあるいは直流マグネトロンスパッタにより作製されることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、相変化記録材料に半導体レーザを照射した際、必要となる適度な熱伝導性を得るために、一般に使われている硫化亜鉛(ZnS) と硫化亜鉛より熱伝導が良好な炭化珪素(SiC)を第一誘電体層と第二誘電体層の少なくとも一方に混合して使用した。
【0018】
ZnS自体は熱伝導性が悪く熱を記録層周辺に保持するのに適している。一方のSiCは熱伝導性が良好なので急冷構造を形成するのに適している。ZnS単体では相変化材料を高速で非結晶化しにくく、更に材料自体が経時的に結晶化し易い。一方SiC単体では相変化記録材料に熱が保持されないので結晶化するためには過大なレザーパワーが必要になる。ZnSとSiCの実用的な比率としてはSiCの組成比が20mol%以上95mol%以下である。
【0019】
また、熱伝導率抑制の一つの手段としてSiCあるいはZnSの一部を酸化物に置き換えて酸化物を含有させてもよい。
【0020】
酸化物を含有させる場合は記録層に熱を保持させ易くすることが目的なので記録層に隣接する部分に配置する。
【0021】
またこれらの膜の製造方法としては、酸化物を含有しない場合は稀ガス元素Arのみにより実施し、酸化物を含有させる場合はArに加えて反応性ガスの酸素を導入するか、はじめから焼結体に酸化物を混合してArガスのみで成膜してもよい。記録層近傍は熱伝導性を抑え、近傍から離れた部分では熱伝導性を向上させることで記録層の結晶化と非結晶化に必要な除冷と急冷という相反する温度プロファイルを実現できる。
【0022】
ここで、酸素を導入して成膜する場合は酸素により記録層材料が酸化される場合が考えられるが、1.0 ×10-4〜9.0 ×10-4Torrの酸素分圧であれば、記録層を酸化劣化させずに光記録媒体を製造することが可能である。また、SiCは導電性が高いため15vol%( 25mol%に相当) 以上であれば、直流スパッタあるいは直流マグネトロン・スパッタ、またはパルス印可的に改造した直流スパッタあるいは直流マグネトロン・スパッタで成膜できる。
【0023】
このように混合膜とした場合は、混合比および反応性ガスの導入により熱伝導性をコントロールできるとともに多層化する場合の難点である成膜処理槽数の増加や歩留りの低下と積層構造間での膜の剥離等の欠陥を回避できる。
【0024】
図1に代表的な光ディスクの構造を示す。1はポリカーボネートなどによる透明プラスチック基板、厚みは0.6mm または1.2mm 厚。2は第一誘電体層、厚みは50〜250nm 。3は相変化型記録層で、基本的な材料組成はAg1In8Sb65Te26四元系の材料またはAg2In5Sb71Te20Ge2( 数字は原子%) となる五元系材料を用い、厚みは8 〜30nm。4は第二誘電体材料層、厚みは10〜30nm。5は反射層でAl、Ag、Cu、Auなどの金属層で、厚みは100 〜200nm 。6は有機材料による保護層である。上記各層の膜厚は光学的熱的な特性上で最適化し微調整されるので幅をもって記述してある。
【0025】
〔実施例〕
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
片側の誘電体層のみZnS とSiC の混合膜にした例を示す。
プラスチック基板として厚さが0.6mm のポリカーボネート基板上にマグネトロンスパッタ装置を用いて光記録媒体を成膜した。第一誘電体層はZnS ・SiO2とした。組成は原子比でZnS 80% SiO2 20%である。このZnS ・SiO2熱伝導率は 0.66W/mK 。膜厚は70nmである。次に、相変化記録層はAg2In5Sb71Te20Ge2(比率はモル比) を成膜した。膜厚は20nm。この組成の記録膜は結晶化速度が中程度で、中線速記録に適している。第二誘電体層はZnS とSiC の混合膜とした。組成はモル比でZnS 60%、SiC40 %である。膜厚は20nmである。ZnS ・SiO2を第一誘電体層、 ZnS・SiC を第二誘電体層として用いた場合は、この記録層の組成で12m/s の線速に対応できる。一方、反射放熱層はAI膜厚140nm である。
このディスクを大出力レーザーを使用して初期結晶化を行い、その後 650nm NA0.6 の光ピックアップを持つドライブで評価した。線記録密度0.267 μm/bit 、トラックピッチ 0.74 μm 、記録線速度 8.5m/s 、信号は 8/16 変調した。
このディスクの初期ジッターは、6%であった。10000 回の書換え後も8%以下と良好であった。このような成果は、ZnS ・SiO2に比べ、熱伝導性の良いSiC が含まれることでZnS とSiC の混合膜は急冷構造となるので、記録マークの形成がシャープにできるとともに、熱的なダメージの蓄積が起こり難いためと思われる。
【0026】
実施例2
両側ともZnS とSiC の混合膜を使用した。
第一誘電体層をZnS ・SiO2にかわりに、組成がでZnS 70%、SiC30 %( モル比) であるZnS とSiC の混合膜とした他は実施例1と同様にして、光記録媒体を作製した。この組成の構造で、実施例1と同じく12m/s の線速に対応できた。ただし、記録時の半導体レーザーの出力パワーは実施例1のときと比べ1 〜2mW高めに設定した。
このディスクを大出力レーザーを使用して初期結晶化を行い、実施例1と同様に評価した。このディスクの初期ジッターは、6%であった。10000 回の書換え後も8%以下と良好であった。
【0027】
実施例3
ZnS とSiC の混合膜に酸化物を含有させる。
実施例1で、第二誘電体層のZnS とSiC のかわりに、ZnS とSiC の混合材料にSiO2を含有させた誘電体材料とした。組成比はそれぞれモル比でZnS 51%、SiC 36% 、SiO2 13%である。作製した光記録媒体を初期結晶化後に評価したところ、実施例1とほぼ同じ結果を得た。すなわち、初期ジッターが6.2%であった。10000 回の書換え後も8.5%以下と良好であった。
【0028】
実施例4熱伝導性を悪くできるので、熱エネルギーを記録層周辺に閉じ込めることができる。実施例3と同じ組成の酸化物含有誘電体を記録層の周辺に用いて光記録媒体を製作した。第一誘電体側は記録層側から30nm 、第二誘電体側は記録層側から14nm のところまでを酸化物含有誘電体としその外の誘電体部分はSIC の組成は36%で、酸化物を含有しない誘電体とした。ここでスパッタ成膜は、稀ガスのArガスのみ用いて行った。作製した光記録媒体を初期結晶化後に評価したところ、実施例1とほぼ同じ結果を得た。すなわち、初期ジッターが6%であった。10000 回の書換え後も8%以下と良好であった。
【0029】
実施例5
ターゲットを変えずに酸化物を誘電体層に導入した。
実施例3で、酸化物含有ターゲットを用いるかわりに、ZnS とSiC の混合ターゲットを用い、酸素を導入した反応性スパッタにより誘電体膜を形成した。組成比はそれぞれモル比でZnS 55%、SiC 45% である。導入した酸素ガスの量は酸素ガス単体の分圧で6.5 ×10-4Torrであった。
作製した光記録媒体を初期結晶化後に評価したところ、実施例1とほぼ同じ結果を得た。すなわち、初期ジッターが6.4%であった。10000 回の書換え後も8.5%以下と良好であった。
【0030】
実施例6ターゲットを変えずに酸化物を誘電体層に導入した。実施例5と同じZnS とSiC の混合ターゲットを用い、酸素を導入した反応性スパッタにより誘電体膜を形成した。組成比はそれぞれモル比でZnS 55%、SiC 45% である。導入した酸素ガスの量は酸素ガス単体の分圧で2.4 ×10-4Torrであった。酸素を導入した反応性スパッタにより誘電体膜を形成したのは、第一誘電体側は記録層側から30nm、第二誘電体側は記録層側から14nmのところまでに相当する部分とし、その他の誘電体の部分は稀ガスのみによりスパッタ成膜した。作製した光記録媒体を初期結晶化後に評価したところ、実施例4とほぼ同じ結果を得た。すなわち、初期ジッターが6.2%であった。10000 回の書換え後も8%以下と良好であった。この場合では、成膜処理槽の増加を伴わず、成膜条件の変更のみで時間配分のみによって酸化物を含有する誘電体部分と含有しない誘電体部分を形成できた。
【0031】
実施例7
直流スパッタの実施例である。
導電処理したSiC15vol%以上(25mol% 相当以上) では焼結体自体の比抵抗が小さくなり直流マグネトロンスパッタが可能である。純粋に近いものはSiC 単体の電気抵抗は比抵抗で100 〜200 Ωcmであるが、不純物準位としてSi、NあるいはAlを添加導入すると導電性が良くなり、10-3Ωcm台まで比抵抗が下がる。この様な組成のSiC を導電材として絶縁材料であるZnSと混合していくと比抵抗は表1のようになる。
【0032】
【表1】
Figure 0004146618
この結果からすると、10vol%を超えるあたり以降のSiC 濃度が低抵抗化に有効で直流スパッタ可能な範囲の比抵抗の値である。ただし、10-1Ωcm台まではアーク放電が発生することがあるので、スパッタ陰極電圧をパルス状に反転させ、陰極への電圧をパルス印可とした方法で成膜をする必要がある。10-2Ωcm台より小さくなるとパルス化しなくとも直流スパッタが可能となる。
【0033】
ZnS:導電処理したSiC=60:40 vol%(44:56 mol% に相当) のスパッタ用焼結体ターゲットを真空装置のカソードにセットし、Arガス圧4.0 ×10-3Torr、酸素ガス圧2.4 ×10-4Torrの条件下で最大印可電力5kWの直流スパッタ電源を用いて3kWのパルス印可でない定常の出力電圧でスパッタ放電をたてた。アーキングなどの異常放電を起こさずに安定してスパッタができた。その成膜速度は定格電力当りの値で示すと2.0〜2.5nm/sec・ kWであった。( ZnS・SiOでは2.2nm/sec・ kW)また、光学的には屈折率が2.01〜2.20、消衰係数は0.014〜0.0085であった。
実施例1と同様な光学膜厚構成で光記録媒体を作製し、初期結晶化後に評価したところ、次の結果を得た。すなわち、初期ジッターが6.4%であった。10000 回の書換え後も8.5%以下と良好であった。
【0034】
比較例1
第二誘電体を第一誘電体と同じ組成のZnS ・ SiO2とし他は全て同じ材質・膜厚条件で光記録媒体を製作した。この構成では、対応できる線速は10m/s であった。
このディスクを大出力レーザーを使用して初期結晶化を行い、その後 650nm NA0.6 の光ピックアップを持つドライブで評価した。線記録密度0.267 μm/bit 、トラックピッチ 0.74 μm 、記録線速度 8.5m/s 、信号は8/16変調した。
このディスクの初期ジッターは、7%であった。1000回の書換え後に8.5%まで上昇し、10000 回の書換え後は10.2%にまで上昇した。ZnS ・ SiC に比較し、熱を保持しやすいZnS ・ SiO2材料では記録マーク形成のシャープ性が落ちるのと熱的なダメージの蓄積を受けやすいことに原因していると考えられる。
【0035】
比較例2
SiCの量が多いときの弊害を示す。
第一誘電体を実施例1と同じ組成のZnS ・ SiO2とし、第二誘電体をSiC とした他は全て同じ材質・光学膜厚条件で光記録媒体を製作した。初期化後、この光記録媒体を評価したところ、初期ジッターが悪く10%あった。繰り返し記録後のジッター上昇は少なかったが、初期ジッターが大きいため実用的ではない。
【0036】
比較例3
SiCの量が多いときの弊害を示す。
第二誘電体に加え、第一誘電体もSiC として光記録媒体を製作した。この光記録媒体では、記録層の非晶質化が行えなかったため記録マークを形成することができなかった。光記録媒体として熱伝導性が高すぎるため、記録層を充分に高温にすることができないためと思われる。
【0037】
比較例4
SiCの量が少ないときの弊害を示す。
第一および第二誘電体をZnS のみで形成した。このディスクを大出力レーザーを使用して初期結晶化を行い、その後 650nm NA0.6の光ピックアップを持つドライブで評価した。このディスクの初期ジッターは、7%であった。しかし、1000回の書換え後に10.5%まで上昇し、ZnS の結晶化と思われる変質が起きていた。
【0038】
比較例5
酸素導入量が多い場合の弊害を示す。酸素と記録層の反応により記録特性が悪くなる。
Arガス分圧が4.0 〜4.1 ×10-3Torrとし酸素分圧が1.1 ×10-3Torrとして、SiCを約50mol%含有するZnSを誘電体として用い、AgInSbTe四元系相変化記録材料を記録層としてメディアを作製し評価した。500Wのレザーパワーにより初期化後、660nmの半導体レーザーで書き込みしたところ、条件を色々と変えても記録層をアモルファス化することができず、情報の書き込みができなかった。
【0039】
比較例6SiC濃度が15vol%未満の場合の直流マグネトロンスパッタ放電時の異常放電を示す。ZnS とSiC の組成比で、SiC が15vol%未満(25mol%未満) の場合は、直流マグネトロンスパッタ放電時にアーク放電が起こり、直流スパッタ電源が異常電流を検出しダウンし、薄膜を形成することができなかった。スパッタ陰極電圧をパルス状に反転させ、陰極への電圧をパルス印可してもアーク放電が継続して発生し成膜できなかった。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の光情報記録媒体によれば、誘電体層の少なくとも一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなることから、積層する場合の難点、すなわち、熱膨張差による膜の剥離、処理槽の増大や歩留り低下がなく、高線速記録・消去に対応した適当な熱伝導性の誘電体層を有する光情報記録媒体を得ることができる。
【0041】
また、請求項1の光情報記録媒体によれば、SiC単独では熱伝導が大き過ぎるのをZnSを混合することで熱伝導の増大を押さえることができると共に高線速に対応した反射放熱層への冷却効果を保持できる。
【0042】
請求項の光情報記録媒体によれば、酸化物を含有すること熱伝導性を熱伝導性が悪くなる方向に変化させることが可能となる。そのため記録層を囲む誘電体の熱伝導性の制御が容易になり、光情報記録媒体の熱的な面での設計上の対応範囲を広くできる。
【0043】
請求項の光情報記録媒体によれば、酸化物を含有する誘電体膜を記録層と隣接する部分に配置したことことから、記録または消去時に、半導体レーザからのエネルギーを記録層周辺に留めることができるので、記録または消去の特性を損なうことなく高線速対応が実現できる。
【0044】
請求項の光情報記録媒体によれば、反応性ガスとして酸素を用いないので、記録層材料の酸化による変質を伴うことがなく上記請求項の効果が実現できる。
【0045】
請求項の光情報記録媒体によれば、同一のターゲットで熱伝導率の異なる膜の形成が可能である。また、同一誘電体膜中で熱伝導率の勾配を形成することも可能である。さらに、反射層にAg,Cuなど硫化亜鉛中に存在する遊離のイオウ成分との反射放熱層の硫化に対し、誘電体材料を安定な酸化層に変えることができるので保存特性が向上する。
【0046】
請求項の光情報記録媒体によれば、このガス圧範囲であれば記録層の劣化を伴うことがなく上記請求項3に対応する誘電体への酸化物の導入が実施できる。
【0047】
請求項の光情報記録媒体によれば、ターゲットは異なるものを用いることになるが、プロセス上のガス圧変動を受けることがないので、再現性が良好である。
【0048】
請求項8及び9の光情報記録媒体によれば、直流スパッタまたは直流マグネトロン・スパッタでは、高周波スパッタに比べ装置コストも安くまた成膜速度も若干速いので、光情報記録媒体の効率的な生産を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる代表的な光デイスクの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 第一誘電体層
3 記録層
4 第二誘電体層
5 反射層
6 保護層

Claims (9)

  1. 透明基板上に第一誘電体層、記録層、第二誘電体層、反射層を順次積層した相変化型光情報記録媒体であって、
    第一誘電体層と第二誘電体層の少なくとも一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなり、
    前記混合体からなる誘電体層中の炭化珪素の組成比が、 20 mol% 以上 95 mol% 以下の範囲であることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 請求項1記載の光情報記録媒体において、前記硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなる誘電体層が酸化物を含有する膜 ( または酸素を含有する膜 ) であることを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 請求項2記載の光情報記録媒体において、前記酸化物を含有する誘電体膜を記録層と隣接する部分に配置することを特徴とする光情報記録媒体。
  4. 請求項1記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、前記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパッタして作製されることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  5. 請求項2または3記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、前記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスに加え酸素ガスを導入してスパッタすることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  6. 請求項5記載の光情報記録媒体の製造方法において、酸素の分圧が 9.0 × 10- 4 Torr 以下であることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  7. 請求項2および3記載の光情報記録媒体を製造する方法であって、前記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛、炭化珪素および酸化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパッタして作製されることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  8. 請求項4、5、6または7記載の光情報記録媒体の製造方法において、前記混合体からなる誘電体膜が SiC の濃度が 15vol% 以上 ( または 25mol% 以上 ) のターゲットを用い、直流スパッタあるいは直流マグネトロンスパッタにより作製されることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  9. 透明基板上に第一誘電体層、記録層、第二誘電体層、反射層を順次積層した相変化型光情報記録媒体であって、第一誘電体層と第二誘電体層の少なくとも一方が、硫化亜鉛および炭化珪素の混合体からなることを特徴とする光情報記録媒体を製造する方法であって、
    前記混合体からなる誘電体層が硫化亜鉛および炭化珪素の混合物をターゲットとし、稀ガスのみでスパッタして作製され、
    前記混合体からなる誘電体膜が SiC の濃度が 15vol% 以上 ( または 25mol% 以上 ) のターゲットを用い、直流スパッタあるいは直流マグネトロンスパッタにより作製されることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
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